JP3619741B2 - 水素吸蔵合金電極の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニッケル−水素蓄電池の負極に用いられる電気化学的に水素の吸蔵・放出を可逆的に行うことができる水素吸蔵合金電極に係り、特に、少なくとも希土類およびニッケルを含有する水素吸蔵合金粉末の表面処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高エネルギー密度のアルカリ蓄電池とするために、水素吸蔵合金電極を用いたニッケル−水素蓄電池が実用化されるようになった。このニッケル−水素蓄電池に用いられる水素吸蔵合金としては、Ti−Ni系合金、La(またはMm)−Ni系合金等が用いられている。
このような水素吸蔵合金電極に用いられる水素吸蔵合金としては、合金塊(インゴット)、薄片もしくは球状粉を機械的または電気化学的に粉砕して得た粉砕合金、あるいはアトマイズ法、回転円盤法、回転ノズル法、単ロール法、双ロール法等により作製された球状あるいはその類似形状(回転楕円状など)の粉末が用いられる。
【0003】
ところで、水素吸蔵合金粉末の表面は非常に活性であるため、空気に僅かでも触れると、直ちに空気中の酸素と反応し、合金表面が酸化されて、酸化物の被膜が形成される。酸化物被膜は合金の表面活性度を低下させ、特に蓄電池の初期放電容量の低下の原因となる。このため、電池を組み立てた後、電池に充放電を数サイクルから数十サイクル繰り返して行なって酸化物被膜を除去し、粉末表面を活性化して、所望の放電容量を満足させる必要がある。しかしながら、充放電サイクルを繰り返して行うことは、非常に手間と時間を要した。
そこで、水素吸蔵合金の粉末表面の酸化物被膜を除去して粉末表面を活性化する方法として、水素吸蔵合金粉末を塩酸に浸漬する酸処理方法が特開平5−225975号公報にて提案されるようになった。
【0004】
特開平5−225975号公報にて提案された酸処理方法においては、水素吸蔵合金粉末表面の酸化物被膜のうち、希土類金属酸化物の被膜の除去には有効であるが、ニッケル酸化物あるいはニッケル水酸化物の除去にはあまり有効ではなく、ニッケル水酸化物が新たに形成されるという問題を生じた。
また、塩酸を用いた酸処理を行なうと、水素吸蔵合金粉末の表面に塩化物イオンが残留するため、酸処理後、水洗処理を施して塩化物イオンを除去する必要があった。そして、この水洗処理中にも、活性化した水素吸蔵合金表面が水中の溶存酸素により再び酸化されるという不都合も生じた。
【0005】
そこで、水素吸蔵合金電極の作製前に、ニッケル酸化物又はニッケル水酸化物の被膜が存在するニッケル含有水素吸蔵合金粉末を、実質的に水素ガスの吸蔵が起こらない温度に維持された水素ガス雰囲気中に適当時間保持することにより、水素吸蔵合金粉末表面の被膜を水素ガスによって還元して、水素吸蔵合金粉末表面にニッケル活性面を露出させるようにした水素ガス還元処理方法が特開平9−237628号公報において提案されるようになった。
【0006】
この特開平9−237628号公報において提案されたニッケル含有水素吸蔵合金の水素ガス還元処理方法においては、水素ガス還元処理を行う前にアルカリ処理を施して、事前に水素吸蔵合金粉末表面の酸化物を除去したり、あるいは酸処理を施して、事前に水素吸蔵合金粉末表面にニツケル酸化物もしくはニッケル水酸化物の被膜を形成させ、水素ガス還元処理により還元されるニッケル量を多くするというものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水素ガス還元処理を行う前に酸処理を施したり、アルカリ処理を施すようにすると、これらの処理は湿式であるため、水素ガス還元処理を行う前にニッケル含有水素吸蔵合金粉末を乾燥させる必要が生じて、製造工程が複雑になるとともに処理時間が長時間になるという問題を生じた。
【0008】
また、ニッケル含有水素吸蔵合金粉末を水素ガス還元処理を行う前に乾燥させると、乾燥中に水素吸蔵合金粉末表面の一部が酸化して希土類の酸化物やニッケルの酸化物が生成されるという問題も生じた。そして、このとき生成した酸化物の内、水素ガス還元処理によりニッケルの酸化物は還元されるが、希土類の酸化物は還元されなくて、水素吸蔵合金粉末表面の多孔性が減少して、電池容量が低下するという問題も生じた。
【0009】
さらに、水素ガス還元処理により水素吸蔵合金粉末表面にニッケル活性面を露出させるようにすると、この活性な表面が空気中に暴露された場合には、再度酸化されて活性を維持することが困難になるという問題も生じた。また、水素ガス還元処理を行うことにより、水素吸蔵合金粉末表面が非常に活性になるため、処理後の水素吸蔵合金粉末を水中に保存する必要が生じて、活性な表面が失活するという問題も生じた。
【0010】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、水素ガス還元処理を行って水素吸蔵合金粉末表面を活性にしても、この表面活性を維持できるような処理方法を提供して、放電容量に優れた水素吸蔵合金電極を得られるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記目的を達成するため、本発明の水素吸蔵合金電極の製造方法は、水素吸蔵合金の粉末を実質的に水素ガスの吸蔵が起こらない温度に維持された水素ガス雰囲気中に保持して、同合金粉末表面に存在する酸化物または水酸化物を還元する水素ガス還元工程と、水素ガスの吸蔵が起こらない温度から水素吸蔵合金の平衡水素圧と水素ガス雰囲気中の水素圧とが等しくなる温度まで自然冷却した後、水素ガス雰囲気を真空引きを開始して水素ガスを排出しながら室温まで冷却する排気工程と、水素ガスが排出され、かつ雰囲気を室温まで冷却した後、アルゴン、窒素または二酸化炭素から選択される少なくとも1種のガスを同雰囲気中に導入して、同雰囲気を常圧に戻す常圧工程と、水素吸蔵合金の粉末を酸化抑制剤を含有する水溶液中に浸漬する酸化抑制浸漬工程を備えるようにしている。
【0012】
一定の温度で水素吸蔵合金に水素を加圧する場合、まず水素の固溶した金属相(α相)を形成する。さらに圧力を上げると、水素が金属格子内のサイトを占める水素化物(β相)を形成する。このとき、α相とβ相の共存領域が存在し、この領域をプラトー領域という。高温ではプラトー領域の生じる圧力(プラトー圧力)が高くなるため、水素化物を生成できなくなる。ただし、この状態でも水素の固溶状態は生じているので、水素はα相内にごく僅かに存在する。
【0013】
したがって、実質的に水素ガスの吸蔵が起こらないとは、α相に存在する固溶状態の水素しか吸蔵しないことを意味し、水素化物を形成する領域(α相−β相の共存領域)に比べてごく少ない量であり、実質的にほとんど水素を吸蔵していないことを意味するものである。水素ガス雰囲気の温度を、水素吸蔵合金が実質的に水素ガスを吸蔵しない温度よりも低温の水素ガス雰囲気中に水素吸蔵合金を保持すると、水素ガスは、合金粉体表面の酸化物又は水酸化物の被膜の還元に寄与せず、水素吸蔵合金粉末の表面から内部に吸収されてしまう。
そして、水素ガス雰囲気の温度が上昇すると、水素吸蔵合金の平衡水素圧が高くなって水素吸蔵合金の水素吸収は起こらなくなり、雰囲気中の水素ガスは、粉体表面に存在する酸化物等の被膜に作用し、水素吸蔵合金表面の酸化物等を還元して金属状態にする。
【0014】
このように、水素吸蔵合金粉末に水素ガス還元処理を施すことにより、水素吸蔵合金粉末表面に形成されたニッケル酸化物、ニッケル水酸化物、コバルト酸化物、コバルト水酸化物等の被膜をニッケル、コバルトの金属状態に還元することができるので、水素吸蔵合金粉末の表面は活性度が高くなる。従って、この処理を施した水素吸蔵合金粉末から作製された水素吸蔵合金電極は、活性に優れ、初期放電容量も高いから、水素吸蔵合金電極を電池等に組込んだ後に行なう充放電サイクルの回数を少なくすることができる。
【0015】
しかしながら、水素吸蔵粉末表面の活性度が向上した水素吸蔵合金粉末が空気に曝されると、再度酸化されて活性を維持することが困難になる。このため、本発明においては、アルゴン、窒素、二酸化炭素などのガスを水素吸蔵合金粉末表面に吸着させるとともに、酸化抑制剤を含有する水溶液中に浸漬して、水素吸蔵合金の粉末表面が空気と直接接触しないようにして、水素吸蔵合金粉末が空気に曝されても、再度酸化されることを防止し、活性度を維持するようにしている。
【0016】
ここで、雰囲気中にアルゴン、窒素、二酸化炭素などのガスを導入するためには、水素ガス雰囲気を真空引きして水素ガスを排出する必要があるが、水素ガスを排出する際に雰囲気温度が低下すると、水素吸蔵合金は水素ガスを吸蔵するようになる。このため、本発明においては、水素吸蔵合金の平衡水素圧と水素ガス雰囲気中の水素圧とが等しくなる温度まで自然冷却した後、水素ガス雰囲気の真空引きを開始して水素ガスを排出しながら室温まで冷却するようにしている。
