JP3623534B2 - 多層セラミックス基板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、多層セラミックス基板の製造方法に関し、詳しくはグリーンシートの層間におけるデラミネーションを防止する方法に特徴を有する多層セラミックス基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ICチップ,LSIチップ等の電子部品を搭載するための多層基板として様々なものが提案されている。特に近年においては、高集積化・高機能化した電子部品を熱破壊から保護すること等を目的として、熱伝導性のよいセラミックス材料を用いた多層セラミックス基板が注目されている。
【0003】
多層セラミックス基板は、セラミックス粉末にバインダ、焼結助剤、可塑剤等を添加・混練して得られるスラリーを出発原料として作製される。作製された原料スラリーは、ドクターブレード法などによってシート状に成形される。成形工程によって得られたグリーンシートには、スルーホール形成用孔が形成される。孔あけ工程を経たグリーンシートには、スクリーン印刷機等によって導体ペーストが印刷される。スルーホール印刷工程及びパターン印刷工程を経たグリーンシートは複数枚重ね合わされ、さらにその最外層には焼結助剤を含まないダミーのグリーンシートが配置される。この場合、グリーンシートとダミーのグリーンシートとの間には、前記導体ペーストによって炭化防止層が形成される。これらのグリーンシートは、ラミネート装置によって一体化される。ラミネート工程によって得られる積層体は、さらに脱脂、仮焼成及び本焼成の各工程を経て焼結体となる。この後、ダミーのグリーンシートであった部分を除去するための表面研削工程等が行われる。最終製品である多層セラミックス基板は、以上のようなプロセスを経て作製される。
【0004】
ラミネート工程では、重ね合わされたグリーンシート及びダミーのグリーンシートに対して所定の熱と圧力とが加えられる。この時点においてグリーンシートの内部に低沸点化合物が含まれていると、それらが熱によって揮発することにより、グリーンシート内部にガスが発生する。従来のプロセスの場合、溶剤はラミネート工程に先立つ乾燥工程においてその大部分が除去されることに対して、可塑剤はその大部分が除去されることがない。従って、ラミネート工程によって発生する揮発ガスは、主として可塑剤に由来していることになる。
【0005】
このように可塑剤が多い状態でラミネート工程を実施すると、次第に揮発ガスの分圧が高まり、特にグリーンシートの層間に揮発ガスが溜まりだす。即ち、揮発ガスがセラミックス粉末の粒界に沿って外部に抜け出ることは、極めて困難だからである。従って、グリーンシートの層間に膨れ(いわゆるデラミネーション)が起こり、寸法精度の低下、基板全体の機械的強度の低下及び不良品発生率の増加などの不具合が発生しやすくなる。
【0006】
このため、ラミネート工程前にさらに乾燥工程を設けることによって、可塑剤を充分に(少なくとも当初の配合量の2割以下に)除去しておくという対策が従来より講じられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような対策を講じた場合、以下のような不都合が生じることがあった。
【0008】
つまり、製品部分となるグリーンシート層間のデラミネーションの防止は図れても、最外層に位置するダミーのグリーンシートとそのすぐ下層に位置するグリーンシートとの間のデラミネーションを防止することは難しかった。従って、ダミーのグリーンシートとグリーンシートとの密着性が悪くなり、このことが後工程である脱脂、仮焼成及び本焼成工程に悪影響することがあった。
【0009】
また、前記乾燥工程において可塑剤を充分に除去するためには、基板の種類(シート積層数など)に応じて事前に試験を行い、好適乾燥条件を決めておく必要があった。つまり、乾燥工程に大きく依存するこの従来方法には、実施が面倒でありかつ生産効率に劣るという欠点があった。
【0010】
