JP3623678B2 - パック化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、L−アスコルビン酸誘導体の存在下においても経時における保存安定性に優れ、且つ、美白効果及び良好な使用感を有する被膜形成型のパック化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、パック化粧料は、皮膚を被膜で一定時間被覆し、この間に水分を皮膚に補給したり、皮下からの水分の蒸発を抑えて肌を柔軟にする効果を付与するものとして市販されている。形態としては、塗布後の乾燥によりフィルムを形成し、これをはがし取るピールオフタイプ、クリーム状又は泥状で塗布後拭き取り又は洗い流すタイプ、不織布にローションを含浸させたタイプ等がある。
この中でも、ピールオフタイプのパックは、被膜形成剤の吸着効果により皮膚に付着した汚れや古い角質層を取り除く清浄効果をも兼ね備えており、その代表的な被膜形成剤として、ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したポリビニルアルコールは、優れた被膜形成能を持つ反面、この水溶液は経時的にpHが低下するという欠点を有していた。
一方、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸マグネシウム等の水溶性L−アスコルビン酸誘導体は、従来より美白化粧料に汎用されているものの、これらは、その性質上酸性pH域での安定性に劣るものであった。
そのため、ポリビニルアルコールを用いたパック化粧料には、安定に水溶性L−アスコルビン酸誘導体を配合できないのが現状であった。
従って、安定に水溶性L−アスコルビン酸誘導体を配合し、優れた美白効果を有するパック化粧料の開発が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの事由に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、ポリビニルアルコールと水溶性L−アスコルビン酸誘導体を配合したパック化粧料において、有機酸塩と水膨潤性粘土鉱物を配合し、pHをコントロールすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち本発明は、次の成分(a)〜(e);
(a)ポリビニルアルコール 5〜20重量%
(b)水溶性L−アスコルビン酸誘導体 0.5〜5重量%
(c)有機酸塩 0.1〜3重量%
(d)水膨潤性粘土鉱物 0.1〜10重量%
(e)精製水 20〜94重量%
を含有することを特徴とするパック化粧料である。
さらに、上記必須成分に加え、成分(f)として粉体を0.1〜15重量%含有することを特徴とするパック化粧料である。
以下、本発明をさらに詳述する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる成分(a)ポリビニルアルコールは、化粧品原料として公知のものであり、ピールオフタイプのパック化粧料に多く用いられているものである。
ポリビニルアルコールの具体例としては、PVA−117、124、205(以上クラレ社製)、ゴーセノールE−05、25、30(以上日本合成化学工業社製)等が挙げられる。
本発明においては、目的に応じてこれらのポリビニルアルコールの一種又は二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0007】
本発明で用いられる成分(a)の配合量は、5〜20重量%(以下、単に「%」と記す)であり、より好ましくは、7〜15%である。
成分(a)の配合量が5%未満では、被膜形成性が不充分であり、ピールオフしにくいものとなる。また、20%を超えて配合すると、粘度が高くなるため使用するに際し塗りにくい等の欠点がでてしまう。
【0008】
本発明で用いられる成分(b)の水溶性L−アスコルビン酸誘導体としては、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸カリウム、L−アスコルビン酸マグネシウム等のL−アスコルビン酸塩、L−アスコルビン酸リン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸マグネシウム、L−アスコルビン酸リン酸カルシウム等のL−アスコルビン酸リン酸塩、L−アスコルビン酸硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸硫酸マグネシウム、L−アスコルビン酸硫酸カルシウム等のL−アスコルビン酸硫酸塩等が挙げられる。
本発明においては、目的に応じてこれらの水溶性L−アスコルビン酸誘導体の一種又は二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0009】
本発明で用いられる成分(b)の配合量は、0.5〜5%であり、より好ましくは、1〜4%である。
成分(b)の配合量が0.5%未満であると、充分な美白効果が期待できない。また、5%を超えて配合しても、水溶性L−アスコルビン酸誘導体による更なる美白効果の向上は期待できない。
【0010】
本発明で用いられる成分(c)の有機酸塩としては、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、酒石酸、ピロリドンカルボン酸、グルコン酸等の有機酸のカリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。
本発明においては、目的に応じてこれらの有機酸塩の一種又は二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
これらの中でも特に好ましくは、クエン酸ナトリウムである。
【0011】
本発明で用いられる成分(C)の配合量は、0.1〜3%であり、より好ましくは、0.5〜2%である。
成分(C)の配合量が0.1%未満であると、系のpHをコントロールすることが困難である。また、3%を超えて配合すると、ゲル化を生じ、塗り難くなる等、安定性上並びに使用性上好ましくない。
【0012】
本発明で用いられる成分(d)の水膨潤性粘土鉱物は、ケイ酸マグネシウム・アルミニウム、ケイ酸マグネシウム・ナトリウムを主成分とするものであり、一般的にはモンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト等が挙げられ、これらは天然品又は合成品のいずれであってもよい。市販品としては、クニピア、スメクトン(以上クニミネ工業社製)、ビーガム(バンダービルト社製)等が例示される。
