JP3619587B2 - 振動遮断用パイプ及びその連結構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレキシブルなベローズと、該ベローズの内側にて帯状体を巻回してなるインタロックとを備えた振動遮断用パイプに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の排気系は、エンジンに組み付けられたエキゾーストマニホルド、触媒コンバータ、サブマフラ、メインマフラ等をエキゾーストパイプにより接続して構成される。このエキゾーストパイプはエンジンのローリング、ピッチング等による振動あるいは悪路走行時における振動を受けるため、これによりエキゾーストマニホルド等との溶接部あるいはこれら排気系をボディに締結する締結部が共振により悪影響を受けるおそれがあった。
【0003】
従来から、このような不具合を解消すべく、例えばエキゾーストマニホルドの下流に振動遮断用パイプを設け、上記振動を遮断するものが知られていた。この振動遮断用パイプの代表的なものとしては、フレキシブルパイプ又は蛇管と称するものがあり、これは、曲げに対する振動や軸方向に対する振動を吸収する作用を奏するものである。
【0004】
例えば、図11に示した従来の振動遮断用パイプ50は、山部と谷部とを備えたフレキシブルなベローズ51、そのベローズ51の左右両端に設けられたインナパイプ52、52、両インナパイプ52、52間に設けられたインタロック53、インタロック53に被せられたインナブレード54、ベローズ51を縁石、飛石等から保護するためベローズ51に被せられたブレード55、及び左右両端に設けられたリング56、56から構成されている。インタロック53は、パイプ軸方向に発生する引張荷重・圧縮荷重に対するベローズ51の破損を防止すべくこれらの荷重を受けるために設けられたものであり、金属製の帯状体60(断面を図12(a)に示す)を巻回したものである。このインタロック53はパイプ軸方向の振動により、図12(b)のように伸長された状態から、図12(c)のように圧縮された状態まで移動可能である。このとき、隣合う帯状体60a、60bの鈎部62a、63b同士は掛止されているものの、両者は一旦非接触となりパイプ軸方向に移動することが多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記振動遮断用パイプ50は、エキゾーストマニホルドの下流に設けたエキゾーストパイプ(以下「フロントパイプ」という)の途中に用いられるのであるが、各気筒からの排気ガスを互いに干渉させずエンジン性能の向上を図ること等の観点から、フロントパイプを2本並設することが提案されている。この際、振動遮断用パイプも各フロントパイプ毎に設けることになる。
【0006】
しかしながら、振動遮断用パイプを各フロントパイプ毎に設けるとすれば、装置が大型化し、重量増の問題も生じる。ここで、フロントパイプについては、実開昭63−196425に開示されているように、1本のパイプ内に仕切り部を設けて流路を分割してコンパクト化することが提案されている。しかし、振動遮断用パイプではこのようなコンパクト化されたものは知られていない。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、コンパクトでありながらエンジンの中低速トルクの向上を図ることのできる振動遮断用パイプを提供すること、及びこの振動遮断用パイプの連結構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、エキゾーストマニホルドの下流にて複数の排気ガス流路を有するフロントパイプに連結される振動遮断用パイプであって、フレキシブルなベローズと、該ベローズの内側にて帯状体を巻回して形成され、隣合う帯状体が互いに掛止されたインタロックとを備え、かつ、前記インタロックにおける隣合う帯状体同士は、接触状態を保ちつつ互いにパイプ軸方向に摺動するように掛止され、また、前記インタロックは、前記フロントパイプの複数の排気ガス流路にそれぞれ連通する複数の排気ガス連通路を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