JP3617149B2 - 便器洗浄タンク装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄水が貯溜される貯水タンクと、この貯水タンクに対し上下に重ねて配置された弁体により開閉する大洗浄弁及び小洗浄弁と、これら大洗浄弁体及び小洗浄弁体に夫々屈曲可能な引上げ部材を介して連係した大洗浄弁及び小洗浄弁を選択的に開弁操作する開弁操作器具とを備えた便器洗浄タンク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の便器洗浄タンク装置として、例えば特開平7−133624号公報の図5及び図6に開示される如く大洗浄弁体の上端面に一体形成した小洗浄弁座と着座するように小洗浄弁体を上下方向へ揺動自在に取り付け、この大洗浄弁体がそれ自体に浮力を有する場合には、この大洗浄弁体と連係して小洗浄弁体の近くを通過する引上げ部材に浮き子などの浮力体を別個に取り付けないから、該引上げ部材が上方へ常時引っ張れることがなく、開弁操作器具の操作で大洗浄弁体の引上げ部材を引き上げずに、小洗浄弁体の引上げ部材を引き上げることにより、小洗浄弁座から離れて小洗浄弁のみが開弁し、貯水タンク内の洗浄水が引き上げられた小洗浄弁体と小洗浄弁座との間に流れ込んで大洗浄弁体に開穿した通水孔を通って排水され、小洗浄が行なわれるものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし乍ら、このような従来の便器洗浄タンク装置では、小洗浄弁のみが開弁時において大洗浄弁体の引上げ部材が屈曲可能に弛んでいる場合、開弁した小洗浄弁体と小洗浄弁座との間へ流れ込む洗浄水の影響により大洗浄弁体の弛んだ引上げ部材が屈曲して小洗浄弁体と小洗浄弁座との間に引き込まれ易く、この引き込まれたままの状態で小洗浄弁体を閉弁方向へ下降させても引上げ部材が引っ掛かって小洗浄弁が確実に閉弁せず、その結果、小洗浄弁から洗浄水が無駄に排水されて不経済であると共に、小洗浄弁より上方に洗浄水を貯溜できず、特に大洗浄時に洗浄水が不足して便器を確実に洗浄できないという問題がある。
【0004】
そこで本発明のうち請求項1記載の発明と、請求項3記載の発明と、請求項4記載の発明は、小洗浄弁のみの開弁時に大洗浄弁体の弛んだ引上げ部材が洗浄水の流れにより屈曲して開弁中の小洗浄弁に引き込まれるのを防止することを目的としたものである。
また、請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明の目的に加えて、簡単な構造で開弁中の小洗浄弁に引き込まれるのを防止することを目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、大洗浄弁体に連係する引上げ部材の開弁した小洗浄弁体と小洗浄弁座との間と略同じ高さに位置する部分を屈曲不能に保持する保持手段を設けたことを特徴とするものである。
【0006】
そして請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に、前記保持手段が筒体からなり、この筒体内に引上げ部材を挿通する構成を加えたことを特徴とする。
【0007】
また請求項3記載の発明は、大洗浄弁体にそれと連係する引上げ部材の取り付け部を、開弁した大洗浄弁体に向け上方へ延長して連設したことを特徴とするものである。
【0008】
更に請求項4記載の発明は、大洗浄弁体に連係する引上げ部材の端部と、大洗浄弁体に連設した取り付け部との間に、屈曲不能部材を開弁した小洗浄弁体と小洗浄弁座との間と対向するように介在させて連結したことを特徴とするものである。
【0009】
【作用】
請求項1の発明は、大洗浄弁体に連係する引上げ部材の開弁した小洗浄弁体と小洗浄弁座との間と略同じ高さに位置する部分付近を保持手段に当接させることにより、該部分が屈曲不能に保持される。
【0010】
そして請求項2の発明は、請求項1記載の発明に対し、前記緊張保持手段が筒体からなり、この筒体内に引上げ部材を挿通する構成を追加したので、引上げ部材の筒体内に挿通した部分が緊張状態に保持されて屈曲不能となる。
【0011】
また請求項3の発明は、大洗浄弁体に連係する引上げ部材の取り付け部を、小洗浄弁体の開弁位置に向け上方へ延長して連設することにより、洗浄水の流れで引上げ部材が屈曲しても小洗浄弁体と小洗浄弁座との間まで届かない。
【0012】
更に請求項4の発明は、大洗浄弁体に連係する引上げ部材の端部と、大洗浄弁体に連設した引上げ部材の取り付け部との間に、屈曲不能部材を開弁した小洗浄弁体と小洗浄弁座との間と対向するように介在させて連結することにより、洗浄水の流れで引上げ部材が屈曲しても小洗浄弁体と小洗浄弁座との間まで届かない。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2においてAは内側タンク、Bはタンクカバーで、内側タンクAは便器Cを洗浄するための洗浄水を貯溜する貯水タンクであり、この内側タンクA内には、ボールタップDと、上下に重ねられた大洗浄弁E及び小洗浄弁Fからなる洗浄弁と、これら大洗浄弁E及び小洗浄弁Fを開弁操作する開弁操作器具Gとを装備し、上記大洗浄弁Eの弁体E1及び小洗浄弁Fの弁体F1を、内側タンクAの底部A1に夫々上下方向へ揺動自在に取り付けると共に、大洗浄弁体E1及び小洗浄弁体F1と、内側タンクAの上部に配設した開弁操作器具Gとを例えば鎖などの屈曲可能な引上げ部材H1,H2を介して連係し、開弁操作器具Gの操作により大洗浄弁体E1及び小洗浄弁体F1を選択的に引き上げて大洗浄弁Eか又は小洗浄弁Fを開弁させている。
