JP3615648B2 - 光ファイバ用接続部材及びその製造方法 - Google Patents

光ファイバ用接続部材及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信の分野において、光ファイバ同士を接続する光コネクタや、光ファイバと各種光素子とを接続する光モジュール等に使用される光ファイバ用接続部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より光コネクタや光モジュールには、光ファイバを保持するための接続部材が用いられる。例えば、図5に示すように、接続部材1は、軸方向の挿入孔11を有するジルコニアセラミックス製のフェルール10の後端部に、貫通孔21を有する樹脂製又は金属製のバックボディ20を接合してなるものである。また、この接続部材1は、一般的な製造方法でフェルール10とバックボディ20を別々に作製した後、両者を接着剤等で接合したものである。
【0003】
そして、バックボディ20の貫通孔21側から光ファイバ2を挿入し、フェルール10の挿入孔11に挿入して先端面を同一とした状態とし、また光ファイバ2の被覆部2aはバックボディ20の貫通孔21内に挿入した状態で、接着剤等により固定保持するようになっている。なお、この時、光ファイバ2の挿入を容易にするために、フェルール10の挿入孔11の後端部はテーパ孔14としてある。
【0004】
このような一対の接続部材1のフェルール10の先端面同士を当接させれば光コネクタとすることができ、またレーザダイオードやフォトダイオード等の光素子を収納したケーシングに上記接続部材1を配置して光モジュールとすることができる。
【0005】
ところで、このような接続部材1では、光ファイバ2の挿入を容易にするために、フェルール10にテーパ孔14を形成する必要があるが、フェルール10は硬度の高いセラミックスからなるため、このようなテーパ孔14の加工は手間がかかるものであった。
【0006】
そこで、フェルール10側にはテーパ孔を形成せず、加工の容易なバックボディ20側にテーパ孔を形成することを本件出願人は提案した(特開平9−68625号公報参照)。
【0007】
これは、図6に示すように、フェルール10側にはテーパ孔を形成せずに、後端面の口縁を曲面部12としておき、一方、バックボディ20側の貫通孔21を大径孔22とテーパ孔23と小径孔24により形成したものである。
【0008】
この接続部材1では、金属製又は樹脂製のバックボディ20側にテーパ孔23を加工すれば良いことから製造が容易となる。また、挿入した光ファイバ2はバックボディ20側のテーパ孔23で案内され、滑らかに挿入することができ、しかもフェルール10の挿入孔11の後端面の口縁は曲面部12となっているため光ファイバ2に傷をつけることを防止できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図6に示す構造の接続部材1では、フェルール10の曲面部12とバックボディ20の小径孔24が連続しておらず、両者の間に隙間19が存在している。しかも、光ファイバ2を挿入する場合、バックボディ20の小径孔24からフェルール10の挿入孔11に向かって光ファイバ2が挿入される際に、挿入孔11と光ファイバ2の中心が若干ずれていることが考えられる。このような時でも滑らかに挿入できるように、フェルール10の挿入孔11の後端部に備える曲面部12の曲率半径Rは0.2〜0.5mm程度が必要であった。
【0010】
一方、上記のような接続部材1において、フェルール10を細くすることが求められている。具体的には、フェルール10の直径は従来2.5mm程度であったが、近年、直径1.25mmの細径型接続部材が提案され、広く使用されつつある。
【0011】
ところが、このような要求に従って、図6に示すような構造の接続部材1におけるフェルール10の直径を細くしようとすると、これに合わせて挿入孔11の曲面部12の曲率半径Rも小さくする必要があり、その結果、光ファイバ2を滑らかに挿入しにくくなるという問題があった。
【0012】
また、製造工程上からも、上記曲面部12の曲率半径Rを小さくすることが好ましく、曲率半径Rの小さな曲面部12で充分滑らかに光ファイバ2を案内できるような接続部材1が求められている。
【0013】
これに対し、セラミックス製のフェルール10の後端部に樹脂製のバックボディ20をモールド成形で一体的に形成することも考えられている。これは、図7(a)に示すように、キャビティ32aを有する金型32、33内にフェルール10を保持し、一方、先端にテーパ部31aを有するコアピン31をフェルール10の挿入孔11の端部に挿入し、テーパ部31aを曲面部12に当接させ、両者が当接する方向に加圧した状態で、キャビティ部32aに樹脂を充填してモールド成形することによって接続部材1を作製するものである。
