JP3619264B2 - 累進多焦点レンズ、およびその成形型 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、老視矯正用眼鏡レンズで、遠用部から近用部にかけて連続的に屈折力が変化する累進多焦点レンズに関し、特に、周辺に形成されるツバ面部の幅を小さくして有効面積を大きく取れるようにした累進多焦点レンズ及びその成形型に関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】
樹脂製の眼鏡レンズの製造工程においては、図16に示すように、成形型51,52とガスケット53との間の空間に液体状のモノマー54を注入し、加熱によって重合反応を起こし、ポリマーとして固体化されたレンズ50を得ている。
【0003】
ガスケット53は、モノマー54が成形型51と52との間から漏れないように閉じこめ、さらに、モノマーからポリマーへの重合による体積変化を吸収するように、ある程度弾性変形が可能な素材で作られている。
樹脂製の単焦点レンズや遠近の境目のある多焦点レンズ、又はそれらの半完成品などを成形する型は、普通は球面でできており、ガスケット53の厚みTはレンズの全周に渡って一定でよい。また、乱視用レンズの完成品成形型では、トーリックな面形状にならった厚み変化を持ったガスケットが必要であるが、ガスケットの種類が最小限で済むように、トーリック面の系列化がなされている。
【0004】
しかるに、累進多焦点レンズの成形型のうち累進面側の形は複雑な非球面になっており、図16のような成形型とガスケットの形状では、ガスケットの厚みを場所に応じて変えておかねばならない。レンズの光学中心と外径中心とを偏心させて設計された累進多焦点においては、レンズ外周に沿ったガスケットの厚みの変化はさらに複雑になる。
【0005】
レンズ50の外径を55、成形型51,52の外径を56で示し、座標系を図17,18のようにとり、任意の角度θにおけるレンズの両面の座標Z1,Z2(図18)をZ軸上にとれば、図19に示すようなグラフが得られる。任意の角度θにおけるZ1,Z2間の距離が、角度θにおけるガスケットの厚さTとなる。
【0006】
累進多焦点レンズは、遠用部の度数区分に応じたベースカーブと、近用部の度数(遠用部と近用部の度数の差を加入度数という)との組み合わせによって、一製品系列だけでも累進面の種類が100種類を上回ってしまい、すべての累進面ごとに厚みTに変化を持たせてガスケットを用意することは製造コストや管理を考えると実際的ではない。
【0007】
そこで従来は、図20に示すように、累進面の型51の周辺部を平面に研削研磨して、累進面として有効な領域(累進面領域)57の周辺に、累進面としては有効でない領域(非累進面領域)58をいわゆるツバ面(平坦面)として設けることにより、ガスケット53の場所による(θの変化による)厚みの変化を無くしていた。
【0008】
このようにすることで、図21に示すように、ガスケットの厚みTがレンズの外周のどこでも一定となり、しかも、違うベースカーブと加入度数の組み合わせによる種々の累進面に、共通したガスケットを使用できるようになった。
図22は、ツバ面58を有するガスケットを用いて成形した累進多焦点レンズの累進面側成形型の正面図である。同図に示すように、累進面領域57の周辺(上下)に、非累進領域58が形成されている。累進面領域57の有効径は、特に垂直方向で狭くなってしまうが、眼鏡フレームの玉型は一般的に水平方向より垂直方向の幅が狭いため、実質的に問題となるようなケースは稀であった。
【0009】
しかし、近年、眼鏡レンズの薄型化・軽量化の要望に答えるべく、従来のものよりも浅いベースカーブを用いた累進多焦点レンズが開発されるに至った。特にマイナス強度用のものにおいては、従来のような平面の「ツバ面58」をつけると、垂直方向の有効径が無視できないほど狭くなってしまうという問題が発生する。