【0014】
図3〜6は、内側タンクAの取り付け構造を示す。
内側タンクAは、合成樹脂の成形品により構成され、その底面A1′には、便器取付用の固定具A3を取り付けるための固定具取着部A4が設けられており、この固定具取着部A4を介して便器取付用の固定具A3が内側タンクAの底面A1に取り付けられている。
【0015】
タンクカバーBは、便器洗浄タンク装置にデザイン上のバリエーションを持たせると共にトイレ室内温度と洗浄水温度との温度差により洗浄タンクの外部表面に結露水が付着するのを防止するために内側タンクAを覆って便器C後部上面のタンク設置部C1に設置されるカバーで、内側タンクAより一回り大きなタンク状に形成されて、内部に内側タンクAを収容しており、便器Cと質感を一致させるために陶器で構成されている。
タンクカバーBの底面B1には、上記固定具取着部A4に対応して挿通孔B2が開設されており、上記固定具取着部A4を介して内側タンクAの底面A1に取り付けられた固定具A3は、該挿通孔B2を挿通してタンクカバーB外に突出している。
【0016】
固定具取着部A4は、内側タンクAの底面A1′に側面A41の一部を開放する袋状に突出形成され、底面A42には開放された側面A41a 側から奥に向かって延びるスリットA43を備えており、内側タンクAの底面A1′側から見て全体として大略U字型を呈している。
この固定具取着部A4は、内側タンクAの横幅方向の中央部において底部A1に設けられた排水孔A5を挟んでその左右両側に夫々設けられており、屈曲部A44側を背中合わせにして、開放側面A41a を内側タンクAの左右側面側に向けて配置されている。
【0017】
固定具A3は、ボルトA31・ナットA32からなり、ボルト頭部A31a が固定具取着部A4の開放された側面A41a から取着部底面A42と内側タンクAの底面A1′との隙間にスライド挿入されて、取着部底面A42に係止されており、固定具取着部A4のスリットA43を介して下方に延びるボルト軸A31b が上記タンクカバーB底面B1bの挿通孔B2を挿通してタンクカバーB外に突出している。
また、上記固定具A3には、内側タンクAとタンクカバーBとを仮固定する仮止め手段A7が設けられている。
【0018】
上記仮止め手段A7は、スナップリングからなり、合成樹脂などの弾性を有する部材でリングの一部を切り欠いた形状に形成され、タンクカバーBの外側で、かつタンクカバーBの底面B1にできるだけ近い部分において、固定具A3のボルト軸A31b の外周に嵌着されている。
上記固定具A3のボルト軸A31b には、上記スナップリングA7を嵌着する部分の周面に一対の切欠きA31c が設けられており、この切欠きA31c にスナップリングがA7嵌め込み係止される。
また、スナップリングA7の内周面には、ピンA71が突出形成され、一方、固定具A3のボルト軸A31b には、その軸心に直行する止め孔A31d が穿設されており、上記ピンA71が止め孔A31d に挿入係止される。
而して、タンクカバーBは、スナップリングA7により固定具A3に係止され、これにより内側タンクAとタンクカバーBは、仮固定される。
【0019】
そして、この便器洗浄タンク装置は、上記のように内側タンクAとタンクカバーBが仮固定された状態で便器Cの後部上面に設けられたタンク設置部C1に載置され、固定具A3のボルト軸A31b が上記設置部C1に開設された取付孔C2を挿通して便器Cの裏側に突出せしめられ、便器Cの裏側からナットA32を螺着してナットA32の締め付けにより便器Cに固定される。
この際、上記仮止め手段A7は、タンクカバーBの底面B1と便器Cのタンク設置部C1上面との間に介在することになるが、通常タンク設置部C1には、上面に突出する突部などがあり、取付孔C2周辺では、タンクカバーBの底面B1と便器Cのタンク設置部C1上面との間に隙間が形成されるため、仮止め手段A7がタンク装置の便器Cへの設置の邪魔になることはない。
【0020】
尚、本実施形態においては、前記固定具A3のボルト頭部A31a は、略長円状に形成されてその長径方向に偏心してボルト軸A31b が設けられており、固定具取着部A4は、開放された側面A41a から屈曲部A44最奥までの奥行きが上記ボルト頭部A31a の長径に略相当し、横幅は、ボルト頭部A31a の短径に略相当している。
従って、ボルト頭部A31a を固定具取着部A4の底面A42と内側タンクAの底面A1′との隙間に挿入するに際して、ボルト頭部A31a の向き逆にすることにより、内側タンクAの底面A1′に取り付けられる二つの固定具A3のボルト軸A31b の芯々距離を変えることができ、これによりこのタンク装置は、タンク設置部C1に設ける取付孔C2の芯々距離が異なる二種類の便器に対して取付が可能になっている。
【0021】
以上説明した実施の形態においては、内側タンクAとタンクカバーBとを仮固定する仮止め手段A7をAピン71を備えたスナップリングにより構成したが、ピン単独またはスナップリング単独で仮止め手段を構成するこのも任意である。
