JP3615962B2 - カメラの露光面および受光面調整機構 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、銀塩フィルムに被写体像を記録するとともに、同じ被写体像を画像データとしてメモリに記録することもできる銀塩デジタルスチル両用カメラに関し、特に、銀塩フィルムとメモリのいずれか一方に被写体像を選択的に記録することができる一眼レフ型の銀塩デジタルスチル両用カメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、銀塩フィルムに画像を記録するか、もしくはCCDなど撮像素子により画像を撮像してメモリに記録することができる一眼レフ型の銀塩デジタルスチル両用カメラが知られている。このような一眼レフカメラでは、2つの裏蓋が用意されており、銀塩フィルムに画像を記録する場合には、フィルム用圧板を備えた裏蓋が使用され、画像を撮像する場合には、撮像素子が備えられた裏蓋が使用される。
【0003】
フィルム用圧板を備えた裏蓋をカメラに装着すると、カメラ本体内に設けられたフィルムガイド部材により銀塩フィルムの露光面の位置が規定され、この露光面の位置が被写体像の結像面の位置となる。一方、撮像素子が内側に備えられた裏蓋をカメラに装着すると、撮像素子が銀塩フィルムの露光面の位置に配置される。これにより、レンズを通った被写体像は、撮像素子において結像され、画像データとしてメモリに記録される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、撮像素子は一般的に銀塩フィルムに比べて厚みがあり、撮像素子の受光面は表面上ではなく内部に位置する。したがって、裏蓋を閉めた時の撮像素子の受光面の位置は、銀塩フィルムの露光面に一致しない。すなわち、撮像素子の受光面の位置は、被写体像の結像面の位置と一致しない。このような撮像素子の配置で被写体を撮像すると、焦点の合わない不鮮明な被写体像がメモリに記録されてしまう。
【0005】
本発明は、銀塩フィルムの露光面および撮像素子の受光面の位置と被写体像の結像面の位置を容易に一致させることができる一眼レフ型の銀塩デジタルスチル両用カメラを得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のカメラの露光面および受光面調整機構は、撮影光学系を介して銀塩フィルムに被写体像を記録するための撮影動作を制御する撮影動作制御手段と、
撮影光学系を介して撮像素子に形成される被写体像に応じた画像信号を光電変換により発生させる撮像動作を制御する撮像動作制御手段と、銀塩フィルムの露光面の位置をフィルム用裏蓋に備えられた圧板により規定する露光面規定手段とを備え、撮影光学系の後方に前記撮像素子を配置するための撮像素子収容領域が形成され、露光面規定手段により銀塩フィルムの露光面の位置を規定することによって、銀塩フィルムの露光面の位置が撮影光学系による被写体像の結像面の位置と一致し、また、撮像素子を撮像素子収容領域に配置することによって、撮像素子の受光面の位置が被写体像の結像面の位置と一致することを特徴とする。
【0007】
圧板は、フィルム用裏蓋をカメラ本体に装着した時に圧板の表面が銀塩フィルムの露光面の位置よりも銀塩フィルムの厚さ分だけ後方に配置されるように、フィルム用裏蓋の内側に備えられることが望ましい。
【0008】
露光面規定手段が、フィルム用裏蓋をカメラ本体に装着させた時に銀塩フィルムの裏面を圧板に圧接させることにより、銀塩フィルムの露光面の位置を規定することが望ましい。
【0009】
露光面規定手段は、銀塩フィルムの記録領域を遮らないように圧板の両側に2つのスプロケットを設け、銀塩フィルムをスプロケットと係合させることにより、銀塩フィルムを圧板に圧接させることが望ましい。
【0010】
スプロケットは、銀塩フィルムの露光面側から銀塩フィルムと係合し、その係合部分の位置は、圧板の表面の位置よりも後方にあることが望ましい。これにより、銀塩フィルムが圧板に圧接される。
【0011】
撮像素子は、カメラの裏蓋に備えられ、かつ、撮像素子が備えられた撮像用裏蓋をカメラ本体に装着した時に撮像素子の表面の位置が被写体像の結像面の位置と一致するように、裏蓋の内側に取り付けられることが望ましい。
【0012】
撮像用裏蓋をカメラ本体に装着することによって、撮影動作制御手段による被写体の撮像が可能な状態になることが望ましい。そして、撮像動作制御手段により撮像素子の受光面において結像された被写体像は、メモリに画像データとして記録されることが望ましい。
【0013】
撮像素子は、銀塩フィルムに比べて厚みがあり、撮像素子の受光面が撮像素子の内部に位置することが望ましい。また、撮像素子の画像形成領域は、銀塩フィルムの記録領域と同じであり、撮像素子の寸法は、その記録領域よりも大きいことが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態である一眼レフ型の銀塩デジタルスチル両用カメラについて説明する。
【0015】
図1は、銀塩デジタルスチル両用カメラの主要な内部構成を示した図である。この一眼レフ型カメラでは、銀塩フィルムに画像を記録する場合に適用される裏蓋と、CCDなど撮像素子により画像を撮像する場合に適用される裏蓋が、別々に用意される。図1では、銀塩フィルムへの画像記録用の裏蓋が、カメラ本体に取り付けられている。
【0016】
撮影光学系11は複数のレンズ(図示せず)および絞り(図示せず)により構成され、カメラ本体10に着脱可能である。カメラ本体10には、フィルム用裏蓋U1が取り付けられており、フィルム用裏蓋U1の内側には、銀塩フィルムFを圧接するための圧板19が設けられている。図1では、撮影光学系11の光軸Eが一点鎖線で示してあり、光軸Eに沿ってフィルム用裏蓋U1側を後方、撮影光学系11側を前方とする。
【0017】
カメラ本体10内には、光軸Eの経路を選択的に変更させるクイックリターンミラー12が設けられており、撮影光学系11の後方に配置される。クイックリターンミラー12は、傾斜した位置(以下、ダウン位置という)から、2点鎖線で示した水平位置(以下、アップ位置という)の範囲において、回動することができる。シャッタ17が作動しない間(銀塩フィルムFが露光されない間)、クイックリターンミラー12はダウン位置に置かれるが、シャッタ17が作動する場合、クイックリターンミラー12はダウン位置からアップ位置まで回転させられ(跳ね上げられ)、所定時間だけアップ位置の状態で止められる。
【0018】
撮影動作が実行されない場合、被写体Mにより反射した光は、撮影光学系11を通って収束し、クイックリターンミラー12によりピント板13の方向に導かれる。すなわち、撮影光学系11により形成された被写体像は、クイックリターンミラー12の上方に設けられたピント板13に結像され、ペンタプリズム14、ファインダ15を介して撮影者によって観察される。このとき、観察される被写体像のピントは、銀塩フィルムFの露光面における被写体像のピントに対応しており、観察される被写体像が合焦している場合、鮮明な被写体像が銀塩フィルムFに記録される。
【0019】
クイックリターンミラー12の光軸Eに沿った後方には、シャッタ17が配置されている。このシャッタ17は、先幕、後幕が連動して上下方向に移動する、いわゆるフォーカルプレーンシャッタである。シャッタ17の後方には、銀塩フィルムFの露光面の位置Rを規定する圧板19がフィルム用裏蓋U1に取り付けられている。この圧板19により規定される銀塩フィルムFの露光面の位置Rに、撮影光学系11による被写体像の結像面の位置が定められる。
【0020】
カメラ本体10の横方向(左右方向)に沿った圧板19の両側には、銀塩フィルムFの給送を案内するためのスプロケット(図示せず)が1つずつ配置されており、銀塩フィルムFとスプロケットが係合することによって、銀塩フィルムFが裏蓋U1の内側に備えられた圧板19に圧接される。
【0021】
なお、フィルム用裏蓋U1の一端は、カメラ本体10に枢着され、これによりフィルム用裏蓋U1が開閉可能となる。
【0022】
カメラ本体10の上部には、レリーズスイッチ(図示せず)が設けられており、レリーズスイッチが全押しされると、クイックリターンミラー12はアップ位置まで移動し、この移動に連動してシャッタ17が所定時間開放させられる。これにより、撮影光学系11により形成された被写体像は、銀塩フィルムFの露光面において結像される。
【0023】
銀塩フィルムFはロール状になってパトローネ(図示せず)に収納され、パトローネはカメラ本体10内の一方の片側位置に設けられたパトローネ室(図示せず)に格納される。パトローネから引き出された銀塩フィルムFは、圧板19の両側に配置されたスプロケットおよび一対のガイド片19aにより規定される銀塩フィルムFの移動通路を通り、カメラ本体10内のもう一方の片側位置に設けられた巻取りスプール(図示せず)に巻取られる。銀塩フィルムFが収容されたパトローネがカメラ本体10内に装填され、撮影動作が順次実行されると、銀塩フィルムFは2つのスプロケットおよび一対のガイド片19aにより案内されながら給送され、巻取りスプールによって順次巻き取られる。
