JP4355099B2 - 遠心型流体機械 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遠心型流体機械に係り、特に遠心圧縮機や電気掃除機の電動送風機等として用いられる羽根付きディフューザを持つ遠心型流体機械に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
遠心型流体機械は、その効率向上のために、遠心羽根車の羽根付きディフューザを使用することが多い。しかしながら、遠心流体機械の遠心羽根車の出口流速は周方向、すなわち羽根ピッチ方向に非一様である。これにより、ディフューザには周期的に変動する流れが流入することになり、この変動流れの周波数は遠心羽根車の羽根通過周波数、すなわち(羽根枚数)×(回転周波数)に等しくなる。このため、羽根無しディフューザに比べて羽根付きディフューザでは羽根通過周波数で卓越した騒音が発生するという問題点があった。
【0003】
そこで、従来の遠心圧縮機としては、特開平6−307392号公報(従来技術1)に示されているように、遠心圧縮機騒音のうち翼通過周波数成分が減少し、流路後半の摩擦損失も低減される遠心圧縮機を提供するために、遠心羽根車と羽根付ディフューザを備える遠心圧縮機において、ディフューザは一対のディフューザ板と、その間の円形翼列形状の前縁半径が等しく長さの異なる案内羽根とにより構成され、かつ隣合う長い案内羽根の間には一枚以上の短い案内羽根が設置され、案内羽根の総数は羽根車の羽根の数の1.5倍から1.9倍とし、案内羽根の翼間流路のうち一部にのみスロートが形成されるようにしたものがある。
【0004】
また、従来の電気掃除機等に使用される電動送風機としては、特開昭62−70695号公報(従来技術2)に示されているように、モータにより駆動される遠心形インペラと、このインペラより送出された気流をインペラ外周からモータへ導く通路を有するエアーガイドと、これらインペラ、エアーガイドを内包するケーシングと、機器への取着用にケーシングの外周に覆着したサポートゴムとを具備し、ケーシングのインペラ外周近傍に穴を形成すると共に、この穴と対向してサポートゴムに凹部を形成し、電動送風機で特に問題となる高周波音を低減しようとするものがある。
【0005】
さらに、従来の電気掃除機に用いられる電動送風機としては、特開平8−164096号公報(従来技術3)に示されているように、ディフューザを有する電動送風機において、ディフューザのそれぞれの羽根の間に位置する複数の穴をディフューザ板に設け、このディフューザ板の裏側に前記穴と連通した空洞を設け、その空洞部に吸音材を設けることにより、騒音を低減するものがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術1では、ディフューザの案内羽根の形状が複雑となり、その案内羽根の枚数も増えるので、製造にあたってのコストが増大するという問題点があった。
【0007】
また、従来技術2では、インペラの穴及びサポートゴムの凹部が外周部にのみ形成されているため、インペラとケーシングとの隙間空間の半径方向全体にわたる騒音低減を図るものではなく。騒音を十分に低減できないという問題点があった。
【0008】
さらに、従来技術3では、ディフューザの羽根の部分に開口部とそれと連通した空洞部があるため、流れの抵抗が増加することにより電動送風機の効率が低下するという問題点があった。
【0009】
そして、従来技術1から3においては、羽根車とケーシングとの空隙空間を含む流路空間内での共鳴周波数を解析し、その共鳴周波数と羽根通過音周波数との一致を見て騒音の低減を図ることに関しては何ら記載されていない。
【0010】
