JP3623528B2 - ディスク装置のヘッドを減速させるための方法及び装置 - Google Patents
ディスク装置のヘッドを減速させるための方法及び装置 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ディスク装置のヘッドを新しいトラックまで移動させるときにディスク装置の中で行なわれるシーク減速オペレーションに関し、より詳細には、ヘッドがトラック上を通過する際にトラック内に組み込まれたサーボデータを読み取ることによってヘッドの位置が間隔を置いてサンプリングされるようなオペレーションに関する。
【0002】
【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】
標準的なディスク装置には、例えば磁気又は光学記憶技術を用いてデータが記憶されているディスク又はプラター(platter)が含まれている。ディスク上の記憶場所のデータを読み取り、かつ、それにデータを書き込むこともできるディスクヘッドが、永久磁石により生成される磁界の中に配置されたコイルを有する「ボイスコイル」ダイナミックモーター(ボイスコイルモータは、通常、VCMと略記される)といったようなアクチュエータ・モーターによって駆動される。ディスクを横切ってのヘッドの最大の加速度及び速度は、ボイスコイル・アセンブリの中で使用される磁石の磁界強度、コイルの巻線数、及び、コイル内を流れる電流の量によって変化する。
【0003】
ディスクの1つのトラックからもう1つのトラックへとヘッドを移動させるための理想的に最も速い方法は、できる限り長くかつできる限り速くアクチュエータを加速し、その後、切換え点で、ヘッドが望ましいトラック上で正確に停止するようできる限り沢山減速させることである。これは「2−バング(two−bang)」加速曲線と呼ばれ、第1の「バング」は最大加速段階、第2の「バング」は最大減速段階である。
【0004】
ディスクを横切ってのヘッドの動きの描写は、位置又は時間に対してディスクヘッドの加速、速度又は位置をプロットする曲線の一群として表現できる1つのプロフィールとして考えることができる。上述の2−バング加速曲線は、加速度対時間のプロフィールである。この場合、加速度に関係する電流が、基準値のプロフィールに基づいて制御装置によりVCMに供給される。
【0005】
実際には、さまざまな理由から、理想的に最も急速なヘッド動作、すなわち、「シーク」を結果としてもたらすようなプロフィールは使用できない。シークオペレーションに影響を及ぼす予想困難な要因の例としては、ディスク装置の個々の機械的特性や、ディスク装置の機械的特性を変化させる経時的摩耗や、モーターが利用できる供給電圧の変化及びモーターをとり囲む温度の変化といったような変化する環境的因子が含まれる。この結果、理想的に最も急速なプロフィールに従った後のヘッドの実際の位置は、望ましい位置を行き過ぎるか又はこの望ましい位置に届かないおそれが生ずる。
【0006】
上記の行き過ぎを避けるために、ディスク減速オペレーションにおいて、望ましいトラックに達する前に1つの位置でヘッドを停止させようとする試みをなすことができる。ディスクヘッドの動作方向の逆転は、それをその現在の方向にさらに数トラック移動させるよりもはるかに多くの時間を費すことから、実際の望ましい停止トラックのわずか前方にあるものとして目標停止トラックを規定することが望ましい。
【0007】
シークオペレーションの間にかかる時間を最小限に抑えるために、すなわち、ヘッドを目標トラックまで移動させる上で理想的に最も急速な時間を達成しようとするために、もう1つの技術が提案されてきた。シークオペレーションを改善する1つの方法は、減速部分のための基準速度を決定する上での一つの要因としてシークの加速部分中に達成される速度を使用する。しかしながら、この方法は、シークオペレーション上の問題全体に対処するものではない。
【0008】
シークオペレーションを改善するもう1つの方法は、トランスジューサ、又は、それが利用不可能な場合には速度推定器(velocity estimator)からVCM制御装置へフィードバックされたヘッド速度を表わす信号に基づいて、ボイスコイルモーター(VCM)に供給される電流量を決定する。この方法は、数多くの位置サンプルが利用可能であり、かつ、ディスク装置が充分な処理能力を有する場合に最も有効である。例えば、比較的高価なディスク装置の中に見られるデジタル信号プロセッサは、1秒あたりおよそ数万乃至数十万のサンプルといったような位置及び速度のサンプリング率を支持することができ、また一方で、さほど高価でないディスク装置内で用いられるマイクロプロセッサは、わずかに1秒あたり数千サンプルというサンプリング率しか支持することができない。したがって、比較的安価なディスク装置は、検知によるフィードバック技術のみを用いて満足のいく制御を達成することができない。
【0009】
VCMに供給される電流量を制御するためのさらにもう1つの技術は、各位置サンプルに応答して実行される手の込んだ計算に基づいている。しかしながら、比較的安価なディスク装置は、サンプル間の間隔において、このような手の込んだ計算を実行するための処理能力に欠けている。
減速全体にわたってより優れた制御を保持するためには、「傾斜部(ramps)」を含む加速度プロフィールを用いることが知られている。すなわち、ヘッドは、その最高速度まで漸進的に加速された後に最高速度にとどまり、次に漸進的に減速される。しかしながら、上述のような実際上の理由から、作動中のディスク装置のアクチュエータは、このような「傾斜バング」プロフィールの使用にもかかわらず制御が困難である。
【0010】
もう1つの複雑さは、このようなプロフィールが、目標トラックからのヘッドの距離によって表わされる値の表として標準的に記憶されることから発生する。さらに詳しくいえば、この問題により、1つの値がそれについて記憶される距離に相応するヘッドの実際の位置サンプルを作成しようとすること、すなわち、実際のサンプルを、基準値を記憶したサンプルと同期化しようとすることが望ましくなる。しかしながら、より細かい位置解像度に相応する整数的及び分数的トラック位置の両方といったような比較的多くの値を記憶するには、より多くのメモリーが必要であり、このために、より高価でより大型のディスク装置が要求されるという結果がもたらされる。
