JPH08207606A - 4輪駆動車の駆動力分配制御装置 - Google Patents

4輪駆動車の駆動力分配制御装置

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JPH08207606A
JPH08207606A JP1768495A JP1768495A JPH08207606A JP H08207606 A JPH08207606 A JP H08207606A JP 1768495 A JP1768495 A JP 1768495A JP 1768495 A JP1768495 A JP 1768495A JP H08207606 A JPH08207606 A JP H08207606A
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vehicle
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Abstract

(57)【要約】 【目的】低摩擦路での発進性を確保しつつ、タイトコー
ナブレーキ現象の発生を回避し得る駆動力分配制御を行
う。 【構成】主駆動輪と従駆動輪との回転速度差ΔVW (S
5)に応じてトルク分配用クラッチの基本トルクTΔV
を設定する(S6)。一方、車速が所定速度未満である
発進時には(S7)、初期トルクTVとして比較的大き
な値を設定し(S9)、車速が前記所定速度以上になっ
た段階で前記初期トルクTVを低下させる(S8)。そ
して、前記基本トルクTΔVと初期トルクTVとの大き
い方を最終的な目標トルクとし(S10)、かかる目標ト
ルクを制御信号に変換して、トルク分配用クラッチの締
結力を制御する(S11)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は4輪駆動車の駆動力分配
制御装置に関し、詳しくは、エンジン駆動力を運転条件
に応じて主駆動輪と従駆動輪とに分配する構成の4輪駆
動車の駆動力分配制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の4輪駆動車の駆動力分配制御装置
としては、特開平2−270641号公報に開示される
ような装置が知られている。このものは、エンジン直結
駆動系の後輪(主駆動輪)に対し、制御信号に応じて締
結力が変化するトルク分配用クラッチを介して前輪(従
駆動輪)にエンジン駆動力を伝達する構成の4輪駆動車
において、前後輪の回転速度差を演算し、該回転速度差
が大きい程、即ち、主駆動輪である後輪のスリップの発
生が大きい程前記クラッチの締結力を増大させて前輪
(従駆動輪)側に対する駆動力分配を高めて、速やかに
後輪(主駆動輪)のスリップを抑制させるようになって
いる。
【0003】更に、前記公報に開示される装置では、前
記回転速度差に基づく駆動力分配制御の遅れによって発
進時に後輪(主駆動輪)の空転が発生することを未然に
防止すべく、発進時(低車速時)には、エンジン駆動力
(アクセル開度)に応じて前記クラッチの締結力を制御
する構成となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記従来の
駆動力分配制御では、エンジン駆動力に基づく締結力の
制御において、基本的にエンジン駆動力(アクセル開
度)の増大に比例させて締結力を増大させる(従駆動輪
側への駆動力分配を高める)構成であるが、タイトコー
ナブレーキ現象の発生を回避すべく、所定のエンジン駆
動力になってから(アクセル開度が所定の中間値になっ
てから)初めて締結力を発生させる設定となっており、
前記所定のエンジン駆動力以下では、従駆動輪側にエン
ジン駆動力が分配されない構成となっている。
【0005】即ち、タイトコーナブレーキ現象は、エン
ジン駆動力の低い側では、従駆動輪に対するエンジン駆
動力の分配が比較的小さい状態から発生するため、タイ
トコーナブレーキの発生を回避するため、エンジン駆動
力の小さい側では従駆動輪に対するエンジン駆動力の分
配を全く行わない構成としてある。かかる構成によれ
ば、エンジン駆動力の増大に比例して締結力を高めるこ
とでクラッチの保護を図りつつ、タイトコーナブレーキ
の発生を回避し得るものであるが、路面が特に滑り易い
条件下では、エンジン駆動力が低い(アクセル開度が小
さい)緩発進時であっても主駆動輪の空転が発生する可
能性があるにも関わらず、エンジン駆動力が小さいこと
に基づいて従駆動輪側へのエンジン駆動力の分配が行わ
れず、発進性を安定的に維持することが困難であった。
【0006】尚、前記タイトコーナブレーキ現象とは、
4輪駆動走行時において、旋回の際に前輪と後輪との間
に生じる回転差のためにブレーキがかかったように曲が
りにくくなる現象をいうものとする。本発明は上記問題
点に鑑みなされたものであり、タイトコーナブレーキの
発生を回避しつつ、従駆動輪側へのエンジン駆動力分配
を適正に行って滑り易い路面であっても確実に発進性能
を維持できる4輪駆動車の駆動力分配制御装置を提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】そのため請求項1の発明
にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置は、エンジン
直結駆動系の主駆動輪に対し、制御信号に応じて締結力
が変化するトルク分配用クラッチを介してエンジン駆動
力が伝達される従駆動輪を備えてなる4輪駆動車の駆動
力分配制御装置であって、図1に示すように構成され
る。
【0008】図1において、回転速度差による締結力制
御手段は、回転速度差検出手段で検出される前記主駆動
輪と従駆動輪との回転速度差に応じて前記締結力を所定
の初期値を基準として制御する。ここで、車速による初
期締結力可変手段は、車速検出手段で検出される車速の
増大に応じて前記締結力の初期値を段階的に低下させ
