JP3622625B2 - 廃棄物処理方法および廃棄物処理設備 - Google Patents

廃棄物処理方法および廃棄物処理設備 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、種々の廃棄物をガス化、溶融処理する廃棄物処理方法および廃棄物処理設備に関し、廃棄物処理設備の稼働率を向上することが可能な廃棄物処理方法および廃棄物処理設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、廃棄物処理場の不足が顕著化しており、産業廃棄物あるいは一般廃棄物の多くは、発生したままの姿で、あるいは何らかの事前処理の上、焼却処理し減容化した後に、埋立などの最終処分が行われる場合が多い。
上記した焼却処理の方法としては様々な方法が挙げられるが、近年、焼却場における発生ガス中のダイオキシン類など有害物質の管理が重要となっており、高温酸化雰囲気で有害物を分解することが可能な処理方法が求められている。
【0003】
このような高温処理が可能な廃棄物処理方法として、特開平6−26626 号公報、特開平6− 79252号公報、特開平7−323270号公報に開示された廃棄物処理プロセスが挙げられる。
上記したプロセスは、廃棄物を圧縮成形後、乾燥、熱分解、炭化し、生成した炭化生成物を部分酸化・ガス化、溶融して燃料ガスおよびスラグ、金属を得る廃棄物処理プロセスである。
【0004】
図5に、上記した廃棄物処理設備を側断面図によって示す。
図5において、1は廃棄物を回分的(バッチ的)に加圧、圧縮する圧縮装置、2は圧縮用ピストン、3は圧縮支持盤、4は圧縮された廃棄物(圧縮廃棄物)(以下圧縮成形物とも記す)を乾燥、熱分解、炭化するための乾留・炭化炉である横型のトンネル式加熱炉(以下、トンネル式加熱炉とも記す)、4aは圧縮成形物の乾燥領域、4bは圧縮成形物の熱分解、炭化領域、4eはトンネル式加熱炉4の廃棄物の入口、4fはトンネル式加熱炉4の炭化生成物の出口(:高温反応塔5の側壁に設けられた炭化生成物入口)、5は竪型の高温反応塔、6a、6bはそれぞれトンネル式加熱炉4の側壁内に配設された加熱用高温ガスの流通パイプ、10a、10iは圧縮成形物、11、11i 、11n は炭化生成物、12は炭化生成物11の堆積層(以下、炭化生成物堆積層または堆積層と記す)、14は溶融物、14H は溶融物排出口、15は酸素含有ガス供給管、15a は高温反応塔5への酸素含有ガス供給口(以下、高温反応塔酸素含有ガス供給口とも記す)、16は高温反応塔5の下部側壁に接続された水平型筒状加熱炉である溶融物加熱・保温炉(以下、水平型筒状溶融物加熱・保温炉とも記す)、16e は溶融物加熱・保温炉の入口、17は溶融物加熱・保温炉の加熱装置であるバーナー、17a は溶融物加熱・保温炉16内に高温燃焼ガスを供給する燃焼ガス供給口、20は廃棄物投入口、21は廃棄物投入口の蓋、30は高温反応塔5から排出される高温反応塔発生ガス(以下、発生ガスとも記す)の冷却装置(急冷装置)、30S は発生ガス急冷用の冷却液スプレーノズル、30W は冷却装置30の発生ガス流路の壁面(管内壁)、30D は冷却装置30の底部、31はガス精製装置、32は高温反応塔5の発生ガス排出口、33は精製ガス、35は高温反応塔5と冷却装置30との接続管(以下、高温反応塔−冷却装置接続管または接続管と記す)、35W は接続管35の内壁、fは圧縮成形物10a 、10i の移動方向、fは炭化生成物11i 、11n の移動方向、fはトンネル式加熱炉4内で生成した熱分解ガスの流れ方向、fは高温反応塔5内への酸素含有ガスの吹き込み方向、fは圧縮用ピストン2の移動方向、fは圧縮支持盤3の移動方向、fは廃棄物投入口20の蓋21の回転方向を示す。
【0005】
なお、高温反応塔5と冷却装置30との接続管(:高温反応塔−冷却装置接続管)35は、高温反応塔5と冷却装置30の間に設けられた発生ガス送給用の配管である。
