JP3619799B2 - 非水電解質二次電池の製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、リチウムをドープしかつ脱ドープし得る炭素材料から主として構成した負極を具備する非水電解質二次電池を製造する方法に関し、特に、負極の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子技術のめざましい進歩は、電子機器の小型・軽量化を次々と実現させている。それに伴い、移動用電源としての電池に対しても、ますます、小型・軽量かつ高エネルギー密度のものが求められている。
【0003】
従来、一般用途の二次電池としては、鉛電池、ニッケル・カドミウム電池などの水溶液系電池が主流であった。これらの電池は、サイクル特性は優れているが、電池重量やエネルギー密度の点では十分満足できる特性とは言えない。
【0004】
最近、二次電池として、電池重量やエネルギー密度の点で不十分である鉛電池やニッケル・カドミウム電池に替わって、リチウムあるいはリチウム合金を負極に用いた非水電解液二次電池の研究・開発が盛んに行われている。
【0005】
この電池は、高エネルギー密度を有し、自己放電も少なく、軽量であるという優れた特徴を有している。しかし、この電池では、充放電サイクルの進行に伴い、負極において充電時にリチウムがデンドライト状に結晶成長し、このデンドライト状の結晶が正極に到達して内部短絡に至る可能性が高いという欠点があり、実用化への大きな障害となっていた。
【0006】
これに対し、負極に負極活物質担持体としての炭素材料を使用した非水電解液二次電池によれば、化学的、物理的方法によって予め負極の炭素材料に担持させたリチウム、正極活物質の結晶構造中に含有させたリチウムおよび電解液中に溶解したリチウムのそれぞれが、充放電時に負極において炭素層間へドープされかつ炭素層間から脱ドープされる。このために、充放電サイクルが進行しても、負極において充電時にデンドライト状の結晶の析出は見られずに内部短絡を起こしにくく、良好な充放電サイクル特性を示す。また、エネルギー密度も高くかつ軽量であることから、実用化に向けて開発が進んでいる。
【0007】
上述の負極は、通常、粉末状の炭素材料と結着剤とを混合して得られる負極合剤を用いて製造される。
【0008】
上述のような非水電解液二次電池の用途としては、ビデオ・カメラやラップ・トップ・パソコンなどがある。このような電子機器は比較的消費電流が大きいものが多いために、電池は重負荷に耐えられることが必要である。
【0009】
したがって、電池構造として、帯状の正極と帯状の負極とを帯状のセパレータを介してその長さ方向に巻回することによって構成される渦巻式の巻回電極体構造が有効である。この巻回電極体構造の電池によれば、電極面積が大きくとれるために、重負荷による使用にも耐えることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような電子機器の電源として長期間にわたって優れた性能を持つ二次電池を提供するためには、充放電サイクルの進行に伴う容量低下をできるだけ少なくすることが必要である。
【0011】
この容量の点において、従来の非水電解液二次電池の性能はかならずしも十分ではなかった。
【0012】
本発明者らは、非水電解液二次電池における容量低下の原因について鋭意研究した結果、有機材料の焼成などによって得た炭素材料を負極の製造に用いるまでの保存期間中に、炭素材料の微細孔内に水分が吸着し、この水分が充電反応時に炭素材料の細孔表面でリチウムイオンと反応して、リチウムイオンが放電不能なリチウム化合物に変化してしまうために、容量が充放電サイクルの進行に伴って低下してしまうという知見を得た。
【0013】