る。
【0009】請求項2の発明にかかる4輪駆動車の駆動
力分配制御装置では、前記車速による初期締結力可変手
段が、前記車速検出手段で検出される最小速度を基準と
して前記締結力の初期値を段階的に変化させる構成とし
た。請求項3の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制
御装置は、エンジン直結駆動系の主駆動輪に対し、制御
信号に応じて締結力が変化するトルク分配用クラッチを
介してエンジン駆動力が伝達される従駆動輪を備えてな
る4輪駆動車の駆動力分配制御装置であって、図2に示
すように構成される。
【0010】図2において、回転速度差による締結力制
御手段は、回転速度差検出手段で検出される前記主駆動
輪と従駆動輪との回転速度差に応じて前記締結力を所定
の初期値を基準として制御する。ここで、走行距離によ
る初期締結力可変手段は、走行距離検出手段で検出され
る車両の発進からの走行距離の増大に応じて前記締結力
の初期値を段階的に低下させる。
【0011】請求項4の発明にかかる4輪駆動車の駆動
力分配制御装置では、前記走行距離検出手段が、前記従
駆動輪の回転量を走行距離相当値として検出する構成と
した。請求項5の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配
制御装置は、エンジン直結駆動系の主駆動輪に対し、制
御信号に応じて締結力が変化するトルク分配用クラッチ
を介してエンジン駆動力が伝達される従駆動輪を備えて
なる4輪駆動車の駆動力分配制御装置であって、図3に
示すように構成される。
【0012】図3において、駆動力による締結力制御手
段は、エンジン駆動力検出手段で検出されるエンジンの
駆動力に応じて前記締結力を制御する。ここで、車速に
よる制御特性切換え手段は、前記駆動力による締結力制
御手段による前記締結力の制御特性を車速に応じて切り
換える。請求項6の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分
配制御装置では、前記車速による制御特性切換え手段
が、低車速側では高車速側に比してよりエンジン駆動力
が小さい側から前記締結力を発生させる構成とした。
【0013】請求項7の発明にかかる4輪駆動車の駆動
力分配制御装置では、前記車速による制御特性切換え手
段が、前記車速検出手段で検出される最小速度を基準と
して前記締結力の制御特性を切り換える構成とした。請
求項8の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置
は、エンジン直結駆動系の主駆動輪に対し、制御信号に
応じて締結力が変化するトルク分配用クラッチを介して
エンジン駆動力が伝達される従駆動輪を備えてなる4輪
駆動車の駆動力分配制御装置であって、図4に示すよう
に構成される。
【0014】図4において、駆動力による締結力制御手
段は、エンジン駆動力検出手段で検出されるエンジンの
駆動力に応じて前記締結力を制御する手段であって、所
定のエンジン駆動力以下の領域では、予め求められたタ
イトコーナブレーキ現象を発生させ得る最小締結力と発
進時の主駆動輪の空転を発生させ得る最大締結力とで挟
まれる締結力範囲内に前記締結力を制御し、かつ、前記
所定のエンジン駆動力を越える領域ではエンジン駆動力
の増大に比例して締結力を増大させる。
【0015】請求項9の発明にかかる4輪駆動車の駆動
力分配制御装置では、前記エンジン駆動力検出手段が、
アクセル開度をエンジンの駆動力相当値として検出する
構成であり、前記駆動力による締結力制御手段が、アク
セル全閉状態で前記締結力を零に制御し、かつ、全閉か
らのアクセル開操作に伴って直ちに締結力を発生させる
構成とした。
【0016】請求項10の発明にかかる4輪駆動車の駆動
力分配制御装置では、駆動力による締結力制御手段が、
所定のエンジン駆動力以下の領域では、エンジンの駆動
力に応じた前記締結力の増加率をエンジン駆動力の増加
に応じて減少させ、かつ、前記所定のエンジン駆動力を
越える領域ではエンジン駆動力の増大に比例して締結力
を増大させる構成とした。
【0017】
【作用】請求項1の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分
配制御装置によると、主駆動輪と従駆動輪との回転速度
差に応じてトルク分配用クラッチの締結力が制御される
が、前記締結力の初期値を車速の増大に応じて段階的に
低下させる構成となっている。
【0018】即ち、低車速のとき(換言すれば発進時)
には、回転速度差が発生していない状態からクラッチを
所定の初期値に対応する締結力に制御して従駆動輪側に
エンジンの駆動力を分配させ、発進安定性の確保を図る
が、車速の増大に応じて前記初期値を段階的に低下させ
ることで、発進後の回転速度差が発生していない状態で
の不必要なエンジン駆動力の分配を回避し、タイトコー
ナブレーキ現象の回避を図れるようにした。
【0019】請求項2の発明にかかる4輪駆動車の駆動
力分配制御装置によると、車速検出手段で検出される最
小速度を基準として締結力の初期値を段階的に低下させ
ることで、安定的な発進に必要な駆動力を従駆動輪側に
与えておいて、発進した後は直ちに不必要な駆動力分配
をキャンセルし得る。請求項3の発明にかかる4輪駆動
車の駆動力分配制御装置によると、主駆動輪と従駆動輪
との回転速度差に応じてトルク分配用クラッチの締結力
が制御されるが、前記締結力の初期値を発進からの走行
距離の増大に応じて段階的に低下させる。
【0020】即ち、発進時を車速ではなく走行距離に基
づいて判断し、発進時には回転速度差が発生していない
状態からクラッチを所定の初期値に対応する締結力に制
御して従駆動輪側にエンジンの駆動力を分配させ、発進
安定性の確保を図るが、発進からの走行距離の増大に応
じて前記初期値を段階的に低下させることで、発進後の
回転速度差が発生していない状態での不必要なエンジン
