【発明の詳細な説明】
ダークパルス生成と伝送
この発明は光信号及び光通信で使用するための光信号生成に係り、また、光時
分割多重(OTDM)での特定の応用を見出すものである。
OTDM信号の使用は現在では商用広帯域エレクトロニクスの到達範囲を超え
た総合データ容量へのアクセスと、大容量エレクトロニクススイッチへの資源な
しに光のルート形成をする付加されたフレキシビリティ(融通性)との両面を提
供している。
一般に、短いパルスは伝統的なOTDMデータシーケンスを作るために符号化
されてインターリーブできるし、あるいは変調器が使われてパルス整形をし、い
くつかのこのようなシーケンスを組合せて光多重信号を形成できる。このような
光技術はともに複数の光経路と、光路長の正確な同時性とを必要とする。また、
このような既知の構成でのOTDMインターリーバで重要とされるのは、データ
チャンネル間でその出力に干渉効果を避けるために十分に大きな消滅(消光)比
を示すことである。さらに、OTDMシステムの最大ラインレート(例えはば1
00GHz)はベースレート(例えば10GHz)パルスの幅によって大幅に決
められることが“Transmission of a true singl polarization 40 Gbit/s Soli
ton data signal ”,Electronics Letters ,vol.29,no.11,pp920-992.に強調さ
れている。
OTDM信号を作るための1つの代りの方法は“All-optical time division
multiplexing using four-wave mixing ”,Electronics Letters ,vol.30,no.2
0,pp1697-1698に記述されている。この論文ではOTDMは、100GHz 1
547nmの光信号を時間遅延した6.3Gbit/s信号により修正し、4波
混合を経て1557nm 100Gbit/s信号でサブチャンネルを生成する
ようにして得られている。この方法は一連の波長分割マルチプレクサでそれぞれ
がサブチャンネル又はデータチャンネルをOTDM流に加えるものを必要とする
。この方法は100GHz信号の消滅比に関する拘束条件を緩和してはいるが、
光遅延の正確な制御は依然として必要である。
この方法と他の方法で、出願人が知っているものは、“明るいパルス(ブライ
トパルス)”OTDM伝送と呼んでよいものだけを取扱っている。
この発明者は、光通信システムで“ダーク(暗い)パルス”を“明るい(ブラ
イトパルス)に置換えて情報を帯びた成分とするものを実現することが可能であ
りしかも有利であることを明らかにした。
一つの特徴によると、この発明は光データ信号を生成する方法を提供し、そこ
ではダークパルスでデータシーケンスを表わすものが複数のダークパルス生成器
によって光入力に印加され、光ファイバに沿って後段の伝送をするための生成器
に向うようにされる。
光入力は光放射の実質的に連続したバーストで成り、連続波光信号生成器の出
力として用意されるようなものでよい。代って、光入力は光クロックによって送
出されるようなパルス列で成ることもできる。光クロックで送出されるような到
来パルス列の効果は、ブライトパルスがパルス列から失なわれるようなものであ
る。
この明細書では、“ダークパルス”は時間的な空隙(ギャップ)すなわち、強
度が減少した放射の領域が到来光放射すなわち光ビーム内にあることである。(
一般に光通信では、強調されるのは速度であり、したがって短いパルス長は有利
であるけれども、用語“ダークパルス”は時間的空隙すなわち強度が減少した放
射の長さについての限界を用語自体が示していると解釈してはならない。
ブライトパルスに代ってダークパルスを使用する有利なことは光信号生成が簡
単化されることで、後述されるところである。
各ダークパルス生成器はそれぞれのデータ信号を送出し、これらがOTDM信
号を送出するために一緒にインターリーブされる。インターリーブを用意すると
くに便利な方法はダークパルス生成器を共通基板上に組立て、光学的に整列して
、ダークパルスデータ列を搬送する1つの出力が次のものに直ちに加えられ、次
のものは自分自身をOTDM信号の別の時間スロットに加えられるものである。
後に述べるように、これは光遅延線の使用を回避するが、なおダークパルス生成
器間での電気的同期を用意する必要がある。
(この発明の実施例はOTDMに限定されないことに留意したい。もっともこ
の発明から恩恵を受ける他の応用があることははっきりしている。例えば、継続
するダークパルス生成器によって生成される継続的ダークパルスという手段によ
って単一の出力を作ることは可能である。このような構成は速度の利点で恩恵を
与えることになる。)
