JP3622068B2 - 二重エアゾール容器の製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、小型二重構造エアゾール容器(以下「エアゾール容器」という)の製法に関する。さらに詳しくは、内筒を外筒に挿入し、かつ外筒の開口部にバルブを装着するエアゾール容器の製造工程において、内容物及び圧縮ガスの充填工程を簡素化することができるエアゾール容器の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のエアゾール容器は、外筒と、該外筒内に収納される内筒と、内容物を噴射するバルブとを有し、前記外筒の開口部に嵌着されるバルブとから構成され、前記内筒内の内容物を、外筒内の圧縮ガスのガス圧により、前記バルブから押し出すようにされている。係るエアゾール容器の製法としては、従来図12に示すように、バルブ52のバルブハウジング52aの外周に、内筒51の開口部51aを挿着して、バルブハウジング52aで内筒51を支持しながら、外筒50の開口部50aと、内筒51の開口部51aとの空間Sから、圧縮ガスを前記外筒50内に充填し、ついでハウジング52aを、外筒50の開口部50aに嵌着させるようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記内筒51の開口部51aを、バルブハウジング52aに挿着して、内筒51を宙釣り状態にする製法では、内筒51の開口部51aは剛性が弱いため、内筒51内に内容物を充填する間に、内容物53の自重により、開口部51aが変形し、内筒51が外筒50内に落ち込む虞がある。また、同様に、内容物53の充填の後、外筒50に圧縮ガスを充填する間に、ガス圧により、内筒51が外筒50内に押し込められるため、内筒51の胴部が変形したり、又内筒51の開口部51aが変形するため、内筒51が外筒50内に落ち込む虞がある。その結果、生産性が低下するという問題がある。
【0004】
この発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、内容物及び圧縮ガスの充填工程が簡素化することができると共に、生産性を向上させ、かつ生産コストを低下させることができるエアゾール容器の製法を提供することを目的とする。
【0005】
この課題を解決するため、この発明は内筒を収納する外筒上に、バルブが装着されてなる小型二重エアゾール容器の製法であって、上端がまっすぐに上に延び、上部に蛇腹部を備えた有底円筒形で、前記蛇腹部の径が蛇腹部以外の径と実質的に同径である細長形状の内筒および上端がまっすぐ上に延びた外筒を準備し、内筒の底部上に載置して、内筒の開口部を、外筒の開口部から上方に突設せしめ、ついで内筒に内容物を充填すると共にバルブを内筒の上端開口部に嵌入し、外筒の開口部と内筒の開口部との間に形成される空間から、外筒内に圧縮ガスを充填し、ついでバルブを外筒の上端に固着することを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、添附図面に基づいて、本発明に係る製法によって、製造されたエアゾール容器及び当該エアゾール容器の製法について説明する。図1は内袋に蛇腹を有しない以外は本発明の製法に係るものであり、このエアゾール容器の実施の形態は、有底円筒形の外筒1と、該外筒1の底部2に載置される有底円筒形の内筒3と、バルブ4及びこのバルブ4を開口部1aに固定するためのカバー5とから構成されている。そして、内筒3内の内容物6は、例えばクレンジングクリーム、クレンジングジェル、シェービングジェル、染毛剤又は整髪料等を、外筒1内の圧縮ガス、例えば窒素ガス等のガス圧によって、バルブ4から押し出すようにされている。内袋3には図4に示す蛇腹部7が設けられているが、図1では省略している
【0007】
図2は内袋に蛇腹を有しない以外は本発明の製法に関わるものであり、このエアゾール容器の実施の形態は、バルブ4を外筒1の開口部1aに装着した後、この開口部1aをバルブ4の天面にて内側に折曲することにより、バルブ4を固定するタイプのエアゾール容器である。その他の構成は図1に示す実施の形態と同様である。
【0008】
前記外筒1は、アルミスラグからインパクト成形したり、金属板からDI加工したり、ブリキからプレス成形したり、又は樹脂からインジェクションブロー成形することにより、有底筒状の容器本体を形成したのち、さらにネッキング加工により、該容器本体の開口部1aの下方に肩部1dを形成すると共に、開口部1aの下側の外周をロール成形することにより、凹所1bを形成したものである。