【0014】
このようにして得られた接続部材1では、図7(b)に示すようにフェルール10の曲面部12に連続してバックボディ20のテーパ孔23が形成されることになり、曲面部12の曲率半径Rを小さくしても光ファイバ2を滑らかに挿入することが可能となる。
【0015】
しかし、図7に示す接続部材1では、モールド成形時に樹脂がフェルール10の挿入孔11内に入り込まないようにするために、コアピン31とフェルール10を当接する方向に加圧しておく必要があることから、コアピン31のテーパ部31aやフェルール10の曲面部12に傷がつきやすいという問題があった。そのため、コアピン31の摩耗が激しく寿命が短いだけでなく、フェルール10の曲面部12に傷がつくと、フェルール10の強度を低下させたり、挿入する光ファイバ2に傷をつける等の不都合があった。
【0016】
また、図7に示す接続部材1では、テーパ孔23の曲面部12との境界部分は肉薄状であるため、樹脂が充填されにくく、この充填性が悪いと段差が生じてしまい、挿入する光ファイバ2の引っ掛かりが発生しやすいという問題もあった。
【0017】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、光ファイバの挿入孔が軸方向に形成されたセラミックス製のフェルールと、該フェルールの後端部に固定保持し、貫通孔を備えた樹脂製のバックボディとからなる光ファイバ用接続部材であって、上記フェルールにおける挿入孔の後端口縁に曲面部を有し、かつ上記バックボディがフェルールの曲面部まで入り込み、その貫通孔は上記フェルールの曲面部に連続する小径孔とこれに連続するテーパ孔からなるとともに、上記小径孔とテーパ孔の境界に、曲率半径0.02mm以上の曲面部を形成し、バックボディの小径孔の内径D2は、フェルールの挿入孔の内径D1に対し、D1≦D2≦D1+10μmの範囲内とすることを特徴とする。即ち、本発明では、フェルールの曲面部に連続するようにバックボディの小径孔を備えたことによって、挿入する光ファイバが確実にフェルールの曲面部に案内されることから、フェルールの曲面部の曲率半径を小さくしても滑らかに光ファイバを挿入することができる。しかも、上記フェルールの曲面部に連続する部分はテーパ孔ではなく小径孔としたことによって、樹脂が確実に充填されるようにすることができる。
【0018】
また、本発明は、光ファイバの挿入孔を軸方向に有し、挿入孔の一方端の口縁に曲面部を有するセラミックス製のフェルールを作製し、このフェルールを金型のキャビティ内に保持するとともに、先端にテーパ部と円柱状の突出部を有する形状のコアピンを、その突出部が上記フェルールの曲面部側の挿入孔に非接触で挿入された状態で上記キャビティ内に保持し、このキャビティ内に樹脂を充填してモールド成形することによってフェルールの後端側にバックボディを形成する工程からなる光ファイバ用接続部材の製造方法を特徴とする。
【0019】
即ち、本発明では、バックボディを樹脂でモールド成形する際に、コアピンをフェルールの曲面部に当接させずに保持することによって、コアピンやフェルールの曲面部に傷がつくことを防止したものである。しかも、コアピンの先端にテーパ部と円柱状の突出部を形成し、この突出部をフェルールの挿入孔に挿入した状態で保持すれば、両者が非接触であってもその隙間を微小なものとしておくことによって、樹脂がフェルールの挿入孔に入り込むことを防止できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図によって説明する。
【0021】
図1に示す接続部材1は、軸方向の挿入孔11を有するジルコニアセラミックス製のフェルール10の後端側に、貫通孔21を有する樹脂製のバックボディ20を接合してなるものである。また、フェルール10の挿入孔11の後端部における口縁には曲面部12が形成され、一方、バックボディ20の貫通孔21は、大径孔22、テーパ孔23、小径孔24からなり、この小径孔24が上記フェルール10の挿入孔11における曲面部12に連続している。
【0022】
即ち、拡大図を図2に示すように、本発明では、フェルール10における挿入孔11の後端部の口縁には、曲率半径Rの曲面部12が形成されており、しかもバックボディ20がこの曲面部12まで入り込んで、曲面部12に連続した小径孔24を形成していることを特徴とする。
【0023】
そのため、バックボディ20側から光ファイバ2を挿入すると、テーパ孔23と小径孔24で案内され、この小径孔24が曲面部12と連続していることによって、滑らかにフェルール10の挿入孔11に光ファイバ2を挿入することができるのである。また、この時、曲面部12と小径孔24が連続していることから、曲面部12の曲率半径Rを小さくしても充分滑らかに光ファイバ2を案内することができる。