駆動力の分配を回避し、タイトコーナブレーキ現象の回
避を図れるようにした。
【0021】請求項4の発明にかかる4輪駆動車の駆動
力分配制御装置によると、前記走行距離を、従駆動輪の
回転量として検出することで、主駆動輪の空転により走
行距離を誤検出することがないようにした。請求項5の
発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置による
と、エンジンの駆動力に応じてクラッチの締結力が制御
されるが、かかる制御において、車速に応じてエンジン
駆動力に対する締結力制御の特性が切換えられ、車速に
よって判断される発進時における発進性の確保と発進後
におけるタイトコーナブレーキ現象の回避との両立が図
られる。
【0022】請求項6の発明にかかる4輪駆動車の駆動
力分配制御装置によると、エンジン駆動力に応じた締結
力制御の特性を、低車速側では高車速側に比してよりエ
ンジン駆動力が小さい側から締結力を発生させるように
切換えることで、発進時には、従駆動輪に対する駆動力
の分配をエンジン駆動力が小さい状態から行わせて、滑
り易い路面であっても発進性が確保されるようにする一
方、発進後にはエンジン駆動力が高くなってから駆動力
分配を行ってタイトコーナブレーキの発生を回避する。
【0023】請求項7の発明にかかる4輪駆動車の駆動
力分配制御装置によると、エンジン駆動力に応じた締結
力制御の特性を車速に応じて切り換えるに当たって、車
速検出手段で検出される最小速度を基準として前記切換
えを行わせる構成とすることで、発進に必要な駆動力分
配を行わせつつ、発進した後は直ちにタイトコーナブレ
ーキを回避し得る制御特性に切換えられるようにした。
【0024】請求項8の発明にかかる4輪駆動車の駆動
力分配制御装置によると、エンジンの駆動力に応じて締
結力が制御されるが、所定のエンジン駆動力以下の領域
では、予め求められたタイトコーナブレーキ現象を発生
させ得る最小締結力と発進時の主駆動輪の空転を発生さ
せ得る最大締結力とで挟まれる締結力範囲内に前記締結
力を制御し、かつ、前記所定のエンジン駆動力を越える
領域ではエンジン駆動力の増大に比例して締結力を増大
させるようになっている。
【0025】即ち、滑り易い路面における発進時には、
従駆動輪に対して積極的に駆動力を分配することが望ま
れるが、従駆動輪に対する過大な駆動力の分配は、タイ
トコーナブレーキ現象の発生原因になるため、予め発進
性を確保できかつタイトコーナブレーキ現象の発生を回
避できる締結力の範囲を求めておき、かかる範囲内に締
結力を制御する。一方、エンジン駆動力が高いときにこ
れに見合った締結力に制御しないと、クラッチの保護が
図れないので、タイトコーナブレーキ現象の回避に優先
してエンジン駆動力の増大に比例して締結力を増大制御
する。
【0026】請求項9の発明にかかる4輪駆動車の駆動
力分配制御装置によると、アクセル開度をエンジン駆動
力に相当するものとして検出し、かつ、該アクセル開度
に応じて締結力を制御するに当たって、アクセル全閉状
態で前記締結力を零に制御し、かつ、全閉からのアクセ
ル開操作に伴って直ちに締結力を発生させ、発進直後か
ら従駆動輪に対する駆動力分配が行われるようにした。
【0027】請求項10の発明にかかる4輪駆動車の駆動
力分配制御装置によると、エンジン駆動力に応じて締結
力が制御されるが、所定のエンジン駆動力以下の領域で
は、エンジン駆動力に応じた前記締結力の増加率をエン
ジン駆動力の増加に応じて減少させ、かつ、前記所定の
エンジン駆動力を越える領域では、エンジン駆動力の増
大に比例して締結力を増大させるようになっている。
【0028】即ち、発進時には、従駆動輪に対して積極
的に駆動力を分配することが望まれるため、エンジン駆
動力の増加に応じて締結力を増加させるが、従駆動輪に
対する過大な駆動力分配は、タイトコーナブレーキ現象
の発生原因となるため、エンジン駆動力の増加に対して
締結力の増加率を減少させることにより、過大な駆動力
分配によるタイトコーナブレーキ現象の発生を回避す
る。一方、エンジン駆動力が高いときにこれに見合った
締結力に制御しないと、クラッチの保護が図れないの
で、タイトコーナブレーキ現象の回避に優先してエンジ
ン駆動力の増大に比例して締結力を増大制御する。
【0029】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。図5は、
本発明にかかる駆動力分配制御装置が適用される4輪駆
動車における駆動系の全体システム図である。図5に示
される車両は後輪ベースの4輪駆動車であり、その駆動
系には、エンジン1,トランスミッション2,トランス
ファ入力軸3,リヤプロペラシャフト4,リヤディファ
レンシャル5,後輪(主駆動輪)6,トランスファ出力
軸7,フロントプロペラシャフト8,フロントディファ
レンシャル9,前輪(従駆動輪)10を備えていて、後輪
6へはトランスミッション2を経由してきたエンジン駆
動力が直接伝達され、前輪10へは前輪駆動系である前記
トランスファ入出力軸3,7間に設けてあるトランスフ
ァ11を介してエンジン駆動力が伝達される。
【0030】そして、前後輪の駆動力分配を最適に制御
する駆動力分配制御装置は、湿式多板摩擦クラッチ11a
(トルク分配用クラッチ)を内蔵した前記トランスファ
11と、クラッチ締結力となる制御油圧Pcを発生する制
御油圧発生装置20と、制御油圧発生装置20に設けられた
ソレノイドバルブ28へ各種入力センサ30からの情報に基
づいて所定のソレノイド駆動電流iを出力するトルクス
プリットコントローラ40とを備えて構成されている。
【0031】前記制御油圧発生装置20は、リリーフスイ
ッチ21により駆動又は停止するモータ22と、該モータ22
により作動してリザーバタンク23から作動油を吸い上げ
る油圧ポンプ24と、該油圧ポンプ24からのポンプ吐出圧
(一次圧)をチェックバルブ25を介して蓄えるアキュム
