JP3619122B2 - 穴付素子の焼成方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リングバリスタ、サーミスタ、半導体素子、圧電素子等の各種穴付電子部品を作製するための穴付素子の焼成方法及び装置並びに穴付素子の支持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術として知られていることは、一般的に圧倒的数量が多い穴のない素子(例えば、誘電体の円板素子の両面に形成した電極にリード線を固着し樹脂等で被覆するとリード線付コンデンサになる円板素子)と同じ工程で焼成することであり、底のある匣に円板素子を縦に並べて配置し、この匣を焼成炉に通して焼成することである。但し、穴付素子の現状工程はいくつかの工程で異なっている。
【0003】
実際的に穴付素子の代表であるリングバリスタ用穴付素子を焼成する現状工程を図11で説明する。バインダを付加した誘電体の粉末をロータリープレスで成型する成型工程#11は穴の有無に関係なく同じである。ロータリープレスから排出される粉末成型体である穴付素子は容器にランダムに集積する。この穴付素子は、リングバリスタ用穴付素子であれば外形が円形で、同心円の貫通穴を厚み方向に有しているのが一般的である。
【0004】
匣詰め工程#12から穴付素子の取り扱い方が相違する。図12は匣詰め治具50を斜視図で示す。匣詰め治具(手作業での整列板)50は薄いステンレス鋼板を成型するあるいは樹脂板とか木板から削り出すことで製作される。ランダムに集積した穴付素子1を匣詰め治具50に載せて揺り動かして溝に整列させる。治具50に整列した穴付素子1に対し、手に持った差し棒は穴付素子1の貫通穴2に通して一列に取り出すために用いる。差し棒は竹製とか樹脂製の棒である。
【0005】
図13及び図14に示すように、使用する匣51は従来の円板素子用の匣と同様であり、底を備える容器である。この匣51に、差し棒で治具50から取り出した穴付素子1を載置し、差し棒を抜き取ると匣に貫通穴2を持つ穴付素子1が整列して収納されることになる。図示の匣51は平面底であり穴付素子の整列が乱れる。匣の底が治具と同じ半円形又はV溝を並列に複数有するようにすると、穴付素子の整列が乱れにくくなる。
【0006】
なお、図15のように、平面底の匣52に外径が比較的に大きな穴付素子1を重ねて配置する場合もある。
【0007】
焼成工程#13では、穴付素子1を整列した匣51を焼成炉に通して焼成する。冷却した後に匣あけ工程#14で匣から焼成後の穴付素子を取り出してバラ状態にする。その後の外観検査工程#15はバラ状態から都度整列して平面や側面の外観を目視検査し、全部を対象にしないがアルコールの浸み込みで割れを見つけて選別する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図11の従来の工程では、成型工程#11後の穴付素子の取り出しから匣詰めに至るまでの過程に課題がある。ロータリープレスから排出される穴付素子は容器にランダムに集積する。このため、従来は自動的に素子を整列して匣詰めすることが難しく匣詰め治具を用いるが、その際に人手が掛かり穴付素子に損傷発生を与える恐れもある。このような人手による匣詰め作業が素子の欠けや割れを生じる原因ともなっている。
【0009】
焼成工程#13においても欠けや割れが生じ易い問題を抱えている。すなわち、図13、図14のように匣51の底に外周側を載置して穴付素子1を並べて焼成炉に通すと、焼成時に穴付素子同士が接触して付着したまま焼成され、後で穴付素子を個々にばらすときに欠けや割れを生じる原因になる。
【0010】
外径が比較的に大きな穴付素子では図15のように異なる匣詰め方法とする場合がある。外周側で載置すると姿勢を保ち難い穴付素子を匣52の底に重ねて載置する詰め方であるが、この重ね焼きとでも言うことができる詰め方は焼成時に付着が生じやすく、後で穴付素子を個々にばらすときに欠けや割れを生じ易い。また、重ねた状態で上下に接する穴付素子の位置が相互にずれると焼成時に反りが発生する原因になる。このように重ね焼きにも問題が生じる。
【0011】
