JP3622240B2 - エンジン制御装置 - Google Patents

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  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はエンジン制御装置に関し、特に電子制御式ディーゼルエンジン等において車速制限制御を行うエンジン制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は従来から知られているエンジン制御装置を示したもので、図中、1はアクセルペダルによるアクセル開度を検出するアクセル開度センサ、2はエンジン10の回転数を検出するためのエンジン回転数センサ、3はエンジン10の変速機の出力軸から車速を検出するための車速センサ、そして4はセンサ1〜3の出力信号を受けて、エンジン10のガバナアクチュエータ5を制御するコントロールユニットである。
【0003】
またこのコントロールユニット4は、アクセル開度センサ1からのアクセル開度を演算アクセル値ACCin(%)に変換するためのアクセル開度変換部41と、この演算アクセル値ACCinとエンジン回転数センサ2からのエンジン回転数とを受けて通常の燃料流量Qを出力するためのリミットスピードマップ(メモリ)42と、車速センサ3からの車速パルスを入力して実際の車速に変換するための車速計算部43と、車速計算部43からの車速に基づいて車速制限燃料流量Qを出力する車速制限マップ(メモリ)44と、これらの燃料流量Q及びQの内の小さい方を選択する比較部45と、この比較部45からの燃料流量を目標ラック位置に変換するための制御量変換部46と、制御量変換部46からの目標ラック位置に基づいてエンジン10のガバナアクチュエータ5に対する駆動信号を出力するガバナ回路47とで構成されている。尚、ガバナ回路47はガバナアクチュエータ5からの実際のラック位置をフィードバックして入力しながら目標のラック位置に制御している。
【0004】
図6は図5に示したコントロールユニット4の制御アルゴリズムをフローチャートで示したものであり、この図6のフローチャートにより図5の実施例の動作を説明する。
【0005】
まず、コントロールユニット4は、アクセル開度センサ1からのアクセル開度からアクセル開度変換部41で変換された演算アクセル値ACCinをパラメータとして、エンジン回転数センサ2からのエンジン回転数を横軸とした三次元リミットスピードマップ42で燃料流量Qを決定する(図6のステップS1)。
【0006】
一方、コントロールユニット4では車速センサ3からの車速を車速計算部43を経由して二次元車速制限マップ44が入力することにより、この車速制限マップ44に記憶されている車速と燃料流量との関係から車速制限燃料流量Qを出力する(ステップS3)。
【0007】
そして、比較部45では燃料流量QとQとの関係をチェックし(ステップS4)、Q<Qの時には、車速制限燃料流量Qで目標ラック位置を求めるようにし(ステップS7)、Q≧Qの場合には通常の燃料流量Qによって目標ラック位置を求めるように燃料流量を選択して制御量変換部46に送り、さらにガバナ回路47を介してエンジン10のガバナアクチュエータ5を制御するようにしている(ステップS9)。
【0008】
このように、従来のエンジン制御装置においては、アクセル開度とエンジン回転数とにより求められた通常の目標燃料流量Qと車速に基づいて求められた車速制限用の目標燃料流量Qとを比較して小さい方の燃料流量を選択して燃料流量を絞ることにより最高速度を制限するようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のエンジン制御装置においては車速センサが正常に動作していることが前提となっており、この車速センサが異常となってそのパルス出力が無くなった場合にはコントロールユニット4は車速を0Km/hとして認識してしまう。
【0010】
したがって、車速が0Km/hであると車速制限マップ44より燃料流量Qは大きな値となっているため(車速制限マップ44参照)、比較部45において比較する場合、図6に示したステップ4において「NO」となってしまうため必ず通常の燃料流量Qが選択されることとなる。
【0011】
この状態は、図6のステップS7に示すように燃料流量Qによって目標ラック位置を求める状態(車速制限状態)でなければもともと燃料流量Qのまま制御されるのであるから問題はないが、上記の車速制限制御状態(ステップS7)にある場合には、車速センサが異常となった時点で燃料流量Qに対して燃料流量Qが小さくなるため燃料流量は必ずQからQへ切り替わることになる。
【0012】
このとき、燃料流量QとQとの差が大きければ大きいほど燃料流量の変化が大きくなるため、車両走行状態に衝撃が生ずるという問題があった。
【0013】