本発明は、上述のような知見に基づいて成されたものであって、炭素材料から主として構成される負極を具備する非水電解質二次電池における充放電サイクル特性を改善することのできる製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、帯状の集電体の両面にリチウムをドープしかつ脱ドープし得る炭素材料から主として構成した負極合剤を成形することにより構成した負極と、帯状の集電体の両面にLiMO(Mは、Co、Niの少なくとも一種を表す)で表される複合金属酸化物を含んだ正極合剤を成形することにより構成した正極とを帯状のセパレータを介してこの帯状のセパレータの長さ方向に沿って渦巻状に多数回巻回することにより構成した巻回電極体を具備する非水電解質二次電池を製造する方法において、有機材料を焼成して製造された炭素質材料を平均粒径が数〜十数μmになるように粉末状に粉砕して微細孔を有する粉末状の炭素材料を得てからこの粉末状炭素材料を300〜1,100℃の温度で水分値が1200ppm以下になるように加熱処理し、しかる後に、この加熱処理した炭素材料と結着剤とを混合して上記負極合剤を得、ついで、この負極合剤を前記帯状の集電体に塗布することによって、負極全体としての水分含量が非常に少ない前記負極を製造するものである。この場合、前記加熱処理を真空中もしくは不活性ガス雰囲気で行うのが好ましい。
【0015】
前記炭素材料としては、(002)面の面間隔(格子間隔)が3.70Å以上、真密度1.70g/cm未満でありかつ空気気流中における示差熱分析で700℃以上に発熱ピークを有していない炭素質材料が好ましい。このような炭素質材料は負極材料として非常に良好な特性を有するから、さらに高容量な電池が得られる。
【0016】
前記炭素質材料は、例えば有機材料を例えば700〜1,500℃程度の温度で焼成などの方法によって炭素化して製造することができる。なお、炭素材料は、通常、炭素質材料と黒鉛質材料とに大別できるが、負極材料としては上述のように炭素質材料が好ましい。
【0017】
この炭素質材料の出発原料としては、フリフリルアルコールあるいはフリフラールのホモポリマー、コポリマーからなるフラン樹脂が好適である。具体的なフラン樹脂としては、フルフラール+フェノール、フルフリルアルコール+ジメチロール尿素、フルフリルアルコール、フルフリルアルコール+ホルムアルデヒド、フルフリルアルコール+フルフラール、フルフラール+ケトン類などからなる重合体が挙げられる。このようなフラン樹脂を焼成することによって、上述のような性質を持つ炭素質材料を得ることができる。
【0018】
また、出発原料として水素/炭素原子比0.6〜0.8の石油ピッチを用い、これに酸素を含む官能基を導入するための酸素架橋を施すことによって酸素含有量10〜20重量%の前駆体を得た後に、この前駆体を焼成して得られる炭素質材料も、上述のような性質を持ち好適である。
【0019】
また、前記フラン樹脂や前記石油ピッチを炭素化する際に、リン化合物あるいはホウ素化合物を添加すれば、リチウムに対するドープ量の大きい炭素質材料を得ることができるので、このようにするのが好ましい。
【0020】
上述のようにして得られる炭素質材料を数〜十数μmの平均粒径となるように粉末状に粉砕した後に、この粉末状の炭素材料を用いて、例えば、この炭素材料と結着剤とを混合して得られる負極合剤を溶剤に分散させた負極合剤スラリーを金属集電体などに塗布することによって、負極を製造することができる。
【0021】
この負極の製造の前に粉末状の炭素材料を加熱処理する。この加熱処理の温度は、300〜1,100℃であり、500〜1,000℃であるのが好ましい。また、この加熱処理は、真空中もしくは不活性ガス雰囲気で行われるのが好ましい。
【0022】
負極を例えば上述のように粉末状の炭素質材料と結着剤とからなる負極合剤から製造する場合、この負極合剤に含まれる結着剤を上述のような高温で加熱処理すると結着剤の性状が変化しまう恐れがあるから、負極合剤を得た後の工程では、その加熱処理温度に制約ができてしまう。しかし、本発明の製造方法によれば、このような制約は一切なく、炭素材料から十分に水分を除去した後に例えば上述のような負極合剤を得ることによって、負極を製造することができる。
【0023】
なお、上述のように加熱処理した炭素材料は、その処理後に(水分が再び微細孔内に吸着する恐れがあるから)直ちに負極の製造に用いるのが好ましい。あるいは、乾燥器内で保存して、この乾燥器内の相対湿度を2%以下とするのが好ましい。
【0024】
また、本発明に関する非水電解質二次電池の正極活物質としては、負極の炭素材料1gあたり250mAh以上の充放電容量相当分のリチウムを含んだ材料、すなわち、一般式LiMO(ただし、MはCo、Niの少なくとも一種を表す)で表される複合金属酸化物を使用する。特に、高電圧、高エネルギー密度が得られ、サイクル特性にも優れることから、LiCoO、LiCo0.8 Ni0.2 が好ましい。