図5に示す廃棄物処理設備においては、先ず、廃棄物投入口20から圧縮装置1内へ所定量供給した廃棄物を、回分的に圧縮装置1を用いて圧縮してち密な圧縮成形物10aとする。
【0006】
次に、この圧縮成形物10aを、流通パイプ6a、6b内を流通する高温ガスによって加熱された細長いトンネル式加熱炉4内へ押し込む。
圧縮成形物10aの断面形状は、トンネル式加熱炉4の入口4eの内壁断面と同形、同一寸法であり、圧縮成形物10a はトンネル式加熱炉4の内壁と接触状態を保ったまま押し込めるため、トンネル式加熱炉入口で加熱炉内雰囲気をシールできる。
【0007】
圧縮成形物10i は、順次新しい成形物が押し込まれる毎に、トンネル式加熱炉4内を滑りながら移動する。
トンネル式加熱炉4は前記したように外部から加熱されており、内部は600 ℃程度まで昇温され、圧縮成形物10i の移動、昇温過程において、圧縮成形物10i が乾燥、熱分解、炭化する。
【0008】
炭化生成物11n および熱分解、炭化により発生したガスは、高温反応塔5の側壁に設けられた炭化生成物入口4fから1000℃以上に維持された高温反応塔5内へ装入、供給される。
炭化生成物11n は、高温反応塔5の下部に堆積して炭化生成物堆積層12を形成し、ガスは、高温反応塔5の上部の1000℃以上の領域で2秒以上滞留し、一酸化炭素と水素を含む燃料用の合成ガスとして回収できる。
【0009】
すなわち、高温反応塔5の下部の高温反応塔酸素含有ガス供給口15aから堆積層12中へ供給する酸素含有ガスで、堆積層の可燃物を燃焼(部分酸化・ガス化)させ、そのエネルギーで堆積層中の不燃分(金属、灰分など)を溶融する。
燃焼時に発生したガスは、堆積層12内を通って高温反応塔5を上昇し、この上昇ガスは、高温反応塔5の下部の堆積層内で炭化生成物11と向流熱交換を行い、炭化生成物11の顕熱を増加する。
【0010】
顕熱の大きい炭化生成物11は、容易に燃焼、溶融する。
また、高温反応塔5の下部側壁に接続された溶融物加熱・保温炉16で溶融物14をバーナーなどの加熱装置17で加熱し、溶融物に含まれる微量の炭素などをガス化、除去して溶融物14は溶融物排出口14H から溶融スラグ、溶融金属として回収される。
【0011】
以上、従来の乾留・炭化炉、高温反応塔および溶融物加熱・保温炉を配設した廃棄物処理設備について述べたが、従来の廃棄物処理設備においては、下記の問題点があった。
すなわち、高温反応塔5と冷却装置30の間に設けられた発生ガス送給用の高温反応塔−冷却装置接続管(:接続管)35の内壁35W に付着物が付着し、接続管の閉塞が生じた。
【0012】
この結果、その都度操業を停止し、接続管35の内壁35W の付着物を除去する必要が生じ、廃棄物処理設備の稼働率に制限を受けていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した従来技術の問題点を解決し、廃棄物をガス化、溶融処理する廃棄物処理方法および廃棄物処理設備において、廃棄物処理設備の稼働率を向上することが可能な廃棄物処理方法および廃棄物処理設備を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、廃棄物および/または廃棄物の炭化生成物を部分酸化・ガス化、溶融する高温反応塔5と、該高温反応塔5の発生ガスの冷却装置30と、該冷却装置30と前記高温反応塔5の間に設けられた発生ガス送給用の高温反応塔−冷却装置接続管35を有する廃棄物処理設備における廃棄物処理方法であって、前記高温反応塔−冷却装置接続管35の内壁温度を1190℃超、より好ましくは1210℃以上に保持するとともに、前記冷却装置 30 に、該冷却装置 30 の発生ガス流路の壁面 30W に付着した付着物を掻き取るための掻き取り装置 50 を配設し、該掻き取り装置 50 によって、前記壁面 30W に付着した付着物を掻き取ることを特徴とする廃棄物処理方法である。
【0015】
