JP3617098B2 - 4輪駆動車の駆動力分配制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は4輪駆動車の駆動力分配制御装置に関し、詳しくは、エンジン駆動力を運転条件に応じて主駆動輪と従駆動輪とに分配する構成の4輪駆動車の駆動力分配制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の4輪駆動車の駆動力分配制御装置としては、特開平2−270641号公報に開示されるような装置が知られている。このものは、エンジン直結駆動系の後輪(主駆動輪)に対し、制御信号に応じて締結力が変化するトルク分配用クラッチを介して前輪(従駆動輪)にエンジン駆動力を伝達する構成の4輪駆動車において、前後輪の回転速度差を演算し、該回転速度差が大きい程、即ち、主駆動輪である後輪のスリップの発生が大きい程前記クラッチの締結力を増大させて前輪(従駆動輪)側に対する駆動力分配を高めて、速やかに後輪(主駆動輪)のスリップを抑制させるようになっている。
【0003】
更に、前記公報に開示される装置では、前記回転速度差に基づく駆動力分配制御の遅れによって発進時に後輪(主駆動輪)の空転が発生することを未然に防止すべく、発進時(低車速時)には、エンジン駆動力(アクセル開度)に応じて前記クラッチの締結力を制御する構成となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来の駆動力分配制御では、エンジン駆動力に基づく締結力の制御において、基本的にエンジン駆動力(アクセル開度)の増大に比例させて締結力を増大させる(従駆動輪側への駆動力分配を高める)構成であるが、タイトコーナブレーキ現象の発生を回避すべく、所定のエンジン駆動力になってから(アクセル開度が所定の中間値になってから)初めて締結力を発生させる設定となっており、前記所定のエンジン駆動力以下では、従駆動輪側にエンジン駆動力が分配されない構成となっている。
【0005】
即ち、タイトコーナブレーキ現象は、エンジン駆動力の低い側では、従駆動輪に対するエンジン駆動力の分配が比較的小さい状態から発生するため、タイトコーナブレーキの発生を回避するため、エンジン駆動力の小さい側では従駆動輪に対するエンジン駆動力の分配を全く行わない構成としてある。かかる構成によれば、エンジン駆動力の増大に比例して締結力を高めることでクラッチの保護を図りつつ、タイトコーナブレーキの発生を回避し得るものであるが、路面が特に滑り易い条件下では、エンジン駆動力が低い(アクセル開度が小さい)緩発進時であっても主駆動輪の空転が発生する可能性があるにも関わらず、エンジン駆動力が小さいことに基づいて従駆動輪側へのエンジン駆動力の分配が行われず、発進性を安定的に維持することが困難であった。
【0006】
尚、前記タイトコーナブレーキ現象とは、4輪駆動走行時において、旋回の際に前輪と後輪との間に生じる回転差のためにブレーキがかかったように曲がりにくくなる現象をいうものとする。本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、タイトコーナブレーキの発生を回避しつつ、従駆動輪側へのエンジン駆動力分配を適正に行って滑り易い路面であっても確実に発進性能を維持できる4輪駆動車の駆動力分配制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そのため請求項1の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置は、エンジン直結駆動系の主駆動輪に対し、制御信号に応じて締結力が変化するトルク分配用クラッチを介してエンジン駆動力が伝達される従駆動輪を備えてなる4輪駆動車の駆動力分配制御装置であって、以下に示すように構成される。
【0008】
回転速度差検出手段は主駆動輪と従駆動輪との回転速度差を検出し、車速検出手段は車速を検出する。車速による初期締結力可変手段は、車速検出手段で検出される車速の増大に応じてトルク分配用クラッチの締結力の初期値を段階的に低下させる。そして、締結力制御手段は、回転速度差検出手段で検出される回転速度差に応じて設定されるトルク分配用クラッチの締結力の基本値と、車速による初期締結力可変手段で設定されるトルク分配用クラッチの締結力の初期値とのうち、大きい方を目標締結力として選択する。
【0009】
請求項2の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置では、前記車速による初期締結力可変手段が、前記車速検出手段で検出される最小速度を基準として前記締結力の初期値を段階的に変化させる構成とした。請求項3の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置は、エンジン直結駆動系の主駆動輪に対し、制御信号に応じて締結力が変化するトルク分配用クラッチを介してエンジン駆動力が伝達される従駆動輪を備えてなる4輪駆動車の駆動力分配制御装置であって、以下に示すように構成される。
【0010】
回転速度差検出手段は、主駆動輪と従駆動輪との回転速度差を検出し、走行距離検出手段は、車両の発進からの走行距離を検出する。走行距離による初期締結力可変手段は、走行距離検出手段で検出される発進からの走行距離の増大に応じてトルク分配用クラッチの締結力の初期値を段階的に低下させる。そして、締結力制御手段は、回転速度差検出手段で検出される回転速度差に応じて設定されるトルク分配用クラッチの締結力の基本値と、走行距離による初期締結力可変手段で設定されるトルク分配用クラッチの締結力の初期値とのうち、大きい方を目標締結力として選択する。
【0011】
