JP3616227B2 - 感熱記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱記録材料に関する。さらに詳しくは、本発明は、発色感度、発色濃度が良好で発色性に優れ、かつ、耐可塑剤性が良好で画像保存性に優れた感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、紙や合成紙、プラスチックフィルムなどの支持体上に、加熱により発色する感熱発色層を設けた感熱記録材料が、ファクシミリ、電卓、マイコンなどのサーマルプリンタ、心電図や分析機器などのサーモペンレコーダ、乗車券、スーパーマーケットでのPOS用ラベルなどに幅広く用いられている。
このような感熱記録材料は、通常、発色物質としての無色又は淡色のラクトン系、ラクタム系、スピロピラン系などのロイコ染料と、この発色物質と熱時に反応して発色せしめる顕色剤とを、それぞれ別個にボールミルやサンドミルなどで粉砕して溶剤に分散させたのち、結合剤を加えてこれらの分散液を混合し、必要に応じて、ワックス、増感剤、界面活性剤、消泡剤、無機顔料などを添加して塗工液を調整し、これを紙などの支持体上に塗布し、乾燥して感熱発色層を設けることにより製造される。
このような感熱記録材料には、地肌カブリが少なく白色度に優れること、発色性に優れ少ない熱量で高濃度に発色すること、さらに、発色により得られた画像の保存性に優れることなど、さまざまな特性が要求され、これらの要求に応えるために開発が進められている。例えば、特開昭56−127486号公報には、顕色能が高く、顕色能の経時変化が小さく、堅牢性の点でも優れる記録材料として、スルホニルジフェノール化合物を含む分散液を支持体上に塗付した記録材料が提案されている。特開昭60−13852号公報には、低温発色性と保存性に優れた記録材料として、発色性染料と4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを含有する熱感応性発色性記録材料が提案されている。また、特開昭60−208286号公報には、耐水性、耐湿性、耐可塑剤性の高められた記録材料として、ロイコ染料と3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを含有する感熱発色層を支持体上に設けた感熱記録材料が提案されている。特開昭63−3991号公報には、発色部の可塑剤による劣化や、光による劣化を防止することができる記録材料として、ロイコ染料と2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを含有する感熱発色層を支持体上に設けてなる感熱記録材料が提案されている。これらの感熱記録材料は、それぞれに特徴を有するものであるが、概して熱応答性が悪く、低い温度で短時間に十分な発色濃度を得ることは困難である。
感熱記録材料の熱応答性を高めるために、顕色剤にさらに増感剤を添加して、発色温度を下げることが行われている。このような目的で現在使用されている増感剤としては、例えば、パラフィンワックス、脂肪酸アミド、芳香族カルボン酸エステルなどがあるが、これらの増感剤は、発色濃度、発色感度の点については必ずしも十分であるとはいえず、高濃度の画像が得られても保存性が悪く、可塑剤を含有する塩化ビニル樹脂シートなどと密着して保存すると画像が褪色しやすいなどの欠点がある場合が多い。本発明者らは、先に特開平5−286255号公報において、発色物質としてロイコ染料、顕色物質として4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンと2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの混合物など、増感剤としてジ(フェノキシメチル)ベンゼンなどを用いた感熱記録材料を提案した。この感熱記録材料は、発色性においては優れているが、なお画像保存性、特に耐可塑剤性については必ずしも十分であるとはいえず、この点の改良が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、発色濃度と発色感度が高く、発色性に優れ、しかも耐可塑剤性が良好で、画像保存性に優れた感熱記録材料を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、発色物質としてロイコ染料、顕色剤としてハロゲン化フェニルヒドロキシフェニルスルホン又はアルキルフェニルヒドロキシフェニルスルホン、増感剤としてジ(アリールオキシメチル)ベンゼンを用いた記録材料が、発色性と耐可塑剤性に優れることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)発色物質としての無色又は淡色のロイコ染料、加熱時に該染料と反応して発色せしめる顕色剤及び増感剤を含有する感熱発色層を支持体上に設けてなる感熱記録材料において、顕色剤が一般式[1]
【化3】
(ただし、式中、R1はハロゲン又は炭素数1〜4のアルキル基である。)
で示される化合物であり、増感剤が一般式[2]
【化4】
(ただし、式中、R2及びR3は、水素又はメチル基である。)
で示される化合物であることを特徴とする感熱記録材料、
(2)顕色剤が、4−クロロ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン及び/又は4−メチル−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンである第(1)項記載の感熱記録材料、及び、
(3)増感剤が、1,2−ジ(フェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ジ(フェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ジ(o−トリルオキシメチル)ベンゼン及び1,4−ジ(m−トリルオキシメチル)ベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である第(1)項又は第(2)項記載の感熱記録材料、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱記録材料は、発色物質としてのロイコ染料、ハロゲン化フェニルヒドロキシフェニルスルホン又はアルキルフェニルヒドロキシフェニルスルホンからなる顕色剤及びジ(アリルオキシメチル)ベンゼンからなる増感剤を含有する感熱発色層を支持体上に設けてなるものである。