前記した第1の発明においては、前記高温反応塔−冷却装置接続管35の内壁温度を1190℃超、1300℃以下、さらには1210℃以上、1300℃以下に保持することがより好ましい。
【0016】
さらにまた、上記で掻き取られた付着物を酸に溶解して排出することが好ましい。
第2の発明は、廃棄物および/または廃棄物の炭化生成物を部分酸化・ガス化、溶融する高温反応塔5と、該高温反応塔5の発生ガスの冷却装置30と、該冷却装置30と前記高温反応塔5の間に設けられた発生ガス送給用の高温反応塔−冷却装置接続管35を有する廃棄物処理設備であって、前記高温反応塔−冷却装置接続管35に該高温反応塔−冷却装置接続管 35内壁を加熱し、内壁温度を 1190 ℃超に保持する加熱装置40を配設するとともに、前記冷却装置 30 に、該冷却装置 30 の発生ガス流路の壁面 30W に付着した付着物を掻き取るための掻き取り装置 50 を配設することを特徴とする廃棄物処理設備である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明者らは、前記した従来技術の問題点を解決するために鋭意検討した結果、下記知見を見出し本発明に至った。
(1) 高温反応塔−冷却装置接続管(:接続管)の内壁温度の上昇による付着物の固着防止:
本発明者らは、前記した接続管35の内壁35W への付着物の形成の原因を究明するため、接続管の内壁の付着物の組成を調査した。
【0019】
図3に、接続管35の内壁35W への付着物の形成状況および付着物の組成分析用サンプルの採取箇所を示す。
なお、図3において、36は付着物、S1,S2,S3,S4,S5は組成分析用サンプルの採取箇所を示し、その他の符号は図5と同一の内容を示す。
また、表1に、得られた付着物組成の分析結果を示す。
【0020】
この結果、表1に示されるように、採取箇所による基本的な組成の差は見られなかった。
また、付着物のX線回折結果によっても、採取箇所による化合物の形態の相違は見られなかった。
この結果、付着物の形成は、付着物組成以外の要因によると推定した。
【0021】
次に、本発明者らは、管内壁の付着物除去後、接続管35の内壁面に熱電対を取り付け操業を行い、接続管35の管内壁温度を測定すると共に、新たに形成された付着物の軟化点を測定した。
図4に、接続管35の管内壁への付着物の形成状況および熱電対の取り付け位置を示す。
【0022】
なお、図4において、36は付着物、T1,T2,T3は熱電対を示し、その他の符号は図5と同一の内容を示す。
表2に、得られた測定結果を示す。
表2に示されるように、付着物の軟化点は1180〜1185℃であり、接続管35の管内壁温度:1050〜1190℃の変動範囲内であることが分かった。
【0023】
すなわち、高温反応塔5から発生ガスに伴って飛来するダストは当初は溶融状態であるが、接続管35における温度低下によって、管内壁温度が経時的に低下した時点で管内壁に溶融付着、凝固し、その結果、管内壁に付着物が固着し、接続管35の閉塞が生じることが分かった。
さらに、付着物の軟化点が接続管35の管内壁温度の変動範囲内であるため、接続管35をある程度強制的に加熱することによって容易に接続管35におけるダストの溶融付着、凝固による付着物の固着を防止することが可能であると推定した。
【0024】
このため、高温反応塔−冷却装置接続管(:接続管)に内壁を加熱し、内壁温度を 1190 ℃超に保持する加熱装置を配設し、接続管を加熱して試験を行った結果、後記の実施例に示されるように、接続管の閉塞を防止することが可能となった。
(2) 冷却装置への付着物掻き取り装置の配設:
前記した高温反応塔−冷却装置接続管(:接続管)への付着物の固着の防止に伴い、冷却装置への溶融物の持ち込み量が増加し、冷却装置における付着物の固着量が増加する。
【0025】
このため、本発明者らは、前記した接続管35への加熱装置の配設と共に、冷却装置に、冷却装置の発生ガス流路の壁面(管内壁)に付着した付着物を掻き取るための掻き取り装置を配設した。