請求項4の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置では、前記走行距離検出手段が、前記従駆動輪の回転量を走行距離相当値として検出する構成とした。請求項5の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置は、エンジン直結駆動系の主駆動輪に対し、制御信号に応じて締結力が変化するトルク分配用クラッチを介してエンジン駆動力が伝達される従駆動輪を備えてなる4輪駆動車の駆動力分配制御装置であって、以下に示すように構成される。
【0012】
回転速度差検出手段は、前記主駆動輪と従駆動輪との回転速度差を検出し、基本値設定手段は、前記回転速度差に基づいて前記トルク分配用クラッチにおける締結力の基本値を設定する。エンジン駆動力検出手段はエンジンの駆動力を検出し、車速検出手段は車速を検出し、発進制御用締結力設定手段は、前記エンジン駆動力と車速とに基づいて前記トルク分配用クラッチにおける発進制御用締結力を設定する。そして、目標締結力設定手段は、前記締結力の基本値と前記発進制御用締結力との大きい方を、前記トルク分配用クラッチの目標締結力として選択する。請求項6の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置では、前記発進制御用締結力設定手段が、低車速側では高車速側に比してよりエンジン駆動力が小さい側から前記締結力を発生させるべく前記発進制御用締結力を設定する構成とした。
【0013】
請求項7の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置では、前記発進制御用締結力設定手段が、前記車速検出手段で検出される最小速度を基準として前記発進制御用締結力の前記エンジン駆動力に対する設定特性を切り換える構成とした。
請求項8の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置は、エンジン直結駆動系の主駆動輪に対し、制御信号に応じて締結力が変化するトルク分配用クラッチを介してエンジン駆動力が伝達される従駆動輪を備えてなる4輪駆動車の駆動力分配制御装置であって、以下に示すように構成される。
【0014】
駆動力による締結力制御手段は、エンジン駆動力検出手段で検出されるエンジンの駆動力に応じて前記締結力を制御する手段であって、所定のエンジン駆動力以下の領域では、予め求められたタイトコーナブレーキ現象を発生させ得る最小締結力と発進時の主駆動輪の空転を発生させ得る最大締結力とで挟まれる締結力範囲内に前記締結力を制御し、かつ、前記所定のエンジン駆動力を越える領域ではエンジン駆動力の増大に比例して締結力を増大させる。
【0015】
請求項9の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置では、前記エンジン駆動力検出手段が、アクセル開度をエンジンの駆動力相当値として検出する構成であり、前記駆動力による締結力制御手段が、アクセル全閉状態で前記締結力を零に制御し、かつ、全閉からのアクセル開操作に伴って直ちに締結力を発生させる構成とした。
【0016】
請求項10の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置では、駆動力による締結力制御手段が、所定のエンジン駆動力以下の領域では、エンジンの駆動力に応じた前記締結力の増加率をエンジン駆動力の増加に応じて減少させ、かつ、前記所定のエンジン駆動力を越える領域ではエンジン駆動力の増大に比例して締結力を増大させる構成とした。
【0017】
【作用】
請求項1の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置によると、主駆動輪と従駆動輪との回転速度差に応じてトルク分配用クラッチの締結力が制御されるが、回転速度差に応じて設定される締結力の基本値と、車速の増大に応じて段階的に低下させる締結力の初期値とのうち、大きい方を目標締結力として選択する。
【0018】
即ち、低車速のとき(換言すれば発進時)には、回転速度差が発生していない状態からクラッチを所定の初期値に対応する締結力に制御して従駆動輪側にエンジンの駆動力を分配させ、発進安定性の確保を図るが、車速の増大に応じて前記初期値を段階的に低下させることで、発進後の回転速度差が発生していない状態での不必要なエンジン駆動力の分配を回避し、タイトコーナブレーキ現象の回避を図れるようにした。
【0019】
請求項2の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置によると、車速検出手段で検出される最小速度を基準として締結力の初期値を段階的に低下させることで、安定的な発進に必要な駆動力を従駆動輪側に与えておいて、発進した後は直ちに不必要な駆動力分配をキャンセルし得る。
請求項3の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置によると、主駆動輪と従駆動輪との回転速度差に応じてトルク分配用クラッチの締結力が制御されるが、回転速度差に応じて設定される締結力の基本値と、発進からの走行距離の増大に応じて低下させる締結力の初期値とのうち、大きい方を目標締結力として選択する。
【0020】
即ち、発進時を車速ではなく走行距離に基づいて判断し、発進時には回転速度差が発生していない状態からクラッチを所定の初期値に対応する締結力に制御して従駆動輪側にエンジンの駆動力を分配させ、発進安定性の確保を図るが、発進からの走行距離の増大に応じて前記初期値を段階的に低下させることで、発進後の回転速度差が発生していない状態での不必要なエンジン駆動力の分配を回避し、タイトコーナブレーキ現象の回避を図れるようにした。