【0025】
また、本発明に関する非水電解質二次電池の非水電解質としては、例えばリチウム塩を非水溶媒(有機溶媒)に溶解した非水電解液を用いることができる。
【0026】
ここで、有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリルなどを単独であるいは二種類以上を混合して使用することができる。
【0027】
また、有機溶剤に溶解させる電解質も、従来から公知のものがいずれも使用でき、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiB(C、LiCl、LiBr、CHSOLi、CFSOLiなどがある。
【0028】
また、前記非水電解質は、固体であってもよく、例えば高分子錯体固体電解質などがある。
【0029】
【作用】
上述のように粉末状の炭素材料を300〜1,100℃の温度で加熱処理することによって、前記炭素材料の微細孔内に吸着した水分は除去される。その結果、充電反応時に炭素材料の微細孔表面でリチウムイオンが水分と反応して放電不能なリチウム化合物に変化してしまうということが起こらず、充放電サイクルの進行に伴う容量低下を防止することができる。
【0030】
また、炭素材料についての上述のような加熱処理を炭素材料を用いて負極を製造する前に行うから、負極の製造中において他の材料や他の工程に対して上記加熱処理による悪影響を与えてしまうことはない。
【0031】
【実施例】
以下において、本発明による実施例について、図1および図2を参照しながら説明する。
【0032】
実施例1
【0033】
図1は、本実施例の非水電解質二次電池の概略的な縦断面図であり、図2は、この電池に用いることのできる帯状の負極の斜視図であるが、この電池を以下のようにして製造した。
【0034】
まず、負極1は、つぎのようにして作製した。出発原料としての石油ピッチに酸素を含む官能基を10〜20重量%導入する酸素架橋をした後に、この酸素架橋された前駆体を不活性ガスの気流中において1,000℃で焼成することによって、ガラス状炭素に近い性質を持った炭素質材料を得た。
【0035】
この炭素質材料について、X線回折測定を行った結果、(002)面の面間隔は3.76Åであり、また、ピクノメータ法により真比重を測定したところ、1.58g/cmであった。また、空気気流中において示差熱分析を行ったところ、700℃以上に発熱ピークを有していなかった。
【0036】
この炭素質材料を粉砕して、平均粒径10μmの炭素質材料粉末とした。
【0037】
上述の炭素質材料粉末をアルゴンガスの気流中で、1,000℃で4時間加熱処理を行った。この加熱処理後の炭素質材料粉末について、1,000℃で試料を再加熱し、発生した水分を乾燥アルゴン・キャリア・ガスで電解セル内に導入して、カール・フィッシャー法により水分値を測定したところ、221ppmであった。
【0038】
以上のようにして得た炭素質材料を負極活物質担持体とし、この炭素質材料の粉末90重量部と結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)10重量部とを混合して、負極合剤を調整した。この調整は、炭素質材料の上述の加熱処理後に、直ちに行った。この負極合剤を、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて、スラリー(ペースト状)した。
【0039】
つぎに、この負極合剤スラリーを厚さ10μmの帯状の銅箔である負極集電体9の両面に均一に塗布して乾燥し、この乾燥後にローラプレス機により圧縮成型して、図2に示すように、負極集電体9の両面に負極合剤層1aを有する帯状の負極1を得た。
【0040】
なお、成形後の負極合剤層1aの膜厚は両面ともに80μmで同一であり、帯状の負極1の幅は33.5mm、長さは700mmとした。
【0041】
つぎに、正極2はつぎのようにして作製した。炭酸リチウム0.5モルと炭酸コバルト1モルとを混合して900℃の空気中で5時間焼成することによって、LiCoOを得た。
【0042】