【0024】
クイックリターンミラー12の下方には、自動焦点調節のために用いられるAF(自動焦点)ユニット30が配置されており、AFユニット30には、光学レンズ31および32と、ミラー33、そして受光素子が並べられたライセンサ34が設けられている。クイックリターンミラー12の背面には、サブミラー16が設けられており、ハーフミラーの性質を有するクイックリターンミラー12がダウン位置にある場合、撮影光学系11を通過した光はサブミラー16において反射し、AFユニット30のある下方へ導かれる。そして、AFユニット30に入った光は、光学レンズ31、32により集光され、ミラー33を介してライセンサ34の受光面に導かれる。これにより、被写体Mとカメラ本体10との距離が測定され、焦点距離が調整される。このような自動焦点調節は、レリーズスイッチが半押し状態になることで実行される。
【0025】
なお、レリーズスイッチが半押し状態となると、ファインダ15内に設けられた測光用受光素子(図示せず)により被写体Mの明るさが計測され、これにより銀塩フィルムFに対する適正露光量が定められる。
【0026】
図2は、フィルム用裏蓋U1を上から見た図である。また、図3は、圧板19を横から見た図である。
【0027】
フィルム用裏蓋U1の内側には、圧板19が取り付けられており、圧板19の表面19sには、銀塩フィルムFの露光面の位置Rを規定するための一対のガイド片19a(図3参照)が銀塩フィルムFの高さに対応するように形成されている。この圧板19は、銀塩フィルムFを圧板19に圧接させた時に銀塩フィルムFの露光面の位置Rが被写体像の結像面の位置と一致するようにフィルム用裏蓋U1に取り付けられており、圧板19の表面19sの位置Yは、図3に示すように、銀塩フィルムFの露光面の位置Rより銀塩フィルムFの厚さdFだけ後方にある。
【0028】
図2に示すように、銀塩フィルムの1画面分の露光面の領域(以下、記録領域という)における横幅Bは、圧板19の左右方向の長さ19Eよりも小さい。本実施形態では、撮影光学系11を通った光を銀塩フィルムFの記録領域だけ通すためのアパ−チャ−(窓)が形成された枠部材をシャッタ17の後方に設けていないが、シャッタ17の前方にあるクイックリターンミラー12が設けられた空間の光軸Eに垂直な平面領域が銀塩フィルムFの記録領域と等しいため、圧板19の表面19sにおいて銀塩フィルムFの記録領域以外に到達する光は、考慮しなくてよい。
【0029】
図4は、銀塩フィルムFがカメラ本体10に装填されているときのカメラ本体10の内部構成を上から見た図である。
【0030】
図4に示すように、パトローネPTから引き出された銀塩フィルムFは、スプロケットS1と係合し、ガイド片19aに案内される給送通路に沿うように圧板19に圧接し、さらに、スプロケットS2と係合して巻取りスプールMTに巻き取られる。このとき、銀塩フィルムFの裏面(露光面の反対側の面)が圧板19と圧接する。スプロケットS1とスプロケットS2は、光軸Eから同じ距離だけ離れ、また、光軸Eを中心線として対称的な位置に配置されている。
【0031】
銀塩フィルムFには、銀塩フィルムFを巻取りスプールMTへ給送させるためのパーフォレーション(図示せず)が上下両端に設けられており、その一端(上部側)のパーフォレーションがスプロケットS1に設けられた突起部K1と係合している。なお、スプロケットS1、S2は、カメラ本体10側に取り付けられており、スプロケットS1、S2の下部には、カメラ本体10とスプロケットS1、S2を繋ぐ部材(図示せず)が形成されている。
【0032】
図5は、スプロケットS1の斜視図である。
【0033】
スプロケットS1は、軸Uを中心に回転し、突起部K1が設けられた円板SHの位置は、銀塩フィルムFの上部側のパーフォレーションPの位置に対応する。突起部K1は、円板SHの円周上において90度間隔で形成されており、円周上で位置ωにある突起部K1が、パーフォレーションPと係合する。このとき、突起部K1は、銀塩フィルムFの露光面側からパーフォレーションPと係合する。
【0034】
銀塩フィルムFが巻き取りスプールMT側に向けて給送されることによってスプロケットS1(突起部K1)が軸Uを中心に回転(図から見て反時計回り)すると、パーフォレーションPと係合している位置ωにある突起部K1がスプロケットS1の回転により移動し、新たに位置ωに移動した突起部K1が銀塩フィルムFのパーフォレーションPと係合する。銀塩フィルムFが給送される間(スプロケットS1が回転している間)、銀塩フィルムFのパーフォレーションPは、位置ωにある突起部K1と次々と係合し、これにより銀塩フィルムFが次々と巻き取りスプールMT側に移動する。このとき、銀塩フィルムFは圧板19と摺接している。
【0035】
スプロケットS2は、スプロケットS1と同じ形状であり、突起部K2が銀塩フィルムFのパーフォレーションPと係合する。
【0036】
図6は、スプロケットS1、S2と圧板19との位置関係を示した図である。
【0037】
スプロケットS1の突起部K1は、銀塩フィルムFの露光面側(以下、表面側という)からパーフォレーションPと係合するため、スプロケットS1は、銀塩フィルムFの表面より前方に位置する。そして、突起部K1が銀塩フィルムFのパーフォレーションPと係合する係合部Λの位置Xは、圧板19の表面19sの位置Yよりも後方にある。この係合部Λの位置Xは、スプロケットS2の突起部K2とパーフォレーションPが係合する係合部σの位置でもある。
【0038】
銀塩フィルムFとスプロケットS1、S2との係合部Λ、σの位置Xが圧板19の表面19sの位置Yよりも後方にあり、かつ、パトローネPTおよび巻取りスプールMTがスプロケットS1、S2の位置よりも前方に配置されているため、銀塩フィルムFは、弛むことなくまっすぐに伸びた状態でガイド片19aにより規定された給送通路において圧板19により圧接される。
【0039】
このように、本実施形態では、アパ−チャ−が形成され、かつ銀塩フィルムFの給送通路を規定するフィルムガイド部材をカメラ本体10内に設けない代わりに、銀塩フィルムFを2つのスプロケットS1、S2に係合させることにより、銀塩フィルムFを圧板19に圧接させ、これにより銀塩フィルムFの露光面の位置Rを規定する。
【0040】
図7は、フィルム用裏蓋U1をカメラ本体10に取り付けた時に作動する主な電気的回路を示した図である。
【0041】
システムコントロール回路40は、内部に演算処理用のCPU(図示せず)を有しており、カメラ本体10の全体的制御を行う。
【0042】
システムコントロール回路40には、電源スイッチ49、レリーズ半押スイッチ50、レリーズ全押スイッチ51、フィルムバック検出回路48が接続されている。レリーズ半押スイッチ50とレリーズ全押スイッチ51は、カメラ本体10の上部に設けられたレリーズスイッチの押下状態を検出するためのスイッチであり、また、フィルムバック検出回路48は、フィルム用裏蓋U1がカメラ本体10に装着されたことを検出するための回路である。電源スイッチ49がON状態となり、銀塩フィルムFがカメラ本体10に装填され、フィルム用裏蓋U1がカメラ本体10に装着されると、銀塩フィルムFに被写体Mの画像を記録することが可能となり、レリーズスイッチが全押しされると、撮影光学系11を通った被写体像は、シャッタ17の開放により銀塩フィルムFに記録される。なお、システムコントロール回路40には、電源回路52が接続されている。
【0043】
測光回路46では、被写体Mの明るさが、図1に示したファインダ15内の受光素子により検出された光量に基づいて測定される。そして、測定された明るさに基づいて適正な露光量が求められ、シャッタ17のシャッタスピードおよび絞りZの絞り値が定められる。測距回路47では、被写体Mとカメラ本体10との距離が、AFユニット30(図1参照)によって検出された距離データに基づいて測定される。そして、測定された距離に基づき、撮影光学系11内に設けられたレンズが、レンズ駆動回路42により駆動される。このような測光、測距は、レリーズ半押スイッチ50がON状態になると実行される。
【0044】
シャッタ17は、シャッタ駆動回路44により駆動され、また、絞りZも、絞り駆動回路53により絞られる。シャッタ17の駆動および絞りZの駆動は、レリーズ全押スイッチ51がON状態になることで実行され、このとき、絞りZは、測光に基づいて定められた絞り値に応じて駆動され、また、シャッタ17も、測光に基づいて定められたシャッタスピードに応じて駆動される。ストロボ回路45では、ストロボの発光制御が行われる。
【0045】
コマ数検出回路54では、銀塩フィルムFのパーフォレーションを計数することによって銀塩フィルムFの給送量が検出される。また、フィルム感度検出回路55では、銀塩フィルムFの感度が検出される。フィルム巻上げ巻戻し駆動回路43では、銀塩フィルムFの巻上げや巻戻しが制御される。
【0046】
図8は、本実施形態で適用される撮像素子を正面から見た平面図である。また、図9は、撮像素子を横から見た図であり、部分的に撮像素子の内部を示している。図8、図9を用いて、撮像素子の受光面の位置について説明する。