また、便器取付用の固定具A3は、内側タンクAを貫通して取り付けるようにすることも可能ではあるが、シール性を考慮すれば、既述の実施の形態の如く、内側タンクAの外面に固定具取着部A4を設けてこれに取り付けるようにするのが望ましい。
更に、便器取付用の固定具A3は、必ずしも上述の実施形態の如く、内側タンクAと別部品で構成して内側タンクAに取り付けるようにする必要はなく、内側タンクAと一体に設けることも勿論可能である。
【0022】
図7〜9は、内側タンクAに取り付けられる内部部材の取り付け構造を示す。上記タンクカバーBの背面には、その横幅方向略中央部の上部に切欠き部B3を有し、内側タンクAの背面は、タンクカバーBの上記切欠き部B3に対応する部分が段部A8を介して外方に膨出して切欠き部B3に嵌まり込んでおり、この部分に手洗吐水具A9を装備している。
タンクカバーBの上面には、手洗鉢B4を形成した蓋B5を備えており、該蓋B5は、背面にその横幅方向中央部を上下両端に亘って凹ませた凹部B6を有している。
【0023】
上記手洗吐水具A9は、その基部背面に内側タンクAの背面の壁の厚さに相当する溝幅を有する差し込みスリットA91を下向きに開口した取付部A92を設けてあり、上記差し込みスリットA91を内側タンクA背面の上部に形成された前記段部A8を介して外方に膨出する部分の上縁に差し込み係合させることにより、取付部A92で内側タンクAの背面の壁を挟持して内側タンクAに固定され、タンクカバーBの蓋B5の背面に設けた凹部B6を通って上方に延び、その吐水口部A93がを手洗鉢B4に臨んでいる。そしてこの手洗吐水具A9の基部開口A94は、内側タンクAの上記外方に膨出する部分内において内側タンクA内に下向き垂直に開口している。
【0024】
ボールタップDは、この実施形態においては下給水式に構成されたダイヤフラム式のボールタップであり、本体D1が管状に突出して下方に延びる流入管部D2を備え、該流入管部D2を内側タンクAの背面寄りの位置で、且つ横幅方向における略中央位置において底部に設けた不図示の取付穴に挿入して、内側タンクAに起立状に取付固定されている。
【0025】
上記ボールタップDは、流入管部D11に支持されて本体D1が内側タンクAの上記外方に膨出した部分の前に位置しており、この本体D1の背面には、ダイヤフラム弁D12の二次側に連絡する流出口部D13が、内側タンクAの前記外方に膨出する部分に向けて円筒状に突出して設けられている。
この流出口部D13の軸方向先端には、該先端を開放して手洗水用の流出口D14が設けられ、軸方向中途部の側面には、タンク貯溜水用の流出口D15が流出口部D13軸線に対して直行する方向に円筒状に突出して開設されている。
上記タンク貯溜水用の流出口D15の外周面にはその周方向に形成されたリング状の突起D16が設けられている。
上記タンク貯溜水用の流出口D15には、吐水口部材D2が接続され、手洗水用流出口D14には、手洗吐水具A9に連絡する手洗連絡管D3が接続される。
【0026】
吐水口部材D2と手洗連結管D3は、夫々ある程度の柔軟弾性と剛性を兼ね備えた材質、例えばTPE(熱可塑性エラストマー)で形成されており、上記吐水口部材D2は筒状に形成されて、その軸方向先端には、該先端を開放してリフィルホース接続部D21が設けられ、軸方向中途部には吐水口D22が軸線と直角方向に突出して開設されている。
【0027】
この吐水口部材D2は、少なくとも基部の内径が上記タンク貯溜水用流出口D15の外径と同径に形成されており、この基部をその柔軟弾性を利用してタンク貯溜水用流出口D15に外嵌圧入して接続される。
この際、タンク貯溜水用流出口D15の外周面に設けたリング状の突起D16が吐水口部材D2の内周面に密着して、該部を確実にシールする。上記リング状の突起D16は、吐水口部材D2の内周面に設けてもよい。
【0028】
尚、上記タンク貯溜水用流出口D15と吐水口部材D2には、吐水口D22を確実に所定の方向へ向けるための位置決め手段D4が設けられている。
位置決め手段D4は、吐水口部材D2の基部から軸方向に突出せしめた突片D23に開設した係合孔D41と、本体D1の流出口部D13上面に突出形成した係止突起D42とからなり、両者D41,D42を係合せしめて吐水口部材D2を流出口部D13に取り付けることにより、吐水口D22を垂直状態に下方へ向けることができるように構成されている。
【0029】
上記吐水口D22には、その外周面との間に間隙D24を設けて水没吐水管保持リングD25が吐水口D22と同軸に設けられており、該水没吐水管保持リングD25に水没吐水管D5の上端が外嵌状に連結される。この水没吐水管D5は、吐水口D22からの吐出水を内側タンクAの貯溜水面下に吐出させるためのものであり、その下端は、内側タンクAの底部A1近傍まで延びている。尚、上記水没吐水管保持リングD25により吐水口D22の外周面と水没吐水管D5の内周面との間に設けられる間隙D24は、バキュームブレーカーを構成する。
また、吐水口部材D2のリフィールホース接続部D21には、リフィールホースD6が圧入接続され、該リフィールホースD6の先端は、オーバーフロー管D7の上端開口に導かれる。このリフィールホースD6は、吐水口部材D2と一体に形成することも可能である。
【0030】
一方、上記流出口部D13の手洗水用流出口D14に接続される手洗連絡管D3は、前述の如く吐水口部材D2と同様にある程度の柔軟弾性と剛性を兼ね備えた材質、例えばTPE(熱可塑性エラストマー)で形成されており、略L字状に屈曲する筒条に形成して、屈曲部を挟む一方で本体側接続部D31を、他方で吐水具側接続部D32を構成している。
