JP3618493B2 - インクジェット記録用インク組成物およびその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録用インク組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用インク組成物およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、直径0.2〜3.0mmのセラミックスビーズを粉砕メディアとした循環式ビーズミルで調製することにより、顔料を微細に分散でき、かつ得られたインクジェット記録用インク組成物は、貯蔵安定性が良好で、顔料の凝集や吐出オリフィスの目詰まりのない顔料タイプのインクジェット記録用インク組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式に用いられるインク組成物の着色剤として、従来より染料が広く利用されていたが、耐水性や耐光性不良の問題は解決することが難しく、顔料への置き換えが常々要望されてきた。
【0003】
しかし、現時点の顔料タイプのインク組成物には、実用上克服すべき課題が数多く残されており、その中でも特に、顔料を微細粒子に分散する技術、顔料の凝集及び吐出オリフィスの目詰まりの解決が大きな課題となっている。
【0004】
顔料の凝集や吐出オリフィスの目詰まりが起こるメカニズムは以下の様に考えられている。
【0005】
顔料自体は、インク媒体に不溶性であるから、インクの着色剤として利用するためには、微粒子化してインク媒体中に分散させなければならない。しかし、顔料粒子は微細になるほど比表面積が増大し、顔料表面の濡れが十分でないと、分散安定性が低下して凝集を起こし易くなる。
【0006】
特にインクジェット記録方式で使用されるインク組成物では、低粘度で高い色濃度が要求されることから、顔料をより微細粒子にする必要があり、貯蔵中に顔料凝集が起こり易い。
【0007】
また、顔料タイプのものは、染料タイプと比較して溶媒が乾燥した際の増粘が激しく、さらに顔料の凝集が起こると、再溶解性、再分散性が低下し、吐出オリフィスからの液滴形成が不可能な状態になり易い。
【0008】
そこで、顔料表面の濡れ性または増粘、乾燥したインクの再溶解、再分散性の向上を目的として、親水性部分と疎水性部分を有する重合体を用いる方法(たとえば特開昭56−147863号公報)、または界面活性剤を用いる方法(たとえば特開昭62−27476号公報)等が提案されているが、十分な性能が得られるまでには至っていないというのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、顔料を容易に微細粒子に分散でき、かつ顔料の凝集や吐出オリフィスの目詰まりのない、顔料タイプのインクジェット記録用インク組成物およびその製造方法を提供することを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)顔料、下記のa〜cの単量体成分を共重合して得られるアクリル樹脂、一般式(1)で表される化合物、塩基性化合物及び水性媒体から主として構成され、前記アクリル樹脂と一般式(1)で表される化合物の割合がアクリル樹脂/一般式(1)で表される化合物=20/80〜80/20(重量比)であり、かつ顔料100重量部に対して、前記アクリル樹脂と前記一般式(1)で表される化合物の総量を8〜300重量部含有することを特徴とするインクジェット記録用インク組成物に関する。
【0011】
Figure 0003618493
ただし、上記単量体成分a+b+cの総和は100重量部である。
【0012】
【化3】
Figure 0003618493
【0013】
(式中、Rは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環の少なくとも1個を有する炭素数6〜20の1価の炭化水素基、Rは、炭素数2〜4の2価の炭化水素基、nは1〜30の整数を示す)。
【0014】
さらに本発明は、(2)前記一般式(1)で表される化合物が、一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする前記(1)項記載のインクジェット記録用インク組成物に関する。
【0015】
【化4】
Figure 0003618493
【0016】
(式中、Rは、ビフェニル骨格を有する炭素数12〜15の1価の炭化水素基、mは10〜20の整数を表す)。
【0017】
さらに本発明は、(3)前記水性媒体が、ポリグリセリン1モル当たり5〜90モルのエチレンオキサイドを付加してなる化合物を含むことを特徴とする前記(1)または(2)項記載のインクジェット記録用インク組成物に関する。
【0018】
さらに本発明は、(4)前記(1)〜(3)項のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物を直径0.2〜3.0mmのセラミックスビーズを粉砕メディアとした循環式ビーズミルで調製されてなることを特徴とするインクジェット記録用インク組成物の製造方法に関する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、前記課題を解決すべく研究を重ねた結果、直径0.2〜3.0mmのセラミックスビーズを粉砕メディアとした循環式ビーズミルを用いることにより顔料を容易に微細粒子に分散でき、かつ、炭素数8〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸単量体、その他の共重合可能なラジカル重合性単量体を共重合して得られるアクリル樹脂と一般式(1)で表される化合物を特定の割合で併用することにより、顔料の凝集や吐出オリフィスの目詰まりを解決できることを見出だし、本発明を完成するに至ったものである。