【0011】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、先行技術がもつ前述の欠点を回避するようなシークオペレーション中のディスク装置のヘッドを減速させる技術を提供することを第1の目的とするものである。
さらに、本発明は、比較的安価なディスク装置、及び、小さい形状係数を示すディスク装置について使用できるようなディスク装置用アクチュエータを減速する技術を提供することを第2の目的とするものである。
【0012】
さらに、本発明は、いくつかの単純な計算を用いてディスク装置のヘッドを減速させるための技術を提供することを第3の目的とするものである。
さらに、本発明は、基準減速プロフィールと、ヘッドの実際の減速とを自動的に同期化するようなディスク装置のヘッドを減速させる技術を提供することを第4の目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段、及び作用】
本発明の1つの態様に従うと、モーターによって動かされているディスク装置のヘッドは、一つの位置サンプルを提供するため予め定められたサンプリング間隔でヘッドが通過しているディスク上のトラックからサーボデータを読み取り、位置サンプル及び前記サンプリング間隔の半分だけ時間的に進んでいる減速プロフィールの基準値の一関数として、モーターに対する電流レベルを決定し、この電流レベルに従ってモーターを制御することにより、減速させられる。
【0014】
本発明の前述の目的及びその他の目的、特徴及び利点は、対応する部品が同じ参照番号で表わされている添付の図面と結びつけて本発明の好ましい実施態様に関する以下の詳細な説明を読むことにより、明らかになることだろう。
【0015】
【実施例】
本発明は、組み込み型サーボデータ、すなわち、セクターのヘッダー位置においてといったようにディスク表面上の各トラック内の離散的場所に予め記録されたサーボ情報をもつディスクと共に用いられた場合に最も有用である。このようなサーボ情報は、トラック・フォローイングにとって有用な標準的なサーボバーストデータならびに位置情報を含むことが可能である。このような環境の下では、シークオペレーション中にヘッドがディスク表面を横切って走査される際に、ヘッドの位置のサンプルは、このヘッドがトラックを横断するにつれてこのトラック内に組み込まれたサーボデータを読み取ることによって得られる。各サンプリング間隔は、一般に、ディスクが1つのセクタから次のセクタ(又は1つのサーボパターンから次のパターン)まで回転する時間に等しく、この時間中ヘッドは数トラック分を横断することができる。
【0016】
以下で詳述するように、高速シークオペレーションは、一般に、望ましい又は目標トラックと現在のトラックとの間の距離が、予め定められたトラック数を上回る場合にのみ実行される。一回のシークオペレーションには、ヘッドが増大する速度で移動する加速段階、及び、ヘッドが減少する速度で移動する減速段階が含まれる。シークオペレーションは、以下に論述する惰走段階と予想段階も含んでいる可能性がある。
【0017】
減速段階中、ヘッドは、理想的には、望ましい減速プロフィールに従って減速させられる。実際には、制御機構を単純化するため、離散的間隔でヘッドの減速を変えることが好ましい。これらの離散的減速変更間隔を位置サンプリング間隔に一致させ、かくして新しい減速指令が各々の新しい位置サンプルについて生成されるようにすることが望ましい。
【0018】
本発明の好ましい実施態様においては、減速プロフィールは、図1に実線Cで示されているような勾配の線形カーブとなるように選定される。時間の関数としての速度についての相応する曲線、及び、時間の関数としての目標トラックからの距離についての相応する曲線は、図1において破線D及び点線Eによりそれぞれ示されている。正方向送り指令プロフィールは、図2に破線Aで示されているように、サンプリング周期の半分だけ時間的に進んでいる線形速度プロフィールとして規定される。
【0019】
減速中、各々のサンプリング間隔で、新しい減速指令Bが、望ましい値よりもむしろ正方向送り指令値に基づいて計算される。図2には、サンプル時間t1 ,t2 ,…t9 における計算上の指令の値が、これらのサンプル時間における正方向送り値に等しいものとして示されているが、以下に説明するように、実際には、新しい指令値を決定するのに必要とされる処理時間の存在により、位置サンプルの獲得と指令値の調整との間には遅延が存在し、さらに、計算された指令値は必ずしも正方向送り指令値に等しくない。実際の減速指令Bは、望ましい減速プロフィールCにセンタリングされた階段状曲線を形成する。さらに詳しくいえば、時間t1 において、正方向送り指令の値は或るアクチュエータ電流指令値に設定され、この設定された値は時間t2 まで続行し、この時点で、現在のアクチュエータ電流指令値として正方向送り指令のもう1つの値が設定される。これと同じオペレーションは時間t9 まで反復され、この時点でヘッドはいかなる加速も減速も受けない。
【0020】
階段状の曲線Bの下の面積は、望ましい減速曲線Cの下の面積に等しく、かくして、この要領で制御されたシーク減速オペレーションは自己同期性をもつ。
この自己同期特性は、曲線A,B及びCの幾何形状を考慮することによって、より良く理解することができる。図3は、望ましい減速プロフィールCの一部分、相応する正方向送りプロフィールA、及び、結果として得られる階段状曲線Bを示している。セグメントa,b及びc(図3中に太い実線で示す)は、アクチュエータ電流指令に対応する階段状曲線Bの値が、望ましい減速プロフィールCの値より下であるときに相応する三角形を形成し、また一方で、セグメントd,e及びf(図3中に太い実線で示す)は、アクチュエータ電流指令に対応する階段状曲線Bの値が、望ましい減速プロフィールCの値より上であるときに相応する別の三角形を形成する。セグメントa及びeは、セグメントb及びdに相応するサンプル間隔の期間は減速指令(に対応する階段状曲線)Bが一定の値にとどまることから、セグメントb及びdに対し垂直であり、かつ、それぞれの直角を成している。セグメントb及びdは互いに平行であることから、セグメントa及びeは互いに平行である。この結果、セグメントcとbの交叉点により形成される角度は、セグメントdとfの交叉点により形成される角度と同じである。
【0021】
