JP3619732B2 - 超音波探傷装置および超音波探傷方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、材料中に超音波を送信し、材料中で反射して受信された超音波信号により材料中のきずの有無等を検査する超音波探傷装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
二分割の探触子構造を採用した超音波探傷装置が特開平10−221316号公報に記載されている。この公報には、被検体の表層部方向へも深部方向へも検査領域を拡大することを目的として、振動子を励振して超音波を発生し、この超音波を被検体に対して送信する送信側ブロックと、前記超音波の被検体からの反射波を振動子で受信する受信側ブロックとで構成される探触子を備えた超音波検査装置において、前記送信側ブロックの振動子を複数の振動子で構成するとともに、前記受信側ブロックの振動子を前記送信側ブロックの前記複数の各振動子の超音波を受信する位置に配置した複数の振動子で構成し、かつ、前記送信側ブロックの各振動子および前記受信側ブロックの各振動子を選択する切換手段を設けた超音波検査装置が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
特開平10−221316公報号に提案されている超音波検査装置は、高いSN比を得ながら被検体である材料の表層部から深部まで検査領域を拡大できる優れた手段である。ところで、材料にはその底面から発生する割れ状きずを有する場合がある。この割れ状きずはギザギサ状をなして反射面が当然にギザギザとなるために探傷検査にとって高感度に反射信号を得ることが問題となっていた。
【0004】
本発明は、かかる点に鑑みギザギザ状を呈する割れ状きずなどの複雑な形状をしたきずの探傷を効率的に行うことのできる超音波探傷装置および超音波探傷方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、超音波の送受信をおこなう複数の振動子を配列した2組以上の振動子群と各々の振動子群の間に遮音板を設けた分割型超音波探触子とから構成する電子走査型超音波探傷装置において、超音波を送信する振動子群と超音波を受信する振動子群の切替装置を設け、超音波ビームの送受方向によっていずれか探傷感度の高い方向の反射面による超音波信号により探傷するようにしたものである。
【0006】
本発明は、具体的には次に掲げる装置および方法を提供する。
【0007】
本発明は、超音波の送受信を行う複数の振動子を配列した2組以上の振動子群と各々の振動子群の間に遮音板を設けた超音波探触子と、超音波を送信するパルサー部と、反射してきた超音波を受信するレシーバ部から構成する超音波探傷装置において、超音波を送信する振動子群と超音波を受信する振動子群との切替装置を設けた超音波探傷装置を提供する。
【0008】
本発明は、超音波送受信部と超音波探触子とから構成され、前記超音波探触子は超音波の送受信をそれぞれ行う複数の振動子を少なくとも2組離間配列した振動子群とこれらの振動子群の間に遮音手段とを備え、かつ前記超音波送受信部は超音波を送信するパルサー部と反射してきた超音波を受信するレシーバ部と各振動子を選択する切替手段とを備えた超音波探傷装置において、2組の振動子群を被検材に対して同一方向傾斜配置となし、超音波のビームの屈折進行方向と反射した超音波のビームの受信方向とを前記振動子群の方向に指向するように調整した超音波探傷装置を提供する。
【0009】
本発明は、更に各振動子群を選択する切替装置を設けた超音波探傷装置を提供する。
【0010】
本発明によれば、更に超音波のビームの屈折角Qi(被検材厚垂直方向に対するビームの屈折進行方向角度)および反射した超音波のビームの受信指向角度Qr(被検材厚垂直方向に対するビームの受信方向角度)は、Qi>Qrに設定される。
【0011】
更にQi<Qrに設定される。
【0012】
更にパルサー部またはレシーバ部で超音波信号について遅延時間を変えることによってQiまたはQrを変える。
【0013】
