JP3616927B1 - 酸化チタン系細線状生成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低コストで、しかも長さが長い酸化チタン系細線状生成物を提供する。
【解決手段】 粗粉砕された75μmを超え、300μm未満の粒径の天然ルチル粗粉末を、水酸化ナトリウム水溶液を入れた原料容器に入れ、閉蓋して密閉する原料容器密閉工程と、密閉された原料容器内の原料液を予め定めた所定の温度に保持しながら、予め定めた所定時間保持して細線状生成物を水熱合成する水熱合成工程と、原料容器を開蓋して生成物を含む液を中和する液中和工程と、得られた生成物を水洗する水洗工程と、分離手段により、水洗された生成物から灰色の生成物と白色の生成物とを分離する生成物分離工程と、分離された白色の生成物の吸着水および結晶水を除去する吸着水・結晶水除去工程とからなる製造方法によって、酸化チタン系細線状生成物を製造する。
【選択図】 図なし

Description

本発明は、酸化チタン系細線状生成物の製造方に係り、より詳しくは、粗粉砕された天然ルチル粗粉末を原料として、安価で、しかも長さが長い酸化チタン系細線状生成物を製造する酸化チタン系細線状生成物の製造方に関するものである。
酸化チタン(TiO)は、優れた紫外線吸収性および吸着性等の特性を有しているため、従来から、顔料、塗料、化粧料、紫外線遮蔽材、触媒、触媒担体、および各種のエレクトロニクス材料等に活用されている。さらに、近年では、酸化チタンそのものが持つ光触媒活性に大きな関心が寄せられている。酸化チタンの優れた光触媒活性は環境浄化、より詳しくは、有害有機物の分解、大気汚染物質の除去、殺菌、抗菌等を目的として実用化されている。このような酸化チタンの光触媒活性については、正方晶系のルチル型構造よりも、同じく正方晶系のアナターゼ型構造の方が高いことが知られている。また、酸化チタンの光触媒活性を向上させる方法として、酸化チタンの比表面積を増大させることが検討されている。例えば、酸化チタンをナノスケールのチューブ状にしたり、ファイバー状にしたりする等の多くの試みがなされている。
酸化チタンのナノスケールのチューブ状のものとしては、例えば酸化チタンの結晶形状がナノチューブ体であるものが公知である。この従来例に係るナノチューブ体は、酸化チタン粉末を、濃度13〜65外掛けwt%(望ましくは、18〜55wt%)の水酸化ナトリウム水溶液の中に入れ、温度18〜160℃(望ましくは、30〜120℃)で1〜50時間(望ましくは、2〜20時間)処理するという条件下で製造されたものである。
また、このナノチューブ体は、通常2〜100nm、望ましくは2〜30nmの粒度の酸化チタン粉末を用いて製造されたもので、肉厚2〜10nm、長さ50〜150nmのものである。このナノチューブ体の原料として用いられる酸化チタン粉末は、「液相法」、「気相法」、または「ゾル・ゲル法」の何れかの方法で製造されている。
なお、前記「液相法」とは、チタン鉱石を、硫酸等の強酸により、加熱加水分解して得られる含水酸化チタンを800〜850℃の温度で焼成して酸化チタンを製造する方法である。また、前記「気相法」とは、ТiClにOおよびHを接触させて酸化チタンを製造する方法である。そして、前記「ゾル・ゲル法」とは、Тi(OR)等を含むチタンアルコキシドをアルコール水溶液中で加水分解させてゾルを生成させ、さらにこのゾルに加水分解触媒を加えると共に、放置してゲル化させ、このゲル化物を焼成して酸化チタンを製造する方法である(例えば、特許文献1・特許文献2参照。)。
以下、上記「液相法」、「気相法」、および「ゾル・ゲル法」の工程を、より詳細に説明する。「液相法(硫酸法とも呼ばれている。)」は、イルメナイト鉱石(FeТiOを主成分とする鉱石)を原料とし、この原料を硫酸に溶解させて硫酸チタンと硫酸鉄を生成させる原料溶解工程、生成された硫酸チタンと硫酸鉄を分離する硫酸チタン分離工程、分離された硫酸チタンを加水分解すると共に、乾燥、焼成する加水分解・乾燥・焼成工程を経て酸化チタンを得るものである(例えば、非特許文献1参照。)。
