JP3620407B2 - 高炉への微粉炭吹込み操業方法 - Google Patents

高炉への微粉炭吹込み操業方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、高炉への微粉炭吹き込み操業に関するものであり、特に、多量の微粉炭を安定して吹き込むことを可能にする技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コークス使用量の低減による銑鉄製造コストの削減、並びに、コークス炉の負担軽減及びそれによるコークス炉の寿命延長のため、高炉に装入するコークスの一部代替として羽口から微粉炭を吹き込む、高炉における微粉炭の多量吹き込み操業が実施されてきている。この微粉炭吹込み量は多い方が望ましいため、吹込み量の増量が図られており、最近では「材料とプロセス11(1998)p834」に見られるように、月間微粉炭吹き込み比で266kg/t−溶銑を記録する超多量吹き込みの高炉も出現してきている。
【0003】
ところが、微粉炭の吹込みにより、高炉の通気性が悪化することが知られている。「材料とプロセスVol.7(1994)p.129」に指摘されているように、特にレースウェイシェル(又は鳥の巣と呼ばれる)の成長による炉下部の通気性悪化は高炉の安定操業上深刻な問題であり、しばしば微粉炭吹込み量の制限要因となる。
【0004】
図6に、高炉の羽口の前方に形成されるレースウェイシェルを説明する縦断面図を示す。同図(b)は、(a)の部分拡大図である。レースウェイシェル1は、高炉2の羽口3から熱風4と共に吹き込まれた微粉炭5に含まれる灰分が、レースウェイ6端へ固着し、通気不良層を形成することにより生じる。微粉炭中の灰分はSiO2 とAl2O3を主成分としており、その融点は1700℃程度と高温である。微粉炭吹き込み量が少ない場合は、このレースウェイシェルは滴下してくるスラグと同化し滴下消滅するが、微粉炭の吹き込み量が増加して溶銑1トン当たり180kg程度に達すると、スラグと同化しきれなくなり高炉下部の通気性悪化が顕著となる。
【0005】
このレースウェイシェルの生成を抑制するために、微粉炭と共にCaO等の造滓剤を同時に吹き込む方法(例えば特公平6−89382号公報、以下「先行技術1という」や、レースウェイ内のガス温度を制御する方法(特開平11−152508号公報、以下「先行技術2」という)が提案されている。
【0006】
先行技術1によれば、微粉ドロマイト、蛇紋岩、カンラン岩、石灰石等の塩基性の造滓剤を微粉炭と同時に吹き込み、吹き込まれた造滓剤と微粉炭中の灰分を混合した時の塩基度(塩基性成分量/酸性成分量)が、 0.5〜1.3の範囲内となるようにする技術が開示されている。この技術によれば、微粉炭中の灰分と吹き込まれた造滓剤とがレースウェイシェル層で同化し、低粘性のスラグとなるため、レースウェイシェルの滴下を容易にし、高炉下部の通気性が改善される。
【0007】
また先行技術2によれば、レースウェイ内のガスの最高到達温度Tmax(℃)と微粉炭中の灰分の融点THTとの比(Tmax/THT )を1.0〜1.5の範囲内とする技術が開示されている。この方法によると、レースウェイ内において、微粉炭中の灰分の溶融が抑制されるため、レースウェイシェルの成長が抑制され、高炉下部の通気性が改善される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
先行技術1あるいは2の方法によれば、微粉炭多量吹き込み時にレースウェイシェルの生成を抑制し、高炉下部の圧力損失を低減することが可能であるとしているが、いづれの方法も下記に示すような短所を有し、実用上好ましくないことが明らかとなった。
【0009】