OTDMにおいてダークパルスを使用することはとくに有利である。ダークパ
ルスOTDMにとってパルス整列は依然重要であるが、消滅比はブライトパルス
OTDMにおけるよりも問題が少ない。この理由は、ブライトパルスOTDMで
は、複数の平行した光路を用意して、各パルス生成器が、他のパルス生成器によ
って印加される“ブロッテング・アウト(消去)”パルスなしに、自己のパルス
を加えることができるようにしなければならないことである。これらの複数の光
路は再結合されねばならず、それが背景の位相変動が原因で干渉問題を生じさる
。ランダムな干渉は、例えば4チャネルシステム内で約40dBの消滅比がなけ
れば誤差を生じさせる。しかし、ダークパルスOTDMでは、1つの光路しかな
く、そこで光路の再結合をする必要はなく、前記干渉効果は単に発生しない。ダ
ークパルスOTDMにおける消滅比についての拘束条件は依然として残るが、そ
れは受信機における電力見込みの問題である。妥当な消滅比で4チャネルシステ
ム、ダークパルスOTDMに対するものは、15dB程度となりそうである。
好ましい実施例では、ダークパルス生成器の各々はOTDM信号の1データチ
ャンネル分だけのダークパルスを生成する。エレクトロニクスはしたがって単一
データチャネルだけのデータレートに限定される。全体の光信号データレートは
そこで商用広帯域エレクトロニクスの総合データレートを超えることができる。
好ましいのは、ダークパルス生成器が高と低の両方の光伝送状態と高い光消滅
比とをもつ光変調器を含むことである(上述のようにブライトパルスOTDMに
必要とされるような高いものではない)。一方又は他方の状態での動作は例えば
電気的バイアス信号によって決められてよい。光消滅比は上述のように、例えば
4データチャンネルシステムでは40dBよりも著しく小さくでき、例えば10
ないし30dBの範囲とし、妥当な値として15dB程度があげられる。
出願人は適切な光変調器が電子吸収変調器(EAM)であることを示した。E
AM用の適切な電気バイアス信号はクロック(例えば正弦波)と、例えば単純な
パワースプリット構成を用いて組合されたデータ成分を含み、そこではクロック
とデータ成分の両方が負の場合にダークパルスが形成される。このような構成は
電気領域での信号処理の必要がないようにしており、こうでないときには、適切
なデータ符号化したバイアス信号を送出する場合に電気領域での処理を要する。
好ましくは、EAMはバイアスされて、光ビーム入力上でダークパルスを符号
化するために短時間だけ大きな光エネルギーの減衰(消滅、消光)を作り出す。
データが何もないときには電気信号は大きな光透過(伝送)状態となるようにE
AMをバイアスするようにしている。
この発明の好ましい実施例では、複数のEAMが光学的にカスケード接続(従
属継続)され、単一光源からの光ビーム上にダークパルスを生成するようにされ
ている。
好ましくは、各EAMは1つのOTDMチャンネルを生成するようにされてい
る。この構成はそれが生成するダークパルス間で実質的に乱れがない光を各EA
Mが残すという点で利点があり、カスケード内の各後段の変調器が次に乱れがな
い光を変調する。こうして適当な電気的タイミングで高速OTDMデータ信号を
生成することが可能である。
理論的には、EAMはいくつでもカスケード接続されて、単一光源からOTD
M信号のデータチャンネルをいくつでも用意できる。これに対して、他の既知の
方法で複数のEAMs とブライトパルスを用いるものは、複数の光源か、1つの
光源で複数の出力をもつものか何れかを必要とし、相当のOTDM信号を送出す
ることになる。
実際には、この発明によりカスケード接続されるEAMs の数は各変調器から
得られる最短パルス幅により制限されることになる。例えば、生成できる最短ダ
ークパルスが10psであるとすると、10個だけの変調器が列12(10Gb
it/s)で置かれて100Gbit/sのデータを作る。しかし、5psより
短い幅をもつダークパルスが生成できるときは、2倍の数の変調器がカスケード
接続されてよい。
カスケード接続できる変調器の数についての別な制限は、各EAMにより生ず
る光損失に起因するものであり、その理由はEAMがその高光透過状態でも若干
の損失を生ずることによる。しかし、このような損失に対しては光増幅を1又は
複数のEAMs の間に含めることによって補償される。例えば、1又は複数の光
ファイバ増幅器として、希土類をドープしたファイバ増幅器でエルビウム又はプ
ラセオジミウムを用いたものを使ってEAMs 間に増幅を備えることができる。
有利なことは、光学的にカスケード接続したEAMs の使用は、時間スロット
整列が、EAMsを用いてダークパルスを生成するときには、実質的に電気的領
