JP3621232B2 - 難燃性ポリオレフィン樹脂成形体 - Google Patents

難燃性ポリオレフィン樹脂成形体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン樹脂成形体、特にポリプロピレン樹脂成形体であって、熱分解時の煙の発生を抑制するように改良した難燃性のポリオレフィン樹脂成形体に関する。
【0002】
【従来技術と解決すべき課題】
ポリオレフィン樹脂、特にポリプロピレン樹脂は熱可塑性樹脂として成形性がよく機械的強度も高く、安価であり、化学的に酸やアルカリに対しても比較的安定で、非粘着性で表面が汚れ難く、電気的にも電気絶縁性が良好で、熱分解時にハロゲンガスも発生せず、近年は、容器類や器具の形成に使用され、また、半導体製造装置の液槽・容器類、配管部材、その他の構造部材等にも使用されている。
【0003】
然しながら、ポリプロピレン樹脂は、燃え易く、加熱されるとポリプロピレンが熱分解をし始め、分解には、分解した有機物質の放散による発煙を起こし、炎焼するようになる。
【0004】
ポリプロピレン樹脂成形体が半導体製造施設内の装置に使用される場合には、ポリプロピレン樹脂を使用した装置機械の耐燃焼性を高め、施設全体の防災機能を高める必要から、ポリプロピレン樹脂成形体に難燃性が要求されている。また、火災の際に燃焼中のポリプロピレン樹脂が発煙することは、粉塵が同施設内の空気清浄度を低下させ、その周辺の精密装置や半導体部品を汚染させるので、その発煙量を抑制することが望まれている。
【0005】
このように、特に、半導体製造装置用のポリプロピレン樹脂成形体には、加熱時の難燃性と難発煙性が要求されると同時に、腐食性ガスの発生を少なくするような性質が要求されている。これらの性能評価のためには、ファクトリー・ミューチュアル・システム(北米を根拠とする産業相互保険組織)の定める評価基準が有効で且つ利用されつつある。
【0006】
この評価基準においては、ポリプロピレン樹脂成形体の難燃性を示す延焼指標FPI、発煙性を示す発煙指標SDI、及び腐食性ガス発生の腐食指標CDIが規定されている。これらを求める式を下記に示す。
FPI=(0.4QCH1/3 /TRP (1)
但し、QCH=ΔHco2 ・Gco2 +ΔHco・Gco (Chemical release rate)
TRP=ΔTig・(κ・ρ・C1/2 (Thermal response parameter)
ここに、ΔTig;発火温度、κ;伝熱係数、ρ;比重、及びC;比熱であり、また、ΔHco2 とΔHcoとはそれぞれCO完全燃焼時とCO完全燃焼時の発生熱量を、Gco2 とGcoとはそれぞれCOとCOとの発生ガス比率を、それぞれ表す。
SDI=FPI・y (2)
但し、 y=G/m (煙の発生量)
G=(1.1・V・D・λ)/(7/A) (煙の発生比率)
ここに、V;煙の流量比、D;光学比重、λ;光源波長、A;燃焼面積、m;質量減少比。
CDI=FPI・CI (3)
但し、CI=(δ/Δt)/(W/V・ΔtTEST) (腐食指数)
ここで、δ;銅の厚み、Δt;試験時間、W;気体の通過速度、V;空気に対する気体発生流量比、ΔtTEST;気体発生時間。
【0007】
半導体製造装置に使用される有機系材料については、ファクトリー・ミューチュアル・システムにより、FPIが6以下で、SDIが0.4以下、且つ、CDIが2以下であることが要求されている。これらの指標の中で、ポリプロピレン樹脂成形体については、腐食性ガス発生の腐食指標CDIについては、樹脂自体にハロゲンを含んでいないので比較的容易に達成できる可能性があるが、FPIとSDIの基準、特にSDIの基準については、従来のポリプロピレンでこの基準を満たするのが困難であり、なお解決すべき具体的課題を残している。
【0008】
本発明は、上記の基準を満たすべく難燃性に優れ、発煙量が少ない工業用の、特に、半導体製造用のポリオレフィン樹脂、特にポリプロピレン樹脂の成形体を提供せんとするものである。さらに、これら難燃性付与によってもポリオレフィン樹脂成形体の機械的性質や成形性・加工性等を極力低下させないような方策をも提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基本的には、ポリオレフィンに無機充填材の微粉末を相対的に多量に添加して、成形体中のポリオレフィンの含有量ないし占有体積を相対的に低減し、ポリオレフィン樹脂成形体の燃焼を抑制するものである。無機充填材には、含水充填剤、特に、水酸化物系の無機充填材が、脱水反応による吸熱と結晶水の放出による燃焼抑制効果のために有利に利用される。この無機充填材はポリオレフィン樹脂100重量部に対して100〜200重量部添加される。