【0021】
請求項4の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置によると、前記走行距離を、従駆動輪の回転量として検出することで、主駆動輪の空転により走行距離を誤検出することがないようにした。請求項5の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置によると、回転速度差に応じた締結力の基本値と、エンジン駆動力及び車速に基づく発進制御用締結力との大きい方を、トルク分配用クラッチの目標締結力として選択することで、車速によって判断される発進時における発進性の確保と発進後におけるタイトコーナブレーキ現象の回避との両立が図られる。
【0022】
請求項6の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置によると、前記発進制御用締結力の特性を、低車速側では高車速側に比してよりエンジン駆動力が小さい側から締結力を発生させるべく設定することで、発進時には、従駆動輪に対する駆動力の分配をエンジン駆動力が小さい状態から行わせて、滑り易い路面であっても発進性が確保されるようにする一方、発進後にはエンジン駆動力が高くなってから駆動力分配を行ってタイトコーナブレーキの発生を回避する。
【0023】
請求項7の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置によると、車速検出手段で検出される最小速度を基準として発進制御用締結力の前記エンジン駆動力に対する設定特性を切り換える構成とすることで、発進に必要な駆動力分配を行わせつつ、発進した後は直ちにタイトコーナブレーキを回避し得る制御特性に切り換えられるようにした。
【0024】
請求項8の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置によると、エンジンの駆動力に応じて締結力が制御されるが、所定のエンジン駆動力以下の領域では、予め求められたタイトコーナブレーキ現象を発生させ得る最小締結力と発進時の主駆動輪の空転を発生させ得る最大締結力とで挟まれる締結力範囲内に前記締結力を制御し、かつ、前記所定のエンジン駆動力を越える領域ではエンジン駆動力の増大に比例して締結力を増大させるようになっている。
【0025】
即ち、滑り易い路面における発進時には、従駆動輪に対して積極的に駆動力を分配することが望まれるが、従駆動輪に対する過大な駆動力の分配は、タイトコーナブレーキ現象の発生原因になるため、予め発進性を確保できかつタイトコーナブレーキ現象の発生を回避できる締結力の範囲を求めておき、かかる範囲内に締結力を制御する。一方、エンジン駆動力が高いときにこれに見合った締結力に制御しないと、クラッチの保護が図れないので、タイトコーナブレーキ現象の回避に優先してエンジン駆動力の増大に比例して締結力を増大制御する。
【0026】
請求項9の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置によると、アクセル開度をエンジン駆動力に相当するものとして検出し、かつ、該アクセル開度に応じて締結力を制御するに当たって、アクセル全閉状態で前記締結力を零に制御し、かつ、全閉からのアクセル開操作に伴って直ちに締結力を発生させ、発進直後から従駆動輪に対する駆動力分配が行われるようにした。
【0027】
請求項10の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置によると、エンジン駆動力に応じて締結力が制御されるが、所定のエンジン駆動力以下の領域では、エンジン駆動力に応じた前記締結力の増加率をエンジン駆動力の増加に応じて減少させ、かつ、前記所定のエンジン駆動力を越える領域では、エンジン駆動力の増大に比例して締結力を増大させるようになっている。
【0028】
即ち、発進時には、従駆動輪に対して積極的に駆動力を分配することが望まれるため、エンジン駆動力の増加に応じて締結力を増加させるが、従駆動輪に対する過大な駆動力分配は、タイトコーナブレーキ現象の発生原因となるため、エンジン駆動力の増加に対して締結力の増加率を減少させることにより、過大な駆動力分配によるタイトコーナブレーキ現象の発生を回避する。一方、エンジン駆動力が高いときにこれに見合った締結力に制御しないと、クラッチの保護が図れないので、タイトコーナブレーキ現象の回避に優先してエンジン駆動力の増大に比例して締結力を増大制御する。
【0029】
【実施例】
以下に本発明の実施例を説明する。図1は、本発明にかかる駆動力分配制御装置が適用される4輪駆動車における駆動系の全体システム図である。図1に示される車両は後輪ベースの4輪駆動車であり、その駆動系には、エンジン1,トランスミッション2,トランスファ入力軸3,リヤプロペラシャフト4,リヤディファレンシャル5,後輪(主駆動輪)6,トランスファ出力軸7,フロントプロペラシャフト8,フロントディファレンシャル9,前輪(従駆動輪)10を備えていて、後輪6へはトランスミッション2を経由してきたエンジン駆動力が直接伝達され、前輪10へは前輪駆動系である前記トランスファ入出力軸3,7間に設けてあるトランスファ11を介してエンジン駆動力が伝達される。
【0030】
そして、前後輪の駆動力分配を最適に制御する駆動力分配制御装置は、湿式多板摩擦クラッチ11a(トルク分配用クラッチ)を内蔵した前記トランスファ11と、クラッチ締結力となる制御油圧Pcを発生する制御油圧発生装置20と、制御油圧発生装置20に設けられたソレノイドバルブ28へ各種入力センサ30からの情報に基づいて所定のソレノイド駆動電流iを出力するトルクスプリットコントローラ40とを備えて構成されている。
