JP3621431B2 - 平滑筋細胞増殖因子およびそれをコードする単離されたdna - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、平滑筋細胞の成長を刺激する非グリコシル化組換え型哺乳動物BTC−成長因子蛋白質及びその用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
平滑筋細胞の増殖については広く研究されているが(例えば、Schwartz 等、サーキュレーション・リサーチ(Circulation Research)、第58巻、第4号、第427頁参照。ここの開示は、本文献をここに記載することにより、本明細書に引用する。)、平滑筋細胞の増殖を制御するシグナルについては、大部分が未知のままである。平滑筋細胞増殖は、動脈硬化症(アテローム性動脈硬化症及び高血圧症)のような病気において中心的な役割を演じていることが知られており、幼児における平滑筋増殖の欠如は、血管奇形においても何らかの役割を演じている。このように、平滑筋細胞複製ができない場合は、血管の損傷を治療できなくなり、死に至ることも多い。
アテローム性動脈硬化の損傷が形成されている間に、平滑筋細胞の複製が起こることは、現在一般に知られているが、プラークの履歴全体におけるその増殖応答の役割は、全てが明らかになっているわけではない。2、3の研究者は、動脈の発育中に起こる複製が、脂質蓄積及び内皮損傷に先だって、アテローム性動脈硬化の損傷において起こる最初のことであると示唆している。
血管壁における平滑筋複製を説明する主要な仮説は、損傷応答仮説である。簡単に言うと、この仮説は、血管壁の平滑筋細胞が、通常、静止状態で存在すると言うことである。内皮が損傷を受けると、血小板は、動脈内膜への平滑筋細胞の移動及びその中での複製を刺激する因子を放出する[Ross, アルテリオスクレローシス(Arteriosclerosis) , 293−311 (1981)]というものである。Ross は、培養平滑筋細胞の増殖には、血小板由来成長因子(PDGF)が必要であることも示した[Ross 及び Glomset、ニューイングランド ジャーナル オブ メディスン(N. Eng. J. Med.) 295, 369−377, 420−425 (1976)]。
Ross の観察は、それに続くPDGFの精製、その受容体の同定、更に最近では、2つのPDGFペプチド鎖のうちの1つの遺伝子としてのオンコジーンc−sisの同定をもたらした。
【0003】
細胞周期進行のための第2の公知の要件は、インシュリン様成長因子(IGF−1)としても知られるソマトメジンCの利用である。IGF−1それ自身は、平滑筋細胞により合成することができ,IGF−1に対する抗体は、細胞周期の進行を抑制する。これらのデータは、PDGFが、それ自体の進行因子の産生を刺激することが可能であることを示唆している。この観察は、血管壁に固有な因子により平滑筋複製を制御できるかも知れないと言う興味ある可能性に対し、かなり重要な示唆をするものである。
PDGFとは別に、平滑筋細胞の分裂を促進する他の物質も研究されている。更に、血小板も、上皮細胞成長因子(EGF)に類似する蛋白質[Oka 及び Orth、ジャーナル・オブ・クリニカル・インヴェスティゲーション(J. Clin. Invest.) 72、249−259 (1983)並びにAssoian 等、(1994)]及びβ腫瘍成長因子と呼ばれる、懸濁状態の細胞の成長を助けることのできる因子[Tucker 等、サイエンス(Science) 226、705−777 (1984)]を含んでいる。しかしながら、増殖の刺激に対するこれらのそれぞれの相対的な寄与については、大部分が知られていない。
高血圧症における平滑筋複製を制御する刺激についても、大部分が未知のままである。悪性高血圧症での微小血管の変化においてPDGFは重要な役割を演じているかも知れないが、大きい血管又はより穏やかな形若しくはより慢性的な形の高血圧により影響を受ける血管には、PDGFは含まれていないようである。
種々の病状における平滑筋の役割については、多くの研究があり、PDGFのような成長因子のいくつかの機構及び役割が探求されているが、平滑筋細胞の増殖を刺激する分裂促進因子(マイトージェン)についての新しい情報はその解明に当然必要である。このような分裂促進因子を同定することによって、平滑筋分裂促進因子に対する抗体又はこのような分裂促進因子の受容体に結合する競合蛋白質を用いる競合的結合戦略のような、種々の治療戦略を工夫することが可能となるのである。平滑筋分裂促進因子は、血管奇形のような状態の治療に、あるいは創傷/潰瘍治癒における成長因子として、用いることもできる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
先に本発明者等は、実質的に各ベータ細胞がオンコジーンSV40ラージTを発現している、遺伝子導入マウス(RIP1−Tag2)から当初誘導された膵臓腫瘍細胞の馴化培地から得ることのできる新規な成長因子(以下、“BTC−GF”と言う)を提供する出願を行なった(特願平3−279676号)。BTC−GFが元来それから同定され、単離され、精製された膵臓腫瘍細胞(以下、“BTC−3細胞”と言う)のサンプルは、ブダペスト条約により、アメリカン・タイプカルチャー・コレクション(The American Type Culture Collection)にATCC寄託番号CRL 10585として1990年10月26日に寄託されている。BTC−GFは、サブラインの膵臓腫瘍細胞(以下、BTC−JC10細胞と言う)から精製してもよく、その細胞のサンプルは、ブダペスト条約により、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションにATCC寄託番号CRL 10875として1991年9月24日に寄託されている。
本発明のBTC−GFは、平滑筋細胞、3T3線維芽細胞及び網膜色素上皮細胞のための分裂促進因子であり、内皮細胞のためのものではない。BTC−GFは、煮沸、10mMジチオスレイトル及び1M酢酸にさらすことによっても失活しない。BTC−GFの生物活性は、SDS−PAGEにおいて、約32,000の分子量を有する蛋白質の単一バンドとして存在する。BTC−3及びBTCーJC10の両方から精製されたBTC−GFのN−末端アミノ酸配列を比較することにより決定した、BTC−GFの部分N−末端アミノ酸配列(配列番号:1)は、次の通りである。
Asp−Gly−Asn−Thr−Thr−Arg−Thr−Pro−Glu−Thr−Asn−Gly−Ser−Leu−Cys−Gly−Ala−Pro−Gly−Glu−Asn−Cys−Thr−Gly (図7および9参照)
翻訳されたGENBANK及びNBRF蛋白質データベースによるコンピューター調査では、同様の蛋白質は見つからなかった。
【0005】
本発明のBTC−GFは、創傷/潰瘍等の治療と共に、血管奇形の治療に用いられることができる。BTC−GFは、抗体や偽ペプチド(false peptides)のような競合剤を産生するのに使われてもよい。BTC−GFは、小島(ランゲルハンス氏島)のインシュリン産生細胞に由来するために、このような競合剤を、高血圧症と共に、糖尿病において認められるアテローム性動脈硬化症及び糖尿病性網膜症のような平滑筋細胞増殖に起因する病気の治療に用いることもできる。また、この因子は診断テストにも用いられる。例えば、この成長因子に対する抗体が、小島での死にかかっている又は再生しつつあるベータ細胞がこの因子を放出している糖尿病患者の血液中に、この因子を検出することができる。
本発明は新規な非グリコシル化組み換え哺乳動物BTC−GF、哺乳動物BTC−GFをコードする単離されたDNAを提供するが、このDNAはヒトBTC−GFをコードする単離されたDNAを含み、またこのDNAから発現される生成物も包含するものである。
本発明によって、平滑筋細胞の増殖を促進する新規な非グリコシル化組み換え哺乳動物の成長因子BTC−GF、およびその製造方法を提供するものである。
天然のBTC−GFは、各ベータ細胞が実質的にオンコジーンSV40 Tを発現している、遺伝子導入マウス(RIPI−Tag2)から当初誘導されたBTC−3膵臓腫瘍細胞(ATCC No.CRL10585)の馴化培地から同定、単離された。BTC−GFは、BTC−JC10(ATCC No.CRL10875)からも精製されている。
作られた天然のBTC−GFは、SDS−PAGEにおいて、約32,000の分子量を有しており、煮沸しても、熱に安定である。BTC−GFは、10mMジチオスレイトルの存在及び濃度1Mの酢酸にさらした場合も、安定である。
BTC−GFを精製するには、多くの方法を用いることができるが、好ましい方法の概要を次に述べ、実施例で更に詳細に説明する。
【0006】
まず、ベータ腫瘍細胞を、ローラびん内で、5%子牛血清を含むDMEMにて4日間培養する。その後、培地を無血清培地と交換し、採取まで48〜72時間培養する。
次いで、無血清ベータ腫瘍細胞馴化培地を濃縮し、バイオレックス(Biorex)70カラム、フェニルセファロース(Sepharose)カラム、FPLCヘパリンアフィニティーカラム、HPLC逆相カラムなどの多数のカラムに通す。
BTC−3及びBTCーJC10細胞からのBTC−GFを比較することにより得たBTC−GFのN−末端アミノ酸配列は、ABI 470A 蛋白シーケンサー(protein sequencer)で決定した場合、次の通りである。
Asp−Gly−Asn−Thr−Thr−Arg−Thr−Pro−Glu−Thr−Asn−Gly−Ser−Leu−Cys−Gly−Ala−Pro−Gly−Glu−Asn−Cys−Thr−Gly(配列番号:1)
BTC−GFの中間部のアミノ酸配列(図9参照、アミノ酸44−66)は次の通りである。
