JP3621037B2 - ゲージ検査機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、検査対象の測定子に当接される測定スピンドルを所定位置に変位させたときの検査対象の表示値により、検査対象の指示精度を検査するためのゲージ検査機に係り、特に、ダイヤルゲージ、てこ式ダイヤルゲージ、指針測微器等のアナログ式インジケータやデジタル式インジケータ等の各種インジケータの検査に用いるのに好適な、操作性に優れたゲージ検査機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、各企業におけるダイヤルゲージ等の使用数は、ますます増加する傾向にある。これは、ダイヤルゲージ等を汎用的な比較測定器として使用する従来の方法に加え、ダイヤルゲージ等を専用測定治具等に取り付け、ワークの合否を連続して測定する目的で使用される例が増加しているためである。
【0003】
ところで、ダイヤルゲージ等の管理については、JISあるいはJMAS(日本精密測定機器工業会規格)によって検査方法が規格化されている。このため、従来のダイヤルゲージ等の検査装置では、JISあるいはJMAS規格による検査方法を予めプログラム化しておき、このプログラムに従ってダイヤルゲージ等の検査を行えるようにした検査機が開発されている(例えば特開昭63−91508)。
【0004】
このような検査機を用いてダイヤルゲージ等の検査を行う際には、それぞれの測定位置に測定スピンドルを駆動して、ゲージの読みと検査機の読みを入力し、そして、それぞれの測定位置の「ゲージの読み−検査機の読み」を対応の測定位置の指示精度としていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来は、例えばマイクロメータヘッドを手で動かすことにより測定スピンドルを変位させていたため、操作に手間がかかり、特に、測定位置間の移動に時間がかかるという問題点を有していた。
【0006】
このような問題点を解決するべく、測定スピンドルをモータにより駆動する半自動式とすることも考えられるが、測定スピンドルの送り速度を、ゲージの目量に関係なく一定とした場合には、検査機にゲージを取り付けた後、測定基点(最初の測定位置、例えば零点)の粗位置合せを行う検査の段取り時のスピンドル操作に際して、ゲージの目量が、操作ボタンの送り速度に反映されていないため、目量の大きいゲージと目量の小さいゲージの全てに対して、良好な操作性を得ることはできない。
【0007】
又、現在の測定方向(例えば小さな値から大きな値、あるいは大きな値から小さな値)に関係なく、常に測定スピンドルの移動方向を逆転可能とした場合には、ゲージのヒステリシスを防止するため、測定位置への目盛合せを行なっている測定中は許されない、測定方向とは逆方向への移動が、操作ノブの誤操作により発生してしまうことがあり、測定を始めからやり直さなければならないことがあるという問題点を有していた。
【0008】
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、操作性に優れたゲージ検査機を提供することを課題する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、検査対象の測定子に当接される測定スピンドルを所定位置に変位させた時の検査対象の表示値により、検査対象の指示精度を検出するためのゲージ検査機において、前記測定スピンドルの位置を微調整する際に、その変位量を制御するためのジョグダイヤルと、前記測定スピンドルの位置を粗調整する際に、その駆動方向及び駆動速度を制御するためのシャトルリングとを備え、前記ジョグダイヤルの回転量と測定スピンドルの変位量の関係を、ゲージの目量に応じて設定可能とすることにより、前記課題を解決したものである。
【0012】
又、ゲージの目量に依存せず、前記ジョグダイヤルの小さな回転量で測定スピンドルが大きく変位し、且つ、前記シャトルリングで最大駆動速度が設定可能とされた高速モードと、ゲージの目量に依存して、前記ジョグダイヤルの大きな回転量で測定スピンドルが小さく変位し、且つ、前記シャトルリングの最大回転角でも、最大駆動速度が設定できないようにされた低速モードとを設けたものである。
【0013】
又、検査の段取り時には前記高速モードと低速モードを自由に切替え可能とし、測定中は、前記ジョグダイヤルを低速モードに固定すると共に、測定方向と逆の方向への変位指示及び前記シャトルリングによる指示を無効にするようにしたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0015】