【0020】
以下に、本発明をさらに詳しく説明する。
【0021】
まず、本発明のインクジェット記録用インク組成物で使用する顔料としては、水性媒体中に分散可能な公知の無機および有機顔料が使用でき、特に表面処理により水性媒体に濡れやすくしたものが好ましい。
【0022】
ここで使用可能な無機顔料としては、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等、有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等を挙げることができる。これら顔料は単独で、または2種以上を混合して使用できる。
【0023】
なお、顔料の使用量としては、インクジェット記録用インク組成物全体に対して1〜30重量%程度、好ましくは2〜10重量%である。顔料の使用量が前記範囲より少なくなると色濃度が低下し、一方前記範囲より多くなるとインク粘度や流動性の面から使用が困難となる。
【0024】
次に、本発明のインクジェット記録用インク組成物において顔料を分散するために使用するアクリル樹脂は、下記のa〜cの単量体成分を共重合して得られるアクリル樹脂である。
【0025】
Figure 0003618493
ただし、上記単量体成分a+b+cの総和は100重量部である。
【0026】
ここで、a成分の炭素数8〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物としては、具体的には、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸ウンデシルエステル、(メタ)アクリル酸ラウリルエステル、(メタ)アクリル酸トリデシルエステル、(メタ)アクリル酸ミリスチルエステル、(メタ)アクリル酸セチルエステル、(メタ)アクリル酸ステアリルエステル等が挙げられ、顔料分散性からとくに炭素数12〜18の長鎖アルキル基を有するものが好ましい。
【0027】
これら炭素数8〜20の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物は、1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。
【0028】
当該炭素数8〜20の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物の使用量はアクリル樹脂全体の全単量体の5〜30重量%である。該化合物の使用量が5重量%より少なくなると顔料分散性が低下し、一方30重量%を超えると皮膜が柔らかくなるため、乾燥性や皮膜強度が低下する。
【0029】
また、b成分のα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸単量体として、具体的には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル等が挙げられる。これら、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸単量体は、1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。
【0030】
当該α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用量はアクリル樹脂全体の全単量体の5〜30重量%である。該単量体の使用量が5重量%未満では、水性媒体中で良好な溶解性が得られず、一方、30重量%を超えるとプリント画像の耐水性が低下して好ましくない。
【0031】
また、c成分のその他の共重合可能なラジカル重合性単量体として、具体的には、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸プロピルエステル、(メタ)アクリル酸イソプロピルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸イソブチルエステル、(メタ)アクリル酸t−ブチルエステル等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜7のアルキルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステルなどの(メタ)アクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステル類等が挙げられる。これら、その他の共重合可能なラジカル重合性単量体は、1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。該単量体の使用量はアクリル樹脂全体の全単量体の40〜90重量%である。
【0032】