本発明においては、発色物質として無色又は淡色のロイコ染料を使用する。使用する無色又は淡色のロイコ染料には特に制限はなく、例えば、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−アミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−(p−トルエンスルホンアミド)フタリド、3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ[a]フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−フルオロアニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(N−メチル−N−フェニルアミノ)−6−(N−エチル−N−p−トルイジノアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−p−トルイジノアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、1,3,3−トリメチル−6’−クロロ−8’−メトキシインドリノベンゾスピロピランなどを挙げることができる。これらのロイコ染料は、1種を単独で使用することができ、あるいは、2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明において、感熱発色層に含有せしめるロイコ染料の量は、目的とする感熱記録材料の特性に応じて適宜選択することができる。
【0006】
本発明の感熱記録材料は、加熱時に上記のロイコ染料と反応して発色せしめる顕色剤として、一般式[1]
【化5】
で示される化合物を使用する。一般式[1]において、R1は、ハロゲン又は炭素数1〜4のアルキル基である。一般式[1]で示される化合物としては、例えば、2−クロロ−2’−ヒドロキシジフェニルスルホン、2−クロロ−3’−ヒドロキシジフェニルスルホン、2−クロロ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−3’−クロロジフェニルスルホン、3−クロロ−3’−ヒドロキシジフェニルスルホン、3−クロロ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−4’−クロロジフェニルスルホン、3−ヒドロキシ−4’−クロロジフェニルスルホン、4−クロロ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、2−ブロモ−2’−ヒドロキシジフェニルスルホン、2−ブロモ−3’−ヒドロキシジフェニルスルホン、2−ブロモ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−3’−ブロモジフェニルスルホン、3−ブロモ−3’−ヒドロキシジフェニルスルホン、3−ブロモ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−4’−ブロモジフェニルスルホン、3−ヒドロキシ−4’−ブロモジフェニルスルホン、4−ブロモ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−フルオロ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヨード−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、2−メチル−2’−ヒドロキシジフェニルスルホン、2−メチル−3’−ヒドロキシジフェニルスルホン、2−メチル−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−3’−メチルジフェニルスルホン、3−メチル−3’−ヒドロキシジフェニルスルホン、3−メチル−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、2−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、3−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、4−メチル−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−エチル−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−n−プロピル−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−イソプロピル−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−n−ブチル−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−イソブチル−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−sec−ブチル−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−t−ブチル−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンなどを挙げることができる。これらの中で、4−クロロ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン及び4−メチル−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンを特に好適に使用することができる。これらの顕色剤は、1種を単独で使用することができ、あるいは、2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、感熱発色層に含有せしめる顕色剤の量には特に制限はないが、通常は、発色物質100重量部当たり50〜500重量部であることが好ましく、発色物質100重量部当たり100〜300重量部であることがより好ましい。感熱発色層に含有せしめる顕色剤の量が、発色物質100重量部当たり50重量部未満であると、十分な発色性が得られないおそれがある。感熱発色層に含有せしめる顕色剤の量が、発色物質100重量部当たり500重量部を超えると、地肌カブリが強くなったり、保存安定性に問題が生じたりするおそれがある。