【0031】
この手洗連絡管D3は、本体側接続部D31の外径が上記手洗水用流出口D14の内径と同径に形成されると共に吐水具側接続部D32の外径が手洗吐水具A9の基部開口A94の内径と同径に形成されており、上記本体側接続部D31をボールタップ本体D1の手洗水用流出口D14に内嵌圧入することにより手洗水用流出口D14に接続されて内側タンクAの前記外方に膨出する部分に延び、該部分において吐水具側接続部D32を垂直状に立ち上げて、この吐水具側接続部D32を手洗吐水具A9の基部開口A94に圧入している。
【0032】
尚、上記吐水具側接続部D32を所定の位置で正確に垂直状に立ち上げるための位置決め用に、吐水具側接続部D32の基部には、狭頸部D33が形成され、手洗水用流出口D14の上面部には、上記狭頸部D33の周面に係合する切欠きD17が設けられており、手洗連絡管D3を手洗水用流出口D14に上記狭頸部D33が切欠きD17に正確に係合するように接続した状態で、吐水具側接続部D32が手洗吐水具A9の基部開口A94と同軸に起立し、その上端が手洗吐水具A9の下端より上方に位置するように構成されている。
【0033】
上記吐水具側接続部D32は、外周面に環状の突部D34を有し、この突部D34を手洗吐水具A9の基部開口A94内周面に密着させて、該部をシールすると共に手洗吐水具A9との接続状態を保持している。上記環状突部D34は、先端が下向き傾斜するヒレ状に形成すれば手洗連絡管D3の手洗吐水具A9からの抜け落ち防止に一層有効である。
また、本体側接続部D31には、外周面にリング状の突起D35を設けて手洗水用流出口D14との間のシールの確実性を図っている。
尚、このリング状突起D35は、手洗水用流出口D14側に設けることも任意である。
更に、図9においてD4は、便器洗浄タンク装置に手洗吐水具A9を装備しない場合に手洗水用流出口D14を閉鎖する止栓である。
【0034】
一方、図10〜11は、洗浄弁体の構造を示す。
大洗浄弁体E1は、例えばABS樹脂などの合成樹脂で上面及び底面が開口する円筒状に一体成型され、その周側面に沿って底面のみが開口する環状のフロート室E2を一体に区画形成し、このフロート室E2内に溜まった空気により浮力が付与されて浮力体となり、該フロート室E2の内周面には、上記内側タンクAの底部に一体成型するなどして開設した大洗浄弁座E6より小径な通水孔E3を上下方向へ貫通するように開設している。
フロート室E2の底面は、ゴム製の蓋部材E4を固着して覆われ、この蓋部材E4の底面には、上記内側タンクAに開設した大洗浄弁座E6と対向当接する着座部E5を形成している。
【0035】
小洗浄弁体F1は、例えばABS樹脂などの合成樹脂で上面が閉塞されて底面のみが開口する円筒状に一体成型され、その内側に底面のみが開口する環状のフロート室F2を一体に区画形成し、このフロート室F2内に溜まった空気により浮力が付与されて浮力体となり、このフロート室F2の底面は、ゴム製の蓋部材F3を固着して覆われ、該蓋部材F3の底面には、上記大洗浄弁体E1の上端面に通水孔E3を囲むように一体形成した小洗浄弁座F5と対向当接する着座部F4を形成している。
【0036】
本実施形態では、これら大洗浄弁体E1をヒンジE7により上下方向へ揺動自在に軸支すると共に、小洗浄弁体F1をヒンジ軸F6により上下方向へ揺動自在に軸支し、これらヒンジE7,F6を大洗浄弁体E1の着座部E5及び小洗浄弁体F1の着座部F4の延長線上に接近して配置することにより、ヒンジE7,F6が閉弁時における着座部E5,F4の延長線から上方へ離れるものに比べ、弁体のヒンジ側と反対側とで着座するタイミングが変わり難くなって、閉弁時に着座部E5,F4と大洗浄弁座E6及び小洗浄弁座F5との間に隙間ができず、止水漏れを確実に防止できる。
また、ヒンジE7,F6から大洗浄弁体E1の大洗浄弁座E6と対向当接する着座部E5までの距離と、小洗浄弁体F1の小洗浄弁座F5と対向当接する着座部F4までの距離とを略同じにすることにより、小洗浄弁体F1を大洗浄弁体E1として兼用でき、大洗浄弁体E1に代え小洗浄弁体F1を取り換えて取り付ければ、大洗浄弁Eのみを有する便器洗浄タンク装置となる。
【0037】
そして、上記大洗浄弁体E1には、引上げ部材H1の取り付け部1を小洗浄弁体F1の上下揺動と干渉いないように突設し、該取り付け部1に引上げ部材H1の下端部を係止して開弁操作器具Gと連係させ、上記小洗浄弁体F1には、引上げ部材H2の取り付け部2を突設し、該取り付け部2に引上げ部材H2の下端部を係止して開弁操作器具Gと連係させる。
【0038】
引上げ部材H1は、開弁した小洗浄弁体F1と小洗浄弁座F5との間と対向する小洗浄弁対向部分H11付近に当接して、該小洗浄弁対向部分H11を屈曲不能に保持する保持手段3を設ける。
ここでいう小洗浄弁対向部分H11付近とは、上記取り付け部1に係止される取り付け端H12付近から開弁した小洗浄弁体F1の着座部F4と略同じ高さ位置H13付近までを示し、上下方向へ長い場合には、引上げ部材H1の取り付け端H12から開弁した小洗浄弁体F1の着座部F4の上限位置と略同じ高さ位置H13までをいい、上下方向へ最も短い場合には、取り付け端H12から屈曲しても閉弁した小洗浄弁体F1の蓋部材F3外縁と干渉しないように取り付け端H12から最も近い蓋部材F3外縁まで直線距離より短い長さ寸法だけ上方の位置から、該位置より小洗浄弁体F1に向けて倒れても小洗浄弁体F1の上下揺動と干渉しない位置までをいう。