レータ26と、該アキュムレータ26からのライン圧(二次
圧)をトルクスプリットコントローラ40からのソレノイ
ド駆動電流iにより所定の制御油圧Pcに調整するソレ
ノイドバルブ28とを備え、制御油圧Pcの作動油は制御
油圧パイプ29を経由してクラッチポートに供給される。
そして、前記クラッチポートに供給される制御油圧Pc
に応じて湿式多板摩擦クラッチ11aのクラッチトルク
(締結力)が制御され、該クラッチトルク(締結力)に
応じて従駆動輪である前輪側への駆動力の分配が制御さ
れる。
【0032】図6は実施例における電子制御系を示すブ
ロック図である。ここで、前記トルクスプリットコント
ローラ40の入力側には、各種入力センサ30として、左前
輪回転センサ30a,右前輪回転センサ30b,左後輪回転
センサ30c,右後輪回転センサ30d,第1横加速度セン
サ30e,第2横加速度センサ30f,アクセル開度センサ
30gが接続され、トルクスプリットコントローラ40の出
力側には、ソレノイドバルブ28が接続されている。
【0033】次に前記トルクスプリットコントローラ40
によって行われる前後輪への駆動力分配制御(クラッチ
トルク制御)の第1実施例を図7のフローチャートに従
って説明する。尚、前記第1実施例は、請求項1,2に
対応するものであり、該第1実施例において、回転速度
差検出手段,回転速度差による締結力制御手段,車速に
よる初期締結力可変手段としての機能は、前記図7のフ
ローチャートに示すように、前記トルクスプリットコン
トローラ40がソフトウェア的に備えている。また、本第
1実施例では、従駆動輪である前輪の回転速度を車速相
当値とするので、前記左前輪回転センサ30a,右前輪回
転センサ30bが車速検出手段に相当する。
【0034】図7のフローチャートにおいて、まず、S
1では、前記各種入力センサ30で検出される左前輪速V
WFL ,右前輪速VWFR ,左後輪速VWRL ,右後輪速V
WRR ,第1横加速度YG1,第2横加速度YG2,アクセル
開度θなどの各種データを読み込む。S2では、前記第
1横加速度YG1と第2横加速度YG2との平均値(YG
(Y G1+YG2)/2)を求め、かかる平均値を駆動力分
配制御に用いる横加速度YGとする。
【0035】S3では、左後輪速VWRL と右後輪速V
WRR との平均値を求め、これを主駆動輪である後輪の回
転速度VWRとする(VWR=(VWRL +VWRR )/2)。
S4では、左前輪速VWFL と右前輪速VWFR との平均値
を求め、これを従駆動輪である前輪の回転速度VWFとす
る(VWF=(VWFL +VWFR )/2)。尚、本実施例で
は、前記前輪回転速度VWFを車速相当値とするものとす
る。
【0036】S5では、主駆動輪である後輪の回転速度
WRと、従駆動輪である前輪の回転速度VWFとの回転速
度差ΔVW を演算する(ΔVW =VWR−VWF)。そし
て、S6では、前記回転速度差ΔVW に応じて前記湿式
多板摩擦クラッチ11a(トルク分配用クラッチ)のクラ
ッチトルク(締結力)の基本値TΔVを設定する。ここ
で、前記回転速度差ΔVW が大きくなるほど前記クラッ
チトルクを増大させて前輪側への駆動力分配を高めるよ
うに前記基本値TΔVが設定されるが、前記横加速度Y
G に応じてゲインを設定して、横加速度YG が大きい高
摩擦係数路では駆動力分配を比較的小さくしてタイトコ
ーナブレーキ現象の発生を回避できるようにすることが
好ましい。
【0037】S7では、車速VSP(前輪回転速度
WF)が所定速度以上であるか否かを判別し、所定速度
以上である場合には、S8へ進んで前記クラッチトルク
(締結力)の初期値TVとして例えば4kgm をセット
し、所定速度未満であるときには、S9へ進んで、前記
初期値TVとして例えば10kgm をセットする。ここで、
前記所定速度としては、検出可能な最小速度とすること
が好ましく、例えば検出可能最小速度が4km/hである場
合には、車両が発進してその走行速度が4km/hになるま
では、初期トルクTVとして比較的大きな値が設定され
る一方、車速が4km/hになって発進したことが確認され
ると、前記初期トルクTVが段階的に低下されることに
なる。
【0038】S10では、前記基本値TΔVと初期トルク
TVとのうちの大きい方を選択して目標クラッチトルク
T1(目標締結力)にセットする処理を行う。S11で
は、前記目標クラッチトルクT1を、クラッチトルクの
制御信号(例えばソレノイド駆動電流i)に変換して出
力する。上記構成によれば、発進時には、比較的大きな
初期トルクTVが設定されることによって(図8参
照)、発進時に予め従駆動輪に対する駆動力分配を行わ
せておくことができるから、たとえ滑り易い路面であっ
ても、主駆動輪の空転発生を未然に防止することができ
る。また、前記初期トルクTVは、所定速度以上になる
と段階的に低下させられるから(図8参照)、発進後に
過剰な駆動力分配が従駆動輪に対してなされてタイトコ
ーナブレーキ現象が発生することを未然に回避し得る。
【0039】また、車速VSPを前輪回転速度VWFに基
づいて検出することから、主駆動輪である後輪の空転発
生により、車速を誤検出することがない。図9のフロー
チャートは、請求項3,4に対応する駆動力分配制御の
実施例(第2実施例)を示すフローチャートであり、本
第2実施例において、回転速度差検出手段,回転速度差
による締結力制御手段,走行距離による初期締結力可変
手段としての機能は、前記図9のフローチャートに示す
ように、前記トルクスプリットコントローラ40がソフト
ウェア的に備えている。また、本第2実施例では、従駆
動輪である前輪の回転量を走行距離相当値とするので、
前記左前輪回転センサ30a,右前輪回転センサ30bが走
行距離検出手段に相当する。
【0040】図9のフローチャートにおいて、S21〜S
26の各ステップは、前記図7のフローチャートのS1〜
S6の各ステップと同じ処理を行うので説明を省略し、