当然のことながら、セグメントa,c及びe,fにより形成される三角形の各々における残りの角度も同様に等しい。したがって、アクチュエータ電流指令に対応する階段状曲線Bとの交叉点により形成される望ましい減速プロフィールCの上下の三角形は、同じ角度を有する。
正方向送りプロフィールAは、望ましいプロフィールCとの関係において、サンプリング間隔の1/2だけ時間的に進んでいることから、サンプリング間隔の半分に相応するセグメントbは、サンプリング間隔の残りの半分に相応するセグメントdと長さが等しい。したがって、セグメントa及びeならびにセグメントc及びfの長さも同様に互いに等しい。すなわち、上下の三角形は等しい面積を有する。
【0022】
さらに、本発明は、自己同期性のものとなるために、サンプリング間隔が望ましいプロフィールC上の任意の特定の点と同期化された関係をもつことを必要とするものではない、ということが直ちにわかるだうろ。換言すると、シークオペレーション中に用いられるサンプリング間隔は、その持続時間が等しいものである限りにおいて、望ましいプロフィールCと正方向送りプロフィールAを作成するのに使用されたサンプリング間隔からオフセットが付与され、こうしてセグメントbとセグメントdの長さは同じになる。したがって、本発明に従ったディスク装置は、プロフィールと実際のサンプリング間隔との間の同期化の欠如を調整計算により補償する必要がないため、比較的単純な調整計算を利用することができる。
【0023】
同様に、望ましいプロフィールの勾配を制限する必要は無く、前述の幾何形状を考慮して自由に選択することができる。
本発明の利点としては、さらに、従来のシーク方法との関係においてより精確な速度制御及びより速いトラック・シークが挙げられる。
さらに、本発明に従った減速の計算上の負担はかなり軽いものであることから、ディスク装置用VCMのために制御装置(マイクロプロセッサ又はデジタル信号プロセッサ)において必要とされる精巧さは緩和される。
【0024】
本発明に従った減速のさらにもう1つの利点は、ディスク装置に対する吸収運動エネルギーによる応力の大きさが小さくなることから、ディスク装置に対する機械的摩耗が減少し、動作(オペレーション)はより静寂なものとなるという点にある。すなわち、本発明の自己同期特性は、経時的に均等に運動エネルギーを与え、この結果、ディスク装置が受けるピークの電気機械的刺激は比較的小さいものとなる。このような結果は、より静寂なオペレーション及び機械的共振の励振の減少に相当する。このことは、実際の電流指令及び望ましい電流指令により形成される三角形が、可変的面積をもつのではなくほぼ等しい面積をもつということでわかる。
【0025】
本発明を用いたディスク装置についてここで記述する。
シークオペレーションに最も適切なディスク装置の部分は、図4のブロック図の中に示されている。ディスク装置における「外部」のマイクロプロセッサ又はデジタル信号プロセッサーも同様に、シークオペレーションを実行するために使用されるが、図を単純化するため図示されていない。図4で示されている装置には、入力端末400及び460、減算器410、シークプロフィール指令生成装置420、シーク制御装置430、ボイスコイルモーター(VCM)駆動装置440、VCMプラント(通常、VCMと略記する)450及び速度推定器470が含まれている。
【0026】
目標トラック、すなわち、データが書き込まれるか又はデータが読み取られるトラックは、入力端末400を介して減算器410に対して目標トラック信号405として供給される。同様に、予め組み込まれ、かつ、一番最後にディスクから読み取られたサーボデータに基づく現在の位置信号455も減算器410に供給される。現在位置信号455は、減算器410により目標トラック信号405から減算され、「進むべき距離」信号415として減算器410から出力される。この信号415は、シークプロフィール指令生成装置420に供給される。
【0027】
シークプロフィール指令生成装置420は、中に収納されている2つのテーブルの各々についての参照用指標として、「進むべき距離」信号415を用いる。図5に概略的に示されている第1のテーブルは、目標トラックからのさまざまな距離について図1に示されているプロフィールをもとに、望ましい速度指令値を提供する。図6に概略的に示されている第2のテーブルは、目標トラックからのさまざまな距離について図2に示されている正方向送りプロフィールAをもとに、正方向送り指令値を提供する。
【0028】
さらに詳しく説明すると、望ましい速度指令は、目標トラックから短い距離についてトラック位置の細かい解像度でもって記憶され、また一方で、目標トラックからより長い距離については、トラック位置のさらに粗い解像度でもって記憶される。例えば、図5に示されているように、ヘッドが目標トラックから20トラック以内にある場合、トラック数/サンプル(ここで、サンプルとは、実際のサンプリング間隔を表わす)の単位で表わされた望ましい速度指令は、最も細かい解像度として、1/16トラックの解像度でもって記憶され得る。
【0029】
これに対し、ヘッドが目標トラックから20トラック目と切換え点(これは、例えば目標トラックから113トラック目である可能性がある)との間にある場合、望ましい速度指令は、最も細かい解像度として、1/2トラックの解像度でもって記憶され得る。
同様にして、正方向送り指令データは、目標トラックから20トラック未満といったように、目標トラックから短い距離についてトラック位置の細かい解像度でもって記憶される。切換え点と目標トラックから20トラック目との間の長さといったようなさらに長い距離については、予め定められた一定の減速を表わす一定減速電流指令値を、正方向送り電流指令として用いることができる。正方向送り指令として記憶されている数は、256このレベルといったような一範囲のレベルのうちの1つを表わし、これらのレベルは次に以下で記述する通りに電流信号に変換される。
【0030】
例えば、正の電流値を表わすのに128このレベルを用い、負の電流値を表わすのに128このレベルを用いることができる。図6に示されているように、目標トラックからの距離が0.03トラックである場合、正方向送り指令は「6」であり得、これは正の方向へのアクチュエータ電流絶対値の6/128を表わす。また一方で、ヘッドが目標トラックから遠くにある場合、正方向送り電流指令は、一定減速電流指令、すなわち「88」という値であり得る。この「88」という値は、アクチュエータ電流絶対値の88/128を表わす。
