JP3617103B2 - 電動送風機 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、インペラを有する電動送風機に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の電動送風機には、板金加工によって製作されたインペラが使用されている。
【0003】
以下に従来の電動送風機について、図5に基づいて説明する。
【0004】
図5において、22はファンケースで、上部中央部にはケース吸込口23を有しており、ケース吸込口23に対向する開口部はモータフレーム24に圧入により取り付けられている。前記ファンケース22の内部にはインペラ本体25,エアガイド26を設けている。27はモータ軸で、インペラ本体25はこのモータ軸27にナット28により締め付けて取り付けられている。29はモータである。
【0005】
以上の構成で、インペラ本体25を回転させることにより気流を発生させるのであるが、その流れの経路はケース吸込口23→インペラ本体25の内部→エアガイド26→モータ29内部の順で外部へと排出される。
【0006】
この電動送風機に使用しているファンケース22およびインペラ本体25は、図6に示すような板金加工された山型の形状を持つ前面シュラウド30と平板形状である後面シュラウド31との間には、湾曲する複数枚のブレード32を具備しており、前記後面シュラウド31にはモータ軸27が連通する穴33を有する構成とするものである。また34は吸込口、35は排出口である。
【0007】
また、ファンケース22にはケース吸込口23を有し、このケース吸込口23にはシール部36を備えてあり、このシール部36はインペラ本体25の前面シュラウド30に有する吸込口34の内側に配する構成となっているものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の従来の構成では、インペラ本体25に対して垂直方向に吸込口34から吸い込まれた空気流が、前面シュラウド30および後面シュラウド31、そしてブレード32で構成される空間を通過し、インペラ本体25外周の排出口35から送り出されることになるが、このとき吸込口34を通過した直後の空気流の流れ方向が、直角方向へと急激に変化するため、入口衝突損失が起こり、乱流発生の原因となり、吸い込み能力の低下につながるおそれがある。
【0009】
本発明はこのような従来の課題を解決するもので、簡単な構成で高精度かつ吸い込み能力を高めた電動送風機用インペラを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の第1の課題解決の手段は、1対の前面シュラウドおよび後面シュラウドと、この1対のシュラウド間に複数枚のブレードを備え、前記ブレードの吸込口側にはインペラ吸込口内径よりも外周側で前記ブレードと接合し、前記前面シュラウドおよび後面シュラウドによって前後から押さえ付けられたインデューサと、このインデューサ外周部に設けた前記ブレードと嵌合するスリットと、前記1対のシュラウド間の略中央に設けられ山形形状を有した樹脂製のハブでインペラ本体を構成し、前記ハブの内部に筒状スペーサを挿入し、この筒状スペーサおよびインペラ本体をモータ軸に締結するようにしたものである。
【0011】
また、本発明の第2の課題解決の手段は、1対の前面シュラウドおよび後面シュラウドと、この1対のシュラウド間に複数枚のブレードを備え、前記ブレードの吸込口側にはインペラ吸込口内径よりも外周側で前記ブレードと接合し、前記前面シュラウドおよび後面シュラウドによって前後から押さえ付けられたインデューサと、このインデューサ外周部に設けた前記ブレードと嵌合するスリットと、前記1対のシュラウド間の略中央に設けられ山形形状を有した樹脂製のハブでインペラ本体を構成し、前記ハブのインペラ吸込口側に締結用治具挿入部を、内部にナット締結用締結部を形成し、前記ナット締結用締結部に薄厚スペーサおよびナットを配したインペラ本体を有するものである。
【0012】
また、本発明の第3の課題解決の手段は、ブレードの枚数よりインデューサの枚数が少なく、かつインデューサを有していないブレードに前記インデューサに比べて小型の補助インデューサを配したインペラ本体を有するものである。
【0013】
【作用】
本発明の第1の課題解決の手段は前記した構成において、インペラ吸込口に曲面を持つインデューサと位置合わせ用のスリットおよび突部を備えたハブを設け、このハブ内に筒状スペーサを挿入しているので、簡単な構成でインデューサを含めたハブを高精度に設置でき、インペラ本体とモータ軸を高い強度で締結でき、さらに空気流の流れ方向の急激な変化を緩和することができ、空気流はインデューサに沿ってスムーズに流れ、入口衝突損失が減少し、吸い込み能力を向上するものである。
【0014】