本発明は上記の問題点を解消するためのものであり、その第1の目的は、ダミーのグリーンシートと、そのすぐ下層に位置するグリーンシートとの間のデラミネーションの低減を、生産効率の悪化等を伴うことなく達成することができる多層セラミックス基板の製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明の第2の目的は、高コスト化、電気的特性の悪化及び寸法精度の悪化等を回避しつつデラミネーションの低減を達成することができる多層セラミックス基板の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、導体ペーストを用いたスルーホール印刷及びパターン印刷を経たグリーンシートを複数枚重ね合わせるとともに、その最外層に焼結助剤を含まないダミーのグリーンシートを炭化防止層を介して配置し、これらをラミネート工程によって一体化した後、脱脂工程、仮焼成工程、本焼成工程及び焼結体の表面研削工程を順次行う多層セラミックス基板の製造方法において、前記ラミネート工程を実施する以前に、前記ダミーのグリーンシートにガス抜き用の貫通孔を複数個形成し、該貫通孔に導体ペーストを充填しておくことを特徴とする多層セラミックス基板の製造方法をその要旨としている。
【0014】
【作用】
請求項1に記載の発明によると、ダミーのグリーンシートに形成された貫通孔を介して、揮発ガスの溜まりやすい部分(ダミーのグリーンシートとそのすぐ下層に位置するグリーンシートとの界面)と外部とが連通される。従って、外表面付近におけるガス抜け性が向上し、当該界面に揮発ガスが溜まりにくくなる。その結果、デラミネーションの原因となる揮発ガスの分圧上昇が確実に回避される。
【0015】
加えて、貫通孔内に導体ペーストが充填されているため、ラミネート工程以降の工程においてダミーのグリーンシートが変形しにくくなる。また、貫通孔内に導体ペーストが充填されているため、製品部分の導体ペーストが外部空気に直接晒されることがなく、導体ペーストに含まれる金属の炭化が防止される。
【0016】
貫通孔は、スルーホールの開口部に対応する位置に形成されてもよい。このようにすると、スルーホールを通り抜けてきた揮発ガスは、まずダミーのグリーンシートの貫通孔内に入った後、その貫通孔を通り抜けて外部に到達する。従って、揮発ガスが外部に抜け出るときの経路が極めて短くなり、ガス抜け性がいっそう向上する。
【0017】
又、貫通孔は、グリーンシートにスルーホール形成用孔を形成するときの孔あけ手段によって、スルーホール形成用孔とほぼ同一の断面形状に形成されてもよい。このようにすると、同一の孔あけ手段が使用されることから、製造時に特別に装置や工程が必要になることもない。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の多層セラミックス基板の製造方法を図面に基づき詳細に説明する。その前にまず、従来の製造方法におけるデラミネーション発生メカニズムの解析結果から本発明に到った経緯を説明する。
【0019】
多層セラミックス基板を製造する場合、一般的にグリーンシート1及びダミーのグリーンシート2の成形、ペースト印刷、ラミネート、脱脂、仮焼成、本焼成及び表面研削の諸工程が行われることは前述したとおりである。
【0020】
グリーンシート1を形成するためのセラミックス材料としては、例えば窒化アルミニウム等の微細な粉末が用いられる。セラミックス粉末には、所定量のバインダ、焼結助剤、可塑剤及び溶剤等が添加される。
【0021】
上記の物質のうち、可塑剤及び溶剤は揮発性成分であり、セラミックス粉末、焼結助剤及びバインダは固形分である。通常、揮発性成分の含有量は、固形分の約20重量%〜30重量%程度である。揮発性成分の主成分は溶剤である。可塑剤の含有量は、溶剤の含有量の数分の一から十分の一程度である。また、使用される可塑剤の沸点は、一般的に溶剤の沸点に比較して高いことが一般的である。
【0022】