また、車速センサが異常になった場合でもドライバーへの警告が行われていなかった。
【0014】
したがって本発明は、アクセル開度センサと、エンジン回転数センサと、パルス検出式の車速センサと、該アクセル開度及びエンジン回転数から決定される通常燃料流量と該車速から決定される車速制限燃料流量とを比較して小さい方の燃料流量によりエンジンを制御するコントロールユニットと、を備えたエンジン制御装置において、車速センサが故障しても車両走行状態に衝撃を起こさないようにすると共にそのような状態をドライバーへ警告することが出来るようにすることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係るエンジン制御装置は、コントロールユニットが、車速制限燃料流量によるエンジン制御が行われているときに最新の該車速制限燃料流量を保持しておき、車速センサの異常を検出したときのみ該車速制限燃料流量によるエンジン制御中であれば該保持した該最新の車速制限燃料流量を固定したバックアップ値として用いることを特徴としたものである。
【0016】
このとき、該コントロールユニットは、該車速センサの異常検出時にパイロットランプを点灯させることができる。
【0017】
また、該コントロールユニットは、該車速センサからの入力信号が無く該車速制限燃料流量によるエンジン制御中でなければ、所定車速以上で点灯する該車速センサとは別系統の車速灯からの入力信号が有ったときに該車速センサの異常と判定してパイロットランプを点灯させることができる。
【0018】
【作用】
本発明においては、従来と同様にアクセル開度及びエンジン回転数から決定される通常の燃料流量と車速から決定される車速制限燃料流量とを常に比較し、両者の内で小さい方の燃料流量を選択しエンジンを制御するようにしている。
【0019】
このような場合、コントロールユニットは燃料流量の小さい方が車速制限燃料流量である場合においてエンジン制御が行われているとき(車速制限制御)にこの車速制限燃料流量を最新の燃料流量として常に保持しておく。
【0020】
そして、車速センサが異常であることを検出したときコントロールユニットは現在のエンジン制御状態が車速制限制御状態であれば現在保持している最新の車速制限燃料流量をバックアップ値として用い、エンジンの制御を行う。
【0021】
これと同時にパイロットランプを点灯させる。
【0022】
また、保持している最新の車速制限燃料流量のバックアップ値と通常の燃料流量を比較し、通常の燃料流量の方が小さくなった時に、保持されている最新の車速制限燃料流量のバックアップ値から通常の燃料流量への切り替えを行っている。
【0023】
したがって、車速センサの故障時に車速制限燃料流量から通常の燃料流量に切り替わっても急激な燃料流量の変化が生じず衝撃が無くなる。
【0024】
また、本発明では上記の車速センサの異常をコントロールユニットが車速センサからの入力信号がなく車速制限制御中でなければ、車両走行状態を満たす条件として所定車速以上で点灯する車速センサと別系統の車速灯からの入力信号を判定し、この入力信号があったときに車速センサの異常と判定してパイロットランプを点灯させることにより車速センサの異常をドライバーへ警告することが可能となる。
【0025】
【実施例】
図1は本発明に係るエンジン制御装置の実施例を示したもので、この実施例では図5に示した従来例と比較すると判るように、比較部45の代わりに比較判定部48を設け、この比較判定部48には車速灯6からの入力信号と車速計算部43からの車速とを入力するとともにバックアップ燃料流量Q’を保持するメモリ49と相互接続されている点が異なっている。
【0026】
図2及び図3はこのような図1に示した本発明に係るエンジン制御装置におけるコントロールユニット4の比較判定部48で実行される制御アルゴリズムを示したものであり、以下、これら図2及び図3のフローチャートを参照して図1の実施例の動作を説明する。尚、図2及び図3の制御アルゴリズムはコントロールユニット4においてシリアルに実行することができる。
【0027】
まず、目標ラック位置を求める制御アルゴリズムを示した図2において、コントロールユニット4はアクセル開度センサ1からのアクセル開度とエンジン回転数センサ2からのエンジン回転数とを入力し、アクセル開度をアクセル開度変換部41で演算アクセル値ACCinに変換した後、リミットスピードマップ42に与えこのリミットスピードマップ42において演算アクセル値ACCinをパラメータとしエンジン回転数センサ2からのエンジン回転数に基づいて通常の燃料流量Qを決定する(図2のステップS1)。
【0028】
この後、比較判定部48は車速センサ3が異常と認識されているか否かを判定する(同ステップS2)。
【0029】
このステップS2の異常認識は後述する図3におけるステップS28においてクロス判定されるものであり、ステップS2においてはこのステップS28の認識結果を参照することとなる。
