JP3615311B2 - 光波長多重送信器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光信号伝送に利用する。特に光波長多重通信における伝送路中での信号光間のクロストークによる伝送特性劣化の抑圧に関する。
【0002】
【従来の技術】
波長の異なる複数の光信号をひとつの光伝送路、例えば光ファイバ、により伝送する光波長多重伝送方式では、信号光間のクロストークによる伝送特性劣化が問題となる。このクロストークの主因としては、伝送ファイバ中で起こる四光波混合、相互位相変調などの現象が知られている。これらの現象は、伝送ファイバ中を波長の異なる複数の光信号が伝搬するとき、光信号間に相互作用が起こるために生じる。この相互作用によりそれぞれの波長差に応じた光信号成分が生成される現象が四光波混合であり、光信号に位相変調が起こる現象が相互位相変調である。四光波混合現象を抑圧する方法としては、伝送ファイバの分散値を大きく設定する方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、伝送ファイバの分散値を大きく設定すると、相互位相変調現象による伝送特性劣化を抑圧できず、さらに、高分散値のため信号光の波長に大きな群速度差が生じて伝送特性劣化を引き起こす問題がある。
【0004】
本発明は、このような課題を解決し、伝送ファイバ中での非線形効果である四光波混合および相互位相変調そのものを抑圧し、光波長多重伝送時のクロストークによる伝送特性劣化を抑圧することのできる光波長多重送信器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明では、波長多重信号光の変調方式として、ビット毎に信号レベルが1度「0」に戻るリターン・トウ・ゼロ(RZ)強度変調信号を用いる。そして、チャネル間で発光タイミングがずれるようにする。
【0006】
すなわち、本発明の第一の観点によると、複数m系列のデータによりそれぞれ波長が異なる光を変調する変調手段と、この変調手段の出力光を合波して光伝送路に送出する合波手段とを備えた光波長多重送信器において、変調手段は、波長毎の信号形式を占有率が1/m以下のリターン・トウ・ゼロ強度変調信号とする手段と、いずれかひとつの波長が発光状態であるとき他の波長は非発光となるように各波長の信号タイミングを調整する手段とを含むことを特徴とする光波長多重送信器が提供される。
【0007】
本発明の第二の観点によると、複数m系列のデータによりそれぞれ波長が異なる光を変調する変調手段と、この変調手段の出力光を合波して光伝送路に送出する合波手段とを備えた光波長多重送信器において、変調手段は、変調される波長を2以上m未満の整数nにグループ分けし、波長毎の信号形式を占有率が1/n以下のリターン・トウ・ゼロ強度変調信号とする手段と、いずれかひとつグループに属する波長が発光状態であるとき他のグループに属する波長は非発光となるように各波長の信号タイミングを調整する手段とを含むことを特徴とする光波長多重送信器が提供される。
【0008】
光伝送路を伝搬する信号チャネルすなわち各波長が同時に発光している場合には、その光伝送路を構成する伝送ファイバ中での四光波混合および相互位相変調により、信号光間のクロストークが発生してしまう。変調方式としてRZの強度変調信号を用い、かつチャネル間で発光タイミングがずれるように設定すれば、波長多重信号光間での四光波混合および相互位相変調を防ぐことが可能となり、信号光間のクロストークによる伝送特性劣化を低減することができる。
【0009】
