JP3620066B2 - 車両のブレーキ液圧制御用アクチュエータにおける低圧リザーバの容量可変方法 - Google Patents
車両のブレーキ液圧制御用アクチュエータにおける低圧リザーバの容量可変方法 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
この出願の発明は、車両のブレーキ液圧制御用アクチュエータにおける低圧リザーバの容量可変方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両のブレーキマスタシリンダから車輪ブレーキに至る液圧経路に介挿されるブレーキ液圧制御用アクチュエータであって、このブレーキ液圧制御用アクチュエータは、車輪ブレーキへのブレーキ液の流出入を制御する電磁操作式の液圧制御弁と、この液圧制御弁により車輪ブレーキから流出させたブレーキ液を貯溜する低圧リザーバと、この低圧リザーバ内のブレーキ液を前記液圧経路に戻す電動機駆動の容積形ポンプとを1つのアクチュエータボデーに組付けてなるものであり、前記低圧リザーバは、アクチュエータボデーの表面に開口している穴と、この穴内に液密に且つ摺動可能に嵌入されていて前記穴の底との間にブレーキ液室を形成しているピストンと、前記ボデーに固定されているピストンストッパと、このピストンストッパと前記ピストンとの間に張設されている圧縮コイルスプリングとで構成したものであるところのブレーキ液圧制御用アクチュエータは周知であり、例えばトヨタ・クラウン・ハードトップ新型車解説書(1993年8月17日トヨタ自動車株式会社サービス部発行)の3−2頁〜3−9頁に記載されている。
【0003】
ブレーキ液圧制御用アクチュエータの具体的構成およびサイズは搭載対象車両の構造やサイズにより異なる場合が多いが、コスト低減のために構成部品や設計諸元の共通化が図られている。
【0004】
低圧リザーバに関しては、車輪ブレーキのブレーキ液圧を所期通りに減圧できるとともにブレーキ液圧制御弁の故障等によりブレーキ液が低圧リザーバに漏出する状態でも車両制動が可能な容量であることが要求されるものであり(容量が大きすぎても小さすぎてもいけない)、車両サイズが異なる場合には車輪ブレーキが作用時に消費するブレーキ液量が相違することにより容量が異なるものであり、ピストンの長さ以外の設計諸元が共通化されている。ピストンの長さの相違は低圧リザーバの容量の相違をもたらすものであり、低圧リザーバに要求される容量に対応した長さのピストンを選択使用する。つまり、低圧リザーバの容量を変える従来方法は、低圧リザーバのピストンとして長さの異なるものを準備し、所望容量に対応する長さのピストンをボデーの穴内に組付けるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の如き従来方法は、ブレーキ液圧制御用アクチュエータの組立状態ではピストンが目視できないため、誤組付検出のための低圧リザーバ容量の実測検査が必要となり、この実測検査工程がコストを押し上げるという問題がある。
【0006】
この出願の発明は、上記の如き実測検査工程が必要ないようにすることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的に従うこの出願の発明の車両のブレーキ液圧制御用アクチュエータにおける低圧リザーバの容量可変方法は、車両のブレーキマスタシリンダから車輪ブレーキに至る液圧経路に介挿されるブレーキ液圧制御用アクチュエータであって、
このブレーキ液圧制御用アクチュエータは、車輪ブレーキへのブレーキ液の流出入を制御する電磁操作形の液圧制御弁と、この液圧制御弁により車輪ブレーキから流出させたブレーキ液を貯溜する低圧リザーバと、この低圧リザーバ内のブレーキ液を前記液圧経路に戻す電動機駆動の容積形ポンプとを1つのアクチュエータボデーに組付けてなるものであり、
