JP3620306B2 - 電磁開閉装置 - Google Patents
電磁開閉装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3620306B2 JP3620306B2 JP27610498A JP27610498A JP3620306B2 JP 3620306 B2 JP3620306 B2 JP 3620306B2 JP 27610498 A JP27610498 A JP 27610498A JP 27610498 A JP27610498 A JP 27610498A JP 3620306 B2 JP3620306 B2 JP 3620306B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- armature
- magnetic flux
- contact
- yoke
- contacted
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Tumbler Switches (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遠隔操作により制御できる電磁開閉装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図12は従来の電磁開閉装置の動作を説明する側面図、図13は従来の電磁開閉装置の磁束経路を説明する斜視図である。図14は従来の電磁開閉装置の原理を説明する側面図であり、図14(a)は2箇所接極タイプを示し、図14(b)は1箇所接極タイプを示している。
【0003】
図12に示すように、電磁開閉装置1はケース2とハンドル3とを備える。ケース2は上方が開口する絶縁性樹脂製の略矩形箱状のものである。ハンドル3は、絶縁性樹脂製のもので、その表面は操作時の指先に沿う凹曲面に成形されるとともに、ケース2に設けた揺動軸20を中心に揺動自在にされている。
【0004】
ケース2は、内部に、復帰付勢手段に相当する復帰ばね4と、継鉄5(図13参照)と、リセットコイル6とを備える。復帰ばね4は、コイルばねにて形成され、ケース2の底面右端中央近傍とハンドル3の裏部右端中央近傍との間に介入される。そして、復帰ばね4は、ケース2の底面右端中央近傍とハンドル3の裏部右端中央近傍とを互いに遠ざける方向、すなわち、ハンドル3を揺動軸20を中心に左回動する方向、電気的スイッチ接点(図示せず)をオフする方向、に常時付勢している。
【0005】
継鉄5は、珪素鋼などの鉄板材にて形成された継鉄部材50,51から構成されており、平面視略コ字形に組み立てられ、ケース2に固定される。また、継鉄5の対向片にあっては、リセットコイル6を装着するために、継鉄部材51の方が幅狭にされるものの、接極部50a,51aの部分では共に同一幅で且つ幅広にされている。リセットコイル6はボビン60に巻装されている。リセットコイル6はボビン60を介して継鉄部材51に装着される。
【0006】
ハンドル3は接極子7(図13参照)を備える。接極子7は、直方体の永久磁石Mと、略L字形に成形された接極片70,71とを備える。永久磁石Mは厚さ方向に着磁されている。接極片70は永久磁石MのN極面に取着している。接極片71は永久磁石MのS極面に取着している。そして、接極片70と接極片71とは平行に対向する。また、接極片70,71の間隔は、前記継鉄5の接極部50a,51aの間隔と同一にされており、接極片70,71の端部である被接極部70a,71aは接極部50a,51aにそれぞれちょうど当接して磁着できるようにされている。
【0007】
なお、ケース2の裏面には、リセットコイル6に電気的に接続する励磁端子61,61やスイッチ接点に接続する接点端子(図示せず)が植設されるとともに、励磁端子61,61および接点端子(図示せず)をそれぞれ電気的に隔絶する隔壁21が設けられている。
【0008】
ところで、上述のような電磁開閉装置1は次のように動作する。すなわち、図12に示すオフ状態の電磁開閉装置1にあっては、復帰ばね4は付勢方向に伸長状態になり、ハンドル3の左側が下がり、接極子7の被接極部70a,71aは継鉄5の接極部50a,51aから離間している。
【0009】
そこで、ハンドル3の右側を復帰ばね4の付勢力に逆らって押圧すると、復帰ばね4は圧縮され、接極子7の被接極部70a,71aは継鉄5の接極部50a,51aに接近する。そして、被接極部70a,71aが接極部50a,51aに対して所定位置以上に近接すると、被接極部70a,71aが磁力によって接極部50a,51aに吸引される力の方が、復帰ばね4の付勢力よりも優勢になり、被接極部70a,71aが接極部50a,51aに当接する接極状態、すなわちハンドル3の右側が下がった状態が維持され、電気的スイッチ接点(図示せず)のオン状態が持続される。
【0010】
オン状態になった電磁開閉装置1にあっては、永久磁石MのN極から放出される磁束φは、図13に示すように次のような磁束経路で循環する。すなわち、永久磁石MのN極→接極片70→被接極部70a→接極部50a→継鉄部材50→継鉄部材51→接極部51a→被接極部71a→接極片71→永久磁石MのS極、の磁束経路で循環する。
【0011】
オン状態にある電磁開閉装置1は次のように遠隔操作にてオフ状態にできる。すなわち、前述の磁束経路を通る磁束φとは逆向きの磁束Φを生じせしめる電流つまりリセット電流を、励磁端子61,61を介してリセットコイル6に流し、前述の磁束経路の磁束φを弱めることによって、被接極部70a,71aが磁力によって接極部50a,51aに吸引される力の方が、復帰ばね4の付勢力よりも劣勢になるようにするのである。すると、必然的にハンドル3は左回動し、ハンドル3の左側が下がった状態が維持され、電磁開閉装置1の電気的スイッチ接点(図示せず)のオフ状態が持続されることになる。
【0012】
電磁開閉装置1は例えば省電力用コピー機などに利用される。すなわち、電磁開閉装置1を手動にてオン操作し、コピー機電源を投入するものの、計時装置にて計時していて例えば15分間に一度も使用されなければ、電力の無駄使いと判断され、自動的にリセットコイル6にリセット電流が流され、コピー機電源を強制的にオフすることにより省電力を図るのである。
【0013】
ところで、上述の図12,図13を用いて説明した電磁開閉装置1は、図14(a)に示す2箇所接極タイプのものに相当している。以下、図14(a)に示す2箇所接極タイプの電磁開閉装置について動作原理の説明を行う。なお、前述した電磁開閉装置1と同等の箇所には同じ符号を付してある。