【0031】
前記制御油圧発生装置20は、リリーフスイッチ21により駆動又は停止するモータ22と、該モータ22により作動してリザーバタンク23から作動油を吸い上げる油圧ポンプ24と、該油圧ポンプ24からのポンプ吐出圧(一次圧)をチェックバルブ25を介して蓄えるアキュムレータ26と、該アキュムレータ26からのライン圧(二次圧)をトルクスプリットコントローラ40からのソレノイド駆動電流iにより所定の制御油圧Pcに調整するソレノイドバルブ28とを備え、制御油圧Pcの作動油は制御油圧パイプ29を経由してクラッチポートに供給される。そして、前記クラッチポートに供給される制御油圧Pcに応じて湿式多板摩擦クラッチ11aのクラッチトルク(締結力)が制御され、該クラッチトルク(締結力)に応じて従駆動輪である前輪側への駆動力の分配が制御される。
【0032】
図2は実施例における電子制御系を示すブロック図である。ここで、前記トルクスプリットコントローラ40の入力側には、各種入力センサ30として、左前輪回転センサ30a,右前輪回転センサ30b,左後輪回転センサ30c,右後輪回転センサ30d,第1横加速度センサ30e,第2横加速度センサ30f,アクセル開度センサ30gが接続され、トルクスプリットコントローラ40の出力側には、ソレノイドバルブ28が接続されている。
【0033】
次に前記トルクスプリットコントローラ40によって行われる前後輪への駆動力分配制御(クラッチトルク制御)の第1実施例を図3のフローチャートに従って説明する。尚、前記第1実施例は、請求項1,2に対応するものであり、該第1実施例において、回転速度差検出手段,締結力制御手段,車速による初期締結力可変手段としての機能は、前記図3のフローチャートに示すように、前記トルクスプリットコントローラ40がソフトウェア的に備えている。また、本第1実施例では、従駆動輪である前輪の回転速度を車速相当値とするので、前記左前輪回転センサ30a,右前輪回転センサ30bが車速検出手段に相当する。
【0034】
図3のフローチャートにおいて、まず、S1では、前記各種入力センサ30で検出される左前輪速VWFL,右前輪速VWFR,左後輪速VWRL,右後輪速VWRR,第1横加速度YG1,第2横加速度YG2,アクセル開度θなどの各種データを読み込む。S2では、前記第1横加速度YG1と第2横加速度YG2との平均値(YG=(YG1+YG2)/2)を求め、かかる平均値を駆動力分配制御に用いる横加速度YGとする。
【0035】
S3では、左後輪速VWRLと右後輪速VWRRとの平均値を求め、これを主駆動輪である後輪の回転速度VWRとする(VWR=(VWRL+VWRR)/2)。S4では、左前輪速VWFLと右前輪速VWFRとの平均値を求め、これを従駆動輪である前輪の回転速度VWFとする(VWF=(VWFL+VWFR)/2)。尚、本実施例では、前記前輪回転速度VWFを車速相当値とするものとする。
【0036】
S5では、主駆動輪である後輪の回転速度VWRと、従駆動輪である前輪の回転速度VWFとの回転速度差ΔVWを演算する(ΔVW=VWR−VWF)。そして、S6では、前記回転速度差ΔVWに応じて前記湿式多板摩擦クラッチ11a(トルク分配用クラッチ)のクラッチトルク(締結力)の基本値TΔVを設定する。ここで、前記回転速度差ΔVWが大きくなるほど前記クラッチトルクを増大させて前輪側への駆動力分配を高めるように前記基本値TΔVが設定されるが、前記横加速度YGに応じてゲインを設定して、横加速度YG が大きい高摩擦係数路では駆動力分配を比較的小さくしてタイトコーナブレーキ現象の発生を回避できるようにすることが好ましい。
【0037】
S7では、車速VSP(前輪回転速度VWF)が所定速度以上であるか否かを判別し、所定速度以上である場合には、S8へ進んで前記クラッチトルク(締結力)の初期値TVとして例えば4kgmをセットし、所定速度未満であるときには、S9へ進んで、前記初期値TVとして例えば10kgmをセットする。ここで、前記所定速度としては、検出可能な最小速度とすることが好ましく、例えば検出可能最小速度が4km/hである場合には、車両が発進してその走行速度が4km/hになるまでは、初期トルクTVとして比較的大きな値が設定される一方、車速が4km/hになって発進したことが確認されると、前記初期トルクTVが段階的に低下されることになる。
【0038】
S10では、前記基本値TΔVと初期トルクTVとのうちの大きい方を選択して目標クラッチトルクT1(目標締結力)にセットする処理を行う。S11では、前記目標クラッチトルクT1を、クラッチトルクの制御信号(例えばソレノイド駆動電流i)に変換して出力する。上記構成によれば、発進時には、比較的大きな初期トルクTVが設定されることによって(図4参照)、発進時に予め従駆動輪に対する駆動力分配を行わせておくことができるから、たとえ滑り易い路面であっても、主駆動輪の空転発生を未然に防止することができる。また、前記初期トルクTVは、所定速度以上になると段階的に低下させられるから(図4参照)、発進後に過剰な駆動力分配が従駆動輪に対してなされてタイトコーナブレーキ現象が発生することを未然に回避し得る。
【0039】
また、車速VSPを前輪回転速度VWFに基づいて検出することから、主駆動輪である後輪の空転発生により、車速を誤検出することがない。図5のフローチャートは、請求項3,4に対応する駆動力分配制御の実施例(第2実施例)を示すフローチャートであり、本第2実施例において、回転速度差検出手段,締結力制御手段,走行距離による初期締結力可変手段としての機能は、前記図5のフローチャートに示すように、前記トルクスプリットコントローラ40がソフトウェア的に備えている。また、本第2実施例では、従駆動輪である前輪の回転量を走行距離相当値とするので、前記左前輪回転センサ30a,右前輪回転センサ30bが走行距離検出手段に相当する。