His−Tyr−Cys−Ile−His−Gly−Arg−Cys−Arg−Phe−Val−Val−Asp−Glu−Gln−Thr−Pro−Ser−Cys−Ile−Cys−Glu−Lys−(配列番号:3の12−34に相当)
本発明者はマウスBTC−GF遺伝子を含有する組み換えDNAを構成しているマウス細胞からマウスBTC−GF遺伝子をクローニングすることによってマウスBTC−GFが製造でき、該DNAとの形質転換から生じた形質転換細胞を培養できることを見出した。
【0007】
一般論としてヒトに近接している動物のタンパク質は対応するヒトのタンパク質とアミノ酸配列順序において極めて高度な相同を示す。事実、異なるアミノ酸の部分はコドンの一点の突然変異によってしばしば生ずる。それ故上記のマウスBTC−GF遺伝子のDNA配列順序がヒトのBTC−GF遺伝子のDNA配列順序と類似する事を予想するのはもっともなことである。本発明者はDNAプローブとしてマウスBTC−GF遺伝子の一部を使いヒト細胞からヒトBTC−GF遺伝子をクローニングし、該ヒトBTC−GF遺伝子を含有する組み換えDNAを構成し及び該DNAとの形質転換から生じた形質転換細胞を培養することによってヒトBTC−GFが製造できることを見出した。
本発明者はさらに研究を行い、以下の(1)〜(5)に関する本発明を完成するに至った。
(1)非グリコシル化組み換え哺乳動物BTC−GF、
(2)哺乳動物BTC−GFをコードする単離DNA、
(3)(2)の単離DNAをもつ組み換えベクター、
(4)(3)のベクターを含有する形質転換細胞、および
(5)(4)の形質転換細胞を培地中で培養することからなる(1)のBTC−GFタンパク質の製造方法。
組み換え非グリコシル化哺乳動物BTC−GFとして、実施例ではヒトBTC−GFおよびマウスBTC−GFから構成されるタンパク質を取り扱っている。
組み換え非グリコシル化ヒトBTC−GFとして、図10のアミノ酸の1番から80番又は1番から147番から構成されるアミノ酸配列を有するタンパク質が例示されている。
組み換え非グルコシル化マウスBTC−GFとして、図9のアミノ酸1番から146番で構成されるアミノ酸配列を有するタンパク質が例示される。
【0008】
また、本発明の別の実施態様では、遺伝子工学技術によるBTC−GFの製造方法、BTC−GFをコードする単離DNAが提供されている。
より詳しくいうと、例えば以下のようにして製造される哺乳動物BTC−GFのポリペプチドをコードする塩基配列を有するDNAを含有する発現ベクターがある。
(a)哺乳動物BTC−GFをコードするRNAの単離、
(b)該RNAに基づいた一本鎖相補DNA(cDNA)の合成及び対応する二本鎖DNAの合成、及び必要な場合は突然変異誘発の実施、
(c)プラスミドあるいはファージベクターへの該cDNAの挿入、
(d)生じた組み換えプラスミドによる宿主の形質転換、
(e)得られた形質転換細胞の培養、あるいはファージプラークの形成及びDNAプローブを用いた例えばコロニーハイブリッド形成法又はプラークハイブリッド形成法のような適当な方法による、形質転換細胞あるいはファージからの目的とするDNAを含有するプラスミドまたはファージDNAの単離、
(f)該プラスミド又はファージからのクローニングされた目的とするDNAの切除、
(g)該クローニングされたDNAをベクターのプロモーターの下流部位への挿入。
【0009】
哺乳動物BTC−GFをコードするRNAは、前記のように多種のBTC−GF生成細胞又は膵臓腫瘍細胞から得られる。
哺乳動物のBTC−GF生成細胞からのRNA調製方法の一つは、グアニジンチオシアネート法(J.M.Chirgwinら:バイオケミストリー(Biochem.),18,5294(1979))である。
かくして逆転写酵素といっしょに鋳型として得られたRNAを用いて例えばH.Okayama.らの方法(モレキュラ・アンド・セルラー・バイオロジー(Mol. Cell. Bio.),,161(1982))により、cDNAが合成できる。得られたcDNAはプラスミド又はファージベクター中へ挿入する。
上述の技術の他に、部位特異的突然変異誘発を利用することができる。部位特異的突然変異誘発は周知であり、「遺伝子工学」(Genetic Engeneering),LatherR.F., F.Lecoq著、アカデミックプレス・31〜50ページ(1983年)に記載されている。オリゴヌクレオチドに対する突然変異誘発は、「遺伝子工学」原理と方法、Smith M., Gillam S.,プラナムプレス、第3巻、1〜32ページ(1981年)に記載されている。
【0010】
本哺乳動物BTC−GFをコードする構造遺伝子の生産は、例えば以下のようにして行なうことができる。
(a)突然変異誘発性オリゴヌクレオチドプライマーと、一本鎖の構造遺伝子から成る一本鎖DNAを交雑する。
(b)変異ヘテロ2本鎖を形成するために、DNAポリメラーゼを用いてプライマーを伸長する。
(c)この変異ヘテロ2本鎖を複製する。
オリゴヌクレオチドプライマーの大きさは、突然変異が行われる遺伝子領域へのプライマーの着実な交雑に不可欠な条件及びオリゴヌクレオチド合成の現在の有効な方法における制限によって変ってくる。オリゴヌクレオチドにより指示される突然変異誘発の使用を意図したオリゴヌクレオチドのデザインにおいて考慮されるべき要因は(例えば、ヌクレオチドの全体サイズ、及び突然変異部位での不適合部のサイズ等)、前記文献中に、スミスM.及びギラムS、によって記載されている。一般的にオリゴヌクレオチドの全体長は、突然変異部位での安定かつ特有な交雑が最大限活かされるように、かつ、突然変異部位と5’及び3’末端との間がDNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性による突然変異の修復を阻止するに十分拡張されるような長さに調整される。
突然変異誘発に用いられるオリゴヌクレオチドは通常12〜24個の塩基、好ましくは14〜20個、更に好ましくは14〜18個の塩基を含有する。これらは通常少なくとも約3塩基からなる、変化を受けるコドンの3’末端を含有している。
例えば付加アミノ酸を有する哺乳動物BTC−GFを得る目的のため、変異性哺乳動物BTC−GF遺伝子は、直接又は制限酵素での消化による断片化後付加されるべきアミノ酸配列をコードする遺伝子を合成し、そしてそれをDNAリガーゼを用いて哺乳動物BTC−GF遺伝子中の適当な部位へ挿入又は付加することによって製造される。
【0011】
適当な制限酵素認識部位が、哺乳動物BTC−GF遺伝子中に存在しない場合は、前記の部位特異性突然変異誘発によって制限酵素認識部位がつくられる。
例えば構成アミノ酸を欠く哺乳動物BTC−GF遺伝子を得る目的のため、変異性哺乳動物BTC−GF遺伝子が、例えばカルボキシル末端が欠失された形でつくられる。カルボキシル末端側でのアミノ酸配列の欠失の場合において、欠失されるアミノ酸の配列をコードする遺伝子のコドンが部位特異性突然変異誘発によって終止コドンへ変えられる。
該cDNAが挿入されるプラスミドには、例えばpBR322(ジーン(Gene)、、95(1977))、pBR325(ジーン、、121(1978))、pUC12(ジーン、19、259(1982))又はpUC13(ジーン、19、259(1982))のような大腸菌由来のプラスミド又は、pUB110(バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーション(Biochem. Biophys. Res. Commun. 12、678(1983))のような枯草菌由来のものがある。使用する宿主で複製でき維持できるものであれば、どのようなプラスミドも同様に使用することができる。
該cDNAが挿入されるべきファージベクターには、例えばλgt10又はλgt11がある。プラスミドへの挿入の好ましい一方法は、T.Maniatisら著の分子クローニング(Molecular Cloning),コールド・スプリング・ハーバー研究室、239ページ(1982)において記載された方法である。
この手法で得られたプラスミドは、適当な宿主、例えばエシェリキア属又はバチルス属に属する菌に導入される。
エシェリキア属の菌の例としては、大腸菌K12DH1株(プロシージングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス USA、60、160(1968))、M103株(ヌクイレック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Research)、、309(1981))、JA221株(ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biology)、120、517(1978))、HB101株(ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー、41、459(1969))、C600株(ジェネティックス(Genetic)、39、440、1954))、及びMM294株(プロシージングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス USA、73、4174(1976))がある。
バルチス属の菌の例としては、枯草菌MI114株(ジーン、24、255(1983))及び207−21株(ジャーナル・オブ・バイオケミストリ(Journal of Biochemistry),95、87(1984))がある。
【0012】
形質転換を達成するための好ましい方法として、T.Maniatisら著による分子クローニング(コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー)、249(1982)に記載の塩化カルシウム又は塩化カルシウム/塩化ルビジウム法が挙げられる。