【0024】
ちなみに、図6(b)に示す従来の接続部材1では、バックボディ20の小径孔24がフェルール10の曲面部12に連続しておらず、両者の間に隙間19が存在するため、光ファイバ2を滑らかに案内するためには、曲面部12の曲率半径Rを0.2〜0.5mmと大きくしておく必要がある。これに対し、本発明では、上述したように、バックボディ20の小径孔24を曲面部12に連続させたことによって、曲面部12の曲率半径Rを小さくしても滑らかに案内できるようにしたのである。
【0025】
なお、図6(b)に示す従来の接続部材1では、フェルール10とバックボディ20を別々に形成して接合していたため、上記のように曲面部12と小径孔24を連続させることができず、また両者の芯ずれが生じていたが、本発明では、詳細を後述するように樹脂のモールド成形でバックボディ20を形成することにより、フェルール10の曲面部12とバックボディ20の小径孔24を連続させることができるのである。
【0026】
さらに、バックボディ20をモールド成形する場合でも、図7(b)に示す従来例のようにフェルール10の曲面部12と連続する部分がテーパ孔23であれば、曲面部12に連続するテーパ孔23の先端部が肉薄状であることから、モールド成形時の樹脂の充填不良や、樹脂の成形収縮によって段差が生じる恐れがある。これに対し、本発明の接続部材1では、曲面部12と連続する部分が小径孔24であることから、モールド成形の工程にて小径孔24部分にも確実に樹脂を充填することができ、段差等が生じることはない。
【0027】
また、本発明の接続部材1において、フェルール10の曲面部12の曲率半径Rは0.01〜0.2mmの範囲とすることが好ましい。これは、曲率半径Rが0.01mm未満では、上述した光ファイバ2を滑らかに案内する効果に乏しいためであり、一方0.2mmを超えるとブラシ研磨等の簡易な方法で加工できずに研削加工が必要となり、また接続部材1の細径化に対応しにくくなるためである。
【0028】
したがって、曲面部12の曲率半径Rを0.01〜0.2mmの範囲としておけば、光ファイバ2を滑らかに案内できるとともに、ブラシ研磨によって簡単に加工することができ、接続部材1の細径化にも対応できる。より好ましくは、曲率半径Rは0.02〜0.05mmが良い。
【0029】
さらに、本発明の接続部材1では、バックボディ20の小径孔24とテーパ孔23との境界部にも曲面部25を形成してある。そのため、光ファイバ2を挿入する際に、テーパ孔23と小径孔24の間を滑らかに案内することができるとともに、詳細を後述するようにバックボディ20をモールド成形する際に、小径孔24の内径Dを所定の寸法に調整しやすくすることができる。なお、上記効果を奏するためには、この曲面部25の曲率半径Rは0.02mm以上必要であり、一方、曲率半径Rが大きいとフェルール10の挿入孔11に接触してコアピン31又はフェルール10に傷が付きやすくなることから、曲率半径Rは0.35mm以下とすることが好ましい。
【0030】
また、バックボディ20のテーパ孔23の角度θについては、90°以下とすることが好ましい。これは、角度θが90°を超えると、光ファイバ2を挿入する際に滑らかに案内されにくくなるためである。好ましくは、テーパ孔23の角度θは30°前後が最適である。
【0031】
さらに、フェルール10の挿入孔11の内径Dは挿入する光ファイバ2の外径と同一か、これよりも1μm程度大きいものとなっている。一般的な光ファイバ2の外形は125μmであるから、挿入孔11の内径Dは125〜126μm程度であることが一般的である。一方、バックボディ20の小径孔24の内径Dは、挿入孔11の内径Dに対し、
≦D≦D+10μm
の範囲内としておくことが好ましい。これは、バックボディ20の小径孔24の内径Dが挿入孔11の内径Dよりも小さいと光ファイバ2の挿入が困難となり、一方D+10μmよりも大きいと、光ファイバ2を滑らかに挿入しづらくなるためである。
【0032】
また、図1に示すように、フェルール10に切り欠き部13を備え、この部分をモールド成形してバックボディ20を形成してあることにより、フェルール10の接合強度を高くし、抜けを防止できる。
【0033】
次に、本発明の接続部材1の製造方法を説明する。
【0034】
まず、フェルール1を作製する。材質としては、アルミナやジルコニア等のセラミックス、あるいは結晶化ガラス等を用いることができるが、ジルコニアセラミックスが最適である。具体的にはZrOを主成分として、Y、CaO、MgO、CeO、Dyなどの一種以上の安定化剤を含み、正方晶の結晶を主体とし、平均結晶粒径2μm以下、好ましくは1μm以下の部分安定化ジルコニアセラミックスを用いる。
【0035】
