JP4759977B2 - 高炉操業方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高結晶水鉱石を使用する高炉操業方法に関する。
従来、高炉原料として多く用いられた、ヘマタイト、マグネタイト系の高品位鉱石の輸入が減少し、最近では、上記高品位鉱石に代えてゲ−サイト、リモナイト系のピソライト等、結晶水を多く含む高結晶水鉱石の輸入が増加している。
このような高結晶水鉱石を用いて焼結鉱を製造することは従来から行なわれているが、高結晶水鉱石を用いた焼結鉱は冷間強度が低く、耐還元粉化性が悪いことはよく知られている。
そこで、高結晶水鉱石を用いた焼結鉱の上記問題点を解決するものとして、以下のような発明がなされている。
高炉への装入原料である焼結鉱を製造する工程において高結晶水鉱石を焼結鉱原料として使用するに際し、当該高結晶水鉱石を粗粒部分と細粒部分とに篩分け処理し、次いで、前記粗粒部分の高結晶水鉱石に対して加熱処理を施して当該高結晶水鉱石から結晶水を分解・離脱させ、結晶水が分解・離脱した鉄鉱石と、前記細粒部分の高結晶水鉱石と、非高結晶水鉱石とを混合し、造粒処理を施して造粒物を形成させ、得られた造粒物に粉コークスを外装して擬似粒子を調製し、こうして得られた擬似粒子を焼成することを特徴とする、高炉用焼結鉱の製造方法(特許文献1参照)。
特開2003−306723号公報
しかし、特許文献1に示された発明は、焼結工程の改造を伴うものであり、これを実現するには多額の設備費が必要となる。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、多大な設備投資を伴うことなく安価な高結晶水鉱石を使用できる高炉操業方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために発明者らは、高炉内における焼結鉱の粉化挙動について鋭意検討を行った。その結果、焼結鉱の還元による粉化量を低減するためには、高炉に投入される水素量を12kg/t-p(注:銑鉄トンあたりの水素吹込み量)以上とすれば良いことを見出した。この理由は下記の通りである
粉化の原因として、いわゆる還元粉化が考えられる。
還元粉化は、Fe2O3からFe3O4への還元時の結晶相変化による膨張により焼結鉱の組織に亀裂が生じ、亀裂が生じた焼結鉱が高炉内を降下していくと、降下の際にせん断力を受けて生ずる粉化である。
高結晶水鉱石を使用した焼結鉱に還元粉化が生じやすいのは、高結晶水鉱石を使用した焼結鉱は焼結機での焼成時に結晶水が脱離するため多くの気孔を有しており、強度が弱く、結晶相変化に伴う膨張で亀裂が生じやすいためである。
このように、還元粉化がFe2O3からFe3O4への還元時の結晶相変化による膨張であることから、還元粉化を生じさせないためにはこのような膨張を伴う反応を経由しないようにすることが考えられる。そのためには、還元反応の反応速度を速くして、Fe2O3から一気にFeOへ還元が行なわれるようにする必要がある。
そこで、発明者は、水素がCOガスに比較して鉄鉱石の還元速度が速い点に着目した。すなわち、投入水素量を増大して水素による還元の割合が増加すると、より短時間で還元反応が完了し、Fe3O4という粉化しやすい状態でせん断力にさらされる割合が少なくなり、粉化量が低下する。
上記の効果は、焼結鉱(酸化鉄)の還元反応に一般的に言えることであるが、高結晶水鉱石を使用した焼結鉱は、上述のように多くの気孔を有し、水素投入量を増やせばその分高炉内で水素ガスとの接触が高効率で行なわれる。このため、結晶水量の少ない高品位鉱石を使用した焼結鉱に比較して、上記効果すなわち、還元反応の完了までの時間が短く、それゆえにFe3O4という粉化しやすい状態での高炉内降下に伴うせん断力による粉化が抑制されるという効果、の発現が顕著になる。
つまり、COガスによる還元においては多くの気孔を有することが還元粉化の発生という弱点になっていたものが、水素による還元においては、多くの気孔を有することが還元反応を速くし、還元粉化が生じにくいというプラスの方向に作用する。