このLiCoOを正極活物質とし、このLiCoO91重量部に導電剤としてのグラファイト6重量部と結着剤としてのポリフッ化ビニリデン3重量部とを混合して、正極合剤とした。この正極合剤を、溶剤N−メチル−2−ピロリドンに分散させて、スラリー(ペースト状)にした。
【0043】
つぎに、この正極合剤スラリーを、厚さ20μmの帯状のアルミニウム箔である正極集電体10の両面に均一に塗布して乾燥し、この乾燥後にローラプレス機により圧縮成型して、帯状の正極2を得た。
【0044】
なお、成型後の正極合剤膜厚は両面ともに80μmで同一であり、帯状の正極2の幅は31.5mm、長さは650mmとした。
【0045】
以上のようにして作製した帯状の負極1と、帯状の正極2と、厚さが25μmで幅が36mmの微多孔性ポリプロピレンフィルムからなる一対の帯状のセパレータ3a、3bとを用いて、負極1、セパレータ3a、正極2およびセパレータ3bの順に4層に積層させ、この4層構造の積層電極体をその長さ方向に沿って負極1を内側にして渦巻状に多数回巻回することによって、巻回電極体15を作製した。この際に、巻回電極体15の巻回最終端部を接着テープによって固定した。
【0046】
この巻回電極体15の中心部の中空部分の内径は3.5mm、外径は19.7mmであった。なお、この中空部分には、巻芯33が位置している。
【0047】
上述のようにして作製した渦巻型の巻回電極体15を、図1に示すように、ニッケルめっきを施した鉄製の電池缶5に収容した。
【0048】
また、負極1および正極2の集電をそれぞれ行うために、ニッケル製の負極リード11を予め負極集電体9に取付け、これを負極1から導出して電池缶5の底面に溶接し、さらに、アルミニウム製の正極リード12を予め正極集電体10に取付け、これを正極2から導出して金属製の安全弁34の突起部34aに溶接した。
【0049】
その後に、電池缶5の中にプロピレンカーボネートと1,2−ジメトキシエタンとの等容量混合溶媒にリチウム塩のLiPFを1モル/lの割合で溶解した非水電解液を注入して、巻回電極体15に含浸させた。
【0050】
この前後に、巻回電極体15の上端面および下端面に対向するように、電池缶5内に円板状の絶縁板4aおよび4bをそれぞれ配設した。
【0051】
この後に、電池缶5、互いに外周が密着している安全弁34および金属製の電池蓋7のそれぞれを、表面にアスファルトを塗布した絶縁封口ガスケット6を介してかしめることによって、電池缶5を封口した。これにより、電池蓋7および安全弁34を固定するとともに、電池缶5内の気密性を保持させた。このときに、ガスケット6の図1における下端が絶縁板4aの外周面と当接することによって、絶縁板4aが巻回電極体15の上面側と密着した。
【0052】
以上のようにして、直径20mm、高さ42mmの円筒型非水電解質二次電池を製造した。この実施例1の電池を、後掲の表1に示すように、便宜上、電池Aとする。
【0053】
なお、上記円筒型非水電解質二次電池は、二重の安全装置を構成するために、安全弁34と、ストリッパ36と、これらの安全弁34とストリッパ36とを一体にするための絶縁材料からなる中間嵌合体35とを備えている。図示を省略するが、安全弁34には、この安全弁34が変形したときに開裂する開裂部が、また、電池蓋7には、孔が設けられている。
【0054】
万一、電池内圧が何らかの原因で上昇した場合には、安全弁34がその突起部34aを中心にして図1の上方へ変形することによって、正極リード12と突起部34aとの接続が断たれて電池電流を遮断するように、あるいは、安全弁34の開裂部が開裂して電池内に発生したガスを排気するように構成されている。
【0055】
実施例2
【0056】
本実施例では、実施例1と同様の炭素質材料を用い、炭素質材料の粉末を得るまでの工程が実施例1と同様であるが、その後の加熱処理をつぎのようにして行った。
【0057】
上述の粉末状の炭素質材料を真空中において300℃で10時間加熱処理した。このように加熱処理した炭素質材料を負極活物質担持体としたこと以外は実施例1と同様にして、円筒型非水電解質二次電池を製造した。この電池を、後掲の表1に示すように、電池Bとする。
【0058】
なお、上述の加熱処理後の炭素質材料について、実施例1と同様の方法によって水分値を測定したところ、393ppmであった。
【0059】
比較例
【0060】