かくして得られた形質転換細胞の中から、目的とするクローンが例えばDNA塩基配列決定法(プロシージングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス USA、74、560(1977);ヌクレイック・アシッズ・リサーチ、、309(1981))を併用したコロニーハイブリッド形成法(ジーン、10、63(1980))によって選択される。
この方法でBTC−GFをコードするクローニングされたDNAを有するベクター又はBTC−GFをコードするクローニングされたDNAを有するファージを運ぶ微生物が得られる。
該微生物からプラスミドが単離される。
このようなプラスミドの単離のために、例えばアルカリ抽出法(H.C.Birnboimら、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ、、1513(1979))が使用できる。
BTC−GFをコードするクローニングされたDNAを有する前記プラスミド又はファージベクターは、そのままで、又は該DNAの切除のため、制限酵素処理を行って使用できる。
発現ベクターはプロモータの下流部位で該cDNAの発現に適したベクターへクローニングされたcDNAを挿入することによって得ることが出来る。
該ベクターには、酵母由来プラスミド(例えばpSH19,pSH15)、λファージのようなバクテリオファージ、及びレトロウィルス、牛痘ウィルスのような動物ウィルスと同様に、前記の大腸菌由来プラスミド(例えばpBR322,pBR325,pUC13)、及び枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110,pTP5)が含まれる。
該cDNAはその5’末端に翻訳開始コドンとしてATGをもつ。それはまた3’末端に翻訳終止コドンとしてTAA,TGA又はTAGをもつ。該cDNAを発現させるため、プロモーターを該cDNAの上流部位に接続する。本発明の実施に用いられるプロモーターは該cDNAの発現に利用される宿主に適当か、適合するものであればどんなものでもよい。
【0013】
形質転換される宿主がエシュリキア属に属する菌である場合は、特にT7ファージプロモータ、trpプロモータ、lacプロモータ、recAプロモータ、λplプロモータ及びlppプロモータが好ましい。宿主がバチルス属菌である場合は、例えばSP01プロモータ、SP02プロモータ、及びpenPプロモータが好ましい。宿主が酵母である場合は、特に、PH05プロモータ、PGKプロモータ、GAPプロモータ及びADHプロモータが好ましい。特に、宿主はエシェリキア属菌で、プロモータはtrpプロモータ又はλpLプロモータであることが好ましい。
宿主が動物細胞である場合は、SV−40由来プロモータ及びレトロウィルスプロモータが使用可能である。特にSV40由来プロモータが好ましい。
かくして得たベクターを宿主細胞へ導入することによって形質転換細胞が増殖できる。宿主の例として、エシェリキア属菌、バチルス属菌、酵母及び動物細胞がある。エシェリキア及びバチルス属菌の代表例は、本明細書中前記したものである。
酵母としては、サッカロマイセス・セレビシエ・AH22R ̄,NA87−11A及びDKD−5Dが使用できる。
動物細胞としては、多数のものが用いられるが、そのうち、好ましい細胞系として、サルCOS7株(Gluzman, Y,セル23、157(1981))及びベロ細胞株、チャイニーズ・ハムスターCHO細胞株、マウスL細胞株、及びヒトFL細胞株が掲げられる。
エシェリキア属菌の形質転換は、例えばプロシージングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス USA、69、2110(1972);又はジーン、17、107(1982))に記載の方法によって実施できる。
バチルス属菌の形質転換は、例えばモレキュラー・アンド・ゼネラル・ジェネティックス(Molecular and General Genetics)、168、111(1979))に記載の方法によって実施される。
酵母の形質転換は、例えばプロシージングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス USA、75、1929(1978)に記載の方法で実施される。
動物細胞の形質転換は、他にもあるが例えば、ウィロロジー、52、456(1973)に記載の方法により実施される。
この手法により、哺乳動物BTC−GFをコードするDNAを含有するベクターと形質転換された形質転換細胞が得られる。
【0014】
該形質転換細胞を培地中で培養し哺乳動物BTC−GFを生産させる。
宿主としてエシェリキア又はバチルス属菌を用いて得た形質転換細胞の培養に用いられる培地は一般的に液状で、例えば炭素、窒素源及び無機要素等の該形質転換細胞の成長に必要な物質を含んでいる。炭素源としては、例えばグルコース、デキストリン、可溶性デンプン及び庶糖が用いられる。窒素源としては、例えばアンモニウム塩、硝酸塩、コーン浸出液、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆ケーキ及びポテトエキスが用いられる。無機物質としては、特に塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウムが掲げられる。酵母エキス、ビタミン、成長促進剤等をさらに加えることができる。
培地のpHは、約6から8であることが好ましい。
グルコースとカザミノ酸を含有するM9培地(Miller、ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イン・モレキュラ・ジェネティックス(Journal of Experiments in Molecular Genetics)、431−433、コールドスフリングハーバー ラボラトリー、ニューヨーク、1972年)は、エシェリキア属菌の培養に好ましい培地である。プロモータ機能を効率的に発揮させるため、trpプロモータの場合なら3−β−インドリルアクリル酸のような促進剤を必要に応じて添加することができる。
宿主がエシェリキア属菌である場合は、培養は通常、約15〜43℃で約3〜24時間行われる。必要に応じて通気及び/又は撹拌を行う。
宿主がバチルス属菌の場合は培養は通常、約30〜40℃で約6〜24時間行われる。必要に応じて通気及び/又は撹拌を行う。
宿主が酵母である形質転換細胞の場合は、例えばブルクホルダーの最小限培地(Bostian, K.L.ら、プロシージングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス USA、77、4505(1980))が使用できる。培地のpHは約5〜8に調整されることが望ましい。培養は一般に約20〜35℃で約24〜72時間行われ必要に応じて通気及び/又は撹拌を行う。
動物細胞の形質転換細胞を培養するために好ましい培地には、MEM培地(サイエンス(Science)、122、501(1952))、DMEM培地(ウィロロジー、、396(1959))、RPMI1640培地(ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシェーション(Journal of Medical Association)、199、519(1967))、又は199培地(プロシーディング・オブ・ザ・ソサエティー・フォー・バイオロジカル・メディシン(Proceeding of the society for Biological Medicine)、73、1(1950))があり、さらに約5〜20%牛胎児血清が添加される。この培地は約6〜8のpHとするのが望ましい。培養は一般に約30〜40℃で約15〜60時間行われ、必要に応じて通気及び/又は撹拌を行う。
【0015】
組み換えBTC−GFは上記培養生成物より例えば以下の方法によって純粋な形で単離することができる。
培養細胞からBTC−GFを抽出する際には、培養後の該細胞を集め塩酸グアニジンのようなタンパク質変性剤を含有する緩衝液中に細胞を懸濁しそれによって目的のタンパク質の細胞外溶解を起こす方法、又はフレンチプレス、音波処理、リゾチーム処理及び/又は凍結融解により細胞を破壊し、続いて遠心分離によってBTC−GFタンパク質を回収する方法等の適当な方法によって処理を行う。フレンチプレスあるいはリゾチーム処理と音波処理の併用は特に好ましい。
上記方法によって得られた上清からのBTC−GFの精製には公知の単離精製法を適当に組み合わせたものが用いられる。好ましい単離精製法として特に挙げられるのは、塩析法及び溶媒沈澱法のような溶解度の相違を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法及びSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法のような主に分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィー法のような荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィー法のような特別な親和性を利用する方法、逆相液体クロマトグラフィーのような疎水性の差を利用した方法、等電点電気泳動のような等電点の差を利用した方法などがある。
【0016】
更に詳しく説明すると、核酸及び酸性タンパク質は該上清をDEAEセルロースを用いたイオン交換クロマトグラフィーを行うことにより前記上清から取り除くことができる。例えば殆ど中性の緩衝液(例、トリス緩衝液)で平衡にされたDEAEセルロースカラムへ上清を加え流出物画分を集めることが効率的である。該流出物画分をCMセルロース等を用いたイオン交換クロマトグラフィーに通した場合、塩基性タンパク質であるBTC−GFは担体上に吸収され、続いて塩溶液で流出される。CMセルロース等の酸性樹脂カラムクロマトグラフィーは直接細菌抽出物に使用してBTC−GFを精製することができる。