匣から穴付素子を取り出す匣あけ工程#14から以降にも大きな課題がある。匣あけしてバラ状態にしてから、後工程で再び整列させたりすることが欠けや割れの発生を助長する。欠けや割れが発生すると、そのために外観を検査し不良を排除する余計な手間が生じる。また一般的に、工程の効率化を図るためには取り扱うワークを整列してから後に、一連の加工が完了するまでバラ状態にしないことが基本である。そのために穴付素子を焼成炉に通し焼成するときに相互に付着させないことが求められる。
【0012】
本発明の第1の目的は、上記の点に鑑み、製造過程での欠けや割れの発生を大幅に低減でき、外観を検査して不良を排除する等の工程を必要とせず、品質を安定化しかつコストを低減でき納期を短縮可能な穴付素子の焼成方法及び装置を提供するにある。
【0014】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願請求項1の発明に係る穴付素子の焼成方法は、厚み方向に貫通穴を有する穴付素子を貫通可能な耐火物の棒と、前記棒の両端を支持する両側の辺を有しかつ底を有しない方形枠状匣と、焼成手段とを用い、
焼成前の穴付素子の貫通穴に前記棒を貫通させ、前記焼成前の穴付素子を前記棒の中間部にて複数個並列に保持した状態で、前記棒を、前記方形枠状匣の両側の辺で複数個並列にほぼ水平にして支持するとともに当該両側の辺が有する凹部で回転しないように位置決めして、前記方形枠状匣を複数段に重ねた状態で前記焼成手段を通過させ、前記棒が保持する前記穴付素子を前記焼成手段で焼成することを特徴としている。
本願請求項2の発明に係る穴付素子の焼成方法は、請求項1において、前記棒を支持板に着脱自在に立設しておいて、焼成前の穴付素子の貫通穴が前記棒に入り込むように落下させて集積した後、穴付素子が集積した前記棒を横向きとして前記方形枠状匣の両側の辺で支持させることを特徴としている。
【0016】
本願請求項3の発明に係る穴付素子の焼成装置は、厚み方向に貫通穴を有する穴付素子と、
前記穴付素子の貫通穴を貫通して保持する耐火物の棒と、
前記棒の両端を支持する両側の辺を有しかつ当該両側の辺が前記棒の両端を位置決めする凹部を有していて、複数段に重ねられる底を有しない方形枠状匣と、
焼成手段とを備え、
前記焼成手段は一端に入口の開口と、他端に出口の開口とを有し、前記穴付素子を中間部にて複数個並列に保持した前記棒を、前記方形枠状匣の両側の辺でほぼ水平にして複数個並列に支持するとともに前記凹部で回転しないように位置決めした状態にて、前記方形枠状匣を複数段に重ねた状態で前記入口の開口から前記出口の開口に向かい移動させ、前記焼成手段は前記棒が保持する前記穴付素子を焼成する構成であることを特徴としている。
【0017】
本願請求項4の発明に係る穴付素子の焼成装置は、請求項3において、前記耐火物の棒は直線状であり、当該棒の材質が、アルミナあるいはムライトあるいはマグネシアあるいはジルコニアのいずれかであることを特徴としている。
【0018】
本願請求項5の発明に係る穴付素子の焼成装置は、請求項3において、前記耐火物の棒は直線状であり、当該棒が、アルミナあるいはムライトの棒本体の表面にジルコニアを溶射して付着させてなることを特徴としている。
【0019】
本願請求項6の発明に係る穴付素子の焼成装置は、請求項3,4又は5において、前記耐火物の棒の少なくとも一端に先細となるようにテーパーが形成されていることを特徴としている。
【0023】
本願請求項9の発明は、請求項8において、前記匣は底を有しない方形枠状であり、前記両側の辺は前記棒の両端を位置決めする凹部を有していることを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る穴付素子の焼成方法及び装置並びに穴付素子の支持装置の実施の形態を図面に従って説明する。
【0025】
図1は本発明の実施の形態であって、穴付素子の代表であるリングバリスタ用穴付素子を焼成する工程を示し、図2は成型工程で形成した穴付素子を棒に差して行く棒差し機構を示し、図3乃至図5は棒差し状態の穴付素子を焼成するために用いる匣の1例、図6乃至図8は匣の他の例、図9は焼成手段としての焼成炉に穴付素子を保持した匣を送り込む搬送機構を示す。図10は実施の形態の効果を示す説明図である。