以上の単量体成分を用いてアクリル樹脂を得るには、窒素等の不活性ガスの雰囲気下、沸点が50〜200℃の有機溶媒、例えばモノ又はポリアルキレングリコール或いはそのエーテル又はエステル系溶媒、酢酸エステル系溶媒等の水混和性溶剤、又は芳香族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒等の水非混和性溶剤中に単量体を添加混合し、ジターシャリブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等の反応開始剤を添加して、60〜170℃で1〜10時間、好ましくは4〜8時間共重合させた後、必要により有機溶媒を除去する方法が利用できる。
【0033】
通常アクリル樹脂はさらに塩基性化合物の存在下、水性媒体中に溶解した水性樹脂ワニスとして使用される。
【0034】
なお、本発明で使用するアクリル樹脂は、インク粘度を適性にするために、重量平均分子量が5,000〜100,000、好ましくは,8,000〜30,000の範囲にあるのが好ましく、また、インク皮膜の耐性が要求される場合は、ガラス転移温度(Tg)が室温以上であることが望ましい。
【0035】
次に、本発明のインクジェット記録用インク組成物において顔料を分散するために使用する一般式(1)で表される化合物について説明する。
【0036】
【化5】
Figure 0003618493
【0037】
(式中、Rは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環の少なくとも1個有する炭素数6〜20の1価の炭化水素基であり、Rは、炭素数2〜4の2価炭化水素基であり、nは1〜30の整数、好ましくは、一般式(1)で表わされる化合物の水溶化、得られるインクジェット記録用インク組成物の粘度の点から、8〜20の整数である)。
【0038】
一般式(1)で表される化合物の具体例として、フェノール、アルキルフェノール、ベンジルアルコール、ナフトール、ヒドロキシビフェニル、ビフェニルアルカノール、ヒドロキシアントラセン等に、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加したものが例示できる。
【0039】
付加するアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどがあげられるが、一般式(1)で表される化合物を水溶化する点から、エチレンオイサイドが好ましい。
【0040】
本発明では、顔料の分散効果の点より、一般式(1)で表わされる化合物のうちで一般式(2)で表される化合物を使用することが好ましい。
【0041】
【化6】
Figure 0003618493
【0042】
(式中、Rは、ビフェニル骨格を有する炭素数12〜15の1価の炭化水素基、mは10〜20の整数である)。
【0043】
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、ヒドロキシビフェニル、ビフェニルメタノール、ビフェニルエタノール、ビフェニルプロパノールなどにエチレンオキサイドを付加したものがあげられる。
【0044】
本発明においては、既に述べたように、本発明で特定するアクリル樹脂と一般式(1)で表される化合物を併用することが重要であり、その割合は、本発明で特定するアクリル樹脂/一般式(1)で表される化合物=20/80〜80/20、好ましくは30/70〜70/30(重量比)である。前記アクリル樹脂/一般式(1)で表される化合物の割合が前記所定の割合からはずれると、顔料分散性が低下する。
【0045】
また、本発明のインクジェット記録インク組成物において、顔料を分散するための顔料分散剤(本発明で特定するアクリル樹脂と一般式(1)で表される化合物の総和)の使用量の下限は、顔料の濡れ性を向上させるための必要量であり、顔料の使用量の10重量%程度である。さらに本発明で使用する顔料分散剤の使用量の上限値は、インクジェット記録インク組成物の定着や乾燥したインクの再溶解の全てを本発明の顔料分散剤で図るのであれば、顔料の使用量の300重量%程度までであるが、通常は100重量%までが好ましい。また、本発明で使用する顔料分散剤はインクジェット記録インク組成物全体に対して、0.1〜20重量%、より好ましくは0.2〜10重量%含有することが望ましい。
【0046】
さらに、本発明のインクジェット記録用インク組成物には、インクの定着や乾燥したインクの再溶解を目的として、分子内にカルボキシル基を有するスチレン−アクリル酸系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂等の水性樹脂、特に好ましくはスチレン−マレイン酸系樹脂を併用することができる。
【0047】
次に、本発明で特定するアクリル樹脂を水性媒体に溶解するために使用する塩基性化合物としては、ブチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、モルホリン、アンモニア水、水酸化ナトリウム等を挙げることができ、中でも吐出オリフィスの目詰まりを少なくするという観点から、揮発性の速い塩基性化合物と揮発性の遅い塩基性化合物を併用し使用することが望ましい。次に、本発明のインクジェット記録用インク組成物で使用する水性媒体としては、水と、吐出安定性、乾燥性、その他の目的から水混和性溶剤を使用することができる。