【0010】
本発明は、また、ポリオレフィンに、多量の無機充填材微粉末と共に、難燃剤を添加して成るポリオレフィン樹脂成形体を包含し、難燃剤の難燃作用によりポリオレフィン樹脂の燃焼を積極的に抑制するものである。難燃剤としては、特にハロゲン系難燃剤とリン系難燃剤が広く使用できる。これらの難燃剤により難燃性を効率よく高め、無機充填材の量を減少させることができて成形体の機械的性質や加工性等を高めることができる。
【0011】
本発明は、ポリオレフィン100重量部に対して、上記の無機充填材50〜150重量部と、ハロゲン系難燃剤5〜50重量部と、を添加してなり、無機充填材の一部として無機系ハロゲン捕捉剤を含んで成るポリオレフィン樹脂成形体が含まれる。この成形体においては、ハロゲン捕捉剤によりハロゲン系難燃剤から発生するハロゲンガスを捕捉して腐食性ガスの発生をなくすことができる。
【0012】
さらに、本発明は、ポリオレフィン樹脂成形体には、ポリオレフィン100重量部に対して無機充填材50〜150重量部と、リン系難燃剤としての赤リン1〜20重量部と、を添加して成るポリオレフィン樹脂成形体が含まれる。この場合には、無機充填材の一部として酸化チタン10〜70重量部を含むのが好ましく、該酸化チタンにより赤リンの添加により生じる着色をなくすことができる。上記赤リンの添加により難燃性を積極的に向上させて発煙量を少なくできる。
【0013】
ポリオレフィン100重量部に対して無機充填材50〜150重量部と、リン系難熱剤としての燐酸エステル5〜50重量部と、を添加して成るポリオレフィン樹脂成形体が含まれる。上記燐酸エステルの添加により、リン成分による難燃性の付与と、エステル成分による成形性の向上とが同時に計られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が使用される。このうちでも、ポリプロピレンは熱変形温度が高く、耐薬品性も良好で溶接もし易いので好ましく用いられる。以下、ポリプロピレンを例にとって説明する。
ポリプロピレンに基本的に添加される無機充填材には、アルカリ土類の金属酸化物や金属水酸化物や金属炭酸塩、タルク、ゼオライト、酸化チタン等が用いられる。このなかでも、特に、金属水酸化物と金属炭酸塩の充填材とが好ましく使用でき、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸リチウムなどから1種又は2種以上が使用される。その他にはタルクも好ましく使用される。
【0015】
無機充填材の個々について以下に述べる。先ず、タルク、即ち水和珪酸マグネシウムの粉末がある。これは無機物であり、ポリプロピレンの量を減じて発火温度と伝熱係数と比重を高めて燃焼速度を低下させる。
特に、タルクは、他の無機物と比べて良好な耐薬品性を有し、その白色度が95前後と高く、硬度が1前後と柔らかくて成形体の加工性を損なわない、という特性を有しているので好ましいのである。このタルクの添加量は、ポリプロピレン100重量部に対して、10〜100重量部が好ましい。100重量部以上になると成形体の機械的強度が低下する。より好ましくは20〜60重量部である。
【0016】
水酸化マグネシウムと、水酸化アルミニウム(含水アルミナを含む)の粉末は、ポリプロピレンの量を減じて燃焼速度を低下させる。これらの水酸化物は、ポリプロピレン樹脂成形体が加熱されて温度が上昇する過程で、分解されて水を放出しその際の吸熱反応により昇温速度が低くなり、ポリプロピレンの分解を遅らせ、その分解速度を低下させる。そして、水放出後は無機物として残ってポリプロピレンの量を少なくして発煙を抑える効果を有する。
【0017】
これら水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムの配合は、ポリプロピレン100重量部に対してそれぞれ30〜200重量部の添加が好ましく、30重量部未満では効果少なく、200重量部を超えると成形体の耐薬品性が悪くなり、機械的強度、特に、衝撃強度も低下する。より好ましくはそれぞれ30〜100重量部である。
【0018】