【0009】
前記内筒3は、ポリエチレン又はバリア層を有するラミネート樹脂等の可撓性プラスチックから成形され、図4に示すように、前記バルブ4が嵌着される前には、内筒3の開口部3aは、前記外筒1の開口部1aから上方に突設し、かつ内筒3の底部3bは、外筒1の底部2上に載置されている。そして、図1に示すように、カバー5を被せてバルブ4を固定するか、又は図2に示すように外筒1の開口部1aを折曲してバルブ4を固定した場合、内筒3は外筒1の内部において強制的に軸方向に押圧力が掛かった状態で挿入される。なお、従来と同様に、内容部と圧縮ガスの容積比を6:4に保つために、内筒3の形状は、従来の内筒3よりもさらに細長形状にするのが好ましい。
【0010】
4は本発明の製法に関わる二重エアゾール装置を示しており、内筒3の胴部3cに蛇腹部7が形成されている。又図5は本発明の範囲外のものであり、内筒3の底部3bに細管状の蛇腹部8が形成されたものである。前述の製法と同様、内筒3にバルブ4を装着して固定する際に、内筒3の開口部3aが、バルブ4によって上方から押さえられるため、外筒1内において強制的に軸方向に押圧力が掛かった状態で挿入されるが、図4の実施例では、胴部3cの蛇腹部7がスプリングのように内筒3の長さを吸収して縮むため、内筒3の外筒1内における変形を防止することができる。これにより、内容物及び圧縮ガスの漏れがなくなり、バルブ4の装着作業をより確実に行うことができる。又図5の場合は内筒3にバルブ4を装着して固定する際に、底部3bの細管状の蛇腹部8が縮む。なお、内筒3の蛇腹部7の上部外周に、適宜複数の突起を形成し、この突起を外筒1の内周面に当接することにより、外筒1と内筒3との間に間隙を形成すれば、ガスの充填をより容易にすることができる(図示せず)。
【0011】
なお、本願の範囲に入らないが、図6に示す二重エアゾール装置は、蛇腹を設けない細管9を備えており、バルブ4を固定する作業において、内筒3の開口部3aが、外筒1の開口部1a上面に押し付けられたとき、内筒3よりも細管9が変形しやすいように細長く形成したものである。又、図7に示す場合では、内筒3に蛇腹部が設けられていないが、内筒3が多孔質の緩衝材10を介して、外筒1の底部2上に載置されている。前記多孔質の緩衝材10としては、多孔質のスポンジ等を用いることができる。この緩衝材10は、前記蛇腹形状の細管と同様のスプリングの動きをするものである。
【0012】
次に、本発明のさらなる他の実施形態を説明すると、図8は図に示す実施の形態の変形例を示すもので、この実施の形態の特徴は、カバー5に溝部5aを形成したものである。又図9は、図に示す実施の形態の変形例を示すもので、この実施の形態の特徴は、内筒3の抜け落ち、内筒3の上部破損を防止すべく、内筒3の上部のフランジ部11の肉厚を厚く形成したものである。
【0013】
次に、図10及び図11は、本発明のさらなる他の実施の態様を示す断面図である。外筒1に挿入される内筒3の外周部位に、ガス通路12が形成されている。このガス通路12により、圧縮ガス12の充填が容易に行われる。ガス通路12は、外周上等間隔又は任意の間隔の位置に形成することができる。圧縮ガスが均一に充填しやすいように、等間隔の位置に、2〜8個設けるようにするのが好ましい。図10の実施の態様は4個、図11の実施の態様は8個、各々設けた実施の形態の横断面図を示したものである。なお、本発明は主として小型二重構造エアゾール容器の実施の形態(外筒1の外径が28φ以下の容器)を示しているが、外筒1の外径が28φ以上の容器に適用できることはいうまでもない。
【0014】
次に、本発明の製法について説明する。図4に示すように、前記内筒3を外筒1の底部2に直接載置し、前記内筒3の開口部3aを、外筒1の開口部1aの上方に突出させる。開口部3aと開口部1aとのあいだは、通常0〜15mmに保持され、好ましくは4〜7mmに保持されるのが良い。この好ましい数値の根拠は、圧縮ガスが外筒1内にスムーズに充填できる程度の距離である。この場合、距離を大きくとり過ぎると、内筒3が外筒1より異常に突出してしまい、蛇腹部7,8を有しない内筒3の場合、バルブ4を装着する際に、軸方向の押圧力によって内筒3に無理がかかり、胴部が破損する欠点がある。ついで前記内筒3内に、内容物6を充填した後、前記バルブ4のバルブハウジング4a内に、内筒3の開口部3aが、嵌り込む様にした後、バルブ4を外筒1の開口部1a及び凹所1b上に配置する。次に、前記開口部1aと開口部3aとの間に形成される空間Sから圧縮ガスを、前記外筒1内に充填させる。この充填作業が完了すると、バルブ4のバルブハウジング4aを外筒1の開口部1aに挿入し、凹所1b上に載置する。そして、図1に示すタイプの場合、上方からカバー5を被せて、その端部5aを凹所1bにカシメることによりバルブ4を、外筒1の開口部1aに固定できる。又図2に示すタイプの場合、バルブ4を挿入した後、外筒1の開口部1aをバルブ4の天面に折曲することによりバルブ4が、各々外筒1の開口部1a及び凹所1bに確実に固定される。