S27から説明する。S27では、前輪の回転量として検出
される発進からの走行距離が、所定距離(例えば2m)
以上になっているか否かを判別する。
【0041】ここで、走行距離が所定距離未満である場
合、即ち、発進時には、S9へ進んで初期トルクTVと
して例えば10kgm をセットするが、走行距離が所定距離
以上になると、S8へ進んで初期トルクTVとしてより
小さな例えば4kgm をセットし、走行距離が所定速度を
越えた段階で初期トルクTVを段階的に低下させるよう
にする。
【0042】S30では、前記基本値TΔVと初期トルク
TVとのうちの大きい方を選択して目標クラッチトルク
T1(目標締結力)にセットする処理を行う。S31で
は、前記目標クラッチトルクT1を、クラッチトルクの
制御信号(例えばソレノイド駆動電流i)に変換して出
力する。上記構成によれば、発進からの走行距離が所定
距離未満である発進時には、比較的大きな初期トルクT
Vが設定されることによって(図10参照)、発進時に予
め従駆動輪に対する駆動力分配を行わせておくことがで
きるから、たとえ滑り易い路面であっても、主駆動輪の
空転発生を未然に防止することができる。また、前記初
期トルクTVは、所定走行距離以上になると段階的に低
下させられるから(図10参照)、発進後に過剰な駆動力
分配が従駆動輪に対してなされてタイトコーナブレーキ
現象が発生することを未然に回避し得る。
【0043】図11のフローチャートは、請求項5,6,
7に対応する駆動力分配制御の実施例(第3実施例)を
示すフローチャートであり、本第3実施例において、駆
動力による締結力制御手段,車速による制御特性切換え
手段としての機能は、前記図11のフローチャートに示す
ように、前記トルクスプリットコントローラ40がソフト
ウェア的に備えている。また、本第3実施例では、アク
セル開度をエンジン駆動力相当値として検出させるの
で、前記アクセル開度センサ30gがエンジン駆動力検出
手段に相当する。
【0044】図11のフローチャートにおいて、S41〜S
46の各ステップは、前記図7のフローチャートのS1〜
S6の各ステップと同じ処理を行うので説明を省略し、
S47から説明する。S47では、車速VSP(前輪回転速
度VWF)が第1基準速度(例えば20km/h)以上であるか
否かを判別し、第1基準速度以上である場合には、S48
へ進んで発進制御用のクラッチトルク(締結力)TSに
零をセットする。
【0045】一方、S47で車速VSPが第1基準速度未
満であると判別された場合には、S49へ進み、車速VS
Pが、検出可能な最小速度である第2基準速度(4km/
h)未満であるか否かを判別する。そして、車速VSP
が第2基準速度未満であるか否かによってS50,S51の
いずれか一方に進み、それぞれ異なるマップを参照して
そのときのアクセル開度θ(エンジン駆動力)に対応す
るクラッチトルクTSを検索する。即ち、車速に応じて
アクセル開度(エンジン駆動力)に基づくクラッチトル
クの制御特性が切換えられる構成となっている。
【0046】ここで、車速VSPが第2基準速度(4km
/h)未満である場合、即ち、発進時には、図11のフロー
チャート中に示すように、全閉状態からのアクセル開操
作に伴って直ちにクラッチトルクを発生させ、全閉から
のアクセル開度の増大に伴ってクラッチトルクTSを比
例的に増大させ、所定の小開度以上では一定(例えば10
kgm 程度) のクラッチトルクTSが設定される。
【0047】一方、車速VSPが第2基準速度(4km/
h)以上である場合、即ち、発進後は、図11のフローチ
ャート中に示すように、アクセル開度が所定の中間開度
以上になってはじめてクラッチトルクTSを発生させる
構成であって、かつ、前記中間開度以上の領域ではアク
セルの全開領域までアクセル開度θに比例させてクラッ
チトルクTSを増大制御させるようになっている。
【0048】S52では、前記基本値TΔVと発進制御用
クラッチトルクTSとのうちの大きい方を選択して目標
クラッチトルクT1(目標締結力)にセットする処理を
行う。S53では、前記目標クラッチトルクT1を、クラ
ッチトルクの制御信号(例えばソレノイド駆動電流i)
に変換して出力する。
【0049】かかる構成によると、車速VSPが第1基
準速度(例えば20km/h) よりも低い発進時には、回転速
度差の発生を待たずにアクセル開度θに応じてクラッチ
トルクを発生させ、従駆動輪に対するエンジン駆動力の
分配を行うので、発進時の主駆動輪の空転を未然に防止
することができる。また、前記発進制御用のクラッチト
ルク制御が行われる速度域内において、特に発進時に相
当する第2基準速度未満の状態では、アクセルを僅かに
開操作しただけで直ちにクラッチトルクを発生させるか
ら、たとえ滑り易い路面であっても空転を発生させるこ
となく発進させることが可能である。然も、前記第2基
準速度未満の状態では、クラッチトルクをアクセルの開
操作に伴って直ちに発生させるものの、高開度領域でク
ラッチトルクを比較的低く抑制して、タイトコーナブレ
ーキ現象の発生を抑制できるようにしている。
【0050】一方、前記第2基準速度以上の状態、即
ち、発進直後の状態では、アクセル開度(エンジン駆動
力)の増大に比例してクラッチトルクを増大させて、ク
ラッチの保護を図る一方、アクセルの低開度側では、ク
ラッチトルクを発生させないことで従駆動輪に対する分
配を行わず、以て、タイトコーナブレーキ現象の発生を
回避し得る。
【0051】また、前記第2基準速度を、検出可能な最
小速度としたことにより、発進時と発進直後とを明確に
分けて、制御特性の切換えを適正に行わせることが可能
である。次に、請求項8,9,10に対応する駆動力分配
制御の実施例(第4実施例)を、図12のフローチャート
に従って説明する。
【0052】尚、本第4実施例において、駆動力による
締結力制御手段としての機能は、前記図12のフローチャ
ートに示すように、前記トルクスプリットコントローラ