例えば若干酸性の緩衝液(リン酸緩衝液等)で平衡にしたCMセルロースカラムへ上清を加えるのも効率的である。同じ緩衝液でカラムを洗浄した後、BTC−GFは追加の塩(NaCl等)を含んだ緩衝液をカラムに流出することにより回収することができる。流出液は透析後凍結乾燥できる。
【0017】
ヘパリン・セファロースを用いたアフィニティークロマトグラフィーは、大腸菌抽出物中のBTC−GFの精製に応用できる。例えば殆ど中性の緩衝液(例、トリス又はリン酸緩衝液)で平衡にしたヘパリン・セファロースカラムへ上記流出液を加え、カラムを十分に洗浄しNaCl等で作った直線勾配による流出を行うことによりBTC−GFタンパク質を精製できる。
高速液体クロマトグラフィー用に開発されたヘパリンカラム(例、ショーデックスAF−パックHR−894、昭和電工株式会社、日本)は特に効率的である。
この場合BTC−GFは前記のヘパリン−セファロースカラムの場合と同じ方法、即ちサンプルをほぼ中性の緩衝液とともにヘパリンカラムへ加え、カラムを十分に洗浄しNaClで作った直線勾配上で流出させることにより均一な生成物として回収できる。
このようにして得た生成物は透析と凍結乾燥により乾燥粉末形状にすることができる。添加された担体(例、血清アルブミン)とともに製品を保持することによって製品が容器の壁に付着するのを防止することができるので望ましい。
さらに生成物の酸化を防止するため、精製又は保存の過程において少量の還元剤を加えるのが好ましい。
使用できる還元剤にはβ−メルカプトエタノール、ジチオスレイトール、グルタチオン等がある。
この方法により実質的に純粋なBTC−GFが得られる。本発明による実質的に純粋なBTC−GFとは、BTC−GF含量が約95%(重量比)を下回らない製品をいい、より好ましくはBTC−GF含量が約98%(重量比)を下回らないものをいう。
【0018】
医薬用に使用するため、本発明によるBTC−GFは粉末状のものをそのままの形で、あるいは薬理学的に許容される担体、賦形剤及び/又は希釈剤と混合した医薬製剤の形(注射製剤、錠剤、カプセル、溶液、塗布剤)で、非経口又は経口により温血動物(例、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、イヌ、ネコ)に対し安全に投与できる。
注射用製剤は、例えば生理的食塩水又はグルコース及び/又は他のアジュバントを含有する水溶液を用いる従来の方法によって製造できる。錠剤、カプセル及び他の薬剤組成物も同様に従来の方法によって製剤できる。
本組み換え非グリコシル化哺乳動物BTC−GFは、本来のBTC−GFと同じ生物的活性を有する。
本発明によって精製されたBTC−GFは、血管内注入による血管奇形のような病理状態の治療、又は競合的阻害剤の投与によるアテローム動脈硬化の治療に使用できる。
精製されたBTC−GFはまた、創傷や潰瘍の治療にも使用できる。本発明のBTC−GFが傷や潰瘍の治療におけると同様に血管奇形の治療にも用いられる場合は、温血動物へ投与されるべきBTC−GFの量は少量で、適量は投与ルート及び症状によって異なるが、1日当たり1ngから1mg/1kgの範囲、より好ましくは10ngから100μg/1kgの範囲である。
本発明の精製BTC−GFは、高血圧症と共に、アテローム性動脈硬化症及び糖尿病性網膜症の治療に使用できる各種競合剤を作るのにも、用いることができる。BTC−GFと競合し、及び/又はBTC−GFが平滑筋細胞の増殖を刺激するのを妨げる、抗体や偽ペプチドのような競合剤を作ることができる。
BTC−GFは、それ自身に対する抗体を生成するのに用いられることもできる。生成される抗体は、その適用形態に応じて、ポリクローナルでもモノクローナルでもよい。このような抗体は、当業者によく知られている技術によって調製されることができる。例えば、蛋白質又はその抗原蛋白質を複合させてキーホール リンペット ヘモシアニン(KLH)とし、兎等の動物の抗体を高めるのに用いることができる。代表的には、ペプチドーKLH複合体を、約2カ月の期間にわたって数回注射して、抗体を生成する。その後、標準技術により、血清から抗体を集める。一方、ハイブリドーマ細胞を形成する標準融合技術を用いて、その蛋白質に対する抗体を作る細胞内に、モノクローナル抗体を作ることができる[ここに参照のために記載されている G. Kohler 等 ネイチャー(Nature) 256、495 (1975)]。この技術の代表的なものとしては、抗体産生細胞を骨髄腫細胞のような不死化(immortal)細胞株と融合させて、ハイブリッド細胞を作ることが挙げられる。一方、ここに参照のために記載されている Huse 等、サイエンス(Science) 246、1275 (1989) の方法により、細胞からモノクローナル抗体を作ることができる。
【0019】
通常グリコシル化されたタンパク質は各分子のグリコシル化という不均質性ゆえに不均質な性状で製造される。対照的に非グリコシル化タンパク質は均質的に製造され、そのため非グリコシル化タンパク質はグリコシル化された分子に比べて、精製が容易である。さらに非グリコシル化タンパク質の殆どは原核発現系によって製造される。このため非グリコシル化タンパク質はグリコシル化タンパク質に比べて、その生産性が高いのである。
本明細書、特許請求の範囲及び図面において塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commision on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL−体を示すものとする。
DNA :デオキシリボ核酸
cDNA:相補デオキシリボ核酸
A :アデニン
T :チミン
G :グアニン
C :シトシン
I :イノシン
RNA :リボ核酸
dATP:デオキシアデノシン三リン酸
dTTP:デオキシチミジン三リン酸
dGTP:デオキシグアノシン三リン酸
dCTP:デオキシシチジン三リン酸
ATP :アデノシン三リン酸
Tdr :チミジン
EDTA:エチレンジアミンテトラ酢酸
SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
Gly :グリシン
Ala :アラニン
Val :バリン
Leu :ロイシン
Ile :イソロイシン
Ser :セリン
Thr :スレオニン
Cys :システイン
Met :メチオニン
Glu :グルタミン酸
Asp :アスパラギン酸
Lys :リジン
Arg :アルギニン
His :ヒスチジン
Phe :フェニルアラニン
Tyr :チロシン
Trp :トリプトファン
Pro :プロリン
Asn :アスパラギン
Gln :グルタミン
本発明を以下の参考例および実施例によって更に詳しく説明するが、これは本発明の理解を深めるためのものであって、本発明を限定するものではない。
【0020】
なお実施例及び表1において検討されている成長因子活性は、前述のように静止状態のマウスBalb/c 3T3細胞のDNAへの(メチル−H)チミジンの取り込みの測定することによって測定した(Shing Y., Davidson S.,Klagsbrun M.;メソッズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology)、146B,42−48(1987))。ここの開示は、本文献をここに記載することにより、本明細書に引用する。
【0021】
参考例1
10%子牛血清を含むダルベッコ(Dulbecco)改変イーグル培地(DMEM)で、BTC−3膵臓ベータ腫瘍細胞(ATCC寄託番号No.CRL10585)の一次培養液を調製した。これらの培養液を、162cmの細胞フラスコ(Costar Cat #3150)中に入れ、37℃の調湿COインキュベーター内でインキュベートした。これらの細胞を、125mlのインキュベーターを含有する900cmのグロース エリアのローラびん(Coster Cat #3901)への播種源として使用した。4日後、各びん内の培地を、無血清培地と交換した。培地を採取し、48〜72時間インキュベートした後、新しい培地と交換した。馴化培地6リットルを、成長因子の精製のための出発材料として、毎週採取した。
【0022】
参考例2
BTC−3細胞からのBTC−GFの精製方法
工程1.濃縮
無血清ベータ腫瘍細胞馴化培地10リットルを、分子量10,000カットオフフィルターを用いたアミコン(Amicon)中空繊維濃縮器により、4℃で500mlに濃縮した。続いて、濃縮された培地を、連続透析により、50mM NaCl、10mM Tris、pH7に平衡させた。
工程2.バイオレックス(Biorex) 70クロマトグラフィー
濃縮された培地を、4℃で10mM Tris、pH7により平衡させたバイオレックスカラム(床容積200ml)にかけた。このカラムを400mlの同一緩衝液で洗浄し、次いで生物活性を、60ml/時間の流速で、0Mの400mlから0.6Mの400mlまでのNaCl勾配により溶出した(図1)。
工程3.フェニルーセファロースクロマトグラフィー
バイオレックスカラムからの活性画分を集めて、5分間煮沸し、遠心分離(10,000×g、20分)により透明にした。透明上澄み液を1.5M(NHSOとし、4℃で1.5M(NHSOに入れ、10mM燐酸カリウム、pH7により平衡させたフェニールセファロースカラム(床容積25ml)にかけた。このカラムを100mlの平衡緩衝液で洗浄し、続いて、生物活性を、30ml/時間の流速で、pH7にて、10mM燐酸緩衝液中で1.5Mの170mlから0Mの170mlまでの(NHSO勾配により溶出した(図2)。
工程4.FPLCヘパリンアフィニティークロマトグラフィー
フェニールセファロースカラムからの活性画分を集めて、透析し、室温で、10mMTris、pH7により平衡させたTSK−GEL ヘパリン 5PWガラスカラム(7.5cm×8mm内径)にかけた。このカラムを10mlの同一緩衝液で洗浄し、生物活性を、1ml/分/画分の流速で、0から0.3MまでのNaCl勾配により、その後、0.3から0.6Mまでの他のNaCl勾配により溶出した(図3)。
