JP3619001B2 - アルミニウムプレコートフィン材およびその製造方法 - Google Patents

アルミニウムプレコートフィン材およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はルームエアコン用熱交換器用プレコートフィン材に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗料の塗装性及び親水性向上を目的とし、種々の界面活性剤等の親水性向上物質の塗膜中への添加あるいは塗膜最表面への付与が提案されている。
1)特開平7−195032
セルロースポリマーとポリアルキレンオキサイドを70%以上含有し、その他成分としてアクリル樹脂、樹脂架橋剤および界面活性剤を含む水溶性樹脂混合物に関して、親水性向上物質として脂肪族スルホン酸塩、アルコール硫酸エステル、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加リン酸エステル塩の付加が上げられている。
2)特開平6−322552
カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩および/またはカリウム塩と、カルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩と、N−メチロールアクリルアミドと、ポリアクリル酸と、ポリエチレンオキサイドと、必要に応じてジルコニウム化合物を含有する親水性表面処理剤に関して、添加する界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤が好ましく、具体的にはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸系界面活性剤が上げられている。
3)特開平7−41696
親水性フィン用塗料組成物に関してノニオン型界面活性剤、具体的にはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリメチロールプロパンアルキル脂肪酸ジエステル等が上げられている。
4)特開平7−47329
親水性基剤を含む塗料組成物に関して、アルキル硫酸エステル、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル等の添加が示されている。
5)特開平6−39347
親水性潤滑剤としてポリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、プルロニック型ポリアルキレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエステル、多価アルコールモノアルキルエステルエチレンオキサイド付加物、アルキロールアミド型活性剤、アルキルホスホネート、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステルから選ばれた潤滑剤を塗布するとの技術が開示された。
【0003】
しかし、これらの技術を用いたプレコートフィン材では親水性は確かに向上するものの、熱交換器運転時にフィン表面に結露した水がドレインパン中に流下し、最も一般的に用いられているABS樹脂製ドレインパンに接触した際、クラックあるいは破断を引き起こすという不具合が生じることが判明した。
【0004】
親水性基剤を含む水溶性塗料には、通常、下地材との濡れ性向上、あるいは塗料の分散性向上を目的として界面活性剤が添加される。
エアコンを冷房運転するとフィン表面に空気中の水分が結露し、凝縮水(ドレイン水)としてドレインパンに落下する。この時、ドレイン水中には基剤樹脂の硬化反応には携わらずにフィン表面に浮き出ていた界面活性剤が溶解している。かかるドレイン水とABS、PS等の樹脂製ドレインパンが接触していると樹脂が劣化し、クラック及び破断を生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述したような樹脂製ドレインパンを劣化させるような悪影響を有さず、しかも潤滑性、親水性を阻害しないあるいは向上させる作用を持った界面活性剤を添加した塗料による塗膜を表面に設けるか、あるいは、ひとたびこの作用を持たない界面活性剤を添加した塗料による塗膜を表面に設けた場合にはそれを洗浄してからこの作用を持つ界面活性剤を塗布することによって、ドレインパンへの悪影響が無く、塗膜が均一で、高い潤滑性、親水性を有するアルミニウム材料を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