【0026】
成型工程#1では、焼成前のリングバリスタ用穴付素子を作製するために、バインダを付加した誘電体の粉末をロータリープレスで成型する。この工程自体は従来と同様である。
【0027】
棒差し工程#2では、成型工程#1のロータリープレスから排出される粉末成型体である穴付素子1を、支持板7に立設された耐火物の棒5に次々と差して行く。
【0028】
穴付素子1でリングバリスタ用素子は外周も厚み方向の貫通穴も円形をしている。耐火物の棒5も断面円形であり、穴付素子1の貫通穴に充分な余裕を保ち貫通する外径とし、少なくとも一端(上端)に先細テーパーとしての円錐端6が形成されている。この円錐端6は、穴付素子1の貫通穴に貫通するときに都合がよい形状としたものである。そして、棒差し工程#2で、複数の等間隔な穴を備えた支持板7に該棒5の他端を保持し、縦にしておいて、穴付素子1が成型工程#1のロータリープレスから一定の姿勢で排出される位置に所定の棒5を位置させ、排出された穴付素子1の貫通穴が該棒5の円錐端6で容易に棒5に入り込むようにして集積させる。
【0029】
所定の位置の棒5が穴付素子で一杯になると、棒5を保持する支持板7を所定の間隔だけ横に移動して次の棒を穴付素子が排出される位置にする。この動作を繰り返して、次々に新規な棒にロータリープレスから排出される穴付素子が所定の枚数まで集積して保持されるようにする。
【0030】
なお、図には示さないが棒5の両端に円錐端6を備える形状にすると、一方の円錐端は前記支持板7に穴を設けて棒5を差し保持しても作業が容易にできるし、棒5を前記支持板7に差す作業の自動化も可能である。さらに、棒5の円錐端6が両端で同一の形状をしていることは、棒のどちらの端も同様に使用できることになり方向性が無いことは作業の容易さと自動化のし易さになる。
【0031】
図2は前記棒差し工程#2を実行する棒差し機構(棒への移し替え機構)の具体例を示す。成型工程#1のロータリープレスから排出された穴付素子1はベルトコンベア10のベルト11上に平面側で載り、奥から手前に移動してくる。穴付素子1は移動の間に外周側がガイドされ、かつガイド幅が徐々に狭く案内される、そのガイドの終端に矢印Pのようにベルト走行方向に直交して出入りする往復部材12の下面側凹溝13が続く。図示されないがベルト11の手前側にはストッパがあり穴付素子1のそれ以上の移動を阻止する。その位置で矢印Pの方向に往復部材12が移動すると1個の穴付素子1は左側の上下部材15に移載される。上下部材15に載置された穴付素子1は真空吸引経路16の左端が真空吸引されることで吸着保持される。この時点で前記往復部材12は上昇してから元の位置に戻ることになる。上下部材15は紙面に直交する載置面が凹溝17を有するU字形状をしており、この凹溝17を跨ぐように穴付素子1が載置され吸着されている。凹溝幅の中心に前記棒5の中心が位置しており、上下部材15が下降する場合、穴付素子1の貫通穴2の中心と棒5の中心が一致する位置関係にしてあり、穴付素子1の貫通穴2は棒5に差し込まれることになる。上下部材15は所定の位置まで下降すると真空吸引をやめて左方向に横移動してから上昇して元の位置に戻ることになる。穴付素子1はさらに落下して先に棒5に差された穴付素子の上に載置する。なお、棒5は支持板7に着脱自在に保持されている。
【0032】
棒差し工程#2の終了後、所定の枚数の穴付素子1を保持した棒5は縦から横に姿勢を変える。横としてはほぼ水平にすると穴付素子1は貫通穴で棒5に保持された安定した姿勢を保つことになる。匣詰め工程#3では、穴付素子1を棒5の中間部で略水平に保持した状態で、棒5を底面のない方形枠状の匣20の対向する一対の辺に各々両端を支持される状態として平行に並べて匣詰めしていく。
【0033】
図3乃至図5は本実施の形態で使用する匣の1例(大径の穴付素子用)であり、図6乃至図8は匣の他の例(小径の穴付素子用)である。これらの例において、長さと幅を示す寸法はどちらも同じであるが、厚み方向の寸法が異なる。
【0034】