また、本発明の第2の課題解決の手段は前記した構成において、ハブのインペラ吸込口側に締結用治具挿入部を、ハブ内部にナット締結用締結部を設けることで、インペラ吸込口側から締結用治具を締結用治具挿入部に挿入し回転すると、ハブ内部のナット締結用締結部がナットを回転させるため、より簡単な構成でインペラ本体とモータ軸を締結でき、さらに空気流の流れ方向の急激な変化を緩和することができ、空気流はインデューサに沿ってスムーズに流れ、入口衝突損失が減少し、吸い込み能力を向上するものである。
【0015】
また、本発明の第3の課題解決の手段は前記した構成において、ブレード枚数に対してインデューサの枚数を少なくし、かつインデューサを減らした箇所には補助インデューサを配しているため、インペラ吸込口の面積を広く確保することができ、空気流がインデューサに沿って、よりスムーズに通過し、さらに吸い込み能力を向上するものである。
【0016】
【実施例】
(実施例1)
以下、本発明の第1の実施例について、図1および図2に基づいて説明する。
【0017】
図において1,2は1対の前面シュラウド,後面シュラウドを示している。3はインペラ吸込口である。4は複数枚の湾曲したブレードであり、このブレード4は前面シュラウド1および後面シュラウド2とは複数個のかしめ部5によってかしめられている。さらに前記ブレード4の吸込口側には、インペラ吸込口3内径よりも外周側でブレード4と接合する三次元的な曲面を持たせるように先端を回転方向に曲げたインデューサ6を有し、前記前面シュラウド1および後面シュラウド2によって前後から押さえ付けられている。このインデューサ6のインペラ吸込口3隣接部には突部7を設け、前記インデューサ6の設置位置がインペラ吸込口3の中心となるように決定している。8はスリットで山型形状のハブ9の外周部に設け、このスリット8にブレード4を挿入することによりインデューサ6を含むハブ9のインペラ回転方向の位置を決定している。10,11は締結用の薄厚スペーサで、12は筒状スペーサであり、この筒状スペーサ12の高さはハブ9の高さと等しいか若干高めに設定しており、また前記薄厚スペーサ10,11、前記筒状スペーサ12ともにハブ9とは隙間を設けている。13はナットで筒状スペーサ12,薄厚スペーサ10,11を介してモータ軸14とインペラ本体15を締結している。なお本実施例を構成するインペラ本体15は、前記インデューサ6および前記ハブ9を樹脂製、前記前面シュラウド1,後面シュラウド2および前記ブレード4は板金加工によるものである。
【0018】
以上の構成において作用を説明すると、インペラ本体15が高速回転してインペラ吸込口3から空気流がインペラ本体15内に流れ込むときに、インペラ吸込口3近傍ではインデューサ6に沿って空気流が通過するのである。
【0019】
以上のように本実施例の電動送風機用インペラによれば、インペラ吸込口3から流入する空気流は、ブレード4のインペラ吸込口3側に一体となったインデューサ6に沿って通過するので、簡単な構成で、空気流の流れ方向の急激な変化が緩和され、入口衝突損失が減少し、乱流を発生させず、高い吸い込み能力を得ることができる。さらにインデューサ6およびハブ9は前面シュラウド1および後面シュラウド2によって強固に前後から固定され、かつ突部7およびスリット8により設置位置が移動することがないものである。
【0020】
(実施例2)
次に、本発明の第2の実施例について、図3に基づいて説明する。
【0021】
基本構成は前記第1の実施例と同様なので、同一構成部材には同一番号を付し説明は省略する。
【0022】
本実施例では前記筒状スペーサ12を用いずハブ16のインペラ吸込口3側には締結用治具挿入部17を、前記ハブ16内部にはナット13の形状に近似したナット締結用締結部18を配してあり、かつ前記ハブ16内部とナット13,薄厚スペーサ10,11との間には隙間を設けてある。ここで締結用治具を前記締結用治具挿入部17に挿入し回転することにより、連動してハブ16およびナット13が回転し、インペラ本体19をモータ軸14に締結している。なお本実施例を構成するインペラ本体19は、前記インデューサ6および前記ハブ16を樹脂製、前記前面シュラウド1,後面シュラウド2および前記ブレード4は板金加工によるものである。
【0023】
以上のように本実施例の電動送風機用インペラによれば、インペラ吸込口3から流入する空気流は、ブレード4のインペラ吸込口3側に一体となったインデューサ6に沿って通過するので、ここでナット13が外部ではなく内部に挿入されていることから、ハブ16を空気流の流れに適した形状に自由に設定することが可能となり、より簡単な構成で、空気流の流れ方向の急激な変化が緩和され、入口衝突損失が減少し、乱流を発生させず、高い吸い込み能力を得ることができる。さらにインデューサ6およびハブ16は前面シュラウド1および後面シュラウド2によって強固に前後から固定され、かつ突部7およびスリット8により設置位置が移動することがないものである。
【0024】
(実施例3)
次に、本発明の第3の実施例について、図4に基づいて説明する。
【0025】
基本構成は前記第1の実施例と同様なので、同一構成部材には同一番号を付し説明は省略する。