先行技術1による方法においては、造滓剤として用いるドロマイト等を大量に準備する必要があり、副原料や燃料コストの上昇を引き起こす。仮に低コストで造滓剤を調達できたとしても、これら造滓剤の溶解反応は一般に吸熱反応であり、レースウェイ内の温度を低下させる。高炉の操業を維持するためには、レースウェイ内の温度を適切に保つ必要があり、このため熱風送風中に富化する高価な酸素の使用量を増大させる必要が生じ、コスト上昇を生じさせることとなる。
【0010】
また先行技術2による方法も、レースウェイ内のガスの最高到達温度Tmax(℃)を制御するために、酸素の使用量の増減を行なうとしているが、一般に微粉炭の吹き込み量は、常に一定ではなく、いわゆる脈動(周期的に吹込み量が増減)する。そして、微粉炭の吹込み量が脈動すると、レースウェイ内のガスの最高到達温度Tmax(℃)もまた脈動する。即ち、コークスは、高炉の炉頂から装入され降下する間に十分予熱されてレースウェイに到達するのに対し、微粉炭は予熱されずに直接レースウェイに吹き込まれるので、微粉炭の吹込み量が増加した時にはTmax(℃)は低下し、吹き込み量が減少したときにはTmax(℃)が上昇することになる。したがってTmax(℃)の上昇時に発生した高融点の微粉炭灰分がレースウェイ端に固着し、レースウェイシェルを形成してしまう。一旦形成したシェルを先行技術2の方法で除去することは困難である。従って、先行技術2を用いてレースウェイシェルの生成を抑制しようとすると、多くの場合、このような微粉炭吹込み量の脈動のTmax(℃)に及ぼす影響を低減するために、この脈動量を計測し、これに連動して酸素富化率を増減させる等の方策を講じなければならず、多大な設備投資を必要とし、実用上好ましくないことが判明した。
【0011】
この発明の目的は、先行技術の上述した問題点に鑑み、レースウェイシェルの形成を、微粉炭中の灰分と滴下スラグとの望ましい反応形態を想定し、それに基づき実操業において効率的にレースウェイシェルの形成を阻止することが可能な条件を見出すことにより、微粉炭多量吹き込み時においても、通常の原材料需給の範囲内において実施可能であって、銑鉄製造コストの増大を招くことなく、しかも特別な設備投資をすることなく、レースウェイシェルの生成を抑制し、高炉下部の通気性を向上させて、安定した高炉操業を維持するための高炉への微粉炭吹込み操業方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上述した観点から鋭意研究を重ねた。即ち、微粉炭灰分の組成、融点および滴下スラグの組成、融点を調査し、レースウェイシェルの生成と成長機構を検討した。表1に、代表的な高炉スラグと石炭中灰分の化学組成及び融点、並びに、当該石炭中の灰分含有率を示す。
【0013】
【表1】
Figure 0003620407
【0014】
レースウェイシェルの形成機構に関しては、前述したように表1に例示した微粉炭に含まれる灰分がレースウェイ端へ固着し、通気不良層が形成されたものであると考えられる。微粉炭吹込み量が少ない場合は、このレースウェイシェルは滴下してくるスラグと同化し滴下消滅するが、微粉炭の吹込み量が増加して溶銑1トンあたり180kg程度に達すると、レースウェイシェルは滴下スラグと同化しきれなくなるか、微粉炭中からの高融点灰分が滴下スラグと同化できなくなり、高炉下部での通気性悪化が顕著となると考えられる。
【0015】
図1に、CaO−SiO2−Al2O3の3元系状態図を示す。現在通常に使用されている微粉炭を製造するのに用いられる石炭中灰分の成分の内、CaO、SiO2及びAl2O3の3主要成分の割合(wt%表示)は、その殆どのものが、同図中の領域Aで区切られた組成範囲内にあることがわかった。この場合、当該石炭中の灰分は1700℃前後の高融点を有するので、レースウェイシェルを形成しやすい。