図3乃至図5の大径の穴付素子用匣20−1は底面のない方形枠状の耐火物(耐火物の材質は従来と同様)であり、対向する2辺で穴付素子1を保持する棒5の両端を支えるようになっている(棒支持手段として機能する)。棒両端を支持する前記2辺には、各棒5が相互にほぼ平行で当該2辺に直交した位置を保ち、さらに棒5が回転しないで所定位置を保つよう複数の位置決め凹部(V溝等)21が等間隔に形成されている。この複数の位置決め凹部21を形成した箇所の厚み方向の高さは、匣全体の厚みのほぼ中間位置にし、貫通穴2を棒5が貫通することで棒5に支持される穴付素子1が、匣の上下方向のほぼ中間位置になるようにしている。また匣の上面側には重ねて上に位置する匣の下面側に係合し横ずれを防ぐ突起部22が備わり、匣の下面側には重ねて下に位置する匣の上面側突起部に係合する凹部23が備わる。
【0035】
図6乃至図8の小径の穴付素子用匣20−2では小径素子を効率的に詰めることができるように、位置決め凹部(V溝等)21は等間隔であるが狭い間隔で多数形成され、また匣全体の厚みも小さくされている。その他の構成は図3乃至図5の大径の穴付素子用匣と同様であり、同一又は相当部分に同一符号を付して説明を省略する。この匣20−2の場合、棒5が保持する穴付素子1の外径は複数種類になるため、隣り合う棒が保持する穴付素子が相互に接触しない位置となるように、棒5を載置する位置決め凹部21を所定の間隔で選択して棒5を載置する。
【0036】
従来の匣には容器としての構造が必要であり、焼成するための素子を載置する底が備わる。ここに例示した新規な匣は辺だけの構造であり底を有しない特徴がある。素子を載置することに変えて棒と辺で支持するからである。この匣に底がない構成による効果は後述する。
【0037】
焼成工程#4で用いる焼成手段としての焼成炉はトンネル形状であり、一端に入口の開口と、他端に出口の開口とを有している。そして、図9のように前記匣詰め工程#3で匣詰めされた匣20を多段に重ねて台板25に載せてトンネル形状の焼成炉30にプッシャー35で次々と押し込む。台板25の下面は耐火物の搬送面となっており、台板同士が押せ押せ状態で焼成炉内の焼成穴を通過し、匣詰めされた穴付素子は棒に保持された状態で焼成される(吊し焼成される)。
【0038】
前述のように、本実施の形態では匣20に底が無い。この匣20に底がない構成は複数の匣を重ねたときに最も効果がある。まず、図10に示す如く焼成炉の断面広さから通せる大きさに制限があり、例えば実際に最大高さで120mmまで通せる焼成炉の場合、図10(A)のように、従来(現状)は上端に12mmの蓋をして匣を3段に積める迄であったが、新規な匣20は上端に12mmの蓋をして5段に積むことができる。さらに、5段の内の2段を厚みの高い匣にすることも可能であり、焼成条件が同一であれば形状の大きな穴付素子を同時に焼成することもできる。また、最大高さで135mmまで通せる焼成炉の場合を同図(B)に示し、従来(現状)は匣を4段に積める迄であったが、新規な匣20は5〜6段に積むことができる。
【0039】
また、図10の如く台板25の上に複数の匣20を積んで上端に蓋をしても、個々の匣20には底がないため内部で気体が容易に流動可能であり、素子に主に気体を介して熱が伝えられる雰囲気炉の構成において均一に熱伝導する効果がある。素子に気体を反応させる構成においては気体の循環が容易な効果があり、素子が反応して出す気体を排出する構成においても効果的である。いずれも焼成工程を設定する自由度が増し、より適切な設定が容易に可能で、均一焼成が可能となる効果が得られる。
【0040】
焼成工程#4の後、匣20から穴付素子1を取り出す匣あけ工程#5では、棒5をほぼ水平に保ちながら匣20から取り外す。棒5には焼成された穴付素子1が保持されているが、焼成時に隣り合う穴付素子で圧迫し合うような力が働かないため、棒5に保持された穴付素子1は隣り合うもの同士で付着することがなく、バラ状態にするための作業を必要としない。従って、欠けや割れの発生もほとんどなく、この段階で外観を検査する必要が無い。焼成された穴付素子1は棒5に保持したままで次の工程に移送できる。穴付素子1は棒5に整列したままであり次の工程で自動化が容易にできる。