【0014】
図14(a)の2箇所接極タイプの電磁開閉装置は、継鉄5と、リセットコイル6と、接極子7とを含んで構成される。継鉄5は、対向片と橋絡片とを備える側面視コ字形のもので、固定されてなり、両端には接極部50a,51aを備え、橋絡片にはリセットコイル6が巻装されている。
【0015】
接極子7は、側面視コ字形のもので、復帰付勢手段(図示せず)によって継鉄5から離間する方向の付勢力Fを受けており、直方体の永久磁石Mと、接極片70,71とを備える。永久磁石Mは厚さ方向に着磁されている。接極片70は永久磁石MのN極面に取着している。接極片71は永久磁石MのS極面に取着している。そして、接極片70と接極片71とは平行に対向する。また、接極片70,71の間隔は、前記継鉄5の接極部50a,51aの間隔と同一にされており、接極片70,71の端部である被接極部70a,71aは接極部50a,51aにそれぞれちょうど当接して磁着できるようにされている。
【0016】
一旦、接極子7が付勢力Fに逆らって押圧されて継鉄5に当接して磁着すると、リセットコイル6にリセット電流が流れないかぎり、永久磁石Mによって生じる磁束φによる接極部50a,51aと被接極部70a,71aとの吸引力が、付勢力Fよりも優勢になって、磁着が持続する。そして、リセットコイル6にリセット電流が流れると、リセットコイル6の発生する起磁力による磁束Φにより永久磁石Mによって生じる磁束φが相殺されて弱められ、接極部50a,51aと被接極部70a,71aとの吸引力が付勢力Fよりも劣勢になって、接極部50a,51aと被接極部70a,71aとは離間する。
【0017】
一方、図14(b)に示す1箇所接極タイプの電磁開閉装置も考案されている。以下、図14(b)に示す1箇所接極タイプの電磁開閉装置について動作原理の説明を行う。なお、図14(a)に示す電磁開閉装置と同等の箇所には同じ符号を付してある。
【0018】
この図14(b)に示す電磁開閉装置にあっても、継鉄5と、リセットコイル6と、接極子7とを含んで構成される。継鉄5は断面略E字形のもので、固定されてなり、中央脚52には接極部52aが形成されるとともにリセットコイル6が巻装され、外脚先端内側面には永久磁石Mが取着される。永久磁石Mは、外脚先端内側面に対して直交する方向に磁化され、接極子7側がN極にされている。接極子7は、前記接極部52aに接極自在な被接極部72aを有する接極片であり、復帰付勢手段(図示せず)によって、継鉄5の中央脚52の接極部52aから離間する方向の付勢力Fを受けている。
【0019】
一旦、接極子7が付勢力Fに逆らって押圧されて継鉄5の接極部52aに当接して磁着すると、リセットコイル6にリセット電流が流れないかぎり、永久磁石Mによって生じる磁束φによる接極部52aと被接極部72aとの吸引力が、付勢力Fよりも優勢になって、磁着が持続する。そして、リセットコイル6にリセット電流が流れると、リセットコイル6の発生する起磁力による磁束Φにより永久磁石Mによって生じる磁束φが相殺されて弱められ、接極部52と被接極部72との吸引力が付勢力Fよりも劣勢になって、接極部52aと被接極部72aとは離間する。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電磁開閉装置にあっては、永久磁石Mの厚みがリセットコイル6の起磁力に対する大きな磁気抵抗になって、永久磁石Mからの磁束φを弱めるための、リセットコイル6の起磁力による磁束Φの通る磁束経路が非効率となり、リセットコイル6に大電流を流しても、なかなか永久磁石Mによる磁束φを弱めることができない。つまり、接極部50a,51aと被接極部70a,71aとの接極面あるいは接極部52aと被接極部72aとの接極面を通る磁束を効率的に減少させることができず、オン状態(セット状態)の電磁開閉装置1を効率的にオフ状態(リセット状態)にすることができず、電磁開閉装置1の安定した特性を得ることが困難で、僅かな製造上のバラツキで動作不良を生じてしまうという問題点があった。
【0021】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、製造上のバラツキに強く、常に安定した動作特性を得ることができる、優れる電磁開閉装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の問題点を解決するため、請求項1記載の発明にあっては、接極部を有する継鉄と、接極部に接極自在な被接極部を有する接極子と、接極部と被接極部とを離間する方向に付勢する復帰付勢手段と、接極部と被接極部とを一旦接極せしめると接極状態を維持するに足る第1の磁束を接極面に流すように第1の磁束経路を形成する永久磁石と、接極状態でリセット電流を供給すると前記永久磁石を迂回して前記第1の磁束を打ち消す方向の第2の磁束を前記接極面に流して前記接極部と前記被接極部とを離間する第2の磁束経路を形成するリセットコイルとを設け、前記継鉄は2箇所の接極部を有するものであり、前記接極子は接極部毎に接極自在な被接極部を有する接極片を具備するものであり、前記永久磁石は前記接極片間に磁化方向に介在されるものであり、前記リセットコイルは前記継鉄に巻装されるものであり、前記接極片間に前記第2の磁束経路のための磁束バイパス部を設けたことを特徴とする。
【0024】
請求項2記載の発明にあっては、前記磁束バイパス部は、磁束経路ギャップを形成するための突状部として、前記接極片の対向面にそれぞれ側面視重合的に設けたことを特徴とする。
【0025】
請求項3記載の発明にあっては、前記復帰付勢手段は、前記箇所の接極部間を通って配設されることを特徴とする。
【0026】
請求項4記載の発明にあっては、前記磁束バイパス部を前記復帰付勢手段の力点とすることを特徴とする。
【0027】