【0040】
図5のフローチャートにおいて、S21〜S26の各ステップは、前記図3のフローチャートのS1〜S6の各ステップと同じ処理を行うので説明を省略し、S27から説明する。S27では、前輪の回転量として検出される発進からの走行距離が、所定距離(例えば2m)以上になっているか否かを判別する。
【0041】
ここで、走行距離が所定距離未満である場合、即ち、発進時には、S9へ進んで初期トルクTVとして例えば10kgm をセットするが、走行距離が所定距離以上になると、S8へ進んで初期トルクTVとしてより小さな例えば4kgm をセットし、走行距離が所定速度を越えた段階で初期トルクTVを段階的に低下させるようにする。
【0042】
S30では、前記基本値TΔVと初期トルクTVとのうちの大きい方を選択して目標クラッチトルクT1(目標締結力)にセットする処理を行う。S31では、前記目標クラッチトルクT1を、クラッチトルクの制御信号(例えばソレノイド駆動電流i)に変換して出力する。上記構成によれば、発進からの走行距離が所定距離未満である発進時には、比較的大きな初期トルクTVが設定されることによって(図6参照)、発進時に予め従駆動輪に対する駆動力分配を行わせておくことができるから、たとえ滑り易い路面であっても、主駆動輪の空転発生を未然に防止することができる。また、前記初期トルクTVは、所定走行距離以上になると段階的に低下させられるから(図6参照)、発進後に過剰な駆動力分配が従駆動輪に対してなされてタイトコーナブレーキ現象が発生することを未然に回避し得る。
【0043】
図7のフローチャートは、請求項5,6,7に対応する駆動力分配制御の実施例(第3実施例)を示すフローチャートであり、本第3実施例において、基本値設定手段,発進制御用締結力設定手段,目標締結力設定手段としての機能は、前記図7のフローチャートに示すように、前記トルクスプリットコントローラ40がソフトウェア的に備えている。また、本第3実施例では、アクセル開度をエンジン駆動力相当値として検出させるので、前記アクセル開度センサ30gがエンジン駆動力検出手段に相当する。
【0044】
図7のフローチャートにおいて、S41〜S46の各ステップは、前記図3のフローチャートのS1〜S6の各ステップと同じ処理を行うので説明を省略し、S47から説明する。S47では、車速VSP(前輪回転速度VWF)が第1基準速度(例えば20km/h)以上であるか否かを判別し、第1基準速度以上である場合には、S48へ進んで発進制御用のクラッチトルク(締結力)TSに零をセットする。
【0045】
一方、S47で車速VSPが第1基準速度未満であると判別された場合には、S49へ進み、車速VSPが、検出可能な最小速度である第2基準速度(4km/h)未満であるか否かを判別する。そして、車速VSPが第2基準速度未満であるか否かによってS50,S51のいずれか一方に進み、それぞれ異なるマップを参照してそのときのアクセル開度θ(エンジン駆動力)に対応するクラッチトルクTSを検索する。即ち、車速に応じてアクセル開度(エンジン駆動力)に基づくクラッチトルクの制御特性が切換えられる構成となっている。
【0046】
ここで、車速VSPが第2基準速度(4km/h)未満である場合、即ち、発進時には、図7のフローチャート中に示すように、全閉状態からのアクセル開操作に伴って直ちにクラッチトルクを発生させ、全閉からのアクセル開度の増大に伴ってクラッチトルクTSを比例的に増大させ、所定の小開度以上では一定(例えば10kgm 程度)のクラッチトルクTSが設定される。
【0047】
一方、車速VSPが第2基準速度(4km/h)以上である場合、即ち、発進後は、図7のフローチャート中に示すように、アクセル開度が所定の中間開度以上になってはじめてクラッチトルクTSを発生させる構成であって、かつ、前記中間開度以上の領域ではアクセルの全開領域までアクセル開度θに比例させてクラッチトルクTSを増大制御させるようになっている。
【0048】
S52では、前記基本値TΔVと発進制御用クラッチトルクTSとのうちの大きい方を選択して目標クラッチトルクT1(目標締結力)にセットする処理を行う。S53では、前記目標クラッチトルクT1を、クラッチトルクの制御信号(例えばソレノイド駆動電流i)に変換して出力する。
【0049】
かかる構成によると、車速VSPが第1基準速度(例えば20km/h)よりも低い発進時には、回転速度差の発生を待たずにアクセル開度θに応じてクラッチトルクを発生させ、従駆動輪に対するエンジン駆動力の分配を行うので、発進時の主駆動輪の空転を未然に防止することができる。また、前記発進制御用のクラッチトルク制御が行われる速度域内において、特に発進時に相当する第2基準速度未満の状態では、アクセルを僅かに開操作しただけで直ちにクラッチトルクを発生させるから、たとえ滑り易い路面であっても空転を発生させることなく発進させることが可能である。然も、前記第2基準速度未満の状態では、クラッチトルクをアクセルの開操作に伴って直ちに発生させるものの、高開度領域でクラッチトルクを比較的低く抑制して、タイトコーナブレーキ現象の発生を抑制できるようにしている。
【0050】
一方、前記第2基準速度以上の状態、即ち、発進直後の状態では、アクセル開度(エンジン駆動力)の増大に比例してクラッチトルクを増大させて、クラッチの保護を図る一方、アクセルの低開度側では、クラッチトルクを発生させないことで従駆動輪に対する分配を行わず、以って、タイトコーナブレーキ現象の発生を回避し得る。
【0051】