また、光伝送路を構成する光ファイバの零分散波長を考慮し、全光信号帯域の中心が光ファイバの零分散波長と一致するようにすることで、さらに信号間のクロストークによる伝送特性劣化を低減することもできる。すなわち、第一の観点の多重送信器の場合には、変調手段により変調される光の波長について、光伝送路に送出される全光信号帯域の中心波長がその光伝送路を構成する光ファイバの零分散波長と実質的に等しくなるように設定することが望ましい。また、第二の観点の多重送信器の場合には、それに加えて、光ファイバにおける群速度が実質的に等しい波長は異なるグループとなるように設定することが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第一の実施形態を示すブロック構成図であり、チャネル数m=2の光波長多重送信器を示す。この光波長多重送信器は、互いに波長が異なる連続光を出力する光源11a、11bと、この光源11a、11bの出力光を変調する強度変調器13a、13bと、変調された光を合波して光伝送路に送出する合波器15とを備え、さらに、強度変調器13a、13bにより変調される波長毎の信号形式を占有率が1/m以下のRZ強度変調信号とするRZパルス変換器12a、12bと、いずれかひとつの波長が発光状態であるとき他の波長は非発光となるように各波長の信号タイミングを調整する遅延器14a、14bとを備える。
【0011】
光源11aの出力波長をλ1 、光源11bの出力波長をλ2 とする。これらの光源11a、11bからの出力光は、それぞれ強度変調器13a、13bにより強度変調され、遅延器14a、14bを経て合波器15により合波されて光伝送路に送信される。ここで、強度変調器13a、13bには、伝送しようとするデータが、RZパルス変換器12a、12bにより占有率50%以下のRZパルス信号に変換されて供給される。遅延器14a、14bは、二つのチャネルで光パルスが重ならないように、強度変調器13a、13bの出力の時間差を設定する。
【0012】
図2は遅延器14a、14bの出力信号例を示す。ここでは、波長λ1 のチャネルをチャネル1、波長λ2 のチャネルをチャネル2とし、チャネル1に「1101」、チャネル2に「0110」のデータを与えた場合を示す。RZパルスの占有率は50%である。遅延器14a、14bの出力における二つのチャネルの遅延関係は半ビットずれており、パルス発光が同時には行われていないことがわかる。
【0013】
以上の説明では各チャネルの波長とその光伝送路上での群速度との関係については考慮しなかった。しかし、群速度が異なると、光伝送路上で発光状態の重なりが生じる可能性がある。これを防止するには、全光信号帯域の中心波長が光伝送路を構成する光ファイバの零分散波長λ0 と等しくなるように、すなわち、λ1 =λ0 +Δλ、λ2 =λ0 −Δλと設定する。
【0014】
図3はこの波長配置と光ファイバの群速度との関係を示す。λ1 =λ0 +Δλ、λ2 =λ0 −Δλと設定することで、チャネル1とチャネル2とに対して、光ファイバにおける群速度が同等となる。これにより、光伝送路上で発光状態の重なりが生じることなく光ファイバを伝送し、信号間のクロストークによる伝送特性劣化をさらに低減することができる。
【0015】
図4は本発明の第二の実施形態を示すブロック構成図であり、チャネル数m=4の光波長多重送信器を示す。この光波長多重送信器は、この光源31a〜31dの出力光を変調する強度変調器33a〜33dと、変調された光を合波して光伝送路に送出する合波器35とを備え、変調される波長が2以上m未満の整数nにグループ分けされ、強度変調器33a〜33dにより変調される波長毎の信号形式を占有率が1/n以下のRZ強度変調信号とするRZパルス変換器32a〜32dと、いずれかひとつのグループに属する波長が発光状態であるとき他のグループに属する波長は非発光となるように各波長の信号タイミングを調整する遅延器34a〜34dとを備える。
【0016】
ここで、グループ数n=2とし、光源31a、31cからそれぞれ出力される波長λ1 、λ3 をグループ1、光源31b、31dからそれぞれ出力される波長λ2 、λ4 をグループ2に設定するものとする。RZパルス変換器32a〜32dによる信号の占有率は50%とする。
【0017】
光源31a〜31dからの出力光は、それぞれ強度変調器33a〜33dにより強度変調され、遅延器34a〜34dを経て合波器35により合波されて光伝送路に送信される。ここで、強度変調器33a〜33dには、伝送しようとするデータが、RZパルス変換器32a〜32dにより占有率50%以下のRZパルス信号に変換されて供給される。遅延器34a〜34dは、グループ1、2間で光パルスが重ならないように、強度変調器33a〜33dの出力の時間差を設定する。