【0010】
図23は、従来例1を示す図で、加入屈折力3.00ディオプター、遠用部屈折力S−7.00〜−10.00ディオプター程度の強度近視性老視の矯正に用いられる累進多焦点レンズの正面図である。レンズの外径が70φ(mm)に対し、累進面として有効な領域は、水平方向ではほぼレンズ径いっぱいを占めているが、垂直方向には、上下にそれぞれ8.2mm幅の非累進面領域が平面の「ツバ面58」として付き、有効径を狭めている。なお、累進面の遠用参照点59における平均面屈折力は0.12ディオプター、素材の屈折率は1.6である。
【0011】
図25は累進多焦点レンズの累進面領域57を構成する面の垂直断面60と、水平断面61とを重ねて描いた図で、理解し易くするために、横方向だけを拡大した図である。ツバ面の垂直断面線62と水平断面線63とを一点鎖線で示す。点64,64´は、垂直断面における累進面とツバ面との交点を示し、点65,65´は、水平断面における累進面とツバ面との交点を示す。ψは上記各交点においてツバ面と累進面とに立てた法線相互が成す角度で、括弧内の数字は図17に示す角度θを表す。Waはツバ面の上部の幅、Wbはツバ面の下部の幅であり、WaとWbとが等しくなるように、累進面は適当な角度で傾けられる。
【0012】
図24は、従来例2を示す図で、加入屈折力3.00ディオプター、遠用部屈折力S−3.00〜−6.00ディオプター程度の近視性老視の矯正に用いられる累進多焦点レンズの正面図である。レンズの外径が75φ(mm)に対し、累進面として有効な領域は、水平方向ではほぼレンズ径いっぱいを占めているが、垂直方向には、上下にそれぞれ4.1mm幅の非累進面領域が平面の「ツバ面58」として付き、有効径を狭めている。なお、累進面の遠用参照点59における平均面屈折力は2.04ディオプター、素材の屈折率は1.6である。
【0013】
図26は、従来例2について図25と同じく、累進多焦点レンズの累進面領域57を構成する面の垂直断面60と、水平断面61とを重ねて描いた図である。
図25,26から理解できることは、ツバ面の幅Wa,Wbは、同じ加入度数ならば、累進面のベースカーブが浅いほど広くなるということである。
【0014】
この原因を考察すると、ベースカーブが浅い従来例1の場合には、累進面領域57と非累進面領域ツバ面58の境界において、累進面とツバ面のなす角ψが図25に示すように平均的に小さくなり、平均のψが小さいほどψの変動による累進面とツバ面の交点位置の変動が大きくなる。その結果、垂直断面の交点64,64´の位置と水平断面の交点65,65´の位置の差であるツバ面幅Wa,Wbが広くなるのである。
【0015】
従来例1,2について、ψをθの関数としてグラフ化すると、従来例1は図27に、従来例2は図28に示すようになる。ψの平均値をAVG(ψ) 、標準偏差をSTD(ψ) で表し、
【数1】
と定義し、これらの比STD(ψ) /AVG(ψ) を累進面とツバ面のなす角の変動程度を表す係数(変動係数)と考えると、従来例1は0.28、従来例2は0.13となっている。
【0016】
【発明の目的】
本発明は、上記の事実に鑑みてなされたもので、浅いベースカーブでも、ツバ面幅を狭くできる累進多焦点レンズ及びその成形型を提供することを目的としている。
【0017】
【発明の概要】
本発明は、累進面とツバ面の成す角ψをある程度大きくなるように設定し、STD(ψ) /AVG(ψ) を小さくすることにより、ツバ面幅を狭くすることを目的としている。累進面は光学性能的要求及び外観的要求により、形状が決まってしまうので、ツバ面を従来のような平面状に形成せず、曲面としたことに特徴がある。曲面としては、累進面と反対向きに凸になる、円錐面、トーリック面、球面又はシリンダー面や、ドーナツ状のトロイダル面などを用いることができる。
【0018】
