JP3620250B2 - セラミック積層体のプレス装置及びプレス方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、プレス装置及びプレス方法に関し、詳しくは、セラミックグリーンシートを積層した積層体(セラミック積層体)を圧着するためのプレス装置及びそれを用いたセラミック積層体のプレス方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
例えば、代表的な積層セラミック電子部品の一つである積層セラミックコンデンサは、誘電体であるセラミック中に複数の内部電極が積層、配設された素子(セラミック素子)に、内部電極と導通する外部電極が配設された構造を有している。
【0003】
この積層セラミックコンデンサは、通常、内部電極パターンを配設したセラミックグリーンシートを積層してなる積層体を圧着し、得られた圧着積層体を所定の位置でカットして、個々のセラミック素子を切り出し、このセラミック素子に、外部電極を配設することにより製造されている。
【0004】
そして、上述のようにセラミックグリーンシートを積層してなる積層体(セラミック積層体)をプレスして圧着する場合、通常は、図5に示すように、セラミック積層体51を、金型本体(下金型)52にセットし、上金型53により積層体51をプレスして、積層体51を構成するセラミックグリーンシートを互いに圧着させるようにしている。
【0005】
ところで、積層体51をプレスして圧着するためには、高い圧力を加えることが必要になるため、プレスに用いられる金型もそのような圧力に耐えるものでなければならず、通常は、大型で重量の大きいものが用いられている。そのため、プレス工程では大型で重い金型を取り扱わなければならず、作業性が悪いという問題点がある。
【0006】
また、セラミック積層体をプレス工程に搬送する工程では、前述のように、プレス用の金型が重いため、金型とは別の軽量の搬送容器(搬送治具)が用いられている。そのため、プレス工程に搬送されたセラミック積層体を、搬送容器からプレス用の金型に移しかえる作業が必要になり、手間がかかるばかりでなく、積み重ねずれが発生して製品の特性に悪影響を与えるという問題点がある。
【0007】
本願発明は、上記問題点を解決するものであり、小型、軽量で取り扱い性に優れた金型本体を備えたセラミック積層体のプレス装置、及び小型、軽量の金型本体を用いて効率よくセラミック積層体をプレスすることが可能なプレス方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願請求項1のセラミック積層体のプレス装置は、
セラミックグリーンシートを積層した積層体(セラミック積層体)が収容される凹部を構成する底部及び側壁部を備えた金型本体と、
金型本体の凹部に収容された積層体をプレスする上金型と、
金型本体の側壁部の外周面と当接する当接部材と、当接部材を介して金型本体の側壁部を内周面側に押圧する押圧機構部とを備えた金型保持・押圧手段と
を具備し、
押圧機構部により、当接部材を金型本体の側壁部の外周面に当接するまで押圧するとともに、側壁部が所定の位置に保持されるような所定の圧力で、当接部材を介して側壁部を内周面側に押圧しながらプレスすることにより、金型本体が所定の位置に保持された状態で、金型本体内の積層体のプレスが行われるように構成されていること
を特徴としている。
【0009】
金型保持・押圧手段の押圧機構部により、当接部材を金型本体の側壁部の外周面に当接するまで押圧するとともに、側壁部が所定の位置に保持されるような所定の圧力で、金型本体の側壁部を当接部材を介して内周面側に押圧しながらプレスすることにより、金型本体が所定の位置に保持された状態で、金型本体内の積層体のプレスが行われることになり、金型本体のみでプレス時の高圧に耐えられるようにした従来の場合に比べて、金型本体に要求される強度を小さくすることが可能になり、金型本体の小型化、軽量化を実現することができるようになる。
【0010】
また、請求項2のセラミック積層体のプレス装置は、前記金型本体の底部と側壁部とが分離可能に構成されていることを特徴としている。
金型本体の底部と側壁部を分離可能とすることにより、金型本体の構成の自由度を向上させることが可能になるとともに、金型本体の取り扱い性をさらに向上させることが可能になり、本願発明をより実効あらしめることができる。
【0011】
また、請求項3のセラミック積層体のプレス装置は、前記金型本体が、積層体を搬送するのに用いられる積層体搬送容器を兼ねていることを特徴としている。
本願発明のプレス装置においては、金型本体を小型、軽量化することが可能になるため、特に不都合なく金型本体を積層体の搬送容器として用いることが可能になる。したがって、搬送のために別途、搬送容器を用いることが不要になるとともに、搬送容器から金型に積層体を移しかえる工程が不要になり、作業性を大幅に向上させることが可能になるとともに、移しかえの工程で積層体に積みずれが発生することがなくなるため、特性の劣化を防止することができる。
【0012】
また、請求項4のセラミック積層体のプレス装置は、前記金型本体の底部の周辺部に段差部が形成され、該段差部に前記側壁部が分離可能に係合するように構成されていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項5のセラミック積層体のプレス装置は、前記側壁部が一体不可分に形成された枠体の一部をなすものであることを特徴としている。
【0014】
また、本願発明(請求項6)のプレス方法は、
上記本願発明のプレス装置を用いてセラミックグリーンシートを積層した積層体をプレスする方法であって、