請求項5記載の発明にあっては、接極部を有する継鉄と、接極部に接極自在な被接極部を有する接極子と、接極部と被接極部とを離間する方向に付勢する復帰付勢手段と、接極部と被接極部とを一旦接極せしめると接極状態を維持するに足る第1の磁束を接極面に流すように第1の磁束経路を形成する永久磁石と、接極状態でリセット電流を供給すると前記永久磁石を迂回して前記第1の磁束を打ち消す方向の第2の磁束を前記接極面に流して前記接極部と前記被接極部とを離間する第2の磁束経路を形成するリセットコイルとを設け、前記継鉄は中央脚に接極部を有する断面略E型形状または底面の略中央を接極部とする断面略コ字形のものであり、前記接極子は前記接極部に接極自在な被接極部を有する接極片を具備するものであり、前記永久磁石は前記継鉄の外脚先端内側に配設されて且つ外脚先端内側面に対して直交する方向に磁化せしめたものであり、前記継鉄と前記接極片との間に前記第2の磁束経路のための磁束バイパス部を設け、前記磁束バイパス部は、前記継鉄の外脚の側面端から延設されて内側に屈曲して形成された第1のスライド対向部と前記接極片から延設されて前記第1のスライド対向部と平行で対向するように形成された第2のスライド対向部とを含んで構成され、前記接極部と前記被接極部とが離間しても前記第1のスライド対向部と前記第2のスライド対向部との間隔を略一定に保ち、前記磁束バイパス部における磁気抵抗を略一定に保つようにしたことを特徴とする。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電磁開閉装置の第1の実施の形態を図1および図2に基づいて、第2の実施の形態を図3および図4に基づいて、第3の実施の形態を図5乃至図11に基づいて、それぞれ詳細に説明する。
【0031】
[第1の実施の形態]
図1は電磁開閉装置の磁束経路を示す斜視図である。図2は電磁開閉装置の接極部に吸引接極する被接極部を示す図であり、図2(a)は正面図、図2(b)は側面図である。なお、図1、図2において、従来の技術で図12および図13を用いて説明した電磁開閉装置と同等の箇所には、同じ符号を付してある。
【0032】
また、第1の実施の形態の電磁開閉装置にあっては、従来の技術で図12および図13を用いて説明した電磁開閉装置と構成ならびに動作原理は基本的に同じであり、以下の説明において、図1または図2に記載されていない箇所にあっては図12および図13に付した符号を用いて説明する。従って、図12および図13をも参照されたい。
【0033】
この第1の実施の形態の電磁開閉装置1も、従来の技術で図12および図13を用いて説明した電磁開閉装置と同様、ケース2と、ハンドル3と、復帰付勢手段に相当する復帰ばね4と、継鉄5と、リセットコイル6と、接極子7とを備える。リセットコイル6は継鉄5の継鉄部材51に装着される。
【0034】
この第1の実施の形態の電磁開閉装置1が従来のものと異なり特徴となるのは、図1に示すように、接極子7に磁束バイパス部70b,71bを設けた構成である。接極子7はハンドル3の裏部に組み込まれる。接極子7は、直方体の永久磁石Mと、略L字形に成形された接極片70,71とを備える。永久磁石Mは厚さ方向に着磁されている。
【0035】
接極片70は永久磁石MのN極面に取着している。接極片71は永久磁石MのS極面に取着している。従って、接極片70と接極片71とは平行に対向する。磁束バイパス部70bは接極片70の被接極部70aの先端を接極片71の方へ略直角に折り曲げて形成され、磁束バイパス部71bは接極片71の被接極部71aの先端を接極片70の方へ略直角に折り曲げて形成される。
【0036】
接極片70,71の間隔は、磁束バイパス部70b,71bの先端の間隔Lbを除いて、間隔Laとされている。継鉄5の接極部50a,51aの間隔は間隔Laとされている。つまり、接極片70,71の被接極部70a,71aは接極部50a,51aにそれぞれちょうど当接して磁着できる。
【0037】
従って、この電磁開閉装置1にあっても、従来の技術で図12および図13を用いて説明した電磁開閉装置と同様、ハンドル3の右側を復帰ばね4の付勢力に逆らって押圧すると、復帰ばね4は圧縮され、接極子7の被接極部70a,71aは継鉄5の接極部50a,51aに接近する。そして、被接極部70a,71aが接極部50a,51aに対して所定位置以上に近接すると、被接極部70a,71aが磁力によって接極部50a,51aに吸引される力の方が、復帰ばね4の付勢力よりも優勢になり、被接極部70a,71aが接極部50a,51aに当接する状態、すなわちハンドル3の右側が下がった状態が維持され、電気的スイッチ接点(図示せず)のオン状態が持続される。
【0038】
オン状態になった電磁開閉装置1の、永久磁石MのN極から放出されてS極に戻る磁束φは、磁束バイパス部70b,71bが形成されているものの、磁束バイパス部70b,71bの先端間には間隔Lbの間隙があり、かなりの磁気抵抗が存在する。従って、永久磁石MのN極から放出されてS極に戻る磁束φは、最も磁気抵抗の少ない経路、すなわち従来の電磁開閉装置の場合と同様、永久磁石MのN極→接極片70→被接極部70a→接極部50a→継鉄部材50→継鉄部材51→接極部51a→被接極部71a→接極片71→永久磁石MのS極、の第1の磁束経路で循環する。
【0039】
ところで、この発明の重要な作用効果は、オン状態にある電磁開閉装置1を遠隔操作にてオフ状態にするとき、すなわちリセットするときに発揮される。つまり、従来の電磁開閉装置にあっては、電磁開閉装置をオン状態からオフ状態にするにあたって、被接極部70a,71aが接極部50a,51aに当接しているオン状態において、リセットコイル6の起磁力によって生じる磁束Φを、第1の磁束経路の全経路にわたって逆向きに循環させている。
【0040】
従って、従来の電磁開閉装置にあっては、リセットコイル6の起磁力に対する磁気抵抗は、永久磁石Mの厚さによる磁気抵抗が最も高く且つかなりの磁気抵抗値を示す。そこで、被接極部70a,71aと接極部50a,51aとの当接している接極面において、永久磁石Mからの磁束φを打ち消す程度に、リセットコイル6の起磁力による磁束Φを強めるには、リセットコイル6の巻線巻回数を多くするとともに大電流を流さなければならず、電磁開閉装置のコンパクト化やコストダウンに逆行する。
【0041】
ところで、被接極部70a,71aが磁力によって接極部50a,51aに吸引される力は、被接極部70aから接極部50aへ流れる磁束のベクトル和の絶対値と、接極部51aから被接極部71aへ流れる磁束のベクトル和の絶対値とにより決定され、前記のそれぞれの絶対値が大きければ大きいほど強くなる。
【0042】
つまり、被接極部70a,71aが磁力によって接極部50a,51aに吸着されている力を弱めるには、被接極部70aと接極部50aとの接極面で流れる磁束のベクトル和の絶対値と、接極部51aと被接極部71aとの接極面で流れる磁束のベクトル和の絶対値とを、小さくできさえすれば良いことになる。
【0043】