鋭意研究の結果、原因の詳細については不明であるが、ドレイン水中の界面活性剤成分の中で、特定の物質、特に分子断面積が小さな物質がABS、PS等の樹脂製ドレインパンの劣化を促進し、立体障害の無い状態で、最も分子断面積が小さくなるような幾何学的構造をとった時の分子断面積が20平方オングストローム以上である分子は劣化を促進しないことを見出した。これはおそらく、分子断面積が小さい物質はABS樹脂中に容易に侵入するのに対し、分子断面積が20平方オングストローム以上の物質は侵入しにくいためと推定される。
【0007】
そこで、本願発明では、請求項1に記載した通り、立体障害の無い状態で、最も分子断面積が小さくなるような幾何学的構造をとった時の分子断面積が20平方オングストローム以上である潤滑性、親水性を兼ね備えた界面活性剤がフィン表面上に0.05g/m以上、0.6g/m以下の量で存在するようにした。
具体的な、達成方法は以下の2つある。
(1)この要件を満たす界面活性剤を塗料に混ぜて塗装・乾燥あるいは焼き付けする方法(請求項2とその従属項)と、
(2)この要件を満たさない界面活性剤を塗料に混ぜて塗装・乾燥あるいは焼き付けしたあと、表面の界面活性剤を除去せしめた後、同幾何学的分子断面積が20平方オングストローム以上の親水性・潤滑性を兼ね備えた界面活性剤を塗布・乾燥し直す方法(請求項3とその従属項)である。
【0008】
すなわち、請求項2は、
立体障害の無い状態で、最も分子断面積が小さくなるような幾何学的構造をとった時の分子断面積が20平方オングストローム以上である潤滑性、親水性を兼ね備えた界面活性剤を親水性基剤を含む塗料に添加し、焼き付けあるいは乾燥により塗膜を得た際に、該界面活性剤がフィン表面上に0.05g/m以上、0.6g/m以下の量で存在するようにしたことを特徴とする樹脂製ドレインパンを有する熱交換器用アルミニウムプレコートフィン材の製造方法 であり、
【0009】
請求項3は、
あらかじめアルミニウム材料の上に有機系あるいは無機系あるいは有機・無機複合皮膜を設け、さらに皮膜上に存在する立体障害の無い状態で、最も分子断面積が小さくなるような幾何学的構造をとった時の分子断面積が18平方オングストローム未満である界面活性剤を除去せしめた後、同幾何学的分子断面積が20平方オングストローム以上の親水性・潤滑性を兼ね備えた界面活性剤を皮膜上に0.05g/m以上、0.6g/m以下の量で存在するようにしたことを特徴とする樹脂製ドレインパンを有する熱交換器用アルミニウムプレコートフィン材の製造方法 である。
【0010】
また、請求項4,5では用いる界面活性剤について
該界面活性剤が、C数で2個以上の測鎖を有し、主鎖のC数が4個以上のジアルキルスルホコハク酸塩あるいはジアルキル硫酸エステルの1種または2種以上の混合物である と規定し、
【0011】
そして、請求項6では、請求項2に用いる親水性基剤を含む塗料と界面活性剤の比率を、
立体障害の無い状態で、最も分子断面積が小さくなるような幾何学的構造をとった時の分子断面積が20平方オングストローム以上である界面活性剤を親水性基剤を含む塗料に塗料固形分100重量部に対し1〜200重量部添加した塗料を用いる と規定する。
【0012】
本発明におけるアルミニウム合金に特に制限はないが、JISで規定される1050、1100、1200等の純Al系、純Alに0.2〜0.4%にMnを添加した材料等が好適に用いられる。
本発明の親水性塗膜を設ける前に、耐食性下地処理を施し、耐食性皮膜をあらかじめ設けておいてもよい。具体的にはスプレー処理、浸漬処理等によるリン酸クロメート処理、クロム酸クロメート処理、リン酸ジルコニウム処理等の化成処理やロールコーター等の塗装による塗布型クロメート処理、塗布型ジルコニウム処理等の塗布型無機皮膜処理、同じくロールコーター等の塗装による耐食性有機皮膜を設ければよい。
【0013】
本発明の親水性塗膜の基剤は親水性を有するものであれば、特に制限はないが、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂、アクリルアミド、アクリル酸あるいはアクリルエステルといったアクリル系樹脂等が適しており、これらの2種以上の混合物、共重合体であってもよい。