前記混合物を均一に混練すると、グリーンシート1の作製用の原料スラリーを得ることができる。次いで、例えばドクターブレード法によって、前記原料スラリーからグリーンシート1が連続的に成形される。ここでは原料スラリーが流動性を失ってシート形状を保持し得る程度、即ちグリーンシート1中の易揮発性成分(主として溶剤)の約8割くらいが除去される程度の乾燥が行われる。
【0023】
以下、この段階で行われる乾燥のことを説明の便宜上「一次乾燥」と呼ぶ。このとき、一次乾燥によって溶剤が除去される反面、可塑剤はほとんど除去されることはない。従って、一次乾燥後のグリーンシート1は、いまだ可塑性を有している。ちなみに、一次乾燥はシート成形機等の乾燥炉においてなされる。
【0024】
ダミーのグリーンシート2の作製用の原料スラリーは、基本的には前記グリーンシート1の作製用の原料スラリーから焼結助剤のみを除いたものである。ダミーのグリーンシート2は、グリーンシート1と同じくシート成形と一次乾燥とを経ることによって作製される。
【0025】
一次乾燥を経た二種のグリーンシート1,2は、外形カットの後に再び乾燥される。この段階における乾燥では、溶剤は除去されるが可塑剤はほとんど除去されない。以下、この段階で行われる乾燥を説明の便宜上「二次乾燥」と呼ぶ。
【0026】
二次乾燥を経たグリーンシート1には、パンチング加工等によってスルーホール形成用孔3及び図示しない位置決め用孔が透設される。このとき位置決め用孔は、グリーンシート1の外周部に形成される。さらに、上記の孔あけ工程を経たグリーンシート1には、高融点金属を主成分として含んだ導体ペーストPが印刷される。このようなスルーホール印刷工程によってスルーホール形成用孔3内に導体ペーストPが充填され、その結果としてスルーホール内導体回路3aが形成される。導体ペーストP中の高融点金属としては、例えばタングステン等が選択される。
【0027】
その後、印刷された導体ペーストP中の溶剤を除去することを目的とした乾燥が行われる。以下、この段階で行われる乾燥を説明の便宜上「三次乾燥」と呼ぶ。ただし、グリーンシート1中の可塑剤は、三次乾燥を経てもほとんど除去されることがない。
【0028】
三次乾燥を経たグリーンシート1の表面には、上述した導体ペーストPが再び印刷される。このようなパターン印刷工程によって、グリーンシート1の表面に導体パターン3bが形成される。
【0029】
一方、二次乾燥を経たダミーのグリーンシート2についても、パンチング加工等によって図示しない位置決め用孔が透設される。上記の孔あけ工程を経たグリーンシート1の片面には、全体的に導体ペーストPがパターン印刷される。その結果、炭化防止層としての広面積の導体パターン(いわゆるベタパターン)4が形成される。なお、ダミーのグリーンシート2中には、いまだ多くの可塑剤が残っている。
【0030】
図1に示されるように、導体パターン3bが形成されたグリーンシート1は、図示しない治具上において複数枚重ね合わされる。このとき、重ね合わされたグリーンシート1の最外層には、ベタパターン4が内層側になるような状態でダミーのグリーンシート2が配置される。
【0031】
二種のグリーンシート1,2を重ね合わせる前または重ね合わせた後には、各グリーンシート1,2に対する乾燥が行われる。以下、この段階で行われる乾燥を説明の便宜上「四次乾燥」と呼ぶ。四次乾燥工程では、溶剤よりも揮発しにくい可塑剤を除去するために、三次乾燥以前の乾燥条件よりも高温かつ長時間となるように乾燥条件を設定することが必要となる。
【0032】
図2には、二次乾燥〜四次乾燥を実施するための乾燥手段として、複数枚の棚板5を備えた空気循環式の乾燥機6が例示されている。三次乾燥を経たグリーンシート1や二次乾燥を経たダミーのグリーンシート2は、棚板5の上面に載置された状態で乾燥されるようになっている。
【0033】
この乾燥機6を用いてグリーンシート1の四次乾燥を行ったときの結果を図3のグラフに示す。同グラフの横軸は乾燥時間(時間)を示し、縦軸は可塑剤除去率(%)を示している。ここで可塑剤除去率とは、四次乾燥前後におけるグリーンシート1の重量変化に基づいて計算される数値である。また、同グラフ中の上側の曲線は、大量処理した(乾燥機6にグリーンシート1を33枚装入した)ときの可塑剤除去率の経時的変化を示している。一方、下側の曲線は、少量処理した(乾燥機6にグリーンシート1を1枚だけ装入した)ときの可塑剤除去率の経時的変化を示している。なお、装入数以外のファクターについては共通になっている。