【0017】
水素吸蔵合金の平衡水素圧と水素ガス雰囲気中の水素圧とが等しくなつた時点で水素吸蔵合金は水素を吸蔵するようになるが、この時点で真空引きを開始して水素ガスを排出すると、水素ガス雰囲気中の水素圧が低下するため、吸蔵された水素が放出されるようになる。これにより、真空引きを開始した瞬間に水素の吸蔵と放出が行われて、水素吸蔵合金粉末の表面に微小なクラックが形成されるようになり、水素吸蔵合金粉末の表面積が増大することとなる。
この後、この雰囲気を排気して、室温まで冷却しても雰囲気中に水素が残存しないため、水素吸蔵合金が水素ガスを吸蔵することはない。そして、常温(約25℃)の状態で雰囲気中にアルゴン、窒素、二酸化炭素などのガスを導入すると、水素吸蔵合金粉末表面にアルゴン、窒素、二酸化炭素などのガスが吸着するようになる。
【0018】
水素吸蔵合金粉末表面に吸着したアルゴン、窒素、二酸化炭素などのガスは電池内のアルカリ電解液により除去されるため、電池に悪影響を及ぼすことはなく、電池内で活性な表面が露出して電池の初期容量が大幅に向上する。ついで、アルゴン、窒素、二酸化炭素などのガスが吸着した水素吸蔵合金粉末を酸化抑制剤を含有する水溶液中に浸漬すると、酸化抑制剤が水素吸蔵合金表面に選択的に吸着し、酸化物や水酸化物の形成が抑制されて、活性度を維持することができるようになる。
【0019】
この場合、酸化抑制剤としては、リン酸塩、ケイ酸塩、次亜リン酸塩、テトラヒドロホウ酸塩から選択される少なくとも1種の塩を含有させることが好ましい。そして、酸化抑制剤の添加効果を発揮させるためには、酸化抑制剤の水溶液中への添加量は、水素吸蔵合金質量に対して1.0×10−6〜5.0×10−1質量%とするのが好ましい。また、水素ガス還元処理工程の前の雰囲気を真空引きして、この雰囲気中の酸素を排気する酸素排気工程を備えるようにすると、水素ガス還元処理中に水素吸蔵合金粉末表面が酸化されるのを防止することができるようになる。
【0020】
なお、水素ガス雰囲気の温度範囲の上限は、水素吸蔵合金の組織が熱による拡散作用を実質的に受けない温度が好ましい。水素吸蔵合金が熱の影響を受けて組織が乱れると、水素吸蔵合金自体の活性度が低下するからである。水素ガス雰囲気の温度は、水素吸蔵合金の種類にもよるが、後述するMmNi3.1Co0.9Al0.4Mn0.6の場合は、約100℃〜500℃で処理することが望ましい。
【0021】
また、水素ガス雰囲気の圧力は、処理雰囲気の外部から水素ガス雰囲気中に不純物ガスが混入するのを防止するために、大気圧よりも高い圧力にする必要があり、一般的には、大気圧を越えて、1MPa(約10atm)までで行なうことが適当である。特に、0.11〜0.51MPa(約1.1〜5atm)までで行なうことが望ましい。そして、水素ガス雰囲気中での保持時間は、水素吸蔵合金表面のニッケル酸化物またはニッケル水酸化物の被膜が完全に還元されるように十分な時間とする。具体的には、水素吸蔵合金粉末の処理量、その他条件にもよるが、0.5時間以上が望ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の水素吸蔵合金電極をニッケル−水素蓄電池に適用した場合の本発明の一実施形態を説明する。
1.水素吸蔵合金粉末の作製
(1)水素吸蔵合金粉末の調製
市販のMm(ミッシュメタル)、Ni(純度99.9%)、Co、Al、Mnをモル比が1.0:3.1:0.9:0.4:0.6の割合となるように混合した後、高周波溶解炉に投入して溶解させ、冷却して組成式MmNi3.1Co0.9Al0.4Mn0.6で表わされるような組成の水素吸蔵合金の塊を作製した。この水素吸蔵合金の塊をボールミル内に投入し、平均粒径が80μmになるように粉砕して粉砕合金粉末とした。この粉砕合金粉末を合金粉末zとした。
【0023】
(2)水素吸蔵合金粉末の表面処理
a.実施例1
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、この水素吸蔵合金粉末zをステンレス製の耐熱・耐圧容器に充填し、1.33×10−2Pa(10−4Torr)以下になるまで真空排気しながら、300℃に加熱し、300℃に維持された容器内に0.2MPa(2atm)の水素ガスを導入して、0.5時間保持する水素ガス還元処理を行った。これにより、水素吸蔵合金粉末zの表面に存在するニッケル、コバルトなどの酸化物または水酸化物は還元されて、水素吸蔵合金粉末表面にニッケル、コバルトなどの金属の活性面が露出するようになる。
【0024】
この後、水素吸蔵合金が水素を吸蔵し始める温度、即ち、水素吸蔵合金の平衡水素圧と水素ガス雰囲気の水素圧とが等しくなる温度まで自然冷却した後、真空ポンプを作動させて、容器内が1.33×10−2Pa(10−4Torr)以下になるまで真空排気して、容器内が室温(25℃)になるまで冷却しながら容器内の水素ガスを排出する。ついで、容器内にアルゴン(Ar)を大気圧になるまで導入した。これを取り出して、このアルゴンガス処理された水素吸蔵合金粉末を合金質量に対して1.0×10−1質量%のリン酸水素2ナトリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例1の合金粉末aとした。
【0025】
b.実施例2
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例1と同様に、水素ガス還元処理およびアルゴンガス処理を行った水素吸蔵合金粉末を、今度は、合金質量に対して1.0×10−1質量%のケイ酸カリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例2の合金粉末bとした。
【0026】
c.実施例3
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例1と同様に、水素ガス還元処理およびアルゴンガス処理を行った水素吸蔵合金粉末を、今度は、合金質量に対して1.0×10−1質量%の次亜リン酸ナトリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例3の合金粉末cとした。
【0027】
d.実施例4
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例1と同様に、水素ガス還元処理およびアルゴンガス処理を行った水素吸蔵合金粉末を、今度は、合金質量に対して1.0×10−1質量%のテトラヒドロホウ素酸ナトリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例4の合金粉末dとした。
【0028】
e.実施例5
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例1と同様に、水素ガス還元処理および水素ガスの真空排気を行った後、容器内に窒素(N2)を大気圧になるまで導入した。これを取り出して、この窒素ガス処理された水素吸蔵合金粉末を合金質量に対して1.0×10−1質量%のリン酸水素2ナトリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例5の合金粉末eとした。
【0029】
f.実施例6
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例5と同様に、窒素ガス処理を行った水素吸蔵合金粉末を、今度は、合金質量に対して1.0×10−1質量%のケイ酸カリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例6の合金粉末fとした。
【0030】
g.実施例7
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例5と同様に、窒素ガス処理を行った水素吸蔵合金粉末を、今度は、合金質量に対して1.0×10−1質量%の次亜リン酸ナトリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例7の合金粉末gとした。
【0031】
h.実施例8
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例5と同様に、窒素ガス処理を行った水素吸蔵合金粉末を、今度は、合金質量に対して1.0×10−1質量%のテトラヒドロホウ素酸ナトリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例8の合金粉末hとした。