本発明によれば、超音波の送受信を2組の振動子群で行い、各振動子群を構成する複数の振動子の選択切替えを行い、超音波を一方の振動子群の各振動子にパルサー部から送信し、反射した超音波を他の振動子群の振動子を介してレシーバ部で受信することによって超音波探傷を行う方法において、被検材の傷に指向する超音波のビームの屈折進行方向と反射した超音波のビームの受信方向とは該傷に対し同一側に設定され、超音波のビームの屈折角Qiと反射した超音波のビームの受信指向角度QrはQi≠Qrに設定される。
【0014】
更に各振動子群の送受信選択を切替えることによって被検材の底面にキザキザ状を呈して存する割れ状きずの反射面の反射効率を変えて探傷することを行う。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施例である二分割型斜角超音波探傷装置の構成を示す図である。本装置は、大きく超音波送受信部10と超音波探触子20から構成される。超音波送受信部10は高電圧を供給する電源部11と、各振動子をスイッチングして超音波を送信するパルサー部12と、超音波探触子20の送受信を切換える送受切替器13と、受信される超音波信号を合成増幅するレシーバ部14と、後述する2組の振動子群を切替えてパルサー部は、レシーバ部14に接続する切替装置(手段)16と、その信号を表示する表示部15から構成される。超音波探触子20は、離間配設した複数の振動子を配列した振動子群A21と、もう一つの振動子群B22と、それらの振動子群を遮音する遮音板23と、これらをパッケージ化する探触子ケース24から構成される。
【0018】
2組の振動子群が被検材に対して同一方向傾斜配置とされた例を示すが、これに限定されない。また、同一方向とはきずに向かって同一方向ということであり、2組の振動子群21,22は離間配設されるので屈折角および受信指向角度によって角度は影響を受ける。
【0019】
次に、本実施形態の動作を説明する。
【0020】
送受切替器13によって送信側に選択された振動子群A21から送信された超音波ビーム30は、探触子シューA25を介して被検材である材料40中を進行する。その時の屈折進行方向を示す屈折角θi31(被検材厚垂直方向に対するビームの屈折進行方向角度)はパルサー部12で設定される遅延時間で任意に変えることができる。進行した超音波ビーム30は、材料40中にきず41があると、そこで反射する。この超音波の反射はきずの大きさ、方向、形状などで反射強度と反射方向が異なる。きずからの反射波31は材料40中を進行し、超音波探触子20の探触子シューB26を介して振動子群B22で受信される。受信振動子群B22の受信指向角度θr33(被検材厚垂直方向に対するビームの受信方向角度)は、レシーバ部14で設定される遅延時間で任意に変えることができる。以上のことから、送信振動子群A21の屈折角θi31と受信振動子群B22の受信指向角度θr33を任意に変えられることにより、材料40の板厚T42が変わっても、二分割探傷法において板厚の底面43から発生する割れ状きず41を高い感度で検出するために送受信の交軸点35を底面43に設定することが、一つの探触子で可能になる。
【0021】
以上のように、2組の振動子群21,22を被検材40に対して同一方向傾斜配置となし、超音波ビームの屈折進行方向と反射した超音波ビームの受信方向とを振動子群の方向に指向するように調整し、各振動子群21,22を選択する切替装置により随時切替えを行って反射信号をレシーバ部14で受ける。従ってある場合には、
Qi>Qr
に設定され、他の場合には
Qi<Qr
に設定され、割れ状きず41のきず面に対応した信号が検出されるように調整される。この場合、Qi≠Qrとなるが、Qi=Qrと設定する場合もある。
【0022】