この結果、高温反応塔−冷却装置接続管および冷却装置のいずれにおいても、発生ガス流路の壁面への付着物の固着、発生ガス流路の閉塞が防止でき、廃棄物処理設備の稼働率を向上することが可能となった。
【0026】
図1に、本発明の廃棄物処理設備の一例を、側断面図によって示す。
図1において、40は高温反応塔−冷却装置接続管(:接続管)35の内壁を加熱するための加熱装置、50は冷却装置30の発生ガス流路の壁面(管内壁)30W に付着した付着物を掻き取るための掻き取り装置、51は掻き取り装置の掻き取り用部材(スクレーパ)、52は掻き取り用部材51の移動用シャフト、53は移動用シャフトの駆動装置、f10 は移動用シャフトの移動方向を示し、その他の符号は図5と同一の内容を示す。
【0027】
図1に示す廃棄物処理設備における乾留・炭化炉4は、横型のトンネル式加熱炉で、高温反応塔5は竪型の高温反応塔で、溶融物加熱・保温炉16は横型の筒状加熱炉である。
また、接続管35の加熱装置40は、接続管35の管壁内に加熱用高温ガスの流通パイプを配設し、高温の燃焼ガスを流通して接続管35の内壁35W を加熱する加熱装置である。
【0028】
なお、加熱装置40は、接続管35の内壁35W を所定温度以上に加熱することが可能な加熱装置であればその方式、装置構成は特に制限を受けるものではなく、電気ヒータなどを用いてもよい。
また、掻き取り装置50は、掻き取り用部材(スクレーパ)51を移動用シャフト52によって移動方向f10 に移動し、冷却装置30の発生ガス流路の壁面(管内壁)30W に付着した付着物を掻き取る。
【0029】
スクレーパ51には発生ガスの流れを阻害しないように、開口部を設けることが好ましい。
また、スクレーパ51は、管内壁30W に付着した付着物を効率よく掻き取るために、図1に示すような上下方向への動きに加え、さらに移動用シャフト52の軸芯を中心として回動可能とすることが好ましい。
【0030】
図2に、掻き取り装置50駆動時の状態を、側断面図によって示す。
図1に示す廃棄物処理設備は、廃棄物および/または廃棄物の圧縮成形物を乾燥、熱分解、炭化する乾留・炭化炉4と、乾留・炭化炉4の炭化生成物の出口と接続され、乾留・炭化炉4で得られた炭化生成物を酸素含有ガスで部分酸化・ガス化、溶融する高温反応塔5と、高温反応塔5の発生ガスの冷却装置30と、冷却装置30と高温反応塔5の間に設けられた発生ガス送給用の高温反応塔−冷却装置接続管35を有し、高温反応塔−冷却装置接続管35に内壁を加熱するための加熱装置40を配設し、さらに、冷却装置30に、冷却装置30の発生ガス流路の壁面30W に付着した付着物を掻き取るための掻き取り装置50を配設した廃棄物処理設備である。
【0031】
図1に示す廃棄物処理設備においては、圧縮成形した廃棄物(:圧縮成形物10i )を乾燥、熱分解、炭化し、得られた炭化生成物11n を、高温反応塔5の側壁に設けられた炭化生成物入口4fから高温反応塔5内に装入し、高温反応塔5内に堆積した炭化生成物11中に酸素含有ガスを供給し、炭化生成物11を部分酸化・ガス化、溶融することによって廃棄物の処理を行う。
【0032】
高温反応塔5で発生したガスは、冷却装置30で冷却した後、ガス精製装置31で精製し、精製ガス(燃料用の合成ガス)33として回収し、溶融物加熱・保温炉16内の溶融物14は溶融物排出口14H から溶融スラグ、溶融金属として回収される。
図1に示す廃棄物処理設備においては、前記したように、高温反応塔−冷却装置接続管(35)に内壁を加熱するための加熱装置(40)を配設した。
【0033】
この結果、本発明の廃棄物処理設備によれば、高温反応塔−冷却装置接続管(:接続管)の閉塞を防止することが可能となり、廃棄物処理設備の稼働率を向上することが可能となった。
本発明においては、接続管35における付着物の固着を防止するため、接続管35の内壁温度を1190℃超え、さらに好ましくは1210℃以上に保持する。