前記低圧リザーバは、アクチュエータボデーの表面に開口している穴と、この穴内に液密に且つ摺動可能に嵌入されていて前記穴の底との間にブレーキ液室を形成しているピストンと、前記ボデーに固定されていて前記穴内に延在しているピストンストッパと、このピストンストッパと前記ピストンとの間に張設されている圧縮コイルスプリングとで構成したものである
ブレーキ液圧制御用アクチュエータにおいて、
前記ピストンとの当接面の高さを異ならせるとともにその当接面の高さに対応した識別印または識別色をブレーキ液圧制御用アクチュエータを組立てた状態で目視できるように付けた前記ピストンストッパを準備し、前記低圧リザーバの所望容量に対応した前記ピストンストッパを用いることのみによって低圧リサーバの容量を変えるものである。
【0008】
【作用】
上記の低圧リザーバの容量可変方法によれば、低圧リザーバの容量を選択するピストンストッパがブレーキ液圧制御用アクチュエータの組立状態で目視できるため、ブレーキ液圧制御用アクチュエータの組立後に低圧リザーバの容量を実測検査する必要がなくなる。従って、この実測検査にかかる費用分だけコストが低減できる。
【0009】
【実施例】
この出願の発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、左前車輪ブレーキおよび右後車輪ブレーキをマスタシリンダの2つの圧力室のうちの一方圧力室に、また右前車輪ブレーキおよび左後車輪ブレーキをマスタシリンダの2つの圧力室のうちの他方圧力室にそれぞれ接続したFF車(フロントエンジン・フロントドライブ車)用液圧ブレーキ装置に適用されるブレーキ液圧制御用アクチュエータの概略液圧経路を示すものである。図1において、ブレーキペダル10に加えられたブレーキ操作力は負圧式倍力装置11により倍加されてタンデム型のマスタシリンダ12に加えられる。マスタシリンダ12は、周知のように、2つの圧力室を有している。前後左右の4つの車輪ブレーキ13,14,16,17のうち、左前車輪ブレーキ13および右後車輪ブレーキ14はアクチュエータ15を介してマスタシリンダの2つの圧力室のうちの一方圧力室に接続され、また右前車輪ブレーキ16および左後車輪ブレーキ17はアクチュエータ18を介してマスタシリンダの2つの圧力室のうちの他方圧力室に接続される。
【0011】
アクチュエータ15は、左前車輪ブレーキ13をマスタシリンダ12の一方圧力室から遮断可能な2ポート2位置の常開型の電磁遮断弁19と、右後車輪ブレーキ14をマスタシリンダ12の一方圧力室から遮断可能な2ポート2位置の常開型の電磁遮断弁20と、電磁遮断弁19および20と並列に配設されていて車輪ブレーキ側からマスタシリンダ側へのブレーキ液流れのみを許容する逆止弁21および22と、左前車輪ブレーキ13を単一の低圧リザーバ23に接続可能な2ポート2位置の常閉型の電磁遮断弁24と、右後車輪ブレーキ14を低圧リザーバ23に接続可能な2ポート2位置の常閉型の電磁遮断弁25と、低圧リザーバ23内のブレーキ液を一定容積のダンパ室26およびオリフィス27を順次通して電磁遮断弁19,20とマスタシリンダ12との間の液圧経路に圧送する電動機駆動の容積形ポンプとしてのプランジャ形ポンプ28とで構成されている。
【0012】