すなわち本発明は、その第一の態様によると、累進多焦点レンズの累進面側に、累進面として有効な累進面領域と、累進面としては有効でない非累進面領域とを有し、該非累進面領域が累進面領域の周辺部にツバ面として形成される累進多焦点レンズにおいて、ツバ面を曲面から構成し、累進面領域の遠用参照点の平均面屈折力をDf(ディオプター)、累進面領域と非累進面領域の境界における累進面と非累進面のなす角度をψ(°)とするとき、次の条件式(1)及び(2)を満足することを特徴としている。
(1) Df≦3
(2) STD(ψ)/AVG(ψ)≦0.15
【0019】
さらに次の条件式(3)及び(4)を満足することがより好ましい。
(3) Df≦2
(4) STD(ψ)/AVG(ψ)≦0.1
【0020】
ツバ面を球面の一部として形成する場合には、該球面の凸の方向を累進面の凸の方向と逆向きにする。別言すると、球面の面屈折力をDs(ディオプター)、累進面領域の遠用参照点の平均面屈折力をDf(ディオプター)とするとき、DsとDfを異符号とする。より具体的には、次の条件式(5)、(6)を満足することが好ましい。
(5)Df≦3
(6)Ds≦Df−2
さらに次の条件式(7)及び(8)を満足することがより好ましい。
(7)Df≦2
(8)Ds≦Df−3
【0021】
非累進面領域は、例えばトーリック面またはシリンダー面の一部として形成することができる。このトーリック面またはシリンダー面は、その垂直方向の面屈折力をDv(ディオプター)、水平方向の面屈折力をDh(ディオプター)とするとき、次の条件式(9)を満足することが好ましい。
(9)Dh≦Dv
【0022】
ツバ面をトーリック面またシリンダー面の一部として形成する場合には、該トーリック面またはシリンダー面の凸の方向を上記累進面の凸の方向と逆向きにする。そして、このトーリック面またはシリンダー面は、さらに次の条件式(10)、(11)を満足することが好ましい。
(10)Df≦3
(11)(Dh+Dv)/2≦Df−2
【0023】
ツバ面は、ドーナツ状のトロイダル面の一部として形成することもできる。
ツバ面を円錐面の一部として形成する場合には、該円錐面の頂点の方向を累進面の凸の方向と逆向きにする。具体的には、累進面領域の遠用参照点の平均面屈折力をDf(ディオプター)、円錐面の頂角をΩ(°)とするとき、次の条件式(12)、(13)を満足することが好ましい。
(12)Df≦3
(13)Ω≦170
【0024】
以上の条件式(1)、(5)、(10)、(12)のDf≦3は、本発明は緩いベースカーブの累進多焦点レンズに適用することを意味し、ベースカーブがこの条件式よりきついものは、ツバ幅が元々狭いので、問題外である。
条件式(2)、(6)、(11)、(13)は、ある程度ツバ幅を狭くする効果の期待できる条件であり、これを外れると効果が少なくなる。
条件式(3)、(7)と条件式(4)、(8)は、より緩いベースカーブの累進面にはψをより大きくしないと十分な効果が得られないことを意味する。しかしψを大きくし過ぎると、加工性が急に悪くなり、またプリズム誤差が発生しやすくなるので、これらの条件式に示すように、ψは不必要には大きくしない。
【0026】
【発明の実施例】
以下に本発明の実施例を図面によって説明する。
図1、図2は、本発明の第1実施例を示す図で、図1は従来例1と同一仕様の累進多焦点レンズ50を用いた例で、このレンズの累進面領域57を構成する面の垂直断面60と、水平断面61とを重ねて描いた図で、図25と同様に横方向だけを拡大している。図2は累進多焦点レンズの正面図である。この実施例では、ツバ面58を−3ディオプターの球面の一部としている。ツバ面の垂直断面線62と水平断面線63とは完全に重なり、一点鎖線で表されている。ツバ面の幅は従来例の8.2mmから2.7mmにまで減少できた。
【0027】
図1のψは、従来例で説明したのと同じで、累進面57と、ツバ面58との成す角を表し、括弧内の数字は、図17の角θを示す。