【0034】
なお、接続管35の内壁温度は、1190℃超え、1300℃以下であることがより好ましく、さらには1210℃以上、1300℃以下であることが好ましい。
これは、接続管35の内壁温度を1300℃を超えて高くする場合、接続管35の耐火物の寿命が短くなるためである。
また、図1に示す廃棄物処理設備においては、前記したように、高温反応塔5の発生ガスの冷却装置30に、冷却装置30の発生ガス流路の壁面30W に付着した付着物を掻き取るための掻き取り装置50を配設した廃棄物処理設備である。
【0035】
すなわち、本発明においては、高温反応塔5の発生ガス中に含まれるダスト類を接続管35の内壁に付着せしめることなく冷却装置30の発生ガス流路の壁面30W に付着せしめ、壁面30W に付着した付着物を掻き取り装置50で除去することによって、高温反応塔−冷却装置接続管および冷却装置のいずれにおいても発生ガス流路の閉塞が防止でき、廃棄物処理設備の稼働率を向上することが可能となった。
【0036】
なお、上記で掻き取った付着物は、冷却装置30の底部30D から排出することが好ましい。
また、付着物の排出を容易にするために、冷却液スプレーノズル30S などから塩酸などの酸液を噴霧法などによって供給し、付着物を溶解することが好ましい。
【0037】
また、酸液は、壁面30W に直接供給してもよい。
なお、高温反応塔5の発生ガスと接触した後の水溶液は酸性であるため、水を冷却液スプレーノズル30S などから噴霧法などで供給したり、水を壁面30W に直接供給してもよい。
以上、本発明について述べたが、前記した表1に示されるように、高温反応塔−冷却装置接続管への付着物は無機成分であるため、本発明の廃棄物処理方法、廃棄物処理設備は、廃棄物の炭化生成物の処理に限定されることなく、廃棄物そのものの処理、もしくは廃棄物と廃棄物の炭化生成物との混合物の処理にも好適に用いることができる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。
前記した図1に示す廃棄物処理設備を用い、前記した方法にしたがって廃棄物の処理を行った。
本実施例においては、高温反応塔−冷却装置接続管(:接続管)35の内壁温度を1210〜1230℃に保持した。
【0039】
また、冷却装置30に配設した掻き取り装置50の掻き取り用部材(スクレーパ)51を定期的に上下方向に移動すると共に、掻き取り用部材の移動用シャフト52の周りに回動させた。
この結果、接続管35および冷却装置30の発生ガス流路への付着物の固着による高温反応塔5の炉内の圧力上昇は見られず、順調な操業を継続することができた。
【0040】
なお、本実施例においては、さらに、壁面30W に直接塩酸を供給滴下させた。この結果、付着物の掻き取りが容易になると共に、付着物が上記塩酸に溶解し、冷却装置30の底部30D から閉塞を生じることなく定期的に排出することができた。
上記した試験後、操業を停止し、接続管35の内壁および冷却装置30の発生ガス流路の壁面を観察・点検した結果、高温反応塔−冷却装置接続管および冷却装置のいずれにおいても、発生ガス流路の壁面への付着物の固着はほとんど見られなかった。
【0041】
【表1】
Figure 0003622625
【0042】
【表2】
Figure 0003622625
【0043】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、廃棄物をガス化、溶融処理する廃棄物処理設備において、発生ガス流路の閉塞を防止し、廃棄物処理設備の稼働率を向上することが可能となった。
また、さらに、冷却装置で掻き取った付着物を容易に回収することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の廃棄物処理設備の一例を示す側断面図である。
【図2】本発明の廃棄物処理設備の一例を示す側断面図である。