アクチュエータ18は、右前車輪ブレーキ16をマスタシリンダ12の他方圧力室から遮断可能な2ポート2位置の常開型の電磁遮断弁29と、左後車輪ブレーキ17をマスタシリンダ12の他方圧力室から遮断可能な2ポート2位置の常開型の電磁遮断弁30と、電磁遮断弁29および30と並列に配設されていて車輪ブレーキ側からマスタシリンダ側へのブレーキ液流れのみを許容する逆止弁31および32と、右前車輪ブレーキ16を単一の低圧リザーバ33に接続可能な2ポート2位置の常閉型の電磁遮断弁34と、左後車輪ブレーキ17を低圧リザーバ33に接続可能な2ポート2位置の常閉型の電磁遮断弁35と、低圧リザーバ33内のブレーキ液を一定容積のダンパ室36およびオリフィス37を順次通して電磁遮断弁29,30とマスタシリンダ12との間の液圧経路に圧送する電動機駆動のプランジャ形ポンプ38とで構成されている。
【0013】
単一の電動機39は両プランジャ形ポンプ28,38を駆動する。
【0014】
電磁遮断弁19,20,24,25,29,30,34,35は液圧制御弁を構成する。
【0015】
図1に示すアクチュエータ15,18および電動機39の組立体(ブレーキ液圧制御用アクチュエータ)における低圧リザーバ23と電磁遮断弁21,24の詳細構造が図2に示されている。図2において、車両への取付用ゴムマウント101を下方部の左右両側に有するアクチュエータボデー(以下、単にボデーと称する)102は、マスタシリンダ12から車輪ブレーキ13,14,16および17に至る液圧経路、つまり図1の点Aで示す箇所から点B,Cで示す箇所に至る液圧経路と、点Dで示す箇所から点E,Fで示す箇所に至る液圧経路を形成する。このボデー102の上部には、図1の点A〜Fで示す箇所に該当する6個のポートが配置されており、点A,Bで示す箇所に該当するポート103,104が図2で現れている。
【0016】
ボデー102の内部にはボデー102の右側に結合された電動機39により駆動されるプランジャ形ポンプ28,38に共通の駆動軸(図示されず)が組み込まれており、そして、この駆動軸と直交する方向にプランジャ形ポンプ28,38のポンププランジャ(図示されず)が組み込まれている。ボデー102の左側には、電磁遮断弁19,20,24,25,29,30,34および35の駆動部が結合されており、そして、これら駆動部により駆動される弁部がボデー102内に組み込まれている。図2においては、電磁遮断弁19,24の駆動部19a,24aと弁部19b,24bが現れている。
【0017】
図2において、ボデー102の下方部には低圧リザーバ23が配置されている。この低圧リザーバ23は、ボデー102の下面に開口するようにボデー102に形成された穴105と、この穴105内にこの穴内に液密に且つ摺動可能に嵌入されていて前記穴の底との間にブレーキ液室106を形成しているピストン107と、ボデー102内に嵌入されていて止め輪108によりボデー102に係止され実質的に固定されているピストンストッパ109と、このピストンストッパ109とピストン107との間に張設されている圧縮コイルスプリング110とで構成されている。ピストンストッパ109とピストン107との間は空気室であり、ピストンストッパ109に形成された穴111と、同穴111を利用してピストンストッパ109に取付けられたダストカバー112の呼吸孔113を介して大気に接続している。後述するように、車両制動中に電磁遮断弁19が作動されて閉じ且つ電磁遮断弁24が作動されて開くことにより、左前車輪ブレーキ13内のブレーキ液圧が低圧リザーバ23のブレーキ液室106に伝達し、左前車輪ブレーキ13内のブレーキ液がピストン107を下降させつつブレーキ液室106に流入する。低圧リザーバ23の容量はピストン107の下面がピストンストッパ109に当接するまでの過程でブレーキ液室106に流入したブレーキ液量に相当するものであり、ピストンストッパ109を、ピストン107の下端面との当接面の高さHが異なるものに置換することにより低圧リザーバ23の容量を変えることができる。ピストンストッパ109は、ピストン107の下端面との当接面の高さHに対応した所定の色が下面に塗られている。カバー112は半透明の樹脂で形成されており、ブレーキ液圧制御用アクチュエータの組立状態でピストンストッパ109の下面の色をカバー112の呼吸孔113を透視できる。