【0034】
そして、このグラフによると、グリーンシート1の処理数が違うと乾燥効率も異なり、大量処理のときほど乾燥効率が悪くなる傾向があることがわかる。
図4のグラフには、処理数以外のファクターを変更したときの結果が示されている。同グラフ中の上側の曲線は、乾燥機6にシート単体(1層のグリーンシート1)を装入したときの可塑剤除去率の経時的変化を示している。一方、下側の曲線は、乾燥機6にシート積層体(8層からなるグリーンシート1)を装入したときの可塑剤除去率の経時的変化を示している。なお、これ以外のファクターについては共通になっている。
【0035】
このグラフによると、シート層数が違うと乾燥効率も異なり、その数が増えるほど乾燥効率が悪くなる傾向があることがわかる。
グリーンシート1中に残留している可塑剤は、四次乾燥工程において当初の配合量の20重量%以下に除去されることが望ましいことは、先に述べたとおりである。しかし、処理数やシート層数が異なる場合、同一の乾燥条件設定では一定の可塑剤除去率を達成することは困難である。よって、事前に試験を行い、温度・時間・空気循環量等といった諸条件を個別に決めておく必要性があることになる。
【0036】
以上のことは、シートを全体としてみたときの乾燥効率を示したものである。次に、乾燥効率の悪かった8層からなるシート積層体(第1,8層めがダミーのグリーンシート2、第2〜7層めがグリーンシート1)における各層ごとの可塑剤除去率(%)を図5に示す。なお、ここでは上層側から順に第1層め、第2層め…第8層めと呼ぶことにする。
【0037】
図5中のグラフによると、シート積層体における位置が違うと可塑剤除去率が異なり、上層側に位置しているものほど可塑剤除去率が高くなる傾向があることがわかる。ただし、ここで注目すべき点は、第1層めに位置するダミーのグリーンシート2のほうが、第2層めに位置するグリーンシート1よりも可塑剤除去率が低いことである。
【0038】
製品部分となる2層め〜7層めのグリーンシート1において、揮発ガスは主としてスルーホールT内を抜けて積層方向(特には上層方向)へ移動し、シート積層体の上面から外部に抜け出ようとする。しかし、2層めと1層めとの界面にはベタパターン4が存在していることに加え、ダミーのグリーンシート2には揮発ガスの抜け道となる部分がない。ゆえに、揮発ガスは第1層めのダミーのグリーンシート2を通過することができずに、界面部分に閉じ込められてしまう。このように最表層におけるガス抜け性が悪いと、界面部分の揮発ガスの分圧が高まり、最終的にはデラミネーションにつながってしまう。また、デラミネーションは、シート積層体の外周部よりも中央部において多くみられ、特にはスルーホール群が形成された領域においてより多くみられるという傾向がある。
【0039】
そこで、本願発明者は、最表層におけるガス抜け性を改善させる対策を講じれば上記の不都合が解消されうるものと考え、本発明を完成するに到ったのである。即ち、図6,図7に示されるように、ラミネート工程を実施する前に、あらかじめダミーのグリーンシート2にガス抜き用の貫通孔7を複数個形成しておくという対策を案出するに到ったのである。
【0040】
次に、実施例の多層セラミックス基板(多層窒化アルミニウム基板)の製造方法を図6〜図9に基づき具体的に説明する。
ここでは平均粒径が1.7μmのAlN粉末100gに、アクリル系バインダを11g、焼結助剤としてのYを4.0g、溶剤としてのブタノール及びエタノールを合計30g、並びに可塑剤としてのDOA〔ヂオクチルアジペート,沸点=215℃(5mmHg) 〕を4.2g添加したものをグリーンシート1の作製用の原料スラリーとした。また、前記原料スラリーからYのみを抜いたものをダミーのグリーンシート2の作製用の原料スラリーとした。
【0041】