そこで、磁束バイパス部70b,71bを設けることによって、リセットコイル6の起磁力に対する磁気抵抗を少なくして、リセットコイル6の生じる単位起磁力当たりの磁束Φを多くし、且つこの磁束Φを被接極部70a,71aと接極部50a,51aとの接極面に効率的に作用せしめるように構成し、リセットコイル6の僅かな起磁力で確実なリセット動作を実現せしめたのが、本発明の電磁開閉装置なのである。
【0044】
このオン状態にある電磁開閉装置1にあっては、継鉄部材51に装着されたリセットコイル6の起磁力による磁束Φは、図1に示すような第2の磁束経路を循環する。すなわち、継鉄部材51→継鉄部材50→接極部50a→被接極部70a→磁束バイパス部70b→磁束バイパス部71b→被接極部71a→接極部51a→継鉄部材51、の第2の磁束経路を循環する。
【0045】
従って、この電磁開閉装置によれば、リセットコイル6の巻線巻回数が少なくても、また、リセットコイル6に流す電流が少なくても、電磁開閉装置1をオン状態からオフ状態へ切り換えるリセット動作を確実に行なうことができ、電磁開閉装置そのものをコンパクト化することができるとともに、コストダウンを図ることができる。
【0046】
また、図1に示すような磁束経路を備える電磁開閉装置1にあっては、図2に示すように、磁束バイパス部70b,71bが対向して側面視重合的に設けられており、接極片70と接極片71とを対称形状にすることができて製造上都合が良い。
【0047】
なお、磁束バイパス部70b,71bの先端の間隔Lbは、あまり狭すぎても好ましくない。なぜならば、間隔Lbが極端に接近すると、永久磁石Mからの磁束φが磁束バイパス部70b,71bで短絡するような状態になり、被接極部70a,71aと接極部50a,51aとの当接している接極面を通る永久磁石Mからの磁束φが減少してしまうからである。従って、磁束バイパス部70b,71bの先端の間隔Lbにあっては、最適値を経験的に求めるか、あるいはコンピュータ解析を行なって求めることが好ましい。
【0048】
また、図1に示すような磁束経路を備える電磁開閉装置1にあっては、図2に示すように、復帰ばね4を接極部50a,51aの間に通し、復帰ばね4の力点を磁束バイパス部70b,71bにすることができ、空間利用効率を高めることができて、電磁開閉装置1のコンパクト化に都合が良い。
【0049】
なお、上記の実施の形態にあっては、磁束バイパス部70b,71bは、接極片70,71の先端を折り曲げて形成しているが、もちろん、接極片70,71の先端に磁性体片を溶着や加締めなどで取着しても良い。また、磁束バイパス部70b,71bの位置も、接極片70,71の先端に限らず、接極片70,71の先端から永久磁石Mの方へ奥まった位置であっても良く、極論すれば永久磁石Mの後方側に位置させても構わない。更に、接極片70と接極片71とを対称形状にする必要がなければ、磁束バイパス部70bだけを設けるようにして、磁束バイパス部70bの突出代を少し長くしても、略同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【0050】
[第2の実施の形態]
図3は電磁開閉装置の接極部に吸引接極する被接極部を示す図であり、図3(a)は正面図、図3(b)は側面図である。図4は電磁開閉装置の要部を示す側面図である。なお、図3、図4において、従来の技術で図12および図13を用いて説明した電磁開閉装置と同等の箇所には、同じ符号を付してある。
【0051】
また、第2の実施の形態の電磁開閉装置1にあっても、従来の技術で図12および図13を用いて説明した電磁開閉装置と構成ならびに動作原理は基本的に同じであり、以下の説明において、図3または図4に記載されていない箇所にあっては図12および図13に付した符号を用いて説明する。従って、図12および図13をも参照されたい。
【0052】
この第2の実施の形態の電磁開閉装置1にあっても、従来の技術で図12および図13を用いて説明した電磁開閉装置と同様、ケース2と、ハンドル3と、復帰付勢手段に相当する復帰ばね4と、継鉄5と、リセットコイル6と、接極子7とを備える。リセットコイル6は継鉄5の継鉄部材51に装着される。
【0053】
この第2の実施の形態の電磁開閉装置1が、従来のものと異なり特徴となるのは、前述の第1の実施の形態の電磁開閉装置と同様の理由で、接極子7に磁束バイパス部70c,71cを設けた構成である。
【0054】
この接極子7に設けた磁束バイパス部70c,71cが、第1の実施の形態の電磁開閉装置1の接極子7に設けた磁束バイパス部70b,71bと異なり特徴となるのは、第1の実施の形態の電磁開閉装置の接極子7に設けた磁束バイパス部70b,71bが、被接極部70a,71aに対して平行に折り曲げて形成してあるのに対し、第2の実施の形態の電磁開閉装置の接極子7に設けた磁束バイパス部70c,71cにあっては、接極片70,71の被接極部70a,71a近傍の側辺に対し平行に略直角に折り曲げて形成した構成である。
【0055】
詳しい説明は省略するが、図3に示すように、接極片70,71の被接極部70a,71a近傍の側辺に対し平行に略直角に折り曲げて形成した磁束バイパス部70c,71cにあっても、前述の第1の実施の形態の電磁開閉装置と同様の原理で、同様の作用効果を得ることができる。
【0056】
また、図3に示すような磁束経路を有する電磁開閉装置1にあっては、磁束バイパス部70c,71cがそれぞれ対向して側面視重合的に設けられており、接極片70と接極片71とを対称形状にすることができて製造上都合が良い。なお、磁束バイパス部70b,71bの先端の間隙は、あまり狭すぎても好ましくなく、最適値を実験的に求めるか、あるいは、コンピュータ解析を行なって求めることが好ましい。
【0057】
ところで、図3に示すように、接極片70,71の被接極部70a,71a近傍の側辺に対し平行に略直角に折り曲げて形成した磁束バイパス部70c,71cを備える接極子7にあっては、図4に示すように、復帰ばね4を接極部50a,51aの間に通すとともに被接極部70a,71aの間を通して、復帰ばね4の力点をハンドル3の裏部にすることができ、空間利用効率を高めることができて、電磁開閉装置1のコンパクト化に都合が良い。
【0058】
なお、上記の実施の形態にあっては、磁束バイパス部70c,71cは、接極片70,71の先端付近の側辺に対し平行に略直角に折り曲げて形成しているが、もちろん、接極片70,71の先端付近の側辺に磁性体片を溶着や加締めなどで取着しても良い。また、磁束バイパス部70b,71bの位置も、接極片70,71の先端に限らず、接極片70,71の先端から永久磁石Mの方へ奥まった位置であっても良く、極論すれば永久磁石Mの後方側に位置させても構わない。更に、接極片70と接極片71とを対称形状にする必要がなければ、磁束バイパス部70cだけを設けるようにして、磁束バイパス部70cの突出代を少し長くしても、略同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【0059】
