JP3245310B2 - 光コネクタ用割スリーブ及びその加工方法 - Google Patents

光コネクタ用割スリーブ及びその加工方法

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JP3245310B2 JP23543894A JP23543894A JP3245310B2 JP 3245310 B2 JP3245310 B2 JP 3245310B2 JP 23543894 A JP23543894 A JP 23543894A JP 23543894 A JP23543894 A JP 23543894A JP 3245310 B2 JP3245310 B2 JP 3245310B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ファイバを挿通した
フェルール同士を接続するための光コネクタ用割スリー
ブ及びその加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光ファイバ同士を接続する光コネクタの
構造は、図6に示すように光ファイバ40を挿通したフ
ェルール41同士を割スリーブ30の両端から挿入して
突き合わせるようになっており、上記フェルール41、
割スリーブ30の材質として、アルミナやジルコニア等
のセラミックスまたはガラスが用いられている。
【0003】また、従来の一般的な割スリーブ30は図
7のように円筒体で長手方向にスリット31が設けら
れ、その内径はフェルール41の外径よりわずかに小さ
くなるように精密研磨されている(特開平2−2315
45参照)。この割スリーブ30にフェルール41を挿
入すると、割スリーブ30が弾性変形して若干広がるこ
とにより、内周面でフェルール41を強固に保持するこ
とができるようになっている。
【0004】また、この製割スリーブ30をセラミック
スで形成する場合は、セラミック原料を押出成形等によ
って円筒状に成形し、焼成した後、内周面及び外周面を
研削し、加工によりスリット31を形成して製造してい
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが従来のセラミ
ック製割スリーブ30では、フェルール41挿入時に弾
性変形する際に、スリット対向部32に最大応力がかか
るために、挿入脱着を繰り返すと、このスリット対向部
32が静疲労破壊を起こしやすかった。そのため、フェ
ルール挿入時や取扱時に、上記スリット対向部32で破
壊を生じるおそれがあるという問題があった。
【0006】また、破壊を防止するために割スリーブ3
0の肉厚を大きくすると、弾性変形しにくくなって、フ
ェルール41の挿入が困難になるという問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記に鑑みて本発明は、
セラミックスやガラス等の脆性材料からなる割スリーブ
において、スリット近傍部よりもスリット対向部を厚肉
としたものである。即ち、最大応力の加わるスリット対
向部のみを厚肉とすることによって、破壊を防止し、一
方他の部分はこれよりも薄く形成することによって弾性
変形を容易にすることができるのである。
【0008】また、本発明は、上記スリット対向部とし
て、外周側に滑らかな曲面状の凸部を形成した。即ち、
外周側に凸部を形成すれば内周側は完全な円形としてフ
ェルールを好適に保持することができ、しかも凸部を滑
らかな曲面状とすれば応力集中がなく強度を高くでき
る。
【0009】さらに、本発明は、上記スリット対向部の
肉厚をスリット近傍部の肉厚に比べて0.03mm以上
大きくし、厚肉とした部分の幅をスリットの幅以上に形
成した。これは、肉厚の差が0.03mmより小さい
か、または厚肉とした部分の幅がスリット幅より小さい
と、上記破壊を防止する効果に乏しいためである。
【0010】また、本発明は、上記割スリーブの加工方
法として、セラミックスまたはガラスからなる円筒体の
長手方向にスリットを形成した後、センタレス研削機で
外周面を研削することにより、スリットの対向部が厚肉
となるように加工するようにしたものである。
【0011】即ち、従来の製造方法ではセラミック製円
筒体の内周面、外周面を研削加工した後スリットを形成
するため、全体の肉厚は均一となる。これに対し、本発
明の製造方法によれば、予めスリットを形成した後で、
センタレス研削機により外周面を研削することにより、
スリット部分が凹んでいるために、スリット対向部の外
周面が研削されにくくなり、この部分が厚肉となるので
ある。
【0012】
