JP3616916B2 - ペデスタルデッキの設置構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の床を支持する梁または根太の上に固定される、特に、クリーンルームや研究施設等に適用して好適な機器据付用のペデスタルデッキの設置構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、半導体製造等に用いられるクリーンルームの床は、通常の建物のように梁と一体に形成されるスラブによることなく、清浄度の維持等を主たる目的として、通気性を持たせたグレーティング(格子)により構成されることが通常であり、したがって、梁やその上に設置される根太はグレーティングを支持可能なようにフレーム状に設けられることが通常である。
【0003】
ところで、従来、クリーンルーム内に嫌振性の大型機器等を設置するような場合には、例えば、大型機器の下部にプレキャストコンクリート版からなるペデスタルデッキを配置し、このペデスタルデッキをボルト等で梁や根太に固定し、この固定したペデスタルデッキに大型機器を取り付ける手段をとっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来のペデスタルデッキを用いた機器の設置方法にあっては次の問題があった。
一旦、大型機器を据え付けた後に生産設備のレイアウトの変更がある場合には、ペデスタルデッキを構成するプレキャストコンクリート版を、今ある箇所から別の箇所まで移動させる作業が必要になるが、プレキャストコンクリート版自体が大きくてしかも重いため移動作業をスムーズに行うことができず、このため、生産設備レイアウトの変更が大変面倒になるという問題があった。また、新たにプレキャストコンクリート版を作成するにも、クリーンルーム内で作成しなくてはならず、仮設、養生に大変手間がかかっていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、解体が容易でかつ他の箇所への移動が容易に行えるペデスタルデッキの設置構造を提供することにある。
また、下側の梁または根太に対し緩みやガタが少なく強固に固定できるペデスタルデッキの設置構造を提供することも目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための、本発明の請求項1にかかるペデスタルデッキの設置構造では、建物の床を支持するべくフレーム状に設けられた梁または根太の上に固定される機器据付用のペデスタルデッキの設置構造であって、ペデスタルデッキは、下面に袋ナットが打ち込まれたプレキャストコンクリート版からなるペデスタルユニットが複数互いに同一平面状に並べられ、それらペデスタルユニット同士が縦横それぞれのPC鋼線にて互いに連結されるとともに、前記ペデスタルユニット同士の接合部が前記梁または根太の上側に配置されて該梁または根太に支持された構成からなり、前記袋ナットにはボルトの一端が螺合され、該ボルトの他端は前記梁または根太の下面にあてがわれた定着具に挿通され、挿通されたボルトの他端にはナットが螺合され、該ナットが締め付けられることで、梁または根太とペデスタルデッキとが固定されていることを特徴とするペデスタルデッキの設置構造。
【0007】
請求項2にかかるペデスタルデッキでは、前記ペデスタルユニットが正方形または長方形状に形成され、それらペデスタルユニットが碁盤目状に並べられて連結されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、複数のペデスタルユニット同士をPC鋼線にて互いに連結しているので、それらペデスタルユニット同士は一体化しており、高い剛性が確保される。
また、解体する際には、PC鋼線による連結を解くことでペデスタルユニット同士をバラバラにすることができ、それらペデスタルユニットは従来の一体もののペデスタルデッキに比べてはるかに小さいので、容易に移動することが可能になる。
また、ペデスタルユニット同士の接合部を梁や根太の上側に配置して、それら梁等とペデスタルユニットとを固定すれば、強度的に弱い箇所であるぺデスタルユニット同士の接合部に大荷重が加わるのを防止でき、このため、ガタが少ない高強度のペデスタルデッキの固定が行える。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明にかかるペデスタルデッキの平面図、図2は図1のIIーII線に沿う断面図である。