の振動遮断用パイプであって、前記インタロックは、2つの断面略D形の筒状インタロックを互いに平面部同士を重ね合わせた形状であることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の振動遮断用パイプであって、前記2つの断面略D形の筒状インタロックの平面部のいずれか一方にワイヤメッシュを固着しいずれか他方をこのワイヤメッシュに接触させることにより、各筒状インタロックを独立して摺動可能としたことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、パイプ内が仕切り部により2分割されて2つの排気ガス流路が形成されたフロントパイプと、請求項2又は3記載の振動遮断用パイプとを連結する連結構造であって、前記フロントパイプの仕切り部及び前記振動遮断用パイプの筒状インタロックを互いに平面部同士を重ね合わせた部分のいずれか一方に係合溝を設け、いずれか他方が該係合溝に差し込まれていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態及び発明の効果】
上記構成を備えた本発明の振動遮断用パイプは、フロントパイプの複数の排気ガス流路にそれぞれ連通する複数の排気ガス連通路を有するため、エンジンの各気筒からの排気ガスはエキゾーストパイプを経た後この振動遮断用パイプを通過する際も1つに集合されることがない。このため、各気筒からの排気ガスは互いに干渉し合うおそれがなくスムーズに流れるため、エンジンの中低速トルクが向上する。また、この振動遮断用パイプは、外観状、排気ガス連通路を1つしか有さない従来の振動遮断用パイプと略同等であるため、嵩ばらずコンパクト化が実現される。尚、各気筒からの排気ガスのうち干渉しにくいもの同士は同じ排気ガス流路、排気ガス連通路を流通させてもよい。
【0013】
また、本発明の振動遮断用パイプは、フロントパイプがパイプ軸方向に沿って複数の排気ガス流路が形成された流路分割型のパイプ(例えば、実開昭63−196425参照)のとき、特に優れた効果を発揮する。即ち、フロントパイプとして普通のパイプを2本並設し各フロントパイプに従来の振動遮断用パイプ(排気ガス連通路が1つ)を配設することにより排気ガスの干渉を防止することも知られているが、この場合に比べて、流路分割型フロントパイプ及び本発明の振動遮断用パイプは共にコンパクトであるため組付作業が容易化され軽量化されるという効果が得られる。また、振動遮断用パイプの下流に触媒コンバータが設けられた場合、流路分割型フロントパイプ、本発明の振動遮断用パイプは、隣接する排気ガス流路、排気ガス連通路により排気ガス温の低下が防止されるため触媒コンバータを迅速に活性化できる。
【0014】
この振動遮断用パイプのインタロックの形状は、前記フロントパイプの複数の排気ガス流路にそれぞれ連通する複数の排気ガス連通路を有する形状であれば特に限定されないが、たとえば、2つの断面略D形の筒状インタロックを互いに平面部同士を重ね合わせた形状とすることができる。この場合、各筒状インタロックの内部が排気ガス連通路となる。このインタロックは、軸方向、曲げ、圧縮、引張り、せん断などの荷重を吸収するものである。また、2つの断面略D形の筒状インタロックの平面部のいずれか一方にワイヤメッシュを固着しいずれか他方をこのワイヤメッシュに接触させることにより、各筒状インタロックを独立して摺動可能としてもよい。尚、2つの筒状インタロックの平面部同士を重ね合わせる際の並び方向は、特に限定するものではなく、例えば左右に並べてもよいし、上下に並べてもよい。
【0015】