図3は、図1、2に示す累進多焦点レンズのψ−θ線図で、図27に対応する図である。これらの図を比較すると、本発明の実施例では、ψが全体にほぼ10゜大きくなっている(すなわちAVG(ψ) は大きくなった)。一方、STD(ψ) はほぼ同じと考えられる。したがって、変動係数STD(ψ) /AVG(ψ) は、従来例の0.28から0.09と大幅に小さくなった。
このような球面の一部を成すツバ面を加工するには、図4に示すような通常の球面加工用の荒摺り皿67で累進面側形成用型51の端面を加工し、続いて砂掛け・研磨すればよい。
【0028】
ツバ面の幅を狭くするという目的のためには、球面の曲率を累進面の曲率と逆方向に強くすればよいが、過度に曲率を強くすると、ツバ面の加工性が悪くなり、またガスケットと成形型の嵌合ずれによるプリズム誤差が大きくなる。そこで、ツバ面の加工性とプリズム誤差への影響度を考慮し、ツバ面幅は実質的に問題とならない程度まで減少させるにとどめたものが、次の第2実施例である。
【0029】
図5は、本発明の第2実施例による累進多焦点レンズの正面図を示す。累進多焦点レンズとしては、第1実施例と同じ仕様のものを使用した。この実施例では、ツバ面(非累進面領域)ツバ面58を−2ディオプターの球面の一部としている。このようにツバ面の曲率を制限することにより、ツバ面幅を従来の8.2mmから3.4mmのほぼ問題とならない程度にまで減少するとともに、ツバ面の曲率が緩いので、加工し易くなり、しかもプリズム誤差への影響も少なくなった。
【0030】
図6は、本発明の第3実施例を示す図である。この例では、従来例1ほどベースカーブは浅くない。したがって、ツバ面58も−2ディオプターの球面の一部で形成しても、ツバ面幅を2.6mmとさらに狭くすることができる。
【0031】
一般的に累進面の形状は水平断面よりも垂直断面の方が見かけのカーブがきつい。したがって、ツバ面もそれに合わせて水平断面と垂直断面に曲率差を設けておくと、ツバ面幅を狭くできる。
図7、図8は第4実施例を示す図で、ツバ面の水平断面63と垂直断面62に曲率差を設けた実施例である。図7は累進多焦点レンズ50の垂直断面60と水平断面61、及びツバ面の垂直断面62と水平断面63を重ねて描いた図1と同様の図、図8はレンズの正面図である。この実施例では、水平断面63の面屈折力Dhを−2.5ディオプター、垂直断面62の面屈折力Dvを−2ディオプターのトーリック面の一部としたものである。この構成により、ツバ面幅は0.9mmにまで減少できる。このようなトーリック面のツバ面を持った累進面形成用型を加工するのには、トーリックジェネレータでツバ面58の荒摺りをし、続いて砂掛け・研磨すればよい。
【0032】
図9、図10は本発明の第5実施例を示す図である。この実施例では、従来例1ほどベースカーブが浅くないので、ツバ面58をトーリック面にするまでもなく、水平断面63の面屈折力Dhを−0.5ディオプター、垂直断面62の面屈折力Dvを0ディオプターのシリンダー面の一部としたものである。ツバ面幅は1.3mmにまで減少できた。
【0033】
図11、図12は、本発明の第6実施例を示す。この実施例では、ツバ面を頂角が160゜の円錐面の一部としている。円錐の頂点68の方向は、累進面57の凸の方向と逆向きである。ツバ面幅は2.6mmにまで減少できる。円錐の頂角は適当な角度でよいのであるが、170゜程度が限度で、それ以上になると、従来例(180゜)に近づき、効果がなくなる。
【0034】
図13は、ツバ面を円錐面の一部として加工する1例を示す図である。図4に示した荒摺り皿67の代わりに、円錐面皿を用いてもよいが、図13に示すような円筒状、円盤状、あるいはカップ状の砥石69で成形型の端面を研削してもよい。
【0035】
図14のように、鼓状砥石70で加工すれば、ドーナツ型を含むトロイダル面の一部としてツバ面を形成することができ、この場合でもツバ面幅を狭くできるという効果はおなじである。