【0039】
本実施形態の場合には、図10に示す如く保持手段3がある程度の硬度を有する例えば合成樹脂などで引上げ部材H1の外径より大きな円筒状に形成され、円筒体内に上下方向へ長い小洗浄弁対向部分H11を摺動自在に挿通して内周面に当接させることにより、該小洗浄弁対向部分H11を一直線上に保持して屈曲不能にしている。
また、小洗浄弁対向部分H11が上下方向へ最も短い場合には、図示せぬが円筒体内に摺動不能に挿通して内周面に当接させる。
尚、上記保持手段3は、開弁した小洗浄弁体F1と小洗浄弁座F5との間と対向する小洗浄弁対向部分H11付近に当接して屈曲不能に保持すれば円筒体に限定されず、例えば円筒体以外の角筒体などや板材や線材でも良いが、特に構造を簡素化する点から筒体が好ましい。
【0040】
図12〜14は、開弁操作器具Gの構造を示す。
開弁操作器具Gは、内側タンクAの側壁上部に取り付けたスピンドルガイドG1と、このスピンドルガイドG1を回転自在に挿通して先端部を大洗浄弁体E1及び小洗浄弁体F1に連係させたスピンドルG2と、このスピンドルG2に連設した前記タンクカバーBを貫通してその外に突出する操作ハンドルG3と、この操作ハンドルG3をスピンドルG2に対して軸線方向へ調節自在に連結する止め具G4とからなる。
【0041】
スピンドルガイドG1は、合成樹脂でその軸線方向へスピンドルG2が挿通されるガイド孔G11を貫通開設した円筒状に形成され、その内側タンクAと近い基端部外周には、内側タンクAの側壁上端縁から下方に向けて切欠形成した切欠き部A2と係合する差し込みスリットG12を一体形成し、この差し込みスリットG12を切欠き部A2に差し込み係合させることにより、差し込みスリットG12が内側タンクAの側壁を挟んで切欠き部A2が遮蔽されるように取り付ける。
また、スピンドルガイドG1の先端部には、スピンドルG2と係合するストッパーG13を内側タンクAの内側へ向けて突出するように一体形成する。
【0042】
スピンドルG2は、その内側タンクAと近い基端部を上記スピンドルガイドG1のガイド孔G11より若干小径な円柱状に形成して、該ガイド孔G11内に挿通させることにより軸線方向へ往復動自在でしかも回転自在に支持され、先端部に前記大洗浄弁体E1及び小洗浄弁体F1に連係する引上げ部材H1,H2の上端部が夫々係止されるアーム部G21,G22を、該スピンドルG2の軸線方向と直交して夫々側面略ハの字形に突設している。
更に、上記スピンドルガイドG1のガイド孔G11内から内側タンクAの内側へ向けて突出するスピンドルG2の中間部には、スピンドルガイドG1のストッパーG13と周方向へ対向するストッパーG23を突出させて一体形成し、スピンドルガイドG1に対して該スピンドルG2を時計方向及び反時計方向へ所定角度回転した時に、これらストッパーG13,G23を突き当てることにより、スピンドルG2の回転角度範囲を決定している。
また、上記スピンドルガイドG1のガイド孔G11内から内側タンクAの外側へ向けて突出するスピンドルG2の基端部には、操作ハンドルG3のハンドル軸G31が嵌挿される係合孔G24を軸線方向へ開設し、この係合孔G24に外周面上端から抜ける止め孔G25を開穿して、該止め孔G25の周方向に左右一対の切欠きG26,G26を形成する。
【0043】
操作ハンドルG3は、合成樹脂で下方に突出するレバーG31を一体成型したレバーハンドルからなり、その裏面には、タンクカバーBの側壁に開穿した通孔B7を貫通するハンドル軸G32を一体形成し、このハンドル軸G32は、上記スピンドルG2の係合孔G24内に嵌挿することにより軸線方向へ調節移動自在でしかも回転不能に支持され、その軸線方向に上記止め孔G25と対向して複数の係止孔G33…を等間隔に開設し、これら止め孔G25及び係止孔G33…のどれかに止め具G4を挿入することにより、該ハンドル軸G32をスピンドルG2に対して軸方向への移動不能に連結している。
【0044】
止め具G4は、スピンドルG2の基端部外周面と嵌め合うリングの下端を一部切り欠いた形状に形成され、その上端に突子G41を内方へ垂下するように一体成型し、上下中間位置に内方へ突出する左右一対の突起G42,G42を一体成型し、前記内側タンクAとタンクカバーBの位置関係が変化に対応してスピンドルG2に対するハンドル軸G32の位置調節してから、スピンドルG2の基端部外周面に嵌着することにより、突子G41をスピンドルG2の止め孔G25及びハンドル軸G32の係止孔G33…のどれかに嵌挿して係合させると共に、突起G42,G42を切欠きG26,G26に嵌め込み係止する。
更に、本実施形態では、突起G42,G42の下方に仮止め嵌合部G43,G43を連設して、突子G41をスピンドルG2の止め孔G25及びハンドル軸G32の係止孔G33に嵌挿する前の時点で、該仮止め嵌合部G43,G43をスピンドルG2に仮止めすることにより、突子G41を嵌挿する作業中に誤って止め具G4が内側タンクAとタンクカバーBとの間に落下するのを防止している。
【0045】
そして、上記開弁操作器具Gには、該開弁操作器具Gを開弁方向へ保持して前記大洗浄弁Eと小洗浄弁Fを開弁状態のまま保持する開弁保持手段G5を設ける。