上記の二種の原料スラリーを用いて、0.3mm厚のグリーンシート1及びダミーのグリーンシート2をシート成形した後、一次乾燥を行った。この後、グリーンシート1,2を240mm角に外形カットした後、乾燥機6による80℃,5時間の二次乾燥を行った。
【0042】
孔あけ工程では、グリーンシート1上の所定の座標をパンチング加工機で打ち抜いた。その結果、グリーンシート1における外周部以外の複数(ここでは64)の領域に、断面略円形状のスルーホール形成用孔3を形成した。スルーホール形成用孔3の内径は0.2mmとし、ピッチは1mmとした。また、グリーンシート1の外周部には、図示しない位置決め孔を形成した。
【0043】
孔あけ工程では、ダミーのグリーンシート2についても同じくパンチング加工機で打ち抜き加工を施した。
その結果、ダミーのグリーンシート2においてスルーホール群が形成された領域R1 に対応する領域内、かつスルーホールTの開口部に対応する位置に、断面略円形状の貫通孔7を形成した。貫通孔7の内径及びピッチは、スルーホール形成用孔3と同一にした。また、ダミーのグリーンシート2の外周部には、図示しない位置決め孔を形成した。
【0044】
貫通孔7の開口部が占める総面積は、ダミーのグリーンシート2の投影面積の1%〜30%の範囲内であることがよく、さらには2%〜20%の範囲内であることがよく、特には3%〜10%の範囲内であることがよい。開口部の総面積の比率が小さすぎると、揮発ガスの通り道が少なくなり、充分なガス抜け性が確保されなくなるおそれがある。一方、開口部の総面積の比率が大きすぎると、ダミーのグリーンシート2におけるセラミックス部分の割合が小さくなり、ガラス相のトラップ能やハンドリング性等が損なわれるおそれがある。そこで、この実施例では開口部が占める総面積を3%,5%,10%の3段階に設定し、順にサンプル▲1▼,▲2▼,▲3▼とした。
【0045】
次に、孔あけ工程を経たグリーンシート1をスクリーン印刷機にセットして、導体ペーストPを印刷した。このようなスルーホール印刷工程によって、スルーホール形成用孔3の内部にスルーホール内導体回路3aを形成した。なお、ここでは平均粒径が3.4μmのW粉末2000gに、アクリル系バインダを1.9重量%、溶剤としてのα−テルピネオールを2.7重量%及び分散剤を0.1重量%配合し、均一に混合したものを、導体ペーストPとして用いた。
【0046】
この後、乾燥機6による70℃,20時間の三次乾燥を行い、主として導体ペーストP中の溶剤を除去した。次に、三次乾燥を経たグリーンシート1を再びスクリーン印刷機にセットし、前述した導体ペーストPを印刷した。このようなパターン印刷工程によって、グリーンシート1の表面に導体パターン3bを形成した。
【0047】
また、ダミーのグリーンシート2へのスクリーン印刷によって、貫通孔7の内部に前述の導体ペーストPを充填し、かつシート片面全体にベタパターン4を形成した。
【0048】
次に、治具の上面においてグリーンシート1及びダミーのグリーンシート2を重ね合わせた状態で、乾燥機6による四次乾燥(33枚装入し、常圧下かつ100℃,10時間での乾燥)を行った。この後、所定の条件でラミネート工程を行うことによって、グリーンシート1及びダミーのグリーンシート2を一体化させ、図8に示されるような積層体8を得た。さらに、この積層体8を所定の条件下で脱脂、仮焼成及び本焼成した。
【0049】
次に、図9に示されるように、得られた焼結体9を表面研削することによって、ダミーのグリーンシート2であった部分及びベタパターン4を除去した。この後、図9の破線で示す部分で焼結体9を分割し、最終製品である多層セラミックス基板10を64個得た。
【0050】
さて、ラミネート工程直後における可塑剤除去率(%)を調査した結果を、表1に各サンプルごとに示す。なお、開口部の占める総面積を0%とした(即ち貫通孔7を全く形成しないこととした)サンプル▲4▼は、サンプル▲1▼〜▲3▼に対する比較例にあたる。ここでは、第1層であるダミーのグリーンシート2のみの可塑剤除去率、全体の可塑剤除去率の両方について調査を行った。
【0051】