[第3の実施の形態]
図5は電磁開閉装置を示す側面図、図6は電磁開閉装置の磁束経路構成を示す斜視図、図7は電磁開閉装置のリセットコイルを示す斜視図、図8は電磁開閉装置の磁束経路を説明する斜視図、図9は電磁開閉装置の継鉄本体を示す斜視図、図10は電磁開閉装置の継鉄中央脚を示す斜視図、図11は電磁開閉装置の接極子を示す斜視図である。なお、図5乃至図11において、従来の技術で図12および図13を用いて説明した電磁開閉装置と同等の箇所には、同じ符号を付してある。
【0060】
図5に示すように、電磁開閉装置1はケース2とハンドル3とを備える。ケース2は上方が開口する絶縁性樹脂製の略矩形箱状のものである。ハンドル3は、絶縁性樹脂製のもので、その表面は操作時の指先に沿う凹曲面に成形されるとともに、ケース2に設けた揺動軸20を中心に揺動自在にされている。
【0061】
ケース2は、内部に、復帰付勢手段に相当する復帰ばね4と、継鉄5と、リセットコイル6と、接極子7とを備える。復帰ばね4は、コイルばねにて形成され、ケース2の底面左端中央近傍とハンドル3の裏部左端中央近傍との間に介入される。そして、復帰ばね4は、ケース2の底面左端中央近傍とハンドル3の裏部左端中央近傍とを互いに遠ざける方向、すなわち、ハンドル3を揺動軸20を中心に右回動する方向、電気的スイッチ接点(図示せず)をオフする方向、に常時付勢している。
【0062】
継鉄5は、珪素鋼などの鉄板材にて形成され、図9に示すような断面略コ字形の継鉄本体52と、図10に示すような一枚板の継鉄中央脚53とから構成されており、図8に示すように断面略E字形に組み立てられ、ケース2に固定される。継鉄本体52は、図9に示すように、対向する外脚52a,52bと橋絡片52cとから構成される。外脚52a,52bは同じ幅にされている。外脚52a,52bは橋絡片52cにて橋絡される。橋絡片52cの略中央には矩形の挿着孔52dが穿設される。また、外脚52aの右端中部からは、延設されて内側に略直角に屈曲した第1のスライド対向部に相当する継鉄舌片52a1 が、形成される。継鉄中央脚53は、図9に示すように、傾斜した接極部53aと挿着突部53bとを備える。継鉄中央脚53の幅は、外脚52a,52bの幅よりやや短くされる。
【0063】
リセットコイル6は、図7に示すように、ボビン60にコイルを巻装したものである。ボビン60は、樹脂製のもので、基台部60aを備え、基台部60aには断面略矩形の筒状部60bが立設され、筒状部60bの先端には鍔状部60cが形成されている。ボビン60の基台部60aの両端は、リセットコイル6に接続する植設されたピン状の励磁端子61,61を備える。また、ボビン60の基台部60aは、底部に窪んだ基台段部60a1 を備える。そして、ボビン60の奥行きW1 は、リセットコイル6が継鉄本体52の外脚52a,52bの間に配設できるように、外脚52a,52bの間隔W4 に比較してやや短くされる。基台段部60a1 の幅W2 は、継鉄本体52の橋絡片52cを跨ぐことができるように、橋絡片52cの幅W5 に比較してやや長くされている。
【0064】
上述の継鉄本体52と継鉄中央脚53とリセットコイル6とは次のようにして組み立てる。すなわち、先ず、継鉄中央脚53をリセットコイル6を巻装したボビン60の柱状中空部60b内へ挿入し、継鉄中央脚53の挿着突部53bをボビン60の基台部60aの中央に穿設されている貫通孔(図示せず)に挿入する。そして、継鉄本体52の外脚52a,52bの間から、基台部60aで橋絡片52cを跨ぐようにして、基台段部60a1 を継鉄本体52に宛てがい、基台部60aからの挿着突部53bの突出代部を橋絡片52cの略中央に穿設されている挿着孔52dに挿着する。
【0065】
そして、ボビン60は継鉄本体52の橋絡片52cと継鉄中央脚53とで挟持され、リセットコイル6は継鉄本体52の外脚52a,52bの間に固定され、側面視略E字形の継鉄5が完成する。その後、継鉄本体52の外脚52a,52bの先端内側面に、永久磁石M,Mをそれぞれ取着する。このとき永久磁石M,Mは、同極面が対向するように配設される。この実施の形態にあっては、N極同士が対向するように配設される。このように、永久磁石M,Mが取着されるとともにリセットコイル6が巻装されたブロックは、ケース2の上方の開口から挿入され、励磁端子61,61はケース2の底部から外へ適宜貫通され、ボビン60の基台部60aはケース2の底部に固定される。
【0066】
接極子7は、珪素鋼などの鉄板材を打ち抜き加工するとともに折り曲げ加工を施した平面視L字形の図11に示すような複雑な形状のもので、接極子本体片72と第2のスライド対向部に相当する接極子舌片73と備える。接極子本体片72は被接極部72aとばね受部72bとを備える。被接極部72aは、接極子本体片72の中部から延設した部分を斜交いに切断して形成され、継鉄中央脚53の傾斜した接極部53aに平面で当接して接極できるようにされている。ばね受部72bは、接極子本体片72の先端近傍に形成された小突起状のものであり、復帰ばね4の一端部を受けるための部分である。
【0067】
上述の接極子7は、ケース2の内部に組み込まれ固定されているボビン60の柱状中空部60bに、被接極部72aの形成されている部分を挿入するようにして、柱状中空部60bをガイドにスライド自在にケース2の内部に組み込まれる。このとき、復帰ばね4の一端部をばね受部72bに係止するとともに、復帰ばね4の他端部をケース2の底部に形成されたばね受凹部22に係入し、押圧圧縮しながら復帰ばね4をも組み込む。その後、図示しない電気的スイッチをケース2の内部に組み込むとともに、ハンドル3をケース2の揺動軸20に揺動自在に取着する。すると、図5に示す電磁開閉装置1が完成する。
【0068】
このとき、接極子7の接極子本体片72は、永久磁石M,Mの間隙のちょうど中央に位置し、永久磁石M,Mの表面に接近するものの接触しないようにされるとともに、復帰ばね4の伸長しようとする付勢力Fを受ける。また、接極子7の接極子舌片73は、継鉄本体52の外脚52aに形成された継鉄舌片52a1 に対し、平行で間隙Lcで接近して対向されるとともに、接極子7がスライド可動しても対向面積が変化しないようにスライド可動方向に継鉄舌片52a1 よりも長くされて、磁束バイパス部を形成する。接極子舌片73と継鉄舌片52a1 との間隙Lcは、大き過ぎず且つ小さ過ぎない適度の磁気抵抗が形成されるように設定される。