また、「気相法(塩素法とも呼ばれている。)」とは、TiOを主成分とするルチル鉱石、またはイルメナイト鉱石を脱鉄して得られ、95%以上のTiOを含む合成ルチル等を原料とし、この原料を塩素ガスにより塩素化して粗製ТiClを製造する原料塩素化工程、得られた粗製ТiClを還元剤と共に蒸留精製する還元・蒸留工程を経て酸化チタンを得るものである(例えば、非特許文献1参照。)。
そして、「ゾル・ゲル法」とは、Тi(OR)等を含むチタンアルコキシドを原料とし、この原料をアルコール水溶液中で加水分解させてゾルを生成させる加水分解工程、得られたゾルに加水分解触媒を加えると共に、放置してゲル化させるゲル化工程、得られたゲル化物を焼成する焼成工程を経て酸化チタンを得るものである。
特開平10−152323号公報 特開2002−241129号公報 ファインセラミックス事典、技報堂出版、1987年
上記従来例に係るナノチューブ体においては、その原料となる微細な酸化チタン粉末を製造する製造工程まで含めると、その製造プロセスはそれほど簡易であるとはいえない。
つまり、ナノチューブ体の原料となる微細な酸化チタン粉末を得るためには、上記のとおり、「液相法」、「気相法」、または「ゾル・ゲル法」の何れかの方法を用いなければならない。従って、最終製品であるナノチューブ体を得るためには、多くの工程を経なければならず、その製造工程が複雑で製造コストが嵩むという問題があった。
また、上記従来例に係るナノチューブ体の製造には、上記のとおり、粒径2〜100nm、望ましくは粒径2〜30nmの非常に微細な酸化チタン粉末を原料にしているため、長さ50〜150nm程度のナノチューブ体しか得ることができない。そのため、例えばしなやかに変形できかつ比表面積の大きい不織布状構造体、あるいは電子デバイス用半導体線材の用途に用いるには長さが不十分であるという問題があった。
従って、本発明の目的は、天然ルチルを粗粉砕した天然ルチル粗粉末を原料として、安価で、しかも長さが長い酸化チタン系細線状生成物を製造する酸化チタン系細線状生成物の製造方を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る酸化チタン系細線状生成物の製造方法が採用した手段は、粗粉砕された天然ルチル粗粉末を、アルカリ水溶液を入れた原料容器に入れて密閉する原料容器密閉工程と、密閉された原料容器内の天然ルチル粗粉末とアルカリ水溶液を水熱合成する水熱合成工程と、水熱合成により得られた生成物を含むアルカリ水溶液を中和する液中和工程と、これにより得られた生成物を水洗する水洗工程と、この水洗工程で得られた生成物を分離手段により灰色の生成物と白色の生成物とに分離する生成物分離工程と、この生成物分離工程で分離された白色の生成物の吸着水および結晶水を除去する吸着水・結晶水除去工程とからなることを特徴とする。
本発明の請求項2に係る酸化チタン系細線状生成物の製造方法が採用した手段は、請求項1に記載の酸化チタン系細線状生成物の製造方法において、前記天然ルチル粗粉末の粒径は75μmを超え、300μm未満であり、前記水熱合成工程において原料容器内の原料液を110〜180℃で24〜72時間保持することを特徴とする。
本発明の請求項3に係る酸化チタン系細線状生成物の製造方法が採用した手段は、請求項1または2のうちの何れか一つの項に記載の酸化チタン系細線状生成物の製造方法において、前記吸着水・結晶水除去工程において白色の生成物を180〜400℃で1〜50時間保持することを特徴とする。