この開弁保持手段G5は、上記スピンドルガイドG1に対してスピンドルG2をその軸線方向へ移動させて回転した状態で相互に係合するスピンドルガイドG1及びスピンドルG2に夫々一体成型した係合部G51,G52と、これら係合部G51,G52の係合状態を保持する方向へ押圧する弾性体G53とからなる。
【0046】
係合部G51は、前記スピンドルガイドG1のストッパーG13の軸線方向と直交する左右方向一側面を平面略L字形に切欠して一体成型して周方向へ延びる面であり、この係合部G51と嵌まり合う係合部G52は、スピンドルG2のストッパーG23の左右一側面を平面略L字形に切欠して一体成型した周方向へ延びる面であり、前記操作ハンドルG3をタンクカバーBの側壁から引き離す方向へ引っ張って、これに連結されたスピンドルG2上の係合部G52をスピンドルガイドG1上の係合部G51の周方向延長線位置まで接近させた後に、操作ハンドルG3を大洗浄弁Eの開弁方向である例えば時計方向へ所定角度回転操作することにより、スピンドルG2上の係合部G52をスピンドルガイドG1上の係合部G52に向け周方向へ移動して係合部G51と当接係合させる。
【0047】
スピンドルガイドG1とスピンドルG2の間には、例えば圧縮コイルバネなどの弾性体G53を介装して、上記係合部G51,G52を圧接させる方向へ常時押圧させる。
【0048】
更に、上記係合部G51,G52は、スピンドルG2に該係合部G51,G521の係合回転方向と逆回転方向へ所定以上の圧力がかかった状態で係合状態を解除する解除手段G54を有する。
この解除手段G54は、スピンドルガイドG1の係合部G51に形成したスピンドルG2の係合回転方向へ向かうのに従って徐々に該スピンドルガイドG1の先端側へ凹む傾斜面G54a と、スピンドルG2の係合部G52に形成したスピンドルG2の係合回転方向へ向かうのに従って徐々に該スピンドルG2の先端側へ突出する傾斜面G56とからなる。
本実施形態の場合には解除手段G54が、図12に示す如くスピンドルガイドG1の係合部G51の中央に凹部G51aを部分的に凹設すると共に、該凹部G51aと嵌まり合う凸部G52aをスピンドルG2の係合部G52の中央に部分的に突設し、これら凹部G51a及び凸部G52aとの間に亙って互いに嵌合する傾斜面G54a ,G54b を夫々形成したが、これに限定されず、例えば係合部G51と係合部G52の略全体に亙って互いに嵌合する傾斜面を夫々形成したり、図13に示す如く係合部G51と係合部G52の間に亙って傾斜面を形成せず、上記弾性体G53の弾圧によって係合部G51と係合部G52の間に発生する摩擦力だけで解除手段G54を構成しても良い。
【0049】
次に、斯かる便器洗浄タンクの作動について説明する。
先ず、図1に示す如く大洗浄弁体E1の着座部E5を大洗浄弁座E6に当接し、小洗浄弁体F1の着座部F4を小洗浄弁座F5に当接して、大洗浄弁Eと小洗浄弁Fが共に閉弁している状態から、操作ハンドルG3を例えば反時計方向に回転操作することにより、スピンドルG2が回転してその先端部に設けたアーム部G22が上向きに回動し、図10に示す如く引上げ部材H2を介して小洗浄弁体F1は引き上げられるが、アーム部G21は下向きに回動して引上げ部材H1を弛ませるために大洗浄弁体E1の引き上げは行なわれず、小洗浄弁Fのみが開弁して小洗浄が行なわれ、フロート室F2の浮力によりこの開弁状態が保持される。
【0050】
小洗浄弁Fの開弁により内側タンクA内の洗浄水が、引き上げられた小洗浄弁体F1と小洗浄弁座F5との間に流れ込んで大洗浄弁体E1の通水孔E3を通って排水されるが、弛んだ引上げ部材H1は、保持手段3によって開弁した小洗浄弁体F1と小洗浄弁座F5との間と対向する小洗浄弁対向部分H11が屈曲不能に保持され続ける。
そして、小洗浄弁体F1の位置まで下降して水面から突出する状態になると、小洗浄弁体F1の浮力が落ちるため該小洗浄弁体F1を引上げておくことができなくなり、小洗浄弁体F1が下降し始めるが、保持手段3により屈曲不能に保持され続けた引上げ部材H1の小洗浄弁対向部分H11と干渉せずに下降し終わって小洗浄弁Fが閉弁し、排水が停止される。
【0051】
また、操作ハンドルG3を逆の例えば時計方向に回転操作することにより、スピンドルG2が回転してその先端部に設けたアーム部G21が上向きに回動し、図11に示す如く引上げ部材H1を介して小洗浄弁体F1を載せたまま大洗浄弁体E1が引き上げられ、大洗浄弁Eを開弁して大洗浄が行なわれ、フロート室E2の浮力によりこの開弁状態が保持される。
この際、大洗浄弁体E1の引き上げに伴って図11に示す如く小洗浄弁体F1に開弁方向へ移動しようとする力が作用して小洗浄弁Fも開弁する場合があり、この場合には、開動する小洗浄弁体F1が保持手段3に接触すると、該保持手段3が引上げ部材H1沿いに上方へ位置ズレするなどして、保持手段3より露出した引上げ部材H1の取り付け端H12から小洗浄弁体F1と離れる方向へ屈曲することにより、小洗浄弁体F1の開動を邪魔しないようにしている。
【0052】
大洗浄弁Eの開弁により内側タンクA内の洗浄水が排水され、内側タンクA内の水位が大洗浄弁体E1の位置まで下降して水面から突出する状態になると、大洗浄弁体E1の浮力が落ちるため該大洗浄弁体E1を引上げておくことができなくなり、大洗浄弁体E1が下降し大洗浄弁Eが閉弁して排水が停止される。