これらの水酸化物充填材のなかでも水酸化マグネシウムは、その脱水温度が、約340℃程度であり、ポリプロピレンの押出し成形やプレス成形時の温度である200℃前後より、かなり高温であるので成形中に脱水・発泡することはなくて好ましく用いられる。
【0019】
炭酸塩充填材には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸リチウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩があり、これら炭酸塩の粉末は、ポリプロピレン中に配合することによりポリプロピレンの量を減じて燃焼速度を低下させる。これらの、アルカリ土類金属の炭酸塩は、難燃剤に臭素化物や塩素化物等のハロゲン化物を使用する場合には、該ハロゲン系難燃剤の燃焼により発生する単体ハロゲンまたはハロゲン化水素と反応して、ハロゲン化合物として固定でき、火災時のハロゲン放出を抑制できる。
これらのアルカリ土類炭酸塩の配合量は、ポリプロピレン100重量部に対して20〜100重量部が好ましい。20重量部以下では効果、特にハロゲン捕捉能力が不充分であり、100重量部を超えると成形体の機械的強度が低下する。
【0020】
これらの炭酸塩のなかで、炭酸カルシウムが、その粒径が0.5μm以下、好ましくは0.1μm以下のものが安価に且つ容易に入手でき、これを用いることで表面積を大きくできて塩化水素と反応し易く、好ましく採用される。また炭酸リチウムもハロゲンと反応し易く好ましく採用される。
【0021】
その他の無機充填材である酸化チタンは、ポリプロピレン中に配合することによりポリプロピレンの量を減じて燃焼速度を低下させるが、特に、白色に着色できる効果があり、着色の用途に好ましく使用される。酸化チタンの配合量は、ポリプロピレン100重量部に対して5〜70重量部が好ましい。5重量部以下では白色に着色することが不充分であり、70重量部を超えると金属とのすべりが悪くなり成形が困難となる。
【0022】
以上の無機充填材は、上記の化合物から1種又は2種以上が選ばれ、無機充填材の総量として、ポリプロピレン100重量部に対して、100〜200重量部が添加される。
この理由は、100重量部未満では、ポリプロピレンに難燃性を充分付与できずに延焼指標や発煙指標を充分低下させることができず、200重量部を越えると、成形体としての機械的強度が不足し半導体製造装置に使用できず、また耐薬品性も悪くなり実用的でなくなるからである。
【0023】
他方、上記の無機充填材と共に難燃剤が添加されてもよい。難燃剤には、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、アンチモン系難燃剤等が使用される。これらの難燃剤を添加することにより、ポリプロピレンの難燃性を高めることができるので、無機充填材の添加量を50〜150重量部まで減少させることができ、無機充填材の添加による機械的強度や耐薬品性の低下を抑えることができる。
ハロゲン系難燃剤としては、臭素系難燃剤と塩素系難燃剤などが利用できる。臭素系難燃剤には、デカブロモジフエニレンエーテル、臭素化エポキシ化合物などが好適に利用される。
これらの臭素系難燃剤は、高温時の熱分解により難燃性の臭素ガスを発生させて、表面被覆し、可燃性ガスを希釈する等して、燃焼を遅らせる効果がある。
【0024】
特に、臭素化エポキシ化合物は、加工助剤としての作用も有するので、ポリプロピレン樹脂に所要の加工性を付与することができるので好ましく採用される。その配合量は、ポリプロピレン100重量部に対して5〜20重量部が適当である。
これら臭素系難燃剤の添加量は、ポリプロピレン100重量部に対して、5〜50重量部が好ましく添加される。5重量部未満では、添加による効果が発揮されずにFPIを低下させることができず、50重量部を越えると、臭素ガスや臭化水素ガスの発生が多くなり、このガスを捕捉するためのハロゲン捕捉剤を多量に必要とし、結果的に機械的強度が低下する。
【0025】
他方、塩素系難燃剤には、塩素化ポリエチレン等があり、含有塩素により、燃焼中の可燃性ガスと酸素との連鎖反応を停止させて、難燃性を示し、また塩素ガスにて可燃性ガスを希釈して燃焼を遅らせる。