本発明の請求項1乃至3に係る酸化チタン系細線状生成物の製造方法によれば、従来例のように「液相法」、「気相法」、「ゾル・ゲル法」の何れかの方法を用いて製造した酸化チタンを用いるのではなく、粗粉砕された天然ルチル粗粉末を用いて水熱合成するため、従来例よりも低コストで酸化チタン系細線状生成物(白色の生成物)を製造することができる。また、粒径が75μmを超え、300μm未満の天然ルチル粗粉末を用いるため、酸化チタン系細線状生成物の長さは、表層が剥離し水熱合成過程により結晶成長して生成されるという酸化チタン系細線状生成物の生成メカニズムからチタン含有粗粉末原料の粒径に対応した長さになることから、粒径2〜30nmの微細な酸化チタンを用いる従来例よりも遥に長い酸化チタン系細線状生成物を製造することができる。そのため、この酸化チタン系細線状生成物を大気汚染物質の除去の用途として用いると格別の効果、例えば不織布状構造体とすることにより、しなやかに変形できかつ比表面積が大きく破壊に対する信頼性の向上という優れた効果を得ることができる。即ち、低コストのプロセスにより得られた酸化チタン系細線状生成物それ自体が触媒として機能し、かつ高信頼性の多孔質構造体としても機能するという、従来の酸化チタン系ナノ粒子焼成体あるいは酸化チタン系ナノ粒子塗布体では実現できなかった機能を実現することが可能である。
以下、本発明の形態に係り、酸化チタン系細線状生成物を製造する酸化チタン系細線状生成物の製造方法について説明する。即ち、本発明では、従来例のように「液相法」、「気相法」、「ゾル・ゲル法」の何れかの方法によって製造した酸化チタンを原料として用いるのではなく、酸化チタン系細線状生成物の原料として天然ルチル粗粉末を用いるものである。この天然ルチル粗粉末の99,3wt%は、天然ルチルを粗粉砕した75μmを超え、300μm未満の粒径のものである。
そして、本発明では、上記範囲の粒径の天然ルチル粗粉末を原料容器内のアルカリ水溶液、具体的には、水酸化ナトリウム水溶液中に分散させると共に、この原料容器を閉蓋して密閉(原料容器密閉工程)する。そして、密閉された原料容器内の天然ルチル粗粉末とアルカリ水溶液を水熱合成(水熱合成工程)する。次いで、前記原料容器を開蓋して生成物を含む液を酸、例えば希塩酸水溶液で中和(液中和工程)する。さらに、得られた生成物を、蒸留水を用いて水洗(水洗工程)し、分離手段によって、水洗された生成物から灰色の生成物と白色の生成物とに分離(生成物分離工程)すると共に、分離された白色の生成物の吸着水および結晶水を除去(吸着水・結晶水除去工程)する。以上の各工程を経て、天然ルチル粗粉末から酸化チタン系細線状生成物(白色の生成物)であるナノチューブとナノファイバー、あるいはナノファイバーを製造するものである。なお、本発明の場合には、上記のとおり、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を用いたが、例えば水酸化カリウム(KOH)水溶液等の他のアルカリ水溶液を用いることができる。
上記のとおり、本発明では、酸化チタン系細線状生成物を、従来例のように「液相法」、「気相法」、「ゾル・ゲル法」の何れかの方法を用いて製造された微細な酸化チタン粉末を用いるのではなく、天然ルチル粗粉末を用いて水熱合成により製造する。換言すれば、本発明の形態に係る酸化チタン系細線状生成物の製造方法の天然ルチル粗粉末から酸化チタン系細線状生成物を製造する工程と、「液相法」、「気相法」、「ゾル・ゲル法」の何れかの方法で製造した酸化チタンを用いてナノチューブ体を製造する従来例に係る工程とはほぼ同一である。
つまり、本発明によれば、微細な酸化チタン粉末を製造する酸化チタン製造工程が不要であって、この酸化チタン製造工程で使用する薬品類の処理も不要である。従って、従来例よりも低コストで酸化チタン系細線状生成物を製造することができ、そして地球環境にとって優しい製造方法であるということができる。因に、天然ルチル粗粉末のコストは、「液相法」、「気相法」、「ゾル・ゲル法」の何れかの方法によって製造した酸化チタンよりも遥に低コストであり、酸化チタン系細線状生成物のコスト低減に大いに寄与することができる。