【0031】
ディスク装置の電気機械特性は、公称の一定減速指令値を決定する。この決定された値は、次に安全定格ディレーティング率(safety derating factor)により低めに設定され、実際上の最大一定減速値を生み出す。例えば、公称の一定減速指令値は、アクチュエータモーターに供給され得る電流絶対値の104/128であってよい。この場合、選択されたディレーティング率は85%であり、(0.85)・(104)=88の一定減速電流指令値を生み出すことができる。
【0032】
サンプル時間の発生時点、すなわち、組み込み型サーボデータをヘッドが読み取れる状態にするべくディスクが回転した時点において、実際の(すなわち、計算された又は見積られた)進むべき距離が、正方向送り指令値をアクセスするために用いられる。さらに、この正方向送り指令値は、以下で規定する速度誤差値と組み合わせて次のサンプル時間までアクチュエータ電流を駆動するのに用いられる。
【0033】
図4における生成装置420は、適切な望ましい速度指令及び正方向指令を、シーク制御装置430に供給されるパラメータ信号425として提供する。
さらに、図4のシーク制御装置430は、パラメータ信号425及び速度推定器470からの速度信号475を受理し、そこからVCM駆動装置440に供給されるVCM指令信号435を生成する。シーク制御装置430の動作については以下でさらに詳しく説明する。
【0034】
さらに、VCM駆動装置440は、直列に接続された形で、8ビットラッチ回路、デジタル/アナログ(D/A)変換器、及び相互コンダクタンス増幅器を備えている。8ビットを表わすTTLレベルのデジタル信号であり得るVCM指令信号435は、受理したデータを保持するためのラッチ回路に供給される。外部のマイクロプロセッサ又はデジタル信号プロセッサからの固定遅延トリガーパルスを受理した時点で、ラッチ回路は、中に保持されたデータをデジタル/アナログ(D/A)変換器に供給する。
1つの実施態様においては、各々の8ビット指令信号が+1.34V(ボルト)から−1.34Vの範囲に相応するような256レベルの1つを識別し、かくして、上記のD/A変換器は、(2)(1.34V)/256=10.4mV(ミリボルト)/ビットの利得をもつものとして特徴づけされ得るようになっている。D/A変換器は、0.167A/V(アンペア/ボルト)といった利得を用いて自らに提示された信号を増幅するような相互コンダクタンス増幅器に供給される出力電圧を生成する。さらに、上記のD/A変換器は、VCM450を駆動するべく駆動用信号445として+223mA(ミリアンペア)から−223mAの範囲をもつ出力電流を提供する。VCM駆動装置440は、SGS−Thomsonの「5ボルトハードディスク駆動装置パワーコンボ(5volt Hard Disk Drive Power Combo)」回路L6245型を備えている。
【0035】
VCM450が移動した結果、ヘッドはディスク上のトラックを横断し、減算器410及び速度推定器470に現在位置信号455として供給された組み込み型サーボデータを読み取ることになる。
現在のディスク装置には速度測定デバイスが設けられていないことから、実際の速度サンプルではなく現在位置信号455を介して実際の位置サンプルのみが表示される。しかしながら、この場合、ヘッドの速度は、速度推定器470により、位置サンプルと、時として本明細書中「実際の速度」と呼ばれているような推定による見積り速度を生成するための位置サンプル間の時間的長さの一関数として見積られる。速度推定器470は同様に、なかでも、スピニング・ディスク(spinning disk)(「ウィンディジ(windage)」)からの圧力や、アクチュエータが動いている間アクチュエータとの電気的接触を維持する可撓性回路(flexible circuit)からの圧力といった要因のため、VCMにより克服されなくてはならないような外部から誘導されるトルクの効果をも含み入れる。外部から誘導されるトルクを表わすバイアス値が、別の入力端末460を通して適切な供給源(図示せず)からバイアス信号465として供給される。推定による見積り速度は、シーク制御装置430に対する速度信号475として供給される。
【0036】
さらに、本発明を用いたディスク装置によって実行されるシークオペレーションについて、図7〜図9を参照しながら、以下に記述する。
シークオペレーションに先立って、ディスク装置は、トラック・フォローイングモードにあると仮定される。さらに、このモードでディスクヘッドは、例えば346.37μsec 、すなわち、1秒あたり約3000回であり得る全てのサンプル間隔でシーク制御装置430(又はトラック・フォローイングオペレーションを実施するために具備されるその他の回路)内で実行される制御オペレーションによって特定のトラック上に来るように制御される。
【0037】
いくつかの時点で、本発明を使用するディスク装置が結合されているデータ処理装置がシーク指令を出す。図7のフローチャートに示されている前処理がここで起こる。
ステップ610で、制御装置は、目標トラックが現在のトラックに等しいか否か、すなわち、ヘッドが現在位置づけされているトラックに等しいか否かを決定する。もしも等しいならば、シークオペレーションの必要性は全く無く、制御ルーチンはステップ620として示されているトラック・フォローイングモードに分岐して戻る。
【0038】
しかしながら、ステップ630に示されているように、目標トラックが現在トラックと異なる場合、目標トラックに向かってのヘッドの動きの方向が決定され、それに従って値が調整される。例えば、正の値はディスクの内径に向かっての動きを表わすことができ、また一方で、負の値はディスクの外径に向かっての動きを表わすことができる。より特定的には、速度及びVCM指令は、望ましい方向を反映するべく調整された値の中にある。
【0039】
ステップ640では、シーク長さ、すなわち、目標トラックに対する「進むべき距離」は、例えば図7において5トラックとして示されているような予め定められた閾値と比較して長いか否かが決定される。
シーク長さが長い場合、ステップ650で、現在のシーク段階は、「加速」に設定され、また一方で、シーク長さが短い場合、ステップ660で、現在のシーク段階は「先制」に設定される。こうして大部分の前処理が終結され、ステップ670に示されているように、制御ルーチンはここで、ディスクから読み取られた新しいサーボデータサンプルの受理に応答して起こるシークモードのサーボデータ処理ルーチンまで進む。