塩素化ポリエチレンはポリプロピレン樹脂に加工性を付与するので好ましく用いられる。その添加量は、ポリプロピレン100重量部に対して、好ましくは、5〜50重量部が添加できる。5重量部未満では、添加による効果が期待できず、50重量部を越えると、塩素ガスや塩化水素ガスが多量に発生し、この塩素ガス即ち腐食性ガスによい腐食指標を満足させることができなくなるし、このガスを捕捉するためにハロゲン捕捉剤を多量に用いると機械的強度が低下する。
【0026】
上記のハロゲン系難燃剤は、ポリプロピレン100重量部に対して総量が5〜50重量部となるように調整するのが好ましい。
【0027】
上記のハロゲン系難燃剤を、特に、塩素系、臭素系難燃剤を使用する際には、これらの難燃剤より発生する塩素、臭素、塩化水素、臭化水素等の腐食性ガスを捕捉する捕捉剤を同時に添加するのが好ましい。このハロゲン捕捉剤としては、例えば金属水酸化物(例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム)、ゼオライト、金属酸化物(例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム)金属炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム)等の無機系ハロゲン捕捉剤が主に用いられる。これらはハロゲンと反応して、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化リチウム、塩化カルシウム等となってハロゲンの放出を抑制する。またゼオライトにおいては、その内部に吸着してハロゲンを捕捉する。上記水酸化物、酸化物、炭酸塩はポリプロピレン100重量部に対して10〜100重量部を用いるのが好ましい。また、ゼオライトはポリプロピレン100重量部に対して0.5〜5重量部、好ましくは1〜3重量部用いられる。
【0028】
リン系難燃剤には、赤リンと有機リン系化合物が使用される。リン系難燃剤は、ポリプロピレン中にあって燃焼時には、酸化ないし熱分解により燐酸を生成し、ポリプロピレン表面に残留して酸素移動を抑制して表面の炭化を促して材料表面の燃焼を抑制する効果がある。そして、リン系難燃剤による効果により無機充填材の添加量を減少させることができ、機械的強度や耐薬品性等を高めることができる。
【0029】
赤リンは、他のリン系難燃剤よりもリン含有量が多く、ポリプロピレンに少量添加することにより難燃性を発現するので好ましく使用され、その配合量は、ポリプロピレン100重量部に対して1〜20重量部が好ましい。1重量部以下では効果が充分でなく、20重量部を超えると赤色への着色が著しく酸化チタン等によっても隠蔽することができない。従って、赤リンの用法としては、ポリプロピレン100重量部に対して無機充填材50〜150重量部と、赤リン1〜20重量部とを添加して樹脂成形体を形成するのが良い。好ましくは、さらに、酸化チタン5〜70重量部を配合して、赤リンにより樹脂成形体が赤みに着色するのを防止するのがよい。
【0030】
他のリン系難燃剤としてはリン酸エステル系、含ハロゲン酸エステル系、ポリリン酸塩系等が用いられ、このなかでも有機リン酸エステルが好ましく利用される。有機リン酸エステルは、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート等がある。
その添加量は、ポリプロピレン100重量部に対して、5〜50重量部が好ましい。5重量部未満では、添加による効果が期待できず、50重量部を越えると、ポリプロピレンとの相溶性が悪くなり成形品の外観が悪くなる。
従って、ポリプロピレン100重量部に対して、上記の無機充填材50〜150重量部と、リン酸エステル5〜50重量部と、を添加してポリプロピレン樹脂成形体とされる。
【0031】
本発明さらに、難燃助剤を配合して使用することもできる。難燃助剤それ自身として難燃性は少ないが、他の成分と組み合わせることにより難燃性、発煙抑制、腐食ガス抑制の働きするものである。
難燃助剤には、三酸化アンチモン(Sb)粉末があり、特に、ハロゲン系難燃剤と組み合わせて使用すことにより、優れた燃焼禁止作用があり、樹脂難燃性を発揮するものとして知られている。三酸化アンチモンは、ポリプロピレン100重量部に対して1〜20重量部の添加が好ましい。
【0032】
さらに、難燃助剤には、錫酸亜鉛、ヒドロキシ錫酸亜鉛等がある。これらは発煙低減効果を有し、亜鉛と錫との部分的揮発により一酸化炭素を減少させ、燃焼ガス抑制とシェル効果の相乗効果が大きいので好ましく用いられ、その添加量は1〜5重量部である。