【0048】
ここで、水混和性溶剤としては、低級アルコール類、多価アルコール類とその誘導体、含窒素環状化合物等が挙げられる。
【0049】
具体的には、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ポリグセリンのエチレンオキサイド付加物等の多価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール誘導体、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等の含窒素環状化合物が利用でき、吐出安定性、乾燥性の点から、水以外にポリグリセンリンのエチレンオキサイド付加物(ポリグリセリン1モルに対して5〜90モルのエチレンオキサイドを付加したものが好ましい)と他の多価アルコール類を併用して使用することが好ましい。このばあい、水100重量部に対して、ポリグリセリンのエチレンオキサイド付加物を1〜20重量部、その他の多価アルコール類を1〜20重量部使用するのが好ましい。
【0050】
なお、水混和性溶剤として、アセトンや酢酸エチル等は印字装置に損傷を与える可能性があり好ましくない。
【0051】
また、本発明のインクジェット記録用インク組成物には、更に、必要に応じて、シリコン系界面活性剤、フッ素を含有する界面活性剤、その他の界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0052】
以上の成分を用いてインクジェット記録用インク組成物の製造は、まず、顔料、本発明の特定アクリル樹脂、一般式(1)で表される化合物、塩基性化合物、水性媒体、必要に応じて、定着や乾燥したインクの再溶解を目的とした分子内にカルボキシル基を有する水性樹脂、各種添加剤等を混合した後、直径0.2〜3.0mmのセラミックスビーズを粉砕メディアとした循環式ビーズミルを利用して練肉し、さらに残りの材料を添加混合することにより行うことができる。より好ましくは、直径0.2〜1.0mmのジルコニアビーズを粉砕メディアとした循環式ビーズミルを用いることにより、顔料を容易に微細粒子に分散でき、フィルタリングが容易になる。
【0053】
【実施例】
以下、実施例でもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特にことわりのない限り、「部」、「%」は「重量部」、「重量%」をそれぞれ表す。
【0054】
<アクリル樹脂合成例>
撹拌機、冷却管、窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、酢酸エチル350部を仕込み、75〜85℃に加熱した後、窒素ガスを導入しながら、表1の組成比率を有する単量体混合物250部、及び反応開始剤として、ジターシャリーブチルパーオキサイド2.5部の混合物を2時間かけ滴下した。さらに同温度に保ちながら2時間重合させた後、溶剤を減圧下に留去させて、それぞれのアクリル樹脂1〜4を得た。
【0055】
【表1】
Figure 0003618493
【0056】
<アクリル樹脂ワニスの調製>
以上の合成例によって得られたアクリル樹脂1〜4のそれぞれ400部破砕した後、中和量のトリエタノールアミンを溶解させた水600部中に撹拌混合し、80℃で加熱溶解させて、固形分40%のアクリル樹脂ワニス1〜4を得た。
【0057】
<インクジェット記録用インク組成物の実施例および比較例>
実施例1〜5および比較例1〜4
実施例1〜5および比較例1〜4のインクジェット記録用インク組成物は、表2の組成になるように調製した。
【0058】
次に、具体的な調製方法について説明する。
【0059】
カーボンブラック(Prntex35、テグサ社製)、アクリル樹脂ワニス1〜4、p−ヒドロキシビフェニルにエチレンオキサイドを平均14モル付加した化合物、イオン交換水とを撹拌混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを粉砕メディアとした循環式ビーズミルを使用して混練後、イオン交換水、ジエチレングリコール、ポリグリセリン(重合度:4)に20モルのエチレンオキサイドを付加した化合物を加え撹拌混合して実施例1〜5、比較例1〜3のインクジェット記録用インク組成物を得た。
【0060】
また、カーボンブラック(Prntex35、テグサ社製)、アクリル樹脂ワニス1、BYK−190(スチレン−マレイン酸共重合体のエチレンオキサイド変性物、ビック・ケミカル社製)、イオン交換水とを撹拌混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを粉砕メディアとした循環式ビーズミルを使用して混練後、イオン交換水、ジエチレングリコール、ポリグリセリン(重合度:4)に20モルのエチレンオキサイドを付加した化合物を加え撹拌混合し、比較例4のインクジェット記録用インク組成物を得た。
【0061】
<評価試験>
実施例1〜5および比較例1〜4の貯蔵安定性、吐出オリフィスの目詰まりの試験評価を以下の方法により行い、その結果を表2に示した。
【0062】
[貯蔵安定性]
試験インクをガラス容器に密閉し50℃の雰囲気温度下で1ヵ月保存し、状態の変化から貯蔵安定性を評価した。
A:状態に変化が認められない。
B:顔料の分離はあるが沈降は認められず、軽く振ればすぐに分離がなくなる。