これらの図において符号1は、半導体製造工場におけるクリーンルームの床を支持する根太である。これら根太1は両端を図示せぬ梁に所定のピッチp(例えば、600mm)置きに渡されて、他の梁あるいは根太とともにフレーム状となるよう縦横に架設されている。これら根太1には、プレキャストコンクリート製あるいは鉄骨製のもの等がある。そして、これら根太1の上側であって各種の機器を設置するべき位置には、機器据付用架台としてのペデスタルデッキ2が設置されている。
なお、ペデスタルデッキ2が設置されるべき位置と異なる位置には、通気性を有する床材としての図示せぬグレーティング(格子)が敷設されている。
【0011】
ペデスタルデッキ2は、プレキャストコンクリート版からなるペデスタルユニット3,…が複数互いに同一平面状に並べられ、それらペデスタルユニット3,…同士が適宜緊張力をもって張られたPC鋼線4,…にて互いに連結されて構成される。ペデスタルデッキユニット3,…は2種類あって、長手方向(根太1に対して直交する方向)両端部に配置されるもの3A,…は長方形状とされ、他の箇所に配置されるのもの3B,…は正方形状(前記根太1のピッチと同程度の大きさに設定された、例えば600mm×600mm程度の正方形状)とされている。そして、これら双方のペデスタルユニット3A,3B,…が碁盤目状に配置され、それらを接続するPC鋼線4も、一端側のペデスタルユニット3,…から他端側のペデスタルユニット3,…まで達するように碁盤目状に配置されている。なお、ここで、一つのペデスタルユニット3,…をみた場合、縦横それぞれ2本ずつのPC鋼線4,…が張られていて、これを上方から見ると、図1に示すようにPC鋼線4は「井」の字状に配置されている。
【0012】
また、図2に示すようにペデスタルデッキ2は、根太1に対し、根太1の上側にペデスタルユニット3,…同士の接合部5が位置するように位置決めされ、この状態でペデスタルデッキ2は根太1に固定されている。
すなわち、ペデスタルユニット3A,3B,…の下面所定位置には袋ナット6,…が予め打ち込まれており、これら袋ナット6,…にはボルト7,…がその上端をそれぞれ螺合されて、根太1,…の左右両側にそれぞれ位置するように配置される。一方、前記根太1,…の下面には例えば溝形鋼等からなる定着具8があてがわれ、これら定着具8の根太1から外方へ張り出した部分に前記ボルト7の他端が挿通されている。そして、これらボルト7の挿通端部にナット9,…が螺合され、これらナット9,…が締め付けられることによってペデスタルデッキ2と定着具8との間に根太1を強く挟み込み、これにより、ペデスタルデッキ1が根太1に強固に固定されるようになっている。
【0013】
なお、必要に応じて、ペデスタルユニット3,…と根太1,…の接合面、あるいは根太1,…と定着具8,…との当接面にそれぞれ接着材を塗布し、それらの結合強度をもたせるようにしてもよい。
【0014】
上記構成のペデスタルデッキ2の設置構造によれば、ペデスタルデッキ2は、複数のペデスタルユニット3A,3B,…同士を、適宜緊張力をもって張られたPC鋼線4,…にて互いに連結して構成しているので、図2中矢印で示すように、ペデスタルユニット3A,3B,…同士の接合部5には、PC鋼線4による緊張力の反力による相互圧着力が生じており、この圧着力によってこれらペデスタルユニット3,…同士は一体化しており、あたかも一体構造のようなような高い剛性が確保される。
【0015】
加えて、ペデスタルユニット3A,3B,…同士の接合部5を根太1,…の上側に配置し、この状態でそれらペデスタルユニット3,…を根太1に固定しているので、たとえ、上側の機器によってペデスタルデッキ2に大荷重が加わる場合でも、強度的に弱い箇所であるぺデスタルユニット3A,3B,…同士の接合部5は根太1によって支持されているので、このぺデスタルユニット3,…同士の接合部5に大荷重が作用することはない。このため、ペデスタルデッキ3に対し、ガタが少ない高強度の固定が行え、嫌振性の機器を支持する上で十分要求に応える強度を有することができる。
【0016】
一方、生産設備レイアウト変更時には、ペデスタルデッキ2を所定箇所から別の箇所まで移動させることが必要になるが、それには、まず、ナット9を緩めて根太1とペデスタルデッキ2との固定を解き、続いて、PC鋼線4,…によるに緊張力を解いてペデスタルユニット3,…同士をそれぞれバラバラにする。このようにペデスタルユニット3をバラバラにした後、それら一つ一つのペデスタルユニット3を人手によって所定箇所から他の箇所への移動することができるため、従来の一体もののペデスタルデッキを移動する場合に比べてはるかに容易かつローコストで移動することができる。