域だけで行なえることである。このようにして、光遅延線が一般には時間スロッ
ト整列をするためには不要となる。
この発明の特に有利な形態では、複数のEAMs が集積され、単一半導体(例
えばInP)基板上に、カスケード光整列で、EAMs を形成することにより集
積がされる。また好ましくは、単一光源が同じ基板上に集積され、カスケード接
続された変調器と光学的に整列されて、単一のOTDM信号生成デバイスを作っ
てもよい。都合よく、OTDM信号生成器用の全体の光システムはこうして単一
半導体デバイスとして用意される。このようなデバイスは比較的安価でコンパク
トであり、既知のデバイスやシステムと対比される。これらいずれの“集積され
た”構成でも、EAMs の隣接するものの間に半導体光増幅器を用いることが可
能なことは当然である。
EAMに代るダークパルス生成器は光ANDゲートであり、例えばANDゲー
トが非線形光ループミラー(NOLM)を用いて実現され、スイッチング窓(光
スイッチング信号で作られる)で動作して、主伝送路から1パルス幅期間だけ代
りの経路へ光透過を切換える。しかし、一般にNOLMは光ファイバの長い長さ
を必要とし、それに若干の非線形性(非線形半導体デバイスやドープした光ファ
イバのような)を伴い、既知の位相変調効果によってスイッチングを作り出す。
このような構成は上述のEAMのように便利でもまた堅牢でもない。またNOL
M用のスイッチング窓は光信号により作られることを要し、電気信号により直接
生成できない。こうして、このようなシステムは少くともパルス生成用に2つの
光学段階(光パルス形成段階と光窓段階)を必要とし、例えばEAMs により生
成されたダークパルスを用いるという利点を弱めてしまう。
第2の特徴によると、この発明は、OTDMで使用するための光変調器であり
、この変調器は複数の光学的にカスケード接続された手段で成り、この手段は光
源
から該第1の手段へ接続する光入力上にダークパルスを生成するためのものであ
り、ダークパルスはOTDMデータシーケンスを表わすものである。
光入力は例えば実質的に連続な光ビーム又は一連のブライトパルスで成る光ク
ロックで構成されていてよい。
第3の特徴によると、この発明は光信号生成器であって:
1つの光源と;
該光源によって生成された光入力上にダークパルスを生成するための複数の手
段であって、該手段は光学的に接続された整列状態にあり、該手段の第1のもの
は該光源から光を受けるようにされており;
該手段の最後のものからの光を光ファイバ通信システムに接続するための手段
とから構成されている光信号生成器である。
ここでも、光入力は例えば実質的に連続か又はブライトパルスの正規列で成る
クロックパルス列でよい。
第4の特徴によると、この発明は半導体デバイスであって:
半導体基板であって、その上に複数の電子吸収変調器が光学的に接続された整
列状態で組立てられるものと、
各変調器に電気的駆動を与えるための手段とで成り、
各電子吸収変調器とその電気的駆動とは、使用時には、到来する光ビーム上に
ダークパルスを生成するようにされ、各変調器によって生成されたパルスはOT
DM光信号の単一データチャンネルを用意することができるようにされているデ
バイスである。
光ビーム用の光源もまた変調器と光学的に接続された整列状態でこの半導体基
板上に組立てられると便利である。
第5の特徴によると、この発明はダークパルス列を含む光信号を送出し、この
信号はOTDMデータシーケンスを用意するために時間スロットに区分されてい
る。
第6の特徴によると、この発明は上記のこの発明の特徴のいずれかによる少く
とも1つの信号生成用構成を含んだ光通信網を用意している。
この発明の実施例を実質的に連続な到来する光ビーム、又はブライトパルス入
力のような他の入力のいずれかを使用することについて上述しているが、非連続
入力と印加されることになるダークパルスとの間で正確なタイミングに対する要
件があることが分ると思う。例えば、到来するクロック信号とダークパルスとの
間では、ダークパルスがクロック信号から選択したブライトパルスを除去するた
めであるときには、同期をとらねばなならないことは明らかである。これは例え
ばEAMs の場合には電気的バイアス信号によって行なわれる。
この発明の別な特徴によると、光変調器であって:
光クロック源と;
該クロック源から受けた光を選択的にオフにスイッチするための複数の手段で
あって、該手段は光学的に接続された整列状態にあり、該手段の第1のものは該
クロック源からの光を受けるようにされているものと;
該手段の最後のものからの光を光ファイバ通信システムに接続するための手段
とから成る光変調器である。
この発明の実施例と単に例として添付の図面を参照して記述して行く。ここで
、