【0032】
i.実施例9
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例1と同様に、水素ガス還元処理および水素ガスの真空排気を行った後、容器内に二酸化炭素(CO2)を大気圧になるまで導入した。これを取り出して、この炭酸ガス処理された水素吸蔵合金粉末を合金質量に対して1.0×10−1質量%のリン酸水素2ナトリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例9の合金粉末iとした。
【0033】
j.実施例10
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例9と同様に、炭酸ガス処理を行った水素吸蔵合金粉末を、今度は、合金質量に対して1.0×10−1質量%のケイ酸カリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例10の合金粉末jとした。
【0034】
k.実施例11
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例9と同様に、炭酸ガス処理を行った水素吸蔵合金粉末を、今度は、合金質量に対して1.0×10−1質量%の次亜リン酸ナトリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例11の合金粉末kとした。
【0035】
l.実施例12
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例9と同様に、炭酸ガス処理を行った水素吸蔵合金粉末を、今度は、合金質量に対して1.0×10−1質量%のテトラヒドロホウ素酸ナトリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例12の合金粉末lとした。
【0036】
m.比較例1
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例1と同様に、水素ガス還元処理を行い、水素ガス還元処理の終了と同時に水素ガスの排出を開始(300℃で排気を開始)し、水素ガスを排出しながら容器内が室温(25℃)になるまで冷却し後、水素吸蔵合金粉末を容器内から取り出して、比較例1の合金粉末wとした。
【0037】
n.比較例2
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例1と同様に、水素ガス還元処理およびアルゴンガス処理を行った水素吸蔵合金粉末を容器内から取り出して、比較例2の合金粉末xとした。
【0038】
o.比較例3
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例1と同様に、水素ガス還元処理およびアルゴンガス処理を行った後、酸化抑制剤が無添加の水溶液(純水)中に10日間浸漬して、比較例3の合金粉末yとした。
【0039】
p.比較例4
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zをそのまま用いて比較例4の合金粉末とした。
【0040】
2.試験セル用電極の作製
ついで、上述のようにして作製した実施例1〜12の合金粉末a〜lおよび比較例1〜4の合金粉末w〜zを用いて、これらの合金粉末0.5gに結着剤としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)0.1gを混合して発泡ニッケル多孔体に充填し、1.2ton/cm2で加圧成形して、直径20mmの水素吸蔵合金電極A〜L,W〜Zを作製した。
なお、合金粉末aを用いたものを水素吸蔵合金電極Aとし、同様に、合金粉末b,c,d,e,f,g,h,i,j,k,lを用いたものをそれぞれ水素吸蔵合金電極B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,Lとし、合金粉末w,x,y,zを用いたものをそれぞれ水素吸蔵合金電極W,X,Y,Zとした。
【0041】
3.試験セルの組立
ついで、得られた水素吸蔵合金電極A〜L,W〜Zを負極として用いた試験セルの組立例を図1に基づいて説明する。図1の試験セル10は、円筒状のポリプロピレン製密閉容器4の上蓋5から、水素吸蔵合金電極からなる負極1と、円筒状の焼結式ニッケル極からなる正極2と、板状の焼結式ニッケル極からなる参照極3とが夫々吊り下げ支持されている。上蓋5には、圧力計7とリリーフバルブ(逃し弁)8からなるリリーフ管6を備えている。容器4の内部には、30質量%の水酸化カリウム水溶液が充填されている。
【0042】
正極2は、負極1の水素吸蔵合金電極よりも充分に大きな電気化学容量を持つ電極であって、上蓋5を貫通する正極リード2aにより支持されている。また、負極1は、正極2の円筒内のほぼ中央に垂直に位置するように、上蓋5を貫通する負極リード1aにより支持されている。正極リード2a、負極リード1aの他端は、夫々上蓋5の上部で正極端子2b、負極端子1bに接続されている。リリーフ管6は、容器4の内圧が所定圧以上に上昇するのを防止するために設けられており、リリーフバルブ8の調節により、容器4の内圧は一定に保たれるようになされている。
【0043】
4.試験セルの初期放電容量の測定
上記構成の試験セル10の負極1として、上述した水素吸蔵合金電極A〜L,W〜Zを使用し、常温下で、50mA/gで8時間充電し、1時間休止した後、50mA/gで放電休止電圧0.9Vまで放電し、1時間休止する工程を1サイクルとする充放電サイクルを行なって、初期放電容量(mAh/g)を測定すると下記の表1に示すような結果となった。
【0044】
5.アルカリ蓄電池用電極の作製
ついで、上述のようにして作製した実施例1〜12の合金粉末a〜lおよび比較例1〜4の合金粉末w〜zを用いて、これらの合金粉末100質量部と、結着剤としてのポリエチレンオキサイド(PEO)5質量%の水溶液20質量部とを混合してペーストを調製し、このペーストをニッケルメッキを施したパンチングメタルからなる芯体の両面に塗着し、室温で乾燥した後、所定の寸法に切断して、水素吸蔵合金電極A〜L,W〜Zを作製した。
なお、合金粉末aを用いたものを水素吸蔵合金電極Aとし、同様に、合金粉末b,c,d,e,f,g,h,i,j,k,lを用いたものをそれぞれ水素吸蔵合金電極B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,Lとし、合金粉末w,x,y,zを用いたものをそれぞれ水素吸蔵合金電極W,X,Y,Zとした。
【0045】
6.アルカリ蓄電池の組立
ついで、これらの水素吸蔵合金電極A〜L,W〜Zを負極として用い、AAサイズの正極支配型のアルカリ蓄電池(電池容量1200mAh)20の作製例を図2に基づいて説明する。図2のアルカリ蓄電池20は、正極11及び負極12が、セパレータ13を介して巻取られた状態で、負極缶14内に収容されている。
正極11は、正極リード11aを介して封口蓋15に接続され、負極12は負極リード12aを介して負極缶14に接続されている。負極缶14の内部には、電解液が充填されており、封口蓋15との接合部には絶縁性のパッキン16が設けられ、電池は密閉されている。封口蓋15の上部には、コイルスプリング17を介して正極外部端子18が連繋されており、電池内圧が異常上昇すると、コイルスプリング17が圧縮されて、電池内部のガスが大気中に放出される構成である。正極11は公知の焼結式ニッケル極、セパレータ13は耐アルカリ性の不織布を使用し、電解液は30質量%の水酸化カリウム水溶液を使用した。
【0046】
7.アルカリ蓄電池の初期放電容量の測定
上述した各水素吸蔵合金電極A〜L,W〜Zを負極とする各アルカリ蓄電池について、常温において、1.0C(1200mA)の充電電流で、正極が完全に充電された後に生じる電池電圧の低下(−Δ)が10mVになるまで充電した後、1.0C(1200mA)の放電電流で放電終止電圧が0.9Vになるまで放電させるという充放電サイクルを繰り返して行い、電池容量が600mAh(初期容量の50%)になるまでのサイクル数(サイクル寿命特性)を求めると、下記の表1に示すような結果となった。
【0047】
【表1】
【0048】
上記表1の結果から明らかなように、実施例1〜12の水素吸蔵合金粉末a〜lを用いた水素吸蔵合金電極A〜Lを使用した電池は、比較例1〜4の水素吸蔵合金粉末w〜zを用いた水素吸蔵合金電極W〜Zを使用した電池よりも初期放電容量およびサイクル寿命特性が向上していることが分かる。
【0049】
このように水素吸蔵合金電極A〜Lの初期放電容量およびサイクル寿命特性が向上する理由は以下のように考えることができる。