その結果、全体の可塑剤除去率に大きな差はなかった。しかしながら、第1層に着目したところ、表1に示されるように開口部の総面積が大きいほど可塑剤除去率も高くなる傾向がみられた。従って、実施例によれば最表面におけるガス抜け性が確実に向上されることがわかった。
【0052】
また、第1層−第2層の界面におけるデラミネーションの発生率(%)を触覚と視覚とによって調査した。その結果、表1に示されるように、サンプル▲1▼〜▲3▼ではデラミネーションが皆無であったのに対し、サンプル▲4▼ではその発生率が90%と極めて高かった。
【0053】
【表1】
Figure 0003623534
【0054】
以上の結果を総合すると、次のように結論付けることができる。
実施例であるサンプル▲1▼〜▲3▼によると、ダミーのグリーンシート2に形成された貫通孔7を介して、揮発ガスの溜まりやすい第1層−第2層の界面と外部とが連通される。従って、最表層におけるガス抜け性が向上し、当該界面に揮発ガスが溜まりにくくなる。その結果、揮発ガスの分圧上昇が確実に回避され、デラミネーションの防止が達成される。特にこの実施例の場合、スルーホールTを通り抜けてきた揮発ガスは、まずダミーのグリーンシート2の貫通孔7内に入った後、その貫通孔7を通り抜けて外部に到達する。つまり、揮発ガスが抜け出すときの経路が直線的かつ極めて短いものになり、揮発ガスの抜け出しがスムーズになる。
【0055】
また、実施例のように最表層におけるガス抜け性の向上が図られると、全体としての可塑剤除去率が小さくても、デラミネーションの防止を達成できるというメリットが得られる。よって、従来のときとは異なり、デラミネーションの発生防止に関して四次乾燥の与える影響が相対的に小さくなる。それゆえ、可塑剤除去率を80%以上に、即ち可塑剤を当初の含有量の20%以下にする乾燥を必ずしも行う必要がなくなる。その結果、好適乾燥条件を決定するための事前の試験に伴う生産効率の悪化という問題が解消される。
【0056】
また、この実施例では貫通孔7内に導体ペーストPを充填しているため、ラミネート工程以降の工程においてダミーのグリーンシート2に変形が生じにくい。従って、寸法精度の悪化につながることもない。しかも、後に製品となる部分の導体ペーストPが外部空気に直接晒されないことから、導体ペーストPに含まれるW粉末の炭化防止を図ることができる。よって、高抵抗化等といった電気的特性の悪化につながることもない。勿論、本実施例によればガラス相のトラップ能やハンドリング性等を損なうこともない。
【0057】
さらに、この実施例では孔あけ手段として同一のパンチング加工機を使用していることから、製造時に特別に装置や工程が必要になることもなく、高コスト化が避けられる。
【0058】
なお、本発明は上記実施例のみに限定されることはなく、例えば次のように変更することが可能である。
(1) グリーンシート1,2の作製用のセラミックス粉末として、窒化アルミニウムの代わりに、例えば窒化ほう素、アルミナ、ムライト等を使用してもよい。また、導体ペーストP用の金属として、タングステンの代わりに、例えばタンタル、ニオブ、チタン等を使用してもよい。
【0059】
(2) 図10(a),図10(b)に示される別例1のようにしてもよい。即ち、各スルーホールTに対応する位置に貫通孔7を設けるばかりでなく、スルーホール群が形成された領域R1 内において各スルーホールTに対応していない位置にも貫通孔11を設けてもよい。このようにすると、ガス抜け性をより向上させることができる。
【0060】
(3) 貫通孔7,11は、必ずしもスルーホール形成用孔3と同一断面形状かつ同一内径でなくてもよい。例えば、図11(a),図11(b)に示される別例2のように、スルーホール形成用孔3よりも大径の貫通孔12を設けることとしてもよい。勿論、貫通孔7,11,12は、スルーホール形成用孔3より小径であっても構わない。貫通孔7の数も、必ずしもスルーホール形成用孔3の数に一致させなくてもよい。
【0062】
(5) 孔あけ手段としてのパンチング加工機の代わりに、ドリルやレーザー式の加工機を使用しても勿論よい。