【0017】
移動し終わったペデスタルデッキ2は、再びペデスタルユニット3,…同士をPC鋼線4,…で連結し、それらペデスタルユニット3,…同士の接合部5を前記根太1,…上に位置させて、この状態で、前記ボルト7、定着具8、ナット9等を用いて、ペデスタルデッキ2を根太1に固定すればよい。
【0018】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。
例えば、上述の実施の形態では、本発明を、根太1の上側に固定されるペデスタルデッキ2を例に挙げて説明したが、これに限られることなく、梁の上側にぺデスタルデッキ2を固定する場合にも本発明は適用可能である。要は、固定する固定建物の床を支持するべくフレーム状に設けられた梁または根太の上に固定される機器据付用のペデスタルデッキに対して、本発明は適用可能である。
また、上述の実施の形態では、ペデスタルユニット同士の接合面は単なるフラット状とされているが、これに限られることなく、ペデスタルユニット同士の接合面の一方に凹部を設け、他方に凸部を設け、双方でダボ効果をもたせるようにしてもよい。
【0019】
【発明の効果】
本発明に係るペデスタルデッキの設置構造では、ペデスタルデッキが、プレキャストコンクリート版からなるペデスタルユニットを複数互いに同一平面状に並べ、それらペデスタルユニット同士を縦横それぞれのPC鋼線にて互いに連結させた構成からなっているから、通常の使用時にはペデスタルユニット同士が一体化し高剛性が確保されつつ、解体時には、PC鋼線による連結を解くことでバラバラになったペデスタルユニットを個々に移動することができ、従来の一体もののペデスタルデッキを移動する場合に比べて、はるかに容易かつローコストで移動することができる。
また、梁または根太の上側にペデスタルユニット同士の接合部を配置し、それら梁または根太とペデスタルユニットとを固定するので、強度的に弱い箇所である、ペデスタルユニット同士の接合部を根太によって支持することとなり、それらペデスタルユニット…同士の接合部に大荷重が作用することはなく、このため、ペデスタルデッキに対しガタが少ない高強度の固定が行える。
また、袋ナットにはボルトの一端が螺合され、このボルトの他端は梁または根太の下面にあてがわれた定着具に挿通され、挿通されたボルトの他端にはナットが螺合されており、このナットが締め付けられることによって、ペデスタルデッキと定着具との間に梁または根太を強く挟み込まれ、これによって、ペデスタルデッキを強固に固定することができる。
また、ペデスタルユニットを正方形または長方形状に形成し、それらペデスタルユニットを碁盤目状に並べて連結する構成にすれば、それらペデスタルユニットを縦あるいは横に並べる数を調整することによって任意の大きさの正方形状あるいは長方形状のペデスタルデッキを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【符号の説明】
1 根太
2 ペデスタルデッキ
3 ペデスタルユニット
4 PC鋼線
5 ペデスタルユニットの接合部
8 定着具
Claims (2)
- 建物の床を支持するべくフレーム状に設けられた梁または根太の上に固定される機器据付用のペデスタルデッキの設置構造であって、
前記ペデスタルデッキは、下面に袋ナットが打ち込まれたプレキャストコンクリート版からなるペデスタルユニットが複数互いに同一平面状に並べられ、それらペデスタルユニット同士が縦横それぞれのPC鋼線にて互いに連結されるとともに、前記ペデスタルユニット同士の接合部が前記梁または根太の上側に配置されて該梁または根太に支持された構成からなり、
前記袋ナットにはボルトの一端が螺合され、該ボルトの他端は前記梁または根太の下面にあてがわれた定着具に挿通され、挿通された前記ボルトの他端にはナットが螺合され、該ナットが締め付けられることで、前記梁または根太と前記ペデスタルデッキとが固定されていることを特徴とするペデスタルデッキの設置構造。 - 前記ペデスタルユニットが正方形または長方形状に形成され、それらペデスタルユニットが碁盤目状に並べられて連結されていることを特徴とする請求項1記載のペデスタルデッキの設置構造。
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