【0041】
穴付素子1の貫通穴2を貫通して穴付素子1を保持する棒5はアルミナ(主材質Al2O3)あるいはムライト(主材質3Al2O3 2SiO2)あるいはマグネシア(主材質MgO)あるいはジルコニア(主材質ZrO2)が考慮される。焼成をテストしてみるといずれも棒自身の耐火では問題がない。しかし、穴付素子の例に掲げるバリスタ用素子との反応で相違が見られる。アルミナは反応が見られこのままでは使用に適さない。ムライトは反応が大であり使用に適さない。マグネシアとジルコニアは反応がないので使用することができる。但し、コストの方から見るとアルミナとムライトはコストが安く、マグネシアとジルコニアはコストが高くて安易に生産に使用することができない。そこで、アルミナあるいはムライトの棒本体にジルコニア(主材質ZrO2)を溶射して表面に成膜する。表面にジルコニアを溶射したアルミナあるいはムライトの棒はほとんど反応することがなく、これらの棒は実用的に使用することができる。
【0042】
なお、穴付素子の材質に応じて、耐火物の棒本体の表面にジルコニア以外の非反応性の耐火材料を溶射し、あるいは表面処理により形成するようにしてもよい。
【0043】
この実施の形態によれば、次の通りの効果を得ることができる。
【0044】
(1) 焼成前の穴付素子1の貫通穴2に耐火物の棒5を貫通させ、前記焼成前の穴付素子1を棒5で保持しかつ棒5を棒支持手段としての匣20で支持しながら焼成手段としての焼成炉30を通過させ、棒5が保持する穴付素子1を焼成炉30で焼成するため、焼成時に隣り合う穴付素子1で圧迫し合うような力が働かないため、棒5に保持された穴付素子1は隣り合うもの同士で付着することがない。このため、バラ状態にするための作業を必要としない。従って、欠けや割れの発生もほとんどなく、この段階で外観を検査する必要が無い。焼成された穴付素子1は棒5に保持したままで次の工程に移送でき、穴付素子1は棒5で整列保持されたままであり次の工程での自動化が容易にできる。
【0045】
(2) 厚み方向に貫通穴2を有する穴付素子1を貫通可能な耐火物の棒5と、棒5の両端を支持する両側の辺を有する匣20とで、棒5を複数個並列に水平支持可能な穴付素子の支持装置を構成しており、穴付素子1に損傷を与えないで多数個の素子を支持可能である。また、前記匣20は底を有しない方形枠状とすることで、焼成を効率的かつ均一に実行でき、かつ焼成工程#4を設定する自由度が増し、素子材質にあわせてより適切な設定が容易に可能な効果が得られる。さらに、匣20の両側の辺は棒5の両端を位置決めする凹部21を有しているため、各棒5を安定的に位置決め支持できる。
【0046】
(3) 耐火物の棒5の少なくとも一端に先細テーパーとなる円錐端6が形成されているため、棒差し工程#2を実行する際に穴付素子1の貫通穴2を円滑に棒5にはめることができる。前記耐火物の棒5の材質が、アルミナあるいはムライトあるいはマグネシアあるいはジルコニアであれば、焼成炉30の温度に耐え得る。また、穴付素子1がリングバリスタ用素子の場合、マグネシアあるいはジルコニアの棒とするか、あるいはアルミナ又はムライトの棒本体の表面にジルコニアを溶射して付着させたものを使用することで、素子との間の反応を防止できる。
【0047】
なお、図2に棒差し工程#2を実行する棒差し機構(棒への移し替え機構)の具体例を示したが、このような機構はこの例に限らずいろいろの構成が可能であり、焼成炉までも通して使用する棒に穴付素子を保持させて、途中で取り外したりしないで焼成済みの穴付素子にする本発明の基本的な構成に変わりはない。
【0048】
本実施の形態はリングバリスタ用穴付素子を主な例にして説明したが、プレスで粉末成型体を成型して焼成炉で焼成する素子ならば適用できる。誘電体素子に限らず磁性体素子、半導体素子、圧電体素子でも適用できる発明である。