【0069】
上述のように構成される電磁開閉装置1は次のように動作する。すなわち電磁開閉装置1は、電気的スイッチ接点(図示せず)のオフ状態では、図5において図示されている状態とは逆に、ハンドル3は右回動して、ハンドル3の右側が下がった状態になっている。そして、ハンドル3の右側が下がった状態、すなわち、電気的スイッチ接点(図示せず)のオフ状態では、継鉄5の接極部53aと接極子7の被接極部72aとが離間した状態に維持され、復帰ばね4は伸長した状態を持続する。それでいて、復帰ばね4は、更に伸長する方向の付勢力Fを接極子7に与えている。
【0070】
そこで、ハンドル3の左側を復帰ばね4の付勢力Fに逆らって押圧すると、復帰ばね4は圧縮され、接極子7の被接極部72aが継鉄5の接極部53aに接近する。そして、被接極部72aが接極部53aに対して所定位置以上に近接すると、被接極部72aが永久磁石M,Mの生ずる磁力によって接極部53aに吸引される力の方が、復帰ばね4の付勢力Fよりも優勢になり、被接極部72aが接極部53aに吸引され当接する図5に示す状態、すなわちハンドル3の左側が下がった状態が維持され、電気的スイッチ接点(図示せず)のオン状態が持続される。
【0071】
オン状態になった電磁開閉装置1にあっては、永久磁石M,MのN極から放出される磁束φは、次のような第1の磁束経路で循環する。すなわち、永久磁石M,MのN極→接極子7の接極子本体片72→被接極部72a→接極部53a→継鉄中央脚53→挿着突部53b→橋絡片52c→外脚52a,52b→永久磁石M,MのS極、の磁束経路で循環する。
【0072】
ところで、上述のようにしてオン状態になった電磁開閉装置1にあっては、次のようにしてオフ状態になる。すなわち、励磁端子61,61を介してリセットコイル6にリセット電流を流し、リセットコイル6に起磁力を生じせしめ、この起磁力による磁束Φを発生させる。この磁束Φは、次のような第2の磁束経路で循環する。すなわち、継鉄中央脚53→接極部53a→被接極部72a→接極子本体片72→接極子舌片73→継鉄舌片52a1 →外脚52a→橋絡片52c→挿着突部53b→継鉄中央脚53、の磁束経路を循環する。
【0073】
そして、被接極部72aと接極部53aとの接極面における磁束φと磁束Φとは、相互に逆方向で相殺され、ベクトル和の絶対値は磁束φのみの場合よりも小さくなり、被接極部72aと接極部53aとの接極面における相互の吸引力は、弱くなって、復帰ばね4の付勢力Fよりも劣勢になる。従って、被接極部72aと接極部53aとは離間することになり、左下がりになっているハンドル3の左側が接極子7によって持ち上げられ、ハンドル3は右回動して右下がりになり、電気的スイッチ接点(図示せず)のオン状態はオフ状態へ切り換わり、電磁開閉装置1はリセット状態になる。
【0074】
ここで重要な点は、接極子舌片73と継鉄舌片52a1 との間隙Lcを適切に設定して、間隙Lcによって第2の磁束経路に対して与える磁気抵抗を、大き過ぎず且つ小さ過ぎない適度の磁気抵抗に設定することである。なぜならば、間隙Lcが大き過ぎ、第2の磁束経路に対して与える磁気抵抗が大きくなり過ぎれば、リセット電流によって生じる磁束Φの発生効率は低下し、リセットコイル6の巻線巻回数が多くなってしまうからである。
また、間隙Lcが小さ過ぎ、第2の磁束経路に対して与える磁気抵抗が小さくなり過ぎれば、第1の磁束経路に対しても影響を与えて、永久磁石M,MのN極から放出される磁束φは、第1の磁束経路である、永久磁石M,MのN極→接極子本体片72→被接極部72a→接極部53a→継鉄中央脚53→挿着突部53b→橋絡片52c→外脚52a,52b→永久磁石M,MのS極、の経路で循環するのみならず、永久磁石MのN極→接極子本体片72→接極子舌片73→継鉄舌片52a1 →外脚52a→永久磁石MのS極、の磁束経路や、永久磁石MのN極→接極子本体片72→接極子舌片73→継鉄舌片52a1 →外脚52a→橋絡片52c→外脚52b→永久磁石MのS極、の磁束経路で循環するようになり、被接極部72aと接極部53aとの接極面を流れる磁束φが減少し、被接極部72aと接極部53aとの接極面における相互の吸引力は、弱くなって、復帰ばね4の付勢力Fよりも劣勢になり、リセットコイル6にリセット電流を流していない状態であるにもかかわらず、被接極部72aと接極部53aとの接極状態を維持することができなくなってしまうからである。
【0075】
従って、磁束バイパス部すなわち接極子舌片73と継鉄舌片52a1 との間隙Lcにあっては、最適値を経験的に求めるか、あるいはコンピュータ解析を行なって求めることが好ましい。
【0076】
つまり、この電磁開閉装置によれば、接極子舌片73と継鉄舌片52a1 との間隙Lcを適切に設定すれば、リセットコイル6の巻線巻回数が少なくても、また、リセットコイル6に流すリセット電流が少なくても、電磁開閉装置1をオン状態からオフ状態へ切り換えるリセット動作を確実に行なうことができるので、電磁開閉装置そのものをコンパクト化することができるとともに、電磁開閉装置1のコンパクト化やコストダウンを図ることができる。
【0077】
また、図5に示す電磁開閉装置1にあっては、接極子舌片73と継鉄舌片52a1 との間隙Lcおよび対向面積は、被接極部72aと接極部53aとが接極状態にあっても、被接極部72aと接極部53aとが離間状態にあっても変化しないので、接極子舌片73と継鉄舌片52a1 との間での磁気抵抗は殆ど変化しない。従って、被接極部72aと接極部53aとが離間しかけたときにあっても、リセット電流によって生じる第2の磁束経路に流れる磁束Φを減じるのは、被接極部72aと接極部53aと間の磁気抵抗の増加分のみであり、被接極部72aと接極部53aとの離間に磁束Φを有効に作用させることができるので、その点からも接極子舌片73と継鉄舌片52a1 との間のスライド対向機構は有益である。
【0078】
更に、図5に示すような電磁開閉装置1にあっては、接極子7に永久磁石Mやリセットコイル6を持たせる必要がなく、珪素鋼板などの鉄片だけで構成することが可能で、可動部である接極子7を軽量化することが可能で、レスポンスを良好にできるとともに、電気的スイッチ接点の遮断動作速度を早めることができる。
【0079】