【0018】
図1において、電磁遮断弁19,20,24,25,29,30,34,35と電動機39は図示しない電子制御装置により車両制動中の車輪の挙動に応じて車輪のロックを回避するように電気的に操作されるものである。周知のように、電子制御装置は各車輪に装備された回転センサーからの信号により各車輪の挙動を検出し各車輪ブレーキのブレーキ液圧の減圧,増圧の必要性を判定して電磁遮断弁および電動機39を操作する。車両が走行している場合においては、電磁遮断弁19,20,24,25,29,30,34,35は作動されておらず図1に示す位置を占めており、電動機39も作動されていない。
【0019】
走行している車両を制動するために運転者がブレーキペダル10にブレーキ操作力を加えた場合、マスタシリンダ12の一方圧力室から左前車輪ブレーキ13および右後車輪ブレーキ14に、またマスタシリンダ12の他方圧力室から右前車輪ブレーキ16および左後車輪ブレーキ17にそれぞれブレーキ液が圧送され、それら車輪ブレーキ13,14,16および17のブレーキ液圧がブレーキ操作力に対応した液圧に増圧し、車輪ブレーキ13,14,16および17により左前車輪,右後車輪,右前車輪および左後車輪にそれぞれブレーキ操作力に対応した制動力が加えられる。
【0020】
車両制動中に電子制御装置が前後左右の4つの車輪の何れか1つ、例えば右後車輪がロック傾向になり、右後車輪ブレーキ14のブレーキ液圧の減圧が必要と判定したときは、電子制御装置により電磁遮断弁21,25および電動機39が作動される。これにより、右後車輪ブレーキ14がマスタシリンダ12の一方圧力室から遮断され且つ低圧リザーバ23に接続され、右後車輪ブレーキ14のブレーキ液が低圧リサーバ23へ流出することにより同車輪ブレーキ14のブレーキ液圧が急減圧される。低圧リザーバ23に流入したブレーキ液は電動機39により駆動されるプランジャ形ポンプ28によりダンパ室26とオリフィス27を通してマスタシリンダ12側へ戻され、その際プランジャ形ポンプの吐出脈動がダンパ室26とオリフィス27とで減衰される。電子制御装置が電磁遮断弁20を作動させ続けると同時に電磁遮断弁25の作動解除および作動を所定周期で繰り返すと、左後車輪ブレーキ14のブレーキ液がパルス状に低圧リザーバ23へ流出して、同車輪ブレーキ14のブレーキ液圧が階段状に緩減圧される。電子制御装置が右後車輪のロック傾向が解消したと判定して電磁遮断弁20,25の作動を解除すると、右後車輪ブレーキ14から低圧リザーバ23へのブレーキ液の流出が止まり、マスタシリンダ12側のブレーキ液が電磁遮断弁20を通して右後車輪ブレーキ14へ圧送され、右後車輪ブレーキ14のブレーキ液圧が急増圧される。電子制御装置が右後車輪がロック傾向となる前兆と判定して電磁遮断弁20の作動および作動解除を所定周期で繰り返すと、マスタシリンダ12側のブレーキ液がパルス状に右後車輪ブレーキ14に流入し、同車輪ブレーキ14のブレーキ液圧が階段状に緩増圧される。
【0021】
尚、電動機39は全車輪についてのアンチロック制御の終了により初めて停止されるものである。
【0022】