【0047】
図8では、本実施形態で適用される固体撮像素子であるCCD41が示されており、光電変換素子が配設されたセンサ(受光面)Cに光が当たると、光電変換により画像信号が発生する。センサCの画像形成領域(斜線部)Hは、銀塩フィルムFの記録領域と等しくなるように形成されている。
【0048】
一般に、CCD41など固体撮像素子には、センサCを保護するため、無色透明なカバーガラスGがセンサCの上へ被せられる。そのため、CCD41の寸法は、銀塩フィルムFの記録領域よりも大きくなる。
【0049】
図9に示すように、CCD41の受光面側の表面は、センサCを覆うカバーガラスGにより形成されており、また、センサCとカバーガラスGの間には空気の層Aが形成されている。したがって、CCD41の厚さDは、カバーガラスGおよびセンサCの厚みと、空気の層Aを合わせた厚さとなる。なお、CCD41の裏側には、回路基板にCCD41を配設するためのピンPNが並んで取り付けられている。
【0050】
このように、CCD41の厚さDは、銀塩フィルムFの厚さに比べて大きく、センサCは、CCD41の撮影光学系11側の表面ではなく、CCD41の内部に位置する。すなわち、CCD41の受光面であるセンサCは、CCD41の表面から光軸に沿って後方に位置する。
【0051】
本実施形態では、アパーチャーが形成されるフィルムガイド部材がシャッタ17の後方に設けられていないため、CCD41を収容できる収容領域がシャッタ17の後方に形成されており、CCD41の表面の位置を銀塩フィルムFの露光面の位置よりも前方に出して銀塩フィルムFの露光面の位置RとCCD41のセンサCの位置が一致するように、CCD41が配置される。
【0052】
図10は、撮像素子が備えられた裏蓋を取り付けた時のカメラの内部構成を示した図であり、撮像素子が配置されていること以外に関しては、図1に示したカメラの内部構成と同じである。
【0053】
CCD41の後方には、ピンPNがハンダ付けされている回路基板CTが設けられており、固定ねじ(図示せず)がこの回路基板CTを介して撮像用裏蓋U2の内側に設けられたねじ穴(図示せず)に嵌められる。これにより、CCD41が撮像用裏蓋U2に固定される。
【0054】
シャッタ17の後方には、CCD41が収容できる撮像素子収容領域が形成されており、撮像用裏蓋U2がカメラ本体10に装着されると、CCD41のセンサCの位置は、銀塩フィルムFの露光面の位置R、すなわち被写体像の結像面の位置と一致する。
【0055】
撮像用裏蓋U2の表側には、液晶表示装置であるLCD(図示せず)が設けられており、撮像した被写体像が表示される。カメラ本体10の上部には、モード選択ダイヤル(図示せず)が設けられ、モード選択ダイヤルの操作により、例えば、絞り優先モード、シャッタ優先モード、および再生モードなどが選択される。さらに、カメラ本体10の上部には、アップスイッチ、ダウンスイッチ(両方とも図示せず)が設けられており、例えば、絞り優先モードにおける絞り値がアップスイッチ、ダウンスイッチの操作により選択される。
【0056】
図11は、2つの裏蓋U1、U2をそれぞれカメラ本体10に装着した時の被写体像の結像面の位置を示した図である。
【0057】
図11に示すように、フィルム用裏蓋U1がカメラ本体10に装着された場合には、銀塩フィルムFが圧板19に圧接され、撮像用裏蓋U2がカメラ本体10に装着された場合には、CCD41が撮像素子収容領域に配置される。これにより、銀塩フィルムFの露光面およびCCD41のセンサC(受光面)の位置が、被写体像の結像面の位置と一致する。
【0058】
図12は、撮像用裏蓋U2をカメラ本体10に装着した時に作動する主な電気的回路を示したブロック図である。CCD41が配設された回路基板CTは、撮像用裏蓋U2がカメラ本体10に装着されると、カメラ本体10内の回路基板(図示せず)と接続される。
【0059】
システムコントロール回路40には、電源スイッチ49、レリーズ半押スイッチ50、レリーズ全押スイッチ51の他に、アップスイッチ54、ダウンスイッチ55、選択モード検出回路56、デジタルバック検出回路57が接続されている。モード選択検出回路56では、モード選択ダイヤルの操作により選択されたモードが検出される。また、デジタルバック検出回路57では、撮像用裏蓋U2のカメラ本体10への装着が検出される。
【0060】
撮像用裏蓋U2がカメラ本体10に装着された状態で撮像動作が実行されると、被写体像はCCD41のセンサCにおいて結像され、これに応じた画像信号が光電変換により発生する。CCD41は、CCD駆動回路60により制御され、1画面分の画像信号が、CCD駆動回路60により読み出される。CCD41から読み出された画像信号は、相関二重サンプリング回路(CDS)61においてリセット雑音が除去され、A/D変換62においてアナログ信号からデジタル信号に変換される。
【0061】
デジタル化された画像信号は、信号処理回路63に送られる。信号処理回路63では、様々な画像処理、例えばガンマ補正や輪郭補正処理が施され、処理された画像信号はシステムコントロール回路40を介してフィールドメモリ70に送られる。これにより、1画面分の画像信号が一時的にフィールドメモリ70に格納される。
【0062】
一時的にフィールドメモリ70に格納された画像信号は、再びシステムコントロール回路40に送られ、圧縮処理される。圧縮された画像信号は、フラッシュメモリ72に画像データとして格納される。なお、フィールドメモリ70に対する画像信号の書き込みおよび読み出しの制御は、フィールドメモリコントローラ67により行われ、また、フラッシュメモリ72に対する画像信号の書き込みおよび読み出しの制御は、フラッシュメモリコントローラ71により行われる。
【0063】
モード選択ダイヤルにより再生モードが選択され、LCD66に記録された画像を再生する場合、格納された画像データがフラッシュメモリ72から読み出され、システムコントロール回路40において伸張処理され、一時的にフィールドメモリ70に送られる。フィールドメモリ70に一時的に格納された画像信号は、システムコントロール回路40を介してD/A変換器64に送られ、デジタル信号からアナログ信号に変換される。
【0064】
アナログ化された画像信号は、LCD駆動回路65において所定の処理が施され、その画像信号に基づいて電圧がLCD66に対して印加されることでLCD66が駆動される。そして、バックライト69が点灯されることにより、LCD66に被写体像が再生表示される。バックライト69の点灯は、バックライト駆動回路68により制御される。
【0065】
タイミングジェネレータ58は、システムコントロール回路40の制御に基づき、CCD駆動回路60、CDS61、A/D変換機33、信号処理回路63、D/A変換機64、LCD駆動回路65、フィールドメモリコントローラ67に対してサンプルパルスなどを出力し、これらの動作制御を行う。
【0066】
図13は、撮影動作および撮像動作の手順を示したフローチャートである。フィルム用裏蓋U1もしくは撮像用裏蓋U2がカメラ本体10に装着されると、撮影動作もしくは撮像動作が開始される。
【0067】
ステップ101では、カメラ本体10に撮像用裏蓋U2が装着されたか否かが判定される。すなわち、撮像用裏蓋U2がカメラ本体10に取りつけられ、閉じた状態であるか否かが判定される。
【0068】
ステップ101において、撮像用裏蓋U2が装着されず、フィルム用裏蓋U1が装着されたと判断された場合、ステップ102に移る。ステップ102では、撮影動作を実行するようにシステムコントロール回路40が設定され、ステップ103に移る。ステップ103では、レリーズスイッチが半押しされてレリーズ半押スイッチ50がON状態であるか否かが判定される。レリーズ半押スイッチ50がON状態であると判断されると、ステップ104に移る。レリーズ半押スイッチ50がON状態ではないと判断された場合、レリーズ半押スイッチ50がON状態になるまで繰り返しステップ103が実行される。
【0069】
ステップ104では、被写体の明るさおよび被写体までの距離が、測距回路46、および測光回路57により測定される。そして、測定された明るさに基づいて絞り値およびシャッタスピードが定められ、測定された距離に基づいて自動焦点調整が実行される。測光および自動焦点調整が実行されると、ステップ105に移る。
【0070】
ステップ105では、レリーズスイッチの半押しが解除され、レリーズ半押スイッチ50がOFF状態であるか否かが判定される。レリーズ半押スイッチ50がOFF状態であると判断されると、ステップ103に戻る。レリーズ判押スイッチ50がOFF状態ではないと判断された場合、ステップ106に移る。
【0071】
ステップ106では、レリーズスイッチが全押しされ、レリーズ全押スイッチ51がON状態であるか否かが判定される。レリーズ全押スイッチ51がON状態であると判断されると、ステップ107に移る。レリーズ全押スイッチ51がON状態ではないと判断された場合、ステップ105に戻る。
【0072】