本発明の目的は、安価な構造で、高効率を維持しながら、大幅な低騒音を実現可能な遠心型流体機械を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、羽根枚数Ziの羽根車羽根を円周方向に複数設けた遠心羽根車と、前記遠心羽根車の下流に配置され且つ羽根枚数Zdの案内羽根を円周方向に複数設けたディフューザと、前記遠心羽根車の前後に設置されたケーシングと、前記遠心羽根車を回転させる駆動装置と、前記駆動装置を回転数制御する制御装置と、を備える遠心型流体機械において、前記制御装置は、前記遠心羽根車と前記ケーシングとの隙間空間を含む流路空間内で生じる共鳴周波数と前記遠心羽根車が回転周波数Nで回転する場合に発生する羽根通過音周波数N×Ziまたはそのn次高調波成分n×N×Ziと前記解析により得られた共鳴周波数とが一致して騒音が増幅する場合に、この騒音が増幅する単数または複数の回転周波数およびその近傍の回転周波数での運転を避けるように制御すると共に、前記共鳴周波数に対応する共鳴モードの前記遠心羽根車の周方向のモードの次数mが、M1=mod(Zi、Zd)またはM2=Zd−mod(Zi、Zd)と一致するときに、騒音が増加する共鳴周波数であるとして制御するように構成したことにある。
また、本発明では、羽根枚数Ziの羽根車羽根を円周方向に複数設けた遠心羽根車と、前記遠心羽根車の下流に配置され且つ羽根枚数Zdの案内羽根を円周方向に複数設けたディフューザと、前記遠心羽根車の前後に設置されたケーシングと、前記遠心羽根車を回転させる駆動装置と、前記駆動装置を回転数制御する制御装置と、を備える遠心型流体機械において、前記制御装置は、前記遠心羽根車と前記ケーシングとの隙間空間を含む流路空間内で生じる共鳴周波数と前記遠心羽根車が回転周波数Nで回転する場合に発生する羽根通過音周波数N×Ziまたはそのn次高調波成分n×N×Ziと前記解析により得られた共鳴周波数とが一致して騒音が増幅する場合に、この騒音が増幅する単数または複数の回転周波数およびその近傍の回転周波数での運転を避けるように制御すると共に、前記共鳴周波数に対応する共鳴モードの前記遠心羽根車の周方向のモードの次数mが、M1=mod(nZi、Zd)またはM2=Zd−mod(nZi、Zd)と一致するときに、騒音が増加する共鳴周波数であるとして制御するように構成したことにある。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施例を図を用いて説明する。なお、第2実施例以降の実施例においては第1実施例と重複する説明を省略する。また、各実施例の図における同一符号は同一物または相当物を示す。
【0017】
まず、本発明の第1実施例の遠心型流体機械を図1から図5を用いて説明する。図1は本発明の第1実施例の遠心型流体機械の要部断面図、図2は図1のA−A断面図、図3は同遠心型流体機械を構成する手順を示す説明図、図4は同遠心型流体機械の共鳴周波数の解析結果と騒音実測値との比較説明図、図5は同遠心型流体機械の隙間空間の共鳴周波数におけるモード図である。
【0018】
遠心羽根車2は、駆動装置14の回転軸1の先端部に固着され、駆動装置14による回転軸1の回転に伴って回転される。また、遠心羽根車2は、円周方向にわたって複数の羽根車羽根10が設けられ、前面中央部から空気を吸込んで羽根車羽根10の間を通して外周側面から外方に吹出すように構成されている。そして、駆動装置14は制御装置20により回転数制御される例えばモータである。
【0019】
ケーシング12及びケーシング13は、遠心羽根車2の前後に遠心羽根車2を包むように配置され、遠心羽根車2との間に隙間空間7、8を有している。このケーシング12の最外周部には、スクロール6が形成されている。そして、吸込管9は、遠心羽根車2の前面中央部の吸込口と連通して吸込み通路を形成するように配置され、ケーシング12の前面に取付けられている。
【0020】
ディフューザ11は、遠心羽根車2の下流側の外周外方に全周にわたって設けられ、ディフューザ板3、4とその間に位置する案内羽根5とから構成されている。ディフューザ板3はケーシング12内側に取付けられ、ディフューザ板4はケーシング13の外周部と共用して構成されている。案内羽根5は、図4で明らかなように、円形翼列形状に複数枚設けられている。
【0021】
ここで、遠心型流体機械における騒音が発生する理由を説明する。