【0049】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、自動化がし易く、焼成時に穴付素子は自身の貫通穴で棒に吊り下がっている状態とでも言える姿であり、隣接する穴付素子同士が載っかったり寄りかかったりする状態が基本的に無く、そのために焼成時に穴付素子同士が付着する現象が極端に少なく、棒に保持させてから焼成が終了するまで欠けや割れの発生を極端に減らすことができ、外観を検査して不良を排除する等の工程を必要とせず、品質が安定しかつコストを低減でき納期を短縮する効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を説明する工程図である。
【図2】実施の形態における棒差し工程を実行する棒差し機構の具体例を示す側断面図である。
【図3】実施の形態で使用する匣の1例を示す平面図である。
【図4】同正断面図である。
【図5】同側断面図である。
【図6】実施の形態で使用する匣の他の例を示す平面図である。
【図7】同正断面図である。
【図8】同側断面図である。
【図9】実施の形態における焼成工程を説明する側面図である。
【図10】実施の形態の効果を示す説明図である。
【図11】従来の穴付素子の製造工程を示す説明図である。
【図12】従来の手作業で穴付素子を整列させる匣詰め治具を示す斜視図である。
【図13】従来工程で用いる匣の1例を示す正断面図である。
【図14】同側断面図である。
【図15】従来工程で用いる匣の他の例を示す正断面図である。
【符号の説明】
1 穴付素子
2 貫通穴
5 棒
6 円錐端
10 ベルトコンベア
11 ベルト
12 往復部材
13 下面側凹溝
15 上下部材
17 凹溝
20,20−1,20−2 匣
21 位置決め凹部
22 突起部
23 凹部
25 台板
30 焼成炉
35 プッシャー
Claims (6)
- 厚み方向に貫通穴を有する穴付素子を貫通可能な耐火物の棒と、前記棒の両端を支持する両側の辺を有しかつ底を有しない方形枠状匣と、焼成手段とを用い、
焼成前の穴付素子の貫通穴に前記棒を貫通させ、前記焼成前の穴付素子を前記棒の中間部にて複数個並列に保持した状態で、前記棒を、前記方形枠状匣の両側の辺で複数個並列にほぼ水平にして支持するとともに当該両側の辺が有する凹部で回転しないように位置決めして、前記方形枠状匣を複数段に重ねた状態で前記焼成手段を通過させ、前記棒が保持する前記穴付素子を前記焼成手段で焼成することを特徴とする穴付素子の焼成方法。 - 前記棒を支持板に着脱自在に立設しておいて、焼成前の穴付素子の貫通穴が前記棒に入り込むように落下させて集積した後、穴付素子が集積した前記棒を横向きとして前記方形枠状匣の両側の辺で支持させる請求項1記載の穴付素子の焼成方法。
- 厚み方向に貫通穴を有する穴付素子と、
前記穴付素子の貫通穴を貫通して保持する耐火物の棒と、
前記棒の両端を支持する両側の辺を有しかつ当該両側の辺が前記棒の両端を位置決めする凹部を有していて、複数段に重ねられる底を有しない方形枠状匣と、
焼成手段とを備え、
前記焼成手段は一端に入口の開口と、他端に出口の開口とを有し、前記穴付素子を中間部にて複数個並列に保持した前記棒を、前記方形枠状匣の両側の辺でほぼ水平にして複数個並列に支持するとともに前記凹部で回転しないように位置決めした状態にて、前記方形枠状匣を複数段に重ねた状態で前記入口の開口から前記出口の開口に向かい移動させ、前記焼成手段は前記棒が保持する前記穴付素子を焼成する構成であることを特徴とする穴付素子の焼成装置。 - 前記耐火物の棒は直線状であり、当該棒の材質が、アルミナあるいはムライトあるいはマグネシアあるいはジルコニアのいずれかである請求項3記載の穴付素子の焼成装置。
- 前記耐火物の棒は直線状であり、当該棒が、アルミナあるいはムライトの棒本体の表面にジルコニアを溶射して付着させてなる請求項3記載の穴付素子の焼成装置。
- 前記耐火物の棒の少なくとも一端に先細となるようにテーパーが形成されている請求項3,4又は5記載の穴付素子の焼成装置。
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JP2000200617A Expired - Lifetime JP3619122B2 (ja) | 2000-07-03 | 2000-07-03 | 穴付素子の焼成方法及び装置 |
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