また、検討の過程で、高炉中部あるいは下部の圧力損失を考えた場合、高炉に投入される水素量を増やすことで融着帯の圧力損失が低減できるという効果もあることが明らかとなった。融着帯とは、焼結鉱あるいは酸化鉄ペレット、塊鉱石等が高温還元雰囲気下で溶融を開始し、溶け落ちるまでの領域である。
融着帯の領域は、固体中に液体が出現し空隙を埋めるために非常に圧力損失の大きい領域となる。したがって、融着帯の厚みが厚いと圧力損失が大きくなるので、圧力損失を減らすには融着帯の厚みを薄くするのが望ましいことになる。
ところで、融着帯の上端は還元の速さに依存する。融着帯上部では酸化鉄の還元が生じ、SiO2、Al2O3などの脈石分(スラグ分)の分離が開始される。還元が遅い場合スラグ中に未還元のFeOが残存するが、FeOを含むスラグの融点は低く比較的低温の高炉上部から溶融する。このような場合、融着帯の上端が高炉上部に位置することになり、融着帯は厚くなる。
前述のように水素による還元は速いため、投入水素量を増大していくとFeOが速やかに還元され低融点スラグの生成が減少することになる。これにより融着帯上端の位置が下側(高温側)へシフトし、融着帯厚が減少するため炉下部圧力損失が低下する。このように、投入水素量を増加することによる反応速度が速くなることが、融着帯厚の減少をもたらし、このような効果によっても高結晶水鉱石使用時の圧損増大を緩和できるのである。
この融着帯厚の減少効果についても水素の還元速度の速さによるものであるため、高結晶水鉱石を使用した場合で顕著となる。すなわち、高結晶水鉱石を用いた焼結鉱は気孔率が高くなっており、ガス還元率が高いため、水素還元による反応速度が速いという効果が顕著となり、結果、融着帯厚の減少効果が顕著となる。
なお、高炉に投入される水素量の下限値を12kg/t-pとしたのは、後述の実施の形態における投入水素量と圧力損失との関係を示したデータに基づく。
発明者らはさらに検討を重ねた結果、投入水素量が31kg/t-pを超えると、ふたたび高炉の圧力損失が上昇することを見出した。これは下記の理由による。
高炉内の鉄鉱石の還元は、水素還元とCOガスによる間接還元および固体カーボンによる直接還元が考えられる。固体カーボンによる直接還元反応は(1)式で表される。
FeO+C=Fe+CO --------------------- (1)
これは下記(2)式および(3)式の複合反応と解されている。
FeO+CO=Fe+CO2 ------------------- (2)
C+CO2=2CO ------------------------- (3)
(3)式を特別にソリューションロス反応と呼んでいるが、これは固体カーボンがCO2ガスと反応してガス化する反応である。
一方、高炉内ではコークスが粉化して粉コークスが発生する。粉コークスが高炉内に蓄積すると通気性が悪化するため、ソリューションロス反応による粉コークスのガス化反応がある一定量必要とされる。ところが、投入水素量を増大させ、水素による還元の割合が増大すると直接還元の割合が低下し、(3)式のソリューションロス反応量も減少する。
このため水素投入量を31kg/t-p以上にすると粉コークスがガス化消失できずに炉内に蓄積する結果、圧力損失の増大を引き起こすことになるのである。なお、投入水素量の上限値を31kg/t-pとしたのは、下限値の12kg/t-pと同様に、後述の実施の形態における投入水素量と圧力損失との関係を示したデータに基づく。
請求項1に記載の高炉操業方法は、上記の知見に基づいてなされたものであり、結晶水含有量が3.5mass%以上の高結晶水鉱石を焼結新原料中の25mass%以上使用した焼結鉱を、高炉主原料中の50mass%以上用い、かつ羽口から補助還元材を吹込む高炉操業方法であって、高炉への投入水素量(炉頂から装入するコークスに付着した水分や、鉄鉱石に付着した水分以外で高炉に投入される水素分)を12kg/t-p乃至31kg/t-pの範囲とするとともに前記投入水素量のうち、羽口からH 2 Oとして供給される量を1.5kg/t-p乃至7.6kg/t-pとすることを特徴とするものである。
ここでいう投入水素量は、高炉内部で水素となり、実際に酸化鉄の還元に寄与する量として決定される。このため、高炉へさまざまな形で投入される水素のうち炉頂から装入するコークスに付着した水分や、鉄鉱石等に付着した水分によって投入される水素は実際に酸化鉄の還元に寄与しないので、上記投入水素から除くことになる。