本発明では、上記のとおり、酸化チタン系細線状生成物を製造するのに、75μmを超え、300μm未満の粒径の天然ルチル粗粉末を用いる。従って、酸化チタン系細線状生成物の長さは、表層が剥離し水熱合成過程により結晶成長して生成されるという酸化チタン系細線状生成物の生成メカニズムから、天然ルチル粗粉末の粒径に対応した長さになるから、粒径2〜30nmの微細な酸化チタン粉末を用いる従来例よりも、遥に長い酸化チタン系細線状生成物を製造することができる。
また、本発明では、上記のとおり、75μmを超え、300μm未満の粒径の天然ルチル粗粉末を用いるため、酸化チタン系細線状生成物の長さはばらつく。しかしながら、例えば篩い分けにより粒度調整がなされた天然ルチル粗粉末を用いれば、長さに関して均一性の高い酸化チタン系細線状生成物を製造することができる。なお、300μmより大きな粒子を用いることも可能であるが、未反応のルチル粒子残存量が増加するため、必ずしも効果的とはいえない。一方、75μmよりも小さな粒子を用いることも無論可能であるが、破砕時間の増加によるコスト増および最終生成物である酸化チタン系細線状生成物の長さへの影響が生じる。
ところで、水熱合成によりHTi・3HOの組成で近似される酸化チタン系細線状生成物、つまり吸着水および結晶水等の水分を含有する含水構造酸化チタンを含む酸化チタン系細線状生成物が得られるが、水熱合成温度を高温にすると共に、水熱合成保持時間を長くすることにより、酸化チタン系細線状生成物を太く、かつ中実化させることができるから、ナノファイバーの含有比率を高めることができる。逆に、水熱合成温度を低温にすると共に、水熱合成保持時間を短くすることにより、ナノチューブの含有比率を高めることができる。さらに、このようにして得られたナノチューブ、またはナノファイバーを、例えば200℃で1時間保持(吸着水・結晶水除去工程)して吸着水および結晶水を除去することにより、HTiの組成からなるナノチューブ、またはナノファイバーを製造することができる。
ところで、本実施例では、上記のとおり、吸着水・結晶水除去工程においてナノチューブ、またはナノファイバーを200℃で加熱したが、これは低温での装置製作を考慮したためであって、180〜400℃で加熱するのが好ましい。なお、加熱温度の上限については400℃を超えると酸化チタン系細線状生成物の構造が変化するため、400℃としたものである。また、加熱時間については1〜50時間にすれば良い。なお、加熱時間の下限を1時間としたのは、工学的には短時間が望ましいからであり、加熱時間の上限を50時間としたのは、50時間を超えても殆ど変化が見られないからである。
このような酸化チタン系細線状生成物を大気汚染物質の除去の用途として用いると格別の効果、例えば不織布状構造体とすることにより、しなやかに変形できかつ比表面積が大きく破壊に対する信頼性の向上という優れた効果を得ることができる。即ち、低コストのプロセスにより得られた酸化チタン系細線状生成物それ自体が触媒として機能し、かつ高信頼性の多孔質構造体としても機能するという従来の酸化チタン系ナノ粒子焼成体あるいは酸化チタン系ナノ粒子塗布体では実現できなかった機能を実現することが可能である。
なお、このような酸化チタン系細線状生成物を500℃以上の温度で加熱することにより、ナノチューブあるいはナノファイバー構造が不安定化するので酸化チタンからなるナノサイズの微粒子が得られる。しかしながら、この酸化チタンからなるナノサイズの微粒子はもとの細線状生成物よりは長さが短くなるものの、微粒子が互いに結合した1次元構造を一部残しているため、従来例に係る酸化チタンから製造された酸化チタン微粒子とは異なる特性がある。従って、光電変換機能を用いた太陽電池用途等では、高効率の電子移動に寄与することが可能である。