【図3】廃棄物処理設備の高温反応塔−冷却装置接続管の内壁における付着物の形成状況および付着物の組成分析用サンプルの採取箇所を示す側断面図である。
【図4】廃棄物処理設備の高温反応塔−冷却装置接続管の内壁における付着物の形成状況および熱電対の取り付け位置を示す側断面図である。
【図5】従来の廃棄物処理設備を示す側断面図である。
【符号の説明】
1 圧縮装置
2 圧縮用ピストン
3 圧縮支持盤
4 乾留・炭化炉(水平型トンネル式加熱炉、トンネル式加熱炉)
4a 圧縮成形物の乾燥領域
4b 圧縮成形物の熱分解、炭化領域
4e 乾留・炭化炉(トンネル式加熱炉)の廃棄物の入口(圧縮成形物の入口)
4f 乾留・炭化炉(トンネル式加熱炉)の炭化生成物の出口
5 高温反応塔
6a、6b 加熱用高温ガスの流通パイプ
10a 、10i 圧縮成形物
11、11i 、11n 炭化生成物
12 炭化生成物堆積層
14 溶融物
14H 溶融物排出口
15 高温反応塔酸素含有ガス供給管
15a 高温反応塔酸素含有ガス供給口
16 溶融物加熱・保温炉(水平型筒状溶融物加熱・保温炉)
16e 溶融物加熱・保温炉の入口(溶融物の入口)
17 燃焼ガス供給装置(バーナ)
17a 燃焼ガス供給口
20 廃棄物投入口
21 廃棄物投入口の蓋
30 高温反応塔発生ガスの冷却装置(急冷装置)
30D 冷却装置の底部
30S 発生ガス冷却用(急冷用)の冷却液スプレーノズル
30W 冷却装置の発生ガス流路の壁面
31 ガス精製装置
32 高温反応塔の発生ガス排出口
33 精製ガス
35 高温反応塔−冷却装置接続管(:接続管)
35W 高温反応塔−冷却装置接続管(:接続管)の内壁
36 付着物
40 高温反応塔−冷却装置接続管(:接続管)の加熱装置
50 掻き取り装置
51 掻き取り装置の掻き取り用部材(スクレーパ)
52 掻き取り用部材の移動用シャフト
53 移動用シャフトの駆動装置
圧縮成形物の移動方向
炭化生成物の移動方向
トンネル式加熱炉内で生成した熱分解ガスの流れ方向
高温反応塔内への酸素含有ガスの吹き込み方向
圧縮用ピストンの移動方向
圧縮支持盤の移動方向
廃棄物投入口の蓋の回転方向
10 移動用シャフトの移動方向
S1,S2,S3,S4,S5 組成分析用サンプルの採取箇所
T1,T2,T3 熱電対

Claims (2)

  1. 廃棄物および/または廃棄物の炭化生成物を部分酸化・ガス化、溶融する高温反応塔(5) と、該高温反応塔(5) の発生ガスの冷却装置(30)と、該冷却装置(30)と前記高温反応塔(5) の間に設けられた発生ガス送給用の高温反応塔−冷却装置接続管(35)を有する廃棄物処理設備における廃棄物処理方法であって、前記高温反応塔−冷却装置接続管(35)の内壁温度を1190℃超に保持するとともに、前記冷却装置 (30) に、該冷却装置 (30) の発生ガス流路の壁面 (30W) に付着した付着物を掻き取るための掻き取り装置 (50) を配設し、該掻き取り装置 (50) によって、前記壁面 (30W) に付着した付着物を掻き取ることを特徴とする廃棄物処理方法。
  2. 廃棄物および/または廃棄物の炭化生成物を部分酸化・ガス化、溶融する高温反応塔(5) と、該高温反応塔(5) の発生ガスの冷却装置(30)と、該冷却装置(30)と前記高温反応塔(5) の間に設けられた発生ガス送給用の高温反応塔−冷却装置接続管(35)を有する廃棄物処理設備であって、前記高温反応塔−冷却装置接続管(35)に該高温反応塔−冷却装置接続管( 35 内壁を加熱し、内壁温度を 1190 ℃超に保持する加熱装置(40)を配設するとともに、前記冷却装置 (30) に、該冷却装置 (30) の発生ガス流路の壁面 (30W) に付着した付着物を掻き取るための掻き取り装置 (50) を配設したことを特徴とする廃棄物処理設備。
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