また更に、図5に示すような電磁開閉装置1にあっては、第1の実施の形態に示したような電磁開閉装置1とは異なり、接極部と被接極部とがそれぞれ一つづつで良く、製造上のバラツキによって起こり得る接極部の片当たりに起因する接極不良を防止できる。
【0080】
また更に、継鉄中央脚53は必ずしも必要なく、継鉄中央脚53を無くし、接極子7の接極子本体片72の被接極部72aを、継鉄本体52の橋絡片52cに当接するように延ばしても良く、この場合には、継鉄5を側面視略コ字形の単純な曲げ加工などで作成することができる。
【0081】
なお、本発明は上記の実施の形態の電磁開閉装置に限定するものではなく、リセットコイル6の配設位置にあっては第2の磁束経路のいずれの位置であっても良く、また、永久磁石Mの配設位置にあっては第1の磁束経路と第2の磁束経路との共通になる経路部分を除いた第1の磁束経路のいずれの位置であっても良く、設計上の各種制限のもとで適宜の変更が可能である。
【0082】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、リセットコイルの巻線巻回数が少なくても、また、リセットコイルに流す電流が少なくても、オン状態からオフ状態に切り換えるリセット動作を確実に行うことができるようになり、製造上のバラツキに強く、常に安定した動作特性を得ることのできる、コンパクト化やコストダウンの可能な、優れる電磁開閉装置を提供できるという効果を奏する。また、この効果に加えて更に、継鉄および接極子を、それぞれ略左右対象形状に形成することが可能で、製造上の都合の良い、優れる電磁開閉装置を提供できるという効果を奏する。
【0084】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて更に、復帰付勢手段を継鉄の各接極部の間を通して磁束バイパス部を復帰付勢手段の力点として流用することができ、空間利用効率を高めて、更なるコンパクト化を図るこのできる、優れる電磁開閉装置を提供できるという効果を奏する。
【0085】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて更に、復帰付勢手段を継鉄の各接極部の間を通して配設できるので、空間利用効率を高めることができてコンパクト化に都合の良い、優れる電磁開閉装置を提供できるという効果を奏する。
【0086】
請求項4記載の発明によれば、請求項1乃至3記載の発明の効果に加えて更に、磁束バイパス部を復帰付勢手段の力点として流用するので、空間利用効率を高めることができて且つ部品点数を少なくでき、コンパクト化とコストダウンとに都合の良い、優れる電磁開閉装置を提供できるという効果を奏する。
【0089】
請求項5記載の発明によれば、接極部と被接極部とがそれぞれ一つづつで良いので、製造上のバラツキによって起こり得る接極部の片当たりに起因する接極不良を防止できる、優れる電磁開閉装置を提供できるという効果を奏する。また、この効果に加えて更に、接極部と被接極部とが離間しても、磁束バイパス部での磁気抵抗を殆ど変化させずに略一定に保つことができるので、リセットコイルの巻線巻回数が少なくても、また、リセットコイルに流す電流が少なくても、オン状態からオフ状態に切り換えるリセット動作を確実に行うことができるようになり、製造上のバラツキに強く、常に安定した動作特性を得ることのできる、コンパクト化やコストダウンの可能な、優れる電磁開閉装置を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態の電磁開閉装置の磁束経路を示す斜視図である。
【図2】上記電磁開閉装置の接極部に吸引接極する被接極部を示す図である。
【図3】本発明に係る第2の実施の形態の電磁開閉装置の接極部に吸引接極する被接極部を示す図である。
【図4】上記電磁開閉装置の要部を示す側面図である。
【図5】本発明に係る第3の実施の形態の電磁開閉装置を示す側面図である。
【図6】上記電磁開閉装置の磁束経路構成を示す斜視図である。
【図7】上記電磁開閉装置のリセットコイルを示す斜視図である。
【図8】上記電磁開閉装置の磁束経路を説明する斜視図である。
【図9】上記電磁開閉装置の継鉄本体を示す斜視図である。
【図10】上記電磁開閉装置の継鉄中央脚を示す斜視図である。
【図11】上記電磁開閉装置の接極子を示す斜視図である。
【図12】従来の電磁開閉装置の動作を説明する側面図である。
【図13】上記電磁開閉装置の磁束経路を説明する斜視図である。
【図14】上記電磁開閉装置の原理を説明する側面図である。
【符号の説明】
1 電磁開閉装置
4 復帰付勢手段
5 継鉄
50a 接極部
51a 接極部
52a1 磁束バイパス部(第1のスライド対向部)
53a 接極部
6 リセットコイル
70 接極片
70a 被接極部
70b 磁束バイパス部
70c 磁束バイパス部
71 接極片
71a 被接極部
71b 磁束バイパス部
71c 磁束バイパス部
72 接極片
72a 被接極部
73 磁束バイパス部(第2のスライド対向部)
Lb 磁束経路ギャップ
Lc 磁束経路ギャップ
M 永久磁石
φ 第1の磁束
Φ 第2の磁束
Claims (5)
- 接極部を有する継鉄と、接極部に接極自在な被接極部を有する接極子と、接極部と被接極部とを離間する方向に付勢する復帰付勢手段と、接極部と被接極部とを一旦接極せしめると接極状態を維持するに足る第1の磁束を接極面に流すように第1の磁束経路を形成する永久磁石と、接極状態でリセット電流を供給すると前記永久磁石を迂回して前記第1の磁束を打ち消す方向の第2の磁束を前記接極面に流して前記接極部と前記被接極部とを離間する第2の磁束経路を形成するリセットコイルとを設け、前記継鉄は2箇所の接極部を有するものであり、前記接極子は接極部毎に接極自在な被接極部を有する接極片を具備するものであり、前記永久磁石は前記接極片間に磁化方向に介在されるものであり、前記リセットコイルは前記継鉄に巻装されるものであり、前記接極片間に前記第2の磁束経路のための磁束バイパス部を設けたことを特徴とする電磁開閉装置。
- 前記磁束バイパス部は、磁束経路ギャップを形成するための突状部として、前記接極片の対向面にそれぞれ側面視重合的に設けたことを特徴とする請求項1記載の電磁開閉装置。
- 前記復帰付勢手段は、前記2箇所の接極部間を通って配設されることを特徴とする請求項1記載の電磁開閉装置。
- 前記磁束バイパス部を前記復帰付勢手段の力点とすることを特徴とする請求項1乃至3記載の電磁開閉装置。