工程5.HPLC C4逆相クロマトグラフィー
ヘパリンカラムからの活性画分を集め、室温で、10%アセトニトリルの0.1%TFA溶液により平衡させたHPLC逆相C4カラムに直接注入した。このカラムを20mlの同一溶液で洗浄し、生物活性を、2ml/分の流速で、10%から35%までのアセトニトリル勾配により溶出して、1.5mlの画分を集めた(図4)。SDS PAGEにおいて銀染色された単一バンドを得るために、この工程をもう一度繰り返した(図5)。
【0023】
精製結果の大略を表1に示す。
【0024】
【表1】
Figure 0003621431
【0025】
数値は、馴化培地10リットルの処理に基づくものであった。
生物活性は、マウス3T3細胞におけるDNA合成により測定した。
成長因子活性1単位は[メチル−H]チミジンのDNAへの最大取り込み値の半分(half−maximal incorporation)までを刺激するのに必要な成長因子の量として定義された。
蛋白質質量は1mg/ml溶液について、A280=1.0を用いて算出された。
* 蛋白質質量は標準蛋白質の強度と比較した銀染色の強度及びアミノ酸分析により算出された。
【0026】
参考例3
平滑筋細胞に対するBTC−GFの細胞分裂促進活性
実施例2の精製BTC−GFは、牛大動脈平滑筋細胞(SMC)の増殖を刺激した(図6)。1%子牛血清を含むDMEM中で培養されたSMCで、BTC−GFの分裂促進活性をテストした。このテストサンプルを培養液に加えた後4日目に、細胞をトリプシン処理し、24ウエルプレートの各ウエル内の細胞数をコウルター(Coulter)カウンターで数えた。
上に例示した精製法により調製された蛋白質は、下記の特性を有している。BTC−GFは、N−末端アミノ酸配列
Asp−Gly−Xaa−Thr−Xaa−Arg−Thr−Pro−Glu−Xaa−Asn−Gly−Ser−Leu−Xaa−Xaa−Ala−Pro−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa(配列番号:2)
を有するポリペプチドである。SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により測定した場合、分子量は32,000である。高温(100℃、5分)、スルフヒドリル還元剤(10mMジチオスレイトル)又は酸性状態(pH2.2)にさらすことによっても、その分裂促進活性は失活しない。
【0027】
参考例4
BTCーJC10を、10%子牛血清を加えたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中に保持した。馴化培地を生成するために、8リットルの撹拌フラスコ[ベルコグラス(Belco glass)]内にて、2mMグルタミン、100U/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを加えたDMEM/F12(1:1)培地、0.5%インシュリン、トランスフェリン及びセレン[ITS、シグマ(Sigma)]並びに0.1%ポリエチレングリコール400中で、10個/mlのBTC−JC10細胞を懸濁液中でふやした。細胞濃度が2×10個/mlになった時に、馴化培地を集めた。
BTC−3細胞からBTC−GFを精製したのと同様な方法により、BTC−JC10馴化培地からBTC−GFを精製した。
BTC−JC10細胞から精製されたBTC−GFの部分N−末端アミノ酸配列は、配列番号:6で示される。
Asp−Gly−Xaa−Thr−Xaa−Arg−Thr−Pro−Glu−Thr−Asn−Gly−Ser−Leu−Xaa−Gly−Ala−Pro−Gly−Glu−Glu−Arg−Thr−Arg(配列番号:6)
図7から分かるように、BTC−3細胞及びBTC−JC10細胞からのBTC−GFのN−末端アミノ酸配列は、同じであると思われ、このことは両タイプの細胞から得られた2種の蛋白質が同じであることを示している。
【0028】
実施例1(マウスBTC−GF cDNAのクローニング)
マウスBTC−GFは、そのアミノ酸配列の中間部にアミノ酸配列:−His−Tyr−Cys−Ile−His−Gly−Arg−Cys−Arg−Phe−Val−Val−Asp−Glu−Glu−Thr−Pro−Ser−Cys−Ile−Cys−Glu−Lys−(配列番号:3の12−34に相当)を有するポリペプチドである。
参考例3及び4(図7及び8)において決定されたマウスBTC−GFの部分的アミノ酸列に基づいて、N末端アミノ酸の7番から12番(Thr−Pro−Glu−Thr−Asn−Gly)、17番から23番(Ala−Pro−Gly−Glu−Glu−Arg−Thr)、及び図8の中間部のアミノ酸1番から6番(His−Tyr−Cys−Ile−His−Gly)、図8の12番から17番(Val−Asp−Glu−Gln−Thr−Pro)の、4つのアミノ酸配列に相応する4つのオリゴヌクレオチドが化学的に合成された。以下のプライマーにおいて、I(イノシン)は、いずれの塩基にも対応可能な塩基としてコドンの三つ目の位置に使われた。
合成されたオリゴヌクレオチドの塩基配列は以下の通りである。
プライマー1:5’ ACI CCI GA A/G ACN AA T/C GG 3’
プライマー2:5’ GCI CCI GGI GA A/G GA A/G C/A GN AC 3’,
プライマー3:5’ CC A/G TG T/G AT A/G CA A/GTA A/G TG 3’及び(アンチセンス)
プライマー4:5’GG NGT T/C TG T/C TC A/G T CNAC 3’
(アンチセンス)(NはA,T,G又はCを示す)。
ポリ(A)RNAは、RNA抽出キット(ファルマシア)及びメッセンジャーRNA精製キット(ファルマシア)を用いてBTC−JC10細胞から調製した。cDNAはポリ(A)RNAとランダムなヘキサヌクレオチド(cDNAシンセシス・システム・プラス、アマシャム)から、鋳型としてこれらのcDNA、プライマーとして二つのオリゴヌクレオチド(プライマー1と4)を用いて合成された。最初のPCR(複製連鎖反応)が行われた(94℃で1分間、45℃で2分間、及び72℃で2分間を30回)。2回目のPCRを最初のPCR生成物及びプライマー2及び3を用いて行った(94℃で1分間、48℃で2分間及び72℃で2分間を30回)。
【0029】
生成物(第2PCRによって増幅されたDNA)は、1.5%アガロースゲル電気泳動によって分画され、約0.1Kbの大きさを持つDNAがゲルから溶出された。このDNAは、32Pでランダムプライミング法で標識した。
前記BTC−JC10 cDNAは、EcoRIで消化され、脱リン酸化されたλgt10ベクター(ストラタージン)と連結し、これらファージベクターをパッケージとしてジガパック II ゴールド、ストラタジーンcDNAライブラリーをつくった。このcDNAライブラリー(約5×10クローン)は、大腸菌NM514(YK ̄MK ̄)とともにプレートにまき、現れたプラーク(プレート当たり3×10 プラーク)は6枚のフィルター(ハイボンドN,アマーシャム)上に移し、0.5N−NaOHで分解し、露出し変質したファージDNAをフィルター上に固定した。
標識したDNAはプローブとしてフィルターとハイブリダイズさせた。ハイブリダイズ反応は、5×SSPE(180mM NaCl,10mM NaHPO,1mM EDTA(pH7.4))及び0.1%SDSを含む5×デンハーツ(Denhardt’s)中に10μCiのプローブを含む変成サケ精子DNAを100μg/mlの割合で含む10mlの溶液中で、65℃で16時間かけて実施した。反応後、フィルターを、0.1%SDSを含有する0.2×SSD溶液で、2回にわたって、各65℃で30分洗浄した。
洗浄したフィルターのラジオオートグラムが取られ、プレート上のプラークとラジオオートグラムを重ね合わせることによって陽性プラークを探し出した。この方法によって、2×10 プラークから7個の陽性ファージクローンが得られた。次に、これらの陽性クローンからのDNA及びプライマ2及び3を用いてPCRを実施し、目的とする大きさのDNA(0.1Kb)がわずか2個のクローンで増幅された。そのうちの一つ(λgt10 BTC−3)は、EcoRI部位に1.2KbのcDNAをもつことが示された。このcDNAをプラスミドpUC119(プラスミドpTB1489)のEcoRI部位へ挿入した。このプラスミドpTB1489を、大腸菌DHTαF’(ベテスダ・リサーチ・ラボラトリー(Bethesda Research Laboratory)、USA)へ導入し、形質転換細胞たる大腸菌DH5αF’/pTB1489(IFO 15256)を得た。この形質転換細胞は、ATCC受託番号68911として1992年2月10日にアメリカン・タイプ・カルチュア・コレクションとして寄託されており、またこのものは受託番号IFO 15256として、日本の大阪の発酵研究所に寄託されている。
このcDNAの塩基配列、即ち1.2KbのEcoRI DNA断片の塩基配列はジデオキシリボヌクレオチド合成連鎖停止反応(J.Messingら、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ、、309(1981))によって決定された。この配列解析結果に基づいて、マウスBTC−GFの全アミノ酸配列が決定できた。
このcDNAの塩基配列及び該塩基配列から予想されるアミノ酸配列が図9に示されている(配列番号:4)。図9において、略語”End”は終止コドンを表し、マウスBTC−GFのN末端残基(アミノ酸番号1番、Asp)は図7のものから推定されたものである。
該N末端アミノ酸残基から上流の30のアミノ酸残基は、おそらくシグナルペプチドを構成する。矢印は、シグナルルペプチドと成熟マウスBTC−GF間の切断部位を示す。
【0030】