【0030】
車速センサ3が異常でないと認識されているときには、車速センサ3からの車速により燃料流量Qを決定する(ステップS3)。
【0031】
そして、図6のステップS4と同様に燃料流量QとQとを比較し、Q<Qであることが判ったときには車速制限制御中であることを認識する(ステップS5)。
【0032】
そして、ここで燃料流量QをQ’としてメモリ49に確保する(ステップS6)。これは、常に車速制限燃料流量によるエンジン制御が行われているときに最新の車速制限燃料流量を保持しておき、車速センサ3が異常になったときの直前値を確保するためである。
【0033】
そして、ステップS3で決定した燃料流量Qを制御量変換部46を介してガバナ回路47に送ることによりエンジン10におけるガバナアクチュエータ5を目標ラック位置に制御する。
【0034】
また、ステップS4においてQ≧Qであることが判ったときには、車速制限制御中ではないことを認識し(ステップS8)、図6のステップS9と同様に燃料流量Qにより目標ラック位置を定めエンジン10におけるガバナアクチュエータ5を制御する。このようにバックアップ制御を設けないのは、常に通常の燃料流量Qにより目標のラック位置が求められているため、通常の車両と同様にドライバーの意思通りに車両がコントロールされるからである。
【0035】
またステップS2に戻って、車速センサの異常が認識されていることが判ったときにはステップS10に進んで現在車速制限制御中と認識されているか否かを判定する。このステップはステップS5における車速制限制御中であることの認識から判定するものである。
【0036】
ステップS10での判定の結果、現在車速制限制御中ではないことが認識されている時には、通常の制御を行えばよいのでステップS14に進み、ステップS9と同様に通常の燃料流量Qによって目標ラック位置を求め、このようにガバナアクチュエータ5を制御することとなる。
【0037】
ステップS10において車速制限制御中であることが認識されたときにはステップS11に進んでステップS6でメモリ49に確保しておいた最新の燃料流量Q’とQとを比較し、Q’<Qであることが判ったときには、燃料流量の増加が懸念されるため、小さい値である異常直前燃料流量Q’により目標ラック位置を求めガバナアクチュエータ5を制御する(ステップS12)。これにより、制御状態の切替による急激な燃料流量の増加を防止している。
【0038】
ステップS11においてQ’≧Qであることが判ったときにはステップS5で設定された車速制限制御中であることの認識を解除し(ステップS13)、ステップS14において燃料流量Qによって目標ラック位置を求める。これは、ドライバーが一旦減速の意思表示を行ったと仮定できるからであり、スムーズな燃料流量の変化、すなわちスムーズな制御状態の変化が行える。
【0039】
図3においては車速センサの異常を認識する制御アルゴリズムが示されており、まず比較判定部48は車速計算部43からの車速が入力されているか否かを判定する(ステップS21)。入力パルスがあるときには車速計算部43において車速計算を行う(ステップS22)。
【0040】
ステップS22で計算した車速が50Km/hであるか否かを判定し(ステップS23)、車速が50Km/hに達していない場合にはこのルーチンから出るが、車速が50Km/hを越えていることが判ったときには車速灯6からの入力信号があるか否かを判定する(ステップS24)。
【0041】
この車速灯6は図4に示すように第2灯についてのものであり、この第2の車速灯は例えば40Km/hを越えると点灯し、この車速灯6から比較判定部48に入力が与えられるものである。
【0042】
なお、ステップS23で50Km/hを用いているのは許容誤差があるためである。また、この車速灯6は車速センサ3とは全く別の系統から車速を入力して対応した閾値により点灯の有無を判定するものである。
【0043】
ステップS24において車速灯入力があった場合には車速センサ3も車速灯6も正常であるのでこのルーチンを出るが、車速灯6からの入力が無いことが判ったときには一定の判定時間を経過したのち(ステップS25)、車速灯6が故障状態であると判定する(ステップS26)。なお、この場合、車速センサは正常であるため特にドライバーへの警告は行わなくてもよい。
【0044】
ステップS21に戻って、車速センサ3からの入力パルスが無いことが判った時にはステップS27に進み、車速制限制御中と認識されているか否かを判定する。
【0045】
このステップS27の判定は図2におけるステップS5における車速制限制御中であることの認識からクロス判定するものであり、車速制限制御中であることが認識されているときには車速センサ3が異常であることを認識する(ステップS28)。
【0046】
そして、一定の判定時間を経過したのち(ステップS29)、車速センサエラーと判断しパイロットランプを点灯させる(ステップS30)。