図1は1つのEAMと共働するこの発明によるシステムを示す。
図2はEAMの典型的な動作特性を示すグラフである。
図3は図1のシステムにより用意された光出力信号を表わす。
図4は3つのEAMs が共働するシステムを示す。
図5は図4のシステムにより送出された光出力信号のアイダイヤグラムである
。
ダークパルスを生成するのに便利なシステムを記述して行く。説明を容易にす
るだけのために、最初は1つだけのEAMと共働するシステムの場合を記述して
行く。実際には複数のEAMが後に詳述するように利用される。
図1では、1555nmDFB(分布帰還形)レーザ源110がEAM120
に接続され、そのパワーレベルは−2dBmである。このEAMは最大消滅比2
0dB、平均吸収特性2.5dB/Vを備えている。10GHz正弦波ドライブ
142がパワースプリッタ140を経てデータ源144から10Gbit/sデ
ータシーケンスと同期されてそこに受動的に加えられる(スプリックは2つの信
号を結合させるために逆に使われている)。適当なパワースプリッタはWilt
ron社のK240Bで、Anritsu Wiltron社から入手できる。
正弦波とデータシーケンス信号レベルの両方は2.5Vp−p振幅を有する。結
果信号はデータ信号によって決まるオフセット電圧を有する正弦波を含み、その
相対的振幅はデータ0に対するサイクルの最大値がデータ1に対する最小レベル
よりも下になるようにされている。この正確な構成の使用は本質的なことではな
く、10GHzサイクルの全体がデータ1に対する変調器の低吸収領域内に留ま
ることが確実となるようなものであればよいことが分かると思う。電気信号がE
AM120に加えられ、DCバイアスが調節されて、データ1に対する全サイク
ルが低い消滅を与えることが確実となるようにし、データ0に対するサイクルの
トラフ(谷)が高消滅を与えるようにする。この結果、ダークパルスがデータ0
に対して形成され、低い消滅がデータ1に対して維持される。
このシステムでの使用に適したEAMは例えば“Generation of 6.3ps oplica
l pulses at a 10GHz repetition rate using a packaged EAM and dispersion
compensating fibre”,Electronics Letters ,vol.30,pp1700-1701 に記述され
ているもので、ここで参照することとする。このEAMの吸収特性は図2に再製
されている。図2では、EAMが正又は低い負バイアスで低い消滅の動作領域を
もち、高い逆バイアスで高い消滅の動作領域をもち、かつ両者間で指数的に変る
動作領域をもっている、サリトンに似たダークパルスの生成を支持するのはこの
EAMの指数関数的に変る動作領域である。
理論では、生成されたダークパルスは逆sech2パルス(すなわち逆ソリトン
)と似ていて次の形をもたねばならない:
P(t) =(Peak Power)×(1-sech (1.76(t/τ))2) (式1)
ここでτはピークパワー半値でのパルス値でのパルス幅を表わす。動作上は、E
AMは電気的にバイアスされて、データと正弦波が共に負にならない限り、低い
損失状態に留まる。言い換えれば、EAMは両方の電気信号成分が負にならなけ
れば光を透明する。こうして、ダークパルスが、図3に示すように、データ零に
対して生成され、それが式1の理論形式と非常に近いものとなる。
図4は3つのEAMs をもつこの発明によるシステムを示す。このシステムで
は、3つのEAMs 400,410,420が光学的にカスケード接続、すなわ
ち光学的結合整列状態に配列されていて、光源100として1555nmDFB
レーザで成るものを備えている。便宜的に、レーザ光は標準の遠隔通信用光ファ
イバ105を用いて第1のEAM400に接続されており、光のパワーレベルは
−2dBmである。この例では、光増幅器405,415,425は、例えばE
DFAs であり、各EAMに続きEAMs 内で生じた損失を補償する。増幅器は
一般にEAMs により生じた光損失を補償することが必要な場合にだけ採用され
る。図1に示したシステムと同様に、各EAMはデータチャンネルスロットA,
B又はC内に並べられた正弦波成分とデータ成分とで成る電気信号によって駆動
される。3つの電気駆動信号が必要であるから、電気的タイミング回路450が
必要で、データ信号A,B,Cが正弦波を正しく整列し、かつ第3の増幅器42
5の下流へ出力される求められているOTDM信号の正しいスロット位置内にも
整列するのを確かなものとしている。
光源は変調器と分離でき、光源からの光は、上述のように、例えば光ファイバ
を経て変調器に接続されている。しかし、別の構成では、光源とEAMs とは共