【0016】
本発明者等は、この灰分のレースウェイ端への固着により形成したレースウェイシェルは、滴下スラグからCaOを供給されると、図1中の矢印Bの方向へ組成が移動し、この場合にはAnorthiteの結晶相を作り、その融点は1400℃前後に低下して滴下、消失することを明らかにした(材料とプロセスVol,9(1996),p831)。更に研究を続けた結果、レースウェイシェルの組成が図1の領域A内にあるときは、その融点は、ほぼ(%CaO)/(%Al2O3 )の値に依存していることに着眼した。即ち、レースウェイシェルは、滴下スラグから比較的少量のCaO成分の供給を受けるだけで、融点は大きく低下することに着眼した。そして、前述したように、レースウェイシェルの生成が微粉炭中灰分の量と組成に強く支配されることを考慮すれば、CaO、Al及びSiOの3主要成分が図1中の領域A内にある灰分にあっては、(%CaO)/(%Al2O3 ) の値が0.45に近づくにつれて急激に融点が低下し、また、(%CaO)/(%Al2O3 ) の値がもともと0.45に比較的近い組成を有する灰分は、僅かな(%CaO)/(%Al2O3 )の値の上昇により、著しく急激に融点が低下することは、下記事項を意味すると考えられる。即ち、CaO、Al2O3及びSiOが領域A内に属する成分組成を有する灰分は、滴下スラグからの比較的僅かな量のCaO成分の供給により、当該灰分の融点は大幅に低下するので、レースウェイシェル形成が抑制される。更に、もともと(%CaO)/(%Al2O3 )の値が0.45に比較的近い組成を有する灰分は、より低い融点を有するが、滴下スラグからの一層僅かな量のCaO成分の供給により、当該灰分の融点は更に大幅に低下し、その結果一層累積的に融点は低下し得ることに着眼した。このように、灰分の融点が低下するほど、レースウェイシェルの形成は抑制され、また仮に一旦レースウェイシェルが形成されても、滴下スラグ中のCaO成分の供給を受けて消失し得ることに着眼した。
【0017】
本発明者等は上記着眼に基づき、下記試験・研究を重ねた。
微粉炭製造用に通常用いられている銘柄の石炭の内から、灰分含有率(%)が種々の値をとり、しかもその灰分の成分組成が図1中の領域A内の各種成分組成をとるように、単独銘柄の石炭で、あるいは複数銘柄の石炭を用いた種々の配合割合で混合した配合炭で調製した。図1中の領域A内で表わされる石炭中の灰分の成分組成は、下記(1)及び(2)式の連立で表わされる。
【0018】
0 < (%CaO) / (%Al) < 0.45 …………(1)
0.25 < (%Al) / (%SiO) < 1.0 ………… (2)
上記各種成分組成の単独銘柄の石炭、又は複数銘柄の配合炭を粉砕して、それぞれの微粉炭を調製した。こうして得られた微粉炭を用いて、微粉炭比180kg/t−溶銑以上の微粉炭多量吹込みの高炉試験操業を行なった。
【0019】
微粉炭の灰分の投入量ARと、高炉操業が安定操業から操業不調となる限界の微粉炭からの灰分投入量ARmaxを(5)及び(6)式で定義する。
【0020】
AR ≡ PCR×(%Ash)/100 …………(5)
ARmax≡PCRmax×(%Ash)/100 …………(6)
但し、
PCR :微粉炭比 (kg/t−溶銑)
PCRmax:操業不調となる限界のPCR(kg/t−溶銑)
ここで、操業不調の定義は、少量づつ微粉炭比PCRを上昇させていき(例えば、一日に2〜3kg/t−溶銑上昇させていき)、スリップ(高炉内装入物の不連続な降下)現象が3回/日以上発生する場合とした。
【0021】
上記試験で操業不調が発生するに至ったときの微粉炭中灰分の(%CaO)/(%Al)を横軸に、その時のARmaxを縦軸にとって整理すると、図2に示すように、明確な直線関係が得られた。この直線を最小2乗法で数式化すると、(7)式が得られた。