車両制動中に電子制御装置が左後車輪もロック傾向になり、左後車輪ブレーキ17のブレーキ液圧の減圧が必要と判定したときは、電子制御装置により電磁遮断弁30,35が作動される。これにより、左後車輪ブレーキ17がマスタシリンダ12の他方圧力室から遮断され且つ低圧リザーバ33に接続され、左後車輪ブレーキ17のブレーキ液が低圧リサーバ33へ流出することにより同車輪ブレーキ17のブレーキ液圧が急減圧される。低圧リザーバ33に流入したブレーキ液は電動機39により駆動されるプランジャ形ポンプ38によりダンパ室36とオリフィス37を通してマスタシリンダ12側へ戻され、その際プランジャ形ポンプの吐出脈動がダンパ室36とオリフィス37とで減衰される。電子制御装置が電磁遮断弁30を作動させ続けると同時に電磁遮断弁35の作動解除および作動を所定周期で繰り返すと、右後車輪ブレーキ17のブレーキ液ガパルス状に低圧リザーバ33へ流出して、同車輪ブレーキ17のブレーキ液圧が階段状に緩減圧される。電子制御装置が左後車輪のロック傾向が解消したと判定して電磁遮断弁30,35の作動を解除すると、左後車輪ブレーキ17から低圧リザーバ33へのブレーキ液の流出が止まり、マスタシリンダ12側のブレーキ液が電磁遮断弁30を通して左後車輪ブレーキ17へ圧送され、右後車輪ブレーキ17のブレーキ液圧が急増圧される。電子制御装置が左後車輪がロック傾向となる前兆と判定して電磁遮断弁30の作動および作動解除を所定周期で繰り返すと、マスタシリンダ12側のブレーキ液がパルス状に左後車輪ブレーキ17に流入し、同車輪ブレーキ17のブレーキ液圧が階段状に緩増圧される。
【0023】
左前車輪ブレーキ13および右前車輪ブレーキ16のブレーキ液圧についても電子制御装置により電磁遮断弁19,24,29,34が作動および作動解除されて急減圧,緩減圧,急増圧,緩増圧されるものである。
【0024】
図3は、左前車輪ブレーキおよび右後車輪ブレーキをマスタシリンダの2つの圧力室のうちの一方圧力室に、また右前車輪ブレーキおよび左後車輪ブレーキをマスタシリンダの2つの圧力室のうちの他方圧力室にそれぞれ接続したFF車用の液圧ブレーキ装置の第2実施例を示すものである。図3において、ブレーキペダル10に加えられたブレーキ操作力は負圧式倍力装置11により倍加されてタンデム型のマスタシリンダ12に加えられる。マスタシリンダ12の一方圧力室のブレーキ液はアクチュエータ115を通して左前車輪ブレーキ13および右後車輪ブレーキ14に、またマスタシリンダ12の他方圧力室のブレーキ液はアクチュエータ118を通して右前車輪ブレーキ16および左後車輪ブレーキ17にそれぞれ圧送される。
【0025】
アクチュエータ115は、左前車輪ブレーキ13および右後車輪ブレーキ14をマスタシリンダ12の一方圧力室から遮断し且つ低圧リザーバ23に接続可能な3ポート2位置の電磁切替弁40と、この電磁切替弁40から左前輪ブレーキ13に至る通路中に配置された2ポート2位置の常開型の電磁弁遮断41と、電磁切替弁40から右後車輪ブレーキ14に至る通路中に配置された2ポート2位置の常開型の電磁遮断弁42と、低圧リザーバ23内のブレーキ液を逆止弁43およびオリフィス44を通して左前車輪ブレーキ13に圧送すると同時に逆止弁45およびオリフィス46を通して右後車輪ブレーキ14に圧送するプランジャ形ポンプ28と、電磁切替弁40および電磁遮断弁41,42に対して並列に配置されていて車輪ブレーキ13,14からマスタシリンダ12側へのブレーキ液流れのみを許容する逆止弁21,22とで構成される。
【0026】
アクチュエータ118は、右前車輪ブレーキ16および左後車輪ブレーキ17をマスタシリンダ12の他方圧力室から遮断し且つ低圧リザーバ38に接続可能な3ポート2位置の電磁切替弁47と、この電磁切替弁47から右前車輪ブレーキ16に至る通路中に配置された2ポート2位置の常開型の電磁遮断弁48と、電磁切替弁47から左後車輪ブレーキ17に至る通路中に配置された2ポート2位置の常開型の電磁遮断弁49と、低圧リザーバ38内のブレーキ液を逆止弁50およびオリフィス51を通して右前車輪ブレーキ16に圧送すると同時に逆止弁52およびオリフィス53を通して左後車輪ブレーキ17に圧送する単一のプランジャ形ポンプ38と、電磁切替弁47および電磁遮断弁48,49に対して並列に配置されていて車輪ブレーキ16,17からマスタシリンダ12側へのブレーキ液流れのみを許容する逆止弁31,32とで構成される。