すなわち、請求項1における投入水素量とは、炉頂から装入するコークスに付着した水分や、鉄鉱石等に付着した水分以外で高炉に投入される水素分、すなわち羽口から添加する水蒸気、羽口から吹込む補助還元材中の水素とその付着水、炉頂から装入するコークス中の水素などを合計したものである。
また、焼結新原料とは、主原料(鉄鉱石)と副原料(造滓剤)と雑原料(焼結工場系外より新たに入ってくる鉄分を含むダスト、ミルスケール等)の総和をいう。
なお、結晶水含有量が3.5mass%以上の高結晶水鉱石の例としては、マラマンバ鉱石、ピソライト鉱石、高P鉱石がある。
次ぎに、水素源として、補助還元材中の炭化水素(一般式CnHm)中の水素とH2Oのそれぞれの効果について検討を行なった。このうちH2Oは、下記(4)式の反応を生じる。
H2O+C=CO+H2 ------------- (4)
この(4)式の反応は大きな吸熱反応であるため、H2Oの投入量には上限を設ける必要があると考えられる。
ところで、大型高炉でひとたび炉冷が起こり、炉内溶融物の排出がされない状況になると、その回復には長い時間を要する。このため、炉冷の兆候が現れた場合、速やかに炉内を昇温する必要がある。たとえば、コークス使用量を増大する方法もあるが、炉頂から装入したコークスは羽口先で燃焼して熱を生じるまで数時間を要し、即効性は無い。
そこで、炉内へ意図的にH2Oを投入しておき、炉冷の兆候を探知した場合にH2Oの投入量を減じる((4)式で表される吸熱反応を減じる)ことが実施されている。具体的には、例えば送風空気中へ水蒸気を添加して、炉冷の兆候に応じて添加水蒸気量を調節するいわゆる調湿送風が行なわれている。
調湿蒸気を送風空気1Nm3あたり10g減少させると、コークス比を7kg/t-p増大させたと同様の効果を持つ。炉冷事故防止のためには、調湿蒸気量は少なくともコークス比に換算して10kg/t-pは必要であり、50kg/t-p相当あれば十分と考えられる。これは投入水素量に換算して1.5乃至7.6kg/t-pに相当する量である。
以上のことから、投入水素の水素源としてのH2O量としては、炉冷防止のための調湿蒸気として投入する量を最低必要量とし、それを上限とするのが好ましいことになる。つまり、投入水素の水素源としてのH2O量は調湿蒸気に必要な1.5乃至7.6kg/t-pとするのが好ましい。
上述のように、高炉へのH2Oとしての水素投入量には上限があるため、不足分の水素は補助還元材の炭化水素から投入することが望ましい。微粉炭中の水素はせいぜい5mass%程度であり、水素源としては最適ではない。他方、プラスチック、重油に含まれる水素は10mass%程度、天然ガス(メタン)では25mass%にも上る。したがって、これらを組み合わせて吹込むのが望ましい。
高炉の羽口前燃焼帯は、あまり高温になりすぎると羽口の溶損や、羽口の冷却水を通した抜熱量増大が生ずる。また、スラグの一部成分が気化して炉上部に移動し、ふたたび冷却される際に炉壁に付着物を形成し、高炉装入物の正常な降下を妨げる。
このため、羽口前燃焼帯はあまり高温になりすぎることは好ましくなく、羽口前燃焼帯温度には上限が存在する。
ところで、羽口前燃焼帯温度は送風温度および送風中酸素濃度との依存性が高いことが知られている。
天然ガス等の気体還元材や、重油等の液体還元材は高炉羽口から吹込まれると熱分解を生じるが、この反応は吸熱反応である。
したがって、気体還元材や液体還元材は、羽口前燃焼帯温度を低下させる機能をもち、これらの還元材を吹込む場合には送風中酸素濃度を増大することができる。
生産量一定条件下で送風中酸素濃度を増大していくと、送風空気を低減でき窒素量が減少するのでガス体積が減少する。同一高炉でガス体積が減少するとガス流速が低下するので充填層の圧力損失は減少する。
このように、気体還元材や液体還元材は、高炉充填層の圧力損失低減効果がある。
以上のように、気体還元材や液体還元材は、投入水素量の確保による圧力損失低減効果及びガス流速が低下による圧力損失低減の観点から、吹込む補助還元材として好ましいと考えられる。