40がソフトウェア的に備えている。また、本第4実施例
では、アクセル開度をエンジン駆動力相当値として検出
させるので、前記アクセル開度センサ30gがエンジン駆
動力検出手段に相当する。
【0053】図12のフローチャートにおいて、S61〜S
66の各ステップは、前記図7のフローチャートのS1〜
S6の各ステップと同じ処理を行うので説明を省略し、
S67から説明する。S67では、車速VSP(前輪回転速
度VWF)が所定速度(例えば20km/h) 以上であるか否か
を判別し、所定速度以上である場合には、S68へ進んで
発進制御用のクラッチトルク(締結力)TSに零をセッ
トする。
【0054】一方、S67で車速VSPが所定速度未満で
あると判別された場合には、S69へ進み、アクセル開度
θ(エンジン駆動力)に応じて発進制御用のクラッチト
ルク(締結力)TSを設定する。前記S69でのクラッチ
トルクTSの設定は、図12のフローチャート中に示すよ
うなマップを参照して行われる。前記マップは、予めア
クセル開度に対応して求められたタイトコーナブレーキ
現象を発生させ得る最大クラッチトルク(図13参照)
と、予めアクセル開度に対応して求められた所定の低摩
擦係数路で許容発進性を確保できる最小クラッチトルク
(図14参照)とに基づき、所定のアクセル開度以下の領
域では、前記最大クラッチトルクと最小クラッチトルク
とで挟まれるトルク領域内の中央値として前記クラッチ
トルクTSが設定され、前記所定のアクセル開度を越え
る領域では、前記トルク領域とは無関係にアクセル開度
の増大に比例してクラッチトルクTSが増大設定される
ようにしてある(図15参照)。
【0055】S70では、前記基本値TΔVと発進制御用
クラッチトルクTSとのうちの大きい方を選択して目標
クラッチトルクT1(目標締結力)にセットする処理を
行う。S71では、前記目標クラッチトルクT1を、クラ
ッチトルクの制御信号(例えばソレノイド駆動電流i)
に変換して出力する。
【0056】かかる構成によると、前記発進制御用のク
ラッチトルク(締結力)TSは、所定のアクセル開度以
下の領域では、タイトコーナブレーキ現象を発生させ得
る最大クラッチトルクと、所定の低摩擦係数路で許容発
進性を確保できる最小クラッチトルクとの中間値に設定
され、全閉からのアクセルの開操作に伴って直ちにトル
ク=φの状態からトルクを立ち上げてクラッチトルクを
発生させる構成であるから、タイトコーナブレーキの発
生を回避しつつ、低摩擦係数路での発進性を確保でき、
かつ、前記所定のアクセル開度を越える領域では、アク
セル開度(エンジン駆動力)の増大に比例してクラッチ
トルクを増大設定して、クラッチの保護を図ることがで
きる。
【0057】前記図12のフローチャートのS69に示す制
御特性を換言すれば、所定のアクセル開度(図12では4
/8開度)以下の領域では、エンジン駆動力に応じたク
ラッチトルク(締結力)の増加率をアクセル開度の増加
に応じて減少させ(具体的には、アクセル開操作に伴っ
て比例的に立ち上げたクラッチトルクを、前記開度領域
の高開度側では一定に保持している。)、かつ、前記所
定のアクセル開度(図12では4/8開度)を越える領域
では、エンジン駆動力の増大に比例して締結力を増大さ
せるようになっている。
【0058】即ち、発進時には、従駆動輪である前輪に
対して積極的に駆動力を分配することが望まれるため、
アクセル開度(エンジン駆動力)の増加に応じて締結力
を増加させるが、前輪に対する過大な駆動力分配は、タ
イトコーナブレーキ現象の発生原因となるため、アクセ
ル開度の増加に対してクラッチトルク(締結力)の増加
率を減少させることにより、過大な駆動力分配によるタ
イトコーナブレーキ現象の発生を回避する。一方、アク
セル開度(エンジン駆動力)が大きいときにこれに見合
った締結力に制御しないと、クラッチの保護が図れない
ので、タイトコーナブレーキ現象の回避に優先してエン
ジン駆動力の増大に比例して締結力を増大制御するもの
である。
【0059】従って、タイトコーナブレーキ現象の発生
を回避しつつ発生性能の向上を図るアクセル開度領域
(図12に示す4/8開度以下の領域)において、図12又
は図15に示すような、一旦比例的に増大させたクラッチ
トルクをその後一定に保持させる特性に限定されるもの
ではなく、アクセル開度に対するクラッチトルクの増加
率が連続的に減少変化するような特性であっても良い。
【0060】尚、上記実施例では、後輪ベースの4輪駆
動車の例を示したが、前輪を主駆動輪とする前輪ベース
の4輪駆動車であっても良いことは明らかである。ま
た、上記実施例では、アクセル開度θに応じて発進制御
用のクラッチトルクTSを設定させる構成としたが、ア
クセル開度θに相当するパラメータとしてエンジンのス
ロットル弁開度を検出させる構成であっても良く、更
に、アクセル開度θの変化率に応じてクラッチトルクを
設定させる構成であっても良い。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明にか
かる4輪駆動車の駆動力分配制御装置によると、回転速
度差が発生していない状態からトルク分配用クラッチを
所定の初期値に対応する締結力に制御して従駆動輪側に
エンジンの駆動力を分配させ、発進安定性の確保を図る
と共に、車速の増大に応じて前記初期値を段階的に低下
させることで、発進後の回転速度差が発生していない状
態での不必要なエンジン駆動力の分配を回避し、タイト
コーナブレーキ現象の回避を図れるという効果がある。
【0062】請求項2の発明にかかる4輪駆動車の駆動
力分配制御装置によると、検出可能な最小速度を基準と
して締結力の初期値を段階的に低下させる構成としたの
で、安定的な発進に必要な駆動力を従駆動輪側に与えて
おいて、発進した後は直ちに不必要な駆動力分配をキャ
ンセルし得るという効果がある。請求項3の発明にかか
る4輪駆動車の駆動力分配制御装置によると、発進から