【0022】
ARmax = 7.5×{(%CaO)/ (%Al)} + 10.8 …………(7)
但し、微粉炭中灰分の成分には、CaO、Al及びSiOの他にMgOや酸化鉄が存在するが、(7)式が精度よく成り立つのは、微粉炭中灰分の成分組成が、
(%CaO) + (%SiO) + (%Al) > 70 …………(3)
の条件を満たす場合に限っており、それ以外では、良好な直線関係を得ることはできなかった。しかしながら、常用されている高炉への吹込み用微粉炭の大半のものは、その灰分組成が(3)式を満たしている。
【0023】
上記試験において、上記(7)式の意味するところは、高炉の微粉炭多量吹込み操業において、レースウェイシェルの形成に起因して炉内通気性が悪化し、その結果安定操業が阻害される要因の解析において、微粉炭中灰分の主要成分の一つであるSiO含有率は、常用されている吹込み用微粉炭を用いる限り、上記高炉の安定操業の阻害要因とはなっていないということにある。このように、高炉操業が安定操業から操業不調となる際の、微粉炭からの灰分投入量の限界となる微粉炭吹込み比を決定する場合にその要因として、微粉炭中灰分からのSiOの投入速度(kg/t−溶銑)に対しては、特別な制限を設ける必要はない、、即ち、当該灰分中のSiO成分の含有率に対する特別な制限は不要である、との知見は、レースウェイシェルの形成防止あるいは抑制のアクションを取るに際して、(%CaO)/ (%Al)の値に注目をすればよい、ということが明らかとなった点で、特筆すべき知見である。
【0024】
さて、安定した微粉炭多量吹込み操業を継続するためには、下記(8)式:
ARmax≧AR …………(8)
を満たす必要があるから、(8)式の Armax及びARのそれぞれに、(7)式及び(5)式を代入すると、操業不調を発生させないための微粉炭吹込み操業を継続するためには、微粉炭吹込み比 PCRは、下記(4)式を満たすことが必要である。
PCR ≦ {100 / (%Ash)}×[ 7.5×{(%CaO) / (%Al) }+ 10.8]………… (4)
【0025】
次に、本発明者等は、一旦生成したレースウェイシェルの滴下スラグによる同化、消失挙動、及び常用微粉炭中灰分成分の(%CaO)/(%Al2O3 )の値と当該灰分の融点との関連に関する知見、並びに、これら知見からの、滴下スラグ量の低下許容限の緩和の可能性に着眼した操業試験、即ち、高炉スラグ比の低減を組み合わせた試験を行なった。その結果、高炉スラグ比を所定範囲内であれば減らしても、レースウェイシェルの同化・消失作用が確保され得るとの知見を得た。
【0026】
本発明者等は、上述した知見に基づきこの発明を創案した。その要旨は次の通りである。
【0027】
請求項1記載の発明に係る高炉への微粉炭吹込み操業方法は、単一銘柄の石炭を、又は複数の銘柄の石炭を配合し、混合し、そして微粉砕し、得られた微粉炭を微粉炭比180kg/t−溶銑以上吹き込む、高炉への微粉炭吹込み操業方法において、微粉炭製造用の石炭の銘柄及び配合割合の決定と、こうして決定された石炭から製造された微粉炭の吹込み速度の決定とを、下記の通り行なうことに特徴を有するものである。即ち、石炭の配合方法としては、単一銘柄の石炭、又は複数銘柄の石炭の配合炭中の灰分組成が、下記(1)〜(3)式:
0 < (%CaO) / (%Al) < 0.45 ………(1)
0.25 < (%Al) / (%SiO) < 1.0 ………(2)
(%CaO) + (%SiO) + (%Al) > 70 ………(3)
を同時に満たすようにする。しかも、高炉操業における微粉炭比、微粉炭中の灰分含有率、並びに微粉炭中のCaO及びAl含有率が、下記(4)式:
PCR ≦ {100 / (%Ash)}×[ 7.5×{(%CaO) / (%Al) }+ 10.8]………(4)
但し、PCR :微粉炭比(kg/t−溶銑)
(%Ash) :微粉炭中の灰分含有率(wt%)
(%CaO) :微粉炭中灰分のCaO含有率(wt%)
(%Al):微粉炭中灰分のAl含有率(wt%)
を満たすように、微粉炭として使用される石炭の銘柄、石炭の配合割合、又は、石炭の銘柄と各銘柄の混合割合を決定することに特徴を有するものである。
【0028】
請求項2記載の発明に係る高炉への微粉炭吹込み操業方法は、請求項1記載の高炉への微粉炭吹込み操業方法に、更に高炉のスラグ比を280〜250kg/t−溶銑の範囲内にして操業することを付加することに特徴を有するものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の実施の望ましい形態について説明する。
図3に示すように、高炉2の羽口3に連接して設けられた送風用のブローパイプ7から、熱風4と共に微粉炭5を炉内に吹込む。微粉炭5の吹込みランスとしては、微粉炭5の燃焼率を向上させてレースウェイ内での未燃チャー発生量を減らすことにより、未燃チャーが炉芯や融着帯根部へ蓄積して、炉内の通気・通液性の悪化を抑制するために、例えば、図4及び図5に示すような、微粉炭吹込みランス8が、ブローパイプ7の外周壁から斜めに2本の二重管が挿入されたものし、内管から微粉炭を、外管から酸素を吹き込むと共に、ランスの軸心9方向同士が交わらないようにする。図5は、図4のAA矢視図である。こうして適切に設計された微粉炭吹込みランス8を使用するのが望ましい。
【0030】
微粉炭製造用の石炭としては、高炉への装入コークス製造用原料炭として不向きな銘柄のものが主として使用されている。従って、一般的に吹込み用微粉炭中の灰分含有率は高く、また微粉炭中灰分の成分組成も各種水準のものがある。しかしながら、当該灰分の主要成分は、Al、SiO及びCaOの3成分であり、その内CaOは比較的低含有率であり、多くの銘柄の石炭についての上記3成分の比率は、図1に示したAl−SiO−CaOの3元系状態図上で、領域A内に入ることを確認した。
【0031】
そこで、単一銘柄の石炭を選定するか、又は、複数の銘柄の石炭を配合して混合し、それを微粉砕して、高炉への吹込み用微粉炭を製造する。微粉炭比180kg/t−溶銑以上の微粉炭を吹き込む高炉操業を行なう。微粉炭用石炭の配合は、配合炭中の灰分組成が、
0 < (%CaO) / (%Al) < 0.45 且つ、0.25 < (%Al) / (%SiO) < 1.0
(%CaO) + (%SiO) + (%Al) > 70 ………(3)
を満たすようにする。上記両式を満たすように配合炭の成分組成を限定する理由は、通常使用される銘柄の石炭がその範囲内の灰分成分を有するので、この発明の方法に汎用性を持たせるために限定した条件である。このような条件下で微粉炭吹込み操業を行なうが、その際、微粉炭比PCR(kg/t−溶銑)、微粉炭中の灰分(Ash)含有率、並びに微粉炭中のCaO及びAl含有率として、
PCR ≦ {100 / (%Ash)}×[ 7.5×{(%CaO) / (%Al) }+ 10.8]
を満たすように、微粉炭として使用される石炭の銘柄、石炭の配合割合、又は、石炭の銘柄と各銘柄の混合割合を決定する。当該関係式を満たすように微粉炭用石炭を選定して配合することにより、微粉炭吹込み比が180kg/t−溶銑以上であっても、通気性が確保された安定操業が行なえるからである。但し、微粉炭中の灰分成分が、(%CaO) + (%SiO) + (%Al) > 70を満たしていることが必要である。また、高炉スラグ比を、280〜250kg/t−溶銑の範囲内にして操業することが一層望ましい。こうすることにより、高炉の通気性は一層確保することができ、更に、高炉における溶銑製造コストを低下させることに寄与するからである。