【0033】
さらにまた、難燃助剤としてホウ酸亜鉛やヒドロキシホウ酸亜鉛が使用でき、これらは、発煙低減効果が増強される。これらのうちで、結晶水を持つヒドロキシホウ酸亜鉛は、結晶水の放出により燃焼速度ないし昇温速度を遅くするので好ましく採用される。さらに耐薬品性にも優れ、特に硫酸によって白色に変化するので外観の変化がそれ程目立たない。この添加量は1〜20重量部が好ましく、より好ましくは5〜20重量部である。
【0034】
さらに、難燃助剤として、粉末状のシリコーン系ポリマーが利用できる。シリコーン系ポリマーは、これ自体が有害物質を含まない難燃性ポリマーであるが、ポリプロピレン中に添加されて粒子状で分散させることにより、加熱時のポリプロピレンの熱発生速度を低下させて燃焼速度を低下させ、その結果として、ポリプロピレン樹脂の発煙量を抑制する効果を生じる。このようなシリコーン系ポリマーとしては、ポリマー分子中にエポキシ基ないしメタクリル基などの官能基を有するものも利用可能である。
特に、シリコーン系ポリマーは、無機充填材や他の難燃剤が添加された場合のポリプロピレン樹脂の機械的性質、特に衝撃強度の低下を補償改善する効果があり、また加工助剤としての効果もあるので、上記の無機充填材や他の難燃剤と併用することが好ましい。その配合量は、ポリプロピレン100重量部に対して1〜10重量部が適当である。
【0035】
上記の無機充填材及び必要な難燃剤は、ポリプロピレン中に配合されるが、難燃剤の配合量及びその組合わせ等も勘案して、成形体にファクトリー・ミューチュアル・システムが要求する要件、即ち、上記の指数FPI≦6、SDI≦0.4、且つ、CDI≦2を満たすようにその配合が総合的に決められる。
【0036】
上記要件を満たすための配合例として、以下のように無機充填材を配合したもの、或はこれに難燃剤を配合したものが含まれる。
先ず、ポリプロピレン100重量部に対して、各無機充填材を組み合わせて配合してなるポリプロピレン樹脂成形体が挙げられる。
【0037】
配合例1
タルク 5〜100重量部
水酸化アルミニウム 30〜100重量部
水酸化マグネシウム 30〜100重量部
配合例2
タルク 5〜100重量部
水酸化マグネシウム 30〜200重量部
リン酸エステル 5〜50重量部
配合例3
タルク 5〜100重量部
水酸化アルミニウム 30〜200重量部
リン酸エステル 5〜50重量部
【0038】
他の配合例として、ポリプロピレン100重量部に対して、無機充填材と共に臭素系難燃剤を使用するものとして以下の組合せが利用できる。
配合例4
炭酸カルシウム 10〜100重量部
臭素系難燃剤 5〜50重量部
ゼオライト 0.5〜5重量部
【0039】
赤リンを使用する組合せについて、
配合例5
タルク 5〜100重量部
水酸化マグネシウム 30〜200重量部
赤リン 1〜20重量部
TiO 5〜70重量部
配合例6
水酸化マグネシウム 30〜100重量部
水酸化アルミニウム 30〜100重量部
赤リン 1〜20重量部
TiO 10〜70重量部
本発明の難燃性ポリプロピレン成形体は、ポリプロピレンと、上記の無機充填材、難燃剤と共に、適当な、酸化防止剤が添加されて、配合調整される。
【0040】
このようにして配合調整されたポリプロピレンを含む混合物は、通常の押出成形法、プレス法により、溶融されて成形され、所望形状の成形体にし、特に、半導体製造装置用のポリプロピレン樹脂成形体として利用されるのである。
【0041】
【実施例】
市販のポリプロピレンを用い、これに無機充填材、難燃剤、ハロゲン捕捉剤、難燃助剤を、それぞれ表1に示すように配合して、厚さ5mmのポリプロピレン成形体を得た。
実施例1は、無機充填材としてタルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムを用い、その総量が190重量部となるように配合した。実施例2は無機充填材兼ハロゲン捕捉剤としての炭酸カルシウム、ハロゲン捕捉剤としてのゼオライト、臭素系難燃剤としてのデカブロモジフェニルエーテル、難燃助剤としてスズ酸亜鉛を、それぞれ表1に示す割合で配合した。実施例3は無機充填材としての水酸化マグネシウム、酸化チタン、リン系難燃剤としての赤リンを配合し、酸化チタンを白色着色剤として兼用して用いた。実施例4は無機充填材としてのタルク、水酸化マグネシウム、リン系難燃剤としてトリクレジルオスフェートを配合した。また、比較例として、ポリプロピレンのみの例(比較例1)、無機充填材を200重量部以上配合した例(比較例2)、臭素系難燃剤を多量に配合した例(比較例3)を用いた。