【0022】
制御装置20の制御により駆動装置14が駆動されると、回転軸1が回転され、これに伴って遠心羽根車2が回転される。これにより、空気の流れは、図1の矢印に示すように、吸込み管9から吸込まれ、回転する羽根車羽根10より受ける遠心力により、加速されてディフューザ11の方向に遠心羽根車2より放出される。この放出される流れは、図2に示した遠心羽根車2に設置された羽根車羽根10から放出される流れの速度ベクトルvに示されるように、羽根車羽根10の位置で減速する。
【0023】
このため、ディフューザ11に設けられた案内羽根5の先端では、遠心羽根車2の回転周波数Nと羽根車羽根枚数Ziの積である羽根通過音周波数(N×Zi)およびその高調波成分(n×N×Zi)の周波数での変動圧力を受けることとなる。この変動圧力により図4に示した騒音の羽根通過音成分202が発生し、騒音の騒音オーバオール値201を大きく増大させることとなる。この騒音の増加は、案内羽根5の先端に生じた変動圧力により、流れの流路内で音響的な共鳴が起こったために生ずるものである。
【0024】
この流れの流路は、吸込み管9から遠心羽根車2を経てディフューザ11を経由し、その下流にあるスクロール6と、遠心羽根車2の軸方向前後にあるケーシンング12、13と遠心羽根車2との隙間空間7、8より構成される。一般に音響的な共鳴は、周囲を囲まれた閉空間に近い形状の部位で発生するため、図1に示す遠心型流体機械の流路内では、隙間空間7、8にて共鳴が起こりやすい。
【0025】
そこで、本発明では、図3に示すように、まず、遠心羽根車2とケーシング12、13との隙間空間7、8を含む流路内での共鳴周波数を解析し(ステップ101)、さらに案内羽根5の先端に生じた変動圧力周波数、すなわち、羽根通過音周波数(N×Zi)またはその高調波成分(n×N×Zi)が共鳴周波数と一致したときの騒音が増幅するかどうか及び騒音増幅範囲の判定をし(ステップ102)、図4に示すように判定された騒音増幅範囲203の回転数での運転を避けるように回転数を制御または回転数制限を行う(ステップ103)ように構成したことにより、遠心型流体機械の騒音を低減するものである。これらの点について、以下に具体的に説明する。
【0026】
まず、共鳴周波数の解析方法101について具体的に説明する。
【0027】
隙間空間7、8は、それぞれケーシング12とディフューザ板3と遠心羽根車2、回転軸1とディフューザ板4とケーシング13とにより囲まれた二重の円筒内空間を形成している。このため、共鳴周波数の解析は、二重円筒内空間の共鳴周波数の解析問題として、例えばマグロウヒル社1968年出版のモース、インガード著のセオレティカルアクースティックス(P.M.Morse、 K.U.Ingard:Theoretical Acoustics:Magraw−Hill(1968))、P356ページ記載のごとく、次の手法を利用して求められる。
【0028】
二重円筒内空間での音圧pは、隙間空間7、8が回転軸方向に薄いために回転軸方向の音圧分布を一定とし、音の角速度をωとして、半径方向w、円周方向φの座標系で分解し、iを虚数単位とすると、次の式(1)で表わされる。
【0029】
【数1】
ここで、式(1)を波動方程式(2)に代入すると、変数の独立性から式(3)及び式(4)の2つの方程式が得られる。
【0030】
【数2】
【数3】
【数4】
ここで、kは、波数であり、音の周波数fまたは角速度ωに対して、k=ω/c=2πf/cの関係にある。
【0031】
式(3)及び式(4)の2つの方程式のうち、Φの一般解は、cos(mφ)、sin(mφ)(mは周方向の共鳴モードの次数であり0以上の整数)である。さらに、Rの一般解は、ベッセル関数Jm(k×w)(第1種ベッセル関数または狭義のベッセル関数)とNm(k×w)(第2種ベッセル関数またはノイマン関数)である。
【0032】
二重円筒の外側(半径w1)と内側(半径w2)の円筒の表面において、半径方向の粒子速度を0とおき、式(4)を変形すると、次の式(5)となる。