通の半導体基板上に集積されたデバイスとして組立てられている。便宜さを別と
して、この構成には利点があり、各変調器間の結合損失と光源と第1の変調器と
の間の結合損失とが低減される。また、必要であれば、増幅が1又は複数のEA
Ms 間でSLAs (半導体レーザ増幅器)を集積することによって用意できる。
光学的、音響光学的、もしくは電子光学的変調器のいずれの形式のものでも、
必要な透過、消滅もしくはスイッチング性質を備えてダークパルスを送出できる
ものであればこの発明を実現するのに適したものであることは当業者が理解でき
るところであろう。
EAMを駆動するための上述の電気的バイアス機構は2つの理由でとくに有利
である。第1に、各EAMをバイアスするのに1つだけの電気信号を必要とする
こと、また第2に電気信号はいずれもの電気的処理を要しないことである。電気
的処理は次の文献に記載されている方法を用いるときには必要とされる。“Gene
ration of 2.5 Gbit/s soliton data stream with an integrated laser modula
tor transmitter”,Electronics Letters ,vol.30,pp1880-1881.
EAMs はその低光損失領域で動作しているときでも若干の光損失を蒙る。E
AMの光損失量は光源からの光が伝わる光変調器部分の長さによってその一部が
決まる。したがって、2つの変調器又は複数の変調器部分で成る既知の変調器機
構では、先ず電気的正弦波駆動信号を用いて光パルス流を生成し、次に電気的デ
ータ信号を用いてこのパルス流上にデータを変調するが、両方の変調器又は変調
器部分が光の挿入損失を生ずる。この点について提案されていいるシステムでは
、データチャンネル当り1つの変調器(部分)しかないので、このシステムは本
来、複数の変調器又は変調器部分を使う他の機構よりも、1つのデータチャンネ
ルを生成するのに、もっと低挿入損失を全体でもたらす。
上述のように、光放射は実質的に連続したバーストとの形態である。明らかに
、バーストの継続期間は応用に依る。トランク(幹線)通信網の例では、トラヒ
ックは大部分の時間存在することになりそうであり、光源は常時オンとなろう。
代って、それほど繁忙でない光リンクでは、光源はデータ伝送のときだけ、もし
くは(例えばパケット交換網では)その一部だけが必要とされる。そこで、“実
質的に連続”というのはデータ伝送の間は連続というように解釈する。
上述のものとは別な実施例では、第1のEAMに入力されるCW光は光クロッ
ク、例えば正弦波又はパルス流に代ることができる。そこで、ダークパルス生成
用に使用したのと同じ一般的システム構成で、各EAMは光クロックの1時間ス
ロットを変調するために使用できる。言い換えると、各EAMは、指定されたデ
ータチャンネルのデータ符号化要件に依存して、光の透過又は透過抑制のいずれ
かをすることができる。例えば、100Gbit/sの光クロックパルス流に対
して、10個のEAMがカスケード接続されて10の10Gbit/sチャンネ
ルを符号化できる。また、この構成により動作している1又は複数のEAMはO
TDMシステム内の1又は複数のチャンネル用のデータ挿入デバイスとして使用
できる。本発明の記述で開示した理論を応用することによってデータ変調もしく
は挿入機能を実現することは当業者にとって容易に可能であろう。
この発明の実施態様として、1つのEAMの次に他のEAMがないもしくは増
幅器がないが、光信号列に対して作用する他のデバイスが続くものがあり得るこ
とは理解できる。このような態様はそのEAMが信号を先に進めることができる
やり方から依然として利益を受けることになる。例えば、他のところからの到来
データ列にある信号を加えたいというときである。この発明の実施例で、1つだ
けのEAMが備えられたものでもそれをすることができる。
ダークパルスを生成するために上述したレベルシフトした正弦波バイアス信号
が、単一の電気入力EAMに加えられたときにブライトパルスを生成するのに適
したものであることも当業者は理解できよう。この電気信号はこの場合、データ
と正弦波成分が正でなければ、高い光消滅状態にEAMを維持するようにされて
いる必要がある。このような構成は適切なバイアス信号を生成するために電気信
号処理を不要とし、またその故に、簡単で堅牢な解決をもたらす。したがって、
この構成はソリトンもしくは通常のOTDM信号の生成用に使用できる。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年2月21日
【補正内容】
トパルス)”OTDM伝送と呼んでよいものだけを取扱っている。
この発明者は、光通信システムで“ダーク(暗い)パルス”を“明るい(ブラ
