JP3620038B2 - 液体容器の栓体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、魔法瓶等の液体容器の栓体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、水筒や魔法瓶等の液体を収納して携行される液体容器の栓体として、容器本体の開口部に栓体を装着したままで注液できるようにした、いわゆる、ワンタッチ栓と呼ばれるものが広く使用されている。このワンタッチ栓は、例えば、特開平9−215610号公報に開示されているように、内筒部と外筒部からなり、上部に配した流出口と下部に配した流入口とを連通した液流路を内筒部と外筒部の間に設けた栓本体と、該栓本体の上面に配されたプッシュボタンの下方への押圧により連動して上下動する弁棒と、該弁棒の先端に前記液流路の流入口を開閉するよう設けた弁体と、前記プッシュボタンと連結して、弁体の開閉と同期して前記液流路の流出口を開閉作動するフラップとで構成されている。このワンタッチ栓の止水は、弁体上面が前記外筒部の下端に設けたシール部材に密着して、液流路の流入口を閉塞することにより行われる。
【0003】
ところが、上述の構成では、止水が液流路の1箇所で行われ、止水面積が広いため、外筒部の下端、シール部材、弁体等の部品の少しの歪みにより、止水部の当たりが不均一になることがある。また、容器内の液体を注いで栓を閉じたときに、液流路内に若干の液体が残り、この液体がフラップと流出口の隙間から漏れることがある。このため、特開平11−155745号公報に示されるように、フラップ又は流出口のいずれかにシール部材を設け、流入口と流出口の2箇所で止水するものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の構成では、機構が複雑でコストアップになるとともに、流入口を下側から、流出口を上側からそれぞれ止水するため、2箇所に均等に止水圧力をかける必要があり、その調整が困難である。また、開栓する際に弁体を下方へ押し下げる構造であるから、熱い湯等が収納されて液体容器内の圧力が外部よりも高い場合には、開栓操作に力を要する。
【0005】
そこで本発明は、簡単な構造で液流路の入口及び出口の2箇所を止水した液体容器の栓体を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するため、本発明の液体容器の栓体は、容器本体開口部に着脱自在に取り付けられる有底筒状の外栓と、該外栓の上部に上下方向にヒンジ回動可能に設けられて外栓の上部開口を開閉する内栓と、該内栓を前記外栓に閉状態に係止する係止部材とを有し、前記外栓は、その底壁に液通孔を穿設して、該底壁から上部開口の間を液流路とし、前記内栓は、前記液通孔を密閉する流入口シール部材と、前記外栓の上部開口近傍内周壁に密着する流出口シール部材とを備えていることを特徴としている。また、前記流入口シール部材と前記内栓との間に空洞部を設け、該空洞部と外部とを連通してもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態例に基づいて、さらに詳細に説明する。魔法瓶等の液体容器の栓体1は、容器本体2の開口部に着脱自在に取り付けられる外栓3と、該外栓3の上部に上下方向にヒンジ回動可能に設けられて外栓3の上部開口を開閉する内栓4と、該内栓4を前記外栓3に閉状態に係止する係止部材5とを有している。
【0008】
前記外栓3は、有底筒状に形成された栓体部31と、該栓体部31を組み付けた容器本体2への取付部32とからなり、栓体部31を容器本体2の開口部内に挿入して、取付部32内周に形成されたネジ部33を容器本体2の首部外周のネジ部21に螺合することにより容器本体2の開口部に取り付けられる。前記取付部32の上部一側に、前記内栓4が水平方向の支軸6にて上下方向にヒンジ回動可能に取り付けられている。これにより、栓体1は、支軸6と径方向に対向する側が注ぎ口になる。
【0009】
前記栓体部31は、その底壁34を支軸6側から注ぎ口側へ低くなるよう傾斜して形成され、該底壁34の低い方に液通孔35を、高い方に空気孔36をそれぞれ穿設して、該底壁34から上部開口の間を液流路37としている。また、栓体部31の下部外周には、外栓3を容器本体2に取り付けたときに、容器本体2の開口部内周壁下部の段部22に密着するリング状のシール部材38が備えられている。
【0010】
前記内栓4は、有底筒状に形成された栓体部41と、該栓体部41の上部開口を覆う蓋部42とからなり、栓体部41は、胴部43と底壁44とを有し、胴部43の外周にはシール部材取付用の溝45が周設されている。底壁44は、前記外栓3の底壁34に対応して傾斜して形成されており、その下面には、前記液通孔35と前記空気孔36にそれぞれ対応する位置にシール部材取付用の突起46,47が形成されている。液通孔35に対応する突起46には空気抜き孔46aが穿設されている。
【0011】