C:顔料の分離、沈降はあるが、軽く振ればすぐにどちらもなくなる。
D:顔料の分離、沈降があり、軽く振っても沈降はなくならない。
【0063】
[吐出オリフィスの目詰まり]
記録ヘッド内のインクに熱エネルギーを与えて、液滴を発生させ記録を行うオンデマンドタイプのマルチヘッドを有する記録装置のヘッドに試験インキを充填し、キャップをせずに20℃の雰囲気温度下3日放置し、印字が可能となる条件から吐出オリフィスの目詰まりを評価した。
【0064】
A:吐出オリフィスのクリーニング0回で印字可能
B:吐出オリフィスのクリーニング1又は2回で印字可能
C:吐出オリフィスのクリーニング3〜5回で印字可能
D:吐出オリフィスのクリーニング6回以上で印字可能
E:吐出オリフィスのクリーニングを何回しても印字不可能
<インクジェット記録用インク組成物の製造方法の実施例および比較例>
実施例1〜5および比較例5〜9
実施例1〜5のインクジェット記録用インク組成物の組成および製造方法は前記と同じである。
【0065】
比較例5〜9のインクジェット記録用インク組成物の組成はそれぞれ表2に示される実施例1〜5と同じであるが、製造方法はつぎのように変更した。
【0066】
すなわち、カーボンブラック(Prntex35、テグサ社製)、アクリル樹脂ワニス1、p−ヒドロキシビフェニルにエチレンオキサイドを14モル付加した化合物、イオン交換水とを撹拌混合し、ダイノミルを使用して混練後、イオン交換水、ジエチレングリコール、ポリグリセリン(重合度:4)に20モルのエチレンオキサイドを付加した化合物を加え撹拌混合して、比較例5〜9のインクジェット記録用インク組成物を製造した。
【0067】
<評価試験>
実施例1〜5および比較例5〜9のインクジェット記録用インク組成物のフィルタリング性の試験評価を以下の方法により行った。
【0068】
[フィルタリング性]
実施例1〜5および比較例5〜9のインクジェット記録用インク組成物を3μmのフィルタを用い、通過するかどうかにより判断した。
【0069】
その結果、循環式ビーズミルを用いて調製した実施例1〜5のインクジェット記録用インク組成物は、3μmのフィルタを通過するのに対し、ダイノミルを用いて調製した比較例5〜9のインクジェット記録用インク組成物は、3μmのフィルタをほとんど通過しなかった。
【0070】
【表2】
Figure 0003618493
【0071】
【発明の効果】
以上、実施例を挙げ具体的に説明したように、本発明のインクジェット記録用インク組成物は、直径0.2〜3.0mmのセラミックスビーズを粉砕メディアとした循環式ビーズミルを用いることにより顔料を容易に微細粒子に分散でき、かつ炭素数8〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸単量体、その他の共重合可能なラジカル重合性単量体を共重合して得られるアクリル樹脂と一般式(1)で表される化合物を特定の割合で併用することにより、顔料の凝集や吐出オリフィスの目詰まりを防止することが可能となる。

Claims (4)

  1. 顔料、下記のa〜cの単量体成分を共重合して得られるアクリル樹脂、一般式(1)で表される化合物、塩基性化合物及び水性媒体から主として構成され、前記アクリル樹脂と一般式(1)で表される化合物の割合がアクリル樹脂/一般式(1)で表される化合物=20/80〜80/20(重量比)であり、かつ顔料100重量部に対して、前記アクリル樹脂と前記一般式(1)で表される化合物の総量を8〜300重量部含有することを特徴とするインクジェット記録用インク組成物。
    Figure 0003618493
    ただし、上記単量体成分a+b+cの総和は100重量部である。
    Figure 0003618493
    (式中、Rは、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環の少なくとも1個を有する炭素数6〜20の1価の炭化水素基、Rは、炭素数2〜4の2価の炭化水素基、nは1〜30の整数を示す)。
  2. 前記一般式(1)で表される化合物が、一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用インク組成物。
    Figure 0003618493
    (式中、Rは、ビフェニル骨格を有する炭素数12〜15の1価の炭化水素基、mは10〜20の整数を表す)。
  3. 前記水性媒体が、ポリグリセリン1モル当たり5〜90モルのエチレンオキサイドを付加してなる化合物を含むことを特徴とする請求項1または2記載のインクジェット記録用インク組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物を直径0.2〜3.0mmのセラミックスビーズを粉砕メディアとした循環式ビーズミルで調製することを特徴とするインクジェット記録用インク組成物の製造方法。
JP32553096A 1996-12-05 1996-12-05 インクジェット記録用インク組成物およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3618493B2 (ja)

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