以下、酸化チタン系細線状生成物を製造する本発明の酸化チタン系細線状生成物の製造方法に関する実施例を説明する。本実施例では、酸化チタン系細線状生成物の製造原料として粗粉砕されたオーストラリア原産の天然ルチル粗粉末を用いた。この天然ルチル粗粉末の化学分析値は、TiO;96.0wt%、Fe;0.95wt%、ZrO;0.94wt%、SiO(total);0.60wt%、Cr;0.17wt%、Al;0.26wt%、P;0.025wt%以下、MnO;0.01wt%、CaO;0.02wt%以下、MgO;0.05wt%、V;0.46wt%、Nb;0.32wt%、S;0.01wt%以下、SnO;0.015wt%、U;30ppm、Th;50ppmである。
また、この天然ルチル粗粉末の粒度分布は、粒径75μm未満の天然ルチル;0.2wt%、粒径75μmを超え、106μm未満の天然ルチル;2.7wt%、粒径106μmを超え、150μm未満の天然ルチル;27.5wt%、粒径150μmを超え、180μm未満の天然ルチル;42.8wt%、粒径180μmを超え、212μm未満の天然ルチル;19.8wt%、粒径212μmを超え、250μm未満の天然ルチル;5.2wt%、粒径250μmを超え、300μm未満の天然ルチル;1.6wt%、粒径300μmを超える天然ルチル;0.5wt%である。即ち、本実施例では、96.0wt%の酸化チタンを含有し、かつ粒径の993wt%が75μmを超え、300μm未満の天然ルチル粗粉末を原料として、酸化チタン系細線状生成物を製造するものである。
上記天然ルチル粗粉末の主要な不純物は、上記化学分析値から明らかなとおり、Fe、ZrOおよびSiOである。しかしながら、SiOについては、光触媒応用等で重要となる光電変換機能にさして大きな影響は与えない。また、天然ルチル鉱石に含有される天然放射性同位体量はU、Thとも50ppm以下であり、チタン鉱石産業で考慮すべき点である天然放射性物質管理(NORM)の観点からも、よほど大量に取り扱わない限り特段問題のないので、この天然ルチル粗粉末は良質な原料である。なお、この天然ルチル粗粉末の色は、上記不純物のために灰褐色であった。
300mgの上記天然ルチル粗粉末を、フッ素樹脂を内張したステンレス製の原料容器中の50mlの濃度10モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液に入れて分散させた後に閉蓋して密封した。そして、密封した原料容器を130℃に加熱したオーブン中で50時間静置することにより、酸化チタン系ナノ細線生成物を水熱合成した。ところで、この実施例においては原料容器をオーブン中で50時間静置したが、原料液を撹拌すると酸化チタン系ナノ細線生成物の水熱合成速度が促進されるので、原料容器の内部に、例えば磁力で回転するマグネット製撹拌器を入れて原料液を撹拌することにより反応時間を24時間程度にまで短縮することが可能であった。他方、本実施例の静置条件下では約50時間と幾分反応時間は長くなるものの安定した結晶成長が生じるため、直線性に優れた長尺の酸化チタン系細線状生成物が得られる。なお、水酸化ナトリウム水溶液の濃度は、前述した特許文献1や種々の文献から5〜15モルであれば良いと考えられるが、この実施例では、比較的多くの不純物を含む天然ルチルが原料であるため、取りあえず10モルの水酸化ナトリウム水溶液を用いることとしたものである。
50時間静置後にオーブン内から原料容器を取出して室温まで冷却することにより、後述する生成物を得た。このようにして得た生成物は、鉄等の不純物成分を多量に含む灰色の生成物(比較的大きな凝集沈殿物)と、浮遊する白色の生成物(長時間放置すると沈殿するもの)である。次いで、これら灰色の生成物と白色の生成物とからなる生成物を含む液を希塩酸水溶液により中和し、蒸留水を用いて水洗処理を行った後、周知の沈降法(沈降所要時間は1時間である。)により白色の生成物を分離すると共に、分離した白色の生成物を乾燥させた。このようにして得られた白色の生成物(浮遊物)は酸化チタン系ナノ細線生成物、より具体的には、HTi・3HOで近似される組成からなるナノチューブとナノワイヤーとの混合物であった。なお、未反応のルチル粗粉末は遠心分離等により除去し、再度原料として使用することができる。