即ち、まず、水素吸蔵合金の平衡水素圧と水素ガス雰囲気中の水素圧とが等しくなった時点で水素吸蔵合金は水素を吸蔵するようになるが、この時点で真空引きを開始して水素ガスを排出すると、水素ガス雰囲気中の水素圧が低下するため、吸蔵された水素が放出されるようになる。これにより、真空引きを開始した瞬間に水素の吸蔵と放出が行われて、水素吸蔵合金粉末の表面に微小なクラックが形成されるようになり、水素吸蔵合金粉末の表面積が増大する。
【0050】
この後、水素ガスによる還元処理により活性になり、かつ還元処理後の水素ガスの排気時に表面に微小なクラックが形成された水素吸蔵合金粉末に、室温でAr,N2,CO2等のガスを導入すると、水素吸蔵合金粉末の表面にAr,N2,CO2等のガスが吸着して、合金粉末の表面での酸化物や水酸化物の生成が抑制されるようになる。この後、さらに、酸化抑制剤を含有する水溶液中に浸漬すると、酸化抑制剤が水素吸蔵合金粉末表面に選択的に吸着し、酸化物や水酸化物の形成が抑制されるため、活性度を維持することができるようになって、初期放電容量およびサイクル寿命が向上したと考えられる。
【0051】
以上のことから、水素吸蔵合金粉末の初期放電容量およびサイクル寿命を向上させるためには、水素吸蔵合金の平衡水素圧と水素ガス雰囲気中の水素圧とが等しくなる温度まで自然冷却した後、水素ガス雰囲気の真空引きを開始して水素ガスを排出しながら室温まで冷却するとともに、室温でAr,N2,CO2等のガスを導入した後、リン酸水素2ナトリウム、ケイ酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、テトラヒドロホウ素酸ナトリウムなどの酸化抑制剤を含有する水溶液中に浸漬する必要があるということができる。
【0052】
なお、導入ガスとしては、水素吸蔵合金粉末a〜dのようにアルゴン(Ar)でもよいが、水素吸蔵合金粉末に吸着する力が強い窒素(N2)(水素吸蔵合金粉末e〜h)あるいは二酸化炭素(CO2)(水素吸蔵合金粉末i〜l)を用いた方が、表面保護力が強いために、初期放電容量およびサイクル寿命がより向上する。また、酸化抑制剤としては、リン酸水素2ナトリウム、ケイ酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、テトラヒドロホウ素酸ナトリウムのどれを用いても初期放電容量およびサイクル寿命がそれほど変わらないため、これらのどれを用いても好ましいということができる。
【0053】
8.酸化抑制剤の添加量の検討
ついで、酸化抑制剤の添加量について検討した。ここで、上述のようにして得られた水素吸蔵合金粉末zを用い、この水素吸蔵合金粉末zをステンレス製の耐熱・耐圧容器に充填し、1.33×10−2Pa(10−4Torr)以下になるまで真空排気しながら、300℃に加熱し、300℃に維持された容器内に0.2MPa(2atm)の水素ガスを導入して、0.5時間保持する水素ガス還元処理を行った。
【0054】
この後、水素吸蔵合金が水素を吸蔵し始める温度、即ち、水素吸蔵合金の平衡水素圧と水素ガス雰囲気の水素圧とが等しくなる温度まで自然冷却した後、真空ポンプを作動させて、容器内が1.33×10−2Pa(10−4Torr)以下になるまで真空排気して、容器内が室温(25℃)になるまで冷却しながら容器内の水素ガスを排出する。ついで、容器内に窒素ガス(N2)を大気圧になるまで導入した。これを取り出して、この水素吸蔵合金粉末を合金質量に対して1.0×10−7質量%、1.0×10−6質量%、1.0×10−5質量%、1.0×10−4質量%、1.0×10−3質量%、1.0×10−2質量%、1.0×10−1質量%(これは上述した合金eである)、5.0×10−1質量%、10.0×10−1質量%のリン酸水素2ナトリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中にそれぞれ10日間浸漬して、合金粉末m,n,o,p,q,r,s,tをそれぞれ作製した。
【0055】
これらの水素吸蔵合金粉末m,n,o,p,q,r,s,tを用いて、上述と同様に試験セル用電極M,N,O,P,Q,R,S,Tおよびアルカリ蓄電池用電極M,N,O,P,Q,R,S,Tをそれぞれ作製した。そして、これらの試験セル用電極およびアルカリ蓄電池用電極を用いて、上述と同様に試験セルおよびアルカリ蓄電池を作製した。この後、上述と同様に試験セルの初期放電容量および電池のサイクル寿命特性をそれぞれ求めると下記の表2に示すような結果となった。なお、表2には水素吸蔵合金粉末eを用いた電極Eについても併せて示している。
【0056】
【表2】
【0057】
上記表2の結果から明らかなように、リン酸水素2ナトリウム(酸化抑制剤)の添加量が水素吸蔵合金質量に対して1.0×10−6質量%〜5.0×10−1質量%の水溶液に、水素ガス還元処理を施した水素吸蔵合金粉末を浸漬すると、初期放電容量およびサイクル寿命特性が向上することが分かる。これは、リン酸水素2ナトリウム(酸化抑制剤)の添加量が1.0×10−6質量%未満であると、酸化抑制剤処理の効果を充分に発揮できなく、また、5.0×10−1質量%を超えると酸化抑制剤が悪影響を及ぼすようになるためである。
【0058】
なお、ケイ酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、テトラヒドロホウ素酸ナトリウムの添加量を、上述したリン酸水素2ナトリウムと同様に変化させても、ほぼ同様の結果が得られた。これらのことから、リン酸水素2ナトリウム、ケイ酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、テトラヒドロホウ素酸ナトリウムなどの酸化抑制剤の添加量は水素吸蔵合金質量に対して1.0×10−6質量%〜5.0×10−1質量%とするのが望ましいということができる。
【0059】
上述したように、本発明においては、水素吸蔵合金粉末に水素ガス還元処理を施して、水素吸蔵合金粉末の表面を活性化させた後、水素吸蔵合金の平衡水素圧と水素ガス雰囲気中の水素圧とが等しくなる温度まで自然冷却した後、水素ガス雰囲気の真空引きを開始して水素ガスを排出しながら室温まで冷却するとともに、室温でAr,N2,CO2等のガスを導入した後、リン酸水素2ナトリウム、ケイ酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、テトラヒドロホウ素酸ナトリウムなどの酸化抑制剤を含有する水溶液中に浸漬するようにしている。
【0060】
これにより、水素吸蔵合金粉末の表面に微小なクラックが形成されて、水素吸蔵合金粉末の表面積が増大するとともに、水素吸蔵合金の粉末表面が空気と直接接触しなくなるので、水素吸蔵合金粉末が空気に曝されても、再度酸化されることが防止でき、活性度を維持できるようになる。これにより、初期放電容量およびサイクル寿命特性に優れた水素吸蔵合金電極が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水素吸蔵合金からなる試験電極を用いて形成した試験セルを模式的に示す一部破断の斜視図である。
【図2】本発明の水素吸蔵合金からなる電極を用いて形成したアルカリ蓄電池を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1…負極、1a…負極リード、1b…負極端子、2…正極、2a…正極リード、2b…正極端子、3…参照極、4…容器、5…上蓋、6…リリーフ管、7…圧力計、8…リリーフバルブ、10…試験セル、11…正極、11a…正極リード、12…負極、12a…負極リード、13…セパレータ、14…負極缶、15…封口蓋、16…パッキング、17…コイルスプリング、18…正極外部端子、20…アルカリ蓄電池
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニッケル−水素蓄電池の負極に用いられる電気化学的に水素の吸蔵・放出を可逆的に行うことができる水素吸蔵合金電極に係り、特に、少なくとも希土類およびニッケルを含有する水素吸蔵合金粉末の表面処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高エネルギー密度のアルカリ蓄電池とするために、水素吸蔵合金電極を用いたニッケル−水素蓄電池が実用化されるようになった。このニッケル−水素蓄電池に用いられる水素吸蔵合金としては、Ti−Ni系合金、La(またはMm)−Ni系合金等が用いられている。
このような水素吸蔵合金電極に用いられる水素吸蔵合金としては、合金塊(インゴット)、薄片もしくは球状粉を機械的または電気化学的に粉砕して得た粉砕合金、あるいはアトマイズ法、回転円盤法、回転ノズル法、単ロール法、双ロール法等により作製された球状あるいはその類似形状(回転楕円状など)の粉末が用いられる。