本発明においては、目的に応じてこれらの水膨潤性粘土鉱物の一種又は二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0013】
本発明で用いられる成分(d)の配合量は、0.1〜10%であり、より好ましくは、0.2〜7%である。
成分(d)の配合量が0.1%未満であると、水溶性L−アスコルビン酸誘導体の安定性をコントロールすることができない。また、10%を超えて配合すると、粘度が高くなり使用に際し塗りにくくなって使用感が悪化するとともに、形成された被膜が弱くなってしまう。
【0014】
本発明で用いられる成分(e)の精製水の配合量は、20〜94%であり、より好ましくは、30〜80%である。
【0015】
本発明のパック化粧料においては、上記必須成分に加え、更に成分(f)として粉体を配合することにより、パック化粧料の肌への密着感を向上し、美白効果を高めることが出来、より良好なものとなる。
本発明で用いられる成分(f)の粉体としては、無機粉体、有機粉体、色素等の化粧品原料として一般に用いられるものを配合することができる。例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、カオリン、雲母、セリサイト、白雲母、合成雲母、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、シリカ、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、窒化ホウ素、酸化鉄、ナイロン、ポリエチレン末、ポリスチレン末、ポリメタクリル酸アルキル粉末、セルロース末、ウレタン末、トリメチルシルセスキオキサン粉末等が挙げられる。さらにこれらの粉体に疎水化等の表面処理をしたものも含まれる。
本発明においては、目的に応じてこれらの粉体の一種又は二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0016】
本発明で用いられる成分(f)の配合量は、0.1〜15%が好ましく、より好ましくは、0.5〜10%である。
上記範囲内で成分(f)の粉体を配合することによって、前述した肌への密着感並びに美白効果がより良好なものとなる。
【0017】
本発明品のパック化粧料は、上記必須成分の他に、化粧料に配合される成分、例えば、油剤、界面活性剤、染料、水溶性高分子、紫外線吸収剤、保湿剤、防腐剤、香料、各種薬剤等を本発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。
【0018】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。
【0019】
実施例1〜8及び比較例1〜8 パック化粧料
下記表1に示す組成のパック化粧料を製造し、保存安定性と使用感、美白効果について評価した。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
(製造方法)
A:成分1〜11を80℃に加熱混合する。
B:Aを冷却してパック化粧料を得た。
【0023】
(保存安定性)
40℃の恒温槽に1カ月間セットし、分離等の外観変化の有無を目視にて観察した。
[評価]
◎:まったく外観変化が認められない。
○:ほとんど外観変化が認められない。
△:分離等の外観変化が認められる。
×:分離等の外観変化が著しく認められる。
【0024】
(使用感)
専門評価パネル10名により、皮膚への塗布し易さ並びにのびの良さを下記基準にて5段階評価し、さらにその平均点から判定した。
[評価]
5点:非常に良好。
4点:良好。
3点:普通。
2点:不良。
1点:非常に不良。
[評価]
◎:平均点4.5点以上
○:平均点3.5点以上4.5点未満
△:平均点2.5点以上3.5点未満
×:平均点2.5点未満
【0025】
(美白効果)
専門評価パネル10名により、皮膚に1日2回1ヶ月間、塗布した後の美白効果を下記基準にて5段階評価し、さらにその平均点から判定した。
[評価]
5点:明らかに美白効果がある。
4点:やや美白効果がある。
3点:普通。
2点:ほとんど美白効果がみられない。
1点:まったく美白効果がみられない。
[評価]
◎:平均点4.5点以上
○:平均点3.5点以上4.5点未満
△:平均点2.5点以上3.5点未満
×:平均点2.5点未満
得られた結果を表1及び表2に併せて示す。
【0026】
表1及び表2の結果から明らかなように、本発明に係わる実施例1〜8のパック化粧料は、保存安定性、使用感並びに美白効果のいずれにおいても優れたものであった。それに対し、比較例においては、良好な結果が得られなかった。
【0027】
【0028】
(製造方法)
A:成分1〜9を80℃に加熱混合する。
B:Aを冷却してパック化粧料を得た。
【0029】
以上のようにして得られた実施例9は、保存安定性に優れ、美白効果並びに使用感の良好なパック化粧料であった。
【0030】
【0031】
(製造方法)
A:成分1〜14を80℃に加熱混合する。
B:Aを冷却してパック化粧料を得た。
【0032】
以上のようにして得られた実施例10は、保存安定性に優れ、美白効果並びに使用感の良好なパック化粧料(乳化タイプ)であった。
【0033】
【0034】
(製造方法)
A:成分1〜13を80℃に加熱混合する。
B:Aを冷却してパック化粧料を得た。
【0035】
以上のようにして得られた実施例11は、保存安定性に優れ、美白効果並びに使用感の良好なパック化粧料(粉体含有タイプ)であった。
【0036】
【0037】
(製造方法)
A:成分1〜12を80℃に加熱混合する。
B:Aを冷却してパック化粧料を得た。
【0038】
以上のようにして得られた実施例12は、保存安定性に優れ、美白効果並びに使用感の良好なパック化粧料(粉体含有タイプ)であった。
【0039】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のパック化粧料は、水溶性L−アスコルビン酸誘導体の美白効果を妨げることなく、保存安定性に優れ、使用感の良好なものである。
Claims (2)
- 次の成分(a)〜(e);
(a)ポリビニルアルコール 5〜20重量%
(b)水溶性L−アスコルビン酸誘導体 0.5〜5重量%
(c)有機酸塩 0.1〜3重量%
(d)水膨潤性粘土鉱物 0.1〜10重量%
(e)精製水 20〜94重量%
を含有することを特徴とするパック化粧料。 - 請求項1記載の成分に加えて、更に成分(f)として粉体を0.1〜15重量%含有することを特徴とするパック化粧料。
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