実施例2(哺乳動物細胞用のマウスBTC−GF cDNA発現プラスミドの構築)
BTC−GF cDNAを含有する1.2Kb EcoRI断片を実施例1において得たプラスミドpTB1489から単離した。発現プラスミドpTB701(ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー、263、6927(1985年))はEcoRIで切断され、子牛腸ホスファターゼで処理される。得られたプラスミドは、BTC−GF cRNAを含む上記の1.2Kb EcoRI断片に連結された。この連結混合物を用いて、大腸菌DH1(分子クローニング;実験室指針、コールドスプリングハーバーラボラトリー、505ページ、1982年)の形質転換を行なった。生成したアンピシリン耐性形質転換体からプラスミドが単離され、このものはpTB1491と命名された。
【0031】
実施例3(哺乳動物細胞中でのBTC−GF cDNAの発現)
サルCOS7細胞をプレート上にまき(3×10 細胞/プレート)、10%牛胎児血清を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM,フロー・ラボラトリズ)中で培養した。10μgの発現プラスミドpTB1491(実施例2)及びpTB1495(逆方向のBTC−GF cDNAであること以外はpTB1491と同じ構造を有する)を、リン酸カルシウム法(Grahamら、ウィロロジー、52、456(1973))を用いてCOS7細胞へ各々、導入した。翌日、培地を0.5%牛胎児血清を含有するDMEMに交換し、2日間培養した。該馴化培地を集め、静止中のBALB/C3T3A 31−714クローン4(インタナショナル・ジャーナル・オブ・キャンサー(International Journal of Cancer)、12、463(1973))への H−チミジンの取り込みによってDNA合成誘起活性を測定した:これについては、モレキュラ・セル・バイオロジー、第8号、588ページ、1988年に記載されたようにして行なった。結果は以下の表2に示す。
Figure 0003621431
実施例4(ヒトBTC−GF cDNAのクローニング)
ポリ(A)RNA抽出キット(ファルマシア)及びメッセンジャーRNA精製キット(ファーマシア)を用いてヒト乳腺ガン細胞株MCF7(ATCC HTB22,ATCCの細胞とハイブリドーマのカタログ、第6版、1988年)からポリ(A)RNAを調製した。 cDNAを、ポリ(A)RNAとランダムヘキサヌクレオチドプライマー(cDNA シンセシス・システム・プラス、アマシャム)から合成した。これらの cDNAは cDNAライブラリを作成するため、BstXIアダプターと形質転換した大腸菌DH5αF’を用いてプラスミドpME18S(メディカル・イムノロジー(Medical Immunology)、20、27(1990))のBstXI部位に組み込まれた。
この cDNAライブラリは、フィルター当たり約5×10 クローンの割合で10枚のニトロセルロースフィルター(ミリポア製HATFフィルタ)上にまかれた。これらのフィルターをマスターフィルタとして使って、該マスターフィルタに対応するレプリカフィルターを作成した。これらレプリカフィルター上の大腸菌細胞を0.5N NaOHで分解し、露出、変性したプラスミドDNAをフィルター上に固定した(Grunstein M.,Hogness,D.S. プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス USA、72、3961(1975))。
実施例1で得たプラスミドpTB1489を、EcoRIおよびNhaIで消化し、マウスBTC−GFをコードする0.73KbのDNA断片を単離した。このDNA断片をニックトランスレーション法(Rigby, P.W.J.ら、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー、113、237(1977))によって32Pで標識した。このように標識したDNAはプローブとして、レプリカフィルターとハイブリダイズされた。ハイブリダイズ反応は5×SSPE(180mMNaCl,10mM NaH PO ,1mM EDTA(pH7.4))と0.1%SDSの添加された5×デンハーツ中に10μCiのプローブを含んだ100μl/mlの変性サケ精液DNA溶液10ml中で、60℃で16時間にわたって行われた。
反応後、フィルターを0.1%SDSを含有する2×SSC(0.15M NaCl,0.015Mコハク酸ナトリウム)溶液で2回室温で30分、そしてさらに60℃で30分間で2回洗浄した(T. Maniatisら、”分子クローニング”、コールドスプリングハーバー ラボラトリー、309ページ、1982年)。
洗浄したフィルタについてラジオオートグラムを行った。レプリカフィルターのラジオオートグラムの重なり合いによって細菌コロニーを探索した。この方法でプローブと反応できる大腸菌K12DH1/pTB1499株が5×10 コロニーの中から得られた。
プラスミドDNA pTB1499 を先に得た株からアルカリ抽出法(Birnboim, H.C.,Doly,J.,ヌクレイック・アシッズ・リサーチ、、1513(1979))によって抽出し精製した。プラスミドDNAの cDNA部分を制限酵素BstXI(タカラ酒造)を用いて切断し、アガロールゲル電気泳動によって分画した。
続いて、この前記 cDNA部分の塩基配列をジデオキシリヌクレオチド合成連鎖停止法(J. Messingら、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ、、309(1981))によって決定した。
このDNA配列から、ヒトBTC−GFの全アミノ酸配列を決定することができた。
該cDNAの塩基配列及び該塩基配列から推定されるアミノ酸配列を図10に示す。矢印は、シグナルペプチドと成熟ヒトBTC−GFとの間の切断部位を示す。
プラスミドpTB1499を大腸菌DH5α(ベテスタ・リサーチ・ラボラトリ、USA)へ導入し、形質転換細胞たる大腸菌DH5α/pTB1499を得た。この形質転換細胞はATCC受託番号68910で1992年2月10日付でアメリカ・タイプ・カルチャー・コレクションに寄託され、またこのものは1992年1月14日、受託番号IFO 15257としてIFOに寄託された。
【0032】
実施例5(哺乳動物細胞用ヒトBTC−GF cDNA発現プラスミドの構築)
ヒトBTC−GF cDNAを含有する0.7KbのSmaI−DraI断片をプラスミドpTB1499(実施例4)から単離した。Bg1IIリンカーをT4DNAリガーゼを用いてこの断片の平滑末端へ連結した。Bg1IIで消化した後、ヒトBTC−GF cDNAを含む0.7Kb断片を、IL−2 cDNA領域(図11)をとり除いて、pTB399(セル・ストラクチュア・ファンクション(Cell Structure Function)、12、205ページ(1987))から調製した発現プラスミドpTB1308のBg1II部位へT4DNAリガーゼを用いた連結によって挿入した。生成したプラスミド pTB1515はSa1I及びHindIIIで切断した。MuLV LTR及びヒトBTC−GF cDNAを含む2.4Kb断片を単離し、SV40初期領域プロモータ及びハムスターDHFR cDNAを有するpTB348(セル・ストラクチュア・ファンクション、12,205(1987))のSa1I−HindIII部位の間に導入した。生成したプラスミドはpTB1507(図12)と命名した。
【0033】
実施例6(大腸菌のヒトBTC−GF cDNA発現プラスミドの構築)
成熟ヒトBTC−GF(1−147アミノ酸残基)をコードする0.6KbのEcoRI−BamHI断片を、プラスミドpTB1515(実施例5)から単離した。ATG翻訳開始コドン(a:5’TATGGATGGG 3’b;5’AATTCCCATCCA 3’)を有する合成アダプターを上記0.6Kb断片のEcoRI部位に連結した後、生成した0.6Kb NdeI−BamHI断片をT7プロモータ(ジーン、56、125(1987))を含有するプラスミドpET−3c中へ挿入し、プラスミドpTB1505を構築した。
ヒトBTC−GFの80のアミノ酸残基(図10の1(Asp)から80(Tyr)まで)をコードするDNA断片を得るため、鋳型としてプラスミドpTB1505、プライマとして2個のオリゴヌクレオチド(1:5’ATACATATGGATGGGAATTCCA 3’,2:5’CCGGATCCTAGTAAAACAAGTCAACTCT 3’)を用いてPCRを行った。生成物をNdeI及びBamHIで消化し、2.0%アガロースゲル電気泳動で分画し、目的とする0.25Kb DNA断片を単離した。この0.25Kb NdeI−BamHI断片を、pET−3cのT7プロモータの下流にT4DNAリガーゼで連結挿入しプラスミドpTB1516(図13)を得た。
【0034】
実施例7(哺乳動物細胞中でのヒトBTC−GF cDNAの発現)
サルCOS7細胞をプレート当たり3×10 細胞の割合でプレート上にまき、10%牛胎児血清を含むダルベッコの改変イーグル培地(DMEM,フロー・ラボラトリ)中で培養した。10μgの発現プラスミドpTB1499(実施例4)及びpTB1507(実施例5)をリン酸カルシウム法(ウィロロジー、52、456(1973))を用いてCOS7細胞へそれぞれ導入した。翌日、培地を0.5%牛胎児血清を含むDMEMに交換し、さらに2日間培養を行った。馴化培地を集め、モレキュラ・セル・バイオロジー、、588(1988)に記載のごとく、静止状態のBALB/C3T3 A31−714クローン4(インタナショナル・ジャーナル・オブ・キャンサー、12、463(1973))中への H−チミジンの取り込みによってDNA合成誘起活性を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0003621431