また、前記栓体部41には、エラストマー等の弾性体からなるシール部材7が設けられている。このシール部材7は、前記内栓4を閉じたときに、前記液通孔35を上方から密閉する流入口シール部71と、前記空気孔36を上方から密閉する空気孔シール部72と、前記外栓3の上部開口近傍内周壁に密着する流出口シール部73とを一体に形成したもので、流入口シール部71を前記突起46に、空気孔シール部72を前記突起47にそれぞれ外嵌し、舌片74を前記溝45に嵌合して栓体部41に取り付けられる。流入口シール部71は、突起46との間に空洞部75を形成して設けられる。なお、本実施形態例では一体型のシール部材を用いたが、流入口シール部71、空気孔シール部72及び流出口シール部73はそれぞれ別部品でもよい。
【0012】
蓋部42には、外部へ開口する空気抜き孔42aが形成されている。また、蓋部42の上面には、前記係止部材5が設けられている。この係止部材5は、支軸6から注ぎ口方向に往復動可能に設けられ、蓋部42の側壁との間に縮設されたコイルスプリング51により常時注ぎ口方向へ付勢され、係止爪52を前記栓体部41の注ぎ口側外周壁から突出させており、該係止爪52を前記外栓3の取付部32上部の注ぎ口側内周壁に形成した係合穴39に係合して内栓4を閉状態に保持する。また、上面に隆起形成した操作部53を前記コイルスプリング51の付勢力に抗して支軸6側へ動かすことにより、係止爪52が前記栓体部41内に引き込まれて前記係合穴39との係合を解除する。支軸6には、内栓4を常時開方向(上方)に付勢するトーションスプリング61が設けられ、このトーションスプリング61の付勢力によって内栓4は上方に回動して開く。この内栓4は、図1に示される閉状態から、図2に示されるように、支軸6を中心として約180度開き、容器本体2を傾けて液体を注ぐ際には、トーションスプリング61の付勢力によって内栓4の閉方向への回動が規制され開状態を維持する。
【0013】
このように、栓体1は、内栓4の上下方向の回動によって外栓3の上部開口を開閉する簡単な構成であり、また、外栓3の上部開口を閉じる際に、流入口シール部71にて液通孔35を、空気孔シール部72にて空気孔36をそれぞれ上方から密閉するとともに、流出口シール部73が液流路37の出口となる外栓3の上部開口近傍内周壁に密着するから、液流路37の入口及び出口を止水できる。さらに、液流路37の入口及び出口を止水して気密構造とするため、液流路37の入口及び出口間が断熱層となり、保温性能が向上する。しかも、液通孔35を密閉する流入口シール部71が空洞部75を有し、この空洞部75が突起46の空気抜き孔46aと蓋部42の空気抜き孔42aとを介して外部と連通しているので、外栓3の上部開口を閉じる際の圧力調整が容易である。また、容器本体2内の圧力が外部よりも高い場合でも、空洞部75が容易に変形して液通孔35を完全に密閉することができる。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の液体容器の栓体は、容器本体開口部に着脱自在に取り付けられる有底筒状の外栓と、外栓の上部に上下方向にヒンジ回動可能に設けられて外栓の上部開口を開閉する内栓と、内栓を外栓に閉状態に係止する係止部材とを有し、外栓の底壁に液通孔を穿設して底壁から上部開口の間を液流路とし、内栓に、液通孔を密閉する流入口シール部材と、外栓の上部開口近傍内周壁に密着する流出口シール部材とを備えたので、内栓を上下方向に回動して外栓の上部開口を開閉する簡単な構成で液流路の入口及び出口を止水できる。また、液流路の入口及び出口の止水により、液流路の入口及び出口間が断熱層となり、保温性能が向上する。さらに、流入口シール部材と内部栓との間に設けた空洞部を外部と連通させることにより、外栓の上部開口を閉じる際の圧力調整が容易であるとともに、容器本体内の圧力が外部よりも高い場合でも、空洞部が容易に変形して液通孔を完全に密閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の栓体を閉じた状態の断面図
【図2】同じく開いた状態の断面図
【図3】同じく開いた状態の平面図
【符号の説明】
1…栓体、2…容器本体、3…外栓、31…栓体部、32…取付部、34…底壁、35…液通孔、36…空気孔、37…液流路、4…内栓、41…栓体部、43…胴部、44…底壁、5…係止部材、6…支軸、7…シール部材、71…流入口シール部、73…流出口シール部、75…空洞部

Claims (2)

  1. 容器本体開口部に着脱自在に取り付けられる有底筒状の外栓と、該外栓の上部に上下方向にヒンジ回動可能に設けられて外栓の上部開口を開閉する内栓と、該内栓を前記外栓に閉状態に係止する係止部材とを有し、前記外栓は、その底壁に液通孔を穿設して、該底壁から上部開口の間を液流路とし、前記内栓は、前記液通孔を密閉する流入口シール部材と、前記外栓の上部開口近傍内周壁に密着する流出口シール部材とを備えていることを特徴とする液体容器の栓体。
  2. 前記流入口シール部材は、前記内栓との間に空洞部を有し、該空洞部と外部とを連通したことを特徴とする請求項1記載の液体容器の栓体。
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