イトパルス)に置換えて情報を帯びた成分とするものを実現することが可能であ
りしかも有利であることを明らかにした。
一つの特徴によると、この発明は光データ信号を生成する方法を提供し、そこ
ではダークパルスで1又は複数のデータシーケンスを表わすものが光ファイバに
沿って後段の伝送をするために少なくとも2つのダークパルス生成器によって該
生成器が受けた光入力信号に印加され、該ダークパルス生成器は光入力と光学的
な結合整列状態にあるようにされる。
光入力は光放射の実質的に連続したバーストで成り、連続波光信号生成器の出
力として用意されるようなものでよい。代って、光入力は光クロックによって送
出されるようなパルス列で成ることもできる。光クロックで送出されるような到
来パルス列の効果は、ブライトパルスがパルス列から失なわれるようなものであ
る。
この明細書では、“ダークパルス”は時間的な空隙(ギャップ)すなわち、強
度が減少した放射の領域が到来光放射すなわち光ビーム内にあることである。
(一般に光通信では、強調されるのは速度であり、したがって短いパルス長は有
利であるけれども、用語“ダークパルス”は時間的空隙すなわち強度が減少した
放射の長さについての限界を用語自体が示していると解釈してはならない。
ブライトパルスに代ってダークパルスを使用する有利なことは光信号生成が簡
単化されることで、後述されるところである。
各ダークパルス生成器はそれぞれのデータ信号を送出し、これらがOTDM信
号を送出するために一緒にインターリーブされる。インターリーブを用意すると
くに便利な方法はダークパルス生成器を共通基板上に組立て、光学的に整列して
、ダークパルスデータ列を搬送する1つの出力が次のものに直ちに加えられ、次
のものは自分自身をOTDM信号の別の時間スロットに加えられるものである。
後に述べるように、これは光遅延線の使用を回避するが、なおダークパルス生成
器間での電気的同期を用意する必要がある。
(この発明の実施例はOTDMに限定されないことに留意したい。もっともこ
の発明から恩恵を受ける他の応用があることははっきりしている。例えば、継続
複数のEAMs の間に含めることによって補償される。例えば、1又は複数の光
ファイバ増幅器として、希土類をドープしたファイバ増幅器でエルビウム又はプ
ラセオジミウムを用いたものを使ってEAMs 間に増幅を備えることができる。
有利なことは、光学的にカスケード接続したEAMs の使用は、時間スロット
整列が、EAMs を用いてダークパルスを生成するときには、実質的に電気的領
域だけで行なえることである。このようにして、光遅延線が一般には時間スロッ
ト整列をするためには不要となる。
この発明の特に有利な形態では、複数のEAMs が集積され、単一半導体(例
えばInP)基板上に、カスケード光整列で、EAMs を形成することにより集
積がされる。また好ましくは、単一光源が同じ基板上に集積され、カスケード接
続された変調器と光学的に整列されて、単一のOTDM信号生成デバイスを作っ
てもよい。都合よく、OTDM信号生成器用の全体の光システムはこうして単一
半導体デバイスとして用意される。このようなデバイスは比較的安価でコンパク
トであり、既知のデバイスやシステムと対比される。これらいずれの“集積され
た”構成でも、EAMs の隣接するものの間に半導体光増幅器を用いることが可
能なことは当然である。
EAMに代るダークパルス生成器は光ANDゲートであり、例えばANDゲー
トが非線形光ループミラー(NOLM)を用いて実現され、スイッチング窓(光
スイッチング信号で作られる)で動作して、主伝送路から1パルス幅期間だけ代
りの経路へ光透過を切換える。しかし、一般にNOLMは光ファイバの長い長さ
を必要とし、それに若干の非線形性(非線形半導体デバイスやドープした光ファ
イバのような)を伴い、既知の位相変調効果によってスイッチングを作り出す。
このような構成は上述のEAMのように便利でもまた堅牢でもない。またNOL
M用のスイッチング窓は光信号により作られることを要し、電気信号により直接
生成できない。こうして、このようなシステムは少くともパルス生成用に2つの
光学段階(光パルス形成段階と光窓段階)を必要とし、例えばEAMs により生
成されたダークパルスを用いるという利点を弱めてしまう。
第2の特徴によると、この発明は、OTDMで使用するための光変調器であり
、この変調器は少なくとも2つの光学的にカスケード接続された手段で成り、こ
の
手段は光源から該第1の手段へ接続する光入力上に1又は複数のデータシーケン
スを表わすダークパルスを生成するためのものである。
光入力は例えば実質的に連続な光ビーム又は一連のブライトパルスで成る光ク
ロックで構成されていてよい。