の走行距離が短い発進時には、回転速度差が発生してい
ない状態からクラッチを所定の初期値に対応する締結力
に制御して従駆動輪側にエンジンの駆動力を分配させ、
発進安定性の確保を図る一方、発進からの走行距離の増
大に応じて前記初期値を段階的に低下させることで、発
進後の回転速度差が発生していない状態での不必要なエ
ンジン駆動力の分配を回避し、タイトコーナブレーキ現
象の回避を図れるという効果がある。
【0063】請求項4の発明にかかる4輪駆動車の駆動
力分配制御装置によると、前記走行距離を、従駆動輪の
回転量として検出することで、主駆動輪の空転により走
行距離を誤検出することがないという効果がある。請求
項5の発明にかかる4輪駆動車の駆動力分配制御装置に
よると、エンジンの駆動力に応じてクラッチの締結力を
制御する構成において、車速に応じてエンジン駆動力に
対する締結力制御の特性を切換える構成としたので、車
速によって判断される発進時における発進性の確保と発
進後におけるタイトコーナブレーキ現象の回避との両立
が図られるという効果がある。
【0064】請求項6の発明にかかる4輪駆動車の駆動
力分配制御装置によると、エンジン駆動力に応じた締結
力制御の特性を車速に応じて切り換える構成において、
低車速側では高車速側に比してよりエンジン駆動力が小
さい側から締結力を発生させるように切換えるようにし
たので、発進時には、従駆動輪に対する駆動力の分配を
エンジン駆動力が小さい状態から行わせて、滑り易い路
面であっても発進性が確保できる一方、発進後にはエン
ジン駆動力が高くなってから駆動力分配を行ってタイト
コーナブレーキの発生を回避できるという効果がある。
【0065】請求項7の発明にかかる4輪駆動車の駆動
力分配制御装置によると、エンジン駆動力に応じた締結
力制御の特性を車速に応じて切り換える構成において、
検出可能な最小速度を基準として前記切換えを行わせる
構成としたので、発進安定性を確保するのに必要な駆動
力分配を行わせつつ、発進した後は直ちにタイトコーナ
ブレーキを回避し得る制御特性に切換えられるという効
果がある。
【0066】請求項8の発明にかかる4輪駆動車の駆動
力分配制御装置によると、エンジンの駆動力に応じて締
結力を制御する構成において、タイトコーナブレーキ現
象を発生させ得る最小締結力と主駆動輪の空転を発生さ
せ得る最大締結力とに基づいて締結力を制御する構成と
したので、タイトコーナブレーキ現象の発生を回避しつ
つ低摩擦路での発進性を確保できる一方、エンジン駆動
力が高い領域ではエンジン駆動力の増大に比例して締結
力を増大させて、トルク分配用クラッチの保護を図れる
という効果がある。
【0067】請求項9の発明にかかる4輪駆動車の駆動
力分配制御装置によると、エンジン駆動力相当値として
アクセル開度を用い、該アクセル開度に応じて締結力を
制御する構成において、全閉からのアクセル開操作に伴
って直ちに締結力を発生させるので、発進直後から従駆
動輪に対する駆動力分配が行われ、安定した発進性が得
られるという効果がある。
【0068】請求項10の発明にかかる4輪駆動車の駆動
力分配制御装置によると、エンジン駆動力に応じて締結
力が制御される構成において、エンジン駆動力に応じた
締結力の増加率をエンジン駆動力の増加に応じて減少さ
せる構成としたので、タイトコーナブレーキ現象を回避
しつつ、低摩擦路での発進性を確保できる一方、エンジ
ン駆動力が高い領域ではエンジン駆動力の増大に比例し
て締結力を増大させて、トルク分配用クラッチの保護が
図れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の発明にかかる装置の基本構成ブロッ
ク図。
【図2】請求項3の発明にかかる装置の基本構成ブロッ
ク図。
【図3】請求項5の発明にかかる装置の基本構成ブロッ
ク図。
【図4】請求項8の発明にかかる装置の基本構成ブロッ
ク図。
【図5】実施例における駆動系を示す全体構成図。
【図6】実施例における電気制御系を示すブロック図。
【図7】第1実施例における駆動力分配制御を示すフロ
ーチャート。
【図8】第1実施例における初期トルクの変化特性を示
す線図。
【図9】第2実施例における駆動力分配制御を示すフロ
ーチャート。
【図10】第2実施例における初期トルクの変化特性を示
す線図。
【図11】第3実施例における駆動力分配制御を示すフロ
ーチャート。
【図12】第4実施例における駆動力分配制御を示すフロ
ーチャート。
【図13】タイトコーナブレーキ現象と駆動力分配との相
関を示す線図。
【図14】許容発進性と駆動力分配との相関を示す線図。
【図15】タイトコーナブレーキ現象と発進性とに基づく
第4実施例における締結力制御値の特性を示す線図。
【符号の説明】
1 エンジン 2 トランスミッション 3 トランスファ入力軸 4 リヤプロペラシャフト 5 リヤディファレンシャル 6 後輪(主駆動輪) 7 トランスファ出力軸 8 フロントプロペラシャフト 9 フロントディファレンシャル 10 前輪(従駆動輪) 11 トランスファ 11a 湿式多板摩擦クラッチ 20 制御油圧発生装置 30 各種入力センサ 30a 左前輪回転センサ 30b 右前輪回転センサ 30c 左後輪回転センサ 30d 右後輪回転センサ 30e 第1横加速度センサ 30f 第2横加速度センサ 30g アクセル開度センサ 40 トルクスプリットコントローラ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジン直結駆動系の主駆動輪に対し、制
    御信号に応じて締結力が変化するトルク分配用クラッチ
    を介してエンジン駆動力が伝達される従駆動輪を備えて
    なる4輪駆動車の駆動力分配制御装置であって、 前記主駆動輪と従駆動輪との回転速度差を検出する回転
    速度差検出手段と、 該回転速度差検出手段で検出される回転速度差に応じて
    前記締結力を所定の初期値を基準として制御する回転速