ステップ107では、絞りZがステップ104により定められた絞り値まで絞り込まれ、また、シャッタ17がステップ104により定められた時間だけ開放される。このような絞りZとシャッタ17の駆動により、銀塩フィルムFが露光される。このとき、銀塩フィルムFの露光面の位置は被写体像の結像面の位置と一致しており、ピントの合った被写体像が銀塩フィルムFに記録される。被写体像が銀塩フィルムFに記録されると、ステップ108に移る。
【0073】
ステップ108では、銀塩フィルムFがフィルム巻上げ巻戻し回路43により給送され、銀塩フィルムFが給送されると、一連の撮影動作は終了する。
【0074】
ステップ101において、撮像用裏蓋U2がカメラ本体10に装着されたと判断されると、ステップ109に移る。ステップ109では、撮像動作が実行されるようにシステムコントロール回路40が設定され、ステップ110に移る。
【0075】
ステップ110〜114の実行は、ステップ103〜107の実行と同じである。すなわち、レリーズスイッチが半押しされると測距、測光が行われ、レリーズスイッチが全押しされるとCCD41が露光され、これにより被写体像に応じた画像信号が得られる。このとき、CCD41のセンサ(受光面)Cの位置は、被写体像の結像面の位置と一致しており、被写体像がCCD41のセンサC上において結像される。そして、ステップ115では、画像信号がCCD41から読み出され、システムコントロール回路40において圧縮される。圧縮された画像信号は、フラッシュメモリ72に画像データとして格納される。被写体像が画像データとしてフラッシュメモリ72に格納されると、一連の撮像動作は終了する。
【0076】
このように本実施形態によれば、銀塩フィルムFに被写体像を記録する場合、銀塩フィルムFが圧板19に圧接されることで銀塩フィルムFの露光面の位置が規定される。これにより、銀塩フィルムFの露光面の位置を規定するためのフィルムガイド部材をカメラ本体10内に設ける必要がなくなり、代わりにCCD41が収容できる撮像素子収容領域がシャッタ17の後方に形成され、撮像時においてCCD41のセンサCの位置を被写体像の結像面の位置と一致させることができる。よって、銀塩フィルムFに対する撮影動作およびCCD41による撮像動作どちらを実行しても、合焦した被写体像が記録される。
【0077】
従来使用されている銀塩フィルム用の一眼レフ型カメラにフィルムガイド部材を取り外して2つのスプロケットを設ける構成であるため、今まで製造された一眼レフカメラの構成、機構を大きく変更することなく、一眼レフ型の銀塩デジタルスチル両用カメラを製造することができる。
【0078】
なお、一眼レフ型の銀塩デジタルスチル両用カメラだけでなく、コンパクト型の銀塩デジタルスチル両用カメラに対しても、本実施形態のようなフィルムガイド部材18を設ける構成を適用してもよい。
【0079】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、銀塩フィルムの露光面および撮像素子の受光面の位置と被写体像の結像面の位置を容易に一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルム用裏蓋が装着された一眼レフ型カメラの内部構成を示した図である。
【図2】フィルム用裏蓋を上から見た図である。
【図3】圧板を横から見た図である。
【図4】銀塩フィルムが装填された時のカメラの内部構成を上から見た図である。
【図5】スプロケットを示した斜視図である。
【図6】スプロケットと圧板の表面の位置関係を示した図である。
【図7】カメラの電気的回路を示したブロック図である。
【図8】撮像素子を正面から見た平面図である。
【図9】撮像素子を横から見た図である。
【図10】撮像用裏蓋が装着された一眼レフ型カメラの内部構成を示した図である。
【図11】被写体像の結像面の位置を示した図である。
【図12】カメラの電気的回路を示したブロック図である。
【図13】撮影動作および撮像動作の手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
11 撮影光学系
19 圧板
19s 圧板の表面
41 CCD(撮像素子)
72 フラッシュメモリ(メモリ)
C センサ(受光面)
E 光軸
F 銀塩フィルム
S1 スプロケット
S2 スプロケット
R 露光面の位置
X 係合部の位置
Y 圧板の表面の位置
U1 フィルム用裏蓋
U2 撮像用裏蓋
【発明の属する技術分野】
本発明は、銀塩フィルムに被写体像を記録するとともに、同じ被写体像を画像データとしてメモリに記録することもできる銀塩デジタルスチル両用カメラに関し、特に、銀塩フィルムとメモリのいずれか一方に被写体像を選択的に記録することができる一眼レフ型の銀塩デジタルスチル両用カメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、銀塩フィルムに画像を記録するか、もしくはCCDなど撮像素子により画像を撮像してメモリに記録することができる一眼レフ型の銀塩デジタルスチル両用カメラが知られている。このような一眼レフカメラでは、2つの裏蓋が用意されており、銀塩フィルムに画像を記録する場合には、フィルム用圧板を備えた裏蓋が使用され、画像を撮像する場合には、撮像素子が備えられた裏蓋が使用される。
【0003】
フィルム用圧板を備えた裏蓋をカメラに装着すると、カメラ本体内に設けられたフィルムガイド部材により銀塩フィルムの露光面の位置が規定され、この露光面の位置が被写体像の結像面の位置となる。一方、撮像素子が内側に備えられた裏蓋をカメラに装着すると、撮像素子が銀塩フィルムの露光面の位置に配置される。これにより、レンズを通った被写体像は、撮像素子において結像され、画像データとしてメモリに記録される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、撮像素子は一般的に銀塩フィルムに比べて厚みがあり、撮像素子の受光面は表面上ではなく内部に位置する。したがって、裏蓋を閉めた時の撮像素子の受光面の位置は、銀塩フィルムの露光面に一致しない。すなわち、撮像素子の受光面の位置は、被写体像の結像面の位置と一致しない。このような撮像素子の配置で被写体を撮像すると、焦点の合わない不鮮明な被写体像がメモリに記録されてしまう。
【0005】
本発明は、銀塩フィルムの露光面および撮像素子の受光面の位置と被写体像の結像面の位置を容易に一致させることができる一眼レフ型の銀塩デジタルスチル両用カメラを得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のカメラの露光面および受光面調整機構は、撮影光学系を介して銀塩フィルムに被写体像を記録するための撮影動作を制御する撮影動作制御手段と、
撮影光学系を介して撮像素子に形成される被写体像に応じた画像信号を光電変換により発生させる撮像動作を制御する撮像動作制御手段と、銀塩フィルムの露光面の位置をフィルム用裏蓋に備えられた圧板により規定する露光面規定手段とを備え、撮影光学系の後方に前記撮像素子を配置するための撮像素子収容領域が形成され、露光面規定手段により銀塩フィルムの露光面の位置を規定することによって、銀塩フィルムの露光面の位置が撮影光学系による被写体像の結像面の位置と一致し、また、撮像素子を撮像素子収容領域に配置することによって、撮像素子の受光面の位置が被写体像の結像面の位置と一致することを特徴とする。
【0007】
圧板は、フィルム用裏蓋をカメラ本体に装着した時に圧板の表面が銀塩フィルムの露光面の位置よりも銀塩フィルムの厚さ分だけ後方に配置されるように、フィルム用裏蓋の内側に備えられることが望ましい。
【0008】
露光面規定手段が、フィルム用裏蓋をカメラ本体に装着させた時に銀塩フィルムの裏面を圧板に圧接させることにより、銀塩フィルムの露光面の位置を規定することが望ましい。
【0009】
露光面規定手段は、銀塩フィルムの記録領域を遮らないように圧板の両側に2つのスプロケットを設け、銀塩フィルムをスプロケットと係合させることにより、銀塩フィルムを圧板に圧接させることが望ましい。
【0010】
スプロケットは、銀塩フィルムの露光面側から銀塩フィルムと係合し、その係合部分の位置は、圧板の表面の位置よりも後方にあることが望ましい。これにより、銀塩フィルムが圧板に圧接される。
【0011】
撮像素子は、カメラの裏蓋に備えられ、かつ、撮像素子が備えられた撮像用裏蓋をカメラ本体に装着した時に撮像素子の表面の位置が被写体像の結像面の位置と一致するように、裏蓋の内側に取り付けられることが望ましい。
【0012】
撮像用裏蓋をカメラ本体に装着することによって、撮影動作制御手段による被写体の撮像が可能な状態になることが望ましい。そして、撮像動作制御手段により撮像素子の受光面において結像された被写体像は、メモリに画像データとして記録されることが望ましい。
【0013】
撮像素子は、銀塩フィルムに比べて厚みがあり、撮像素子の受光面が撮像素子の内部に位置することが望ましい。また、撮像素子の画像形成領域は、銀塩フィルムの記録領域と同じであり、撮像素子の寸法は、その記録領域よりも大きいことが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態である一眼レフ型の銀塩デジタルスチル両用カメラについて説明する。