このような原料粉末を用いて、押出成形法によって、挿入孔11を有するフェルール10を成形し、所定条件で焼成した後、挿入孔11の一方端の口縁をブラシ研磨等で加工し、曲面部12を形成する。あるいは、射出成形法によって予め挿入孔11と曲面部12を有するフェルール10を成形し、焼成することもできる。
【0036】
次に、このようにして得られたフェルール10を金型に保持して、樹脂のモールド成形により、バックボディ20を形成する。
【0037】
具体的には、図3に示すように、バックボディ20の形状に合致したキャビティ32aを有する金型32、33内に上記フェルール10を保持する。一方、先端に先細状のテーパ部31aと円柱状の突出部31bを有するコアピン31を用い、図4に示すように、コアピン31の突出部31bをフェルール10の挿入孔11に挿入し、両者が微小な隙間を介して非接触の状態となるようにして、コアピン31を金型32に固定する。
【0038】
この状態で、キャビティ32a内に、注入口32bから溶融した樹脂を注入し硬化させる。すると、コアピン31とキャビティ32aの間の空間に樹脂が充填されて硬化することにより、バックボディ20が形成されることになる。
【0039】
最後に、樹脂が硬化した後、金型32、33を分離して離形すれば、フェルール10の後端側に樹脂製のバックボディ20が接合された接続部材1を得ることができる。
【0040】
この製造工程において、図4に示すように、コアピン31とフェルール10は接触させないため、どちらの部材にも傷がつくことを防止できるのである。
【0041】
また、上記モールド成形時に、図4に示すコアピン31のテーパ部31a及び突出部31bと、曲面部12の間に樹脂が充填されることによって、図2に示すような曲面部12に連続した小径孔24を形成することができる。さらに、コアピン31のテーパ部31aと突出部31bの境界部を曲率半径Rが0.02mm以上の曲面状としておくことによって、この部分の樹脂の充填密度を比較的低く制御して、樹脂の硬化時の成形収縮量を大きくすることができる。その結果、詳細を後述するように、小径孔24の内径Dを容易に所定の寸法とすることができる。しかも、上記曲率半径Rに応じて、図2に示す曲面部25を形成することができる。
【0042】
この工程で、コアピン31の突出部31bとフェルール10の挿入孔11の間には隙間が存在するが、この隙間を非常に微小なものとしておけば、モールド成形時に樹脂が挿入孔11に入り込むことを防止することができる。具体的には、挿入孔11の内径Dとコアピン31の突出部31bの外径Dの差D−Dを1.5〜8.0μmの範囲となるように設定しておけば良い。これは、差D−Dが1.5μm未満であると、突出部31bを非接触状態で挿入孔11に挿入することが困難であり、8.0μmを超えると樹脂の挿入孔11への入り込みを防止できなくなるためである。
【0043】
また、このようにしてモールド成形されたバックボディ20の小径孔20の内径は、樹脂注入直後は、コアピン31の突出部31bの外径Dと同一になるが、樹脂が硬化時に成形収縮することにより、小径孔20の内径が広がる方向に収縮し、最終的には前述した範囲の内径Dとなるように設定しておけば良い。
【0044】
具体的には、コアピン31の突出部の外径D
=D−D−D
としておけば良い。ここで、Dは最終的に求める小径孔24の内径であり、Dはモールド成形時のコアピン31の熱膨張による寸法変化量、Dは樹脂の成形収縮による寸法変化量を表す。
【0045】
なお、上記バックボディ20を成す樹脂としては、上述したように成形収縮を利用することから、成形収縮率が0.1%以上であり、好ましくは成形収縮率が5%以下のものを用いる。また、接続部材1として好適に用いるためには、引っ張り強度が500kgf/cm以上のものを用いる。具体的は、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルサルフォン(PES)及び変性を含むポリフェニレンエーテル等の1種、もしくは2種以上の複合材を用いる。あるいは、これらの樹脂に、ガラスや炭素等のフィラーを添加したものでも良い。
【0046】
【実施例】
実施例1
ここで、図3、4に示す方法で図1、2に示す接続部材1を作製した。フェルール10はジルコニアセラミックスで形成し、挿入孔11の内径Dは125μmとした。また、バックボディ20はPBTで形成し、小径孔24の内径Dは126μmとなるようにした。
【0047】
さらに、コアピン31は金属(SK材)で形成し、テーパ部31aと突出部31bの境界部の曲率半径Rは0.03mmとした。この時、コアピン31の熱膨張係数は10.87×10−6/℃であり、モールド成形時には常温(20℃)から80℃まで温度上昇することから、この間のコアピン31の熱膨張による寸法変化量Dは約0.7μmとなる。また、樹脂の成形収縮による寸法変化量Dを実験により求めたところ4.3μmであった。