これらの基剤樹脂は自己架橋型のものであってもよく、必要に応じヘキサブチロールメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン等のメラミン化合物、エポキシ基を有する化合物、ブチロール基を付加させた尿素あるいはイソシアナート基を有する化合物といった硬化剤が添加されていてもよい。
さらには水ガラスあるいはコロイダルシリカ等を主体とする無機系塗料であってもよく、水ガラス、コロイダルシリカ等の無機物とアクリル、ポリビニルアルコール等の樹脂との混合物であってもよい。またジルコニウム酸等の金属架橋剤が添加されていてもよい。
【0014】
本発明請求項2で親水性基剤を含む塗料に混ぜて用いる界面活性剤は、立体障害の無い状態で、最も分子断面積が小さくなるような幾何学的構造をとった時、分子断面積が20平方オングストローム以上の界面活性剤の内、塗料の塗装性を損なわないもしくは向上させ、さらに塗料を塗装・乾燥あるいは焼き付けして得た塗膜の親水性を損なうことの無いあるいは向上させうる物質である。
具体的には、C数で2個以上の側鎖を有し、主鎖のC数が4個以上のジアルキルスルホコハク酸塩あるいはジアルキル硫酸エステルで、さらに具体的にはジ・2−エチルヘキシル硫酸エステル、ジ・1−プロピルブチルスルホコハク酸カリウム、ジ・1−ブチルアミルスルホコハク酸カリウム、ジ・2−エチルヘキシルスルホコハク酸カリウム、ジ・1−メチル−4−エチルヘキシルスルホコハク酸カリウム、ジ・1−メチル−4−エチルオクチルスルホコハク酸カリウム、ジ・1−プロピルブチル硫酸エステル、ジ・1−ブチルアミル硫酸エステル、ジ・1−メチル−4−エチルヘキシル硫酸エステル、ジ・1−メチル−4−エチルオクチル硫酸エステル等があげられる。さらには上記2種以上の混合物であってもよい。
【0015】
また、ここで言う「立体障害の無い状態で、最も分子断面積が小さくなるような幾何学的構造をとった時の分子断面積」とは、対象分子を構成する原子が斥力、引力のバランスを保ち、重なることのない位置関係で自由な構造をとった時、とりうる全ての構造を上下左右360°のあらゆる方向から観察してして最小となる投影面積であり、分子断面積の測定には、分子内の結合に応じた原子間距離と原子半径を持つ分子模型を作製し、実測するのが簡便である。
この界面活性剤の塗料への添加量は、塗膜の成膜性、密着性といった性能を損なわない範囲であれば特に制限しないが、塗料の基剤樹脂固形分100重量部に対し、1〜200重量部、好ましくは3〜100重量部の範囲がよい。1重量部未満では、塗料の塗装性を向上せず、塗装ムラ、ハジキ等の欠陥を生成しやすく、200重量部を越えると、塗膜の硬化不足を来すため塗膜が剥げやすくなったり、塗膜と下地との界面に析出し、塗膜の密着性低下を生じたり、かえって塗膜均一性が低下したり、塗膜表面に浮きでる量が過多になり、塗膜表面がヌルヌルするなどの不具合を生じる。塗膜上の該界面活性剤の量は0.05g/m以上、0.6g/m以下、好ましくは0.1g/m以上、0.5g/m以下である。0.05g/m未満では潤滑性、親水性の向上効果が得られず、0. 6g/mを越えると塗膜表面がヌルヌルするなどの不具合を生じる。
界面活性剤を水溶性塗料に添加するにあたっては塗料との溶解性を高める目的で、イソプロピルアルコール等の溶剤を加えてもよい。添加量は適宜でよい。
【0016】
一方、塗料と下地材との濡れ性向上、あるいは塗料成分の分散性を上げることのみを目的にし、樹脂製ドレインパンの割れを気にしない場合には、通常、低分子量の界面活性剤を塗料中に混ぜて用いる。具体的にはポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン付加ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、ジラウリルリン酸エステル中和物等のアニオン系界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン系界面活性剤等が挙げられる。
【0017】
このようにして設けた塗膜面上には基剤との硬化反応には携わらなかった界面活性剤が浮き出してくる。かかる界面活性剤の内、立体障害の無い状態で、最も小さくなるような幾何学的構造をとった時の分子断面積が18平方オングストローム未満であるものは、結露水中に溶け込み、樹脂製ドレインパンと接触した際にドレインパンにクラックあるいは破断を引き起こす原因となるため、除去する必要がある。