請求項2、3に記載の発明は上記知見に基づいてなされたものであり、請求項に記載の発明は、請求項1に記載のものにおいて、羽口から吹込む補助還元材として、気体還元材および/または液体還元材を吹込むことを特徴とするものである。
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載のものにおける気体還元材として天然ガス、都市ガス、コークス炉ガス、石炭ガス化ガスのうち少なくとも一つを用いるものとし、液体還元材として重油、タールのうち少なくとも一つを用いることを特徴とするものである。
なお、気体還元材、液体還元剤のみのでは、コストが高くなる。
そこで、請求項に記載の発明は、上記請求項またはに記載のものにおいて、羽口から吹込む補助還元材として微粉炭および/または合成樹脂を用いることを特徴とするものである。
本発明においては、結晶水含有量が3.5mass%以上の高結晶水鉱石を焼結新原料中の25mass%以上使用した焼結鉱を、高炉主原料中の50mass%以上用い、かつ羽口から補助還元材を吹込む高炉操業方法であって、高炉への投入水素量(炉頂から装入するコークスに付着した水分や、鉄鉱石に付着した水分以外で高炉に投入される水素分)を12kg/t-p乃至31kg/t-pの範囲とするとともに前記投入水素量のうち、羽口からH 2 Oとして供給される量を1.5kg/t-p乃至7.6kg/t-pとするようにしたので、多大な設備投資を伴うことなく安価な高結晶水鉱石を使用でき、また炉冷防止を図ることができる。
本実施の形態に係る高炉操業方法に用いられる高炉は、内容積が3223m3であり、図1に示すように、送風管2を貫通して固体還元材吹込みランス3、液体還元材吹込みランス4、気体還元材吹込みランス5が設置されている。
また、本発明の実施の形態に係る高炉操業方法では主原料(鉄源を含む原料、焼結鉱、酸化鉄ペレット、塊鉱石など)として焼結鉱と塊鉱石を使用した。
また、固体還元材として微粉炭単独あるいは微粉炭とプラスチックを混合して吹込んだ。さらに、液体還元材は重油を、気体還元材はメタンガスを用いた。
なお、焼結鉱の配合条件を表1に、使用した塊鉱石の分析値を表2に、微粉炭、合成樹脂材、気体還元材の各分析値を表3に示す。
Figure 0004759977
表1における焼結原料とは、脱水鉱石及びブレンディング粉等からなる鉱石類原料に、常法により原料配合層から切り出された所定の副原料を配合した所謂「新原料」に、固体燃料としての粉コークスと返鉱とを配合した配合原料をいう。
また、新原料とは、常法により次の定義に従った。新原料=主原料(鉄鉱石)+副原料(造滓剤)+雑原料(焼結工場系外より新たに入ってくる鉄分を含むダスト、ミルスケール等)をいう。
Figure 0004759977
Figure 0004759977
還元材の吹込み方法については、さまざまな方法があり、たとえば固体還元材、液体還元材、気体還元材の内2種または3種を同芯状の多重管ランスにより同時に吹込む方法や、2種または3種を単管で混合して吹込む方法など複数考えられる。
しかし、炉内へ投入された炭化水素は熱分解して最終的にすべて水素になるため、吹込みランスの形状や形式に対する依存性が低い。
したがって、本発明においては、吹込みランスの構造や吹込み方法はどのようなものであってもよい。
表1に示した配合1、2の焼結原料について、投入水素量を様々に変更して高炉内圧力損失、ソリューションロスカーボン量、水素還元率について検討した結果を、図2に示す。
図2(a)は投入水素量と高炉内圧力損失の関係を示し、図2(b)は投入水素量とソリューションカーボン量との関係を示し、図2(c)は投入水素量と水素還元率との関係を示している。
高炉内圧力損失は実測値、ソリューションロスカーボン量および水素還元率は、高炉の熱物質収支モデルから計算したものである。
図2(a)に示されるように、投入水素量が12kg/t-p未満では、高結晶水鉱石使用時(配合1)の場合の圧力損失が、高品位鉱石使用時(配合2)に比較して高くなっている。これは、前述したように、焼結鉱の還元粉化が多く、また融着帯の厚みも厚くなるためであると考えられる。