【0007】
本発明の感熱記録材料は、加熱時にロイコ染料と顕色剤との反応を促進する増感剤として、一般式[2]
【化6】
で示される化合物を使用する。一般式[2]において、R2及びR3は、水素又はメチル基である。一般式[2]で示される化合物としては、例えば、1,2−ジ(フェノキシメチル)ベンゼン、1,3−ジ(フェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ジ(フェノキシメチル)ベンゼン、1,2−ジ(o−トリルオキシメチル)ベンゼン、1,3−ジ(o−トリルオキシメチル)ベンゼン、1,4−ジ(o−トリルオキシメチル)ベンゼン、1,2−ジ(m−トリルオキシメチル)ベンゼン、1,3−ジ(m−トリルオキシメチル)ベンゼン、1,4−ジ(m−トリルオキシメチル)ベンゼン、1,2−ジ(p−トリルオキシメチル)ベンゼン、1,3−ジ(p−トリルオキシメチル)ベンゼン、1,4−ジ(p−トリルオキシメチル)ベンゼン、1−フェノキシメチル−2−o−トリルオキシメチルベンゼン、1−フェノキシメチル−4−o−トリルオキシメチルベンゼン、1−フェノキシメチル−2−m−トリルオキシメチルベンゼン、1−フェノキシメチル−4−m−トリルオキシメチルベンゼン、1−フェノキシメチル−2−p−トリルオキシメチルベンゼン、1−フェノキシメチル−4−p−トリルオキシメチルベンゼン、1−o−トリルオキシメチル−2−m−トリルオキシメチルベンゼン、1−o−トリルオキシメチル−4−m−トリルオキシメチルベンゼン、1−o−トリルオキシメチル−2−p−トリルオキシメチルベンゼン、1−o−トリルオキシメチル−4−p−トリルオキシメチルベンゼン、1−m−トリルオキシメチル−2−o−トリルオキシメチルベンゼン、1−m−トリルオキシメチル−4−o−トリルオキシメチルベンゼン、1−m−トリルオキシメチル−2−p−トリルオキシメチルベンゼン、1−m−トリルオキシメチル−4−p−トリルオキシメチルベンゼン、1−p−トリルオキシメチル−2−o−トリルオキシメチルベンゼン、1−p−トリルオキシメチル−4−o−トリルオキシメチルベンゼン、1−p−トリルオキシメチル−2−m−トリルオキシメチルベンゼン、1−p−トリルオキシメチル−4−m−トリルオキシメチルベンゼンなどを挙げることができる。これらの増感剤の中で、1,2−ジ(フェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ジ(フェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ジ(o−トリルオキシフェニル)ベンゼン及び1,4−ジ(m−トリルオキシフェニル)ベンゼンを特に好適に使用することができる。これらの増感剤は、1種を単独で使用することができ、あるいは、2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0008】
本発明において、感熱発色層に含有せしめる増感剤の量には特に制限はないが、通常は、顕色剤100重量部当たり50〜300重量部であることが好ましく、顕色剤100重量部当たり80〜200重量部であることがより好ましい。感熱発色層に含有せしめる増感剤の量が、顕色剤100重量部当たり50重量部未満であると、十分な発色性が得られないおそれがある。感熱発色層に含有せしめる増感剤の量が、顕色剤100重量部当たり300重量部を超えると、発色温度が低くなり過ぎたり、保存安定性に問題が生じたりするおそれがある。
本発明の感熱記録材料において、増感剤として使用する一般式[2]で示されるジ(アリールオキシメチル)ベンゼンは、顕色剤として使用する一般式[1]で示されるハロゲン化フェニルヒドロキシフェニルスルホン又はアルキルフェニルヒドロキシフェニルスルホンとの組み合わせにおいて、増感剤として極めて有効であり、発色濃度及び発色感度などの発色性を向上させるとともに、耐可塑剤性を付与し保存安定性を向上する。
本発明においては、一般式[2]で示される増感剤とともに、他の増感剤を併用することができる。このような増感剤としては、例えば、ステアリン酸アミド、ステアリン酸メチロールアミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、ヤシ油脂肪酸アミドなどの脂肪酸アミド、1,2−ビスフェノキシエタン、1,2−ビス(m−トリルオキシ)エタン、1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジベンジルオキシナフタレン、ベンジルオキシチオフェニルエーテル、2−ベンジルオキシナフタレン、4,4’−ジ(アリルオキシ)ジフェニルスルホンなどのエ−テル類、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、テレフタル酸ジベンジル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステルなどのエステル類、m−タ−フェニル、p−ベンジルビフェニル、各種ワックス類、芳香族カルボン酸とアミンとの縮合物、高級直鎖グリコ−ル類、高級ケトン類、ビスフェノ−ルS誘導体などを挙げることができる。
【0009】
本発明においては、支持体上に発色物質、顕色剤及び増感剤を含有する感熱発色層を形成するために、結合剤を使用することが好ましい。このような結合剤としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、さらに、ゼラチン、カゼイン、デンプン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、スチレン−マレイン酸共重合物、スチレン−ブタジエン共重合物、ポリアミド樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂などを挙げることができる。これらの結合剤は、1種を単独で使用することができ、あるいは、2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明においては、必要に応じて、感熱発色層に画像安定化剤を含有せしめることができる。このような画像安定剤としては、例えば、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−ジ−t−ブチリル−5,5’−ジメチル−4,4’−スルホニルフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1−[4’−(4”−ベンジルオキシフェニルスルホニル)フェノキシ]−2,3−エポキシプロパンなどを挙げることができる。
本発明においては、必要に応じて、感熱発色層に填料を含有せしめることができる。このような填料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの無機充填剤や、スチレンマイクロボール、ナイロンパウダー、尿素−ホルマリン樹脂フィラーなどの有機充填剤などを挙げることができる。
【0010】
本発明の感熱記録材料においては、上記の成分のほかに、必要に応じて、通常感熱記録材料に用いられる公知の添加剤を、感熱発色層に含有せしめることができる。このような添加剤としては、例えば、ステアリン酸エステルワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸亜鉛などの滑剤、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのトリアゾール系の紫外線吸収剤、グリオキサールなどの耐水化剤、分散剤、消泡剤などを挙げることができる。
本発明の感熱記録材料に使用する支持体には特に制限はなく、従来より感熱記録材料の支持体として慣用されているもの、例えば、紙、合成紙、プラスチックフィルムなどを使用することができる。
本発明の感熱記録材料において、支持体上に感熱発色層を設ける方法には特に制限はなく、感熱記録材料の製造に通常用いられている方法、例えば、発色物質、顕色剤、増感剤及び必要に応じて用いられるその他の添加剤を、適当な結合剤とともに水性媒体などの媒体中に分散させて分散液を調製し、この分散液を支持体上に塗布し、乾燥する方法などによって設けることができる。発色物質、顕色剤及び増感剤を含有する分散液は、発色物質を含有する分散液、顕色剤を含有する分散液及び増感剤を含有する分散液をそれぞれ別々に調製したのち、これらの分散液を混合することにより調製することが好ましい。各分散液中において、発色物質、顕色剤及び増感剤は、微粒子化して分散していることが望ましいので、これらの分散液の調製には、サンドミル、ボールミルなどを用いることが好ましい。
【0011】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、感熱記録紙の性能は、次のようにして評価
(1)静的発色性
熱傾斜試験機[(株)東洋精機製作所製]を用い、サンプル加圧2kg/cm2、加熱時間5秒間、発色温度105℃の条件で発色を行ったのち、得られた画像の濃度をマクベス濃度計[RD−918型、マクベス社製]を用いて測定した。
(2)動的発色性
感熱印字装置[(株)大倉電機製]を用い、印字電圧20V、パルス巾3msにて発色を行ったのち、得られた画像の濃度をマクベス濃度計を用いて測定した。
(3)耐可塑剤性
感熱印字装置を用い、印字電圧20V、パルス巾3msにて発色した画像を、塩化ビニル樹脂シートと密着させ、50g/cm2の荷重をかけ、45℃で24時間放置した後の画像の濃度をマクベス濃度計を用いて測定し、濃度の残存率(%)を求めた。
実施例1
3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン2.0重量部、10重量%ポリビニルアルコール水溶液4.3重量部及び水2.0重量部を混合し、サンドミル[五十嵐機械製造(株)製]を用いて3時間微粉砕して分散させ、発色物質分散液(A液)を調製した。
また、4−クロロ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン2.8重量部、10重量%ポリビニルアルコール水溶液12.0重量部及び水5.2重量部を混合し、同様にサンドミルを用いて3時間微粉砕して分散させ、顕色剤分散液(B液)を調製した。
さらに、1,2−ジ(フェノキシメチル)ベンゼン2.8重量部、10重量%ポリビニルアルコール水溶液12.0重量部及び水5.2重量部を混合し、同様にサンドミルを用いて3時間微粉砕して分散させ、増感剤分散液(C液)を調製した。次いで、B液3.0重量部、C液3.0重量部、10重量%ポリビニルアルコール水溶液8.0重量部及びカオリン0.61重量部を混合し、顕色剤−増感剤分散液(D液)を調製した。
A液0.58重量部及びD液10重量部を混合して、感熱発色層の塗布液を調製し、坪量65g/m2の上質紙に、乾燥塗布量が約6g/m2となるように塗布し、風乾して感熱記録紙を得た。
この感熱記録紙の評価を行ったところ、静的発色性は1.23であり、動的発色性は1.25であり、耐可塑剤性は96%であった。
実施例2
実施例1におけるC液の1,2−ジ(フェノキシメチル)ベンゼンの代わりに、1,4−ジ(フェノキシメチル)ベンゼンを使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録紙を得た。
この感熱記録紙の評価を行ったところ、静的発色性は1.18であり、動的発色性は1.18であり、耐可塑剤性は97%であった。
実施例3
実施例1におけるC液の1,2−ジ(フェノキシメチル)ベンゼンの代わりに、1,4−ジ(o−トリルオキシメチル)ベンゼンを使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録紙を得た。
この感熱記録紙の評価を行ったところ、静的発色性は1.24であり、動的発色性は1.26であり、耐可塑剤性は98%であった。
実施例4
実施例1におけるC液の1,2−ジ(フェノキシメチル)ベンゼンの代わりに、1,4−ジ(m−トリルオキシメチル)ベンゼンを使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録紙を得た。
この感熱記録紙の評価を行ったところ、静的発色性は1.20であり、動的発色性は1.19であり、耐可塑剤性は98%であった。
実施例5
実施例1におけるB液の4−クロロ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンの代わりに、4−メチル−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンを使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録紙を得た。
この感熱記録紙の評価を行ったところ、静的発色性は1.25であり、動的発色性は1.26であり、耐可塑剤性は99%であった。
実施例6
実施例5におけるC液の1,2−ジ(フェノキシメチル)ベンゼンの代わりに1,4−ジ(フェノキシメチル)ベンゼンを使用した以外は、実施例5と同様にして感熱記録紙を得た。
この感熱記録紙の評価を行ったところ、静的発色性は1.20であり、動的発色性は1.22であり、耐可塑剤性は99%であった。
実施例7
実施例5におけるC液の1,2−ジ(フェノキシメチル)ベンゼンの代わりに1,4−ジ(o−トリルオキシメチル)ベンゼンを使用した以外は、実施例5と同様にして感熱記録紙を得た。
この感熱記録紙の評価を行ったところ、静的発色性は1.26であり、動的発色性は1.27であり、耐可塑剤性は100%であった。
実施例8
実施例5におけるC液の1,2−ジ(フェノキシメチル)ベンゼンの代わりに1,4−ジ(m−トリルオキシメチル)ベンゼンを使用した以外は、実施例5と同様にして感熱記録紙を得た。
この感熱記録紙の評価を行ったところ、静的発色性は1.22であり、動的発色性は1.22であり、耐可塑剤性は99%であった。
比較例1
実施例1におけるC液の1,2−ジ(フェノキシメチル)ベンゼンの代わりにステアリン酸アミドを使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録紙を得た。この感熱記録紙の評価を行ったところ、静的発色性は0.89であり、動的発色性は0.89であり、耐可塑剤性は75%であった。
比較例2
実施例5におけるC液の1,2−ジ(フェノキシメチル)ベンゼンの代わりにステアリン酸アミドを使用した以外は、実施例5と同様にして感熱記録紙を得た。この感熱記録紙の評価を行ったところ、静的発色性は0.94であり、動的発色性は0.96であり、耐可塑剤性は83%であった。
比較例3
実施例1におけるB液の4−クロロ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンの代わりに4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録紙を得た。
この感熱記録紙の評価を行ったところ、静的発色性は0.97であり、動的発色性は0.99であり、耐可塑剤性は94%であった。
比較例4
実施例4におけるB液の4−クロロ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンの代わりに4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを使用した以外は、実施例4と同様にして感熱記録紙を得た。
この感熱記録紙の評価を行ったところ、静的発色性は0.99であり、動的発色性は1.00であり、耐可塑剤性は94%であった。
実施例1〜8及び比較例1〜4の結果を、第1表に示す。
【0012】
【表1】
【0013】
第1表の結果より、顕色剤として一般式[1]で表されるハロゲン化フェニルヒドロキシフェニルスルホン又はアルキルフェニルヒドロキシフェニルスルホンを用い、増感剤として一般式[2]で表されるジ(アリルオキシメチル)ベンゼンを用いた実施例1〜8の本発明の感熱記録紙は、静的発色性の値と動的発色性の値がともに大きく、高濃度に発色し、耐可塑剤性の値が大きく、塩化ビニル樹脂シートと密着して保存しても画像が褪色しにくいことが分かる。これに対して、増感剤として一般式[2]で表される化合物の代わりにステアリン酸アミドを用いた比較例1、2の感熱記録紙、及び、顕色剤として一般式[1]で表される化合物の代わりに4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを用いた比較例3、4の感熱記録紙は、いずれも静的発色性の値と動的発色性の値がともに小さく、耐可塑剤性の値が小さく、発色性においても、画像保存性においても劣っている。
【0014】
【発明の効果】
本発明の感熱記録材料は、静的及び動的発色性が良好で、発色濃度と発色感度が高く、発色性に優れ、しかも耐可塑剤性が良好で、画像保存性に優れている。
Claims (3)
- 顕色剤が、4−クロロ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン及び/又は4−メチル−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンである請求項1記載の感熱記録材料。
- 増感剤が、1,2−ジ(フェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ジ(フェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ジ(o−トリルオキシメチル)ベンゼン及び1,4−ジ(m−トリルオキシメチル)ベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項1又は請求項2記載の感熱記録材料。
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