本発明の効果を確認するための比較例として、つぎのような電池を製造した。すなわち、実施例1と同様の炭素質材料を用い、炭素質材料の粉末を得るまでの工程は実施例1と同様であるがその後は加熱処理を行わない炭素質材料を用いたこと以外は実施例1と同様にして、円筒型非水電解質二次電池を製造した。この電池を、後掲の表1に示すように、電池Cとする。
【0061】
なお、上述の炭素質材料粉末について、実施例1と同様の方法によって水分値を測定したところ、1405ppmであった。
【0062】
以上に述べた3種類の電池A、B、Cについて、充電上限電圧を4.1Vに設定し、1Aで2時間の定電流充電をした後に、7.5Ωの定負荷で終止電圧2.75Vまで放電させる充放電サイクルを繰り返した。この充放電サイクルにおける10サイクル時の容量を初期容量として測定し、さらに、100サイクル時の放電容量を測定した。100サイクル時の放電容量と初期容量との比(100サイクル時の容量/初期容量)を容量維持率とした。この結果を下記表1に示す。
【0063】
【表1】
Figure 0003619799
【0064】
上記表1に示す結果から、本発明を適用して炭素材料粉末に加熱処理を行ってから負極1を製造するという製造方法による非水電解質二次電池A、Bは、従来の製造方法による非水電解質二次電池Cに比べ、容量維持率が大巾に改善されていることがわかる。
【0065】
これは、負極材料である炭素質材料粉末をこの炭素質材料を得るための出発材料の焼成とは別に高温(300〜1,100℃)で再加熱処理することによって、炭素質材料の微細孔内に吸着した水分を除去した効果が現われたものと考えられる。炭素質材料の微細孔内に吸着した水分は、充電反応時に微細孔表面でリチウムイオンと反応して放電不能なリチウム化合物を生成する原因となり、このために、容量低下が起きるものと考えられる。このことは、電池A、B、Cの残留水分値からも明らかである。負極に用いた炭素質材料は、いわゆる、ガラス状あるいはガラス状に近いものであって、活性炭や他の炭素材料と比べて、非常に小さな径の細孔を有している。このために、いったん微細孔内に吸着した水分は除去しにくい。従来までは、負極合剤スラリーを負極集電体9に塗布してから、例えば80〜200℃程度の温度で負極合剤を乾燥させていた。乾燥温度をこの温度以上とすると、結着剤としてのPVDFの性状が変化してしまう恐れがあって好ましくないからである。したがって、炭素質材料の微細孔内に捕捉された水分は、従来までの乾燥温度ではほとんど除去できなかった。これに対して、本発明の製造方法によれば、結着剤などや他の製造工程に悪影響を与えずに、炭素質材料の微細孔から水分を十分に除去することができる。
【0066】
なお、実施例1および2では、粉末状の炭素質材料を得てからの加熱処理は、雰囲気加熱炉および真空加熱炉で行ったが、赤外線加熱炉、遠赤外線照射型加熱炉、誘導加熱式炉、強制熱風循環型炉などの種々の装置が使用できる。この場合でも、前記炭素質材料粉末を加熱する温度は、前述のように、300〜1,100℃であり、500〜1,000℃であるのが好ましい。
【0067】
また、炭素質材料を上述のように加熱処理する方法では、1,000℃で試料を加熱して発生した水分を乾燥アルゴン・キャリア・ガスで電解セル内に導入し、カール・フィッシャー法により水分値を測定する方法において、水分値が1,200ppm以下となるように、炭素質材料を加熱処理する。これによって、良好な充放電サイクル特性の非水電解質二次電池を少ないばらつきで効率よく製造することができる。
【0068】
また、本発明による実施例1および2では、炭素質材料粉末を加熱処理した後に、直ちに結着剤と混合して負極合剤を調整したが、加熱処理した炭素質材料粉末を相対湿度が2%以下の雰囲気で、例えばデシケータのような乾燥器に保存した後に、適当な時期に結着剤と混合して負極合剤を調整することもできる。
【0069】