【0032】
また、高炉操業の工程上、使用すべき吹込み用微粉炭が予め与えられている場合には、微粉炭吹込み比PCRが、 PCR ≦ {100 / (%Ash)}×[ 7.5×{(%CaO) / (%Al) }+ 10.8]を満たすように、微粉炭吹込み量を決定することにより、高炉内通気性を確保した安定操業を行なうことができる。
【0033】
【実施例】
この発明を実施例により更に説明する。
炉内容積 が3443 mの高炉において、出銑量: 6,900トン/日、スラグ比: 265 kg/t、送風温度: 1150℃、酸素富化率:4%の操業を行なう高炉において、コークスの需給上コークス比を300 kg / t程度にしなければならず、微粉炭比の吹き込み目標を250 kg/t程度にする必要が生じた。
【0034】
そこで、このような微粉炭多量吹込みを前提とした操業条件下において安定操業を維持するために、微粉炭として使用すべき石炭の銘柄とその配合割合を、配合炭の灰分含有率及び当該灰分の(%CaO)/(%Al)が、上述した(4)式を満たすように決定して試験した(実施例1〜3)。なお、(4)式を僅差で満たさない場合についても試験した(比較例1)。実施例1〜3及び比較例1の操業条件、並びに吹込み用微粉炭製造に使用した石炭の配合割合及び(4)式により制限される微粉炭吹込み比PCRの上限値、及び、配合炭成分組成に基づく(1)〜(3)式右辺の算出値を、表2にまとめて示す。
【0035】
但し、ここで選定した石炭は、表1に示した石炭銘柄A及び石炭銘柄Bであり、各々に含まれる灰分の成分組成が既に、表3に示す通り、前述した(1)〜(3)式を満たしている。
【0036】
【表2】
Figure 0003620407
【0037】
【表3】
Figure 0003620407
【0038】
上記操実施例1〜3及び比較例1の操業条件及び試験条件で、高炉への微粉炭多量吹込み試験を行なった。操業状態の良否を、スリップ現象の発生が2回/日以内であるか否かを基準に判定し、その判定結果を表2に併記した。
【0039】
以下、試験結果について述べる。
実施例1は、微粉炭として石炭銘柄Bを単独で用いた場合である。安定操業の必要条件である(4)式によれば、石炭銘柄Bを用いた場合の微粉炭吹き込み比の上限は294 kg/t−溶銑であり、実施例1は本発明の範囲内となっており、高炉操業は良好に推移した。
【0040】
一般的に石炭銘柄Bのように灰分の低い石炭は高価であるため、実施例2及び3並びに比較例1においては、比較的安価な石炭銘柄Aを石炭銘柄Bと配合して用いることにした。
実施例2は、微粉炭として石炭銘柄Aを5%、石炭銘柄Bを95%用いた場合であり、実施例3は、微粉炭として石炭銘柄Aを10%、石炭銘柄Bを90%用いた場合である。(4)式によれば、それぞれの配合炭を用いた場合の微粉炭吹込み比の上限は、実施例2の場合には274 kg/t−溶銑であり、実施例3の場合には254 kg/t−溶銑であり、いずれの場合も本発明の範囲内となっており、高炉操業は良好に推移した。
【0041】
このように、本発明によれば微粉炭吹き込み時に安価石炭である銘柄Aの増使用が可能となった。
【0042】
一方、比較例1は、本発明の範囲を超えて微粉炭として石炭銘柄Aを15%、石炭銘柄Bを85%用いた場合である。即ち、(4)式によれば、比較例1の配合炭を用いた場合の微粉炭吹込み比の上限は、236 kg/tであり、安定操業維持のためには250kg/tの吹き込みを行なうことはできない。比較例1では、これに反して250kg/tの吹き込みを行なったため、スリップ現象が3回/日以上発生し、高炉操業は不調となった。