他方、投入水素量が12乃至31kg/t-pでは配合1、配合2共に高炉内圧力損失は低く押さえられ、順調な操業が継続可能であったことが分かる。
これは、高結晶水鉱石を使用した焼結鉱では、気孔率が高いことを反映して結晶水の少ない鉱石を使用した焼結鉱に比較して水素還元率が高くなっており(図2(c)参照)、投入水素量増大時の圧力損失の低下量が大きくなったと考えられる。
投入水素量が31kg/t-pを超えると、配合1、配合2共に高炉内圧力損失が急激に増加している(図2(a)参照)。これは、以下の理由による。
投入水素量が31kg/t-pを超えるとソリューションロスカーボン量が20kg/t-p程度まで減少し(図2(b)参照)、発生したコークス粉がガス化消費されず炉内に蓄積する。このため高炉内圧力損失は増大し、装入物の降下が不規則になるいわゆるスリップ現象が多発し炉況は不安定化した。
以上のように、結晶水含有量が3.5mass%以上の高結晶水鉱石を焼結新原料中の66.1mass%使用した焼結鉱を、高炉主原料中の75mass%用い、かつ羽口から補助還元材を吹込む高炉操業方法であって、高炉への投入水素量を12
kg/t-p乃至31kg/t-pの範囲とすることにより、高炉内圧力損失は低く押さえられ、順調な操業が継続可能であることが実証された。
図2に示した各高炉操業の内、代表的なものを取り出してその詳細を記載したものを表4に示す。
Figure 0004759977
実施例1は高結晶水鉱石を66.1mass%と多配合した焼結鉱を高炉主原料中の75mass%使用し、投入水素量を18.4kg/t-pとした場合を示す。H2Oとしての投入水素は2.4kg/t-pであり、本発明に係る操業方法の一例を示すものである。
この実施例1の操業においては、高炉内圧力損失は比較的低位に押さえられ、スリップ回数は0回/日と極めて高炉操業は順調であった。
実施例2は高結晶水鉱石を66.1mass%と多配合した焼結鉱を高炉主原料中の75mass%使用し、投入水素量を25.3kg/t-pとした場合を示す。H2Oとしての投入水素は3.5kg/t-pであり、実施例1と同様、本発明に係る操業方法の一例を示すものである。
この実施例2の操業においては、実施例1と同様に、高炉内圧力損失は比較的低位に押さえられ、スリップ回数は0回/日と極めて高炉操業は順調であった。
実施例3は高結晶水鉱石を66.1mass%と多配合した焼結鉱を高炉主原料中の75mass%使用し、投入水素量を28.8kg/t-pとした場合を示す。H2Oとしての投入水素は3.5kg/t-pであり、実施例1および実施例2と同様、本発明に係る操業方法の一例を示すものである。
この実施例2の操業においては、実施例1、2と同様に、高炉内圧力損失は比較的低位に押さえられ、スリップ回数は0回/日と極めて高炉操業は順調であった。
比較例1は高結晶水鉱石を66.1mass%と多配合した焼結鉱を高炉主原料中の75mass%使用し、投入水素量を7.6kg/t-pとした場合を示す。この例は、投入水素量が本発明で規定している12 kg/t-p乃至31kg/t-pの範囲よりも少ない例である。
比較例1の操業においては、投入水素量が少ないために、焼結鉱の粉化が生じ、融着帯厚さも厚くなるため、高炉内圧力損失は0.175MPaと大きくなり、スリップ回数は9回/日となり高炉操業が不安定化し、生産量は低下してしまった。
比較例2は高結晶水鉱石を66.1mass%と多配合した焼結鉱を高炉主原料中の75mass%使用し、投入水素量を33.1kg/t-pとした場合を示す。この例は、投入水素量が本発明で規定している12 kg/t-p乃至31kg/t-pの範囲よりも多い例である。
比較例2の操業においては、投入水素量が多くなりすぎた結果、ソリューションロス反応量が不足し、発生したコークス粉がガス化消失せずに高炉内に蓄積し、高炉内圧力損失は0.174MPaと大きくなり、スリップ回数は12回/日となり高炉操業が不安定化し、生産量は低下してしまった。
比較例3は高結晶水鉱石を66.1mass%と多配合した焼結鉱を高炉主原料中の75mass%使用し、投入水素量を16.3kg/t-pとした場合を示す。投入水素量は適正範囲である12 kg/t-p乃至31kg/t-pの範囲内にあるが、H2Oとしての投入水素が8.1kg/t-pであり、本発明において適正範囲とした1.5 kg/t-p乃至7.6kg/t-pの範囲を超える場合である。