【0003】
ところで、水素吸蔵合金粉末の表面は非常に活性であるため、空気に僅かでも触れると、直ちに空気中の酸素と反応し、合金表面が酸化されて、酸化物の被膜が形成される。酸化物被膜は合金の表面活性度を低下させ、特に蓄電池の初期放電容量の低下の原因となる。このため、電池を組み立てた後、電池に充放電を数サイクルから数十サイクル繰り返して行なって酸化物被膜を除去し、粉末表面を活性化して、所望の放電容量を満足させる必要がある。しかしながら、充放電サイクルを繰り返して行うことは、非常に手間と時間を要した。
そこで、水素吸蔵合金の粉末表面の酸化物被膜を除去して粉末表面を活性化する方法として、水素吸蔵合金粉末を塩酸に浸漬する酸処理方法が特開平5−225975号公報にて提案されるようになった。
【0004】
特開平5−225975号公報にて提案された酸処理方法においては、水素吸蔵合金粉末表面の酸化物被膜のうち、希土類金属酸化物の被膜の除去には有効であるが、ニッケル酸化物あるいはニッケル水酸化物の除去にはあまり有効ではなく、ニッケル水酸化物が新たに形成されるという問題を生じた。
また、塩酸を用いた酸処理を行なうと、水素吸蔵合金粉末の表面に塩化物イオンが残留するため、酸処理後、水洗処理を施して塩化物イオンを除去する必要があった。そして、この水洗処理中にも、活性化した水素吸蔵合金表面が水中の溶存酸素により再び酸化されるという不都合も生じた。
【0005】
そこで、水素吸蔵合金電極の作製前に、ニッケル酸化物又はニッケル水酸化物の被膜が存在するニッケル含有水素吸蔵合金粉末を、実質的に水素ガスの吸蔵が起こらない温度に維持された水素ガス雰囲気中に適当時間保持することにより、水素吸蔵合金粉末表面の被膜を水素ガスによって還元して、水素吸蔵合金粉末表面にニッケル活性面を露出させるようにした水素ガス還元処理方法が特開平9−237628号公報において提案されるようになった。
【0006】
この特開平9−237628号公報において提案されたニッケル含有水素吸蔵合金の水素ガス還元処理方法においては、水素ガス還元処理を行う前にアルカリ処理を施して、事前に水素吸蔵合金粉末表面の酸化物を除去したり、あるいは酸処理を施して、事前に水素吸蔵合金粉末表面にニツケル酸化物もしくはニッケル水酸化物の被膜を形成させ、水素ガス還元処理により還元されるニッケル量を多くするというものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水素ガス還元処理を行う前に酸処理を施したり、アルカリ処理を施すようにすると、これらの処理は湿式であるため、水素ガス還元処理を行う前にニッケル含有水素吸蔵合金粉末を乾燥させる必要が生じて、製造工程が複雑になるとともに処理時間が長時間になるという問題を生じた。
【0008】
また、ニッケル含有水素吸蔵合金粉末を水素ガス還元処理を行う前に乾燥させると、乾燥中に水素吸蔵合金粉末表面の一部が酸化して希土類の酸化物やニッケルの酸化物が生成されるという問題も生じた。そして、このとき生成した酸化物の内、水素ガス還元処理によりニッケルの酸化物は還元されるが、希土類の酸化物は還元されなくて、水素吸蔵合金粉末表面の多孔性が減少して、電池容量が低下するという問題も生じた。
【0009】
さらに、水素ガス還元処理により水素吸蔵合金粉末表面にニッケル活性面を露出させるようにすると、この活性な表面が空気中に暴露された場合には、再度酸化されて活性を維持することが困難になるという問題も生じた。また、水素ガス還元処理を行うことにより、水素吸蔵合金粉末表面が非常に活性になるため、処理後の水素吸蔵合金粉末を水中に保存する必要が生じて、活性な表面が失活するという問題も生じた。
【0010】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、水素ガス還元処理を行って水素吸蔵合金粉末表面を活性にしても、この表面活性を維持できるような処理方法を提供して、放電容量に優れた水素吸蔵合金電極を得られるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記目的を達成するため、本発明の水素吸蔵合金電極の製造方法は、水素吸蔵合金の粉末を実質的に水素ガスの吸蔵が起こらない温度に維持された水素ガス雰囲気中に保持して、同合金粉末表面に存在する酸化物または水酸化物を還元する水素ガス還元工程と、水素ガスの吸蔵が起こらない温度から水素吸蔵合金の平衡水素圧と水素ガス雰囲気中の水素圧とが等しくなる温度まで自然冷却した後、水素ガス雰囲気を真空引きを開始して水素ガスを排出しながら室温まで冷却する排気工程と、水素ガスが排出され、かつ雰囲気を室温まで冷却した後、アルゴン、窒素または二酸化炭素から選択される少なくとも1種のガスを同雰囲気中に導入して、同雰囲気を常圧に戻す常圧工程と、水素吸蔵合金の粉末を酸化抑制剤を含有する水溶液中に浸漬する酸化抑制浸漬工程を備えるようにしている。
【0012】
一定の温度で水素吸蔵合金に水素を加圧する場合、まず水素の固溶した金属相(α相)を形成する。さらに圧力を上げると、水素が金属格子内のサイトを占める水素化物(β相)を形成する。このとき、α相とβ相の共存領域が存在し、この領域をプラトー領域という。高温ではプラトー領域の生じる圧力(プラトー圧力)が高くなるため、水素化物を生成できなくなる。ただし、この状態でも水素の固溶状態は生じているので、水素はα相内にごく僅かに存在する。
【0013】
したがって、実質的に水素ガスの吸蔵が起こらないとは、α相に存在する固溶状態の水素しか吸蔵しないことを意味し、水素化物を形成する領域(α相−β相の共存領域)に比べてごく少ない量であり、実質的にほとんど水素を吸蔵していないことを意味するものである。水素ガス雰囲気の温度を、水素吸蔵合金が実質的に水素ガスを吸蔵しない温度よりも低温の水素ガス雰囲気中に水素吸蔵合金を保持すると、水素ガスは、合金粉体表面の酸化物又は水酸化物の被膜の還元に寄与せず、水素吸蔵合金粉末の表面から内部に吸収されてしまう。
そして、水素ガス雰囲気の温度が上昇すると、水素吸蔵合金の平衡水素圧が高くなって水素吸蔵合金の水素吸収は起こらなくなり、雰囲気中の水素ガスは、粉体表面に存在する酸化物等の被膜に作用し、水素吸蔵合金表面の酸化物等を還元して金属状態にする。
【0014】
このように、水素吸蔵合金粉末に水素ガス還元処理を施すことにより、水素吸蔵合金粉末表面に形成されたニッケル酸化物、ニッケル水酸化物、コバルト酸化物、コバルト水酸化物等の被膜をニッケル、コバルトの金属状態に還元することができるので、水素吸蔵合金粉末の表面は活性度が高くなる。従って、この処理を施した水素吸蔵合金粉末から作製された水素吸蔵合金電極は、活性に優れ、初期放電容量も高いから、水素吸蔵合金電極を電池等に組込んだ後に行なう充放電サイクルの回数を少なくすることができる。
【0015】
しかしながら、水素吸蔵粉末表面の活性度が向上した水素吸蔵合金粉末が空気に曝されると、再度酸化されて活性を維持することが困難になる。このため、本発明においては、アルゴン、窒素、二酸化炭素などのガスを水素吸蔵合金粉末表面に吸着させるとともに、酸化抑制剤を含有する水溶液中に浸漬して、水素吸蔵合金の粉末表面が空気と直接接触しないようにして、水素吸蔵合金粉末が空気に曝されても、再度酸化されることを防止し、活性度を維持するようにしている。
【0016】
ここで、雰囲気中にアルゴン、窒素、二酸化炭素などのガスを導入するためには、水素ガス雰囲気を真空引きして水素ガスを排出する必要があるが、水素ガスを排出する際に雰囲気温度が低下すると、水素吸蔵合金は水素ガスを吸蔵するようになる。このため、本発明においては、水素吸蔵合金の平衡水素圧と水素ガス雰囲気中の水素圧とが等しくなる温度まで自然冷却した後、水素ガス雰囲気の真空引きを開始して水素ガスを排出しながら室温まで冷却するようにしている。
【0017】
水素吸蔵合金の平衡水素圧と水素ガス雰囲気中の水素圧とが等しくなつた時点で水素吸蔵合金は水素を吸蔵するようになるが、この時点で真空引きを開始して水素ガスを排出すると、水素ガス雰囲気中の水素圧が低下するため、吸蔵された水素が放出されるようになる。これにより、真空引きを開始した瞬間に水素の吸蔵と放出が行われて、水素吸蔵合金粉末の表面に微小なクラックが形成されるようになり、水素吸蔵合金粉末の表面積が増大することとなる。
この後、この雰囲気を排気して、室温まで冷却しても雰囲気中に水素が残存しないため、水素吸蔵合金が水素ガスを吸蔵することはない。そして、常温(約25℃)の状態で雰囲気中にアルゴン、窒素、二酸化炭素などのガスを導入すると、水素吸蔵合金粉末表面にアルゴン、窒素、二酸化炭素などのガスが吸着するようになる。