【0033】
【数5】
このため、周方向の共鳴モードm=2と、隙間空間7または8の外側と内側の半径w1及びw2を式(5)に代入して式(5)のF(k)=0を満足するkの値を求めれば、隙間空間7または8の共鳴周波数を求めることができる。例えば周方向の共鳴モードm=2としたとき、式(5)を満足するkの値を小さい方からk0、k1、k2とすれば、それぞれのkでは半径方向にそれぞれ0、1、2の節をもった図5に示す共鳴モードとなる。このとき対応する共鳴周波数fは、f=(c/2π)kにより得られる。
【0034】
なお、共鳴周波数の解析方法としては、隙間空間7、8を含む流路の有限要素法などによる固有値解析を行うことにより、より精度の高い解析を行うことも可能である。
【0035】
次に、騒音増幅範囲の判定方法102について具体的に説明する。
【0036】
図1の隙間空間7、8で共鳴を引き起こす為には、式(5)の解である共鳴周波数fにおいて、円周方向にモード次数mの加振力が存在しなければならない。円周方向のモードは、遠心型流体機械の遠心羽根車2が羽根枚数Ziとし、ディフューザ11が羽根枚数Zdとするとき、次のようにして求めることができる。
【0037】
図2に示すように、遠心羽根車2上の羽根10aによる変動圧力が案内羽根5aと干渉する位置にある状態において、遠心羽根車2の回転周波数をNとすると、羽根10aが次に案内羽根5bと干渉するまでの時間Tは次の式(6)となる。
【0038】
T=1/(N×Zd) (6)
また、遠心羽根車2とディフューザ11の案内羽根5間の干渉がおこる羽根通過音周波数は遠心羽根車2の回転周波数Nと遠心羽根車2の羽根枚数Ziの積N×Ziである。この羽根通過音周波数で、羽根10aが案内羽根5aと干渉したあと、次の案内羽根5bと干渉するまでの時間Tの間に、羽根通過音周波数での音の位相は次の式(7)のθだけ進む。すなわち、案内羽根5bの先端の変動圧力の位相は、案内羽根5aの先端の変動圧力の位相を基準にとると、次の式(7)のθだけ遅れた位相の波形となる。
【0039】
θ=2πT/(1/(N×Zi))=2πZi/Zd (7)
従って、隙間空間7、8の外周に、ディフューザ11のZd枚の案内羽根5のそれぞれの位置に対応して、遠心羽根車2の回転方向に位相がθずつ遅れた音源が存在することになる。ここで、θの値は、上述の式(7)より、例えばZi>Zdのときには2πを越える。θの実際の位相は2πおよびその整数倍の値を加減しても変化しないので、最も共鳴の起こりやすい低次の値とするため、次の式(8)で2π以下のθ1に変換した値を用いる。
【0040】
θ1=(2π/Zd)mod(Zi、Zd) (8)
以上より、羽根通過音周波数でディフューザの位置に対応してθ1ずつ位相の遅れた加振力が、遠心羽根車2の回転方向に伝播する音波の空間内での共鳴周波数と一致するときに共鳴が起こる。なお、このときの円周方向の加振力のモードM1は、次の式(9)により得られる。
【0041】
M1=Zd×θ1/2π=mod(Zi、Zd) (9)
さらに、遠心羽根車2の逆回転方向に回転する音波の位相遅れθ2は、θ2=2π―θ1となるので、対応する逆回転方向の円周方向の加振力モードM2は次の式(10)となる。
【0042】
M2=Zd−mod(Zi、Zd) (10)
従って、図3の騒音増幅範囲の判定方法102において、共鳴周波数fにおける隙間空間7、8の周方向の共振モードの次数が式(9)または式(10)のM1またはM2と一致する場合に、騒音が増幅すると判定し、この場合の共鳴周波数fおよびその近傍の周波数を騒音増幅範囲と判定することにより、精度よく騒音増幅範囲を求めることができる。なお、騒音増幅範囲は、共鳴周波数の前後5%と判定する。
【0043】
なお、騒音増幅範囲の判定方法102としては、隙間空間7、8を含む流路の有限要素法や境界要素法などによる応答解析を、前記の組み合わせることにより、増幅倍率を定量的に求めることにより、より精度の高い解析を行うことも可能である。
【0044】
次に、騒音増幅範囲の判定結果と騒音の実測値との比較について図4を用いて説明する。