【0015】
図1は、銀塩デジタルスチル両用カメラの主要な内部構成を示した図である。この一眼レフ型カメラでは、銀塩フィルムに画像を記録する場合に適用される裏蓋と、CCDなど撮像素子により画像を撮像する場合に適用される裏蓋が、別々に用意される。図1では、銀塩フィルムへの画像記録用の裏蓋が、カメラ本体に取り付けられている。
【0016】
撮影光学系11は複数のレンズ(図示せず)および絞り(図示せず)により構成され、カメラ本体10に着脱可能である。カメラ本体10には、フィルム用裏蓋U1が取り付けられており、フィルム用裏蓋U1の内側には、銀塩フィルムFを圧接するための圧板19が設けられている。図1では、撮影光学系11の光軸Eが一点鎖線で示してあり、光軸Eに沿ってフィルム用裏蓋U1側を後方、撮影光学系11側を前方とする。
【0017】
カメラ本体10内には、光軸Eの経路を選択的に変更させるクイックリターンミラー12が設けられており、撮影光学系11の後方に配置される。クイックリターンミラー12は、傾斜した位置(以下、ダウン位置という)から、2点鎖線で示した水平位置(以下、アップ位置という)の範囲において、回動することができる。シャッタ17が作動しない間(銀塩フィルムFが露光されない間)、クイックリターンミラー12はダウン位置に置かれるが、シャッタ17が作動する場合、クイックリターンミラー12はダウン位置からアップ位置まで回転させられ(跳ね上げられ)、所定時間だけアップ位置の状態で止められる。
【0018】
撮影動作が実行されない場合、被写体Mにより反射した光は、撮影光学系11を通って収束し、クイックリターンミラー12によりピント板13の方向に導かれる。すなわち、撮影光学系11により形成された被写体像は、クイックリターンミラー12の上方に設けられたピント板13に結像され、ペンタプリズム14、ファインダ15を介して撮影者によって観察される。このとき、観察される被写体像のピントは、銀塩フィルムFの露光面における被写体像のピントに対応しており、観察される被写体像が合焦している場合、鮮明な被写体像が銀塩フィルムFに記録される。
【0019】
クイックリターンミラー12の光軸Eに沿った後方には、シャッタ17が配置されている。このシャッタ17は、先幕、後幕が連動して上下方向に移動する、いわゆるフォーカルプレーンシャッタである。シャッタ17の後方には、銀塩フィルムFの露光面の位置Rを規定する圧板19がフィルム用裏蓋U1に取り付けられている。この圧板19により規定される銀塩フィルムFの露光面の位置Rに、撮影光学系11による被写体像の結像面の位置が定められる。
【0020】
カメラ本体10の横方向(左右方向)に沿った圧板19の両側には、銀塩フィルムFの給送を案内するためのスプロケット(図示せず)が1つずつ配置されており、銀塩フィルムFとスプロケットが係合することによって、銀塩フィルムFが裏蓋U1の内側に備えられた圧板19に圧接される。
【0021】
なお、フィルム用裏蓋U1の一端は、カメラ本体10に枢着され、これによりフィルム用裏蓋U1が開閉可能となる。
【0022】
カメラ本体10の上部には、レリーズスイッチ(図示せず)が設けられており、レリーズスイッチが全押しされると、クイックリターンミラー12はアップ位置まで移動し、この移動に連動してシャッタ17が所定時間開放させられる。これにより、撮影光学系11により形成された被写体像は、銀塩フィルムFの露光面において結像される。
【0023】
銀塩フィルムFはロール状になってパトローネ(図示せず)に収納され、パトローネはカメラ本体10内の一方の片側位置に設けられたパトローネ室(図示せず)に格納される。パトローネから引き出された銀塩フィルムFは、圧板19の両側に配置されたスプロケットおよび一対のガイド片19aにより規定される銀塩フィルムFの移動通路を通り、カメラ本体10内のもう一方の片側位置に設けられた巻取りスプール(図示せず)に巻取られる。銀塩フィルムFが収容されたパトローネがカメラ本体10内に装填され、撮影動作が順次実行されると、銀塩フィルムFは2つのスプロケットおよび一対のガイド片19aにより案内されながら給送され、巻取りスプールによって順次巻き取られる。
【0024】
クイックリターンミラー12の下方には、自動焦点調節のために用いられるAF(自動焦点)ユニット30が配置されており、AFユニット30には、光学レンズ31および32と、ミラー33、そして受光素子が並べられたライセンサ34が設けられている。クイックリターンミラー12の背面には、サブミラー16が設けられており、ハーフミラーの性質を有するクイックリターンミラー12がダウン位置にある場合、撮影光学系11を通過した光はサブミラー16において反射し、AFユニット30のある下方へ導かれる。そして、AFユニット30に入った光は、光学レンズ31、32により集光され、ミラー33を介してライセンサ34の受光面に導かれる。これにより、被写体Mとカメラ本体10との距離が測定され、焦点距離が調整される。このような自動焦点調節は、レリーズスイッチが半押し状態になることで実行される。
【0025】
なお、レリーズスイッチが半押し状態となると、ファインダ15内に設けられた測光用受光素子(図示せず)により被写体Mの明るさが計測され、これにより銀塩フィルムFに対する適正露光量が定められる。
【0026】
図2は、フィルム用裏蓋U1を上から見た図である。また、図3は、圧板19を横から見た図である。
【0027】
フィルム用裏蓋U1の内側には、圧板19が取り付けられており、圧板19の表面19sには、銀塩フィルムFの露光面の位置Rを規定するための一対のガイド片19a(図3参照)が銀塩フィルムFの高さに対応するように形成されている。この圧板19は、銀塩フィルムFを圧板19に圧接させた時に銀塩フィルムFの露光面の位置Rが被写体像の結像面の位置と一致するようにフィルム用裏蓋U1に取り付けられており、圧板19の表面19sの位置Yは、図3に示すように、銀塩フィルムFの露光面の位置Rより銀塩フィルムFの厚さdFだけ後方にある。
【0028】
図2に示すように、銀塩フィルムの1画面分の露光面の領域(以下、記録領域という)における横幅Bは、圧板19の左右方向の長さ19Eよりも小さい。本実施形態では、撮影光学系11を通った光を銀塩フィルムFの記録領域だけ通すためのアパ−チャ−(窓)が形成された枠部材をシャッタ17の後方に設けていないが、シャッタ17の前方にあるクイックリターンミラー12が設けられた空間の光軸Eに垂直な平面領域が銀塩フィルムFの記録領域と等しいため、圧板19の表面19sにおいて銀塩フィルムFの記録領域以外に到達する光は、考慮しなくてよい。
【0029】
図4は、銀塩フィルムFがカメラ本体10に装填されているときのカメラ本体10の内部構成を上から見た図である。
【0030】
図4に示すように、パトローネPTから引き出された銀塩フィルムFは、スプロケットS1と係合し、ガイド片19aに案内される給送通路に沿うように圧板19に圧接し、さらに、スプロケットS2と係合して巻取りスプールMTに巻き取られる。このとき、銀塩フィルムFの裏面(露光面の反対側の面)が圧板19と圧接する。スプロケットS1とスプロケットS2は、光軸Eから同じ距離だけ離れ、また、光軸Eを中心線として対称的な位置に配置されている。
【0031】
銀塩フィルムFには、銀塩フィルムFを巻取りスプールMTへ給送させるためのパーフォレーション(図示せず)が上下両端に設けられており、その一端(上部側)のパーフォレーションがスプロケットS1に設けられた突起部K1と係合している。なお、スプロケットS1、S2は、カメラ本体10側に取り付けられており、スプロケットS1、S2の下部には、カメラ本体10とスプロケットS1、S2を繋ぐ部材(図示せず)が形成されている。
【0032】
図5は、スプロケットS1の斜視図である。
【0033】
スプロケットS1は、軸Uを中心に回転し、突起部K1が設けられた円板SHの位置は、銀塩フィルムFの上部側のパーフォレーションPの位置に対応する。突起部K1は、円板SHの円周上において90度間隔で形成されており、円周上で位置ωにある突起部K1が、パーフォレーションPと係合する。このとき、突起部K1は、銀塩フィルムFの露光面側からパーフォレーションPと係合する。
【0034】
銀塩フィルムFが巻き取りスプールMT側に向けて給送されることによってスプロケットS1(突起部K1)が軸Uを中心に回転(図から見て反時計回り)すると、パーフォレーションPと係合している位置ωにある突起部K1がスプロケットS1の回転により移動し、新たに位置ωに移動した突起部K1が銀塩フィルムFのパーフォレーションPと係合する。銀塩フィルムFが給送される間(スプロケットS1が回転している間)、銀塩フィルムFのパーフォレーションPは、位置ωにある突起部K1と次々と係合し、これにより銀塩フィルムFが次々と巻き取りスプールMT側に移動する。このとき、銀塩フィルムFは圧板19と摺接している。
【0035】