浮き出た界面活性剤の除去法は、除去できさえすれば特に限定はしないが、100数十℃以上の温度で加熱処理を行うか、純水あるいは軟水等で表面を洗浄し、さらに乾燥するのが簡便である。加熱処理は100数十℃〜300℃程度、好ましくは200〜250℃程度で、加熱時間はコイル・熱風処理の場合、5〜60秒、好ましくは10〜30秒である。純水あるいは軟水で洗浄する場合の水量は約1〜50l/m、好ましくは2〜30l/m程度、水温は10〜80℃、好ましくは30〜60℃である。この時、塗膜表面の界面活性剤の溶解性を上げることを目的に低級アルコール等の低沸点溶剤等を添加してもよい。
界面活性剤除去後は、塗膜表面の潤滑性が低下するため、ドレインパンへの悪影響が無く、潤滑性、親水性を兼ね備えた界面活性剤の付与が必要である。
この後に、請求項2と同じ界面活性剤を塗布・乾燥せしめるのである。
【0018】
請求項3での塗布は上記界面活性剤物質の水溶液あるいは場合によりエタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールを加えた水溶液あるいは低級アルコール溶液を用い、ロールコーター、スプレー塗装、浸漬処理等の方法で付着せしめ、その後ドライヤー等で加熱乾燥すればよい。
【0019】
本願発明の全請求項において、親水性塗膜の塗膜量および焼き付け温度、時間は使用目的、塗料の特性および焼き付け炉の特性に合わせて設定すればよい。
一般的には塗膜量は0.1〜5g/m、好ましくは0.2 〜1.5g/m、焼き付け時間は熱硬化タイプの場合、140〜300℃、好ましく は150〜250℃、焼き付け時間は5〜60秒、好ましくは10〜30秒である。塗膜量0.1g/m未満では親水性が不十分で、5g/mをこえて塗装しても親水性がそれ以上向上しない上に、コスト高を招くので無駄である。水ガラス系またはコロイダルシリカ系塗料の場合には、Si量で20〜400mg/m、好ましくは50〜300mg/mの範囲がよく、20mg/m未満では十分な親水性が得られず、400mg/mを超えても親水性が向上しない上に、析出したシリコン化合物が粉状になるために、塗膜密着性が低下し、プレス成形の際、剥離するなどの不具合が生じる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に使用される分子断面積が20平方オングストローム以上の界面活性剤は、塗料に混ぜて使用した場合、塗料の表面張力を下げ、塗料と塗装面との濡れ性を改善する効果、親水性基剤と金型との直接接触を防止する効果、および凝縮水中に溶け込んだ時に凝縮水の表面張力を低下させ塗膜面の濡れ性を向上する効果とを併せ持つので、均一な塗膜面が得られ、成型時の潤滑性に優れ、しかも塗膜面の水濡れ性を阻害しないあるいは向上させる。
また、請求項3のように、塗料に混ぜないで塗布した場合には、親水性基剤と金型との直接接触を防止することに起因する潤滑性を向上する効果と凝縮水中に溶け込んだ時に凝縮水の表面張力を低下させることに起因する塗膜面の濡れ性を向上する効果を併せ持つ。
もちろんいずれの場合にも凝縮水に溶けだした場合にABS、PS等の樹脂製ドレインパンを劣化させない。
【0021】
【実施例】
実験1(請求項2)
アルミ板(1100−H24、0.100)を弱アルカリ脱脂、水洗、乾燥後、塗布型クロメート(日本ペイント性SAT427)を塗布・焼き付けし、下地処理板を作製した。次にこの下地処理板に、表1に示す種々の分子断面積の界面活性剤をアクリル/ポリビニルアルコール系水溶性塗料に塗料固形分100重量部に対し、5重量部添加した塗料をバーコーターで塗装し、温度200℃で20秒焼き付けし、塗装板を得た。塗膜量は1.0g/mとした。
この塗装板に関して、以下の試験を行った。結果を表1に併せて示す。
【0022】
塗装均一性:目視によりムラ、ハジキを判定。
◎=ムラ、ハジキともに無く良好。
○=多少のムラは有るもののハジキは無く、性能上差し支えナシ。
△=ムラ、ハジキ等が認められる。
×=ムラ、ハジキが著しく、外観不良。
【0023】
親水性 :ゴニオメーターで純水の接触角を測定した。
◎=接触角20゜以下
○=接触角が20゜を越え、30゜以下。
△=接触角が30゜を越え、40゜以下。
×=動摩擦係数が40゜を越える。
【0024】
ドレインパン割れ性:
塗装板表面を純水で洗浄し、ドレイン水を得た(比液量=17ml/m)。
歪を加えたABS樹脂(厚さ1.0mm)にドレイン水を染み込ませたガーゼを張り付け、恒温・恒湿槽に放置した。ABS樹脂取り出し後、ABS樹脂のクラックあるいは破断の状態を確認した。歪み量は0.25%、0.50%、0.85%の3種、試験温度は35℃、相対湿度は75%、試験時間は72Hとした。