【0045】
図4には、遠心羽根車2の羽根枚数が11枚、ディフューザの案内羽根の羽根枚数が12枚の組み合わせによる遠心型流体機械の場合の計算結果を示す。式(9)、式(10)より得られたモードM1=1、M2=11に対応する隙間空間7または8の共鳴周波数を式(5)より求め回転数に変換した結果を、図4中にそれぞれ白三角または黒三角で示す。ただし、ここではM2=11に対応する周波数は図示した範囲にないため、M1=1に対応するモードのみが示されている。この白三角または黒三角で示す共鳴周波数は、騒音の羽根通過音成分実測値202及び騒音のオーバーオール実測値201のピークと一致していることが図4より明らかである。さらには、騒音増幅範囲の判定方法102で共鳴周波数の前後5%に判定された騒音増幅範囲203は、騒音の羽根通過音成分実測値202及び騒音のオーバーオール実測値のピークの生ずる範囲とほぼ一致していることが図4より明らかである。従って、上述した騒音増幅範囲判定をすることにより、実際に共鳴現象の起こる回転数を予測できることがわかる。
【0046】
また、図3の騒音増幅範囲の判定方法102に関する他の方法として、羽根通過周波数のn次の高調波成分を用いる場合には、遠心羽根車2の羽根枚数Nがn倍になったとみなせばよいので、式(9)および式(10)を、次のそれぞれの式(11)、式(12)とすればよい。
【0047】
M1=mod(nZi、Zd) (11)
M2=Zd−mod(nZi、Zd) (12)
次に、騒音が増幅する周波数を避ける回転数で運転する方法103について具体的に説明する。
【0048】
本実施例においては、駆動装置14は制御装置20により回転数制御されるようになっており、騒音増幅範囲での定速運転を行わないように構成されている。すなわち、回転数指令値が騒音増幅範囲内の場合には、騒音増幅範囲外の回転指令値に変更して騒音増幅範囲外で定速運転を行なうように構成されている。従って、駆動装置14における定速運転は、騒音増幅範囲をスキップする可変回転数で制御されることとなる。これにより、遠心型流体機械の騒音は大幅に低減することができる。なお、駆動装置が回転数制御されない定速型の場合には、予め共鳴周波数を解析して騒音増幅範囲を判定しておき、この騒音増幅範囲を避けて運転する回転数に制限した遠心型流体機械を構成することにより、大幅な騒音低減を図ることができる。
【0049】
次に、本発明の第2実施例を図6及び図7を用いて説明する。図6は本発明の第2実施例の遠心型流体機械の要部断面図、図7は図6のB−B断面図である。
【0050】
本実施例は、図6の隙間空間7、8で起こる共鳴現象を押さえるため、それぞれの隙間空間7、8の遠心羽根車2をはさんで対抗する面に、吸音手段を構成する吸音材70、80を半径方向に長い寸法で円周方向に延びる広い範囲にわたって設けている。このように隙間空間7、8に面して吸音材70、80を設けるという簡単な構成で、共鳴による騒音増加を抑制できるので、遠心型流体機械の騒音の低減が可能である。具体的には、吸音材70、80を隙間空間7、8のほぼ前面にわたって設けているので、共鳴による騒音増加を顕著に抑制できる。また、本実施例を上述した第1実施例と組合せることにより、騒音のより一層の低減を図ることができる。
【0051】
次に、本発明の第3実施例を図8及び図9を用いて説明する。図8は本発明の第3実施例の遠心型流体機械の要部断面図、図9は図8のC−C断面図である。
【0052】