【0015】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明によれば内筒3を、外筒1の底部2上に載置することにより、内容物及び圧縮ガスの充填作業中に、上端が真っ直ぐ上に延びている内筒3が外筒1内に落ち込むことがなくなり、また内筒3の開口部3aと外筒1の開口部1aとの間に、圧縮ガスを充填するための空間を形成することにより、圧縮ガスの充填作業を容易に行うことができる。さらに充填後、バルブを固定する作業において、内筒3の開口部3aが押しつけられたとき、胴部3cに設けた蛇腹部7がスプリングのように内筒3の長さを吸収して縮むため、内筒3の外筒1内での予想できない変形を防止することができる。その結果、内容物及び圧縮ガスの充填工程を簡易化することができると共に、生産性を向上させ、かつ生産コストを低下させることができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】内筒の胴部に蛇腹部がないことを除き、本発明に係るエアゾール容器の製法によって製造されたエアゾール容器の実施の形態を示した断面図。
【図2】内筒の胴部に蛇腹部がないことを除き、本発明に係るエアゾール容器の製法によって製造されたエアゾール容器の他の実施の形態を示した断面図。
【図3】内筒の胴部に蛇腹部がないことを除き、本発明に係るエアゾール容器の製法によって製造された図1に示すエアゾール容器の部品を示した分解断面図。
【図4】本発明に係るエアゾール容器の製法によって製造されたエアゾール容器のさらに他の実施の形態を示した縦断面図。
【図5】内筒の胴部に蛇腹部がないことを除き、本発明に係るエアゾール容器の製法によって製造されたエアゾール容器のさらに他の実施の形態を示した縦断面図。
【図6】内筒の胴部に蛇腹部がないことを除き、 本発明に係るエアゾール容器の製法によって製造されたエアゾール容器のさらに他の実施の形態を示した縦断面図。
【図7】内筒の胴部に蛇腹部がないことを除き、本発明に係るエアゾール容器の製法によって製造されたエアゾール容器のさらに他の実施の形態を示した縦断面図。
【図8】本発明に係るエアゾール容器の製法によって製造された図に示すエアゾール容器の他の変形例を示した縦断面図。
【図9】本発明に係るエアゾール容器の製法によって製造された図に示すエアゾール容器の他の変形例を示した縦断面図。
【図10】本発明に係るエアゾール容器の製法によって製造されたエアゾール容器の内筒の例を示した横断面図。
【図11】本発明に係るエアゾール容器の製法によって製造されたエアゾール容器の内筒の他の例を示した横断面図。
【図12】従来のエアゾール容器の製法によって製造されたエアゾール容器を示した縦断面図。
【符号の説明】
1 外筒
1a 開口部
2 底部
3 内筒
3a 開口部
3b 底部
3c 胴部
4 バルブ
7 蛇腹部
8 蛇腹部
9 緩衝部
10 緩衝材
12 ガス通路
S 空間

Claims (4)

  1. 内筒を収納する外筒上に、バルブが装着されてなる二重エアゾール容器の製法であって、上端がまっすぐ上に延び、上部に蛇腹部を備えた有底円筒形で、前記蛇腹部の径が蛇腹部以外の径と実質的に同径である細長形状の内筒および上端がまっすぐ上に延びた外筒を準備し、前記内筒を外筒の底部上に載置して、前記内筒の開口部を、前記外筒の開口部から上方に突設せしめ、ついで前記内筒に内容物を充填すると共にバルブを内筒の上端開口部に嵌入し、前記外筒の開口部と前記内筒の開口部との間に形成される空間から、前記外筒内に圧縮ガスを充填し、ついでバルブを外筒の上端に固着することを特徴とする小型二重エアゾール容器の製法。
  2. 前記内筒のまっすぐ上に延びたフランジ部の肉厚が厚く形成されてなる請求項1記載の製法。
  3. 前記内筒が、多孔質の緩衝材を介して外筒の底部上に載置されている請求項1記載の製法。
  4. 前記内筒の外周部に、ガス通路が形成されてなる請求項1から3のいずれかに記載の製法。
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