【0047】
またステップS27において、車速制限制御中であるという認識が無い場合にはステップS31に進んで車速灯6の入力があるか否かを判定し、車速灯6からの入力があることが判った時にはこの場合も車速センサ3が異常であることを認識し(ステップS28)、この場合には車速制限制御が実行できないので無条件で上記と同様にステップS29及びS30を実行する。
【0048】
また、ステップS31において車速灯6からの入力が無かった場合には車速センサ3も車速灯6も動作していないという状態に相当するのでこのルーチンを出る。
【0049】
ここで、車速灯6の判定を行っているのは、車速センサ3の異常検出は車両が走行状態にないと行えないからである。また、車速センサ3が最初から異常を呈している場合など、異常検出が走行中でも車速制限制御中に限らず、このようなときにはドライバーが気付かない内に制限速度を越えて走行してしまう可能性があるため、車速灯6の判定を追加して車速制限制御中以外でも車速センサ3の異常検出を可能にしている。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るエンジン制御装置によれば、車速制限燃料流量によるエンジン制御(車速制限制御)が行われているときに最新の車速制限燃料流量を保持しておき、車速センサの異常を検出したときに車速制限制御中であれば現在保持している最新の車速制限燃料流量をバックアップ値として用いるように構成したので、車速制限制御中に車速センサが異常となった場合の燃料流量の切り換えをスムーズに行うことが出来る。
【0051】
即ち、ドライバーが減速の意志表示を行った場合に限り車速制限制御を解除し、その後はアクセル開度に応じた加減速(車速制限制御のない車両と同様の走行)が出来ることとなる。
【0052】
また、コントロールユニットは、車速制限制御中でなければ車速センサおよび車速センサとは別系統の車速灯からの各入力信号に基づいて車速センサの異常を判定してパイロットランプを点灯させるように構成すれば、車速制限制御が行えない状態、即ち制限速度を越えて走行出来ることをドライバーへ警告することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエンジン制御装置の実施例を示したブロック図である。
【図2】本発明に係るエンジン制御装置に用いるコントロールユニットで実行される燃料流量を決定するための制御アルゴリズムを示したフローチャート図である。
【図3】本発明に係るエンジン制御装置に用いるコントロールユニットにおいて車速センサエラーを判定するための制御アルゴリズムを示したフローチャート図である。
【図4】本発明に係るエンジン制御装置で用いる車速灯の車速に対する点灯の有無を説明するためのグラフ図である。
【図5】従来のエンジン制御装置の実施例を示したブロック図である。
【図6】従来のエンジン制御装置におけるコントロールユニットで実行される制御アルゴリズムを示したフローチャート図である。
【符号の説明】
1 アクセル開度センサ
2 エンジン回転数センサ
3 車速センサ
4 コントロールユニット
10 エンジン
42 リミットスピードマップ
44 車速制限マップ
45 比較部
46 制御量変換部
47 ガバナ回路
41 アクセル開度変換部
43 車速計算部
48 判定部
49 バックアップ部
図中、同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (3)

  1. アクセル開度センサと、エンジン回転数センサと、パルス検出式の車速センサと、該アクセル開度及びエンジン回転数から決定される通常燃料流量と該車速から決定される車速制限燃料流量とを比較して小さい方の燃料流量によりエンジンを制御するコントロールユニットと、を備えたエンジン制御装置において、
    該コントロールユニットが、該車速制限燃料流量によるエンジン制御が行われているときに最新の該車速制限燃料流量を保持しておき、該車速センサの異常を検出したときのみ該車速制限燃料流量によるエンジン制御中であれば該保持した該最新の車速制限燃料流量を固定したバックアップ値として用いることを特徴としたエンジン制御装置。
  2. 該コントロールユニットが、該車速センサの異常検出時にパイロットランプを点灯させることを特徴とした請求項1に記載のエンジン制御装置。
  3. 該コントロールユニットが、該車速センサからの入力信号が無く該車速制限燃料流量によるエンジン制御中でなければ、所定車速以上で点灯する該車速センサとは別系統の車速灯からの入力信号が有ったときに該車速センサの異常と判定してパイロットランプを点灯させることを特徴とした請求項1に記載のエンジン制御装置。
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