また、前記第2基準速度を、検出可能な最小速度としたことにより、発進時と発進直後とを明確に分けて、制御特性の切り換えを適正に行わせることが可能である。次に、請求項8,9,10に対応する駆動力分配制御の実施例(第4実施例)を、図8のフローチャートに従って説明する。
【0052】
尚、本第4実施例において、発進制御用締結力設定手段としての機能は、前記図8のフローチャートに示すように、前記トルクスプリットコントローラ40がソフトウェア的に備えている。また、本第4実施例では、アクセル開度をエンジン駆動力相当値として検出させるので、前記アクセル開度センサ30gがエンジン駆動力検出手段に相当する。
【0053】
図8のフローチャートにおいて、S61〜S66の各ステップは、前記図3のフローチャートのS1〜S6の各ステップと同じ処理を行うので説明を省略し、S67から説明する。S67では、車速VSP(前輪回転速度VWF)が所定速度(例えば20km/h)以上であるか否かを判別し、所定速度以上である場合には、S68へ進んで発進制御用のクラッチトルク(締結力)TSに零をセットする。
【0054】
一方、S67で車速VSPが所定速度未満であると判別された場合には、S69へ進み、アクセル開度θ(エンジン駆動力)に応じて発進制御用のクラッチトルク(締結力)TSを設定する。前記S69でのクラッチトルクTSの設定は、図8のフローチャート中に示すようなマップを参照して行われる。前記マップは、予めアクセル開度に対応して求められたタイトコーナブレーキ現象を発生させ得る最大クラッチトルク(図9参照)と、予めアクセル開度に対応して求められた所定の低摩擦係数路で許容発進性を確保できる最小クラッチトルク(図10参照)とに基づき、所定のアクセル開度以下の領域では、前記最大クラッチトルクと最小クラッチトルクとで挟まれるトルク領域内の中央値として前記クラッチトルクTSが設定され、前記所定のアクセル開度を越える領域では、前記トルク領域とは無関係にアクセル開度の増大に比例してクラッチトルクTSが増大設定されるようにしてある(図11参照)。
【0055】
S70では、前記基本値TΔVと発進制御用クラッチトルクTSとのうちの大きい方を選択して目標クラッチトルクT1(目標締結力)にセットする処理を行う。S71では、前記目標クラッチトルクT1を、クラッチトルクの制御信号(例えばソレノイド駆動電流i)に変換して出力する。
【0056】
かかる構成によると、前記発進制御用のクラッチトルク(締結力)TSは、所定のアクセル開度以下の領域では、タイトコーナブレーキ現象を発生させ得る最大クラッチトルクと、所定の低摩擦係数路で許容発進性を確保できる最小クラッチトルクとの中間値に設定され、全閉からのアクセルの開操作に伴って直ちにトルク=φの状態からトルクを立ち上げてクラッチトルクを発生させる構成であるから、タイトコーナブレーキの発生を回避しつつ、低摩擦係数路での発進性を確保でき、かつ、前記所定のアクセル開度を越える領域では、アクセル開度(エンジン駆動力)の増大に比例してクラッチトルクを増大設定して、クラッチの保護を図ることができる。
【0057】
前記図8のフローチャートのS69に示す制御特性を換言すれば、所定のアクセル開度(図8では4/8開度)以下の領域では、エンジン駆動力に応じたクラッチトルク(締結力)の増加率をアクセル開度の増加に応じて減少させ(具体的には、アクセル開操作に伴って比例的に立ち上げたクラッチトルクを、前記開度領域の高開度側では一定に保持している。)、かつ、前記所定のアクセル開度(図8では4/8開度)を越える領域では、エンジン駆動力の増大に比例して締結力を増大させるようになっている。
【0058】
即ち、発進時には、従駆動輪である前輪に対して積極的に駆動力を分配することが望まれるため、アクセル開度(エンジン駆動力)の増加に応じて締結力を増加させるが、前輪に対する過大な駆動力分配は、タイトコーナブレーキ現象の発生原因となるため、アクセル開度の増加に対してクラッチトルク(締結力)の増加率を減少させることにより、過大な駆動力分配によるタイトコーナブレーキ現象の発生を回避する。一方、アクセル開度(エンジン駆動力)が大きいときにこれに見合った締結力に制御しないと、クラッチの保護が図れないので、タイトコーナブレーキ現象の回避に優先してエンジン駆動力の増大に比例して締結力を増大制御するものである。
【0059】
従って、タイトコーナブレーキ現象の発生を回避しつつ発生性能の向上を図るアクセル開度領域(図8に示す4/8開度以下の領域)において、図8又は図11に示すような、一旦比例的に増大させたクラッチトルクをその後一定に保持させる特性に限定されるものではなく、アクセル開度に対するクラッチトルクの増加率が連続的に減少変化するような特性であっても良い。
【0060】
尚、上記実施例では、後輪ベースの4輪駆動車の例を示したが、前輪を主駆動輪とする前輪ベースの4輪駆動車であっても良いことは明らかである。また、上記実施例では、アクセル開度θに応じて発進制御用のクラッチトルクTSを設定させる構成としたが、アクセル開度θに相当するパラメータとしてエンジンのスロットル弁開度を検出させる構成であっても良く、更に、アクセル開度θの変化率に応じてクラッチトルクを設定させる構成であっても良い。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置によると、回転速度差が発生していない状態からトルク分配用クラッチを所定の初期値に対応する締結力に制御して従駆動輪側にエンジンの駆動力を分配させ、発進安定性の確保を図ると共に、車速の増大に応じて前記初期値を段階的に低下させることで、発進後の回転速度差が発生していない状態での不必要なエンジン駆動力の分配を回避し、タイトコーナブレーキ現象の回避を図れるという効果がある。
【0062】