【0026】
本実施例ではブレード4の枚数に対してインデューサ6の枚数を少なくしてあり、かつ前記インデューサ6を減らした箇所には前記インデューサ6に比べて小型の補助インデューサ20を配している点が特徴である。具体的には前記ブレード4の枚数を9枚、2枚おきにインデューサ6を計3枚とし、残り6枚については前記補助インデューサ20を設けている。なお本実施例を構成するインペラ本体21は、前記インデューサ6および前記ハブ9を樹脂製、前記前面シュラウド1,後面シュラウド2および前記ブレード4は板金加工によるものである。
【0027】
以上のように本実施例の電動送風機用インペラによれば、インペラ吸込口3から吸い込んだ空気流は、ブレード4のインペラ吸込口3側に一体となったインデューサ6に沿って通過するわけだが、インデューサ6の枚数をブレード4の枚数より少なくすることによって、インペラ吸込口3の通路面積を広く確保し、かつさらに流れをスムーズにするためにインデューサ6を減らした箇所には小型の補助インデューサ20を配して、入口速度の増速を抑えて入口衝突損失を減少させることから、簡単な構成で、空気流の流れ方向の急激な変化を緩和することができ、乱流を発生させず、さらに高い吸い込み能力を得ることができる。なお本実施例において、ブレード4の枚数とインデューサ6の枚数の公約数が等しくなるようにして、さらにインデューサ6をインペラ吸込口3全周にわたって、極力均等に配置するほうが空気流の乱れを少なくすることができるものである。
【0028】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように請求項1記載の発明によれば、簡単な構成でインデューサを含めたハブを高精度に設置でき、インペラ本体とモータ軸を高い強度で締結でき、さらに空気流の流れ方向の急激な変化を緩和することができ、空気流はインデューサに沿ってスムーズに流れ、入口衝突損失が減少し、高い吸い込み能力を得ることができる。
【0029】
また、請求項2記載の発明によれば、より簡単な構成でインペラ本体とモータ軸を締結でき、さらに空気流の流れ方向の急激な変化を緩和することができ、空気流はインデューサに沿ってスムーズに流れ、入口衝突損失が減少し、高い吸い込み能力を得ることができる。
【0030】
また、請求項3記載の発明によれば、インペラの入口面積を広く確保することができ、空気流がインデューサに沿って、よりスムーズに通過し、さらに高い吸い込み能力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す電動送風機用インペラの側断面図
【図2】同、電動送風機用インペラの一部欠載斜視図
【図3】本発明の第2の実施例を示す電動送風機用インペラの側断面図
【図4】本発明の第3の実施例を示す電動送風機用インペラの側断面図
【図5】従来の電動送風機の一部欠載断面図
【図6】同、電動送風機用インペラおよびファンケースの側断面図
【符号の説明】
1 前面シュラウド
2 後面シュラウド
3 インペラ吸込口
4 ブレード
6 インデューサ
7 突部
8 スリット
9,16 ハブ
10,11 薄厚スペーサ
12 筒状スペーサ
13 ナット
14 モータ軸
15,19,21 インペラ本体
17 締結用治具挿入部
18 ナット締結用締結部
20 補助インデューサ

Claims (3)

  1. 1対の前面シュラウドおよび後面シュラウドと、この1対のシュラウド間に複数枚のブレードを備え、前記ブレードの吸込口側にはインペラ吸込口内径よりも外周側で前記ブレードと接合し、前記前面シュラウドおよび後面シュラウドによって前後から押さえ付けられたインデューサと、このインデューサ外周部に設けた前記ブレードと嵌合するスリットと、前記1対のシュラウド間の略中央に設けられ山形形状を有した樹脂製のハブでインペラ本体を構成し、前記ハブの内部に筒状スペーサを挿入し、この筒状スペーサおよびインペラ本体をモータ軸に締結するようにした電動送風機。
  2. 1対の前面シュラウドおよび後面シュラウドと、この1対のシュラウド間に複数枚のブレードを備え、前記ブレードの吸込口側にはインペラ吸込口内径よりも外周側で前記ブレードと接合し、前記前面シュラウドおよび後面シュラウドによって前後から押さえ付けられたインデューサと、このインデューサ外周部に設けた前記ブレードと嵌合するスリットと、前記1対のシュラウド間の略中央に設けられ山形形状を有した樹脂製のハブでインペラ本体を構成し、前記ハブのインペラ吸込口側に締結用治具挿入部を、ハブ内部にナット締結用締結部を形成し、前記ナット締結用締結部に薄厚スペーサおよびナットを配したインペラ本体を有する電動送風機。
  3. ブレードの枚数よりインデューサの枚数が少なく、かつインデューサを有していないブレードに前記インデューサに比べて小型の補助インデューサを配したインペラ本体を有する請求項1または2記載の電動送風機。
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