【0040】
シークモードのサーボデータ処理ルーチンの前半部分および後半部分は、図8および図9にそれぞれ示されている。最初は、図8のステップ710に示されているように、サンプリングされたサーボデータが使用可能な情報を表わすか否かについて照会が行なわれる。もしも表わすならば、ステップ714で示されているように、サーボデータはヘッド位置を計算するために使用される。サーボデータの使用可能でない場合、ステップ716で示されているように、計算されたヘッド位置の代わりに予め予想されたヘッド位置が用いられる。最初、現在位置は予想されたヘッド位置として使用され、その後、ステップ782(図9)に示されているように、各サーボデータ処理ルーチンの終りで予想ヘッド位置が決定される。
【0041】
現在のヘッド位置が、サンプリングされたサーボデータ又は予想位置から得られた後、ステップ718で示されているように、サーボデータ処理ルーチンの現在の繰返しについてのいくつかの値が計算される。これらの値には、図4の速度信号475に基づく現在の速度と、サーボデータ処理ルーチン内で費やした時間の後であって図4のVCM指令信号435が生成されるときにヘッドが位置づけされることになるような遅延した予想位置X1DELと、減速プロフィールに従って生成されるVCM指令から決定され、かつ、ヘッドが移動していることになるような、遅延した状態の予め定められた速度VELDELと、速度誤差とが含まれる。上記の遅延した予想位置は、
X1DEL=ΔX−KE1・X2−G8・{u(k−1)−BIAS}
として規定され、遅延した予想速度は、
VELDEL=X2+G2・{u(k−1)−BIAS}と
して規定される。なお、式中、
ΔX=目標トラックまでの進むべき距離、KE1=(1−m)、
m=(サンプリング周期−固有遅延量)/サンプリング周期、
固有遅延量=サーボデータがサンプリングされる時点と、VCM指令が出る時点との間の固有遅延、
X2=速度推定器470からの見積り速度、
G8={G1・(1−m)2 ・(1−m2 )}/2
G1=加速定数、
u(k−1)=先行するVCM指令、
BIAS=入力端末460において提供された値、及び、
G2=G1・(1−m)。
【0042】
制御装置430は、X1DEL及びVELDELを計算するための数学的演算を充分に実施することのできるマイクロプロセッサ又はデジタル信号プロセッサとして形成することができる。
加速定数G1は、BIAS値により表わされるような外部から誘導されるトルクとは区別すべき、アクチュエータモーターに付与された電流によって引き起こされた内部トルクKtを含め、さまざまな影響を特徴づけする。さらに詳しくは、加速定数G1は、
G1=(Kt・r・Kda・Kpa・TPI・Tsamp -2 )/J、
G1=0.01688トラック/(ビット・ サンプリング周期 2 )
として決定され得る。なお、式中、
Kt=トルク定数=0.029(N−m)/アンペア、
r=ディスク装置のピボット半径=1.3996インチ、
Kda=D/A利得=0.01043ボルト/ビット、
Kpa=相互コンダクタンス増幅器利得=0.166667A/V(アンペア/ボルト)、
TPI=トラック密度=2002トラック/インチ、
Tsamp=サンプリング周期=346.367μsec 、及び、
J=慣性=1.004×10-6Kg・m2。
【0043】
遅延した予想位置及び遅延した予想速度は、両方共、見ればわかるように、ヘッドの位置及び速度の指示を提供するべく補間された値である。従って、離散的線形時間でのサンプリングは、実際のデータが離散的サンプリング間隔でのみ利用可能であるという制約条件にもかかわらず、ヘッドが位置づけされているトラックに関しかなり精確な表示を与える。換言すると、実際の速度決定はサンプル時間においてのみ有効であることから、制御装置430は、サンプルが採取された時点から補正(制御出力)が適用される時点までの速度変化及び位置変化を考慮に入れなくてはならない。このような処理は補間法によって行なわれる。
【0044】
サーボデータサンプルの読み取りと新しいVCM電流指令の適用との間の遅延は、VCM駆動装置440(図4)内のラッチ回路の使用を通して固定量となるようにされている。新しいサーボデータサンプルの読み取りは、外部のマイクロプロセッサ又はデジタル信号プロセッサの中のタイマーを設定する。タイマーが予め定められた時間の終りを指示すると、外部のマイクロプロセッサ又はデジタル信号プロセッサは、固定遅延トリガーパルスをVCM駆動装置440のラッチ回路に供給し、さらに、このラッチ回路は、中に保持されたデータを前述のとおりVCM駆動装置440のD/A変換器に対し供給するようにする。
【0045】
速度誤差は、遅延した予想位置と共にアクセスされ、かつ、シークプロフィール指令生成装置420から出力されるプロフィール速度と、遅延した予想速度VELDELとの間の差として規定される。
その後、ステップ720に示されているように、シークのどの段階が現在起こっているかを決定するため照会が行なわれる。当初、上記の段階は、ステップ650(図7)で設定された加速か、又は、ステップ660(図7)で設定された「先制」のいずれかとなる。しかしながら、シークオペレーションの中間点において、上記の段階は、以下で説明するように、「加速」、「惰走」又は「減速」のいずれかであり得る。ステップ730で示されているように、シークオペレーションが現在「加速」段階にある場合、切換え点を通過したか否かについてのテストが行なわれる。すなわち、ディスク装置の機械的特性に基づいて、目標トラックに達する時点までに完全に減速が起こるようにするため、減速が始まらなくてはならない目標トラックからの距離を決定することが可能である。この距離は、切換え点と呼ばれる。
【0046】
切換え点を通過し実際の速度が望ましい速度に近い場合、シークオペレーションの段階は「先制(anticipation)」に切り換わり、ルーチンはステップ740まで進む。しかしながら、現在位置が切換え点の前である場合、ディスクヘッドは、それが動作させられることになる最大速度とほぼ同じであるような望ましい速度に非常に近いところまで達し、その後、付加的な加速は必要でなくなり、シークオペレーションルーチンは「惰走」に切換わり、ステップ752まで進む。