第3の特徴によると、この発明は光信号生成器であって:
1つの光源と;
該光源によって生成された光入力上にダークパルスを生成するための複数の手
段であって、該手段は光学的に接続された整列状態にあり、該手段の第1のもの
は該光源から光を受けるようにされており;
該手段の最後のものからの光を光ファイバ通信システムに接続するための手段
とから構成されている光信号生成器である。
ここでも、光入力は例えば実質的に連続か又はブライトパルスの正規列で成る
クロックパルス列でよい。
第4の特徴によると、この発明は半導体デバイスであって:
半導体基板であって、その上に複数の電子吸収変調器が光学的に接続された整
列状態で組立てられるものと、
各変調器に電気的駆動を与えるための手段とで成り、
各電子吸収変調器とその電気的駆動とは、使用時には、到来する光ビーム上に
1又は複数のデータシーケンスを表わすダークパルスを生成するようにされ、各
変調器によって生成されたパルスはOTDM光信号の単一データチャンネルを用
意することができるようにされているデバイスである。
光ビーム用の光源もまた変調器と光学的に接続された整列状態でこの半導体基
板上に組立てられると便利である。
第5の特徴によると、この発明はダークパルス列を含む光信号を送出し、この
信号はOTDMデータシーケンスを用意するために時間スロットに区分されてい
る。
第6の特徴によると、この発明は上記のこの発明の特徴のいずれかによる少く
とも1つの信号生成用構成を含んだ光通信網を用意している。
この発明の実施例を実質的に連続な到来する光ビーム、又はブライトパルス入
力のような他の入力のいずれかを使用することについて上述しているが、非連続
入力と印加されることになるダークパルスとの間で正確なタイミングに対する要
件があることが分ると思う。例えば、到来するクロック信号とダークパルスとの
間では、ダークパルスがクロック信号から選択したブライトパルスを除去するた
めであるときには、同期をとらねばなならないことは明らかである。これは例え
ばEAMs の場合には電気的バイアス信号によって行なわれる。
この発明の別な特徴によると、光変調器であって:
光クロック源と;
1又は複数のデータシーケンスを表わすダークパルスを生成するために、該ク
ロック源から受けた光を選択的にオフにスイッチするための複数の手段であって
、該手段は光学的に接続された整列状態にあって、該手段の第1のものが該クロ
ック源からの光を受けるようにされている複数の手段と;
該手段の最後のものからの光を光ファイバ通信システムに接続するための手段
とから成る光変調器である。
本発明のさらに別の特徴によると、
i)高光透過状態と低光透過状態とを有する電子吸収変調器と;
ii)この電子吸収変調器への電気バイアス入力と;
iii)この電子吸収変調器への電気データ入力と;から成り、該データ入力
は該バイアス入力と組合せて該電子吸収変調器の状態を少なくとも一時的に低透
過状態に変えるようにした光変調器が提供される。
この発明の実施例と単に例として添付の図面を参照して記述して行く。ここで
、
図1は1つのEAMと共働するこの発明によるシステムを示す。
図2はEAMの典型的な動作特性を示すグラフである。
図3は図1のシステムにより用意された光出力信号を表わす。
図4は3つのEAMs が共働するシステムを示す。
図5は図4のシステムにより送出された光出力信号のアイダイヤグラムである
。
ダークパルスを生成するのに便利なシステムを記述して行く。説明を容易にす
るだけのために、最初は1つだけのEAMと共働するシステムの場合を記述して
行く。実際には複数のEAMが後に詳述するように利用される。
図1では、1555nmDFB(分布帰還形)レーザ源110がEAM120
に接続され、そのパワーレベルは−2dBmである。このEAMは最大消滅比2
0dB、平均吸収特性2.5dB/Vを備えている。10GHz正弦波ドライブ
142がパワースプリッタ140を経てデータ源144から10Gbit/sデ
ータシーケンスと同期されてそこに受動的に加えられる(スプリックは2つの信
号を結合させるために逆に使われている)。適当なパワースプリッタはWilt
ron社のK240Bで、Anritsu Wiltron社から入手できる。
請求の範囲
1.光データ信号を生成する方法であって、1又は複数のデータシーケンスを
表わすダークパルスが少くとも2つのダークパルス生成器によって該生成器によ
り受けた光入力に加えられて光ファイバに沿って後に伝送されるようにされてお
り、このダークパルス生成器は該光入力と光学的な結合整列状態にある方法。
2.前記光入力は光放射の実質的に連続なバーストを含む請求項1記載の方法
。
3.前記光入力はブライトパルス列を含む請求項1記載の方法。