【0048】
したがって、コアピン31の突出部31bの外径Dは、
Figure 0003615648
としておけば、所定の内径Dを持った小径孔24が得られた。
【0049】
また、この時、フェルール10の挿入孔11の内径Dとコアピン31の突出部31bの外径Dの差D−Dは、
Figure 0003615648
と充分に小さくなり、モールド成形時に樹脂が挿入孔11内に入り込むことを防止できた。
【0050】
実施例2
次に、上記と同様にして、コアピン31のテーパ部31aと突出部31bの境界部の曲率半径Rの大きさを種々に変化させることによって、接続部材1のバックボディ20の曲面部25の曲率半径Rが種々に異なるものを作製した。
【0051】
各々の接続部材1を10個用意し、それぞれ光ファイバ2を挿入した時に引っ掛かりが発生したものの個数を調べた。結果は表1に示すように、曲率半径Rを0.02mm以上としておけば、光ファイバ2の引っ掛かりなく挿入できることがわかった。
【0052】
【表1】
Figure 0003615648
【0053】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、光ファイバの挿入孔が軸方向に形成されたセラミックス製のフェルールと、該フェルールの後端部に固定保持し、貫通孔を備えた樹脂製のバックボディとからなる光ファイバ用接続部材であって、上記フェルールにおける挿入孔の後端口縁に曲面部を有し、かつ上記バックボディの貫通孔は上記フェルールの曲面部に連続する小径孔とこれに連続するテーパ孔からなることによって、挿入する光ファイバが確実にフェルールの曲面部に案内されることから、フェルールの曲面部の曲率半径を小さくしても滑らかに光ファイバを挿入することができる。
【0054】
また、本発明によれば、光ファイバの挿入孔を軸方向に有し、挿入孔の一方端の口縁に曲面部を有するセラミックス製のフェルールを作製し、このフェルールを金型のキャビティ内に保持するとともに、先端にテーパ部と円柱状の突出部を有する形状のコアピンを、その突出部が上記フェルールの曲面部側の挿入孔に非接触で挿入された状態で上記キャビティ内に保持し、このキャビティ内に樹脂を充填してモールド成形することによってフェルールの後端側にバックボディを形成する工程から光ファイバ用接続部材を製造することによって、コアピンやフェルールの曲面部に傷がつくことを防止し、長期間にわたって良好に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接続部材を示す縦断面図である。
【図2】図1中のA部の拡大図である。
【図3】本発明の接続部材の製造方法を説明するための図である。
【図4】図3中のB部の拡大図である。
【図5】従来の接続部材を示す縦断面図である。
【図6】(a)は従来の接続部材を示す縦断面図、(b)は(a)中のC部の拡大図である。
【図7】(a)は従来の接続部材の製造工程を説明するための図、(b)は得られた接続部材の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
10:フェルール
11:挿入孔
12:曲面部
13:切り欠き部
20:バックボディ
21:貫通孔
22:大径部
23:テーパ部
24:小径部
25:曲面部
31:コアピン
31a:テーパ部
31b:突出部
32、33:金型

Claims (2)

  1. 光ファイバの挿入孔が軸方向に形成されたセラミックス製のフェルールと、該フェルールの後端部に固定保持し、貫通孔を備えた樹脂製のバックボディとからなる光ファイバ用接続部材であって、上記フェルールにおける挿入孔の後端口縁に曲面部を有し、かつ上記バックボディがフェルールの曲面部まで入り込み、その貫通孔は上記フェルールの曲面部に連続する小径孔とこれに連続するテーパ孔からなるとともに、上記小径孔とテーパ孔の境界に、曲率半径0.02mm以上の曲面部を形成し、バックボディの小径孔の内径D2は、フェルールの挿入孔の内径D1に対し、D 1 ≦D2≦D1+10μmの範囲内とすることを特徴とする光ファイバ用保持部材。
  2. 光ファイバの挿入孔を軸方向に有し、挿入孔の一方端の口縁に曲面部を有するセラミックス製のフェルールを作製し、このフェルールを金型のキャビティ内に保持するとともに、先端にテーパ部と円柱状の突出部を有する形状のコアピンを、その突出部が上記フェルールの曲面部側の挿入孔に、1.5〜8.0μmの微小な隙間を介して非接触で挿入された状態で上記キャビティ内に保持し、このキャビティ内に樹脂を充填してモールド成形することによってフェルールの後端側にバックボディを形成する工程からなる光ファイバ用接続部材の製造方法。
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