【0018】
水素吸蔵合金粉末表面に吸着したアルゴン、窒素、二酸化炭素などのガスは電池内のアルカリ電解液により除去されるため、電池に悪影響を及ぼすことはなく、電池内で活性な表面が露出して電池の初期容量が大幅に向上する。ついで、アルゴン、窒素、二酸化炭素などのガスが吸着した水素吸蔵合金粉末を酸化抑制剤を含有する水溶液中に浸漬すると、酸化抑制剤が水素吸蔵合金表面に選択的に吸着し、酸化物や水酸化物の形成が抑制されて、活性度を維持することができるようになる。
【0019】
この場合、酸化抑制剤としては、リン酸塩、ケイ酸塩、次亜リン酸塩、テトラヒドロホウ酸塩から選択される少なくとも1種の塩を含有させることが好ましい。そして、酸化抑制剤の添加効果を発揮させるためには、酸化抑制剤の水溶液中への添加量は、水素吸蔵合金質量に対して1.0×10−6〜5.0×10−1質量%とするのが好ましい。また、水素ガス還元処理工程の前の雰囲気を真空引きして、この雰囲気中の酸素を排気する酸素排気工程を備えるようにすると、水素ガス還元処理中に水素吸蔵合金粉末表面が酸化されるのを防止することができるようになる。
【0020】
なお、水素ガス雰囲気の温度範囲の上限は、水素吸蔵合金の組織が熱による拡散作用を実質的に受けない温度が好ましい。水素吸蔵合金が熱の影響を受けて組織が乱れると、水素吸蔵合金自体の活性度が低下するからである。水素ガス雰囲気の温度は、水素吸蔵合金の種類にもよるが、後述するMmNi3.1Co0.9Al0.4Mn0.6の場合は、約100℃〜500℃で処理することが望ましい。
【0021】
また、水素ガス雰囲気の圧力は、処理雰囲気の外部から水素ガス雰囲気中に不純物ガスが混入するのを防止するために、大気圧よりも高い圧力にする必要があり、一般的には、大気圧を越えて、1MPa(約10atm)までで行なうことが適当である。特に、0.11〜0.51MPa(約1.1〜5atm)までで行なうことが望ましい。そして、水素ガス雰囲気中での保持時間は、水素吸蔵合金表面のニッケル酸化物またはニッケル水酸化物の被膜が完全に還元されるように十分な時間とする。具体的には、水素吸蔵合金粉末の処理量、その他条件にもよるが、0.5時間以上が望ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の水素吸蔵合金電極をニッケル−水素蓄電池に適用した場合の本発明の一実施形態を説明する。
1.水素吸蔵合金粉末の作製
(1)水素吸蔵合金粉末の調製
市販のMm(ミッシュメタル)、Ni(純度99.9%)、Co、Al、Mnをモル比が1.0:3.1:0.9:0.4:0.6の割合となるように混合した後、高周波溶解炉に投入して溶解させ、冷却して組成式MmNi3.1Co0.9Al0.4Mn0.6で表わされるような組成の水素吸蔵合金の塊を作製した。この水素吸蔵合金の塊をボールミル内に投入し、平均粒径が80μmになるように粉砕して粉砕合金粉末とした。この粉砕合金粉末を合金粉末zとした。
【0023】
(2)水素吸蔵合金粉末の表面処理
a.実施例1
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、この水素吸蔵合金粉末zをステンレス製の耐熱・耐圧容器に充填し、1.33×10−2Pa(10−4Torr)以下になるまで真空排気しながら、300℃に加熱し、300℃に維持された容器内に0.2MPa(2atm)の水素ガスを導入して、0.5時間保持する水素ガス還元処理を行った。これにより、水素吸蔵合金粉末zの表面に存在するニッケル、コバルトなどの酸化物または水酸化物は還元されて、水素吸蔵合金粉末表面にニッケル、コバルトなどの金属の活性面が露出するようになる。
【0024】
この後、水素吸蔵合金が水素を吸蔵し始める温度、即ち、水素吸蔵合金の平衡水素圧と水素ガス雰囲気の水素圧とが等しくなる温度まで自然冷却した後、真空ポンプを作動させて、容器内が1.33×10−2Pa(10−4Torr)以下になるまで真空排気して、容器内が室温(25℃)になるまで冷却しながら容器内の水素ガスを排出する。ついで、容器内にアルゴン(Ar)を大気圧になるまで導入した。これを取り出して、このアルゴンガス処理された水素吸蔵合金粉末を合金質量に対して1.0×10−1質量%のリン酸水素2ナトリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例1の合金粉末aとした。
【0025】
b.実施例2
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例1と同様に、水素ガス還元処理およびアルゴンガス処理を行った水素吸蔵合金粉末を、今度は、合金質量に対して1.0×10−1質量%のケイ酸カリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例2の合金粉末bとした。
【0026】
c.実施例3
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例1と同様に、水素ガス還元処理およびアルゴンガス処理を行った水素吸蔵合金粉末を、今度は、合金質量に対して1.0×10−1質量%の次亜リン酸ナトリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例3の合金粉末cとした。
【0027】
d.実施例4
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例1と同様に、水素ガス還元処理およびアルゴンガス処理を行った水素吸蔵合金粉末を、今度は、合金質量に対して1.0×10−1質量%のテトラヒドロホウ素酸ナトリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例4の合金粉末dとした。
【0028】
e.実施例5
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例1と同様に、水素ガス還元処理および水素ガスの真空排気を行った後、容器内に窒素(N2)を大気圧になるまで導入した。これを取り出して、この窒素ガス処理された水素吸蔵合金粉末を合金質量に対して1.0×10−1質量%のリン酸水素2ナトリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例5の合金粉末eとした。
【0029】
f.実施例6
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例5と同様に、窒素ガス処理を行った水素吸蔵合金粉末を、今度は、合金質量に対して1.0×10−1質量%のケイ酸カリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例6の合金粉末fとした。
【0030】
g.実施例7
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例5と同様に、窒素ガス処理を行った水素吸蔵合金粉末を、今度は、合金質量に対して1.0×10−1質量%の次亜リン酸ナトリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例7の合金粉末gとした。
【0031】
h.実施例8
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例5と同様に、窒素ガス処理を行った水素吸蔵合金粉末を、今度は、合金質量に対して1.0×10−1質量%のテトラヒドロホウ素酸ナトリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例8の合金粉末hとした。
【0032】
i.実施例9
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例1と同様に、水素ガス還元処理および水素ガスの真空排気を行った後、容器内に二酸化炭素(CO2)を大気圧になるまで導入した。これを取り出して、この炭酸ガス処理された水素吸蔵合金粉末を合金質量に対して1.0×10−1質量%のリン酸水素2ナトリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例9の合金粉末iとした。
【0033】
j.実施例10
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例9と同様に、炭酸ガス処理を行った水素吸蔵合金粉末を、今度は、合金質量に対して1.0×10−1質量%のケイ酸カリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例10の合金粉末jとした。