これらの実施例及び比較例について、それぞれFPI、SDI、CDIを測定すると同時に、機械的強度を測定した。その結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
Figure 0003621232
【0043】
この表1より、実施例1は無機充填材を190重量部添加して、ポリプロピレンの割合を減少させ、且つ水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムから結晶水を放出させて難燃性を高めたので、FPI、SDI、CDIの数値が低下し、各指標を満足させることができた。また、実施例2はデカブロモジフェニルエーテルにより難燃性が高められ、無機充填材を80重量部まで低下させたにもかかわらずFPIの指標を満足している。そして、ハロゲン捕捉剤として機能する炭酸カルシウム、ゼオライトにより臭素ガスを捕捉させているので、CDIの指標も満足している。実施例3は赤リンにより難燃性を高められて、無機充填材を130重量部に減少させても各指標を満足している。またこの実施例3の色相は白色を呈していた。実施例4はトリクレジルホスフェートによる難燃性付与効果により無機充填材を150重量部に減少させても各指標を満足した。
これらの各実施例の機械的強度は、比較例1に示すプロピレンよりは悪くなってはいるものの、実用的な強度を有しており、充分実使用可能な成形体であることがわかる。
【0044】
これに対して、比較例1はFPIが極端に高く、燃え易いことがわかる。また比較例2は無機充填材を250重量部と多量に配合しているので、FPI、SDI、CDIの各指標は満足しているが、伸び率が極端に低くなって実用的強度を保持しないことがわかる。このことより、無機充填材を添加しすぎると、実用的な機械的強度が得られず、その添加量に限界があることがわかる。比較例3はデカブロモジフェニルエーテルを多量に配合しているため、FPI、SDIの指標は低下したが、CDIは逆に大幅に上昇した。これは、この難燃剤からブロムガスや臭素水素ガスが発生し、これが捕捉されずに成形体より放散したためと思われる。このことより、ハロゲン系難燃剤を添加する配合においては、ハロゲン捕捉剤を添加する必要性があることがわかる。
【0045】
以上はポリプロピレンについて詳述したが、ポリエチレン等の他のポリオレフィンについても同様に、無機充填材と、必要によりハロゲン系やリン系の難燃剤と、ハロゲン捕捉剤を添加することにより、FPI、SDI、CDIの基準を満足させることができる。
【0046】
【発明の効果】
本発明のポリオレフィン樹脂成形体、特にポリプロピレン樹脂成形体は、ポリオレフィンに、無機充填材及び必要により難燃剤を配合した成形体であり、ポリオレフィン樹脂成形体の、火災時の燃焼と熱分解を抑制させることができるので、火災に対して考慮すべき難燃性、発煙抑制性能及び腐食性ガス抑制性能の全部に優れた工業用の、特に半導体製造装置用のポリオレフィン樹脂成形体としての利用を図ることができるのである。

Claims (3)

  1. ポリプロピレンおよび、金属水酸化物とタルクとの無機充填剤からなるポリオレフィン樹脂成形体であって、金属水酸化物が水酸化マグネシウムであり、プロピレン樹脂100重量部に対して、金属水酸化物が30〜200重量部、タルクが20〜60重量部の範囲で、無機充填剤の総量が100〜200重量部添加されてなる、難燃剤(ハロゲン系、リン系、アンチモン系)を含有しない難燃性ポリオレフィン樹脂成形体
  2. 金属水酸化物が水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムである、請求項1記載の難燃性ポリオレフィン樹脂成形体
  3. 延焼指標FPIが6以下、発煙指標SDIが0.4以下、かつ腐食指標CDIが2以下を有する、請求項1〜2いずれかに記載のポリオレフィン樹脂成形体。
JP17809897A 1997-07-03 1997-07-03 難燃性ポリオレフィン樹脂成形体 Expired - Lifetime JP3621232B2 (ja)

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