【0053】
そして、内側タンクA内の洗浄水が凍結しないように洗浄水を抜く場合には、図14の二点鎖線に示す如く操作ハンドルG3を弾性体G53に抗してタンクカバーBの側壁から引き離す方向へ引っ張ると、スピンドルG2上の係合部G52がスピンドルガイドG1上の係合部G11の周方向延長線位置まで接近する。
【0054】
これに続いて図15に示す如く操作ハンドルG3を例えば時計方向へ所定角度回転操作すると、上述したようにスピンドルG2のアーム部G21が上向きに回動し、引上げ部材H1を介して小洗浄弁体F1を載せたまま大洗浄弁体E1が引き上げられ、大洗浄弁Eを開弁して大洗浄が行なわれる共に、スピンドルG2上の係合部G52がスピンドルガイドG1上の係合部G51に向け周方向へ移動して係合部G51と当接係合し、これら係合部G51,G52は弾性体G53によって係合状態を保持する方向へ押圧される。
これにより引上げ部材H1を介して大洗浄弁体E1が引き上げられたまま保持されるため、大洗浄弁体E1に浮力なくても大洗浄弁Eの開弁状態が保持され、この状態で操作ハンドルG3のレバーG31は、下方へ突出する待機状態から所定角度上がって側方へ突出したまま仮固定される。
【0055】
この側方へ突出する操作ハンドルG3のレバーG31に、使用者が手を触れるなどして該レバーG31を押し下げる方向へ荷重がかかり、これによってスピンドルG2に係合部G51,G52の係合回転方向と逆回転方向の例えば反時計方向へ所定以上の圧力がかかった場合には、解除手段G54で係合部G51,G52の係合状態が解除され、操作ハンドルG3や係合部G51,G52などに荷重が集中せず、これらが破損しない。
【0056】
一方、図16と図17に示すものは、夫々が本発明の他の実施形態であり、図16のものは、引上げ部材H1の小洗浄弁対向部分H11を屈曲不能に保持する保持手段3を設けずに、大洗浄弁体E1に引上げ部材H1の取り付け部1′を、小洗浄弁体F1の上下揺動と干渉しないように開弁した大洗浄弁体E1の着座部F4に向け上方へ延長して連設することにより、開弁中の小洗浄弁Fへ流れ込む洗浄水の流れで引上げ部材H1が小洗浄弁Fに引き込まれて小洗浄弁Fの閉弁を邪魔するのを防止した構成が、前記図10〜11に示した実施形態とは異なり、それ以外の構成は図10〜11に示した実施形態と同じものである。
従って、図10〜11に示した実施形態に比べて保持手段3を設ける必要がないから、部品点数を減少できると共に、組み立て作業が簡単になる。
【0057】
また、図17のものは、引上げ部材H1の小洗浄弁対向部分H11を屈曲不能に保持する保持手段3を設けずに、大洗浄弁体E1に連係する引上げ部材H1の端部H14と、大洗浄弁体E1に連設した引上げ部材H1の取り付け部1との間に、例えば合成樹脂や金属などの屈曲不能な材質で形成した屈曲不能部材4を、開弁した小洗浄弁体F1と小洗浄弁座F5との間と対向するように介在させて連結することにより、開弁中の小洗浄弁Fへ流れ込む洗浄水の流れで引上げ部材H1が小洗浄弁Fに引き込まれて小洗浄弁Fの閉弁を邪魔するのを防止した構成が、前記図10〜11に示した実施形態とは異なり、それ以外の構成は図10〜11に示した実施形態と同じものである。
従って、図17のものは、図16に示した実施形態に比べて大洗浄弁体E1の形状が複雑化せず、コストを低減できる。
【0058】
尚、前示各実施形態では、内側タンクAとタンクカバーBとで二重構造に構成したが、これに限定されず、従来周知の一重構造であっても良いことは言うまでもない。
また、小洗浄弁体F1が浮力を有する構造であったが、これに限定されず、小洗浄弁体F1は浮力を有しない構造であっても良い。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のうち請求項1記載の発明は、大洗浄弁体に連係する引上げ部材の開弁した小洗浄弁体と小洗浄弁座との間と略同じ高さに位置する部分付近を保持手段に当接させることにより、該部分が屈曲不能に保持されるので、小洗浄弁のみの開弁時に大洗浄弁体の弛んだ引上げ部材が洗浄水の流れにより屈曲して開弁中の小洗浄弁に引き込まれるのを防止できる。
従って、開弁した小洗浄弁体と小洗浄弁座との間へ流れ込む洗浄水の影響により大洗浄弁体に連係する弛んだ引上げ部材が屈曲して小洗浄弁体と小洗浄弁座との間に引き込まれ易い従来のものに比べ、引上げ部材が引っ掛からずに小洗浄弁を確実に閉弁でき、その結果、小洗浄弁から洗浄水が無駄に排水されず経済的であると共に、大洗浄時に洗浄水が不足することがなく便器を確実に洗浄できる。
【0060】
請求項2の発明は、請求項1の発明の効果に加えて、引上げ部材の筒体内に挿通した部分が緊張状態に保持されて屈曲不能となるので、簡単な構造で開弁中の小洗浄弁に引き込まれるのを防止でき、コストの低減を図れる。
【0061】
また請求項3の発明は、大洗浄弁体に連係する引上げ部材の取り付け部を、小洗浄弁体の開弁位置に向け上方へ延長して連設することにより、洗浄水の流れで引上げ部材が屈曲しても小洗浄弁体と小洗浄弁座との間まで届かないので、小洗浄弁のみの開弁時に大洗浄弁体の弛んだ引上げ部材が洗浄水の流れにより屈曲して開弁中の小洗浄弁に引き込まれるのを防止できる。