以上に説明した従来例1,2及び、第1実施例から6に使用した累進多焦点レンズのデータを表1に示す。なお、総てのレンズにおいて、加入屈折力は3.00ディオプター、素材の屈折率は1.6である。
【表1】
【0036】
以上の実施例では、累進面領域57と非累進面領域ツバ面58との境界が明確な場合しか言及していないが、図15に示すように、境界66を研磨などにより、なめらかにしても同様の効果を得られることは明白である。このような場合には、累進面およびツバ面を外挿して得られる交線を境界とし、累進面とツバ面の成す角はこの外挿された累進面及びツバ面に対して適用するものとする。
【0037】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、周辺部に非累進面領域としてツバ面を有する累進多焦点レンズにおいて、累進面のベースカーブが浅い場合でも、ツバ面幅の狭いレンズ及びその成形型を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す図で、累進多焦点レンズの累進面側における水平断面と垂直断面の形状カーブと、ツバ面の形状カーブとを重ねて描いた図である。
【図2】本発明の第1実施例の累進多焦点レンズの正面図である。
【図3】第1実施例の累進面とツバ面とのなす角の変動を示す図である。
【図4】第1実施例のツバ面の形成方法を説明する図である。
【図5】本発明の第2実施例による累進多焦点レンズの正面図である。
【図6】本発明の第3実施例による累進多焦点レンズの正面図である。
【図7】本発明の第4実施例における図1と同様の図である。
【図8】本発明の第4実施例の累進多焦点レンズの正面図である。
【図9】本発明の第5実施例における図1と同様の図である。
【図10】本発明の第5実施例の累進多焦点レンズの正面図である。
【図11】本発明の第6実施例における図1と同様の図である。
【図12】本発明の第6実施例の累進多焦点レンズの正面図である。
【図13】第6実施例のツバ面の形成方法を説明する図である。
【図14】ツバ面がトロイダル面の場合の形成方法を説明する図である。
【図15】(a) は累進面領域と非累進面領域(ツバ面)との境界を滑らかにした実施例の図で、(b) は(a) の○部を拡大した図である。
【図16】従来の一般的な樹脂製レンズの成形方法を説明する図である。
【図17】座標系を説明する図である。
【図18】座標系を説明する図である。
【図19】ツバ面を形成しない場合の累進多焦点レンズ成形用ガスケットの厚さを示す図である。
【図20】従来の平面によるツバ面を付けた累進多焦点レンズの成形方法を説明する図である。
【図21】ツバ面を付けた場合の累進多焦点レンズ成形用ガスケットの厚さを示す図である。
【図22】ツバ面を付けた累進面側成形用型の正面図である。
【図23】従来例1の累進多焦点レンズの正面図である。
【図24】従来例2の累進多焦点レンズの正面図である。
【図25】従来例1の累進多焦点レンズの累進面側における水平断面と垂直断面の形状カーブと、ツバ面の平面とを重ねて描いた図である。
【図26】従来例2の図25と同様の図である。
【図27】従来例1の累進面とツバ面との成す角の変動を示す図である。
【図28】従来例2の累進面とツバ面との成す角の変動を示す図である。
【符号の説明】
50 累進多焦点レンズ
51 成形型
57 累進面領域
58 ツバ面
Claims (13)
- 累進多焦点レンズの累進面側に、累進面として有効な累進面領域と、累進面としては有効でない非累進面領域とを有し、該非累進面領域が累進面領域の周辺部にツバ面として形成される累進多焦点レンズにおいて、上記ツバ面を曲面とし、かつ上記累進面領域の遠用参照点の平均面屈折力をDf(ディオプター)、上記累進面領域と非累進面領域の境界における累進面と非累進面のなす角度をψ(°)とするとき、下記条件式(1)及び(2)を満足することを特徴とする累進多焦点レンズ。
(1) Df≦3