請求項2の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置によると、検出可能な最小速度を基準として締結力の初期値を段階的に低下させる構成としたので、安定的な発進に必要な駆動力を従駆動輪側に与えておいて、発進した後は直ちに不必要な駆動力分配をキャンセルし得るという効果がある。
請求項3の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置によると、発進からの走行距離が短い発進時には、回転速度差が発生していない状態からクラッチを所定の初期値に対応する締結力に制御して従駆動輪側にエンジンの駆動力を分配させ、発進安定性の確保を図る一方、発進からの走行距離の増大に応じて前記初期値を段階的に低下させることで、発進後の回転速度差が発生していない状態での不必要なエンジン駆動力の分配を回避し、タイトコーナブレーキ現象の回避を図れるという効果がある。
【0063】
請求項4の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置によると、前記走行距離を、従駆動輪の回転量として検出することで、主駆動輪の空転により走行距離を誤検出することがないという効果がある。請求項5の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置によると、回転速度差に応じた締結力の基本値とエンジン駆動力と車速とに応じた発進制御用締結力との大きい方を、トルク分配用クラッチの目標締結力として選択する構成としたので、車速によって判断される発進時における発進性の確保と発進後におけるタイトコーナブレーキ現象の回避との両立が図られるという効果がある。
【0064】
請求項6の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置によると、低車速側では高車速側に比してよりエンジン駆動力が小さい側から締結力を発生させるようにしたので、発進時には、従駆動輪に対する駆動力の分配をエンジン駆動力が小さい状態から行わせて、滑り易い路面であっても発進性が確保できる一方、発進後にはエンジン駆動力が高くなってから駆動力分配を行ってタイトコーナブレーキの発生を回避できるという効果がある。
【0065】
請求項7の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置によると、検出可能な最小速度を基準として前記エンジン駆動力に対する発進制御用締結力の設定特性を切り換える構成としたので、発進安定性を確保するのに必要な駆動力分配を行わせつつ、発進した後は直ちにタイトコーナブレーキを回避し得る制御特性に切り換えられるという効果がある。
【0066】
請求項8の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置によると、タイトコーナブレーキ現象を発生させ得る最小締結力と主駆動輪の空転を発生させ得る最大締結力とに基づいて締結力を制御する構成としたので、タイトコーナブレーキ現象の発生を回避しつつ低摩擦路での発進性を確保できる一方、エンジン駆動力が高い領域ではエンジン駆動力の増大に比例して締結力を増大させて、トルク分配用クラッチの保護を図れるという効果がある。
【0067】
請求項9の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置によると、エンジン駆動力相当値としてアクセル開度を用い、該アクセル開度に応じて締結力を制御する構成において、全閉からのアクセル開操作に伴って直ちに締結力を発生させるので、発進直後から従駆動輪に対する駆動力分配が行われ、安定した発進性が得られるという効果がある。
【0068】
請求項10の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置によると、エンジン駆動力に応じて締結力が制御される構成において、エンジン駆動力に応じた締結力の増加率をエンジン駆動力の増加に応じて減少させる構成としたので、タイトコーナブレーキ現象を回避しつつ、低摩擦路での発進性を確保できる一方、エンジン駆動力が高い領域ではエンジン駆動力の増大に比例して締結力を増大させて、トルク分配用クラッチの保護が図れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における駆動系を示す全体構成図。
【図2】実施例における電気制御系を示すブロック図。
【図3】第1実施例における駆動力分配制御を示すフローチャート。
【図4】第1実施例における初期トルクの変化特性を示す線図。
【図5】第2実施例における駆動力分配制御を示すフローチャート。
【図6】第2実施例における初期トルクの変化特性を示す線図。
【図7】第3実施例における駆動力分配制御を示すフローチャート。
【図8】第4実施例における駆動力分配制御を示すフローチャート。
【図9】タイトコーナブレーキ現象と駆動力分配との相関を示す線図。
【図10】許容発進性と駆動力分配との相関を示す線図。
【図11】タイトコーナブレーキ現象と発進性とに基づく第4実施例における締結力制御値の特性を示す線図。
【符号の説明】
1…エンジン
2…トランスミッション
3…トランスファ入力軸
4…リヤプロペラシャフト
5…リヤディファレンシャル
6…後輪(主駆動輪)
7…トランスファ出力軸
8…フロントプロペラシャフト
9…フロントディファレンシャル
10…前輪(従駆動輪)
11…トランスファ
11a…湿式多板摩擦クラッチ
20…制御油圧発生装置
30…各種入力センサ
30a…左前輪回転センサ
30b…右前輪回転センサ
30c…左後輪回転センサ
30d…右後輪回転センサ
30e…第1横加速度センサ
30f…第2横加速度センサ
30g…アクセル開度センサ