    度差による締結力制御手段と、 車速を検出する車速検出手段と、 該車速検出手段で検出される車速の増大に応じて前記締
    結力の初期値を段階的に低下させる車速による初期締結
    力可変手段と、 を含んで構成されることを特徴とする4輪駆動車の駆動
    力分配制御装置。
  2. 【請求項2】前記車速による初期締結力可変手段が、前
    記車速検出手段で検出される最小速度を基準として前記
    締結力の初期値を段階的に変化させることを特徴とする
    請求項1記載の4輪駆動車の駆動力分配制御装置。
  3. 【請求項3】エンジン直結駆動系の主駆動輪に対し、制
    御信号に応じて締結力が変化するトルク分配用クラッチ
    を介してエンジン駆動力が伝達される従駆動輪を備えて
    なる4輪駆動車の駆動力分配制御装置であって、 前記主駆動輪と従駆動輪との回転速度差を検出する回転
    速度差検出手段と、 該回転速度差検出手段で検出される回転速度差に応じて
    前記締結力を所定の初期値を基準として制御する回転速
    度差による締結力制御手段と、 車両の発進からの走行距離を検出する走行距離検出手段
    と、 該走行距離検出手段で検出される発進からの走行距離の
    増大に応じて前記締結力の初期値を段階的に低下させる
    走行距離による初期締結力可変手段と、 を含んで構成されることを特徴とする4輪駆動車の駆動
    力分配制御装置。
  4. 【請求項4】前記走行距離検出手段が、前記従駆動輪の
    回転量を走行距離相当値として検出することを特徴とす
    る請求項3記載の4輪駆動車の駆動力分配制御装置。
  5. 【請求項5】エンジン直結駆動系の主駆動輪に対し、制
    御信号に応じて締結力が変化するトルク分配用クラッチ
    を介してエンジン駆動力が伝達される従駆動輪を備えて
    なる4輪駆動車の駆動力分配制御装置であって、 エンジンの駆動力を検出するエンジン駆動力検出手段
    と、 前記エンジン駆動力検出手段で検出されるエンジンの駆
    動力に応じて前記締結力を制御する駆動力による締結力
    制御手段と、 前記駆動力による締結力制御手段による前記締結力の制
    御特性を車速に応じて切り換える車速による制御特性切
    換え手段と、 を含んで構成されることを特徴とする4輪駆動車の駆動
    力分配制御装置。
  6. 【請求項6】前記車速による制御特性切換え手段が、低
    車速側では高車速側に比してよりエンジン駆動力が小さ
    い側から前記締結力を発生させることを特徴とする請求
    項5記載の4輪駆動車の駆動力分配制御装置。
  7. 【請求項7】前記車速による制御特性切換え手段が、前
    記車速検出手段で検出される最小速度を基準として前記
    締結力の制御特性を切り換えることを特徴とする請求項
    5又は6に記載の4輪駆動車の駆動力分配制御装置。
  8. 【請求項8】エンジン直結駆動系の主駆動輪に対し、制
    御信号に応じて締結力が変化するトルク分配用クラッチ
    を介してエンジン駆動力が伝達される従駆動輪を備えて
    なる4輪駆動車の駆動力分配制御装置であって、 エンジンの駆動力を検出するエンジン駆動力検出手段
    と、 前記エンジン駆動力検出手段で検出されるエンジンの駆
    動力に応じて前記締結力を制御する手段であって、所定
    のエンジン駆動力以下の領域では、予め求められたタイ
    トコーナブレーキ現象を発生させ得る最小締結力と発進
    時の主駆動輪の空転を発生させ得る最大締結力とで挟ま
    れる締結力範囲内に前記締結力を制御し、かつ、前記所
    定のエンジン駆動力を越える領域ではエンジン駆動力の
    増大に比例して締結力を増大させる駆動力による締結力
    制御手段と、 を含んで構成されることを特徴とする4輪駆動車の駆動
    力分配制御装置。
  9. 【請求項9】前記エンジン駆動力検出手段が、アクセル
    開度をエンジンの駆動力相当値として検出する構成であ
    り、前記駆動力による締結力制御手段が、アクセル全閉
    状態で前記締結力を零に制御し、かつ、全閉からのアク
    セル開操作に伴って直ちに締結力を発生させることを特
    徴とする請求項8記載の4輪駆動車の駆動力分配制御装
    置。
  10. 【請求項10】エンジン直結駆動系の主駆動輪に対し、制
    御信号に応じて締結力が変化するトルク分配用クラッチ
    を介してエンジン駆動力が伝達される従駆動輪を備えて
    なる4輪駆動車の駆動力分配制御装置であって、 エンジンの駆動力を検出するエンジン駆動力検出手段
    と、 前記エンジン駆動力検出手段で検出されるエンジンの駆
    動力に応じて前記締結力を制御する手段であって、所定
    のエンジン駆動力以下の領域では、エンジンの駆動力に
    応じた前記締結力の増加率をエンジン駆動力の増加に応
    じて減少させ、かつ、前記所定のエンジン駆動力を越え
    る領域ではエンジン駆動力の増大に比例して締結力を増
    大させる駆動力による締結力制御手段と、 を含んで構成されることを特徴とする4輪駆動車の駆動
    力分配制御装置。
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US6606549B1 (en) 1999-09-08 2003-08-12 Toyoda Koki Kabushiki Kaisha For a four-wheel-drive vehicle
JP2009526702A (ja) * 2006-02-15 2009-07-23 イートン コーポレーション 電子制御式センターカプラーを備えたスタビリティ性向上トラクション制御

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