【0047】
実験により、照会730における「〜に近い」は、有利にも、8トラック/サンプル未満、好ましくは4トラック/サンプルといったような望ましい速度と実際の速度との間の差として表現されるということが見い出された。また一方で、照会732における「〜に非常に近い」は、有利にも、4トラック/サンプル未満、好ましくは2トラック/サンプルという望ましい速度と実際の速度との間の差として表現されるということが見い出された。これらのテスト、すなわち、実際の速度が望ましい速度の付近にあるか否かを検査することは、もう1つのサンプルについて加速する価値があるか否かを量的に表現することに相当する。一般に、実際の速度と望ましい速度が近い場合、シークの次の段階まで進むほうがよく、一方実際の速度と望ましい速度とがかけ離れている場合、加速し続ける価値がある。「惰走」段階に入る前に、最大加速度に非常に近くなることがきわめて望ましく、したがって、望ましい速度と実際の速度との間に2トラック/サンプルといったような小さな差が存在していなければならない。このような条件は、付加的な加速が通常望まれることを反映している。「先制」段階に入る前に、「より緩い」差、すなわち4トラック/サンプルが、以下に論述する「先制」段階の性質に起因する優れた結果を生み出すことがわかっている。
【0048】
ステップ732における照会が、否定の応答を受けた場合、例えば最大速度が達成されなかったときは、ステップ734が実行され、図4に示されているシーク制御装置430は、ボイスコイルモーターを通る電流、例えば、180mAの電流に対するVCM指令信号435として供給されるような一定加速指令を生成する。制御装置430が「加速」段階にあることを指示するため、ステップ736に示されているように、フラグ値が設定される。
【0049】
シークオペレーションが現在「先制」段階にある場合、例えばステップ730における照会が肯定の応答を受けた場合、ステップ730に示されているように、シーク制御装置430は、以下のように規定されるVCM内を通る電流に対する先制指令Vantic−cmdを生成する。
Vantic−cmd=G7・(プロフィールの速度一実際の速度)
なお、式中、
G7=1/(G1・(1+1/KTder)、
G7=27.2ビット− サンプル/トラック、
として表わされる。
【0050】
なお、ここで、プロフィールの速度は図5の参照用テーブルから読み取られ、KTderは、例えばその公称電気機械特性の85%におけるディスク装置の動作を表わす定格ディレーティング率である。この等式に従ってVantic−cmdを計算することの利点は、それが比較的単純な等式であるため計算を非常に迅速に行なうことができるということにある。
【0051】
「先制」段階の目的は、1つのサンプル周期全体にわたり、実際の速度を、望ましい速度、すなわち、プロフィール速度に等しくすることにある。「先制」段階の効果は、次に続く減速段階の初めで起こる初期の行き過ぎ量を低減させることにある。減速段階の初期行き過ぎ量における減少は、減速段階中この行き過ぎ量を補償するのに必要とされる時間を短縮し、短いシークオペレーションの精度を改善する。すなわち、「減速」段階中に用いられる閉ループ制御技術によって必要とされる初期行き過ぎ量を補償する時間は、初期行き過ぎ量の量の増加と共に増大し、したがって短いシークについては、初期行き過ぎ量の量を少なくするのが有利である。以下で説明するように、「減速」段階中の電流指令を規定する項の1つは、プロフィール速度と実際の速度との間の差の倍数である定数KVELである。「先制」段階は、この差を減少させ、かくして初期行き過ぎ量を低減する。
「先制」段階の持続時間が1サンプル周期であることから、制御装置430が次のサーボデータサンプル処理間隔で「減速」段階を入力するようにフラグ値が設定される。このような処理は、ステップ764に示されるものである。
【0052】
シークオペレーションが現在「惰走」段階にある場合、ステップ730による照会と同様に、切換え点を通過したか否かを決定するべくステップによる照会750が行なわれる。切換え点を通過した場合、シークオペレーションの段階は、「減速」に切換えられ、ルーチンはステップ762まで進む。
切換え点を通過していない場合、ステップ752に示されている「惰走」段階が実施され、シーク制御装置430は、以下のように規定されるVCM内を通る電流に対する惰走指令Vcoast−cmdを生成する。
【0053】
Vcoast−cmd=KVEL・(惰走速度−実際の速度)−BIAS
実際の速度が望ましい速度(この場合、惰走速度)に近いことを仮定して、利得KVELが選定される。この選定された利得の値は、56ビット− サンプル/トラックの値であり得る。ディスク装置の機械的特性及び制御装置430(図4)の処理特性に基づいて、パラメータ「惰走速度」に対する値が選定され、これは、例えば18トラック/サンプルであり得る。図8のステップ754に示されているように、制御装置が「惰走」段階にあることを示すためフラグが設定される。
【0054】
シークオペレーションが現在「減速段階」にあることをステップ720の命令が決定した場合、ステップ760による照会は、ヘッドの速度が0.05という速度より下の値、すなわち、サンプルにあたり1/20トラックといったように小さい値であるか否かを決定する。そうである場合、制御装置は、シークモードを離れ、図9に示すステップ770の命令により表わされるように、セットリングモードを経由してトラック・フォローイングモードに入る。
【0055】
しかしながら、「減速」段階における照会760(図8)が否定の応答を受けた場合、シーク制御装置430(図4)は、VCMに対し供給される電流についての減速指令を生成する。この指令Vdecel−cmdは以下のように規定される。
Vdecel−cmd=KVEL・(プロフィールの速度一実際の速度)−正方向送り指令(feed−fwd−cmd)−BIAS