【0043】
なお、石炭銘柄Aおよび石炭銘柄Bを配合して微粉炭比250kg/tの微粉炭吹込み操業を安定して行なうための、石炭銘柄Aの混合割合の上限は、(4)式により約11%と見積もられる。
【0044】
【発明の効果】
上述したように、この発明によれば、吹込み用微粉炭に使用される通常の石炭を用いて、微粉炭多量吹込み操業においてもレースウェイシェルの形成を抑止することができる適切な石炭配合をすることができる。更に、低い高炉スラグ比操業条件下においても、レースウェイシェルの形成を抑止することができる。従って、高炉下部の通気性を向上させることが可能となり、微粉炭多量吹込み時においても、安定した高炉操業を維持することが可能となる。しかも、特別な設備投資をする必要もない。
【0045】
従って、銑鉄製造コストの低減と石炭資源の効率的利用を図ることが可能となり、更に、コークス炉の延命にも寄与し得る。このような高炉への微粉炭吹込み操業方法を提供することができ、工業上極めて有益な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】微粉炭用石炭に含まれる灰分を、滴下スラグにより容易に同化するための条件をCaO−SiO2−Al2O3の3元系平衡状態図を用いて検討するための説明図である。
【図2】炉内通気性確保による安定操業維持が可能である微粉炭吹込み比の上限値と、その微粉炭中灰分の(%CaO)/(%Al)との間には、直線関係が存在することを示すグラフである。
【図3】高炉への微粉炭吹込み方法を説明する概略縦断面図である。
【図4】本発明で使用する望ましい微粉炭吹込みランスの例を説明する概略縦断面図である。
【図5】図4のAA矢視図である。
【図6】高炉の羽口の前方に形成されるレースウェイシェルを模式的に説明する縦断面図である。
【符号の説明】
1 レースウェイシェル
2 高炉
3 羽口
4 熱風
5 微粉炭
6 レースウェイ
7 ブローパイプ
8 微粉炭吹込みランス
9 軸心
10 コークス

Claims (2)

  1. 単一銘柄の石炭を選定し、又は、複数の銘柄の石炭を配合し混合し、次いで微粉砕し、得られた微粉炭を微粉炭比180kg/t−溶銑以上吹き込む、高炉への微粉炭吹込み操業方法において、
    前記石炭の配合は、その配合後の混合炭中の灰分組成が、下記(1)〜(3)式:
    0 < (%CaO) / (%Al) < 0.45 ………(1)
    0.25 < (%Al) / (%SiO) < 1.0 ………(2)
    (%CaO) + (%SiO) + (%Al) > 70 ………(3)
    を同時に満たし、且つ、前記高炉操業における微粉炭比、微粉炭中の灰分含有率、並びに微粉炭中のCaO及びAl含有率が、下記(4)式:
    PCR ≦ {100 / (%Ash)}×[ 7.5×{(%CaO) / (%Al) }+ 10.8]………(4)
    但し、PCR :微粉炭比(kg/t−溶銑)
    (%Ash) :微粉炭中の灰分含有率(wt%)
    (%CaO) :微粉炭中灰分のCaO含有率(wt%)
    (%Al):微粉炭中灰分のAl含有率(wt%)
    を満たすように、前記微粉炭として使用される石炭の銘柄、石炭の配合割合、又は、石炭の銘柄と各銘柄の混合割合を決定することを特徴とする、高炉への微粉炭吹込み操業方法。
  2. 請求項1記載の高炉への微粉炭吹込み操業方法に、更に高炉のスラグ比を280〜250kg/t−溶銑の範囲内にして操業することを付加する、高炉への微粉炭吹込み操業方法。
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