【0027】
電動ポンプ28,38は単一の電動機39により駆動される。
【0028】
オリフィス44,46は、プランジャ形ポンプ28から左前車輪ブレーキ13に圧送されるブレーキ液流量とプランジャ形ポンプ28から右後車輪ブレーキ14に圧送されるブレーキ液流量と比率を任意の値に選定するためのものであり、本実施例では前車輪ブレーキの剛性の方が後車輪ブレーキの剛性よりも低いことに対応して、オリフィス44の通路面積をオリフィス46の通路面積よりも大きく、プランジャ形ポンプ28から左前車輪ブレーキ13に圧送されるブレーキ液流量の方がプランジャ形ポンプ28から右後車輪ブレーキ14に圧送されるブレーキ液流量よりも多い。オリフィス51,53もオリフィス44,46と同じ意味を持つものであり、オリフィス51の通路面積の方がオリフィス53の通路面積よりも大きい。
【0029】
尚、逆止弁43,45,50および52とオリフィス44,46,51および53はそれぞれ直列配置であればよく、図1の配置とは逆に配置してもよい。これらの点は後述の他の実施例でも同じである。
【0030】
低圧リザーバ23,33は第1実施例と同じ構造のものである。
【0031】
電磁切替弁40,47と電磁遮断弁41,42,48,49は液圧制御弁を構成する。
【0032】
電磁切替弁40,47と電磁遮断弁41,42,48,49および電動機39は、図1の第1実施例と同様に、図示しない電子制御装置により車両制動中の車輪の挙動に応じて車輪のロックを回避するように電気的に操作されるものであり、車両が走行している場合においては、電磁切替弁40,47と電磁遮断弁41,42,48,49は作動されておらず図1に示す位置を占めており、電動機39も作動されていない。
【0033】
車両制動中に電子制御装置が前後左右の4つの車輪の何れか1つ、例えば右後車輪がロック傾向になり、右後車輪ブレーキ14のブレーキ液圧の減圧が必要と判定したときは、電子制御装置により電磁切替弁40,電磁遮断弁41および電動機39が作動される。電磁切替弁40の作動により右後車輪ブレーキ14内のブレーキ液が電磁遮断弁42と電磁切替弁40を順次通って低圧リザーバ23へ流出し、右後車輪ブレーキ14のブレーキ液圧が急減圧される。低圧リザーバ23に流出したブレーキ液は電動機39により駆動されるプランジャ形ポンプ28により逆止弁45およびオリフィス46を介して右後車輪ブレーキ14に圧送されるが、プランジャ形ポンプ28により逆止弁45およびオリフィス46を通して右後車輪ブレーキ14に圧送されるブレーキ液流量よりも右後車輪ブレーキ14から低圧リザーバ23へ流出するブレーキ液流量の方が遙かに多いので右後車輪ブレーキ14のブレーキ液圧は引き続き急減圧される。低圧リザーバ23内のブレーキ液はプランジャ形ポンプ28により逆止弁43およびオリフィス44を通して左前車輪ブレーキ13へも圧送され、左前車輪ブレーキ13のブレーキ液圧が緩増圧される。左前車輪ブレーキ13のブレーキ液圧は、左前車輪ブレーキ13のブレーキ液圧がマスタシリンダ12の一方圧力室の液圧よりも高くなると左前車輪ブレーキ13のブレーキ液が逆止弁21を通ってマスタシリンダ12側へ戻るので、マスタシリンダ12の一方圧力室の液圧以上とはならない。
【0034】