なおここで、正方向送り指令は、前述の図6の照会用テーブルから読み取られる。長いシークについては、一定減速電流指令の値を有するパラメータである正方向送り指令により、「減速」段階がおおよそ切換え点で始まる。目標トラックから特定の距離のところで、ヘッドが目標トラックでゼロの加速(減速)を有するように正方向送り指令の絶対値を減少させることが必要である。この特定の距離は、サーボデータサンプリング間隔8つ分に相応するような目標トラックから約16トラックのところとなるように選択され得る。前述の図5及び6に示されているように、望ましい速度及び正方向送り指令は、目標トラックから約20トラックのところで始まって細かい粒状度(granularity)で表現される。このような表現は、前述の16トラックの選択に適応する。Vdecel−cmdが生成された後、ルーチンはステップ764(図8)の命令まで進み、制御装置430(図4)が「減速」段階にあることを示すフラグ値を設定する。
【0056】
加速後、ステップ736,754及び764(いずれも図8)の1つによって決定されるようなシークオペレーションの段階を示す惰走又は減速フラグが設定され、図9のステップ780で示されているように次のサーボデータサンプルの受理に備えて、記憶された値が更新される。この更新には、VCM指令u(k−1)、目標トラックまで進むべき距離ΔX、及び、見積られた速度X2といったような値を「現在」から「先行」へと変更することが含まれる。その後、ディスクから読み取られた次のサーボデータサンプルが使用不可能である場合、実際の位置表示としてステップ716(図8)で用いられることになる予想位置を計算するべく図9のステップ782の命令が実行される。さらに、図9のステップ790に示されるように、制御装置430(図4)は、次のサーボデータサンプルが読み取られるまで待機し、その後ステップ710(図8)まで進む。
【0057】
本発明は、線形減速プロフィールに関して記述されてきたが、ディスクヘッドが追従する実際のプロフィールが望ましいプロフィール曲線の下の面積と同じ面積を下に有する曲線を確実に形成するようにするべく適切な補正を伴って、湾曲したプロフィールを使用することもできる。
本発明の実施例及びそのさまざまな変形態様が、ここで添付図面を参照しながら詳述されてきたが、本発明は、このような特定の実施態様及び記述されてきた変形態様に限定されるものではなく、冒頭のクレームに規定されているような本発明の範囲又は精神から逸脱することなく当業者がさまざまな変更及びさらなる修正を行なうことが可能であるという点も理解されたい。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ヘッドのシークオペレーションの減速部分の間、ディスク装置のアクチュエータ・モーターに供給される電流レベルが、サーボデータ位置のサンプリング間隔の半分だけ時間的に前進した望ましい線形減速対時間のプロフィールに基づいてヘッドの制御が実行される。さらに、各位置のサンプリング間隔において、新しい電流レベルが決定され、一つのサンプリング間隔中維持される。さらにまた、実際の電流レベルは、自己同期を容易にするべく望ましいプロフィール上にセンタリングされた階段状の曲線に従う。同様に電流レベルは、新しいサーボデータ位置サンプルの獲得と、モーターに対する新しい電流レベルの適用との間の遅延を自動的に補償するように調整される。
【0059】
この結果、複雑な計算を必要とせずに、基準の減速プロフィールと、実際の減速とを自動的に同期化することができるので、比較的安価なかつ小型のディスク装置を使用してヘッドのシーク減速を精確に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に従った減速プロフィール曲線を示す図である。
【図2】図1の減速プロフィール曲線と関連する曲線を示す図である。
【図3】図2の一部分を拡大して示す図である
【図4】本発明の一実施態様を用いたディスク装置の一部分のブロック図である。
【図5】図2の曲線を作成するのに用いられる参照用テーブルの一例を示す図である。
【図6】図2の曲線を作成するのに用いられる参照用テーブルの他の例を示す図である。
【図7】本発明の一実施態様を利用するシークオペレーションの前処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の一実施態様を利用するシークオペレーションのサーボデータ処理ルーチンの前半部分を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の一実施態様を利用するシークオペレーションのサーボデータ処理ルーチンの後半部分を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
400,460…入力端末
410…減算器
420…シークプロフィール指令生成装置
430…シーク制御装置
440…ボイスコイルモーター(VCM)駆動装置
450…ボイスコイルモーター
470…速度推定器
Claims (16)
- モーターによって移動させられているディスク装置のヘッドを減速させるための方法において、
位置サンプルを提供するべく予め定められたサンプリング周期で前記ヘッドが通過しているディスク上のトラックから、サーボデータを読み取る段階、
望ましい減速プロフィールとの関係において前記サンプリング周期の半分だけ時間的に進んでいる正方向送りプロフィールの基準値及び位置サンプルの一関数として、前記モーターに対する減速電流レベルを決定する段階、及び、
前記減速電流レベルに応じて前記モーターを制御する段階を含み、
前記モーターを制御する段階が、前記減速電流レベルが決定されるまで前記モーターの電流レベルを実質的に一定の値に維持し、
前記ヘッドが減速している間中、前記モーターの電流レベルが、前記の望ましい減速プロフィール上にセンタリングされた階段状曲線に従って時間と共に変化することを特徴とする、ディスク装置のヘッドを減速させるための方法。 - 前記の望ましい減速プロフィールが時間と共に線形である、請求項1に記載の方法。
- 前記サーボデータが読み取られる時点と、前記モーターが前記減速電流レベルに従って制御される時点との間の遅延に対して、前記減速電流レベルを決定する段階が前記減速電流レベルを調整する、請求項1に記載の方法。
- 前記減速電流レベルに従って前記モーターが制御される場合に、前記ヘッドが位置づけられることになる遅延した予想位置X1DELの一関数として、前記減速電流レベルを決定する段階が前記減速電流レベルを決定し、該遅延した予想位置X1DELは、
X1DEL=ΔX−KE1・X2−G8・{u(k−1)−BIAS}
として規定され、ここで、
ΔX=前記位置サンプルと目標位置との差、KE1=(1−m)、