◎=いずれの歪み量でもクラックあるいは破断ナシ。
○=歪み量0.85%でクラックあるいは破断発生。
△=歪み量0.50%および0.85%でクラックあるいは破断発生。
×=全ての歪み量でクラックあるいは破断発生。
【0025】
【表1】
Figure 0003619001
【0026】
本願で規定する分子断面積の大きい界面活性剤を添加した発明例1−1〜1−4は塗装均一性、親水性、ドレインパン割れ性のいずれも良好である。
一方、分子断面積の小さい界面活性剤を添加した比較例1〜3は、いずれもドレインパン割れ性が悪く、塗装均一性と親水性も悪いものもあり、界面活性剤を添加しない比較例4は塗装均一性が悪い。
【0027】
実験2(請求項6)
実験1 と同様の下地処理板に、表2に示す分子断面積24平方オングストロームの界面活性剤を、親水性アクリル/アクリルアミド系水溶性塗料に塗料固形分100重量部に対し0.5〜250重量部添加した塗料をバーコーターで塗装し、温度230℃で20秒焼き付けし、塗装板を得た。塗膜量は1.0g/mとした。
試験は実験1 と同様の方法で行った。
【0028】
【表2】
Figure 0003619001
【0029】
本願で規定する分子断面積の大きさの界面活性剤を親水性基剤を含む塗料固形分に対し0.5〜50重量部添加した発明例2−1〜2−4は塗装均一性、親水性、ドレインパン割れ性のいずれも良好である。
一方、分子断面積の大きさの界面活性剤を親水性基剤を含む塗料に対して少なく(0.5重量部)添加した比較例5は、塗装均一性と親水性が悪く、多く(250重量部)添加した比較例6は塗装均一性が悪い。
また、界面活性剤を添加しない比較例7も塗装均一性が悪い。
【0030】
実験3(請求項2)
実験1 と同様の下地処理板に、表3に示す分子断面積24平方オングストロームの界面活性剤を、水ガラス系塗料(日本ペイント製SAT131)に塗料固形分100重量部に対し100重量部添加した塗料をバーコーターで塗装し、温度200℃で5〜300秒焼き付けし、塗膜表面の界面活性剤量を変化させた塗装板を得た。
塗膜量はSi量で300mg/mとした。
試験は実験1 と同様の方法で行った。
【0031】
【表3】
Figure 0003619001
【0032】
フィン表面上に本願で規定する大きさの界面活性剤を本願で規定する0.05〜0.6g/cmの量存在せしめた発明例3−1〜3−4は塗装均一性、親水性、ドレインパン割れ性のいずれも良好である。
一方、フィン表面上の界面活性剤が少ない(0.01g/m)比較例8と、フィン表面上の界面活性剤が多い(0.68g/m)比較例9は塗装均一性が悪い。
また、界面活性剤を添加しない比較例10も塗装均一性が悪い。
【0033】
実験4(請求項3)
アルミ板(1100−H24、0.100)を弱アルカリ脱脂、水洗、乾燥後、塗布型クロメート(日本ペイント性SAT427)を塗布・焼き付けし、下地処理板を作製した。次にこの下地処理板に、界面活性剤として表4の比較例で示したポリエチレングリコール300を親水性樹脂固形分100重量部に対し、30重量部添加したアクリル/ポリビニルアルコール系水溶性塗料を塗布し、温度200℃で20秒焼き付けし、塗装板をえた。塗膜量は1.0g/mとした。続いて、この塗装板を純水洗(比液量=10l/m)・乾燥し、表面に浮き出た界面活性剤を除去した。この板の上に表4に示すような種々の分子断面積の界面活性剤の水溶液を塗布し、150℃で60秒加熱乾燥し、試験片とした。付着量は0.3g/mとした。
この試験片に関して、下記の試験を行った。結果を表4に併せて示す。
【0034】
潤滑性 :バウデン動摩擦係数測定器にて、動摩擦係数を測定した。
潤滑油は用いず、荷重500gf、3/16インチ鋼球を使用した。
◎=動摩擦係数0.1以下。
○=動摩擦係数が0.1を越え、0.3以下。
△=動摩擦係数が0.3を越え、0.5以下。
×=動摩擦係数が0.5を越える。
親水性、ドレインパン割れ性 については、実験1と同様に行った。
【0035】
【表4】
Figure 0003619001
【0036】
本願で規定する分子断面積の大きい界面活性剤を塗布・乾燥した発明例4−1〜4−4は潤滑性、親水性、ドレインパン割れ性のいずれも良好である。
一方、分子断面積の小さい界面活性剤を塗布・乾燥した比較例11〜13は、いずれもドレインパン割れ性が悪く、親水性も悪いものもあり、界面活性剤を塗布・乾燥しない比較例14は潤滑性・親水性がやや悪い。
【0037】
実験5(請求項3)
実験4 と同様の下地処理板に、界面活性剤として表1の比較例で用いたモノラウリルリン酸エステルを親水性基剤固形分100重量部に対し15重量部添加したアクリル/水ガラス系親水性基剤を含む塗料を塗布・焼き付けした後、実験4 と同様の条件で軟水洗処理した。塗膜量はSi量で300mg/mとした。この板の上に表5に示すような分子断面積24平方オングストロームの界面活性剤水溶液を塗布した。界面活性剤の付着量は0.02〜0.78g/mとした。この試料について、実験4と同様の試験を行った。
【0038】
【表5】
Figure 0003619001
【0039】
本願で規定する分子断面積の大きい界面活性剤を本願で規定する量の範囲内(0.05〜0.6g/m)で塗布・乾燥した発明例5−1〜5−4は潤滑性、親水性、ドレインパン割れ性のいずれも良好である。
一方、界面活性剤を本願で規定する量より少なく(0.02g/m)塗布・乾燥した比較例14は潤滑性、親水性がやや悪く、界面活性剤を全く塗布・乾燥しない比較例14は潤滑性が非常に悪い。
界面活性剤を本願で規定する量より多く(0.78g/m)塗布・乾燥した比較例15は潤滑性、親水性、ドレインパン割れ性ともそこそこ良いが、表面がヌルヌルになってしまった。
【0040】
【発明の効果】
以上のように本発明による立体障害の無い状態で、最も分子断面積が小さくなるような幾何学的構造をとった時の分子断面積が20平方オングストローム以上である界面活性剤を塗料に添加して塗布・乾燥すること、あるいは、塗膜洗浄後に塗布・乾燥することにより、親水性に優れ、しかもABS、PS等の樹脂製ドレインパンの劣化を引き起こさない塗装板が得られ、エアコン用熱交換器フィン材等として好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 立体障害の無い状態で、最も分子断面積が小さくなるような幾何学的構造をとった時の分子断面積が20平方オングストローム以上である潤滑性、親水性を兼ね備えた界面活性剤がフィン表面上に0.05g/m以上、0.6g/m以下の量で存在するようにしたことを特徴とする樹脂製ドレインパンを有する熱交換器用アルミニウムプレコートフィン材。
  2. 立体障害の無い状態で、最も分子断面積が小さくなるような幾何学的構造をとった時の分子断面積が20平方オングストローム以上である潤滑性、親水性を兼ね備えた界面活性剤を親水性基剤を含む塗料に添加し、焼き付けあるいは乾燥により塗膜を得た際に、該界面活性剤がフィン表面上に0.05g/m以上、0.6g/m以下の量で存在するようにしたことを特徴とする樹脂製ドレインパンを有する熱交換器用アルミニウムプレコートフィン材の製造方法。
  3. あらかじめアルミニウム材料の上に有機系あるいは無機系あるいは有機・無機複合皮膜を設け、さらに皮膜上に存在する立体障害の無い状態で、最も分子断面積が小さくなるような幾何学的構造をとった時の分子断面積が18平方オングストローム未満である界面活性剤を除去せしめた後、同幾何学的分子断面積が20平方オングストローム以上の親水性・潤滑性を兼ね備えた界面活性剤を皮膜上に0.05g/m以上、0.6g/m以下の量で存在するようにしたことを特徴とする樹脂製ドレインパンを有する熱交換器用アルミニウムプレコートフィン材の製造方法。
  4. 該界面活性剤が、C数で2個以上の測鎖を有し、主鎖のC数が4個以上のジアルキルスルホコハク酸塩あるいはジアルキル硫酸エステルの1種または2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1項記載のアルミニウムプレコートフィン材。
  5. 該界面活性剤が、C数で2個以上の測鎖を有し、主鎖のC数が4個以上のジアルキルスルホコハク酸塩あるいはジアルキル硫酸エステルの1種または2種以上の混合物であることを特徴とする請求項2、または請求項3記載のアルミニウムプレコートフィン材の製造方法。
  6. 立体障害の無い状態で、最も分子断面積が小さくなるような幾何学的構造をとった時の分子断面積が20平方オングストローム以上である界面活性剤を親水性基剤を含む塗料に塗料固形分100重量部に対し1〜200重量部添加した塗料を用いることを特徴とする請求項2記載のアルミニウムプレコートフィン材の製造方法。
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