40…トルクスプリットコントローラ
Claims (10)
- エンジン直結駆動系の主駆動輪に対し、制御信号に応じて締結力が変化するトルク分配用クラッチを介してエンジン駆動力が伝達される従駆動輪を備えてなる4輪駆動車の駆動力分配制御装置であって、
前記主駆動輪と従駆動輪との回転速度差を検出する回転速度差検出手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
前記車速検出手段で検出される車速の増大に応じてトルク分配用クラッチの締結力の初期値を段階的に低下させる車速による初期締結力可変手段と、
前記回転速度差検出手段で検出される回転速度差に応じて設定されるトルク分配用クラッチの締結力の基本値と、前記車速による初期締結力可変手段で設定されるトルク分配用クラッチの締結力の初期値とのうち、大きい方を目標締結力として選択する締結力制御手段と、
を含んで構成されることを特徴とする4輪駆動車の駆動力分配制御装置。 - 前記車速による初期締結力可変手段が、前記車速検出手段で検出される最小速度を基準として前記締結力の初期値を段階的に変化させることを特徴とする請求項1記載の4輪駆動車の駆動力分配制御装置。
- エンジン直結駆動系の主駆動輪に対し、制御信号に応じて締結力が変化するトルク分配用クラッチを介してエンジン駆動力が伝達される従駆動輪を備えてなる4輪駆動車の駆動力分配制御装置であって、
前記主駆動輪と従駆動輪との回転速度差を検出する回転速度差検出手段と、
車両の発進からの走行距離を検出する走行距離検出手段と、
該走行距離検出手段で検出される発進からの走行距離の増大に応じてトルク分配用クラッチの締結力の初期値を段階的に低下させる走行距離による初期締結力可変手段と、
前記回転速度差検出手段で検出される回転速度差に応じて設定されるトルク分配用クラッチの締結力の基本値と、前記走行距離による初期締結力可変手段で設定されるトルク分配用クラッチの締結力の初期値とのうち、大きい方を目標締結力として選択する締結力制御手段と、
を含んで構成されることを特徴とする4輪駆動車の駆動力分配制御装置。 - 前記走行距離検出手段が、前記従駆動輪の回転量を走行距離相当値として検出することを特徴とする請求項3記載の4輪駆動車の駆動力分配制御装置。
- エンジン直結駆動系の主駆動輪に対し、制御信号に応じて締結力が変化するトルク分配用クラッチを介してエンジン駆動力が伝達される従駆動輪を備えてなる4輪駆動車の駆動力分配制御装置であって、
前記主駆動輪と従駆動輪との回転速度差を検出する回転速度差検出手段と、
前記回転速度差に基づいて前記トルク分配用クラッチにおける締結力の基本値を設定する基本値設定手段と、
エンジンの駆動力を検出するエンジン駆動力検出手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
前記エンジン駆動力と車速とに基づいて前記トルク分配用クラッチにおける発進制御用締結力を設定する発進制御用締結力設定手段と、
前記締結力の基本値と前記発進制御用締結力との大きい方を、前記トルク分配用クラッチの目標締結力として選択する目標締結力設定手段と、
を含んで構成されることを特徴とする4輪駆動車の駆動力分配制御装置。 - 前記発進制御用締結力設定手段が、低車速側では高車速側に比してよりエンジン駆動力が小さい側から前記締結力を発生させるべく前記発進制御用締結力を設定することを特徴とする請求項5記載の4輪駆動車の駆動力分配制御装置。
- 前記発進制御用締結力設定手段が、前記車速検出手段で検出される最小速度を基準として前記発進制御用締結力の前記エンジン駆動力に対する設定特性を切り換えることを特徴とする請求項5又は6に記載の4輪駆動車の駆動力分配制御装置。
- エンジン直結駆動系の主駆動輪に対し、制御信号に応じて締結力が変化するトルク分配用クラッチを介してエンジン駆動力が伝達される従駆動輪を備えてなる4輪駆動車の駆動力分配制御装置であって、
エンジンの駆動力を検出するエンジン駆動力検出手段と、
前記エンジン駆動力検出手段で検出されるエンジンの駆動力に応じて前記締結力を制御する手段であって、所定のエンジン駆動力以下の領域では、予め求められたタイトコーナブレーキ現象を発生させ得る最小締結力と発進時の主駆動輪の空転を発生させ得る最大締結力とで挟まれる締結力範囲内に前記締結力を制御し、かつ、前記所定のエンジン駆動力を越える領域ではエンジン駆動力の増大に比例して締結力を増大させる駆動力による締結力制御手段と、
を含んで構成されることを特徴とする4輪駆動車の駆動力分配制御装置。 - 前記エンジン駆動力検出手段が、アクセル開度をエンジンの駆動力相当値として検出する構成であり、前記駆動力による締結力制御手段が、アクセル全閉状態で前記締結力を零に制御し、かつ、全閉からのアクセル開操作に伴って直ちに締結力を発生させることを特徴とする請求項8記載の4輪駆動車の駆動力分配制御装置。
- エンジン直結駆動系の主駆動輪に対し、制御信号に応じて締結力が変化するトルク分配用クラッチを介してエンジン駆動力が伝達される従駆動輪を備えてなる4輪駆動車の駆動力分配制御装置であって、
エンジンの駆動力を検出するエンジン駆動力検出手段と、
前記エンジン駆動力検出手段で検出されるエンジンの駆動力に応じて前記締結力を制御する手段であって、所定のエンジン駆動力以下の領域では、エンジンの駆動力に応じた前記締結力の増加率をエンジン駆動力の増加に応じて減少させ、かつ、前記所定のエンジン駆動力を越える領域ではエンジン駆動力の増大に比例して締結力を増大させる駆動力による締結力制御手段と、
を含んで構成されることを特徴とする4輪駆動車の駆動力分配制御装置。
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