- 接極部を有する継鉄と、接極部に接極自在な被接極部を有する接極子と、接極部と被接極部とを離間する方向に付勢する復帰付勢手段と、接極部と被接極部とを一旦接極せしめると接極状態を維持するに足る第1の磁束を接極面に流すように第1の磁束経路を形成する永久磁石と、接極状態でリセット電流を供給すると前記永久磁石を迂回して前記第1の磁束を打ち消す方向の第2の磁束を前記接極面に流して前記接極部と前記被接極部とを離間する第2の磁束経路を形成するリセットコイルとを設け、前記継鉄は中央脚に接極部を有する断面略E型形状または底面の略中央を接極部とする断面略コ字形のものであり、前記接極子は前記接極部に接極自在な被接極部を有する接極片を具備するものであり、前記永久磁石は前記継鉄の外脚先端内側に配設されて且つ外脚先端内側面に対して直交する方向に磁化せしめたものであり、前記継鉄と前記接極片との間に前記第2の磁束経路のための磁束バイパス部を設け、前記磁束バイパス部は、前記継鉄の外脚の側面端部から延設されて内側に屈曲して形成された第1のスライド対向部と前記接極片から延設されて前記第1のスライド対向部と平行で対向するように形成された第2のスライド対向部とを含んで構成され、前記接極部と前記被接極部とが離間しても前記第1のスライド対向部と前記第2のスライド対向部との間隔を略一定に保ち、前記磁束バイパス部における磁気抵抗を略一定に保つようにしたことを特徴とする電磁開閉装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27610498A JP3620306B2 (ja) | 1998-04-30 | 1998-09-29 | 電磁開閉装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10-120303 | 1998-04-30 | ||
JP12030398 | 1998-04-30 | ||
JP27610498A JP3620306B2 (ja) | 1998-04-30 | 1998-09-29 | 電磁開閉装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000021270A JP2000021270A (ja) | 2000-01-21 |
JP3620306B2 true JP3620306B2 (ja) | 2005-02-16 |
Family
ID=26457913
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27610498A Expired - Fee Related JP3620306B2 (ja) | 1998-04-30 | 1998-09-29 | 電磁開閉装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3620306B2 (ja) |
-
1998
- 1998-09-29 JP JP27610498A patent/JP3620306B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000021270A (ja) | 2000-01-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8773226B2 (en) | Driving device and relay | |
EP0130423A2 (en) | Polarized electromagnet and its use in a polarized electromagnetic relay | |
JPH08180785A (ja) | 電磁継電器 | |
JP3620306B2 (ja) | 電磁開閉装置 | |
KR940007431B1 (ko) | 전자기 폴라 릴레이(polar relay) | |
JPH0992526A (ja) | 電磁石装置 | |
JP3632437B2 (ja) | リセット機能付スイッチ | |
KR930024041A (ko) | 2조의 전자계전기부를 갖는 소형, 경제적이고 안정한 유극전자계산기 | |
JPH07335107A (ja) | 有極電磁石 | |
JPH0225204Y2 (ja) | ||
JP2598611B2 (ja) | シングルステイブル型有極電磁石 | |
JPH0225207Y2 (ja) | ||
JP2005150412A (ja) | 電磁石装置および電磁接触器 | |
JPH0343683Y2 (ja) | ||
US4673908A (en) | Polarized relay | |
JPH0343682Y2 (ja) | ||
JP2598612B2 (ja) | 有極電磁石 | |
JP2601997B2 (ja) | シングルステイブル型有極電磁石 | |
JPS61127105A (ja) | 電磁石装置 | |
JPH0342653Y2 (ja) | ||
JPS6346997Y2 (ja) | ||
JPH04363003A (ja) | 交直両用電磁石 | |
JPH0246011Y2 (ja) | ||
JPH0446357Y2 (ja) | ||
JP2897860B2 (ja) | シングルステイブル型有極電磁石 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040204 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040210 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040405 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20041026 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20041108 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081126 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081126 Year of fee payment: 4 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091126 Year of fee payment: 5 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |