JP3618864B2 - 時限式殺虫剤容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、時限式殺虫剤容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば実開平6ー25183号公報には、容器体頂壁の裏面に弁箱を固着させ、該弁箱内から容器体内底部へ流出パイプを垂下すると共に、その弁箱内から上記頂壁を貫通してステムを上方付勢状態に起立し、かつステムには、該ステムを噴射位置に保持するステム押下げ位置保持装置を付設した時限式殺虫剤容器であって、上記容器体胴部の下部内へ隔板を水密に、かつ下降可能に嵌合させて、該隔板下方の胴部内を高圧無害噴射剤充填の第1室に、かつ上方胴部内を高圧殺虫噴出剤充填の第2室に、それぞれ形成すると共に、隔板上面に開口する目塞り穴内へ、上記流出パイプ下端部を水密にかつ抜出し可能に嵌合させ、又容器体底壁に細孔を穿設して、該細孔を引抜き可能な栓で密閉した時限式殺虫剤容器が記載されている。該時限式殺虫剤容器は栓引抜き後から一定時間が過ぎたときに、噴霧が開始されるので、その一定時間内に脱出でき、よってセット者が殺虫剤を吸い込む危険がなく便利である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した時限式殺虫剤容器では、容器体内を隔壁により上下に二分しなければならないために組立が難しく製造コストが高くなるという問題があった。
【0004】
本発明は、一般のエアゾール容器を使用し、かつ組立を簡単にした安価な、しかも使用後には簡単に分別廃棄できる時限式殺虫剤容器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の手段としては、底壁3外周から周壁4を起立する容器体2と、該容器体の下部内へ収納させた、吸水により次第に膨張する圧縮体6と、該圧縮体上に載置させて容器体2内へ収納させた、頂壁中央部からステム11を上方付勢させて起立するエアゾール缶10と、上記周壁4上部へ頂板16の外周部を位置決め可能に嵌合させて、容器体2上面を閉塞する蓋体15とからなり、該蓋体には、上記頂板16中央部にノズル22を貫設して、該ノズル内に上記ステム11上部を上方摺動不能に嵌合させておき、容器体内への給水による上記圧縮体6の膨張で、ステム11に対してエアゾール缶10が押上げられて、ステム11から噴出した霧が上記ノズル22を通って噴出可能に形成した。
また第2の手段としては、上記第1の手段を有すると共に、上記蓋体のノズル22外方の頂板部分に、単数又は複数の注水孔41を穿設し、これ等注水孔から閉蓋状態の容器体2内へ注水可能に形成した。
【0006】
更に第3の手段として、底壁3外周から周壁4を起立すると共に、上記底壁ないし周壁下端部に単数又は複数の透孔51を穿設した容器体2と、該容器体の下部内へ収納させた、吸水により次第に膨張する圧縮体6と、該圧縮体上に載置させて容器体2内へ収納させた、頂壁中央部からステム11を上方付勢させて起立するエアゾール缶10と、上記周壁4上部へ頂板16の外周部を位置決め可能に嵌合させて、容器体上面を閉塞する蓋体15と、上記容器体2の下半部を遊挿状態で収納する補助容器52とからなり、上記頂板16中央部にノズル22を貫設して、該ノズル内に上記ステム11上部を上方摺動不能に嵌合させておき、補助容器内への給水による上記圧縮体6の膨張で、ステム11に対してエアゾール缶10が押上げられて、ステム11から噴出した霧が上記ノズル22を通って噴出可能に形成した。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は本発明容器1の第1実施形態を示す。該容器は容器体と、圧縮体と、エアゾール缶、及び蓋体とからなり、上記容器体と蓋体とを合成樹脂材で成形している。
【0008】
容器体2は、底壁3外周から周壁4を起立しており、該周壁には上部外面に螺条5を周設している。
【0009】
符号6は上記底壁3に載置させて、容器体2の下部内へ収納した圧縮体であり、該圧縮体は吸水により次第に膨張して、後述するエアゾール缶をステムに対して徐々に押上げ、該押上げ長が所定長に達したときに、エアゾール缶を開弁させるものである。図示例では膨張方向が主として厚み方向となるように、外周面を周壁内面へ近接させた状態で圧縮体6を容器体2内へ収納している。上記圧縮体6として、本実施形態では後述する圧縮タオルを用い、エアゾール缶を押上げるようにしている。
【0010】
符号10は内部に殺虫剤を装填したエアゾール缶を示す。該エアゾール缶は上記圧縮体6上に底面を載置して、容器体2内へ収納されている。エアゾール缶は公知であるから、構造及び作用を簡単に説明する。上記エアゾール缶10は頂壁中央部から、吐出弁を下端部に有するステム11を上方付勢させて起立している。該ステムは付勢に抗して所定長押下げられると、上記吐出弁が開弁して、ステム11から上記殺虫剤が噴出する。該ステムの押下げが解除されて上昇すると、上記吐出弁が閉弁して、殺虫剤の噴出が停止する。
【0011】
蓋体15は上記周壁4上部へ、頂板16の外周部を位置決め可能に嵌合させて、容器体上面を閉塞する。上記頂板16はその外周から、外面を周壁上端部内面へ嵌合させて内筒部17を起立し、該内筒部上端から外向きフランジ18を介して、周壁上端部外面へ嵌合する外筒部20を垂下している。該外筒部の内面には螺条21が周設されており、該螺条は既述した容器体の螺条5に螺合し、エアゾール缶10が押上げられたときに、頂板16が持ち上げられないようにしている。なお、本実施形態では、蓋体15と容器体2との位置決めを螺合により行ったが、これらを凹凸の係止手段を介して位置決めを行うようにしてもよい。
【0012】
上記頂板16は、その中央部にノズル22を貫設しており、該ノズル内面にステム11上端が当接する下向き段部を設けて、該ステム11上部を上方摺動不能に嵌合させている。
【0013】
既述圧縮タオルの押上げ能力について以下説明する。該圧縮タオルは縦31cm×横31cmの綿100%のタオル地を、ほぼ厚み22.0mm,直径44.8mmの円柱形状にプレス加工したもので、円板状のラベルを2枚封入した状態でシュリンクフイルムで包装されて、TOWOL PETIT〔(商品名)発売元:サンドライ株式会社,製造元:オーミケンシ株式会社〕として販売されている。このTOWOL PETITの12個について、厚み及び直径を測定した。その測定データは下記の表1に示す。
【0014】
【表1】
【0015】
上記圧縮タオルの膨張力と、膨張後の厚みとを測定するテスト装置を図6に示す。該テスト装置は、上面開口の浅底容器30と、圧縮タオルの外径とほぼ同内径であって、透孔31を穿設した隔壁32を有し、かつ該隔壁下方に切欠き33を形成した筒体34と、該筒体内に昇降自在なプレート35と、膨張力を測定するプッシュプルゲージ36とからなる。膨張力は上記隔壁32とプレート35との間に圧縮タオルを介在させ、しかる後に浅底容器30内へ約50ccの水を注入し、プレート35が3mm押上げられた位置で、プッシュプルゲージ36により測定した。また膨張後の厚みはプッシュプルゲージ36を取り去り、放置して測定した。これらの測定データは下記の表2に示す。なお、参考例として、厚み方向の中間で切断して、厚みを1/2にした圧縮タオルついても同様な測定をした。
【0016】
【表2】
【0017】
ここで、一般のエアゾール缶は、ステムが約0.1mm〜約1.0mm押下げられたときに開弁するよう設けられており、またステムの付勢力が約1.0kg〜約1.5kgであることから、上記測定結果によると、圧縮タオルは少なくとも約1.0kgのエアゾール缶を押上げて開弁させる能力が十分ある。実際に圧縮タオル、自重約0.3kgのエアゾール缶10を容器体2に装填して吸水させたところ、注水後、しばらくしてから噴霧が開始した。また参考例もエアゾール缶を開弁させる能力があることからわかるように、圧縮タオルの形状は適宜変更することができる。なお、圧縮体6としては、上記圧縮タオルの他、プレス加工して嵩を圧縮した織物や、吸水により数倍以上に膨張する合成樹脂等であってもよい。
【0018】
以下、図1及び図2が示す時限式殺虫剤容器1の作用について説明する。該時限式殺虫剤容器では、容器体2から蓋体15を取り外し、容器体2内へ注水した後、再び蓋体15を容器体2に装着して噴霧セットを行う。該噴霧セットが行われると、圧縮体6は水を徐々に吸水して、一定時間が経過すると上下方向に伸長し、エアゾール缶10を上方へ押上げる。このとき、ステム11上部はノズル内に上方摺動不能に嵌合しているので、エアゾール缶10内に押込まれることになる。そして、ステム11が所定長押込まれるとエアゾール缶10は開弁し、内部の殺虫剤がノズル22から噴出する。
【0019】
使用後、廃棄するときには蓋体15を取り外すと、エアゾール缶10と圧縮体6とを容器体2内から簡単に取り出せるので、時限式殺虫剤容器1は蓋体15,容器体2,圧縮体6及びエアゾール缶10に容易に分解できる。
【0020】
図3及び図4は本発明時限式殺虫剤容器1の第2実施形態を示す。なお、該実施形態の構成は上記第1実施形態と略同様であるから、同様な部材に同一符号を用いて異なる部分について説明する。時限式殺虫剤容器1は、上記蓋体15のノズル22外方の頂板部分に、単数又は複数の注水孔41を穿設したものである。該構成によれば、蓋体15を取り外すことなく、上記注水孔41から注水することで、噴霧セットを行うことが可能である。なお、図示例では注水孔41として、図4が示す長孔をノズル22外方の頂板部分に4個配したが、形状及び個数は適宜変更してもよい。
【0021】
図5は本発明時限式殺虫剤容器1の第3実施形態を示す。該容器はでは請求項1記載の構成に、容器体の下半部を遊挿状態で収納する補助容器52を加え、かつ容器体の底壁ないし周壁下端部に単数又は複数の透孔51を穿設している。該構成によれば、容器体2を補助容器52内に収納させた後、該補助容器内へ注水する操作や、また容器体2下部を水中に沈める簡単な操作で噴霧セットを行うことができる。該噴霧セットが行われると、圧縮体6は周壁の透孔51を介して吸水し、エアゾール缶10を押上げ、吐出弁を開弁する。該開弁により、殺虫剤はステム11、ノズル22を通って噴出する。
【0022】
【発明の効果】
請求項1記載の発明は既述構成とするもので、容器体2内へ給水したとき、圧縮体6は徐々に吸水して膨張し、ステム11に対してエアゾール缶10を押上げることになるから、噴霧セット完了から一定時間経過後に、実際に噴霧が開始されるので、使用者が殺虫剤を吸い込むことがない。また圧縮体6、エアゾール缶10の順に装填した容器体上面を、蓋体15で閉塞する簡単な構造にしたから組立が簡単となり、よって製造コストを安価にすることができる。更に頂板16外周部を周壁4上部へ位置決め可能に嵌合させて、蓋体15を容器体に取り付けたから、廃棄するときに時限式殺虫剤容器1を蓋体15、容器体2、圧縮体6及びエアゾール缶10に簡単に分離でき、よって合成樹脂材、金属、可燃物に容易に分別することができる。
【0023】
請求項2記載の発明は既述構成とするもので、蓋体15に注水孔41を穿設したから、請求項1記載の発明と同様な効果を有すると共に、注水孔41から水を注ぐ簡単な操作で噴霧セットを行うことができる。
【0024】
また請求項3記載の発明は、請求項1記載の構成に容器体2の下半部を遊挿状態で収納する補助容器52を加え、かつ容器体2の底壁3ないし周壁下端部に透孔51を穿設したから、請求項1記載の発明と同様な効果を有すると共に、容器体2を補助容器52内に収納させた後、該補助容器内に水を注ぐ簡単な操作で噴霧セットを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】時限式殺虫剤容器の第1実施形態に示す縦断面図である。
【図2】図1に示す時限式殺虫剤容器の平面図である。
【図3】時限式殺虫剤容器の第2実施形態を示す縦断面図である。
【図4】図3に示す時限式殺虫剤容器の平面図である。
【図5】時限式殺虫剤容器の第3実施形態を示す縦断面図である。
【図6】圧縮タオルの膨張力、及び吸水後の厚みを測定する装置を示す図である。
【符号の説明】
1 時限式殺虫剤容器
6 圧縮体
10 エアゾール缶
15 蓋体
41 注水孔
51 透孔
Claims (3)
- 底壁3外周から周壁4を起立する容器体2と、該容器体の下部内へ収納させた、吸水により次第に膨張する圧縮体6と、該圧縮体上に載置させて容器体2内へ収納させた、頂壁中央部からステム11を上方付勢させて起立するエアゾール缶10と、上記周壁4上部へ頂板16の外周部を位置決め可能に嵌合させて、容器体2上面を閉塞する蓋体15とからなり、該蓋体には、上記頂板16中央部にノズル22を貫設して、該ノズル内に上記ステム11上部を上方摺動不能に嵌合させておき、容器体内への給水による上記圧縮体6の膨張で、ステム11に対してエアゾール缶10が押上げられて、ステム11から噴出した霧が上記ノズル22を通って噴出可能に形成したことを特徴とする時限式殺虫剤容器。
- 上記蓋体のノズル22外方の頂板部分に、単数又は複数の注水孔41を穿設し、これ等注水孔から閉蓋状態の容器体2内へ注水可能に形成したことを特徴とする請求項1記載の時限式殺虫剤容器。
- 底壁3外周から周壁4を起立すると共に、上記底壁ないし周壁下端部に単数又は複数の透孔51を穿設した容器体2と、該容器体の下部内へ収納させた、吸水により次第に膨張する圧縮体6と、該圧縮体上に載置させて容器体2内へ収納させた、頂壁中央部からステム11を上方付勢させて起立するエアゾール缶10と、上記周壁4上部へ頂板16の外周部を位置決め可能に嵌合させて、容器体上面を閉塞する蓋体15と、上記容器体2の下半部を遊挿状態で収納する補助容器52とからなり、上記頂板16中央部にノズル22を貫設して、該ノズル内に上記ステム11上部を上方摺動不能に嵌合させておき、補助容器内への給水による上記圧縮体6の膨張で、ステム11に対してエアゾール缶10が押上げられて、ステム11から噴出した霧が上記ノズル22を通って噴出可能に形成したことを特徴とする時限式殺虫剤容器。
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JPH09183471A JPH09183471A (ja) | 1997-07-15 |
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