本発明が適用されたダイヤルゲージ検査機は、図1に示す如く、大別して、検査機本体10と、操作ボックス50と、データ処理装置60から構成される。
【0016】
前記検査機本体10は、検査対象であるデジタル表示のダイヤルゲージ8を固定する保持具12が上面に取り付けられた筐体14を有する。
【0017】
前記筐体14内には、モータ16と、該モータ16によりタイミングベルト18を介して回転駆動され、軸方向に移動自在なボールねじ20と、該ボールねじ20の上端部に設けられた測定スピンドル22と、前記ボールねじ20の中程に取り付けられた中間部材24と、該中間部材24の移動範囲に対向して設けられた高さ検出用のスケール26と、前記モータ16等からの複数の信号線が集められた中継基板32とを備えている。
【0018】
前記ボールねじ20は、その下端部に取り付けられたナット34と螺合し、該ナット34に対して回転且つ軸方向移動自在に軸支されている。前記ナット34の外側はホイールに形成されており、このホイールと、前記モータ16の出力軸に取り付けられたホイール36との間にかけ渡された前記タイミングベルト18を介して、モータ16の回転動力が伝達されると、ボールねじ20は回り止めされており、モータ16の回転量に応じた距離だけ軸方向(高さ方向)に移動する。
【0019】
前記中間部材24のスケール26と対向する面には、例えば発光ダイオード等の光源及びフォトセル等の受光素子(図示省略)が取り付けられており、スケール26からの反射光を検出するようにされている。受光素子からの検出信号は、プリアンプ(図示省略)で波形整形された後、中継基板32を介して外部に出力され、測定スピンドル22の位置(高さ)を特定するために使用される。
【0020】
前記モータ16には、タコジェネレータ(TG)38が軸支されており、該タコジェネレータ38からの速度信号は、中継基板32を介して外部に出力され、モータ16の回転速度を検出するために使用される。
【0021】
このような構成を有する検査機本体10では、中継基板32を介してモータ16に駆動信号が与えられると、モータ16が回転し、その駆動力はタイミングベルト18を介してナット34に伝達され、ボールねじ20が軸方向に移動を開始する。測定スピンドル22が指示された位置(測定の開始位置)に到達すると、測定スピンドル22の移動は停止し、ダイヤルゲージ8の検査開始状態となる。このときの測定スピンドル22の初期位置は、中間部材24に取り付けられた受光素子からの出力信号に基づいて特定される。
【0022】
そして、所定の検査手順に従って、測定スピンドル22を所定量移動させ、ゲージ先端8aを押圧移動させることにより、ダイヤルゲージ8の検査が行われる。
【0023】
前記操作ボックス50は、使用者によって操作されるものであり、前記中継基板32に接続されている。この操作ボックス50の前面には、測定値を取り込むためのデータ入力ボタン51、現在の測定をやり直すためのリトライボタン52、直前の測定値を取り消すためのキャンセルボタン53、測定スピンドル22を駆動するモータ16を緊急停止するためのモータ停止ボタン54、及び、測定スピンドル22の上下を操作するためのジョグシャトル56が設けられている。更に、必要に応じて、前記データ入力ボタン51と同じ働きを持つフットスイッチ58も、前記中継基板32に接続可能とされている。
【0024】
前記ジョグシャトル56の内側のジョグダイヤル56Aは、測定スピンドル22の位置を微調整する際に、その変位量を制御するためのもので、例えばロータリエンコーダ等のパルス発生器が接続されており、該パルス発生器により発生されたパルスの量に比例する移動量で、前記測定スピンドル22を1:1で駆動する。ここで、1パルス当りの移動量を規定するパルスレートは、ゲージの目量に応じて、後出パソコン本体62から設定可能とされている。
【0025】
前記ジョグシャトル56の外側のシャトルリング56Bは、測定スピンドル22の位置を粗調整する際に、その駆動方向及び駆動速度を制御するためのもので、スプリング(図示省略)で自動復帰可能とされた中間位置を中心に、例えば±80°程度回転可能とされており、その回転角を検出するエンコーダやポテンショメータが接続されている。このシャトルリング56Bの回転角に比例する速度で、測定スピンドル22が駆動される。速度のレートは、ゲージの目量に応じて設定可能とされている。
【0026】