4.各ダークパルス生成器はOTDM信号のそれぞれのデータチャンネルを表
わすダークパルスを生成する請求項1ないし3のいずれか1項記載の方法。
5.各ダークパルス生成器は光変調器を含む請求項1ないし4のいずれか1項
記載の方法。
6.ダークパルス生成器が電子吸収変調器を含む請求項5記載の方法。
7.少くとも2つの光学的にカスケード接続されたダークパルス生成器であっ
て、光源から該生成器の第1のものへ結合された光入力信号上1又は複数のデー
タシーケンスを表わすダークパルスを生成するための光変調器。
8.前記ダークパルス生成器の各々は、使用時に、多チャンネルデータ信号内
のそれぞれのデータチャンネルを表わすパルスを生成する請求項7記載の変調器
。
9.前記多チャンネル信号はOTDM信号を含み、かつ前記生成器の各々はO
TDM信号のそれぞれの時間スロットを指定されている請求項8記載の変調器。
10.前記ダークパルス生成器には前記ダークパルスを送出するための電気的駆
動がそれぞれ備えられており、この電気的駆動でそれぞれの生成器に向うものは
相対的なタイミングを含めたパルス生成についての制御を行うものである請求項
7ないし9のいずれか1項記載の変調器。
11.前記生成器の各々は単一の光変調器を含む請求項7ないし10のいずれか
1項に記載の変調器。
12.前記生成器の各々は電子吸収変調器である請求項11記載の変調器。
13.前記生成器は半導体材料の共通片上に組立てられている請求項7ないし1
2のいずれか1項に記載の変調器。
14.光源は前記半導体材料の共通片上に第1の変調器と光学的に整列して組立
てられており、この光源によって前記光入力が用意される請求項13記載の変調
器。
15.光源と;
該光源によって用意された光入力上に1又は複数のデータシーケンスを表わす
ダークパルスを生成するための複数の手段であって、該手段は光学的な結合整列
状態にあって該光源からの光を該手段の第1のものが受けるようにされている複
数の手段と;
該手段の最後のものから光ファイバ通信システムへ光を結合させるための手段
とから成る光信号生成器。
16.前記光源は光放射の実質的に連続したバーストを送出する請求項15記載
の光信号生成器。
17.前記光源はブライトパルス流を送出し、前記光信号生成器はさらに同期手
段を備えてパルス流内でブライトパルスにダークパルスの生成を同期させるよう
にした請求項16記載の光信号生成器。
18.前記ダークパルス生成用手段は、OTDM信号の割当てられた時間スロッ
ト内で光入力信号上にダークパルスを生成するために、各々が独立して制御可能
である、請求項15ないし17のいずれか1項記載の光信号生成器。
19.その上に少くとも2つの電子吸収変調器が光学的な結合整列状態で組立て
られる半導体基板と、
各変調器に電気的駆動を与えるための手段とから成り、
各電子吸収変調器とその電気的駆動とは、使用時に、該変調器の第1のものへ
の光ビーム入力上にダークパルスを生成することができるようにされている半導
体装置。
20.さらに、前記基板上に光源が組立てられて、前記変調器への光入力が作ら
れるようにされて成る請求項19記載の半導体装置。
21.各変調器へ電気駆動を送るための手段が同期されていて、各変調器は光時
分割多重(OTDM)信号内の割当てられた時間スロットのためにダークパルス
を送出できるようにされた請求項19又は20記載の半導体装置。
22.光クロック源と;
1又は複数のデータシーケンスを表わすダークパルスを生成するために、該ク
ロック源から受けた光を選択的にオフにスイッチするための複数の手段であって
、該手段は光学的な結合整列状態にあって該手段の第1のものが該クロック源か
らの光を受けるようにされている複数の手段と;
該手段の最後のものから光ファイバ通信システムへ光を結合させるための手段
とから成る光変調器。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
H04J 14/08
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ,
DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I
S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR
,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,
MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S
D,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT
,UA,UG,US,UZ,VN