スプロケットS2は、スプロケットS1と同じ形状であり、突起部K2が銀塩フィルムFのパーフォレーションPと係合する。
【0036】
図6は、スプロケットS1、S2と圧板19との位置関係を示した図である。
【0037】
スプロケットS1の突起部K1は、銀塩フィルムFの露光面側(以下、表面側という)からパーフォレーションPと係合するため、スプロケットS1は、銀塩フィルムFの表面より前方に位置する。そして、突起部K1が銀塩フィルムFのパーフォレーションPと係合する係合部Λの位置Xは、圧板19の表面19sの位置Yよりも後方にある。この係合部Λの位置Xは、スプロケットS2の突起部K2とパーフォレーションPが係合する係合部σの位置でもある。
【0038】
銀塩フィルムFとスプロケットS1、S2との係合部Λ、σの位置Xが圧板19の表面19sの位置Yよりも後方にあり、かつ、パトローネPTおよび巻取りスプールMTがスプロケットS1、S2の位置よりも前方に配置されているため、銀塩フィルムFは、弛むことなくまっすぐに伸びた状態でガイド片19aにより規定された給送通路において圧板19により圧接される。
【0039】
このように、本実施形態では、アパ−チャ−が形成され、かつ銀塩フィルムFの給送通路を規定するフィルムガイド部材をカメラ本体10内に設けない代わりに、銀塩フィルムFを2つのスプロケットS1、S2に係合させることにより、銀塩フィルムFを圧板19に圧接させ、これにより銀塩フィルムFの露光面の位置Rを規定する。
【0040】
図7は、フィルム用裏蓋U1をカメラ本体10に取り付けた時に作動する主な電気的回路を示した図である。
【0041】
システムコントロール回路40は、内部に演算処理用のCPU(図示せず)を有しており、カメラ本体10の全体的制御を行う。
【0042】
システムコントロール回路40には、電源スイッチ49、レリーズ半押スイッチ50、レリーズ全押スイッチ51、フィルムバック検出回路48が接続されている。レリーズ半押スイッチ50とレリーズ全押スイッチ51は、カメラ本体10の上部に設けられたレリーズスイッチの押下状態を検出するためのスイッチであり、また、フィルムバック検出回路48は、フィルム用裏蓋U1がカメラ本体10に装着されたことを検出するための回路である。電源スイッチ49がON状態となり、銀塩フィルムFがカメラ本体10に装填され、フィルム用裏蓋U1がカメラ本体10に装着されると、銀塩フィルムFに被写体Mの画像を記録することが可能となり、レリーズスイッチが全押しされると、撮影光学系11を通った被写体像は、シャッタ17の開放により銀塩フィルムFに記録される。なお、システムコントロール回路40には、電源回路52が接続されている。
【0043】
測光回路46では、被写体Mの明るさが、図1に示したファインダ15内の受光素子により検出された光量に基づいて測定される。そして、測定された明るさに基づいて適正な露光量が求められ、シャッタ17のシャッタスピードおよび絞りZの絞り値が定められる。測距回路47では、被写体Mとカメラ本体10との距離が、AFユニット30(図1参照)によって検出された距離データに基づいて測定される。そして、測定された距離に基づき、撮影光学系11内に設けられたレンズが、レンズ駆動回路42により駆動される。このような測光、測距は、レリーズ半押スイッチ50がON状態になると実行される。
【0044】
シャッタ17は、シャッタ駆動回路44により駆動され、また、絞りZも、絞り駆動回路53により絞られる。シャッタ17の駆動および絞りZの駆動は、レリーズ全押スイッチ51がON状態になることで実行され、このとき、絞りZは、測光に基づいて定められた絞り値に応じて駆動され、また、シャッタ17も、測光に基づいて定められたシャッタスピードに応じて駆動される。ストロボ回路45では、ストロボの発光制御が行われる。
【0045】
コマ数検出回路54では、銀塩フィルムFのパーフォレーションを計数することによって銀塩フィルムFの給送量が検出される。また、フィルム感度検出回路55では、銀塩フィルムFの感度が検出される。フィルム巻上げ巻戻し駆動回路43では、銀塩フィルムFの巻上げや巻戻しが制御される。
【0046】
図8は、本実施形態で適用される撮像素子を正面から見た平面図である。また、図9は、撮像素子を横から見た図であり、部分的に撮像素子の内部を示している。図8、図9を用いて、撮像素子の受光面の位置について説明する。
【0047】
図8では、本実施形態で適用される固体撮像素子であるCCD41が示されており、光電変換素子が配設されたセンサ(受光面)Cに光が当たると、光電変換により画像信号が発生する。センサCの画像形成領域(斜線部)Hは、銀塩フィルムFの記録領域と等しくなるように形成されている。
【0048】
一般に、CCD41など固体撮像素子には、センサCを保護するため、無色透明なカバーガラスGがセンサCの上へ被せられる。そのため、CCD41の寸法は、銀塩フィルムFの記録領域よりも大きくなる。
【0049】
図9に示すように、CCD41の受光面側の表面は、センサCを覆うカバーガラスGにより形成されており、また、センサCとカバーガラスGの間には空気の層Aが形成されている。したがって、CCD41の厚さDは、カバーガラスGおよびセンサCの厚みと、空気の層Aを合わせた厚さとなる。なお、CCD41の裏側には、回路基板にCCD41を配設するためのピンPNが並んで取り付けられている。
【0050】
このように、CCD41の厚さDは、銀塩フィルムFの厚さに比べて大きく、センサCは、CCD41の撮影光学系11側の表面ではなく、CCD41の内部に位置する。すなわち、CCD41の受光面であるセンサCは、CCD41の表面から光軸に沿って後方に位置する。
【0051】
本実施形態では、アパーチャーが形成されるフィルムガイド部材がシャッタ17の後方に設けられていないため、CCD41を収容できる収容領域がシャッタ17の後方に形成されており、CCD41の表面の位置を銀塩フィルムFの露光面の位置よりも前方に出して銀塩フィルムFの露光面の位置RとCCD41のセンサCの位置が一致するように、CCD41が配置される。
【0052】
図10は、撮像素子が備えられた裏蓋を取り付けた時のカメラの内部構成を示した図であり、撮像素子が配置されていること以外に関しては、図1に示したカメラの内部構成と同じである。
【0053】
CCD41の後方には、ピンPNがハンダ付けされている回路基板CTが設けられており、固定ねじ(図示せず)がこの回路基板CTを介して撮像用裏蓋U2の内側に設けられたねじ穴(図示せず)に嵌められる。これにより、CCD41が撮像用裏蓋U2に固定される。
【0054】
シャッタ17の後方には、CCD41が収容できる撮像素子収容領域が形成されており、撮像用裏蓋U2がカメラ本体10に装着されると、CCD41のセンサCの位置は、銀塩フィルムFの露光面の位置R、すなわち被写体像の結像面の位置と一致する。
【0055】
撮像用裏蓋U2の表側には、液晶表示装置であるLCD(図示せず)が設けられており、撮像した被写体像が表示される。カメラ本体10の上部には、モード選択ダイヤル(図示せず)が設けられ、モード選択ダイヤルの操作により、例えば、絞り優先モード、シャッタ優先モード、および再生モードなどが選択される。さらに、カメラ本体10の上部には、アップスイッチ、ダウンスイッチ(両方とも図示せず)が設けられており、例えば、絞り優先モードにおける絞り値がアップスイッチ、ダウンスイッチの操作により選択される。
【0056】
図11は、2つの裏蓋U1、U2をそれぞれカメラ本体10に装着した時の被写体像の結像面の位置を示した図である。
【0057】
図11に示すように、フィルム用裏蓋U1がカメラ本体10に装着された場合には、銀塩フィルムFが圧板19に圧接され、撮像用裏蓋U2がカメラ本体10に装着された場合には、CCD41が撮像素子収容領域に配置される。これにより、銀塩フィルムFの露光面およびCCD41のセンサC(受光面)の位置が、被写体像の結像面の位置と一致する。
【0058】
図12は、撮像用裏蓋U2をカメラ本体10に装着した時に作動する主な電気的回路を示したブロック図である。CCD41が配設された回路基板CTは、撮像用裏蓋U2がカメラ本体10に装着されると、カメラ本体10内の回路基板(図示せず)と接続される。
【0059】
システムコントロール回路40には、電源スイッチ49、レリーズ半押スイッチ50、レリーズ全押スイッチ51の他に、アップスイッチ54、ダウンスイッチ55、選択モード検出回路56、デジタルバック検出回路57が接続されている。モード選択検出回路56では、モード選択ダイヤルの操作により選択されたモードが検出される。また、デジタルバック検出回路57では、撮像用裏蓋U2のカメラ本体10への装着が検出される。
【0060】
撮像用裏蓋U2がカメラ本体10に装着された状態で撮像動作が実行されると、被写体像はCCD41のセンサCにおいて結像され、これに応じた画像信号が光電変換により発生する。CCD41は、CCD駆動回路60により制御され、1画面分の画像信号が、CCD駆動回路60により読み出される。CCD41から読み出された画像信号は、相関二重サンプリング回路(CDS)61においてリセット雑音が除去され、A/D変換62においてアナログ信号からデジタル信号に変換される。