【0018】
図5は遅延器34a〜34dの出力信号例を示す。ここでは、波長λ1 〜λ4 のそれぞれのチャネルをチャネル1〜4とし、チャネル1に「1101」、チャネル2に「0110」、チャネル3に「1010」、チャネル4に「0010」のデータを与えた場合を示す。RZパルスの占有率は50%である。この図から、各グループ間で同時に信号光が発光状態となることはないことがわかる。
【0019】
この実施形態の場合にも、各チャネルの波長とその光伝送路上での群速度との関係を考慮することが望ましい。この場合、全光信号帯域についてだけでなくグループ間の関係についても考慮し、全光信号帯域の中心波長が光伝送路を構成する光ファイバの零分散波長λ0 と等しくなり、かつその光ファイバにおける群速度が実質的に等しい波長は異なるグループとなるように設定する。すなわち、グループ1についてはλ1 =λ0 −3Δλ、λ3 =λ0 +Δλ、グループ2についてはλ2 =λ0 −Δλ、λ4 =λ0 +3Δλと設定する。
【0020】
図6はこの波長配置と光ファイバの群速度との関係を示す。λ1 =λ0 −3Δλとλ4 =λ0 +3Δとは光ファイバ上での群速度が実質的に等しく、それぞれグループ1、グループ2に設定される。また、λ2 =λ0 −Δλとλ3 =λ0 +Δとは光ファイバ上での群速度が実質的に等しく、それぞれグループ2、グループ1に設定される。この場合、光ファイバの群速度が同じ波長を異なるグループに設定するため、光ファイバ伝搬時においても、発光状態の重なりが生じるチャネル数を少なくすることができる。
【0021】
以上の実施形態では、変調された光パルスの段階で信号タイミングを調整する例について説明したが、変調前の段階で信号タイミングを調整することもできる。また、可能であれば変調後の光パルスの段階で占有率1/m以下のRZパルスに変換してもよく、変調前のデータ自体が占有率1/m以下のRZパルスの場合にはパルス変換は不要である。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光波長多重送信器は、光波長多重伝送システムにおける伝送ファイバ中での非線形効果である四光波混合および相互位相変調を防ぐことができ、クロストークによる伝送特性劣化を抑圧が可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態を示すブロック構成図。
【図2】二つの遅延器の出力信号例を示す図。
【図3】波長配置と光ファイバの群速度との関係を示す図。
【図4】本発明の第二の実施形態を示すブロック構成図。
【図5】四つの遅延器の出力信号例を示す図。
【図6】波長配置と光ファイバの群速度との関係を示す図。
【符号の説明】
11a、11b、31a〜31d 光源
12a、12b、32a〜32d RZパルス変換器
13a、13b、33a〜33d 強度変調器
14a、14b、34a〜34d 遅延器
15、35 合波器
Claims (1)
- 複数m系列のデータによりそれぞれ波長が異なる光を変調する変調手段と、
この変調手段の出力光を合波して光伝送路に送出する合波手段と
を備え、
前記変調手段は、変調される波長を2以上m未満の整数nにグループ分けし、波長毎の信号形式を占有率が1/n以下のリターン・トウ・ゼロ強度変調信号とする手段と、いずれかひとつのグループに属する波長が発光状態にあるとき他のグループに属する波長は非発光となるように各波長の信号タイミングを調整する手段とを含む
光波長多重送信器において、
前記変調手段により変調される光の波長は、前記光伝送路に送出される全光信号帯域の中心波長がその光伝送路を構成する光ファイバの零分散波長と実質的に等しくなり、かつその光ファイバにおける群速度が実質的に等しい波長は異なるグループとなるように設定された
ことを特徴とする光波長多重送信器。
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JP18283595 | 1995-07-19 | ||
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