【0034】
k.実施例11
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例9と同様に、炭酸ガス処理を行った水素吸蔵合金粉末を、今度は、合金質量に対して1.0×10−1質量%の次亜リン酸ナトリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例11の合金粉末kとした。
【0035】
l.実施例12
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例9と同様に、炭酸ガス処理を行った水素吸蔵合金粉末を、今度は、合金質量に対して1.0×10−1質量%のテトラヒドロホウ素酸ナトリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中に10日間浸漬して、酸化抑制剤処理を行った。このようにして酸化抑制剤処理された水素吸蔵合金を実施例12の合金粉末lとした。
【0036】
m.比較例1
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例1と同様に、水素ガス還元処理を行い、水素ガス還元処理の終了と同時に水素ガスの排出を開始(300℃で排気を開始)し、水素ガスを排出しながら容器内が室温(25℃)になるまで冷却し後、水素吸蔵合金粉末を容器内から取り出して、比較例1の合金粉末wとした。
【0037】
n.比較例2
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例1と同様に、水素ガス還元処理およびアルゴンガス処理を行った水素吸蔵合金粉末を容器内から取り出して、比較例2の合金粉末xとした。
【0038】
o.比較例3
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zを用い、上述の実施例1と同様に、水素ガス還元処理およびアルゴンガス処理を行った後、酸化抑制剤が無添加の水溶液(純水)中に10日間浸漬して、比較例3の合金粉末yとした。
【0039】
p.比較例4
上述のようにして作製された水素吸蔵合金粉末zをそのまま用いて比較例4の合金粉末とした。
【0040】
2.試験セル用電極の作製
ついで、上述のようにして作製した実施例1〜12の合金粉末a〜lおよび比較例1〜4の合金粉末w〜zを用いて、これらの合金粉末0.5gに結着剤としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)0.1gを混合して発泡ニッケル多孔体に充填し、1.2ton/cm2で加圧成形して、直径20mmの水素吸蔵合金電極A〜L,W〜Zを作製した。
なお、合金粉末aを用いたものを水素吸蔵合金電極Aとし、同様に、合金粉末b,c,d,e,f,g,h,i,j,k,lを用いたものをそれぞれ水素吸蔵合金電極B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,Lとし、合金粉末w,x,y,zを用いたものをそれぞれ水素吸蔵合金電極W,X,Y,Zとした。
【0041】
3.試験セルの組立
ついで、得られた水素吸蔵合金電極A〜L,W〜Zを負極として用いた試験セルの組立例を図1に基づいて説明する。図1の試験セル10は、円筒状のポリプロピレン製密閉容器4の上蓋5から、水素吸蔵合金電極からなる負極1と、円筒状の焼結式ニッケル極からなる正極2と、板状の焼結式ニッケル極からなる参照極3とが夫々吊り下げ支持されている。上蓋5には、圧力計7とリリーフバルブ(逃し弁)8からなるリリーフ管6を備えている。容器4の内部には、30質量%の水酸化カリウム水溶液が充填されている。
【0042】
正極2は、負極1の水素吸蔵合金電極よりも充分に大きな電気化学容量を持つ電極であって、上蓋5を貫通する正極リード2aにより支持されている。また、負極1は、正極2の円筒内のほぼ中央に垂直に位置するように、上蓋5を貫通する負極リード1aにより支持されている。正極リード2a、負極リード1aの他端は、夫々上蓋5の上部で正極端子2b、負極端子1bに接続されている。リリーフ管6は、容器4の内圧が所定圧以上に上昇するのを防止するために設けられており、リリーフバルブ8の調節により、容器4の内圧は一定に保たれるようになされている。
【0043】
4.試験セルの初期放電容量の測定
上記構成の試験セル10の負極1として、上述した水素吸蔵合金電極A〜L,W〜Zを使用し、常温下で、50mA/gで8時間充電し、1時間休止した後、50mA/gで放電休止電圧0.9Vまで放電し、1時間休止する工程を1サイクルとする充放電サイクルを行なって、初期放電容量(mAh/g)を測定すると下記の表1に示すような結果となった。
【0044】
5.アルカリ蓄電池用電極の作製
ついで、上述のようにして作製した実施例1〜12の合金粉末a〜lおよび比較例1〜4の合金粉末w〜zを用いて、これらの合金粉末100質量部と、結着剤としてのポリエチレンオキサイド(PEO)5質量%の水溶液20質量部とを混合してペーストを調製し、このペーストをニッケルメッキを施したパンチングメタルからなる芯体の両面に塗着し、室温で乾燥した後、所定の寸法に切断して、水素吸蔵合金電極A〜L,W〜Zを作製した。
なお、合金粉末aを用いたものを水素吸蔵合金電極Aとし、同様に、合金粉末b,c,d,e,f,g,h,i,j,k,lを用いたものをそれぞれ水素吸蔵合金電極B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,Lとし、合金粉末w,x,y,zを用いたものをそれぞれ水素吸蔵合金電極W,X,Y,Zとした。
【0045】
6.アルカリ蓄電池の組立
ついで、これらの水素吸蔵合金電極A〜L,W〜Zを負極として用い、AAサイズの正極支配型のアルカリ蓄電池(電池容量1200mAh)20の作製例を図2に基づいて説明する。図2のアルカリ蓄電池20は、正極11及び負極12が、セパレータ13を介して巻取られた状態で、負極缶14内に収容されている。
正極11は、正極リード11aを介して封口蓋15に接続され、負極12は負極リード12aを介して負極缶14に接続されている。負極缶14の内部には、電解液が充填されており、封口蓋15との接合部には絶縁性のパッキン16が設けられ、電池は密閉されている。封口蓋15の上部には、コイルスプリング17を介して正極外部端子18が連繋されており、電池内圧が異常上昇すると、コイルスプリング17が圧縮されて、電池内部のガスが大気中に放出される構成である。正極11は公知の焼結式ニッケル極、セパレータ13は耐アルカリ性の不織布を使用し、電解液は30質量%の水酸化カリウム水溶液を使用した。
【0046】
7.アルカリ蓄電池の初期放電容量の測定
上述した各水素吸蔵合金電極A〜L,W〜Zを負極とする各アルカリ蓄電池について、常温において、1.0C(1200mA)の充電電流で、正極が完全に充電された後に生じる電池電圧の低下(−Δ)が10mVになるまで充電した後、1.0C(1200mA)の放電電流で放電終止電圧が0.9Vになるまで放電させるという充放電サイクルを繰り返して行い、電池容量が600mAh(初期容量の50%)になるまでのサイクル数(サイクル寿命特性)を求めると、下記の表1に示すような結果となった。
【0047】
【表1】
【0048】
上記表1の結果から明らかなように、実施例1〜12の水素吸蔵合金粉末a〜lを用いた水素吸蔵合金電極A〜Lを使用した電池は、比較例1〜4の水素吸蔵合金粉末w〜zを用いた水素吸蔵合金電極W〜Zを使用した電池よりも初期放電容量およびサイクル寿命特性が向上していることが分かる。
【0049】
このように水素吸蔵合金電極A〜Lの初期放電容量およびサイクル寿命特性が向上する理由は以下のように考えることができる。
即ち、まず、水素吸蔵合金の平衡水素圧と水素ガス雰囲気中の水素圧とが等しくなった時点で水素吸蔵合金は水素を吸蔵するようになるが、この時点で真空引きを開始して水素ガスを排出すると、水素ガス雰囲気中の水素圧が低下するため、吸蔵された水素が放出されるようになる。これにより、真空引きを開始した瞬間に水素の吸蔵と放出が行われて、水素吸蔵合金粉末の表面に微小なクラックが形成されるようになり、水素吸蔵合金粉末の表面積が増大する。
【0050】
この後、水素ガスによる還元処理により活性になり、かつ還元処理後の水素ガスの排気時に表面に微小なクラックが形成された水素吸蔵合金粉末に、室温でAr,N2,CO2等のガスを導入すると、水素吸蔵合金粉末の表面にAr,N2,CO2等のガスが吸着して、合金粉末の表面での酸化物や水酸化物の生成が抑制されるようになる。この後、さらに、酸化抑制剤を含有する水溶液中に浸漬すると、酸化抑制剤が水素吸蔵合金粉末表面に選択的に吸着し、酸化物や水酸化物の形成が抑制されるため、活性度を維持することができるようになって、初期放電容量およびサイクル寿命が向上したと考えられる。