【0061】
デジタル化された画像信号は、信号処理回路63に送られる。信号処理回路63では、様々な画像処理、例えばガンマ補正や輪郭補正処理が施され、処理された画像信号はシステムコントロール回路40を介してフィールドメモリ70に送られる。これにより、1画面分の画像信号が一時的にフィールドメモリ70に格納される。
【0062】
一時的にフィールドメモリ70に格納された画像信号は、再びシステムコントロール回路40に送られ、圧縮処理される。圧縮された画像信号は、フラッシュメモリ72に画像データとして格納される。なお、フィールドメモリ70に対する画像信号の書き込みおよび読み出しの制御は、フィールドメモリコントローラ67により行われ、また、フラッシュメモリ72に対する画像信号の書き込みおよび読み出しの制御は、フラッシュメモリコントローラ71により行われる。
【0063】
モード選択ダイヤルにより再生モードが選択され、LCD66に記録された画像を再生する場合、格納された画像データがフラッシュメモリ72から読み出され、システムコントロール回路40において伸張処理され、一時的にフィールドメモリ70に送られる。フィールドメモリ70に一時的に格納された画像信号は、システムコントロール回路40を介してD/A変換器64に送られ、デジタル信号からアナログ信号に変換される。
【0064】
アナログ化された画像信号は、LCD駆動回路65において所定の処理が施され、その画像信号に基づいて電圧がLCD66に対して印加されることでLCD66が駆動される。そして、バックライト69が点灯されることにより、LCD66に被写体像が再生表示される。バックライト69の点灯は、バックライト駆動回路68により制御される。
【0065】
タイミングジェネレータ58は、システムコントロール回路40の制御に基づき、CCD駆動回路60、CDS61、A/D変換機33、信号処理回路63、D/A変換機64、LCD駆動回路65、フィールドメモリコントローラ67に対してサンプルパルスなどを出力し、これらの動作制御を行う。
【0066】
図13は、撮影動作および撮像動作の手順を示したフローチャートである。フィルム用裏蓋U1もしくは撮像用裏蓋U2がカメラ本体10に装着されると、撮影動作もしくは撮像動作が開始される。
【0067】
ステップ101では、カメラ本体10に撮像用裏蓋U2が装着されたか否かが判定される。すなわち、撮像用裏蓋U2がカメラ本体10に取りつけられ、閉じた状態であるか否かが判定される。
【0068】
ステップ101において、撮像用裏蓋U2が装着されず、フィルム用裏蓋U1が装着されたと判断された場合、ステップ102に移る。ステップ102では、撮影動作を実行するようにシステムコントロール回路40が設定され、ステップ103に移る。ステップ103では、レリーズスイッチが半押しされてレリーズ半押スイッチ50がON状態であるか否かが判定される。レリーズ半押スイッチ50がON状態であると判断されると、ステップ104に移る。レリーズ半押スイッチ50がON状態ではないと判断された場合、レリーズ半押スイッチ50がON状態になるまで繰り返しステップ103が実行される。
【0069】
ステップ104では、被写体の明るさおよび被写体までの距離が、測距回路46、および測光回路57により測定される。そして、測定された明るさに基づいて絞り値およびシャッタスピードが定められ、測定された距離に基づいて自動焦点調整が実行される。測光および自動焦点調整が実行されると、ステップ105に移る。
【0070】
ステップ105では、レリーズスイッチの半押しが解除され、レリーズ半押スイッチ50がOFF状態であるか否かが判定される。レリーズ半押スイッチ50がOFF状態であると判断されると、ステップ103に戻る。レリーズ判押スイッチ50がOFF状態ではないと判断された場合、ステップ106に移る。
【0071】
ステップ106では、レリーズスイッチが全押しされ、レリーズ全押スイッチ51がON状態であるか否かが判定される。レリーズ全押スイッチ51がON状態であると判断されると、ステップ107に移る。レリーズ全押スイッチ51がON状態ではないと判断された場合、ステップ105に戻る。
【0072】
ステップ107では、絞りZがステップ104により定められた絞り値まで絞り込まれ、また、シャッタ17がステップ104により定められた時間だけ開放される。このような絞りZとシャッタ17の駆動により、銀塩フィルムFが露光される。このとき、銀塩フィルムFの露光面の位置は被写体像の結像面の位置と一致しており、ピントの合った被写体像が銀塩フィルムFに記録される。被写体像が銀塩フィルムFに記録されると、ステップ108に移る。
【0073】
ステップ108では、銀塩フィルムFがフィルム巻上げ巻戻し回路43により給送され、銀塩フィルムFが給送されると、一連の撮影動作は終了する。
【0074】
ステップ101において、撮像用裏蓋U2がカメラ本体10に装着されたと判断されると、ステップ109に移る。ステップ109では、撮像動作が実行されるようにシステムコントロール回路40が設定され、ステップ110に移る。
【0075】
ステップ110〜114の実行は、ステップ103〜107の実行と同じである。すなわち、レリーズスイッチが半押しされると測距、測光が行われ、レリーズスイッチが全押しされるとCCD41が露光され、これにより被写体像に応じた画像信号が得られる。このとき、CCD41のセンサ(受光面)Cの位置は、被写体像の結像面の位置と一致しており、被写体像がCCD41のセンサC上において結像される。そして、ステップ115では、画像信号がCCD41から読み出され、システムコントロール回路40において圧縮される。圧縮された画像信号は、フラッシュメモリ72に画像データとして格納される。被写体像が画像データとしてフラッシュメモリ72に格納されると、一連の撮像動作は終了する。
【0076】
このように本実施形態によれば、銀塩フィルムFに被写体像を記録する場合、銀塩フィルムFが圧板19に圧接されることで銀塩フィルムFの露光面の位置が規定される。これにより、銀塩フィルムFの露光面の位置を規定するためのフィルムガイド部材をカメラ本体10内に設ける必要がなくなり、代わりにCCD41が収容できる撮像素子収容領域がシャッタ17の後方に形成され、撮像時においてCCD41のセンサCの位置を被写体像の結像面の位置と一致させることができる。よって、銀塩フィルムFに対する撮影動作およびCCD41による撮像動作どちらを実行しても、合焦した被写体像が記録される。
【0077】
従来使用されている銀塩フィルム用の一眼レフ型カメラにフィルムガイド部材を取り外して2つのスプロケットを設ける構成であるため、今まで製造された一眼レフカメラの構成、機構を大きく変更することなく、一眼レフ型の銀塩デジタルスチル両用カメラを製造することができる。
【0078】
なお、一眼レフ型の銀塩デジタルスチル両用カメラだけでなく、コンパクト型の銀塩デジタルスチル両用カメラに対しても、本実施形態のようなフィルムガイド部材18を設ける構成を適用してもよい。
【0079】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、銀塩フィルムの露光面および撮像素子の受光面の位置と被写体像の結像面の位置を容易に一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルム用裏蓋が装着された一眼レフ型カメラの内部構成を示した図である。
【図2】フィルム用裏蓋を上から見た図である。
【図3】圧板を横から見た図である。
【図4】銀塩フィルムが装填された時のカメラの内部構成を上から見た図である。
【図5】スプロケットを示した斜視図である。
【図6】スプロケットと圧板の表面の位置関係を示した図である。
【図7】カメラの電気的回路を示したブロック図である。
【図8】撮像素子を正面から見た平面図である。
【図9】撮像素子を横から見た図である。
【図10】撮像用裏蓋が装着された一眼レフ型カメラの内部構成を示した図である。
【図11】被写体像の結像面の位置を示した図である。
【図12】カメラの電気的回路を示したブロック図である。
【図13】撮影動作および撮像動作の手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
11 撮影光学系
19 圧板
19s 圧板の表面
41 CCD(撮像素子)
72 フラッシュメモリ(メモリ)
C センサ(受光面)
E 光軸
F 銀塩フィルム
S1 スプロケット
S2 スプロケット
R 露光面の位置
X 係合部の位置
Y 圧板の表面の位置
U1 フィルム用裏蓋
U2 撮像用裏蓋
Claims (10)
- 撮影光学系を介して銀塩フィルムに被写体像を記録するための撮影動作を制御する撮影動作制御手段と、
前記撮影光学系を介して撮像素子に形成される被写体像に応じた画像信号を光電変換により発生させる撮像動作を制御する撮像動作制御手段と、
前記銀塩フィルムの露光面の位置をフィルム用裏蓋に備えられた圧板により規定する露光面規定手段とを備え、