ところで、通常の振動遮断用パイプでは、インタロック内を排気ガスが流通するのであるが、排気ガスがインタロック内からインタロック外に漏出したとしてもベローズの存在により振動遮断用パイプの外に漏れることはない。このため、インタロックを成す帯状体は、隣合うもの同士が掛止されているものの、掛止状態において気密性を要求されることはなかった(図12参照)。ここで、本発明の振動遮断用パイプにおいても、インタロックを成す帯状体の掛止状態において気密性がなくても各気筒からの排気ガスの干渉を防止しエンジンの中低速トルクを向上させる効果が得られる。しかし、本発明に係る振動遮断用パイプでは、インタロック内に複数の排気ガス連通路が設けられているため、インタロック外に排気ガスが漏出するとすれば、他の排気ガス連通路を流通する排気ガスと干渉するおそれがある。この点に鑑み、前記インタロックにおける隣合う帯状体同士は、接触状態を保ちつつ互いにパイプ軸方向に摺動するように掛止されているようにすれば、各排気ガス連通路の気密性が向上し、インタロック外に排気ガスが漏出しにくいため、排気ガスの流れが一層スムーズとなり、エンジンの中低速トルクを一層向上させることができる。
【0016】
また、本発明は、パイプ内が仕切り部により2分割されて2つの排気ガス流路が形成されたフロントパイプと、請求項2又は3記載の振動遮断用パイプとを連結する連結構造を提供するものでもある。即ち、この連結構造は、フロントパイプの仕切り部、及び、振動遮断用パイプの筒状インタロックを互いに平面部同士を重ね合わせた部分、のいずれか一方に係合溝を設ける。そして、いずれか他方がこの係合溝に差し込まれている。特に係合溝との差込み部分は圧入などにより隙間なく係合させることが、排気ガス流路の気密性を保つ上で好ましい。
【0017】
【実施例】
以下に、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0018】
図1は本実施例の振動遮断用パイプの斜視図、図2は図1のA−A断面図、図3は断面略D形の筒状インタロックの斜視図、図4は筒状インタロックを形成する帯状体の断面図、図5は筒状インタロックの断面図であり、図5(a)は伸長状態、図5(b)は圧縮状態を表す。
【0019】
本実施例の振動遮断用パイプ10は、ベローズ1、インタロック3及び一対のリング6、6から構成されている。
ベローズ1は、金属製パイプであり、図2に示すように、両端にストレートパイプ状の固定部11、11が設けられ、両固定部11、11間に山12aと谷12bとが繰り返された形状のフレキシブル部12が設けられている。このベローズ1の内部には後述のインタロック3が嵌挿されている。ベローズ1は、その外表面が金属メッシュ製のブレード5で覆われている。このブレード5は、ベローズ1を縁石や飛石等から保護する役割を果たす。
【0020】
インタロック3は、パイプ軸方向に発生する引張荷重・圧縮荷重を受けるためのものであり、図1及び図3に示すように、2つの断面略D形の筒状インタロック301、301の平面部302、302を接着することなく互いに重ね合わせることにより形成され、筒状インタロック301、301の内部が2つの排気ガス連通路C1、C2を形成している。この筒状インタロック301は、金属製(SUS304製)の帯状体30を巻回して形成した円筒体を用いてその片側を押圧することにより断面略D形としたものである。インタロック3の両端はベローズ1の固定部11、11の内周面と直接接合されている。
【0021】
筒状インタロック301を形成する帯状体30は、図4にその断面を示すように、衝撃受け部31とこの衝撃受け部31の両端にて略コ字状に設けられた鈎部32、33とを備えている。この鈎部32、33は対称形に形成されている。帯状体30を巻回してインタロック3を形成したときの隣合う帯状体30を、図5に示すように帯状体30a、帯状体30bと称し、これらの構成要素については末尾にa、bを付して表す。各帯状体30a、30bの衝撃受け部31a、31bは、パイプ軸方向に対して角度θ(例えば40〜50゜)を成し、また、隣合う帯状体30a、30bの鈎部32a、33b同士は接触した状態を保つように掛止されている。即ち、鈎部同士の重ね代の厚みTと帯状体の板厚tとの関係は下式で表される。また、隣合う帯状体30a、30bの鈎部32a、33b同士は、接触状態を保ちつつ互いにパイプ軸方向に摺動可能である。
【0022】
【数1】
【0023】
このインタロック3は、図5(a)のように伸長された状態から図5(b)のように圧縮された状態まで摺動可能である。このようにインタロック3が伸縮したとしても、隣合う帯状体30a、30bは接触状態が保たれるため、排気ガス連通路C1、C2の気密性は保持される。
【0024】