電子制御装置が左後車輪もロック傾向になり左後車輪ブレーキ17のブレーキ液圧の減圧が必要と判定したときは、電子制御装置により電磁切替弁47,電磁遮断弁48が作動される。電磁切替弁47の作動により左後車輪ブレーキ17内のブレーキ液が電磁遮断弁49を通って低圧リザーバ33へ流出し、左後車輪ブレーキ17のブレーキ液圧が急減圧される。低圧リザーバ33に流出したブレーキ液は電動機39により駆動されるプランジャ形ポンプ38により逆止弁52およびオリフィス53を介して左後車輪ブレーキ17に圧送されるが、プランジャ形ポンプ38により逆止弁52およびオリフィス53を通して左後車輪ブレーキ17に圧送されるブレーキ液流量よりも左後車輪ブレーキ17から低圧リザーバ33へ流出するブレーキ液流量の方が遙かに多いので左後車輪ブレーキ17のブレーキ液圧は引き続き急減圧される。低圧リザーバ33内のブレーキ液はプランジャ形ポンプ38により逆止弁50およびオリフィス51を通して右前車輪ブレーキ16へも圧送され、右前車輪ブレーキ16のブレーキ液圧が緩増圧される。
【0035】
右前車輪ブレーキ16のブレーキ液圧は、右前車輪ブレーキ16のブレーキ液圧がマスタシリンダ12の他方圧力室の液圧よりも高くなると右前車輪ブレーキ16のブレーキ液が逆止弁31を通ってマスタシリンダ12側へ戻るので、マスタシリンダ12の他方圧力室の液圧以上とはならない。
【0036】
電子制御装置が左前車輪および右前車輪もロック傾向になり前車輪ブレーキ13,16のブレーキ液圧の減圧が必要と判断し、電磁遮断弁41,48の作動を解除して電磁遮断弁41,48が図1の位置に復帰したときには、左前車輪ブレーキ13および右前車輪ブレーキ16内のブレーキ液がそれぞれ電磁遮断弁41および48と電磁切替弁40および47を順次通って低圧リザーバ23および33に流出し、左前車輪ブレーキ13および右前車輪ブレーキ16から低圧リザーバ23および33へそれぞれ流出するブレーキ液流量がプランジャ形ポンプ28および38から左前車輪ブレーキ13および右前車輪ブレーキ16に逆止弁43および50とオリフィス44および51を通してそれぞれ圧送されるブレーキ液流量よりも遙かに多いので左前車輪ブレーキ13および右前車輪ブレーキ16のブレーキ液圧が急減圧される。その後、電子制御装置が左前車輪,右後車輪,左前車輪,右後車輪のロック傾向が解消し各車輪ブレーキのブレーキ液圧の再増圧が必要と判定して電磁遮断弁41,42,48,49を再び作動させたならば、左前車輪ブレーキ13,右後車輪ブレーキ14,右前車輪ブレーキ16,左後車輪ブレーキ17が各々緩増圧される。
【0037】
更に各車輪ブレーキ13,14,16,17のブレーキ液圧がマスタシリンダ12の圧力室の液圧よりも低い状態において、電子制御装置が電磁切替弁40と電磁遮断弁41および/または42の作動を解除したときにはマスタシリンダ12よりブレーキ液が左前車輪ブレーキ13および/または右後車輪ブレーキ14に圧送されて左前車輪ブレーキ13および/または右後車輪ブレーキ14のブレーキ液圧が急増圧され、また電磁切替弁47と電磁遮断弁48および/または49の作動を解除したときにはマスタシリンダ12よりブレーキ液が右前車輪ブレーキ16および/または左後車輪ブレーキ17に圧送されて右前車輪ブレーキ16または左後車輪ブレーキ17のブレーキ液圧が急増圧される。
【0038】
電磁切替弁40,47が作動されている状態において、ブレーキ操作が解除されてマスタシリンダ12の圧力室の液圧が各車輪ブレーキ13,14,16,17のブレーキ液圧よりも低くなったときには、車輪ブレーキ13,14,16,17のブレーキ液が逆止弁21,22,31,32を通ってマスタシリンダ12へと流れるため、車輪ブレーキ13,14,16,17のブレーキ液圧は速やかに減圧される。
【0039】
