JP3615998B2 - プラズマcvd製膜装置及びそのセルフクリーニング方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池や薄膜トランジスタ等に用いられるアモルファスシリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコン等を製膜するための装置の壁面に付着した無効な膜を除去するクリーニング機構を備えたプラズマCVD製膜装置及びそのセルフクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマCVD法は真空容器内に基板を保持し、形成すべき薄膜の組成元素を含む化合物ガスを供給しながら、高周波エネルギーによって、前記の化合物ガスを励起し、基板表面をその低温プラズマ雰囲気に配置することによって、基板表面に薄膜を形成(堆積)する方法である。
【0003】
プラズマCVD法による薄膜形成上の課題は、形成薄膜の膜質および膜厚分布の制御、並びにピンホールやパーティクルの付着などに起因する膜欠陥の問題である。これらのうち、パーティクルの発生は、次の2つの過程によると考えられている。
【0004】
第1の過程は以下のようなものである。
基板表面にプラズマCVD膜を形成する際に、電極、真空容器などの真空容器構成部品の表面にも類似の膜(無効な膜)が堆積する。この類似の膜は比較的密着力が弱く、その膜厚増加とともに、真空容器内にフレークを発生させる。その結果、試料表面にパーティクルが多量に付着し、試料表面に形成した膜に欠陥を生じさせる。そこで定期的に真空容器内構成部品に付着した無効な膜を除去する必要がある。
【0005】
第2の過程は以下のようなものである。
放電プラズマを生成する際に、気相中でシランラジカルの重合によるパーティクル化が起きる。この現象はガス流れが滞留している部分で特に顕著に生じ、真空容器の排気部などにパーティクルが付着する。これも膜欠陥の原因となるので除去する必要がある。
【0006】
空容器内に付着した無効な膜やパーティクルを除去する方法としてはプラズマクリーニング法が用いられる。このプラズマクリーニング法は特許第2073737号公報において開示されている。この従来装置の動作例を図13により説明する。
【0007】
放電チャンバ9内に放電用ラダー電極1(ラダー電極については特開平4−236781号公報にはしご状平面型コイル電極として開示されている)と基板加熱用ヒータ34とが平行に配置されている。放電用ラダー電極1には高周波電源8からインピーダンス整合器7を介して所定周波数の高周波電力が供給される。
【0008】
放電用ラダー電極1に供給された高周波電力は、放電チャンバ9とともに接地されたサセプタ4と放電用ラダー電極1との間にグロー放電プラズマを発生させる。
【0009】
放電チャンバ9内には、図示しないボンベから反応ガス導入管10を通して反応ガスが供給される。供給された反応ガスは、放電用ラダー電極1により発生したグロー放電プラズマにより分解され、サセプタ4上に保持され、所定の温度に加熱された基板5上に堆積する。また、放電チャンバ9内の未反応のガスは排気管を通して真空ポンプ11により排気される。
【0010】
壁面に付着した無効なシリコン膜を除去するために設置された補助電極19にも高周波電源15より高周波電力がインピーダンス整合器16を介して供給され、チャンバ9の壁面との間にグロー放電プラズマが生成される。
【0011】
以下、上記装置の動作を説明する。
まず、真空ポンプ11を駆動して反応容器内を排気した後に、反応ガス導入管10を通して反応ガスを供給し、放電チャンバ9の内圧を0.05Torrから3Torrまでの間に保持する。
【0012】
この状態で、高周波電源8から放電用ラダー電極1に高周波電力を印加すると、グロー放電プラズマが発生する。反応ガスは、ラダー電極1とサセプタ4との間に生じるグロー放電プラズマによって分解され、この結果、SiH3、SiH2などのSiを含む活性ラジカルが発生し、これが基板5の表面に堆積してアモルファスシリコン薄膜が形成される。
【0013】
次に、壁面に付着した無効なシリコン膜を除去する際の動作について説明する。
【0014】
まず、膜12が形成された基板5を放電チャンバ9より取り出した後、放電チャンバ9内を真空ポンプ11で真空排気する。次いでガス導入管10よりNF3ガスを300sccmのガス流量で放電チャンバ9内に導入し、放電チャンバ内のガス圧を5〜5000mTorrになるように調整する。この状態で、高周波電源8から放電用ラダー電極1に高周波または超高周波電力を印加すると、ラダー電極1とアースシールド2との間、ラダー電極とサセプタ4との間にグロー放電プラズマが発生する。NF3ガスは放電プラズマにより分解され、弗素ラジカルが生成される。この弗素ラジカルは、ラダー電極1の全体、アースシールド2、ヒータ34の上面に入射し、付着したシリコン膜と反応して膜成分を分解し、表面から離脱させる。しかし、弗素ラジカルの寿命は非常に短く、チャンバ壁面、特にラダー電極1から離れた部分や、排気口近傍に付着堆積したパーティクルには弗素ラジカルが到達できないため、シリコン膜やパーティクルを除去することが困難である。
【0015】
そこで、従来の装置ではラダー電極周りのクリーニングと並行して板状の補助電極19にも高周波電力を印加し、補助電極19と放電チャンバ9の壁面との間にもグロー放電プラズマを生成させる。これによりNF3が分解されて弗素ラジカルが生成され、壁面に付着したシリコン膜が除去される。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の技術には次の(1)〜(5)のような問題点がある。
【0017】
(1)補助電極それ自体に膜が付着堆積する。
【0018】
(2)補助電極に膜が多量に付着してしまうと、補助電極−壁面間にプラズマが発生し難くなる。
【0019】
(3)補助電極で放電チャンバの壁面全体を覆うことができないため、放電チャンバの壁面から完全に膜を除去できない箇所が存在する。
【0020】
(4)補助電極−壁面間に均一にプラズマを発生させることが困難なため、膜の除去にばらつきを生じる。
【0021】
(5)排気口付近に特に膜やパーティクルの付着が著しいため、定期的に、例えば週に一回程度は真空用器を開放して保守点検する必要がある。
【0022】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであって、装置構成部品の壁面に付着した無効な膜やパーティクルを効率良く除去することができるクリーニング機能を備えたプラズマCVD製膜装置を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るプラズマCVD製膜装置は、壁面に付着した異物を除去するためのクリーニング機能を有するプラズマCVD製膜装置であって、弗素系エッチングガスを製膜室内に供給するエッチングガス供給手段と、直径0.1〜10mmの線材を縦横1〜50mm間隔に格子状又は平面型はしご状に組み合せてなり、前記エッチングガスの存在下で前記壁面の近傍に局所的な放電プラズマを生成して弗素ラジカルを生じさせる網状又は平面型はしご状のクリーニング電極と、前記クリーニング電極により放電プラズマが生成されている間に製膜室内を排気する排気手段と、を具備することを特徴とする。
【0024】
上記クリーニング電極は、網状、平面型はしご状(ラダー状)、環状、棒状、線状のいずれの形状としてもよいが、膜が付着した状態であっても容易に放電できる形状とする必要がある。ちなみにクリーニング電極に面状の電極を用いると、その全表面に膜が付着した状態では容易に放電させることができない。従って、クリーニング電極は線材を単一又は複数を組み合せた網状または平面型はしご状とし、特に網状とすることが最適である。このような網状電極は、直径0.1〜10mmの線材を縦横1〜50mm間隔に格子状に編み込んだものとし、製膜室の内壁面、基板サセプタの外周壁面およびアースシールドの外周壁面との間にそれぞれ2〜50mmの間隔をもつように離して配置する。なお、網状電極の編み込み形状は格子状に限られることはなく六角状、三角状、八角状、輪状、ひし形状等の他の編み込み形状であってもよい。また、クリーニング電極材料にはラダー電極と同じ材料を用いることが望ましく、例えばアルミ、ニッケル、インコネル600等の金属又は合金を用いることが好ましい。
【0025】
また、上記クリーニング電極として環状電極を用いる場合は、局部放電プラズマを製膜室の内壁面全体に行き渡らせるために、環状電極を製膜室の内壁面に沿って移動可能とする必要がある。このような環状電極は製膜室内で場所を取らないので設置しやすく、それ自身に付着する膜の量が少なくなるという利点がある。
【0026】
また、環状電極は膜が付着した状態であっても容易に放電させことができるという利点もある。壁面への無効なシリコン膜の付着は一様ではなく、局所的に厚く膜が堆積する場合もある(例えばアースシールドの内面の角など)。このような場合には、エッチングを行いたい部分に電極を移動(またはあらかじめ固定)させ、その部分のみを重点的にクリーニングすることができる。
【0027】
また、上記クリーニング電極として棒状電極を用いる場合は、棒状電極を排気手段の排気管内に設け、排気管内壁に付着した異物を除去することが望ましい。
【0028】
さらに、上記クリーニング電極は、高周波又は高高周波を発生する高周波電源に接続され、かつ上記排気手段の排気管の近傍に配置され、該高周波電源からクリーニング電極に周波数10〜400MHzの高周波電力を供給することにより排気管の内壁面との間にエッチングガスのホロー放電を発生させ、該排気管の内壁面に付着した異物を除去することが望ましい。「ホロー放電」とは、高周波プラズマを生成の際、高周波を印加しているパワー電極(ここではクリーニング電極)の近傍に(アース電位にある)窪みや穴が存在するとそこで放電が起こる現象をいう。
【0029】
上記エッチングガス供給手段は、エッチングガス供給源の他に、クリーニング後の壁面からの不純物成分の放出を阻止するために該壁面にバリヤ膜を形成するための製膜ガスとしてSiH4もしくはSiH4とH2との混合ガスを製膜室内に供給する製膜ガス供給源をさらに有することが望ましい。このような製膜ガス供給源は、基板上に製膜する際に用いるガス供給源と共用するようにしてもよい。なお、バリヤ膜を形成するための製膜ガスとしてはSiH4もしくはSiH4とH2との混合ガスの他にSi2H6とH2 との混合ガスや、SiH2Cl2とH2 との混合ガス等を用いることができる。また、エッチングガスとしてはNF3、CF4、CF6等のような弗素系ガスを用いる。
【0030】
上記クリーニング電極は直流電源に接続され、該直流電源はクリーニング電極に正バイアスを印加することにより、放電プラズマから製膜室の内壁面および排気管の内壁面へ入射する正イオンのエネルギーを増加させることが好ましい。また、この直流電源は高周波電源からの高周波の伝播を防ぐため、コイル40を介してクリーニング電極に接続されている必要がある。
【0031】
さらに壁面をもつ部材に接続された電源回路を有し、該電源回路は、壁に並列に接続された次の3系統▲1▼接地された直流電源、▲2▼ブロッキングキャパシタ、▲3▼▲2▼とは別のブロッキングキャパシタを介し壁面へ接続される高周波電源、とから構成される。また、この高周波電源および前記ブロッキングキャパシタおよび前記直流電源のいずれか一方と前記壁面をもつ部材との接続を切り替えるスイッチを具備し、クリーニング動作時に前記直流電源を前記部材に接続して前記壁面に負バイアスを印加することにより、放電プラズマから該壁面に入射する正イオンのエネルギーを増加させ、また、前記ブロッキングキャパシタを前記部材に接続して前記壁面に負バイアスを印加することにより、放電プラズマから該壁面に入射する正イオンのエネルギーを増加させ、また、前記高周波電源を前記部材に接続して前記壁面へ負バイアスを印加させることにより、放電プラズマから該壁面に入射する正イオンエネルギーを増加させることが好ましい。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して本発明の種々の好ましい実施の形態について説明する。
【0033】
(第1の実施形態)
図1〜図4を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
製膜室としての放電チャンバ9内には、グロー放電プラズマを発生させるためのラダー電極1、アースシールド2、サセプタ4、網状電極13、基板ヒータ34、環状電極35が設けられている。図示しないが、網状電極13の代りにラダー電極を用いることも出来る。ヒータ34は、基板サセプタ4を介して基板5を保持し、製膜中の基板5を所望の温度域に加熱保持するためのものである。サセプタ4の上方にはアースシールド2が設けられている。アースシールド2はサセプタ4と対面配置されており、これらアースシールド2とサセプタ4との間にはラダー電極1が配置されている。
【0034】
ラダー電極1は矩形枠内に複数の平行線材が等ピッチ間隔に並ぶ平面型の放電電極であり、ヒータ34上の基板5との間に適宜の間隔を有するように配置されている。ラダー電極1は整合器7を介して高周波電源8に接続されている。高周波電源8は一方側が接地され、例えば周波数100MHzの高高周波をラダー電極に印加するようになっている。なお、高周波電源8からは周波数10〜400MHzの範囲内の高周波又は高高周波(VHF)をラダー電極1に印加することができるようになっている。また、ラダー電極1の給電回路はセラミック部材3により放電チャンバ9およびアースシールド2から絶縁されている。
【0035】
放電チャンバ9の上部壁およびアースシールド2を貫通して反応ガス導入管10が製膜室内に開口している。反応ガス導入管10は図示しない反応ガス供給源に連通し、製膜用の反応ガスとしてSiH4ガスとH2ガスとが所望の割合で混合された混合ガスが放電チャンバ9のほぼ中央領域に導入されるようになっている。
【0036】
また、複数のエッチングガス導入管14が放電チャンバ9の上部壁を貫通して製膜室内にそれぞれ開口している。複数のエッチングガス導入管14は図示しないエッチングガス供給源にそれぞれ連通し、エッチングガスとしてNF3ガスが放電チャンバ9の内側壁の近傍に又は内側壁に沿って導入されるようになっている。エッチングガス導入管14は放電チャンバ9の大きさに応じてその数を増加又は減少させる必要がある。例えばサイズ50mm×50mmの基板5に用いられる放電チャンバ9に対してはエッチングガス導入管14の数を1〜2とし、サイズ400mm×400mmの基板5に用いられる放電チャンバ9に対してはエッチングガス導入管14の数を2〜4とすることが望ましい。図には示してないが、ガスの供給を壁面に沿って均一におこなうために、放電チャンバ9内部(チャンバ9上面)にガス噴出口を100〜2000有した環状のパイプを設置した。このパイプにガス導入管14を接続し、ガスの流れの制御が可能となっている。
【0037】
真空ポンプ11に連通する排気管20が放電チャンバ9の側壁の適所に開口し、放電チャンバ9の内部が真空排気されるようになっている。この真空ポンプ11は放電チャンバ9の内圧が1×10−3〜1×10− 9Torrのレベルになるまで排気する能力を有している。なお、真空ポンプ11、反応ガス供給源およびエッチングガス供給源(図示せず)は図示しない制御器によって動作が制御されるようになっており、各ガスの供給量が調整されると共に、放電チャンバ9の内圧が所望範囲にコントロールされるようになっている。
【0038】
図1に示すように、製膜室としての放電チャンバ9の内壁全面を覆うように網状電極13が設けられている。また、網状電極13は基板サセプタ4の外周面、ヒータ34の外周面、アースシールド2の上面と外周面をも覆うように設けられている。このように網状電極13は放電チャンバ9内のいたるところに設置できるが、シリコン膜の堆積がひどくない箇所は、コスト低減のため、設置数を間引いている。これらの網状電極13は放電チャンバ9、基板サセプタ4、ヒータ34、アースシールド2との間にそれぞれ1〜50mmの間隔を保つように図示しない絶縁部材により支持されている。なお、網状電極13はアモルファスシリコン製膜中においても設置したままである。
【0039】
網状電極13には電源回路が接続されている。この電源回路には接地側から順に直流電源26、高周波電源15、整合器16が直列に接続されている。なお、電源回路が放電チャンバ9を貫通する部分はセラミック部材3により絶縁されている。高周波電源15としては、一般的に普及し安価な高周波電源(周波数13.56MHz)、あるいは高価ではあるが高速のエッチング速度が得られる高高周波電源(周波数10〜400MHz)を用いることができる。なお、網状電極13には直流電源26が接続されているので、プラズマクリーニング時に正バイアスを印加することにより、放電チャンバ9の内壁へプラズマから入射する正イオンのエネルギーを増加させ、更に効果的にクリーニングを行うことができる。
【0040】
図2に示すように、網状電極13は線材13aを縦横に格子状に交叉するように編み込んで成るもの、もしくは、格子状に溶接などにより組んでなるものである。この場合に、線材13aの径dは0.1〜10mmの範囲とすることが好ましく、2〜6mmとすることが最も好ましい。線材13aの径dが0.1mmを下回ると放電寿命が短くなり実用に耐えられなくなるからであり、線材13aの径dが6mmを上回り、特に10mmを上回ると、プラズマが不均一となりエッチングが不均一になるとともに、膜付着量が増加しすぎるようになるからである。また、線材13aの相互間隔S1,S2は縦横とも1〜50mmの範囲とすることが好ましく、4〜10mmの範囲とすることが最も好ましい。線材13aの相互間隔S1,S2が1mmを下回ると膜の付着により目詰まりして安定して放電しなくなるからであり、線材13aの相互間隔S1,S2が50mmを上回ると局部放電プラズマが生成されないか又は弱い部分を生じるとともに、プラズマ体積が広がる分、密度が低下してエッチング速度が遅くなるからである。また、各部材の壁面から網状電極13までの相互間隔(間隙)は1〜50mmの範囲とすることが好ましく、10〜50mmの範囲とすることが最も好ましい。この相互間隔(間隙)が1mmより小さくなると電極/壁面間に短絡を生じ易くなるからであり、相互間隔(間隙)が50mmより大きくなると局部放電プラズマが不安定になるか又は発生しなくなるからである。
【0041】
図1に示すように、アースシールド2内の角に環状電極35が設けられている。アースシールド2の形状が正方形であるため、環状電極35の形状は正方形のものを用いた。アースシールド2内へのシリコン膜の堆積は角の部分が特に著しい。そのため、ラダー電極1の放電のみでクリーニングを行うと、角の部分にシリコン膜が除去されず残ってしまうことが多い。そこでアースシールド2の角の部分に堆積したシリコン膜を重点的に除去できるように環状電極35を設置した。
【0042】
環状電極35への給電は、図には示さないが、網状電極13へ供給されている電力の一部を分岐し供給した。
【0043】
環状電極35の線材の径dは、1〜10mmの範囲とした。環状電極の形状は、クリーニング対象の形状に応じて種々変えられるので、特に決まったものではない。ただし、環状電極とクリーニング対象面(アースシールド2)との間隔は10〜50mmの範囲となるように設置する必要かある。なお、環状電極35の材質は網状電極13と同じく耐食性を有するアルミ、ニッケル、インコネル600等である。
【0044】
放電チャンバ9には負バイアス印加回路が接続されている。この負バイアス印加回路には直流電源25とブロッキングキャパシタ27とブロッキングキャパシタ43、整合器41を介し、高周波電源42とが並列に接続され、切替スイッチ28により直流電源25とブロッキングキャパシタ27と高周波電源42の間で放電チャンバ9への接続が切り替えられるようになっている。
【0045】
このような負バイアス印加回路を用いてプラズマクリーニング時には直流電源25により放電チャンバ9に負バイアスを印加して、プラズマから放電チャンバ9壁面に入射する正イオンのエネルギーを増加させることができ、効果的にクリーニングを行えるようになっている。また、放電チャンバ9をブロッキングキャパシタ27に接続した場合は、放電チャンバ9に負バイアスが印加されるため、プラズマから放電チャンバ9壁面に入射する正イオンのエネルギーを増加させることができ、効果的にクリーニングを行えるようになっている。また、放電チャンバ9をブロッキングキャパシタ43を介し高周波電源42に接続した場合も、放電チャンバ9に負バイアスが印加されるため、プラズマから放電チャンバ9壁面に入射する正イオンのエネルギーを増加させることができ、効果的にクリーニングを行えるようになっている。
【0046】
さらに、排気管20内には棒状電極23が設けられている。棒状電極23は直径2〜10mmの線材13aに電源回路を接続しただけの簡易な構造のものである。この棒状電極23には、接地側から順に、高周波電源22、整合器21が直列に接続されている。また、棒状電極23には、バイアス印加のために直流電源24がコイル40(高周波電源22から直流電源24への高周波の伝播を防止するため)を介して接続されている。なお、電源回路が排気管20を貫通する部分はセラミック部材3により絶縁されている。高周波電源22としては、一般的に普及し安価な高周波電源(周波数13.56MHz)、あるいは高価ではあるが高速のエッチング速度が得られる高高周波電源(周波数10〜400MHz)を用いることができる。なお、棒状電極23には直流電源24が接続されているので、プラズマクリーニング時に正バイアスを印加することにより、排気管20の内壁へプラズマから入射する正イオンのエネルギーを増加させ、更に効果的にクリーニングを行うことができる。
【0047】
さらに、排気管20の開口近傍にも網状電極13を設置し、かつ高周波電力を供給することにより、排気管20の内部にエッチングガス(例えばNF3)のホロー放電を発生させ、排気管20の内壁に堆積した膜を除去するようにしてもよい。ここで「ホロー放電」とは、高周波プラズマを生成の際、高周波を印加しているパワー電極(ここでは網状電極13)の近傍に(アース電位にある)窪みや穴が存在すると、そこで放電が起こる現象のことをいう。
【0048】
次に、アモルファスシリコン膜12の製膜動作とこれに続くクリーニング動作とについて説明する。
【0049】
図示しないシャッタ扉を開けて放電チャンバ9内にサセプタ4に保持された基板5を搬入し、ヒータ34の上に載置した。シャッタ扉を閉じ、放電チャンバ9の内部を真空ポンプ11により真空引きした。次いで、流量5sccmのSiH4ガスと流量300sccmのH2ガスとを反応ガス導入管10を介して放電チャンバ9内に供給すると共に、真空ポンプ11により排気する。このとき放電チャンバ9の内圧が100mTorrに保たれるように制御する。この状態で高周波電源8から例えば60MHz,50Wの高高周波を同軸ケーブルを介してラダー電極1に給電し、放電プラズマを生成させて製膜を行った。この間にチャンバ壁面には約50μm程度のシリコン膜が付着した。また、製膜時は網状電極13、棒状電極23、放電チャンバ9はアース電位である(直流電源24,25,26をゼロボルト電位とする)。
【0050】
製膜工程が完了し、アモルファスシリコン膜が堆積した基板5をチャンバ9からサセプタ4ごと取り出した後に、クリーニングを以下の手順で行った。
【0051】
エッチングガスにはNF3を用い、反応ガス導入管10を介して150sccmのガス流量でNF3をチャンバ9内に導入した。ラダー電極1に高周波または高高周波電源8より周波数10〜400MHzで、パワー5〜200Wの高周波電力を供給し、ラダー電極1とアースシールド2との間、ならびにラダー電極1とサセプタ4との間にグロー放電プラズマを生成させた。これによりアースシールド2、ラダー電極1、ヒータ34上面に付着したシリコン膜を除去した。
【0052】
これと並行して、放電チャンバ9の壁面に付着した膜を除去するため、エッチングガス導入管14からもNF3ガスを150sccmの流量で導入し、網状電極13にも高周波又は高高周波電源15より周波数10〜400MHz、パワー5〜200Wの高周波電力を供給し、網状電極13と放電チャンバ9の内壁との間にグロー放電プラズマを生成させ、チャンバ壁面に堆積したシリコン膜の除去を行った。このクリーニングの間、網状電極13には、直流電源26により0〜800Vの正バイアスを印加した。また、放電チャンバ9には直流電源25により0〜−800Vの負バイアスを印加、またはブロッキングキャパシタ27、または高周波電源42に接続した。
【0053】
図3は横軸に高周波の周波数(MHz)をとり、縦軸にエッチング速度(nm/秒)をとって、チャンバ壁面に付着したシリコン膜のエッチングレートの周波数依存性を示す特性線図である。エッチング速度は、60秒間エッチングを行い、エッチング前後での膜厚の変化量を時間(60秒)で割って算出した。この時のその他の条件は、高周波電源15のパワー200W、圧力1Torrである。この時の放電チャンバ9の内壁に付着した膜のエッチング速度は投入電力200MHzのとき、最高で7nm/秒が得られ、超高周波プラズマがエッチング速度の向上に有効であることが確認された。
【0054】
また、従来、排気管20にはシリコンパーティクルが大量に堆積してクリーニングしきれなかった。そのため、この部分は定期的に(週1回程度)装置を大気開放し、洗浄する必要があった。この部分に付着したパーティクルを除去するため、本発明で導入した棒状電極23を排気管20内部に挿入し、これに高周波または高高周波電源22を設置し、プラズマを生成、付着したパーティクルの除去も行った。この間、棒状電極23には直流電源24より0〜800Vの正バイアスを印加した。ちなみにエッチングガスは反応ガス導入管10、エッチングガス導入管14より導入したNF3ガスのうちラダー電極1まわり、チャンバ壁面に付着した膜のエッチングに利用されなかったものが使われる。
【0055】
排気管20に付着したパーティクルをホロー放電により除去することを試みた。高周波放電を行う際、高周波を印加するパワー電極の周囲に(アース電位にある)窪みや穴などが存在するとその部分で放電が起こることが知られており、これをホロー放電という。本発明では、壁際に設置した網状電極13に高周波電力を印加し、壁面に付着した膜の除去を行っている。そのため、付随的に内壁に空いた排気管20内にホロー放電が生じ、排気管20に付着したパーティクルの除去も効率的に行うことが可能である。
【0056】
図4は横軸に高周波の周波数(MHz)をとり、縦軸にエッチングレート(nm/秒)をとって、排気管に堆積したパーティクルを棒状電極の放電のみで除去する方法と網状電極によるホロー放電のみで除去する方法とについてエッチング速度の周波数依存性をそれぞれ調べた結果を比べて示す特性線図である。図中の特性線B(黒菱形)は前者の方式でクリーニングした結果を、特性線C(白四角)は後者の方式でクリーニングした結果を示す。計測点は排気管20の入口から10cmの地点で計測した。エッチング速度の算出方法は図3の場合と同じである。棒状電極23には高高周波電源22から周波数200MHz、100Wの電力を供給し、放電させた。ホロー放電の場合、網状電極23には、高高周波電源15より200MHz、200Wの電力を供給し放電させた。どちらの場合もガス圧は1Torr、NF3流量は300sccmである。いずれの場合においても、図3の結果と同様に、周波数を上げるに従ってエッチングレートは上昇する。2つの場合のエッチング性能を単純には比較できないが、棒状電極を用いた場合は専用の電源を用意すれば個別にエッチングレートを制御できる利点はあるが設備費等のコストがかかる欠点がある。ホロー放電を利用すれば専用の設備投資は必要ないがエッチング速度を個別に制御できない欠点がある。
【0057】
次に、網状電極13により生成されたプラズマの均一性評価のため、チャンバ内壁に付着したシリコン膜のエッチングレートの分布を求めた。エッチングレートの算出方法は、図3の場合と同じ方法を用いた。分布はエッチングの条件は最高速度が得られた条件でエッチングを行い、エッチングレートを等間隔に計200点計測し算出してものである。これによると分布は±22%であり、プラズマがほぼ均一に生成されているといえる。
【0058】
クリーニング直後は(膜が堆積していないため)チャンバや電極の構造材の表面がそのまま露出した状態にある。そのため、クリーニング直後に製膜を行うと、これら構造材の構成物質が基板上に堆積される膜(例えばアモルファスシリコン12に混入してしまい、膜質を劣化させるおそれがある。そのため、本格的な製膜の前にこれら構造材から不純物が飛び出さないようにガードするバリヤ膜を故意にチャンバ壁面、電極表面に堆積させるために製膜を行う。しかし、製膜に使用するラダー電極1から離れたところや、プラズマに直接さらされない箇所には膜が付きにくく、効果的にバリヤ膜が形成されているか疑わしい。そこでバリヤ膜形成を効率的に行うために、従来のラダー電極での放電意外に、エッチングガス導入管14より材料ガス(SiH4/H2)を導入し、網状電極に高周波電力を供給し、チャンバ内壁との間にもプラズマを生成させ、チャンバ壁面へのバリヤ膜を堆積させる必要がある。
【0059】
具体的には、エッチング終了後、再び製膜する前に電極表面、内壁に故意にシリコン膜を堆積させた。これは、製膜中に電極やチャンバ内壁の構造材から飛び出てくる物質により膜が汚染されるのを防ぐ目的で実施されるものである。製膜条件は先に示した製膜の条件と同じであるが、放電チャンバ9の壁面への膜の堆積をより効率的に行うため、エッチングに用いた網状電極13も製膜に利用した。そのため、エッチングガス導入管14からもSiH4/H2の混合ガスを100sccmだけ導入し、高周波電力を網状電極13に印加し、チャンバ壁面との間にプラズマを生成させ、壁面に膜を堆積させた。網状電極13を用いた放電の均一性はエッチング速度の均一性のところで述べたように高いため、ラダー電極1のみでの放電に比べて速く、かつ均一にバリヤ膜を形成することができる。
【0060】
上記第1実施形態の装置によれば、網状電極13により局部放電プラズマを生じさせ、チャンバ壁面に付着したシリコン膜をエッチングにより除去することができた。
【0061】
また、上記装置によれば、網状電極13を用いることにより、壁面近傍に均一なプラズマを生成でき、ムラなく壁面に付着したシリコン膜を除去できた。
【0062】
また、上記装置によれば、排気管20内に堆積したシリコンパーティクルを網状電極13のホロー放電もしくは棒状電極23によるグロー放電により除去できるようになった。
【0063】
また、上記装置によれば、網状電極13および棒状電極23の導入により、放電チャンバ全体のプラズマクリーニングが可能となり、製膜装置の稼動効率が向上し、膜生産歩留まりが向上できた。
【0064】
また、上記装置によれば、網状電極13を用い、クリーニング直後のバリヤ膜形成を行うことにより、ラダー電極のみによる場合に比べ、効率的に膜形成を行うことができるようになった。
【0065】
さらに、上記装置によれば、網状電極13そのものに膜が付着堆積した場合であっても、その構造的理由から、従来の平板状の電極に比べて放電が容易であった。
【0066】
(第2の実施形態)
次に、図5及び図6を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。
【0067】
上記第1の実施形態では壁面に付着したシリコン膜を除去するためにエッチングガスとしてNF3を用いた。NF3はH2、Arなどのガスに比べてエッチング速度が大きく、放電チャンバ内壁のクリーニングが短時間で完了するという利点がある。しかし、NF3を用いてエッチングを行うためにはアモルファスシリコン12の製膜を中断しなければならない。そこで、本実施形態では次の(1),(2)のようにすることにより製膜を中断することなく、製膜と同時にチャンバ壁面のクリーニングを実施することが可能となる。
【0068】
(1)アモルファスシリコン膜12の製膜は、SiH4をH2で希釈したガス系で行われる。そこで、エッチングガスに製膜にも用いられるH2、あるいは不活性ガスであるHe,Ne,Ar,Kr,Xeを用い、製膜雰囲気を汚染することなく製膜と同時にチャンバ壁面に付着した膜のエッチングを行う。
【0069】
(2)H2,Arの利用効率を向上させるため、これらエッチングガスの流れを制御した。具体的には、エッチングガス導入管14の内径は、H2ガスが放電チャンバ9内に導入される際に衝撃波が立たないように設計する。衝撃波の発生を抑制するには、マッハ数が0.8以下になるようにすればよい(機械工学便覧,A5−64,1987,日本機会学会)。マッハ数はガスの流速をその点における音速で割ったものである。
【0070】
第2の実施形態に係る装置の概要を図5に示す。なお、本実施形態が上記第1の実施形態と重複する部分の説明は省略する。
【0071】
網状電極13を放電チャンバ9の内側壁およびアースシールド2の外周側壁にそれぞれ設置した。網状電極13は図2に示す格子状のものを用いた。線材13aの径dは1〜10mmの範囲とした。線材13aの相互間隔S1,S2は4〜10mmの範囲とした。この網状電極13を壁面から10〜50mmの距離をおいて複数の絶縁部材(図示せず)により支持した。図示しないが、網状電極13の代りにラダー電極を用いることも出来る。
【0072】
エッチングガス導入管14は放電チャンバ9の内側壁と網状電極13との間に壁面に沿って複数箇所に設置されている。エッチングガス導入管14の数は放電チャンバ9の大きさに応じて1〜4個の範囲で決定する。H2ガスのエッチングに利用される効率を上げるために、エッチングガス導入管14の内径は、H2ガスが放電チャンバ9内に導入される際に衝撃波を生じないように設計している。本実施形態ではエッチングガス導入管14の内径を約3mmとすることにより衝撃波の発生を回避するようにした。また、図には示してないが、ガスの供給を壁面に沿ってより均一におこなうために、放電チャンバ9内部(チャンバ9上面)にガス噴出口(ガス噴出口の内径は衝撃波の発生を回避できるように設計)を100〜2000有した環状のパイプを設置した。このパイプにガス導入管14を接続し、ガスの流れの制御が可能となっている。
【0073】
アモルファスシリコン膜の製膜条件は次のようにした。SiH4:2〜10sccm,H2:0〜300sccmを反応ガス導入管10を介して放電チャンバ9内に供給すると共に、真空ポンプ11により放電チャンバ9内を排気し、放電チャンバ9の内圧を10〜5000mTorrの範囲に保つ。次いで高周波又は高高周波電源8により周波数13.56〜400MHz,パワー10〜200Wの高周波をラダー電極1に印加してプラズマ3を生成させ、200℃に加熱された基板5の上にアモルファスシリコン膜12を堆積させた。
【0074】
製膜と同時並行してクリーニングを以下の手順で行った。
H2ガス又はArガスをエッチングガス導入管14より100sccm(全導入管から導入されるH2ガス流量の合計)の流量で導入した。次いで、高周波電源又は高高周波電源15より周波数10〜400MHz,パワー10〜200Wの高高周波を網状電極13に印加してプラズマを生成させ、エッチングを行った。このとき網状電極13には直流電源26により0〜800Vの正バイアスを印加した。
【0075】
図6は横軸にアモルファスシリコン堆積速度(nm/秒)をとり、縦軸に壁面に付着したシリコン膜厚(nm)をとって、網状電極によりエッチング(クリーニング)を行った場合と行わなかった場合とにつき製膜速度を種々変えて5時間ずつアモルファスシリコン膜をそれぞれ製膜した後に、チャンバ壁面に付着したシリコンの膜厚をそれぞれ測定した結果を示す特性線図である。図中にて特性線D(黒菱形)は水素ガス(H2)プラズマによるエッチング有りの結果を、特性線E(白四角)はアルゴンガス(Ar)プラズマによるエッチング有りの結果を、特性線F(黒三角)はエッチング無しの結果をそれぞれ示す。図から明らかなように、エッチングを同時に行った場合の特性線D,Eのほうがエッチングを行わない場合の特性線Fに比べて壁面への膜の堆積量が少なくなる。このようにアモルファスシリコン膜12の製膜と同時に網状電極13を用いて、水素ガス(H2)あるいはアルゴンガス(Ar)プラズマをチャンバ壁面近傍に集中的に生成させることにより、壁面へのシリコン膜18の堆積を抑制できることが確認された。
【0076】
上記第2実施形態の装置によれば、水素ガス(H2)を衝撃波が発生しないようにチャンバ内に導入し、網状電極によりチャンバ壁面近傍に放電プラズマを局所的に生成させることができ、製膜と同時にクリーニングを実施することが可能となった。このため製膜工程を長時間にわたり中断することなく、連続的に製膜工程を次々に実施することが可能になり、生産性が大幅に向上した。
【0077】
また、上記の装置によれば、製膜と同時に水素プラズマによるクリーニングを行うことにより膜の堆積を抑制することができた。
【0078】
(第3の実施形態)
次に、図7〜図9を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。
【0079】
第3の実施形態に係る装置の概要を図7に示す。なお、本実施形態が上記第1の実施形態と重複する部分の説明は省略する。
【0080】
本実施形態では網状電極の代わりに図8に示す環状状電極29を用いて放電チャンバ9の壁面に付着した膜をクリーニングするようにした。環状状電極29は図示しない昇降装置により放電チャンバ9の内側壁に沿って上方から下方へ(あるいは下方から上方へ)移動されるように水平に支持されている。このような昇降装置には空気圧シリンダ機構やボールスクリュウ機構を用いることができる。なお、本実施形態では放電チャンバ9が円筒状であるため、環状状電極29もリング形状のものを用いた。
【0081】
環状状電極29はフレキシブルケーブル(図示せず)を介して電源回路に接続されている。この電源回路には接地側から順に直流電源30、高周波電源32、整合器31が直列に接続されている。なお、電源回路が放電チャンバ9を貫通する部分はセラミック部材3により絶縁されている。
【0082】
高周波電源32としては、一般的に普及し安価な高周波電源(周波数13.56MHz)、あるいは高価ではあるが高速のエッチング速度が得られる高高周波電源(周波数10〜400MHz)を用いることができる。なお、環状状電極29には直流電源30が接続されているので、プラズマクリーニング時に正バイアスを印加することにより、放電チャンバ9の内壁へプラズマから入射する正イオンのエネルギーを増加させ、更に効果的にクリーニングを行うことができる。
【0083】
放電チャンバ9には、スイッチ28を切り替えることにより、直流電源25、ブロッキングキャパシタ27、高周波電源42に接続可能である。プラズマクリーニング時に直流電源25により放電チャンバ9に負バイアスを印加することにより、プラズマから放電チャンバ9壁面に入射する正イオンのエネルギーを増加させることができ、効果的にクリーニングを行える。また、放電チャンバ9をブロッキングキャパシタに接続した場合は、放電チャンバ9に負バイアスが印加されるため、プラズマから放電チャンバ9壁面に入射する正イオンのエネルギーを増加させることができ、効果的にクリーニングを行うことができる。また、放電チャンバ9をブロッキングキャパシタ43を介し高周波電源42に接続した場合も、放電チャンバ9に負バイアスが印加されるため、プラズマから放電チャンバ9壁面に入射する正イオンのエネルギーを増加させることができ、効果的にクリーニングを行えるようになっている。
【0084】
上記装置の動作について説明する。
先ず放電チャンバ9を真空ポンプ11により真空引きした。次いで、5sccmのSiH4ガスと300sccmのH2ガスとを反応ガス導入管10を介してチャンバ9内に供給するとともに、真空ポンプ11によりチャンバ9内を排気することにより、放電チャンバ9の内圧を約100mTorrに保持する。この状態で高周波電源8により例えば周波数60MHz,パワー50Wの高高周波を同軸ケーブルを介してラダー電極1に給電し、プラズマを生成させ、製膜を行った。この間にチャンバ壁面には約50μm程度のアモルファスシリコン膜が付着した。また、製膜時は環状状電極29、棒状電極23、放電チャンバ9はアース電位である(直流電源30,24,25をゼロボルト電位とする)。
【0085】
エッチングガスにはNF3を用い、反応ガス導入管10より150sccmのガス流量でチャンバ9の内側壁近傍に導入した。ラダー電極1に高周波または高高周波電源8より10〜400MHz、5〜200Wの電力を供給し、ラダー電極1とアースシールド2の間、ならびにラダー電極1とサセプタ4との間にグロー放電プラズマを生成させた。これによりアースシールド2の内部、ラダー電極1、ヒータ34の上面に付着したシリコン膜をそれぞれ除去した。
【0086】
これと並行して、放電チャンバ9の壁面に付着した膜を除去するため、エッチングガス導入管14からもNF3を150sccmのガス流量で導入し、環状電極29にも高周波あるいは高高周波電源15より10〜400MHz、5〜200Wの電力を供給し、環状電極13と放電チャンバ9の内壁との間にグロー放電プラズマを生成させ、環状電極13をチャンバ9の上側から下側へ(または下側から上側へ)徐々に移動させ、壁面に堆積した膜の除去を行った。このクリーニングの間、網状電極13には、直流電源26により0〜800Vの正バイアスを印加した。また、放電チャンバ9には直流電源25により−0〜−800Vの負バイアスを印加するか、またはブロッキングキャパシタ27に接続し負バイアスを印加するか、高周波電源42に接続し負バイアスを印加した。なお、環状電極29の移動速度は5mm/分とした。だだし、放電チャンバ9内壁へのシリコン膜の堆積厚さは一様ではない。そのため、特に膜の堆積が著しい箇所では環状電極29の移動を止め、重点的にクリーニングを行った。
【0087】
なお、製膜中は環状電極29への膜の付着をできる限り避けるために、環状電極29は製膜時の放電プラズマから離れた位置、例えばチャンバ9の天井近傍または床近傍に待機させておくことが好ましい。
【0088】
また、環状電極29は、それ自身に膜が堆積した場合であっても、その構造的理由から平板状の電極に比べて容易に放電できるので、長期間にわたり保守点検することなく継続使用することが可能である。
【0089】
クリーニング直後は(膜が堆積してないため)チャンバや電極の構造材があらわな状態である。そのため、クリーニング直後に製膜を行うと、これら構造材の構成物質が基板上に堆積される膜(例えばアモルファスシリコン12に混入してしまい、膜の性能を低下させるおそれがある。そのため、本格的な製膜の前にこれら構造材から不純物が飛び出さないようにガードするバリヤ膜を故意にチャンバ壁面、電極表面に堆積させるために製膜を行う。しかし、製膜に使用するラダー電極1から離れたところや、プラズマに直接さらされない箇所には膜が付きにくく、効果的にバリヤ膜が形成されているか疑わしい。
【0090】
そこで、エッチング終了後、再び製膜する前に電極表面、内壁に故意にシリコン膜を堆積させた。(これは、製膜中に電極やチャンバ内壁の構造材から飛び出てくる物質により膜が汚染されるのを防ぐ目的で実施されるものである。)製膜条件は先に示した製膜の条件を同じであるが、チャンバ9の壁面への膜の堆積をより効率的に行うため、エッチングに用いた環状状電極29も製膜に利用した。そのため、エッチングガス導入管からもSiH4/H2混合ガスを100sccmの流量で導入し、高周波電力を網状電極29に印加し、壁面との間にプラズマを生成させ、クリーニング時同様にチャンバ9内を上から下へ(あるいは下から上へ)徐々に移動させながら壁面に膜を堆積させた。この方法により、ラダー電極のみでの放電にくらべ速く均一にバリヤ膜の形成が可能である。
【0091】
図9は横軸に高周波の周波数(MHz)をとり、縦軸にエッチング速度(nm/秒)をとって、チャンバ壁面に付着したシリコン膜のエッチングレートの周波数依存性を示す特性線図である。エッチング速度の算出は、環状状電極を移動させずに定位置に固定し、60秒間エッチングを行い、エッチング前後での膜厚の変化量を時間(60秒)で割って算出した。この時のその他の条件は、高周波電源15のパワー100W、圧力1Torrである。図中の特性線G(黒菱形)から明らかなように、放電チャンバ9の内壁に付着した膜のエッチング速度は周波数200MHzのとき、最高で5.2nm/秒が得られ、高高周波プラズマがエッチング速度の向上に有効であることが確認された。
【0092】
上記の環状状電極を用いることにより、チャンバ壁面に付着したシリコン膜をエッチングすることができ、本方法によるセルフクリーニングが有効であることが確認された。
【0093】
また、環状状電極の導入により、放電チャンバ全体のプラズマクリーニングが可能となり、製膜装置の稼動効率が向上し、膜生産歩留まりが向上できた。
【0094】
さらに、環状状電極を用い、クリーニング直後のバリヤ膜形成を行うことにより、ラダー電極のみによる場合に比べて、効率的に膜形成を行うことができるようになった。
【0095】
(第4の実施形態)
次に、図10を参照して本発明の第4の実施形態について説明する。なお、本実施形態が上記第1の実施形態と重複する部分の説明は省略する。
【0096】
本実施形態では、チャンバ9のすべての内壁面、アースシールド2の外面、ヒータ34の側周壁面などのラダー電極1での放電によってラジカルが到達しにくい部分はすべてセラミック部材3A(例えばアルミナ板)で覆い、放電チャンバ9の内壁面などに付着した膜をクリーニングするようにしている。セラミック部材3Aの厚さは2〜30mmの範囲とする。電極/壁面間の最小限の絶縁を確保するとともに放電プラズマの生成を容易にするためにはこの厚み範囲が適しているからである。
【0097】
セラミック部材3Aの上には網状電極13がネジどめされている。網状電極13は図2に示した第1実施形態のものと同じ構成である。この網状電極13はアモルファスシリコン製膜中にも放電チャンバ9内に設置したままである。また、網目状電極の代りにラダー電極を同様に設置することも可能である。
【0098】
次に、本実施形態の装置の動作について説明する。
【0099】
先ず、基板5の上にアモルファスシリコン膜12を製膜した。この手順は実施例1と同じなので省く。製膜後、アモルファスシリコン膜12が堆積した基板5をサセプタ4ごとチャンバ9から搬出した後、クリーニングを以下の手順で行った。
【0100】
エッチングガスにはNF3を用い、反応ガス導入管10より150sccmのガス流量で放電チャンバ9内に導入した。ラダー電極1に高周波または高高周波電源8より周波数10〜400MHz、パワー5〜200Wの高周波を給電し、ラダー電極1とアースシールド2の間、ならびにラダー電極1とサセプタ4との間にグロー放電プラズマを生成させた。これによりアースシールド2の内部、ラダー電極1、ヒータ34の上面に付着したシリコン膜を除去した。
【0101】
これと並行して、放電チャンバ9の内側面、アースシールド2の外側面、ヒータ34の側周面に取り付けたセラミック部材3Aにそれぞれ付着した膜を除去するために、エッチングガス導入管14からもNF3ガスを150sccmの流量で導入し、網状電極13にも高周波あるいは高高周波電源15より周波数10〜400MHz、パワー5〜200Wの電力を供給し、網状電極13の周りにグロー放電プラズマを生成させ、セラミック部材3Aに堆積したシリコン膜の除去を行った。このクリーニングの間、網状電極13には、直流電源26により0.01〜800Vの正バイアスを印加した。
【0102】
次に、網状電極13により生成されたプラズマの均一性評価のため、チャンバ内壁に付着したシリコン膜のエッチングレートの分布を求めた。エッチングレートの算出方法には図3の場合と同じ方法を用いた。分布はエッチングの条件は最高速度が得られた条件でエッチングを行い、エッチングレートを等間隔で計200点計測し、算出したものである。これによるとエッチングレートの分布は±14%の範囲内に収まり、プラズマがほぼ均一に生成されているといえる。これは上記第1実施形態のときの22%より高い。第1実施形態の装置では網状電極13と壁面との間隔が必ずしも一定でない可能性があるのに対して、本実施形態ではセラミック部材3Aの設置により網状電極13を壁面からほぼ一定間隔に取り付けることができるために、プラズマの均一性が高められたものと推察される。
【0103】
エッチング終了後、再び製膜する前に電極表面、内壁(セラミック部材3A)に故意にシリコン膜を堆積させた。(これは、製膜中に電極やチャンバ内壁の構造材から飛び出てくる物質により膜が汚染されるのを防ぐ目的で実施されるものである。)製膜条件は先に示した製膜の条件を同じであるが、チャンバ9の壁面への膜の堆積をより効率的に行うため、エッチングに用いた網状電極13も製膜に利用した。そのため、エッチングガス導入管からもSiH4/H2混合ガスを100sccmの流量で導入し、高周波電力を網状電極13に印加し、壁面との間にプラズマを生成させ、壁面に膜を堆積させた。網状電極13を用いた放電の均一性は上述のエッチング速度の均一性で述べたように高いため、ラダー電極1のみでの放電に比べて速く、均一にバリヤ膜の形成が可能である。
【0104】
本実施形態の装置によれば、チャンバ壁面、アースシールド壁面、サセプタ/ヒータ壁面を絶縁性のセラミック部材で覆い、その上に網状電極を直接貼り付けているので、無効な膜は網状電極とこれらのセラミック部材とに付着する。また、網状電極/壁面間に生成される局部放電プラズマが表面に密接して発生するので、エッチング速度が大きい。
【0105】
(第5の実施形態)
次に、図11、12を参照して本発明の第5の実施形態について説明する。
【0106】
第5の実施形態に係る装置の概要を図11に示す。なお、本実施形態が上記第1の実施形態と重複する部分の説明は省略する。
【0107】
本実施形態では網状電極の代わりに図12に示す線状電極36を用いて放電チャンバ9の壁面に付着した膜をクリーニングするようにした。
【0108】
図12に示すように、線状電極36は、直径2〜10mmの線材であるため、エッチング対象となる部材の形状に応じて設置形状を自由に選択することができる。本実施例では円筒状の放電チャンバ9の内壁に設置するため、図12に示すようなら旋状のものを用いた。線状電極36の一端には図示したように、直流電源39、高周波電源38、整合器37を接続した。もう一端の終端は、▲1▼開放、▲2▼アースに短絡、▲3▼キャパシタンス・インダクタンス・抵抗の1つもしくは組合せからなる負荷インピーダンスのいずれか1種を接続し、終端インピーダンスを調整することにより線状電極に生じる定在波分布を均一、もしくは任意の分布に調整し、この分布により生じるプラズマ分布をセルフクリーニングに適した分布(例えば堆積膜が厚く、早いエッチングが必要な箇所には強いプラズマ、すなわち、大きな定在波電圧を生じさせる)になるようにした。さらに線状電極上の電圧分布をセルフクリーニング上好ましい分布にするために、線状電極の途中にインピーダンス調整用のコンデンサ等のリアクタンスを並列・直列に接続する方法もある。なお、電源回路が放電チャンバ9を貫通する部分はセラミック部材3により絶縁されている。
【0109】
高周波電源38としては、一般的に普及し安価な高周波電源(周波数13.56MHz)、あるいは高価ではあるが高速のエッチング速度が得られる高高周波電源(周波数10〜400MHz)を用いることができる。なお、線状電極36には直流電源39が接続されているので、プラズマクリーニング時に正バイアスを印加することにより、放電チャンバ9の内壁へプラズマから入射する正イオンのエネルギーを増加させ、更に効果的にクリーニングを行うことができる。
【0110】
放電チャンバ9には、スイッチ28を切り替えることにより、直流電源25、ブロッキングキャパシタ27、高周波電源42に接続可能である。プラズマクリーニング時に直流電源25により放電チャンバ9に負バイアスを印加することにより、プラズマから放電チャンバ9壁面に入射する正イオンのエネルギーを増加させることができ、効果的にクリーニングを行える。また、放電チャンバ9をブロッキングキャパシタに接続した場合は、放電チャンバ9に負バイアスが印加されるため、プラズマから放電チャンバ9壁面に入射する正イオンのエネルギーを増加させることができ、効果的にクリーニングを行うことができる。また、ブロッキングコンデンサ43を介し高周波電源42に接続した場合には、放電チャンバ9壁面に負バイアスが印加されるため、プラズマから放電チャンバ9に入射する正イオンのエネルギーを増加させることができ、効果的にクリーニングを行うことができる。
【0111】
上記装置の動作について説明する。
先ず放電チャンバ9を真空ポンプ11により真空引きした。次いで、5sccmのSiH4ガスと300sccmのH2ガスとを反応ガス導入管10を介してチャンバ9内に供給するとともに、真空ポンプ11によりチャンバ9内を排気することにより、放電チャンバ9の内圧を約100mTorrに保持する。この状態で高周波電源8により例えば周波数60MHz,パワー50Wの高高周波を同軸ケーブルを介してラダー電極1に給電し、プラズマを生成させ、製膜を行った。この間にチャンバ壁面には約50μm程度のアモルファスシリコン膜が付着した。また、製膜時は、線状電極36、放電チャンバ9はアース電位である(直流電源38,24,25をゼロボルト電位とする)。
【0112】
エッチングガスにはNF3を用い、反応ガス導入管10より150sccmのガス流量でチャンバ9の内側壁近傍に導入した。ラダー電極1に高周波または高高周波電源8より10〜400MHz、5〜200Wの電力を供給し、ラダー電極1とアースシールド2の間、ならびにラダー電極1とサセプタ4との間にグロー放電プラズマを生成させた。これによりアースシールド2の内部、ラダー電極1、ヒータ34の上面に付着したシリコン膜をそれぞれ除去した。
【0113】
これと並行して、放電チャンバ9の壁面に付着した膜を除去するため、エッチングガス導入管14からもNF3を150sccmのガス流量で導入し、線状状電極36にも高周波あるいは高高周波電源32より10〜400MHz、5〜200Wの電力を供給し、線状電極36と放電チャンバ9の内壁との間にグロー放電プラズマを生成させ、壁面に堆積した膜の除去を行った。このクリーニングの間、線状電極36には、直流電源39により0〜800Vの正バイアスを印加した。また、放電チャンバ9には直流電源25により−0〜−800Vの負バイアスを印加するか、またはブロッキングキャパシタ27に接続し負バイアスを印加するか、もしくはブロッキングキャパシタ43を介し高周波電源42に接続し負バイアスを印加した。
【0114】
また、線状電極36は、それ自身に膜が堆積した場合であっても、その構造的理由から平板状の電極に比べて容易に放電できるので、長期間にわたり保守点検することなく継続使用することが可能である。
【0115】
クリーニング直後は(膜が堆積してないため)チャンバや電極の構造材があらわな状態である。そのため、クリーニング直後に製膜を行うと、これら構造材の構成物質が基板上に堆積される膜(例えばアモルファスシリコン12に混入してしまい、膜の性能を低下させるおそれがある。そのため、本格的な製膜の前にこれら構造材から不純物が飛び出さないようにガードするバリヤ膜を故意にチャンバ壁面、電極表面に堆積させるために製膜を行う。しかし、製膜に使用するラダー電極1から離れたところや、プラズマに直接さらされない箇所には膜が付きにくく、効果的にバリヤ膜が形成されているか疑わしい。
【0116】
そこで、エッチング終了後、再び製膜する前に電極表面、内壁に故意にシリコン膜を堆積させた。(これは、製膜中に電極やチャンバ内壁の構造材から飛び出てくる物質により膜が汚染されるのを防ぐ目的で実施されるものである。)製膜条件は先に示した製膜の条件と同じであるが、チャンバ9の壁面への膜の堆積をより効率的に行うため、エッチングに用いた線状電極36も製膜に利用した。そのため、エッチングガス導入管からもSiH4/H2混合ガスを100sccmの流量で導入し、高周波電力を線状電極36に印加し、壁面との間にプラズマを生成させ、クリーニング時同様にチャンバ9内を上から下へ(あるいは下から上へ)徐々に移動させながら壁面に膜を堆積させた。この方法により、ラダー電極のみでの放電にくらべ速く均一にバリヤ膜の形成が可能である。
【0117】
この線状電極36によるクリーニング効果確認のため、エッチング速度を算出した。エッチング速度の算出は、環状状電極を移動させずに定位置に固定し、60秒間エッチングを行い、エッチング前後での膜厚の変化量を時間(60秒)で割って算出した。試験条件は、高周波電源38のパワー100W、周波数200MHz、圧力1Torrである。放電チャンバ9の内壁に付着した膜のエッチング速度は、4.6nm/秒が得られ、線状電極を用いたクリーニングが有効であることが確認された。
【0118】
また、線状電極36の導入により、放電チャンバ全体のプラズマクリーニングが可能となり、製膜装置の稼動効率が向上し、膜生産歩留まりが向上できた。
【0119】
さらに、線状電極36を用い、クリーニング直後のバリヤ膜形成を行うことにより、ラダー電極のみによる場合に比べて、効率的に膜形成を行うことができるようになった。
【0120】
【発明の効果】
本発明によれば、網状、はしご状(ラダー状)、環状、棒状、線状のクリーニング電極を用いることによりチャンバ内の壁面に付着したシリコン膜を高効率でエッチングすることができ、本方法によるセルフクリーニングが有効であることが確認された。
【0121】
また、本発明によれば、クリーニング電極として網状電極またはラダー電極を用いることにより、壁面近傍に均一な局部放電プラズマを生成することができ、壁面全体をムラなくクリーニングすることができた。
【0122】
また、本発明によれば、排気管内に堆積したシリコンパーティクルを網状電極のホロー放電もしくは棒状電極によるグロー放電により、除去可能となった。
【0123】
また、本発明によれば、網状電極、棒状電極の導入により、製膜と同時に放電チャンバ全体のプラズマクリーニングが可能となり、製膜装置の稼動効率が向上し、膜生産歩留まりが向上できた。
【0124】
また、本発明によれば、網状電極、環状電極、線状電極を用いて、クリーニング直後にバリヤ膜形成を行うことにより、ラダー電極のみによる場合に比べて効率的に膜形成を行うことができるようになった。
【0125】
さらに、本発明によれば、セラミック部材に貼り付けた状態で網状電極を用いることにより、壁面近傍に均一なプラズマを生成でき、ムラなく壁面に付着したシリコン膜を除去できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るプラズマCVD製膜装置を示す内部透視断面図。
【図2】網状電極の平面図。
【図3】NF3エッチングガスプラズマによる壁面付着物(シリコン膜)のエッチング速度の周波数依存性を示す特性線図。
【図4】NF3エッチングガスプラズマによる排気管に付着したシリコン膜のエッチング速度の周波数依存性を示す特性線図。
【図5】本発明の他の実施形態に係るプラズマCVD製膜装置を示す内部透視断面図。
【図6】同じ製膜速度でアモルファスシリコン膜(12)を製膜した場合、H2プラズマエッチングを行った方が行わなかった場合に比べ壁面へのシリコン膜(18)の堆積を抑制できることを示す特性線図。
【図7】本発明の他の実施形態に係るプラズマCVD製膜装置を示す内部透視断面図。
【図8】環状電極の平面図。
【図9】NF3エッチングプラズマによる壁面に付着したシリコン膜のエッチング速度の周波数依存性を示す特性線図。
【図10】本発明の他の実施形態に係るプラズマCVD製膜装置を示す内部透視断面図。
【図11】本発明の他の実施形態に係るプラズマCVD製膜装置を示す内部透視断面図。
【図12】線状電極の概要斜視図。
【図13】従来の装置の概要を示す内部透視断面図。
【符号の説明】
1…ラダー電極、
2…アースシールド、
3,3A…セラミック部材(絶縁部材)、
4…サセプタ、
5…基板、
7,16,21…整合器、
8,15,22…高周波電源、
9…チャンバ(製膜室)、
10…反応ガス導入管、
11…真空ポンプ、
12…アモルファスシリコン膜、
13…網状電極(クリーニング電極)、13a…線材、
14…エッチングガス導入管、
20…排気管、
23…棒状電極(クリーニング電極)、
24,25,26…直流電源、
27…ブロッキングキャパシタ、
28…スイッチ、
29…環状電極(クリーニング電極)、
34…ヒータ、
35…環状電極(クリーニング電極)、
36…線状電極(クリーニング電極)、
37…整合器、
38…高周波電源、
39…直流電源、
40…コイル、
41…整合器、
42…高周波電源、
43…コンデンサ。
Claims (3)
- 壁面に付着した異物を除去するためのクリーニング機能を有するプラズマCVD製膜装置であって、
弗素系エッチングガスを製膜室内に供給するエッチングガス供給手段と、
直径0.1〜10mmの線材を縦横1〜50mm間隔に格子状又は平面型はしご状に組み合せてなり、前記エッチングガスの存在下で前記壁面の近傍に局所的な放電プラズマを生成して弗素ラジカルを生じさせる網状又は平面型はしご状のクリーニング電極と、
前記クリーニング電極により放電プラズマが生成されている間に製膜室内を排気する排気手段と、
を具備することを特徴とするプラズマCVD製膜装置。 - 前記クリーニング電極は、網状をなし、製膜室の内壁面、ヒータの外周壁面およびアースシールドの外周壁面との間にそれぞれ2〜50mmの間隔をもつように配置されることを特徴とする請求項1記載のプラズマCVD製膜装置。
- 上記請求項1および2のうちのいずれか1項記載のプラズマCVD製膜装置を用いたことを特徴とするプラズマCVD製膜装置のセルフクリーニング方法。
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