リング6、6は、図1及び図2に示すように、ブレード5を挟み込んだ状態でベローズ1の両固定部11、11の外周面に固定されている。このリング6、6は、ブレード5を保持する役割のほか、この振動遮断用パイプ10の前後に配置されるパイプとの溶接を容易化する役割も果たす。
【0025】
次に上記振動遮断用パイプ10の作用について説明する。図6は振動遮断用パイプ10を適用した排気系の説明図、図7は図6のB部分の拡大図である。
本実施例の振動遮断用パイプ10は、図6に示すように、車両のエンジン21に取り付けられたエキゾーストマニホルド22、触媒コンバータ23、サブマフラ24、メインマフラ25から構成される車両の排気系20のうち、エキゾーストマニホルド22と触媒コンバータ23とを接合するフロントパイプ29、39の中間に組み付けられている。この排気系20は、触媒コンバータ23とサブマフラ24との間に設けた締結部26及びメインマフラ25の前後端に設けた締結部27、28によりボディに締結されている。
【0026】
フロントパイプ29、39は、略円形のパイプ内にパイプ軸方向に延びる仕切り部29a、39aを設けることにより2つの排気ガス流路R1、R2が形成され、それぞれ振動遮断用パイプ10内の2つの排気ガス連通路C1、C2に連結されている。排気ガス流路R1、R2は、仕切り部29a、39aにより一方の流路から他方の流路へ排気ガスが流入することのないように気密性が保持されている。
【0027】
ここで、図7に示すように、フロントパイプ29の仕切り部29aの下流側端部には溝形成用板材29bが固着されることにより係合溝41が形成されている。この係合溝41には、筒状インタロック301、301の平面部302、302同士を重ね合わせた部分が圧入されている。一方、筒状インタロック301、301の平面部302、302の下流側端部には互いに離間するように段差部302b、302bが設けられ、これにより係合溝42が形成されている。この係合溝42には、フロントパイプ39の仕切り部39aの上流側端部が圧入されている。この結果、排気ガス流路R1及び排気ガス連通路C1と、排気ガス流路R2及び排気ガス連通路C2とは、気密性が保たれている。
【0028】
図6のエキゾーストマニホルド22、フロントパイプ29、39及び振動遮断用パイプ10は、4気筒エンジン21の2つの気筒からの排気ガスが一方の排気ガス流路R1及び排気ガス連通路C1に導入され、他の2つの気筒からの排気ガスが他方の排気ガス流路R2及び排気ガス連通路C2に導入されるように接続されている。また、排気ガス流路R1及び排気ガス連通路C1(又は排気ガス流路R2及び排気ガス連通路C2)に導入される2つの気筒からの排気ガスは、互いに干渉の少ないものが組み合わされている。
【0029】
このような排気系20によれば、互いに干渉する気筒の排気ガスは異なる排気ガス流路を流通するから、排気干渉によるエンジンの出力低下を防止でき、中低速のトルクが十分に向上する。この点につき、従来の振動遮断用パイプ50(図11参照)のインタロック53は1つの流路を持つのみであったため、折角流路分割型のフロントパイプにより各気筒の排気ガスの干渉を防止しても、振動遮断用パイプ50を通過する際に干渉が生じて十分な中低速のトルクの向上が得られないという問題があった。本実施例ではこのような問題を解消するものである。特に、本実施例では、筒状インタロック301を形成する帯状体30につき、隣合う帯状体30a、30bは接触状態を保ちつつ互いにパイプ軸方向に摺動するように掛止されているため、各排気ガス連通路C1、C2は気密性が高く、各排気ガス連通路C1、C2の内から外へ排気ガスが漏出しにくいので連通路外で干渉し合うおそれもない。
【0030】
また、排気ガス流路R1,R2は仕切り部29a、39aを介して隣接し、排気ガス連通路C1、C2は平面部302、302を介して隣接しているため断熱性が高く、エンジン21から触媒コンバータ23に至る間に排気ガス温が低下するのを防止でき、触媒活性を十分に高めることができる。この点につき、従来の振動遮断用パイプ50のインタロック53は1つの流路を持つのみであったため、折角流路分割型のフロントパイプにより排気ガス温の低下を防止しても、振動遮断用パイプ50を通過する際に排気ガス温が低下し、排気系20の各部材が低温である場合に触媒コンバータ23を迅速に活性化することが困難であった。本実施例ではこのような問題を解消するものである。