前記ジョグシャトル56による制御モードは、前記パソコン本体62により、次の高速モードと低速モードに切替え可能とされている。
【0027】
前記高速モードは、ゲージの目量に依存しない制御モードで、ジョグダイヤル56Aのパルスレートが、例えば、1/4回転当りの測定スピンドル22の移動量が比較的粗いゲージの目量(例えば10μm)とされ、前記シャトルリング56Bの速度レートが、最大の回転角のとき、検査機の最大速度(例えば4mm/秒)となるようにされる。
【0028】
又、前記低速モードは、ゲージの目量に依存する制御モードで、前記ジョグダイヤル56Aのパルスレートは、例えば1/4回転当りの測定スピンドル22の移動量が、測定中のゲージの目量とされ、前記シャトルリング56Bの速度レートが、最大の回転角のとき、ゲージの針が1回転する距離/秒となるようにされる。
【0029】
更に、測定の基点合わせを含む検査の段取り時には、前記高速モードと低速モードが自由に切替え可能とされ、迅速な段取りが可能とされる。
【0030】
一方、測定中(目盛合わせ時)には、前記ジョクダイヤル56Aが低速モードに固定されると共に、測定の方向と逆の方向への移動指示は無効とされる。従って、誤操作により測定スピンドルを測定中に逆方向に移動してしまうことがなく、ヒステリシス等の影響により、測定をやり直すことが防止される。又、測定位置近傍までの高速移動用のシャトルリング56Bの操作は無効とされる。
【0031】
前記データ処理装置60は、例えば汎用のパーソナルコンピュータシステムから構成されており、パソコン本体62及びデスプレイ装置64を有する。該データ処理装置60のパソコン本体62内の例えばPCIバスには、前記検査機本体10に接続される制御部70が基板として装着されている。図1においては、制御部70を分かり易くするために、パソコン本体62から取り出した状態を示している。
【0032】
前記制御部70は、図2に詳細に示す如く、パソコン本体62のPCIバスに接続されるPCIブリッジ72と、該PCIブリッジ72に接続され、検査機本体10の制御を行うCPU74と、制御部70内のバス76に接続されるカウンタ78、モータコントローラ80、ジョグカウンタ84、操作ボックスインターフェイス(I/F)86、フットスイッチI/F88、ダイヤルゲージの測定値を入力するためのダイヤルゲージI/F90等が設けられている。
【0033】
前記CPU74は、ROM、RAM等を内蔵するワンチップマイクロコンピュータから構成される。又、前記モータコントローラ80の出力側には、モータドライバ92が接続されている。該モータドライバ92の出力側は、中継基板32のモータ(MOTOR)端子を通じてモータ16に接続されている。前記モータコントローラ80は、CPU74から送られてくる測定スピンドル22の位置に応じた指令値に従って、モータ16を駆動するための速度指令(制御パルス信号)を、モータドライバ92に出力する。
【0034】
前記カウンタ78は、中継基板32のスケール(SCALE)端子を通じて送られてくる、プリアンプ(図示省略)で波形整形された受光素子からの出力信号を受信し、測定スピンドル22の位置を特定するためにカウントする。
【0035】
前記ジョグカウンタ84は、中継基板32のジョグ(JOG)端子を通じて操作ボックス50のジョグダイヤル56Aに接続されている。
【0036】
前記操作ボックスI/F86は、中継基板32の操作ボックス(BOX)端子を通じて、操作ボックス50のシャトルリング56B、ボタン51〜54等に接続されている。又、PCIブリッジ72は、PCIバスを相互接続する回路である。
【0037】
前記のようなダイヤルゲージ検査機を用いた本発明による測定は、図3に示すような手順に従って行われる。
【0038】
即ち、検査開始後、まずステップ100で、ジョグシャトル56により、ダイヤルゲージ8の表示値を見ながら、表示値が測定の基点(通常は零点)となるように測定スピンドル22の位置を合わせる。具体的には、まず、シャトルリング56Bで測定スピンドル22の位置を高速移動させた後、ジョグダイヤル56Aで微調整して、ダイヤルゲージ8の表示値がちょうど測定開始点になるようにする。
【0039】
次いでステップ102で、前記データ入力ボタン51又はフットスイッチ58を押すことによりデータを入力して、測定の基点合わせを完了させる。
【0040】
次いでステップ104で、モータ16により測定スピンドル22を高速で駆動して、次の測定位置までアプローチ距離分残した手前の位置に自動位置決めする。この際、手動で次の測定位置丁度まで測定スピンドル22を低速移動させるためのアプローチ距離は、パソコン本体62から設定可能である。