実施例8(大腸菌中でのヒトBTC−GFの発現)
大腸菌MM294を、T7ファージのRNAポリメラーゼ遺伝子で組み換えられているラムダファージ(スチュディエ、スプラ)で溶原化した。その後、このプラスミドpLysSを大腸菌MM294(DE3)へ導入し、大腸菌MM294(DE3)/pLysSを得た。この菌株にプラスミドpTB1516を導入し、これにより、大腸菌MM294(DE3)/pLysS,pTB1516を得た。この形質転換細胞を、100μg/mlのアンピシリン及び10μg/mlのクロラムフェニコールを含む20mlのL−ブロス中で37℃で培養した。クレット値が約180である場合は、イソプロピルβ−D−チオガラクトシド(IPTG)を最終濃度で0.4mMになるよう培地に添加し、4時間培養を続けた。この菌体を遠心分離で集め、20mMトリス−HCl(pH7.4),10mM EDTA,0.5M NaCl,10%庶糖及び0.25mM PMSFを含有する緩衝液0.5ml中に懸濁し、続いてこの懸濁液へ、卵白リゾチームを0.5mg/mlの濃度に加えた。これを1時間氷溶中に置いた後、混合液を37℃で5分間培養し、遠心分離(ソルバール、1500rpmで30分、4℃)を行って上清を得た。
この細菌抽出液を、実施例7に記載した静止状態のBALB/C3T3細胞への H−チミジンの取り込みによってDNA合成誘起活性について測定した。結果は表4に示す。
Figure 0003621431
この形質転換細胞大腸菌MM294(DE3)/pTB1516は、受託番号FERM BP−3836で1992年4月21日付で通産省工業技術院微生物工業研究所に寄託され、またこのものは1992年4月16日付けで受託番号IFO 15282としてIFOに寄託された。
【0035】
実施例9(hBTCを生成するCHO細胞株の樹立)
発現プラスミドpTB1507(実施例5)をリン酸カルシウム法によりCHO dhfr ̄ 細胞(ウルラウブら、プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス USA、77、4216(1980))中へ導入した。2日後、培地を選択培地(10%透析牛胎児血清および35μg/mlプロリンを含んだDMEM)に交換し、DHFR+の細胞を得るため培養を続けた。これらのCHO DHFR+細胞を限界希釈法によってクローン化し、60クローンが作られた。各クローンの細胞を24ウェルプレート中で80%飽和となるまで増殖させ、培地を0.5%牛胎児血清及び0.1μg/mlのインシュリンを含有するDMEM/Ham’sF12(1:1)0.5mlに変えた。2日間培養後、馴化培地を集め、実施例3において記載したようにnBTCのDNA合成誘起活性を測定した。60クローン中の31クローンの馴化培地がマウス3T3細胞に対してDNA合成誘起活性を示した。分裂誘発活性は、最大刺激の50%を与えるのに必要な因子の希釈度を決定することにより活性を算出し、標準のマウスEGFの重量として表わすと、0.1から5.0ng/mlであった。
【0036】
実施例10(hBTCを生成するA9細胞株の樹立)
マウスA9細胞(ATCC CCL 1.4)に、hBTC cDNAを含有するpTB1515(実施例5)とヒトHPRT遺伝子を含む発現プラスミドp4aA8(Jolly, D.J.ら、プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス USA、80、477(1983))を用いて同時にリン酸カルシウム法によって形質導入した。この細胞は10%牛胎児血清を添加したDMEM中で2日間増殖させ、続いて選択のためHAT培地(Littlefield, J.W.,サイエンス(Science)、145、709(1964))で培養した。HPRT+細胞はHAT培地中で増殖し、限界希釈法によってクローンを単離した。各クローンの細胞(24ウェルプレート中のウェル当たり10細胞)をプレート上にまき、成育培地中で2日間培養し、続いて2日間0.5%牛胎児血清を含むDMEM 0.5ml中で培養した。10細胞が培地中へ分泌したhBTCレベルを実施例3に記載のマウス3T3細胞に対するDNA合成誘起作用によって調べた。数個のクローンの結果を以下の表5に示す。
Figure 0003621431
クローンA9/1515−14は1993年1月1日に、受託番号FERM BP−4159として微生物工業研究所に寄託され、またこのものは受託番号IFO 50389として1992年12月28日付でIFOに寄託されている。
【0037】
実施例11
COS7細胞より産生されたBTCの精製
プラスミドpTB1507を導入したCOS7細胞の培養上清1リットルに、1M リン酸カリウム(pH6.0),0.5M EDTA,5%CHAPS,0.25M PMSFを各々100ml,2ml,10ml,2mlずつ加え、S−Sepharose カラム(径1.6×10cm,ファルマシア社)に流速2ml/minでかけた。カラムを100mlの緩衝液(0.1M リン酸カリウム(pH6.0),1mM EDTA,0.05%CHAPS,0.5mM PMSF)で洗浄後、0Mから0.21Mの濃度勾配のNaClを0分から10分まで、次いで0.21MのNaClを10分から40分までカラムに流し、40分以後は、0.7M NaClを含む緩衝液を流して蛋白を溶出した。次に、2ml(1分)毎に集めた各溶出画分について、BALB/c3T3細胞に対するDNA合成誘起活性を調べ、分画番号51−69をプールした(図14)。
S−Sepharoseカラムのプール分画を限外ロ過(centriprep−10;アミコン)により濃縮し、20mM Tris(pH7.4)−1mM EDTA−0.05%CHAPSを含む緩衝液にて平衡化したゲルロ過カラム(径1.6×60cm;Superdex 75pg,ファルマシア)に流速1.2ml/minでかけた。開始後、15分より1.2ml(1分)毎に集めた各分画について生物活性を調べ、高い活性を示した分画番号40−50をプールして集めた(図15)。
ゲルロ過カラムのプール分画を、ヘパリンHPLCカラム(径0.85×5cm;Shodex HR−894,昭和電工)にかけ、20mM Tris(pH7.4)−1mM EDTA−0.05%CHAPSにてカラムを洗浄の後、0Mから1MのNaClの濃度勾配を流速1ml/minで60分間にわたってかけ、1分毎に溶出液を分画した。生物活性の認められた分画番号24から28の画分をプールした(図16)。
ヘパリンHPLCカラムのプール画分にトリフルオロ酢酸(TFA)を最終濃度0.1%になるように添加し、C18逆相HPLCカラム(径0.46×15cm;Asahipak ODP−50,Asahi chemical)に流速0.5ml/minでかけた。カラムを0.1%TFAにて洗浄後、0%から63%(v/v)までのアセトニトリル濃度勾配を流速0.5ml/minで70分間にわたってかけ、1分毎に溶出液を分画した(図17)。生物活性は黒ぬりのピークに一致して認められた。
逆相HPLCの活性画分20μlをSDS−PAGEおよび銀染色で調べたところ、分子量26−30KDに相当する位置のバンドのみが検出された(図18)。
以上の操作により43μgのCOS7産生の精製BTCが得られた。
【0038】
実施例12
A9細胞産生BTCの精製
A9/1515−14細胞の培養上清3.5リットルに1M リン酸カリウム(pH6.0),0.5M EDTA,5%CHAPS,0.25M PMSFを各々180ml,7ml,36ml,7mlずつ添加し、S−Sepharose カラム(径2.6×40cm,pharmacia社)にかけた。カラムを300mlの緩衝液(0.1M リン酸カリウム(pH6.0),1mM EDTA,0.05%CHAPS,0.5mM PMSF)で洗浄後、0.7M NaClを含む上記緩衝液を流速1ml/minで流し、蛋白を溶出した。5ml毎に集めた各画分についてBALB/c3T3細胞のDNA合成誘起活性(生物活性)を調べ、分画番号23−32および40−49を各々BTC−IおよびBTC−IIとしてプールした(図19)。
S−Sepharose カラムよりの、BTC−Iプール画分を25%および80%流安で分画した後、限外ろ過(Centriprep−10;アミコン)により濃縮し、20mM Tris(pH7.4),1mM EDTA,0.05%CHAPSで平衡化したゲルろ過カラム(径1.6×60cm;Superdex 75pg,ファルマシア)に流速1.2ml/minでかけ、開始後、15分より1.2ml毎に画分を集めた。高い生物活性を示した画分(分画番号35−41)をプールした(図20A)。
S−Sepharose カラムより得られたBTC−IIプール画分を限外ろ過(YM2,アミコン)で濃縮し、20mM Tris(pH7.4),1mM EDTA,0.05%CHAPSで平衡化したゲルろ過カラム(径1.6×60cm;Superdex 75pg,ファルマシア)に流速1.2ml/minでかけ、開始後、15分より1.2ml毎に分画した。
高い生物活性を示した分画番号66−74をプールした(図20B)。
ゲルろ過カラムから集めたBTC−Iプール画分をヘパリンHPLCカラム(径0.8×5cm;AFpak HR−894,昭和電工)にかけた。カラムを20mM Tris・HCl(pH7.4),1mM EDTA−0.05%CHAPSで洗浄後、0−0.9M NaClの濃度勾配を流速1ml/minで30分間にかけ、溶出液を1ml毎に分画した。生物活性の認められた分画番号9から13の画分をプールした(図21A)。
ゲルろ過カラムから集めたBTC−IIプール画分をヘパリンHPLCカラム(径0.8×5cm;AFpak HR−894,昭和電工)にかけた。カラムを20mM Tris・HCl(pH7.4),1mM EDTA−0.05%CHAPSで洗浄後、0−0.9M NaClの濃度勾配を流速1ml/minで30分間にかけ、溶出液を1ml毎に分画した。生物活性の認められた分画番号16−19の画分をプールした(図21B)。