m=(サンプリング周期−固有遅延量)/サンプリング周期、
固有遅延量=前記サーボデータが読み取られる時点と、前記モーターが前記減速電流レベルに従って制御される時点との間の固有遅延、
X2=推定による見積り速度、
G8={G1・(1−m)2 ・(1−m2 )}/2
G1=加速定数、
u(k−1)=前記モーターを制御するのに現在使用されている電流レベル、及び、
BIAS=予め定められた値、
である、請求項3に記載の方法。 - 前記減速電流レベルに従って前記モーターが制御される場合に、前記ヘッドが移動することになる遅延した予想速度VELDELの一関数として、前記減速電流レベルを決定する段階が前記減速電流レベルを決定し、該遅延した予想速度VELDELは、
VELDEL=X2+G2・{u(k−1)−BIAS}
として規定され、ここで、
X2=推定による見積り速度、
G2=G1・(1−m)、
G1=加速定数、
m=(サンプリング周期−固有遅延量)/サンプリング周期、
固有遅延量=前記サーボデータが読み取られる時点と、前記モーターが前記減速電流レベルに従って制御される時点との間の固有遅延、
u(k−1)=前記モーターを制御するのに現在使用されている電流レベル、及び、
BIAS=予め定められた値、
である、請求項3に記載の方法。 - 前記サーボデータが読み取られてから一定の時間後まで前記減速電流レベルを保持する段階がさらに含まれ、前記モーターは、前記サーボデータが読み取られてから前記一定の時間後に始まる前記減速電流レベルに従って制御される、請求項3に記載の方法。
- 位置サンプル、望ましい減速プロフィールの基準値、及び、前記ヘッドの推定による見積り速度の関数として、前記モーターについての望ましい速度を得るための電流レベルを決定する段階と、
前記減速電流レベルを決定する段階の前に前記望ましい速度を得るための電流レベルに従って前記モーターを制御する段階とがさらに含まれている、請求項1に記載の方法。 - 位置サンプル、予め定められた惰走(coast)速度レベル、及び、前記ヘッドの推定による見積り速度の一関数として、前記モーターについての惰走電流レベルを決定する段階と、
前記の減速電流レベルを決定する段階の前に前記惰走電流レベルに従って前記モーターを制御する段階とがさらに含まれる、請求項1に記載の方法。 - モーターによって移動させられているディスク装置のヘッドを減速させるための装置において、
位置サンプルを提供するため予め定められたサンプリング間隔で前記ヘッドが通過しているディスク上のトラックから、サーボデータを読み取るための手段、
望ましい減速プロフィールとの関係において前記サンプリング間隔の半分だけ時間的に進んでいる正方向送りプロフィールの基準値及び位置サンプルの一関数として、前記モーターに対する減速電流レベルを決定するための手段、及び、
前記減速電流レベルに応じて前記モーターを制御するための手段を備え、
前記モーターを制御するための手段が、前記減速電流レベルが決定されるまで前記モーターの電流レベルを実質的に一定の値に維持し、
前記ヘッドが減速している間中、前記モーターの減速電流レベルが、前記の望ましい減速プロフィール上にセンタリングされた階段状曲線に従って時間と共に変化することを特徴とする、ディスク装置のヘッドを減速させるための装置。 - 前記の望ましい減速プロフィールが時間に対し線形である、請求項9に記載の装置。
- 前記サーボデータが読み取られる時点と、前記モーターが前記減速電流レベルに従って制御される時点との間の遅延に対して、前記減速電流レベルを決定するための手段が前記減速電流レベルを調整する、請求項9に記載の装置。
- 前記減速電流レベルに従って前記モーターが制御される場合に、前記ヘッドが位置づけされることになる遅延した予想位置X1DELの一関数として、前記減速電流レベルを決定するための手段が前記減速電流レベルを決定し、該遅延した予想位置X1DELは、
X1DEL=ΔX−KE1・X2−G8・{u(k−1)−BIAS}
として規定され、ここで、
ΔX=前記位置サンプルと目標位置との差、
KE1=(1−m)、
m=(サンプリング周期−固有遅延量)/サンプリング周期、
固有遅延量=前記サーボデータが読み取られる時点と、前記モーターが前記減速電流レベルに従って制御される時点との間の固有遅延、
X2=推定による見積り速度、
G8={G1・(1−m)2 ・(1−m2 )}/2
G1=加速定数、
u(k−1)=前記モーターを制御するのに現在使用されている電流レベル、及び、
BIAS=予め定められた値、
である、請求項11に記載の装置。 - 前記減速電流レベルに従って前記モーターが制御される場合に、前記ヘッドが移動することになる遅延した予想速度VELDELの一関数として、前記減速電流レベルを決定するための手段が前記減速電流レベルを決定し、該遅延した予想速度VELDELは、
VELDEL=X2+G2・{u(k−1)−BIAS}
として規定され、ここで、
X2=推定による見積り速度、
G2=G1・(1−m)、
G1=加速定数、
m=(サンプリング周期−固有遅延量)/サンプリング周期、
固有遅延量=前記サーボデータが読み取られる時点と、前記モーターが前記減速電流レベルに従って制御される時点との間の固有遅延、
u(k−1)=前記モーターを制御するのに現在使用されている電流レベル、及び、
BIAS=予め定められた値、
である、請求項11に記載の装置。 - 前記サーボデータが読み取られてから一定の時間後まで前記減速電流レベルを保持するための手段がさらに含まれ、前記モーターは、前記サーボデータが読み取られてから前記一定の時間後に始まる前記減速電流レベルに従って制御される、請求項11に記載の装置。
- 位置サンプル、望ましい減速プロフィールの基準値、及び、前記ヘッドの推定による見積り速度の関数として前記モーターについての望ましい速度を得るための電流レベルを決定するための手段と、
前記望ましい速度を得るための電流レベルに従って前記モーターを制御する手段とがさらに含まれている、請求項9に記載の装置。 - 位置サンプル、予め定められた惰走速度レベル、及び、前記ヘッドの推定による見積り速度の一関数として、前記モーターについての惰走電流レベルを決定するための手段と、
前記惰走電流レベルに従って前記モーターを制御するための手段とがさらに含まれる、請求項9に記載の装置。
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