【実施例】以下本発明実施例を図によって説明する。
【0013】図1に示すように、割スリーブ10はセラ
ミックスまたはガラスから成る円筒体で長手方向にスリ
ット11が設けられ、その内周面14は挿入するフェル
ールの外径よりもわずかに小さな内径となるような円形
に精密研磨されている。また、上記スリット11のちょ
うど反対側となるスリット対向部12は外周側に凸部1
3を形成して、スリット対向部12の肉厚Aをスリット
近傍部16の肉厚Bよりも大きくしてある。この凸部1
3は滑らかな曲面状であり、他の外周面15と滑らかに
連続している。
【0014】本発明の割スリーブ10は、図6に示すよ
うに両端から光ファイバ40を挿通したフェルール41
を挿入して突き合わせることにより、光ファイバ40同
士を結合するコネクタとすることができる。
【0015】この時、フェルール41を挿入すると、割
りスリーブ10は広がる方向に若干弾性変形し、スリッ
ト対向部12に最大応力が加わることになる。しかし、
スリット対向部12は凸部13の存在により肉厚Aが大
きいため強度が大きく、破壊を防止することができる。
また、凸部13はスリット対向部12にしか存在せず、
他のスリット近傍部16の肉厚Bは小さいため、フェル
ール挿入時の弾性変形が困難となることはない。
【0016】本発明の割りスリーブ10において、凸部
13を外周側に形成することにより、内周面14はフェ
ルール41の外形に沿った完全な円形とすることができ
る。さらに、凸部13は滑らかな曲面状とすることによ
り、応力集中がなく強度を高くすることができる。
【0017】また、本発明の割りスリーブ10におい
て、スリット対向部12の肉厚Aとスリット近傍部16
の肉厚Bとの差は凸部13の高さhとなるが、上記のよ
うな強度を高める効果を奏するためには、肉厚の差A−
B(高さh)は h=A−B≧0.03mm を満たす必要がある。ただし、肉厚の差A−Bが大きす
ぎても意味がなくなるため、スリット対向部12の肉厚
Aは A≦1mm を満たす必要がある。通常スリット近傍部16の肉厚B
は0.3mm程度であるから、凸部13の高さhは0.
03〜0.7mmの範囲内とする。
【0018】さらに、スリット対向部12における厚肉
とした部分の幅、即ち凸部13の幅Xは、スリット11
の幅Yに対して X≧Y を満たすことにより、破壊防止効果を高めることができ
る。
【0019】次に本発明の他の実施例を説明する。
【0020】図2(a)に示す割りスリーブ10は、ス
リット対向部12の外周側に凸部13を備えて厚肉と
し、内周面14に3個の突起17を備えたものである。
この割りスリーブ10は、3個の突起17でフェルール
を支持するため、フェルールの着脱が容易である。
【0021】また図2(b)に示す割スリーブ10は、
スリーブ近傍部16からスリット対向部12に向けて徐
々に肉厚を厚くしてゆき、スリット対向部12が最大肉
厚となるようにしたものである。
【0022】これらの実施例においても、スリット対向
部12の肉厚Aは、スリット近傍部16の肉厚Bよりも
0.03mm以上大きくしてあることにより、上記と同
様に破壊防止効果を高めてある。
【0023】ここで、本発明の割スリーブ10をセラミ
ックスで形成する場合の加工方法を説明する。
【0024】まず所定のセラミック原料を押出成形、射
出成形、プレス成形等により円筒形状に成形し、焼成し
た後、内周面を研磨して、加工によりスリット11を形
成する。そして、スリット11を有する割りスリーブ1
0に対し、センタレス研削機で外周の研削を行う。即
ち、図3に示すようにブレード21上に割スリーブ10
を載置し、調子車22を回転させれば、割りスリーブ1
0は回転しながら砥石23により外周面を研削され、ブ
レード21上を進行していく。そして、割りスリーブ1
0のスリット11が調子車22に接触する時は、スリッ
ト11の凹みのために割スリーブ10が調子車22側に
寄ることから、スリット対向部12は砥石23による研
削量が少なくなる。その結果、スリット対向部12の外
周側が他の部分に比べて突出し、図1に示すような凸部
13を有する形状に研削することができるのである。
【0025】このような本発明の加工方法によれば、ス
リット11を先に形成してから外周研削を行うだけで、
容易にスリット対向部12を厚肉とすることができる。
また、この時、凸部13は滑らかな曲面上で、その幅X
は必然的にスリット11の幅Y以上となり、破壊防止効
果を高めることができる。
【0026】実際、スリット11の幅Yが0.5mmの
割りスリーブ10を用いて上記センタレス研削を行え
ば、高さhが0.06mm程度の凸部13を幅Xが1.