なお、本実施例では、本発明の製造方法を巻回電極体を用いた円筒型非水電解質二次電池に適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば角筒型などの非水電解質二次電池に適用してもよい。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、帯状の集電体の両面にリチウムをドープしかつ脱ドープし得る炭素材料から主として構成した負極合剤を成形することにより構成した負極と、帯状の集電体の両面にLiMO(MはCo、Niの少なくとも一種を表す)で表わされる複合金属酸化物を含んだ正極合剤を成形することにより構成した正極とを帯状のセパレータを介してこの帯状のセパレータの長さ方向に沿って渦巻状に多数回巻回することにより構成した巻回電極体を具備する非水電解質二次電池を製造する方法において、有機材料を焼成して製造された炭素質材料を平均粒径が数〜十数μmになるように粉末状に粉砕して微細孔を有する粉末状の炭素材料を得てからこの粉末状炭素材料を300〜1,100℃の温度で水分値が1200ppm以下になるように加熱処理し、しかる後に、この加熱処理した炭素材料と結着剤とを混合して上記負極合剤を得、ついで、この負極合剤を前記帯状の集電体に塗布することによって、負極全体としての水分含量が非常に少ない負極を製造するようにした。このために、微細孔を有する粉末状の炭素材料を用いて帯状の集電体の両面への塗布を行うことにより製造した負極のうちの結着剤のような他の材料および負極の他の製造工程に悪影響を及ぼすことなく、充放電サイクルの進行に伴う容量の低下を少なくした上記非水電解質二次電池を製造することができる。したがって、従来から知られていた高エネルギー密度および高容量に加えて、充放電サイクル特性に優れた上記非水電解質二次電池が製造可能となる。
さらに、有機材料を焼成して製造された炭素質材料を平均粒径が数〜十数μmになるように粉砕して微細孔を有する粉末状の炭素材料を得てからこの粉末状の炭素材料を300〜1,100℃の温度で水分値が1200ppm以下になるように加熱処理し、しかる後に、この加熱処理した炭素材料と結着剤とを混合して負極合剤を得、ついで、この負極合剤を帯状の集電体の両面に塗布することによって、負極全体としての水分含量が非常に少ない負極を製造するようにしたから、強度の大きい負極を簡単な工程により製造することができ、特に、渦巻状に多数回巻回することにより作製することができる巻回電極体の強度が大きいとともにその作製が容易である。
また、水分含量がきわめて少ない帯状集電体を用いることができるから、加熱処理後の粉末状の炭素材料の残存水分が水分値1200ppm以下ときわめて少ないことと相まって負極全体としての水分含量を非常に少なくするのが容易であり、このために、上記非水電解質二次電池の充放電サイクル特性を一層優れたものにするのが容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施例による円筒型非水電解質二次電池の概略的な縦断面図である。
【図2】図1に示す電池における巻回電極体を作製する前の帯状の負極を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 負極
1a 負極合剤層
2 正極
9 負極集電体

Claims (2)

  1. 帯状の集電体の両面にリチウムをドープしかつ脱ドープし得る炭素材料から主として構成した負極合剤を成形することにより構成した負極と、
    帯状の集電体の両面にLiMO(MはCo、Niの少なくとも一種を表す)で表わされる複合金属酸化物を含んだ正極合剤を成形することにより構成した正極とを帯状のセパレータを介してこの帯状のセパレータの長さ方向に沿って渦巻状に多数回巻回することにより構成した巻回電極体を具備する非水電解質二次電池を製造する方法において、
    有機材料を焼成して製造された炭素質材料を平均粒径が数〜十数μmになるように粉末状に粉砕して微細孔を有する粉末状の炭素材料を得てからこの粉末状炭素材料を300〜1,100℃の温度で水分値が1200ppm以下になるように加熱処理し、
    しかる後に、この加熱処理した炭素材料と結着剤とを混合して上記負極合剤を得、
    ついで、この負極合剤を前記帯状の集電体に塗布することによって、負極全体としての水分含量が非常に少ない前記負極を製造することを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
  2. 前記加熱処理を真空中もしくは不活性ガス雰囲気で行うことを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
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