セラミックグリーンシートを積層した積層体を、底部と側壁部とを備えた金型本体の凹部に収容し、
金型保持・押圧手段の当接部材を金型本体の側壁部の外周面に当接させ、
金型本体の側壁部が所定の位置に保持されるように、押圧機構部により、当接部材を介して金型本体の側壁部を内周面側に所定の圧力で押圧して金型本体の側壁部を所定の位置に保持しながら、上金型により金型本体の凹部に収容された積層体をプレスすること
を特徴としている。
【0015】
上記本願発明のプレス装置を用い、積層体を金型本体の凹部に収容し、金型保持・押圧手段の当接部材を金型本体の側壁部に当接させ、金型本体の側壁部が所定の位置に保持されるように、押圧機構部により、当接部材を介して金型本体の側壁部を内周面側に所定の圧力で押圧して金型本体の側壁部を所定の位置に保持しながら、上金型により金型本体の凹部に収容された積層体をプレスすることにより、小型、軽量の金型本体を用いて、積層体を高圧で確実に押圧することが可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態を示してその特徴とするところをさらに詳しく説明する。なお、図1はこの実施形態のセラミック積層体のプレス装置を示す図、図2はこの実施形態のプレス装置の金型本体及びその近傍の構成を示す平面図である。
【0017】
この実施形態のセラミック積層体のプレス装置は、セラミックグリーンシートを積層してなる積層体(セラミック積層体)10が収容される凹部3aを構成する底部(プレート)1と側壁部(枠体)2からなる金型本体3と、金型本体3が載置される金型ベース4と、金型本体3の側壁部2の外周面と当接して金型本体3を所定の位置に保持する当接部材5と、当接部材5を金型本体3の側壁部2に押圧するシリンダ式の押圧機構部6と、金型本体3の凹部3aにセットされた積層体10を上面側からプレスする上金型7とを備えている。すなわち、この実施形態のプレス装置では、上記当接部材5とシリンダ式の押圧機構部6が、金型保持・押圧手段8を構成している。なお、当接部材5は、側壁部2の外周面の略全面に当接するように構成されているとともに、シリンダ式の押圧機構部6のロッド6aに固定されており、また、押圧機構部6は金型ベース4に固定されている。
【0018】
また、金型本体3の底部(プレート)1は、その周辺部の厚みが薄く、中央部との間に段差部1aが形成され、この段差部1aに側壁部(枠体)2がはまり込むことにより、底部1と側壁部2が分離可能に係合し、凹部3aが形成されるように構成されている。
さらに、この金型本体3は、積層体10を搬送するための搬送容器(搬送治具)としても用いられるように構成されており、金型ベース4とは着脱自在となっている。
【0019】
次に、上記プレス装置を用いて、積層体10をプレスする方法について説明する。
(1)まず、図1に示すように、セラミックグリーンシートを金型本体3の凹部3a内に所定枚数積層して積層体10を形成した後、プレス工程に搬送し、積層体10を金型本体3とともに金型ベース4上に載置する。
(2)次に、図3に示すように、押圧機構部6により当接部材5を金型本体3の側壁部2の外周面に当接するまで押圧して金型本体3を所定の位置に保持する。 (3)それから、図4に示すように、押圧機構部6により当接部材5を金型本体3の側壁部2に所定の圧力で押圧するとともに、上金型7により、積層体10を上面側からプレスして、積層体10を構成する各セラミックグリーンシートを圧着させる。
【0020】
上述のように、この実施形態のセラミック積層体のプレス装置は、金型保持・押圧手段8の当接部材5を金型本体3の側壁部2の外周面に当接させることにより金型本体3を所定の位置に保持するとともに、押圧機構部6により当接部材5を介して金型本体3の側壁部2を内周面側に押圧しながら上金型7で積層体10を上面側あるいは下面側からプレスするようにしているので、金型のみでプレス時の高圧に耐えられるようにした従来の場合に比べて、金型本体3に要求される強度を小さくすることが可能になり(すなわち、金型本体3の側壁部2を当接部材5を介して内周面側に押圧しながら上金型7でプレスすることにより、金型本体3の側壁部2の破損を防止することが可能になり)、金型本体3の小型化、軽量化を実現することができる。
【0021】
また、金型本体3が小型、軽量であることから、搬送容器(搬送治具)としても用いることが可能で、金型とは別に搬送容器を用いた場合のように、プレス工程で積層体10を搬送容器から金型本体3に移しかえる手間を省くことが可能になる。また、金型本体3に移しかえることが不要で、積層体に積みずれが発生することがなく、特性の劣化を防止することが可能になる。
【0022】
また、金型本体3は、その底部1と側壁部2とを分離可能としているので、金型本体3の構成の自由度が高く、しかも、金型本体3の取り扱い性にも優れており有利である。
【0023】
また、上記実施形態では、金型本体3の底部1と側壁部2が分割可能に構成されている場合を例にとって説明したが、金型本体3を一体構造とすることも可能である。
【0024】
また、上記実施形態では、金型保持・押圧手段8の押圧機構部6としてシリンダ式の押圧機構部を用いた場合について説明したが、押圧機構部6はこれに限らず、例えばコッター方式などの他の方式のものを用いることも可能である。
【0025】
本願発明は、さらにその他の点においても上記実施形態に限定されるものではなく、金型本体の具体的な形状、プレスする際の圧力やプレス時間などに関し、発明の要旨の範囲内において種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0026】
【発明の効果】