前記撮影光学系の後方に前記撮像素子を配置するための撮像素子収容領域が形成され、
前記フィルム用裏蓋をカメラ本体に装着した時、前記露光面規定手段が前記銀塩フィルムの露光面の位置を規定することによって、前記銀塩フィルムの露光面の位置が前記撮影光学系による被写体像の結像面の位置と一致し、また、前記フィルム用裏蓋を前記カメラ本体から取り外して前記撮像素子を前記撮像素子収容領域に配置することによって、前記撮像素子の受光面の位置が前記被写体像の結像面の位置と一致し、
前記銀塩フィルムの記録領域より大きい寸法を有してその内部に受光面を有するフィルム記録領域保有撮像素子に対し、その表面位置を前記結像面の位置よりも前方に出すことが可能となるように、前記撮像素子収容領域が形成されており、
前記圧板が、前記フィルム用裏蓋を前記カメラ本体に装着した時に前記圧板の表面が前記撮像素子収容領域内において前記銀塩フィルムの露光面の位置よりも前記銀塩フィルムの厚さ分だけ後方に位置決めされるように、前記フィルム用裏蓋の内側に取り付けられ、
前記露光面規定手段が、前記銀塩フィルムの装着状態で前記フィルム用裏蓋を前記カメラ本体に装着させた時に位置決めされた前記圧板に向けて前記銀塩フィルムの裏面を圧接させることを特徴とするカメラ。 - 撮像素子が内側に取り付けられた撮像用裏蓋と、圧板が内側に取り付けられたフィルム用裏蓋とが選択的に装着されるカメラ本体と、
前記銀塩フィルムの露光面の位置を規定する露光面規定手段とを備え、
撮影光学系の後方に前記撮像素子を配置するための撮像素子収容領域が形成され、
前記フィルム用裏蓋をカメラ本体に装着した時、前記露光面規定手段が前記銀塩フィルムの露光面の位置を規定することによって、前記銀塩フィルムの露光面の位置が前記撮影光学系による被写体像の結像面の位置と一致し、
前記撮像用裏蓋を前記カメラ本体に装着した時に前記撮像素子の受光面の位置が前記被写体像の結像面の位置と一致するように、前記撮像素子が前記撮像用裏蓋に取り付けられ、
前記銀塩フィルムの記録領域より大きい寸法を有してその内部に受光面を有するフィルム記録領域保有撮像素子に対し、その表面位置を前記結像面位置よりも光軸に沿って前方に出すことが可能となるように、前記撮像素子収容領域が形成されており、
前記圧板が、前記フィルム用裏蓋を前記カメラ本体に装着した時に前記圧板の表面が前記撮像素子収容領域内において前記銀塩フィルムの露光面の位置よりも前記銀塩フィルムの厚さ分だけ後方に位置決めされるように、前記フィルム用裏蓋の内側に取り付けられ、
前記露光面規定手段が、前記銀塩フィルムの装着状態で前記フィルム用裏蓋を前記カメラ本体に装着させた時、位置決めされた前記圧板に向けて前記銀塩フィルムの裏面を圧接させることを特徴とするカメラ。 - 前記圧板が、前記圧板の表面に形成され、前記銀塩フィルムの給送通路を規定する一対のガイド部材を有することを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかに記載のカメラ。
- 前記露光面規定手段が、前記銀塩フィルムの記録領域を遮らないように前記圧板の両側に2つのスプロケットを有し、前記銀塩フィルムを前記スプロケットと係合させることにより、前記銀塩フィルムを前記圧板に圧接させることを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかに記載のカメラ。
- 前記スプロケットが、前記銀塩フィルムの露光面側から前記銀塩フィルムと係合し、その係合部分の位置が、前記圧板の表面の位置よりも後方にあることを特徴とする請求項4に記載のカメラ。
- 前記撮像素子が撮像用裏蓋に備えられ、かつ、前記撮像用裏蓋を前記カメラ本体に装着した時に前記撮像素子の表面の位置が前記銀塩フィルムの露光面の位置と一致するように、前記撮像用裏蓋の内側に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
- 表面に銀塩フィルムの給送通路を規定する一対のガイド部材を有する圧板が内側に取り付けられたフィルム用裏蓋と、
撮像素子が内側に取り付けられた撮像用裏蓋と、
撮影光学系の後方に前記撮像素子を配置するための撮像素子収容領域が形成され、前記フィルム用裏蓋と前記撮像用裏蓋とが選択的に装着されるカメラ本体と、
前記銀塩フィルムの記録領域を遮らないように前記圧板の両側に設けられた2つのスプロケットとを備え、
前記スプロケットが、前記銀塩フィルムの露光面側から前記銀塩フィルムと係合するとともにその係合部分の位置が前記圧板の表面の位置よりも後方にあるように、前記カメラ本体内に配置され、
前記銀塩フィルムの記録領域より大きい寸法を有してその内部に受光面を有するフィルム記録領域保有撮像素子に対し、その表面位置を前記結像面位置よりも前方に出すことが可能となるように、前記撮像素子収容領域が形成されており、
前記フィルム用裏蓋をカメラ本体に装着した時、前記圧板が前記銀塩フィルムの露光面の位置を規定することによって、前記銀塩フィルムの露光面の位置が前記撮影光学系による被写体像の結像面の位置と一致し、
前記撮像用裏蓋を前記カメラ本体に装着した時に前記撮像素子の受光面の位置が前記被写体像の結像面の位置と一致するように、前記撮像素子が前記撮像用裏蓋に取り付けられていることを特徴とするカメラ。 - 撮影光学系の後方に撮像素子を配置するための撮像素子収容領域が形成され、
表面に銀塩フィルムの給送通路を規定する一対のガイド部材を有する圧板が内側に取り付けられたフィルム用裏蓋と、前記撮像素子が内側に取り付けられた撮像用裏蓋とが選択的に装着されるカメラ本体であって、
前記銀塩フィルムの記録領域を遮らないように前記圧板の両側に設けられた2つのスプロケットを備え、
前記スプロケットが、前記銀塩フィルムの露光面側から前記銀塩フィルムと係合するとともにその係合部分の位置が前記圧板の表面の位置よりも後方にあるように、前記カメラ本体内に配置され、
前記銀塩フィルムの記録領域より大きい寸法を有してその内部に受光面を有するフィルム記録領域保有撮像素子に対し、その表面位置を前記結像面位置よりも前方に出すことが可能となるように、前記撮像素子収容領域が形成されており、
前記フィルム用裏蓋を装着した時、前記圧板が前記銀塩フィルムの露光面の位置を規定することによって、前記銀塩フィルムの露光面の位置が前記撮影光学系による被写体像の結像面の位置と一致し、
前記撮像用裏蓋を装着した時に前記撮像素子の受光面の位置が前記被写体像の結像面の位置と一致するように、前記撮像素子が前記撮像用裏蓋に取り付けられていることを特徴とするカメラ本体。 - 撮影光学系を介して銀塩フィルムに被写体像を記録するための撮影動作を制御する撮影動作制御手段と、
前記撮影光学系を介して撮像素子に形成される被写体像に応じた画像信号を光電変換により発生させる撮像動作を制御する撮像動作制御手段と、
前記銀塩フィルムの露光面の位置をフィルム用裏蓋に備えられた圧板により規定する露光面規定手段とを備え、
前記撮影光学系の後方に前記撮像素子を配置するための撮像素子収容領域が形成され、
前記露光面規定手段により前記銀塩フィルムの露光面の位置を規定することによって、前記銀塩フィルムの露光面の位置が前記撮影光学系による被写体像の結像面の位置と一致し、また、前記撮像素子を前記撮像素子収容領域に配置することによって、前記撮像素子の受光面の位置が前記被写体像の結像面の位置と一致し、
前記露光面規定手段が、前記銀塩フィルムの記録領域を遮らないように前記圧板の両側に2つのスプロケットを有し、前記フィルム用裏蓋を装着したときに前記圧板の表面が前記儀に塩フィルムの露光面の位置よりも前記銀塩フィルムの厚さ分だけ後方に配置され、前記銀塩フィルムを前記スプロケットと係合させることにより、前記銀塩フィルムを前記圧板に圧接させて前記銀塩フィルムの露光面の位置を規定することを特徴とすることを特徴とするカメラ。 - 撮影光学系を介して銀塩フィルムに被写体を記録するための撮影動作を制御する撮影動作制御手段と、
前記撮影光学系を介して撮像素子に形成される被写体像に応じた画像信号を光電変換により発生される撮像動作を制御する撮像動作制御手段と、
前記銀塩フィルムの露光面の位置をフィルム用裏蓋に備えられた圧板により規定する露光面規定手段とを備え、
前記撮影光学系の後方に前記撮像素子を配置するための撮像素子収容領域が形成され、
前記撮影光学系を通った光を前記銀塩フィルムの記録領域のみ通すアパーチャーが形成される枠部材が前記銀塩フィルムの結像面の位置を含む前記撮像素子収容領域に設けられず、
前記露光面規定手段が、前記フィルム用裏蓋をカメラ本体に装着した時、前記銀塩フィルムの裏面を前記圧板に向けて圧接することにより前記銀塩フィルムの露光面の位置を規定して、前記銀塩フィルムの露光面の位置を前記撮影光学系による被写体像の結像面の位置と一致させ、
前記フィルム用裏蓋を前記カメラ本体から取り外して前記撮像素子を前記撮像素子収容領域に配置することによって、前記撮像素子の受光面の位置が前記被写体像の結像面の位置と一致することを特徴とするカメラ。
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