尚、車輪ブレーキへのブレーキ液の流出入を制御する液圧制御弁の具体的構成は第1実施例,第2実施例の構成に限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更できるものである。そして、低圧リザーバのピストンストッパは、ピストンが嵌入された穴の開口部内に嵌入される栓状のものに限定されるものではなく、例えば穴の開口を塞ぐようにボデー表面に積層し固定するカバー状のものであっても良い。
【0040】
【発明の効果】
この出願の発明に係る車両のブレーキ液圧制御用アクチュエータにおける低圧リザーバの容量可変方法は、以上に説明したように、低圧リザーバの容量を選択するピストンストッパがブレーキ液圧制御用アクチュエータの組立状態で目視できるため、ブレーキ液圧制御用アクチュエータの組立後に低圧リザーバの容量を実測検査する必要がなくなる。従って、この実測検査にかかる費用分だけコストが低減できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の第1実施例を示す図である。
【図2】図1中の低圧リザーバの詳細構造を示す図である。
【図3】この出願の発明の第2実施例を示す図である。
【符号の説明】
12・・・マスタシリンダ
13・・・左前車輪ブレーキ
14・・・右後車輪ブレーキ
15,115・・・アクチュエータ
16・・・右前車輪ブレーキ
17・・・左後車輪ブレーキ
18,118・・・アクチュエータ
19,20,24,25,29,30,34,35,41,42,48,49・・・液圧制御弁を構成する電磁遮断弁
23,33・・・低圧リザーバ
28,38・・・プランジャ形ポンプ
39・・・電動機
40,47・・・液圧制御弁を構成する電磁切替弁
102・・・アクチュエータボデー
105・・・穴
106・・・ブレーキ液室
107・・・ピストン
108・・・止め輪
109・・・ピストンストッパ
110・・・圧縮コイルスプリング
111・・・穴
112・・・ダストカバー
113・・・呼吸孔
Claims (1)
- 車両のブレーキマスタシリンダから車輪ブレーキに至る液圧経路に介挿されるブレーキ液圧制御用アクチュエータであって、
このブレーキ液圧制御用アクチュエータは、車輪ブレーキへのブレーキ液の流出入を制御する電磁操作式の液圧制御弁と、この液圧制御弁により車輪ブレーキから流出させたブレーキ液を貯溜する低圧リザーバと、この低圧リザーバ内のブレーキ液を前記液圧経路に戻す電動機駆動の容積形ポンプとを1つのアクチュエータボデーに組付けてなるものであり、
前記低圧リザーバは、アクチュエータボデーの表面に開口している穴と、この穴内に液密に且つ摺動可能に嵌入されていて前記穴の底との間にブレーキ液室を形成しているピストンと、前記ボデーに固定されているピストンストッパと、このピストンストッパと前記ピストンとの間に張設されている圧縮コイルスプリングとで構成したものである
ブレーキ液圧制御用アクチュエータにおいて、
前記ピストンとの当接面の高さを異ならせるとともにその当接面の高さに対応した識別印または識別色をブレーキ液圧制御用アクチュエータを組立てた状態で目視できるように付けた前記ピストンストッパを準備し、前記低圧リザーバの所望容量に対応した前記ピストンストッパを用いることのみによって低圧リサーバの容量を変えることを特徴とする
車両のブレーキ液圧制御用アクチュエータにおける密閉形低圧リザーバの容量可変方法。
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- 1994-06-21 JP JP13886294A patent/JP3620066B2/ja not_active Expired - Fee Related
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