ところで、本実施例に係る酸化チタン系細線状生成物の製造方法では、上記のとおり、鉄等の不純物成分を多量に含む灰色の生成(凝集沈殿物)と、浮遊する白色の生成物とを沈降法により分離したが、工業的には、遠心分離器により分離すれば良い。なお、加熱温度は、前述した特許文献1や種々の文献から例えば110〜180℃の範囲にすれば良いと考えられるが、この実施例では、不純物を多く含む天然ルチルが原料であるため、加熱温度を130℃とした。また、水熱合成保持時間は、前述した特許文献1や種々の文献から例えば24〜72時間の範囲にすれば良いと考えられるが、この実施例では、不純物を多く含む天然ルチルが原料であるため、水熱合成保持時間を50時間とした。但し、水熱合成保持時間については、加熱温度の高低により、また酸化チタン系ナノ細線生成物の欲しいナノチューブとナノファイバーとの割合に応じて変更されるものである。例えば、水熱合成保持時間を長くすることによりナノファイバーの割合を多くし、またその殆どをナノファイバーにするという酸化チタン系細線状生成物の態様を制御することができる。
上記のようにして得られた酸化チタン系ナノ細線生成物を、例えば抵抗加熱式オーブンを用いて200℃で1時間加熱(吸着水・結晶水除去工程)することにより、組成がHTiの高純度の含水構造酸化チタンからなるナノチューブとナノファイバーとからなる混合物が得られた。このようにして得られたHTiの組成からなるナノチューブとナノファイバーとからなる混合物は、走査型電子顕微鏡により撮影した細線状生成物を示す図の図1に示すとおりである。なお、加熱して得られたHTiの組成からなるナノチューブとナノファイバーを、例えばデシケータ中に保存することにより空気中の水分の吸収を防止することができる。
即ち、図1から良く理解されるように、天然ルチル粗粉末を水熱合成することにより得られたHTiの組成からなるナノチューブとナノファイバーとの混合物は、太さが20nm以上であり、長さが10〜500μmであった。ところで、天然ルチル粗粉末の中には、上記のとおり、不純物としてFe、ZrO、SiOが比較的多量に存在していた。しかしながら、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡を用いたエネルギー分散型X線分光分析(EDS分析)により、これらの殆どが除去されていることを確認した。
本発明の実施例に係り、走査型電子顕微鏡により撮影した細線状生成物を示す図である。

Claims (3)

  1. 粗粉砕された天然ルチル粗粉末を、アルカリ水溶液を入れた原料容器に入れて密閉する原料容器密閉工程と、密閉された原料容器内の天然ルチル粗粉末とアルカリ水溶液を水熱合成する水熱合成工程と、水熱合成により得られた生成物を含むアルカリ水溶液を中和する液中和工程と、これにより得られた生成物を水洗する水洗工程と、この水洗工程で得られた生成物を分離手段により灰色の生成物と白色の生成物とに分離する生成物分離工程と、この生成物分離工程で分離された白色の生成物の吸着水および結晶水を除去する吸着水・結晶水除去工程とからなることを特徴とする酸化チタン系細線状生成物の製造方法。
  2. 前記天然ルチル粗粉末の粒径は75μmを超え、300μm未満であり、前記水熱合成工程において原料容器内の原料液を110〜180℃で24〜72時間保持する請求項1に記載の酸化チタン系細線状生成物の製造方法。
  3. 前記吸着水・結晶水除去工程において白色の生成物を180〜400℃で1〜50時間保持する請求項1または2のうちの何れか一つの項に記載の酸化チタン系細線状生成物の製造方法。
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