比較例3の操業においては、圧力損失は比較的低位でスリップも生じていないが還元材比が570kg/t-pと突出して高くなっている。これは投入水素量を増大させるために送風中蒸気量であるH2Oとしての投入水素量を増大させたことにより、前述の(4)式に示した吸熱反応が多く生じているためである。
この比較例3では、吹込み還元材が微粉炭のみであるが、H2Oの投入を減じつつ投入水素を増大させるために、液体還元材や気体還元材を合わせて吹込む必要がある。高炉の熱余裕(冷え込みに備えて昇温手段を持っておくこと)を得るために、H2Oの投入は必要であるが、前述のように、多くともH2Oとしての投入水素は7.6kg/t-pまでに抑制するのが望ましい。
比較例4は高結晶水鉱石を66.1mass%と多配合した焼結鉱を高炉主原料中の40mass%使用し、投入水素量を7.7kg/t-pとした場合を示す。この例では、投入水素量は適正範囲未満であるが高結晶水鉱石を使用した焼結鉱の使用比率が本発明より低い場合である。
比較例4の操業においては、高結晶水鉱石を66.1mass%と多配合した焼結鉱の割合が、高炉主原料中の40mass%と低いため、還元粉化量がそれほど多くなく高炉内圧力損失は比較的低位に押さえられ、スリップ回数は0回/日と極めて高炉操業は順調であった。
ただし、この操業方法では、今後大量に産出されることが予想される高結晶水鉱石を多量に使用することはできない。
比較例5は高結晶水鉱石を21.8mass%配合した焼結鉱を高炉主原料中の75mass%使用し、投入水素量を7.7kg/t-pとした場合を示す。この例では、投入水素量が7.7kg/t-pであり適正範囲である12 kg/t-p乃至31kg/t-pの範囲より少ないが、高結晶水鉱石の使用割合が21.8mass%と低く、高品位の鉱石を多配合した場合である。
比較例5の操業においては、還元粉化量がそれほど多くなく高炉内圧力損失は比較的低位に押さえられ、スリップ回数は0回/日と極めて高炉操業は順調であった。
ただし、この操業方法では、今後大量に産出されることが予想される高結晶水鉱石を多量に使用することはできない。
以上のように、本発明の実施例に示されるように、本発明の高炉操業方法によれば、安価な高結晶水鉱石を使用して安定した高炉操業できることが実証された。
本発明の一実施形態に係る高炉操業方法に使用する高炉の説明図である。 本発明の一実施の形態に係る高炉操業方法の効果を確認するために、投入水素量を様々に変更して高炉内圧力損失、ソリューションロスカーボン量、水素還元率について検討した結果を示すグラフである。
符号の説明
1 高炉
2 送風管
3 固体還元材吹込みランス
4 液体還元材吹込みランス
5 気体還元材吹込みランス

Claims (4)

  1. 結晶水含有量が3.5mass%以上の高結晶水鉱石を焼結新原料中の25mass%以上使用した焼結鉱を、高炉主原料中の50mass%以上用い、かつ羽口から補助還元材を吹込む高炉操業方法であって、高炉への投入水素量(炉頂から装入するコークスに付着した水分や、鉄鉱石に付着した水分以外で高炉に投入される水素分)を12kg/t-p乃至31kg/t-pの範囲とするとともに前記投入水素量のうち、羽口からH 2 Oとして供給される量を1.5kg/t-p乃至7.6kg/t-pとすることを特徴とする高炉操業方法。
  2. 羽口から吹込む補助還元材として、気体還元材および/または液体還元材を吹込むことを特徴とする請求項1に記載の高炉操業方法。
  3. 気体還元材として天然ガス、都市ガス、コークス炉ガス、石炭ガス化ガスのうち少なくとも一つを用いるものとし、液体還元材として重油、タールのうち少なくとも一つを用いることを特徴とする請求項2に記載の高炉操業方法。
  4. 羽口から吹込む補助還元材として微粉炭および/または合成樹脂を用いることを特徴とする請求項2または3に記載の高炉操業方法。
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