(2) STD(ψ)/AVG(ψ)≦0.15
但し、
STD(ψ):レンズ全周に渡ってのψの標準偏差、
AVG(ψ):レンズ全周に渡ってのψの平均値。 - 請求項1記載の累進多焦点レンズにおいて、さらに、下記条件式(3)及び(4)を満足する累進多焦点レンズ。
(3) Df≦2
(4) STD(ψ)/AVG(ψ)≦0.1 - 累進多焦点レンズの累進面側に、累進面として有効な累進面領域と、累進面としては有効でない非累進面領域とを有し、該非累進面領域が累進面領域の周辺部にツバ面として形成される累進多焦点レンズにおいて、上記ツバ面を球面の一部として形成し、該球面の凸の方向を上記累進面の凸の方向と逆向きにしたことを特徴とする累進多焦点レンズ。
- 請求項3記載の累進多焦点レンズにおいて、上記球面の面屈折力をDs(ディオプター)、上記累進面領域の遠用参照点の平均面屈折力をDf(ディオプター)とするとき、DsとDfは異符号である累進多焦点レンズ。
- 請求項4記載の累進多焦点レンズにおいて、下記条件式(5)、(6)を満足する累進多焦点レンズ。
(5)Df≦3
(6)Ds≦Df−2 - 請求項5記載の累進多焦点レンズにおいて、下記条件式(7)、(8)を満足する累進多焦点レンズ。
(7)Df≦2
(8)Ds≦Df−3 - 累進多焦点レンズの累進面側に、累進面として有効な累進面領域と、累進面としては有効でない非累進面領域とを有し、該非累進面領域が累進面領域の周辺部にツバ面として形成される累進多焦点レンズにおいて、上記ツバ面を曲面とし、かつ上記非累進面領域をトーリック面またはシリンダー面の一部として形成し、このトーリック面またはシリンダー面の垂直方向の面屈折力をDv(ディオプター)、水平方向の面屈折力をDh(ディオプター)とするとき、下記条件式(9)を満足することを特徴とする累進多焦点レンズ。
(9)Dh≦Dv - 累進多焦点レンズの累進面側に、累進面として有効な累進面領域と、累進面としては有効でない非累進面領域とを有し、該非累進面領域が累進面領域の周辺部にツバ面として形成される累進多焦点レンズにおいて、上記ツバ面をトーリック面の一部として形成し、該トーリック面の凸の方向を上記累進面の凸の方向と逆向きにしたことを特徴とする累進多焦点レンズ。
- 累進多焦点レンズの累進面側に、累進面として有効な累進面領域と、累進面としては有効でない非累進面領域とを有し、該非累進面領域が累進面領域の周辺部にツバ面として形成される累進多焦点レンズにおいて、上記ツバ面をシリンダー面の一部として形成し、該シリンダー面の凸の方向を上記累進面の凸の方向と逆向きにしたことを特徴とする累進多焦点レンズ。
- 請求項7ないし9のいずれか1項記載の累進多焦点レンズにおいて、さらに、下記条件式(10)、(11)を満足する累進多焦点レンズ。
(10)Df≦3
(11)(Dh+Dv)/2≦Df−2 - 累進多焦点レンズの累進面側に、累進面として有効な累進面領域と、累進面としては有効でない非累進面領域とを有し、該非累進面領域が累進面領域の周辺部にツバ面として形成される累進多焦点レンズにおいて、上記ツバ面をドーナツ状のトロイダル面の一部として形成したことを特徴とする累進多焦点レンズ。
- 累進多焦点レンズの累進面側に、累進面として有効な累進面領域と、累進面としては有効でない非累進面領域とを有し、該非累進面領域が累進面領域の周辺部にツバ面として形成される累進多焦点レンズにおいて、上記ツバ面を円錐面の一部として形成し、該円錐面の頂点の方向を上記累進面の凸の方向と逆向きにしたことを特徴とする累進多焦点レンズ。
- 請求項12記載の累進多焦点レンズにおいて、上記累進面領域の遠用参照点の平均面屈折力をDf(ディオプター)、上記円錐面の頂角をΩ(°)とするとき、下記条件式(12)、(13)を満足する累進多焦点レンズ。
(12)Df≦3
(13)Ω≦170
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