図2は、上記図1において超音波の送信と受信を切換えた場合の状態を示す図である。超音波ビーム37は振動子群B22から送信され、きずからの反射波38は振動子群A21で受信される。この時、きず41の部位での反射の状態を以下に示す。図3は、上記図1の時の反射であり、超音波ビーム30がきず41に対して入射し、きずのミクロの面で反射し超音波ビーム31の束として反射進行する。この時、きずはギザギザ状を呈するので、きずでの反射効率は超音波30の方向によってより強く反射のあったγABとなる。図4は、上記図2の時の反射状態であり、超音波ビーム37の入射に対して超音波ビーム38が反射し、反射効率は超音波ビーム37の方向によってより強く反射のあったγBAとなる。きず41の面は微視的に見たときにはギザギザであり、不均一であるためにγAB≠γBAとなる。すなわち、超音波ビームの送受方向によっていずれか探傷感度の高い方向が存在する。従って、振動子群Aと振動子群Bを交互に送受信を切換えて探傷することにより常に検出感度の高い超音波探傷検査が可能になる。
【0023】
以上のように、微視的に見ればギザギザである割れ状のきずを高い検出性で探傷可能となる。また、いろいろな形状をしている材料中のきずを、送受信の超音波ビームを任意に変えることにより高感度の探傷が可能である。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、超音波の送受信をおこなう複数の振動子を配列した2組以上の振動子群と各々の振動子群の間に遮音板を設けた分割型超音波探触子と、超音波を送信するパルサーと、反射してきた超音波を受信するレシーバから構成する電子走査型超音波探傷装置において、超音波を送信する振動子群と超音波を受信する振動子群を切替えて使用するようにしたので、微視的に見ればギザギザである被検材の底面にある割れ状のきずを高い検出性で探傷可能となる。また、いろいろな形状をしている材料中のきずを、送受信の超音波ビームを任意に変えることにより高感度の探傷が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である二分割型斜角超音波探傷装置の構成図である。
【図2】本発明の一実施例である二分割型斜角超音波探傷装置の送受切替動作図である。
【図3】きずによる超音波の反射状態図である。
【図4】送受切替後のきずによる超音波の反射状態図である。
【図5】本発明のもう一つの実施例である固定角度受信と電子走査式多角度発振による探傷方式動作図である。
【符号の説明】
10…超音波送受信部、11…電源部、12…パルサー部、13…送受切替器、14…レシーバ部、15…表示部、16…切替装置、20…超音波探触子、21…振動子群A、22…振動子群B、23…遮音板、24…探触子ケース、25…探触子シューA、26…探触子シューB、30…振動子群Aからの送信超音波ビーム、31…振動子群Bへの受信超音波ビーム、32…屈折角、33…受信指向角、35…交軸点、37…振動子群Bからの送信超音波ビーム、38…振動子群Aへの受信超音波ビーム、40…材料、41…きず、42…材料の板厚、43…材料の底面、50…材料内部のきず。
Claims (2)
- 超音波送受信部と超音波探触子とから構成され、前記超音波探触子は超音波の送受信をそれぞれ行う複数の振動子を少なくとも2組離間配列した振動子群とこれらの振動子群の間に遮音手段とを備え、かつ前記超音波送受信部は超音波を送信するパルサー部と反射してきた超音波を受信するレシーバ部と各振動子群の送受信を切替える切替装置を備えた超音波探傷装置において、
2組の振動子群を被検材に対して同一方向傾斜配置となし、超音波のビームの屈折進行方向と反射した超音波のビームの受信方向とが被検材の底面で交差するように調整し、
前記切替装置により、各振動子群の一方を送信側としたときに他方側を受信側とするとともに、各振動子群の送受信の役割を切替える構成とされ、
被検材の底面にある傷に指向する超音波のビームの屈折進行方向と反射した超音波のビームの受信方向とは該傷に対し同一側に設定され、
被検材の底面にある傷に指向する超音波のビームの屈折角Qiと当該傷から反射した超音波のビームの受信指向角度Qrは
Qi≠Qrに設定されること
を特徴とする超音波探傷装置。 - 請求項1に記載の超音波探傷装置を用いて、
一方の振動子群からパルサー部の遅延時間を変更することにより複数の角度に超音波のビームを発振して、これらの反射した超音波ビームを他方の振動子群で変更された遅延時間をレシーバ部に与えることにより受信し、探傷することを特徴とする超音波探傷方法。
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