ヘパリンカラムから集めたBTC−Iプール画分にTFAを最終濃度0.1%になるように加え、C18逆相HPLCカラム(径0.46×15cm;Asahipak ODP−50,Asahi chemical)にかけた。0.1%TFA存在下にアセトニトリル濃度勾配(0−63%)を70分間かけ、0.5ml(1min)毎に溶出液を集めた(図22A)。生物活性は蛋白の溶出ピークと一致して認められた。この部分の蛋白をSDS−PAGE/銀染色で調べると、分子量26−30Kの位置にのみバンドが検出された(図23A)。
以上の操作により150μgのBTC−Iが得られた。
ヘパリンカラムから集めたBTC−IIプール画分にTFAを最終濃度0.1%になるように加え、C18逆相HPLCカラム(径0.46×15cm;Asahipak ODP−50,Asahi chemical)にかけた。0.1%TFA存在下にアセトニトリル濃度勾配(0−63%)を70分間かけ、0.5ml(1min)毎に溶出液を集めた(図22B)。生物活性は蛋白の溶出ピークと一致して認められた。この部分の蛋白をSDS−PAGE/銀染色で調べると、分子量14Kの位置にのみバンドが検出された(図23B)。
以上の操作により75μgのBTC−IIが得られた。
【0039】
実施例13
組換え型大腸菌より産生されたBTCの精製
E.coli MM294(DE3)/plysS,pTB1516を一晩培養した後、培養菌液を、20倍希釈になるようにLB培地に植菌した。37℃で2時間培養後、IPTGを最終濃度0.1mMになるように添加し、さらに3時間培養した。遠心により菌体を集め使用時まで−20℃に保存した。
5リットル培養相当の菌体ストックを解凍し、氷冷した50mM Tris・HCl(pH7.4),10mM EDTA−0.2M NaCl,10%sucrose,1mM APMSFを含むバッファー300mlに懸濁した。これに卵白リゾチーム40mgを溶解し、4℃で2時間インキュベートした後、超音波処理を行い、20,000×gで1時間遠心して上清を取得した。この上清を200mlのQ−セファロースベットを通過させた後、TCAを最終濃度4%になるように加え、40℃で10分間静置した。20,000×gで20分遠心して集めた沈殿を、100mlの20mM Tris(pH7.4),1mM EDTA−0.15M NaCl,1mM APMSFを含むバッファーに懸濁し、乳鉢中でホモゲナイズしながら、5M NaOHを加え、pH6に調整した。このホモゲネートを100,000×gで1時間遠心して得られた上清をS−Sepharoseカラム(径1.6×10cm,pharmacia)にかけた。カラムを0.1M potassium phosphate(pH6.0),1mM EDTA,0.5mM PMSFを含むバッファーで洗浄した後、0Mから1MのNaCl濃度勾配を400ml,200分にわたってかけ、溶出液を5ml毎に集めた。高い生物活性の認められた分画番号20から27をE.coli BTC I,分画番号40から45をE.coli BTC II分画として、それぞれプールした(図24)。
E.coli BTC Iのプール分画にTFAを最終濃度0.1%になるように添加し、C18逆相HPLCカラム(径1.0×25cm;AsahipakODP−50,Asahi chemical)にかけた。カラムを0.1%TFAで洗浄後、0%から63%のアセトニトリル濃度勾配を、340ml,170分間にわたってかけ、溶出液を4ml毎に集めた。生物活性は矢印のピークに一致して認められた(図25)。このピークをSDS−PAGEと銀染色で調べると、18K付近に一本のバンドが認められた(図26レーンI)。BTC Iが精製された。この方法により630μgのE.coli BTC Iが得られた。 E.coli BTC IIのS−Sepharoseカラムプール分画を0.1%TFA存在下にC18逆相HPLCカラム(径4.6×15cm;Asahipak ODP−50,Asahi chemical)にかけた。
カラムを洗浄後、0%から63%のアセトニトリル濃度勾配を、35ml,70分間にわたってかけ、溶出液を0.5ml毎に集めた。生物活性は矢印のピークに一致して認められた(図27)。このピークをSDS−PAGEおよび銀染色で調べると、14.3K(リゾチーム)より分子量の小さい位置に一本のバンドが認められ(図26レーンII)、BTCIIが精製された。この方法により990μgのE.coliBTCIIが得られた。
E.coliBTC IおよびIIのN末端アミノ酸配列を20アミノ酸残基まで決定した。BTC Iは翻訳開始メチオニンから始まる予想通りのN末端を有し、BTC IIはN末端の31残基を欠失した分子であることがわかった(図28)。
【0040】
【0041】
【配列表】
Figure 0003621431
【0042】
Figure 0003621431
【0043】
Figure 0003621431
【0044】
Figure 0003621431
Figure 0003621431
Figure 0003621431
【0045】
Figure 0003621431
Figure 0003621431
Figure 0003621431
【0046】
Figure 0003621431

【図面の簡単な説明】
【図1】濃縮無血清ベータ腫瘍細胞馴化培地をバイオレックス70カチオン交換カラムに通した後のBTC−GFの3T3細胞成長因子活性を示す。
【図2】フェニールセファロースカラムに通した場合の、図1から集められた活性画分の3T3細胞成長因子活性を示す。
【図3】FPLCヘパリンアフィニティーカラムに通した場合の、フェニールセファロースカラムから集められた活性画分の3T3細胞成長因子活性を示す。
【図4】HPLC C4逆相カラムに通した場合の、ヘパリンアフィニティーカラムから集められた活性画分の3T3細胞成長因子活性を示す。
【図5】HPLC C4逆相カラム精製を繰り返すことにより得られた、プールされた活性画分のゲルにおけるBTC−GFの銀染色図である。
【図6】牛平滑筋細胞に対するBTC−GFの分裂促進活性を示す。
【図7】BTC−3及びBTC−JC10から、それぞれ精製されたBTC−GFのN−末端アミノ酸配列を示す。
【図8】マウスBTC−GF(成長因子)の中間部のアミノ酸配列の33番から80番のアミノ酸を示している(配列番号3)。
【図9−1】マウスBTC−GF cDNAの塩基配列及びそれから推定されるマウスBTC−GFのアミノ酸配列を示す(配列番号4)。
【図9−2】マウスBTC−GF cDNAの塩基配列及びそれから推定されるマウスBTC−GFのアミノ酸配列を示す(配列番号4)。
【図10−1】実施例1で得られたヒトBTC−GFの cDNAの塩基配列及びそれから推定されるアミノ酸配列を示す。
【図10−2】実施例1で得られたヒトBTC−GFの cDNAの塩基配列及びそれから推定されるアミノ酸配列を示す。
【図11】プラスミドpTB1515の構築図である。
【図12】プラスミドpTB1507の構築図である。
【図13】プラスミドpTB1516の構築図である。
【図14】実施例11で得られたS−セファロースカラムクロマトグラフィーの結果を示す。
【図15】実施例11で得られたゲルろ過の結果を示す。
【図16】実施例11において得られたヘパリン高速液体クロマトグラフィーの結果を示す。
【図17】実施例11において得られた逆相高速液クロマトグラフィーを示す。
【図18】実施例11において得られたSDA−PAGE銀染色の結果を示す。
【図19】実施例12において得られたS−セファロースカラムクロマトグラフィー及びDNA合成誘導活性の結果を示す。
【図20】実施例12において得られたゲルろ過の結果を示す。
【図21】実施例12において得られたヘパリン高速液体クロマトグラフィーカラムクロマトグラフィーの結果を示す。
【図22】実施例12において得られた逆相高速液体クロマトグラフィーの結果を示す。
【図23】実施例12において得られたSDS−PAGE銀染色の結果を示す。
【図24】実施例13において得られたS−セファロースカラムクロマトグラフィーの結果を示す。
【図25】実施例13において得られた逆相高速液体クロマトグラフィーカラムクロマトグラフィーの結果を示す。
【図26】実施例13において得られたSDS−PAGE銀染色の結果を示す。
【図27】実施例13において得られた逆相高速液体クロマトグラフィーカラムクロマトグラフィーの結果を示す。
【図28】実施例13において得られた結果によるアミノ酸配列を示す。

Claims (12)

  1. 配列番号:5(図10)のアミノ酸番号1番から80番のアミノ酸で示されるアミノ酸配列からなる非グリコシル化組換え型蛋白質。
  2. 配列番号:5(図10)のアミノ酸番号1番から147番のアミノ酸で示されるアミノ酸配列からなる非グリコシル化組換え型蛋白質。
  3. 請求項1記載の蛋白質をコードする塩基配列からなる単離されたDNA。
  4. 請求項2記載の蛋白質をコードする塩基配列からなる単離されたDNA。
  5. 配列番号:5(図10)のDNA番号388番から627番の塩基配列からなる請求項記載の単離されたDNA。
  6. 配列番号:5(図10)のDNA番号388番から828番の塩基配列からなる請求項記載の単離されたDNA。
  7. 請求項記載の単離されたDNAを保持する組換えベクター。
  8. 請求項記載の単離されたDNAを保持する組換えベクター。
  9. 請求項記載のベクターを保持する形質転換体。
  10. 請求項記載のベクターを保持する形質転換体。
  11. 請求項記載の形質転換体を培地中で培養することを特徴とする請求項1記載の蛋白質の製造方法。
  12. 請求項10記載の形質転換体を培地中で培養することを特徴とする請求項2記載の蛋白質の製造方法。
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