上述のように、本願発明のセラミック積層体のプレス装置は、金型保持・押圧手段の押圧機構部により、当接部材を金型本体の側壁部の外周面に当接するまで押圧するとともに、側壁部が所定の位置に保持されるような所定の圧力で、金型本体の側壁部を当接部材を介して内周面側に押圧しながら金型本体内の積層体をプレスするようにしているので、金型本体のみでプレス時の高圧に耐えられるようにした従来の場合に比べて、金型本体に要求される強度を小さくすることが可能になり、金型本体の小型化、軽量化を実現することができる。
【0027】
また、請求項2のセラミック積層体のプレス装置のように、金型本体の底部と側壁部を分離可能とした場合、金型本体の構成の自由度を向上させることが可能になるとともに、金型本体の取り扱い性をさらに向上させることが可能になり、本願発明をより実効あらしめることができる。
【0028】
また、本願発明のセラミック積層体のプレス装置においては、金型本体を小型、軽量化することが可能になるため、請求項3のように、金型本体を積層体搬送容器としても用いることが可能になり、搬送容器から金型に積層体を移しかえる工程が不要になり、作業性を大幅に向上させることが可能になるとともに、移しかえの工程で積層体の積みずれが発生することを防止することができる。
【0029】
また、本願発明のプレス装置は、請求項4のセラミック積層体のプレス装置のように、金型本体の底部の周辺部に段差部を形成して、段差部に側壁部が分離可能に係合するような構成とすることも可能であり、また、請求項5のセラミック積層体のプレス装置のように、側壁部を、一体不可分に形成された枠体として構成することも可能である。
【0030】
また、本願発明(請求項6)のプレス方法は、上記本願発明のプレス装置を用い、積層体を金型本体の凹部に収容し、金型保持・押圧手段の当接部材を金型本体の側壁部に当接させ、金型本体の側壁部が所定の位置に保持されるように、押圧機構部により、当接部材を介して金型本体の側壁部を内周面側に所定の圧力で押圧して金型本体の側壁部を所定の位置に保持しながら、上金型により、金型本体の凹部に収容された積層体をプレスするようにしているので、小型、軽量の金型本体を用いて、積層体を高圧で確実に押圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるセラミック積層体のプレス装置を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるセラミック積層体のプレス装置の金型本体及びその近傍の構成を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるプレス装置を用いて積層体をプレスする方法を説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるプレス装置を用いて積層体をプレスする方法を説明する図である。
【図5】従来のセラミック積層体のプレス装置を示す図である。
【符号の説明】
1 金型本体の底部
1a 底部の段差部
2 金型本体の側壁部
3 金型本体
3a 金型本体の凹部
4 金型ベース
5 当接部材
6 押圧機構部
6a ロッド
7 上金型
8 金型保持・押圧手段
10 積層体
Claims (6)
- セラミックグリーンシートを積層した積層体(セラミック積層体)が収容される凹部を構成する底部及び側壁部を備えた金型本体と、
金型本体の凹部に収容された積層体をプレスする上金型と、
金型本体の側壁部の外周面と当接する当接部材と、当接部材を介して金型本体の側壁部を内周面側に押圧する押圧機構部とを備えた金型保持・押圧手段と
を具備し、
押圧機構部により、当接部材を金型本体の側壁部の外周面に当接するまで押圧するとともに、側壁部が所定の位置に保持されるような所定の圧力で、当接部材を介して側壁部を内周面側に押圧しながらプレスすることにより、金型本体が所定の位置に保持された状態で、金型本体内の積層体のプレスが行われるように構成されていること
を特徴とするセラミック積層体のプレス装置。 - 前記金型本体の底部と側壁部とが分離可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載のセラミック積層体のプレス装置。
- 前記金型本体が、積層体を搬送するのに用いられる積層体搬送容器を兼ねていることを特徴とする請求項1又は2記載のセラミック積層体のプレス装置。
- 前記金型本体の底部の周辺部に段差部が形成され、該段差部に前記側壁部が分離可能に係合するように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセラミック積層体のプレス装置。
- 前記側壁部が一体不可分に形成された枠体の一部をなすものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセラミック積層体のプレス装置。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のプレス装置を用いてセラミックグリーンシートを積層した積層体をプレスする方法であって、
セラミックグリーンシートを積層した積層体を、底部と側壁部とを備えた金型本体の凹部に収容し、
金型保持・押圧手段の当接部材を金型本体の側壁部の外周面に当接させ、
金型本体の側壁部が所定の位置に保持されるように、押圧機構部により、当接部材を介して金型本体の側壁部を内周面側に所定の圧力で押圧して金型本体の側壁部を所定の位置に保持しながら、上金型により金型本体の凹部に収容された積層体をプレスすること
を特徴とするプレス方法。
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