従って、開弁した小洗浄弁体と小洗浄弁座との間へ流れ込む洗浄水の影響により大洗浄弁体に連係する弛んだ引上げ部材が屈曲して小洗浄弁体と小洗浄弁座との間に引き込まれ易い従来のものに比べ、引上げ部材が引っ掛からずに小洗浄弁を確実に閉弁でき、その結果、小洗浄弁から洗浄水が無駄に排水されず経済的であると共に、大洗浄時に洗浄水が不足することがなく便器を確実に洗浄できる。
【0062】
また請求項4の発明は、大洗浄弁体に連係する引上げ部材の端部と、大洗浄弁体に連設した引上げ部材の取り付け部との間に、屈曲不能部材を開弁した小洗浄弁体と小洗浄弁座との間と対向するように介在させて連結することにより、洗浄水の流れで引上げ部材が屈曲しても小洗浄弁体と小洗浄弁座との間まで届かないので、小洗浄弁のみの開弁時に大洗浄弁体の弛んだ引上げ部材が洗浄水の流れにより屈曲して開弁中の小洗浄弁に引き込まれるのを防止できる。
従って、開弁した小洗浄弁体と小洗浄弁座との間へ流れ込む洗浄水の影響により大洗浄弁体に連係する弛んだ引上げ部材が屈曲して小洗浄弁体と小洗浄弁座との間に引き込まれ易い従来のものに比べ、引上げ部材が引っ掛からずに小洗浄弁を確実に閉弁でき、その結果、小洗浄弁から洗浄水が無駄に排水されず経済的であると共に、大洗浄時に洗浄水が不足することがなく便器を確実に洗浄できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の一例を示す便器洗浄タンクの縦断正面図である。
【図2】同横断平面図である。
【図3】タンクの取り付け構造を部分拡大して示す縦断正面図である。
【図4】図3の(4)−(4)線に沿える部分拡大縦断側面図である。
【図5】図3の(5)−(5)線に沿える部分拡大横断底面図である。
【図6】タンクの取り付け構造を示す一部切欠分解斜視図である。
【図7】図2の(7)−(7)線に沿える部分拡大縦断側面図である。
【図8】図2の(8)−(8)線に沿える部分拡大縦断正面図である。
【図9】ボールタップの分解斜視図である。
【図10】小洗浄弁の開弁状態を部分拡大して示す縦断正面図である。
【図11】大洗浄弁の開弁状態を部分拡大して示す縦断正面図である。
【図12】開弁操作器具の構造を示す分解斜視図である。
【図13】解除手段の変形例を示す部分拡大縦断正面図である。
【図14】開弁保持手段の作動開始状態を示す部分的な縦断正面図である。
【図15】開弁保持手段の作動状態を示す部分的な縦断正面図である。
【図16】本発明の他の実施形態を示す便器洗浄タンク装置の部分拡大縦断正面図で小洗浄弁の開弁状態を示したものである。
【図17】本発明の他の実施形態を示す便器洗浄タンク装置の部分拡大縦断正面図で小洗浄弁の開弁状態を示したものである。
【符号の説明】
A 貯水タンク(内側タンク) E 大洗浄弁
E1 大洗浄弁体 E2 浮力体(フロート室)
F 小洗浄弁 F1 小洗浄弁体
H1 引上げ部材 H11 小洗浄弁対向部分
H14 端部 H2 引上げ部材
G 開弁操作器具 1′ 取り付け部
3 保持手段 4 屈曲不能部材
Claims (4)
- 洗浄水が貯溜される貯水タンク(A)と、この貯水タンク(A)に対し上下に重ねて配置された弁体(E1,F1)により開閉する大洗浄弁(E)及び小洗浄弁(F)と、これら大洗浄弁体(E1)及び小洗浄弁体(F1)に夫々屈曲可能な引上げ部材(H1,H2)を介して連係した大洗浄弁(E)及び小洗浄弁(F)を選択的に開弁操作する開弁操作器具(F)とを備え、前記大洗浄弁体(E1)に連係する引上げ部材(H1)の小洗浄弁体(F1)と小洗浄弁座(F5)との間と略同じ高さに位置する部分(H11)を屈曲不能に保持する保持手段(3)を設けたことを特徴とする便器洗浄タンク装置。
- 前記保持手段(3)が筒体からなり、この筒体内に引上げ部材(H1)を挿通する請求項1記載の便器洗浄タンク装置。
- 洗浄水が貯溜される貯水タンク(A)と、この貯水タンク(A)に対し上下に重ねて配置された弁体(E1,F1)の上下方向への揺動により開閉する大洗浄弁(E)及び小洗浄弁(F)と、これら大洗浄弁体(E1)及び小洗浄弁体(F1)に夫々屈曲可能な引上げ部材(H1,H2)を介して連係した大洗浄弁(E)及び小洗浄弁(F)を選択的に開弁操作する開弁操作器具(F)とを備え、上記大洗浄弁体(E1)に浮力体(E2)を一体的に設けた便器洗浄タンク装置において、前記大洗浄弁体(E1)にそれと連係する引上げ部材(H1)の取り付け部(1′)を、開弁した大洗浄弁体(E1)に向け上方へ延長して連設したことを特徴とする便器洗浄タンク装置。
- 洗浄水が貯溜される貯水タンク(A)と、この貯水タンク(A)に対し上下に重ねて配置された弁体(E1,F1)の上下方向への揺動により開閉する大洗浄弁(E)及び小洗浄弁(F)と、これら大洗浄弁体(E1)及び小洗浄弁体(F1)に夫々屈曲可能な引上げ部材(H1,H2)を介して連係した大洗浄弁(E)及び小洗浄弁(F)を選択的に開弁操作する開弁操作器具(F)とを備え、上記大洗浄弁体(E1)に浮力体(E2)を一体的に設けた便器洗浄タンク装置において、前記大洗浄弁体(E1)に連係する引上げ部材(H1)の端部(H14)と、大洗浄弁体(E1)に連設した引上げ部材(H1)の取り付け部(1)との間に、屈曲不能部材(4)を開弁した小洗浄弁体(F1)と小洗浄弁座(F5)との間と対向するように介在させて連結したことを特徴とする便器洗浄タンク装置。
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