【0041】
次いでステップ106で、ジョグシャトル56を用いて測定スピンドル22を手動で駆動することにより、ダイヤルゲージ8の針が、ちょうど次の測定位置になるように手動位置合せ(目盛合せ)を行う。この際、本発明により、ジョグダイヤル56Aは低速モードに固定されると共に、測定方向と逆の方向の操作指示が無効とされ、シャトルリング56Bも無効とされる。従って、低速モードに固定されたジョグダイヤル56Aにより、測定の方向と逆方向へ誤操作する心配なく、ゆっくり目盛合わせを行うことができる。
【0042】
なお、前記リトライボタン52が押された時には、ゲージのヒステリシスの影響を排除可能な位置まで測定スピンドル22を後退させた後、再び当該測定位置におけるアプローチ処理が行われるようにされる。
【0043】
又、前記キャンセルボタン53が押された時には、最後の測定結果を削除し、削除された測定結果に対応する測定目標位置が再測定されるようにする。
【0044】
手動位置合せ終了後、ステップ108で、前記データ入力ボタン51又はフットスイッチ58を押すことにより、データを取り込む。
【0045】
ステップ108終了後、ステップ110に進み、全測定位置に対する測定が終了するまで、上記操作を繰り返す。
【0046】
このようにして、ジョグシャトル56で、ゲージの目量に依存する制御モード(実施形態では低速モード)を選択可能とすることにより、目量の異なるゲージを検査しても、同じ操作感覚でゲージの目盛合せが可能になる。
【0047】
又、目盛合わせ測定中は、ジョグダイヤル56Aが低速モードに固定されると共に、測定方向と逆の方向への指示及びシャトルリング56Bの指示が無効とされ、機能が制限されるので、オペレータの誤操作を防ぐことができる。
【0048】
なお、前記実施形態においては、本発明が、ダイヤルゲージ検査機に適用されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、ダイヤルゲージ以外のインジケータ等の検査にも同様に適用出来ることは明らかである。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、ゲージを検査する際の操作性が向上し、短時間で多数のゲージを検査することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用対象の一例であるダイヤルゲージ検査機の全体構成を示す図
【図2】同じく制御部の詳細構成を示すブロック図
【図3】本発明に係る実施形態の処理手順を示す流れ図
【符号の説明】
8…ダイヤルゲージ
10…検査機本体
16…モータ
20…ボールねじ
22…測定スピンドル
24…中間部材
26…スケール
50…操作ボックス
51…データ入力ボタン
56…ジョグシャトル
56A…ジョグダイヤル
56B…シャトルリング
58…フットスイッチ
60…データ処理装置
70…制御部
Claims (3)
- 検査対象の測定子に当接される測定スピンドルを所定位置に変位させた時の検査対象の表示値により、検査対象の指示精度を検出するためのゲージ検査機において、
前記測定スピンドルの位置を微調整する際に、その変位量を制御するためのジョグダイヤルと、
前記測定スピンドルの位置を粗調整する際に、その駆動方向及び駆動速度を制御するためのシャトルリングとを備え、
前記ジョグダイヤルの回転量と測定スピンドルの変位量の関係が、ゲージの目量に応じて設定可能とされていることを特徴とするゲージ検査機。 - ゲージの目量に依存せず、前記ジョグダイヤルの小さな回転量で測定スピンドルが大きく変位し、且つ、前記シャトルリングで最大駆動速度が設定可能とされた高速モードと、
ゲージの目量に依存して、前記ジョグダイヤルの大きな回転量で測定スピンドルが小さく変位し、且つ、前記シャトルリングの最大回転角でも、最大駆動速度が設定できないようにされた低速モードと、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のゲージ検査機。 - 検査の段取り時には前記高速モードと低速モードが自由に切替え可能とされ、
測定中は、前記ジョグダイヤルが低速モードに固定されると共に、測定方向と逆の方向への変位指示及び前記シャトルリングによる指示が無効にされることを特徴とする請求項2に記載のゲージ検査機。
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