0mmの範囲で形成することができる。
【0027】なお、本発明のセラミック製割スリーブ1
0の製造方法としては、上記の他に押出成形、射出成
形、プレス成形等により予め一部が厚肉となるような形
状に成形し、焼成後、内周面を研削加工してスリット1
1を形成することもできる。
【0028】また、本発明の割スリーブ10を成すセラ
ミックスとしては、アルミナ、ジルコニア等を用いる
が、強度と靱性の高いジルコニアセラミックスが好まし
い。具体的にはZrO2 を主成分として、Y2 3 、M
gO、CaO、CeO2 、Dy2 3 等の一種以上を安
定化剤として含み、平均結晶粒子径が2μm以下で、正
方晶の結晶を50%以上、好ましくは80%以上含む部
分安定化ジルコニアセラミックスを用いる。
【0029】実験例 ここで、本発明のセラミック製割スリーブ10の破壊強
度を測定する実験を行った。
【0030】本発明実施例として、図1に示す割スリー
ブ10の凸部13の高さhを0.06mm、幅Xを1m
mとしたものを用意し、比較例として図7に示す従来の
割スリーブ30を用意した。いずれも、ジルコニアセラ
ミックスにより形成し、長さ11.4mm、外径3.2
mm、内径2.491〜2.493mm、スリット11
の幅Yは0.5mmとした。
【0031】図4に示すように割スリーブ10のスリッ
ト11に、測定機の可動部24を挟み込み、一方を固定
した状態で他方の可動部24を引っ張る方向に荷重を加
え、割スリーブ11の破壊強度を測定した。この時の条
件は引っ張り速度5mm/分、温度25゜C、湿度59
%とした。
【0032】その結果、比較例の割スリーブ30では、
破壊荷重が平均7.85kgf、ワイブル係数13.7
3であったのに対し、本発明実施例の割スリーブ10で
は破壊荷重が平均9.33kgf、ワイブル係数14.
38と、大きく強度を向上できることが判った。
【0033】次に、本発明の割スリーブ10の凸部13
の高さhを種々に変化させて同様の実験を行った。結果
は、図5に示す通りである。
【0034】このグラフから凸部13の高さhを大きく
するほど破壊強度を大きくでき、高さhを0.03mm
以上とすれば破壊強度8.5kgf以上となり、実用上
問題のない強度とすることができる。
【0035】
【発明の効果】このように、本発明によれば、円筒体の
長手方向にスリットを設けた光コネクタ用割スリーブに
おいて、スリット近傍部よりもスリット対向部を厚肉に
形成したことによって、フェルールを挿入する際の許容
破壊荷重を大きくすることができ、長期使用時において
も破損の恐れのない割スリーブを提供できる。
【0036】また、本発明によれば、セラミックスまた
はガラスからなる円筒体の長手方向にスリットを形成し
た後、センタレス研削機で外周を研削することにより、
スリットの対向部が厚肉となるように加工する工程から
光コネクタ用割スリーブを製造するようにしたことによ
って、極めて容易にスリット対向部が厚肉となった割ス
リーブを製造するこができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の光コネクタ用割スリーブを示す
断面図である。
【図2】(a)(b)は本発明の他の実施例を示す断面
図である。
【図3】本発明の光コネクタ用割スリーブの加工方法を
説明するための図である。
【図4】割スリーブの破壊強度測定方法を説明するため
の図である。
【図5】割りスリーブの凸部の高さhと破壊強度との関
係を示すグラフである。
【図6】一般的な光コネクタの構造を示す断面図であ
る。
【図7】従来の光コネクタ用割りスリーブを示す示す断
面図である。
【符号の説明】
10:割スリーブ 11:スリット 12:スリット対向部 13:凸部 14:内周面 15:外周面 16:スリット近傍部

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミックスまたはガラスからなる円筒体
    の長手方向にスリットを設けた光コネクタ用割スリーブ
    において、スリット対向部の外周に滑らかな曲面状の凸
    部を有し、上記スリット対向部の肉厚がスリット近傍部
    の肉厚よりも0.03mm以上大きいことを特徴とする
    光コネクタ用スリーブ。
  2. 【請求項2】セラミックスまたはガラスからなる円筒体
    の長手方向にスリットを形成した後、センタレス研削機
    で外周面を研削することにより、スリットの対向部が厚
    肉となるように加工する工程からなる光コネクタ用割ス
    リーブの加工方法。
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