【0031】
更に、エンジン21の駆動中ローリング、ピッチング等の振動あるいは悪路走行時における振動を排気系20が受けた場合、その振動は振動遮断用パイプ10により吸収される。即ち、パイプ半径方向に対する振動は、主としてベローズ1のフレキシブル部12により吸収される。一方、パイプ軸方向に対する振動は、ベローズ1のフレキシブル部12及びインタロック3により吸収される。パイプ軸方向の振動により圧縮される場合、インタロック3を構成する隣合う帯状体30a、30bのうち、一の帯状体30aの鈎部32aは他の帯状体30bの鈎部33bと摺動しつつ該他の帯状体30bの衝撃受け部31bに衝突する。一方、パイプ軸方向の振動により伸長される場合、一の帯状体30aの鈎部32aは他の帯状体30bの鈎部33bと摺動しつつ該他の帯状体30bの鈎部33bと衝突する。いずれの場合も摺動によりパイプ軸方向の振動は迅速に減衰される(即ち、減衰係数がアップする)ため衝突回数が減少し、また衝突音の大きさは小さくなる。特に、衝撃受け部31a、31bはパイプ軸方向に対して角度θをなしているため、インタロック3が圧縮されたときの鈎部32aと衝撃受け部31bとの衝突音は一層小さくなる。
【0032】
更にまた、インタロック3は隣合う帯状体30a、30bの鈎部32a、33bは略隙間なく一致しているため、上下方向のガタツキが小さい。このため、ベローズ1の固定部11にインタロック3を直接接合することができ、従来例のようなインナパイプは特に必要ではない。また、インナパイプを用いた従来例ではインタロックよりもインナパイプの径を絞る必要があったため排圧損失を大きくする原因であったが、本実施例ではインナパイプが不要となったため排圧損失が小さくなり、また、コスト面、重量面からみても従来例と比べて有利となった。
【0033】
そして、パイプ軸方向の振動は隣合う帯状体30a、30bの鈎部32a、33b同士の摺動により消化されるため、帯状体30が受ける衝撃は従来よりも小さくなる。このため、帯状体30の板厚tを従来例よりも薄くでき、コスト面、重量面からみて有利であり、熱容量的にみて排気ガス温度があまり奪われないため排気ガス温の低下防止の面からも有利である。
[上記実施例の変形例]
上記筒状インタロックを成す帯状体30は、例えば、図8(a)に示すように、鈎部32a、32bの隙間を板厚tと略一致させ、鈎部33a、33bの隙間を板厚tよりも大きく設定してもよい。この場合にも、インタロック3がパイプ軸方向に移動する際、隣合う帯状体30a、30bの鈎部32a、33b同士は接触状態を保ちつつ互いにパイプ軸方向に摺動するため、各排気ガス連通路C1、C2の気密性は高い。
【0034】
また、図8(b)に示すように、隣合う帯状体30a、30bの鈎部32a、33b同士の重ね代の厚みTは、
T≦6t
特に、
T≦5t
であれば、パイプ軸方向への振動を受けた際、隣合う帯状体30a、30bは鈎部32a、33bの一部が接触しつつ互いにパイプ軸方向に摺動するため、各排気ガス連通路C1、C2の気密性は高い。
【0035】
更に、図11に示す従来の振動遮断用パイプ50のインタロック53を上述の筒状インタロック301、301の平面部302、302同士を重ね合わせて排気ガス連通路C1、C2を設け、またインナパイプ52内に仕切りを設けて排気ガス流路R1’、R2’を設けてもよい。この場合も上記実施例と同様の効果が得られる。尚、図9(a)はこのときのインタロック53の断面図、図9(b)はこのときの端面図である。
【0036】
更にまた、上記実施例の帯状体30に代えて、図12(a)に示す帯状体60を用いてもよい。この場合、隣合う帯状体60a、60bの鈎部62a、63b同士は掛止されているものの、パイプ軸方向への振動を受けた際、両者は一旦非接触となりパイプ軸方向に移動する(図12(b)、(c)参照)。この場合であっても、振動遮断用パイプ10は2つの排気ガス連通路C1、C2を有しているため、従来の振動遮断用パイプ50(図11参照)に比較して排気ガス同士の干渉が少なく、エンジンの中低速トルクが向上する。