ここで、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施例及び別例によって把握される技術的思想をその効果とともに以下に列挙する。
【0063】
(1)請求項1において、グリーンシートに形成されたスルーホール群において特にスルーホールが密集している部分ほど多くの貫通孔を形成すること。この方法であると、確実にデラミネーションを防止できる。
【0064】
(2) 最外層に配置された焼結助剤を含まないダミーのグリーンシートにガス抜け用の貫通孔が形成されている、積層体、脱脂体、仮焼体及び焼結体といった多層セラミックス基板を製造するときの中間体。これらの中間体であると、寸法精度や機械的強度等に優れた多層セラミックス基板を得ることができる。
【0065】
(3) 技術的思想(2)において、前記貫通孔には導電ペーストが充填されていること。この構成であると、多層セラミックス基板の低抵抗化を達成できる。
【0066】
なお、本明細書中において使用した技術用語を次のように定義する。
「ダミーのグリーンシート: ガラス相のトラップ等の機能を担うグリーンシートであって、本焼成後になされる表面研削加工等によって製品部分から除去されるグリーンシートをいう。」
【0067】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、外表面付近におけるガス抜け性が向上されるため、ダミーのグリーンシートとそのすぐ下層に位置するグリーンシートとの間のデラミネーションの低減を、生産効率の悪化等を伴うことなく達成することができる。
【0068】
また、最終製品である多層セラミックス基板の寸法精度の悪化や電気的特性の悪化を回避しつつデラミネーションの低減を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】重ね合わされたグリーンシートとダミーのグリーンシートとを示す部分概略断面図である(従来例)。
【図2】二次〜四次乾燥に使用される乾燥機を示す概略斜視図である。
【図3】シート処理量と乾燥効率との関係を示すグラフである。
【図4】シート層数と乾燥効率との関係を示すグラフである。
【図5】シート積層体を示す概略断面図(各層における可塑剤除去率を示す表を含む)である。
【図6】実施例において、重ね合わされたグリーンシートとダミーのグリーンシートとを示す部分概略断面図である。
【図7】図6のグリーンシート及びダミーのグリーンシートの一部破断平面図である。
【図8】ラミネート工程によって得られる積層体を示す部分概略断面図である。
【図9】表面研削工程を経た焼結体を示す部分概略断面図である。
【図10】(a)は別例1において重ね合わされたグリーンシートとダミーのグリーンシートとを示す部分概略断面図であり、(b)はその一部破断平面図である。
【図11】(a)は別例2において重ね合わされたグリーンシートとダミーのグリーンシートとを示す部分概略断面図であり、(b)はその一部破断平面図である。
【符号の説明】
1…グリーンシート、2…(ダミーの)グリーンシート、3…スルーホール形成用孔、4…炭化防止層としてのベタパターン、7,11,12…(ガス抜き用の)貫通孔、10…多層セラミックス基板、P…導体ペースト、R1 …(スルーホール群が形成された)領域、T…スルーホール。

Claims (1)

  1. 導体ペーストを用いたスルーホール印刷及びパターン印刷を経たグリーンシートを複数枚重ね合わせるとともに、その最外層に焼結助剤を含まないダミーのグリーンシートを炭化防止層を介して配置し、これらをラミネート工程によって一体化した後、脱脂工程、仮焼成工程、本焼成工程及び焼結体の表面研削工程を順次行う多層セラミックス基板の製造方法において、
    前記ラミネート工程を実施する以前に、前記ダミーのグリーンシートにガス抜き用の貫通孔を複数個形成し、該貫通孔に導体ペーストを充填しておくことを特徴とする多層セラミックス基板の製造方法
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