【0051】
以上のことから、水素吸蔵合金粉末の初期放電容量およびサイクル寿命を向上させるためには、水素吸蔵合金の平衡水素圧と水素ガス雰囲気中の水素圧とが等しくなる温度まで自然冷却した後、水素ガス雰囲気の真空引きを開始して水素ガスを排出しながら室温まで冷却するとともに、室温でAr,N2,CO2等のガスを導入した後、リン酸水素2ナトリウム、ケイ酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、テトラヒドロホウ素酸ナトリウムなどの酸化抑制剤を含有する水溶液中に浸漬する必要があるということができる。
【0052】
なお、導入ガスとしては、水素吸蔵合金粉末a〜dのようにアルゴン(Ar)でもよいが、水素吸蔵合金粉末に吸着する力が強い窒素(N2)(水素吸蔵合金粉末e〜h)あるいは二酸化炭素(CO2)(水素吸蔵合金粉末i〜l)を用いた方が、表面保護力が強いために、初期放電容量およびサイクル寿命がより向上する。また、酸化抑制剤としては、リン酸水素2ナトリウム、ケイ酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、テトラヒドロホウ素酸ナトリウムのどれを用いても初期放電容量およびサイクル寿命がそれほど変わらないため、これらのどれを用いても好ましいということができる。
【0053】
8.酸化抑制剤の添加量の検討
ついで、酸化抑制剤の添加量について検討した。ここで、上述のようにして得られた水素吸蔵合金粉末zを用い、この水素吸蔵合金粉末zをステンレス製の耐熱・耐圧容器に充填し、1.33×10−2Pa(10−4Torr)以下になるまで真空排気しながら、300℃に加熱し、300℃に維持された容器内に0.2MPa(2atm)の水素ガスを導入して、0.5時間保持する水素ガス還元処理を行った。
【0054】
この後、水素吸蔵合金が水素を吸蔵し始める温度、即ち、水素吸蔵合金の平衡水素圧と水素ガス雰囲気の水素圧とが等しくなる温度まで自然冷却した後、真空ポンプを作動させて、容器内が1.33×10−2Pa(10−4Torr)以下になるまで真空排気して、容器内が室温(25℃)になるまで冷却しながら容器内の水素ガスを排出する。ついで、容器内に窒素ガス(N2)を大気圧になるまで導入した。これを取り出して、この水素吸蔵合金粉末を合金質量に対して1.0×10−7質量%、1.0×10−6質量%、1.0×10−5質量%、1.0×10−4質量%、1.0×10−3質量%、1.0×10−2質量%、1.0×10−1質量%(これは上述した合金eである)、5.0×10−1質量%、10.0×10−1質量%のリン酸水素2ナトリウム(酸化抑制剤)を添加した水溶液中にそれぞれ10日間浸漬して、合金粉末m,n,o,p,q,r,s,tをそれぞれ作製した。
【0055】
これらの水素吸蔵合金粉末m,n,o,p,q,r,s,tを用いて、上述と同様に試験セル用電極M,N,O,P,Q,R,S,Tおよびアルカリ蓄電池用電極M,N,O,P,Q,R,S,Tをそれぞれ作製した。そして、これらの試験セル用電極およびアルカリ蓄電池用電極を用いて、上述と同様に試験セルおよびアルカリ蓄電池を作製した。この後、上述と同様に試験セルの初期放電容量および電池のサイクル寿命特性をそれぞれ求めると下記の表2に示すような結果となった。なお、表2には水素吸蔵合金粉末eを用いた電極Eについても併せて示している。
【0056】
【表2】
【0057】
上記表2の結果から明らかなように、リン酸水素2ナトリウム(酸化抑制剤)の添加量が水素吸蔵合金質量に対して1.0×10−6質量%〜5.0×10−1質量%の水溶液に、水素ガス還元処理を施した水素吸蔵合金粉末を浸漬すると、初期放電容量およびサイクル寿命特性が向上することが分かる。これは、リン酸水素2ナトリウム(酸化抑制剤)の添加量が1.0×10−6質量%未満であると、酸化抑制剤処理の効果を充分に発揮できなく、また、5.0×10−1質量%を超えると酸化抑制剤が悪影響を及ぼすようになるためである。
【0058】
なお、ケイ酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、テトラヒドロホウ素酸ナトリウムの添加量を、上述したリン酸水素2ナトリウムと同様に変化させても、ほぼ同様の結果が得られた。これらのことから、リン酸水素2ナトリウム、ケイ酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、テトラヒドロホウ素酸ナトリウムなどの酸化抑制剤の添加量は水素吸蔵合金質量に対して1.0×10−6質量%〜5.0×10−1質量%とするのが望ましいということができる。
【0059】
上述したように、本発明においては、水素吸蔵合金粉末に水素ガス還元処理を施して、水素吸蔵合金粉末の表面を活性化させた後、水素吸蔵合金の平衡水素圧と水素ガス雰囲気中の水素圧とが等しくなる温度まで自然冷却した後、水素ガス雰囲気の真空引きを開始して水素ガスを排出しながら室温まで冷却するとともに、室温でAr,N2,CO2等のガスを導入した後、リン酸水素2ナトリウム、ケイ酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、テトラヒドロホウ素酸ナトリウムなどの酸化抑制剤を含有する水溶液中に浸漬するようにしている。
【0060】
これにより、水素吸蔵合金粉末の表面に微小なクラックが形成されて、水素吸蔵合金粉末の表面積が増大するとともに、水素吸蔵合金の粉末表面が空気と直接接触しなくなるので、水素吸蔵合金粉末が空気に曝されても、再度酸化されることが防止でき、活性度を維持できるようになる。これにより、初期放電容量およびサイクル寿命特性に優れた水素吸蔵合金電極が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水素吸蔵合金からなる試験電極を用いて形成した試験セルを模式的に示す一部破断の斜視図である。
【図2】本発明の水素吸蔵合金からなる電極を用いて形成したアルカリ蓄電池を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1…負極、1a…負極リード、1b…負極端子、2…正極、2a…正極リード、2b…正極端子、3…参照極、4…容器、5…上蓋、6…リリーフ管、7…圧力計、8…リリーフバルブ、10…試験セル、11…正極、11a…正極リード、12…負極、12a…負極リード、13…セパレータ、14…負極缶、15…封口蓋、16…パッキング、17…コイルスプリング、18…正極外部端子、20…アルカリ蓄電池
Claims (4)
- 電気化学的に水素の吸蔵・放出を可逆的に行うことができ、かつ少なくとも希土類およびニッケルを含有する水素吸蔵合金を備えた水素吸蔵合金電極の製造方法であって、
前記水素吸蔵合金粉末を実質的に水素ガスの吸蔵が起こらない温度に維持された水素ガス雰囲気中に保持して、同合金粉末表面に存在する酸化物または水酸化物を還元する水素ガス還元工程と、
前記水素ガスの吸蔵が起こらない温度から水素吸蔵合金の平衡水素圧と前記水素ガス雰囲気中の水素圧とが等しくなる温度まで自然冷却した後、前記水素ガス雰囲気の真空引きを開始して水素ガスを排出しながら室温まで冷却する排気工程と、
前記水素ガスを排出しかつ前記雰囲気を室温まで冷却した後、アルゴン、窒素または二酸化炭素から選択される少なくとも1種のガスを同雰囲気中に導入して、同雰囲気を常圧に戻す常圧工程と、
前記水素吸蔵合金粉末を酸化抑制剤を含有する水溶液中に浸漬する酸化抑制剤浸漬工程とを備えたことを特徴とする水素吸蔵合金電極の製造方法。 - 前記酸化抑制剤はリン酸塩、ケイ酸塩、次亜リン酸塩、テトラヒドロホウ酸塩の少なくとも1種の塩から選択されることを特徴とする請求項1に記載の水素吸蔵合金電極の製造方法。
- 前記酸化抑制剤の水溶液中への添加量を水素吸蔵合金質量に対して1.0×10−6〜5.0×10−1質量%としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水素吸蔵合金電極の製造方法。
- 前記水素ガス還元処理工程の前の雰囲気を真空引きして同雰囲気中の酸素を排気する酸素排気工程を備えるようにしたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の水素吸蔵合金電極の製造方法。
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