本実施例は、図6の隙間空間7、8で起こる共鳴現象を押さえるため、それぞれの隙間空間の遠心羽根車2をはさんだ対抗面に突起部71、72、81、82、83を円周方向に延びるように設け、遠心羽根車2の半径方向の音波の伝播を遮ることにより、半径方向の共鳴モードの発生を抑制することが可能である。具体的には、図9で明らかなように、全周に延びる突起部71、72、81、82、83を設けているので、遠心羽根車2の半径方向の音波の伝播を顕著に遮断することができる。特に最も外側の共鳴による騒音増加を低減できるので、遠心型流体機械の騒音の大幅低減が可能である。円周方向に設けた突起部による遠心羽根車2の回転に対する抵抗は少ないため、遠心型流体機械の効率を低下させることは少ない。さらに、突起部に挟まれた部分に図6と同様に円周方向に吸音材を設置すれば、円周方向に伝播する騒音も低減することができ、さらなる騒音低減が可能である。そして、これらを第1実施例と組合せることにより、さらなる騒音低減が可能である。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、安価な構造で、高効率を維持しながら、大幅な低騒音を実現可能な遠心型流体機械を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の遠心型流体機械の要部断面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】同遠心型流体機械を構成する手順を示す説明図である。
【図4】同遠心型流体機械の共鳴周波数の解析結果と騒音実測値との比較説明図である。
【図5】同遠心型流体機械の隙間空間の共鳴周波数におけるモード図である。
【図6】本発明の第2実施例の遠心型流体機械の要部断面図である。
【図7】図6のB−B断面図である。
【図8】本発明の第3実施例の遠心型流体機械の要部断面図である。
【図9】図8のC−C断面図である。
【符号の説明】
1…回転軸、2…遠心羽根車、3、4…ディフューザ板、5…案内羽根、6…スクロール、7、8…隙間空間、9…吸込管、10…羽根車羽根、11…ディフューザ、12、13…ケーシング、14…駆動装置、20…制御装置、70、80…吸音手段、71、72、81、82、83…突起部。
Claims (2)
- 羽根枚数Ziの羽根車羽根を円周方向に複数設けた遠心羽根車と、
前記遠心羽根車の下流に配置され且つ羽根枚数Zdの案内羽根を円周方向に複数設けたディフューザと、
前記遠心羽根車の前後に設置されたケーシングと、
前記遠心羽根車を回転させる駆動装置と、
前記駆動装置を回転数制御する制御装置と、を備える遠心型流体機械において、
前記制御装置は、前記遠心羽根車と前記ケーシングとの隙間空間を含む流路空間内で生じる共鳴周波数と前記遠心羽根車が回転周波数Nで回転する場合に発生する羽根通過音周波数N×Ziまたはそのn次高調波成分n×N×Ziと前記解析により得られた共鳴周波数とが一致して騒音が増幅する場合に、この騒音が増幅する単数または複数の回転周波数およびその近傍の回転周波数での運転を避けるように制御する
と共に、前記共鳴周波数に対応する共鳴モードの前記遠心羽根車の周方向のモードの次数mが、M1=mod(Zi、Zd)またはM2=Zd−mod(Zi、Zd)と一致するときに、騒音が増加する共鳴周波数であるとして制御することを特徴とする遠心型流体機械。 - 羽根枚数Ziの羽根車羽根を円周方向に複数設けた遠心羽根車と、
前記遠心羽根車の下流に配置され且つ羽根枚数Zdの案内羽根を円周方向に複数設けたディフューザと、
前記遠心羽根車の前後に設置されたケーシングと、
前記遠心羽根車を回転させる駆動装置と、
前記駆動装置を回転数制御する制御装置と、を備える遠心型流体機械において、
前記制御装置は、前記遠心羽根車と前記ケーシングとの隙間空間を含む流路空間内で生じる共鳴周波数と前記遠心羽根車が回転周波数Nで回転する場合に発生する羽根通過音周波数N×Ziまたはそのn次高調波成分n×N×Ziと前記解析により得られた共鳴周波数とが一致して騒音が増幅する場合に、この騒音が増幅する単数または複数の回転周波数およびその近傍の回転周波数での運転を避けるように制御すると共に、前記共鳴周波数に対応する共鳴モードの前記遠心羽根車の周方向のモードの次数mが、M1=mod(nZi、Zd)またはM2=Zd−mod(nZi、Zd)と一致するときに、騒音が増加する共鳴周波数であるとして制御することを特徴とする請求項1に記載の遠心型流体機械。
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