【0037】
そして、2つの断面略D形の筒状インタロック301、301の平面部302、302のいずれか一方にワイヤメッシュ(軸方向に伸縮可能であり、平面部302と同等もしくはそれより小さな面積を有する)を固着しいずれか他方をこのワイヤメッシュに接触させるようにしてもよい。このとき、両平面部302、302はワイヤメッシュを介して重ね合わされ、各筒状インタロック301は独立して摺動することが可能である。
【0038】
また、上記実施例では、インタロック3の断面形状は、断面略D形の筒状インタロック301、301の平面部302、302を互いに重ね合わせることにより略円形となるように形成したが、車両搭載性を考慮して略楕円形(図10参照)となるようにしてもよい。
【0039】
更に、上記実施例では、図6に示すようにエキゾーストマニホルド22、フロントパイプ29、振動遮断用パイプ10、フロントパイプ39、触媒コンバータ23の順に配設したが、エキゾーストマニホルド22、触媒コンバータ23、フロントパイプ29、振動遮断用パイプ10、フロントパイプ39の順に配設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】振動遮断用パイプの斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】断面略D形の筒状インタロックの斜視図である。
【図4】筒状インタロックを形成する帯状体の断面図である。
【図5】筒状インタロックの断面図であり、(a)は伸長状態、(b)は圧縮状態を表す。
【図6】排気系の説明図である。
【図7】図6のB部分の拡大破断面図である。
【図8】変形例の帯状体の断面図である。
【図9】変形例の振動遮断用パイプの説明図であり、(a)はインタロックの断面図、(b)は振動遮断用パイプの端面図である。
【図10】変形例の振動遮断用パイプのインタロックの断面図である。
【図11】従来の振動遮断用パイプの断面図である。
【図12】従来のインタロックの断面図であり、(a)は伸長状態、(b)は圧縮状態を表す。
【符号の説明】
1・・・ベローズ、 3・・・インタロック、
10・・・振動遮断用パイプ、 20・・・排気系、
21・・・エンジン、 22・・・エキゾーストマニホルド、
23・・・触媒コンバータ、 29・・・フロントパイプ、
29a・・・仕切り部、 30・・・帯状体、
31・・・衝撃受け部、 32・・・鈎部、
301・・・筒状インタロック、 302・・・平面部、
C1、C2・・・排気ガス連通路、R1、R2・・・排気ガス流路、
Claims (4)
- エキゾーストマニホルドの下流にて複数の排気ガス流路を有するフロントパイプに連結される振動遮断用パイプであって、
フレキシブルなベローズと、
該ベローズの内側にて帯状体を巻回して形成され、隣合う帯状体が互いに掛止されたインタロックとを備え、
かつ、前記インタロックにおける隣合う帯状体同士は、接触状態を保ちつつ互いにパイプ軸方向に摺動するように掛止され、
また、前記インタロックは、前記フロントパイプの複数の排気ガス流路にそれぞれ連通する複数の排気ガス連通路を有することを特徴とする振動遮断用パイプ。 - 前記インタロックは、2つの断面略D形の筒状インタロックを互いに平面部同士を重ね合わせた形状であることを特徴とする請求項1記載の振動遮断用パイプ。
- 前記2つの断面略D形の筒状インタロックの平面部のいずれか一方にワイヤメッシュを固着しいずれか他方をこのワイヤメッシュに接触させることにより、各筒状インタロックを独立して摺動可能としたことを特徴とする請求項2記載の振動遮断用パイプ。
- パイプ内が仕切り部により2分割されて2つの排気ガス流路が形成されたフロントパイプと、請求項2又は3記載の振動遮断用パイプとを連結する連結構造であって、前記フロントパイプの仕切り部及び前記振動遮断用パイプの筒状インタロックを互いに平面部同士を重ね合わせた部分のいずれか一方に係合溝を設け、いずれか他方が該係合溝に差し込まれていることを特徴とする振動遮断用パイプの連結構造。
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