JP3615093B2 - 加熱調理器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波による高周波加熱機能を有する加熱調理器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、非接触型の赤外線センサを用いて食品の温度を検出して加熱状態を制御する加熱調理器では、赤外線センサの複数の温度感知素子によってキャビティ内の複数箇所の温度を検知している。そして、複数箇所の温度検知のためには、複数の温度感知素子を二次元的な配列にして複数箇所の温度それぞれを同時に検知する方法や、ターンテーブルの半径方向に直線状に複数の温度感知素子を配列してターンテーブルの回転と協働させて、キャビティ内の複数箇所それぞれの温度を検知する方法、さらには、1つの温度感知素子の向きを動かしてキャビティ内の複数箇所のそれぞれの温度を順次検知する方法がとられている。
【0003】
そしてこれらのいずれの方法による場合であっても、赤外線センサの温度感知素子1つ1つは互いに測定視野が重なり合わないように設定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の赤外線センサを用いた加熱調理器では、食品の温度検出において、次のような問題点があった。赤外線センサの視野範囲がある広がりを持った楕円形となり、赤外線センサは視野範囲内の温度分布の平均値を出力するので、視野の大きさより小さい部分の温度は正確に検出することができない。例えば、食品の端に視野がかかる場合のように、視野の一部のみに食品が入っていると、食品の温度と背景の温度とが平均化され、食品そのものの温度が正確に検出できない。
【0005】
これを避けるために視野の大きさを小さく絞れば分解能が上がり、境界部分にかかる機会を減少させることができるが、視野を絞ることにより赤外線センサの感度を弱くしてしまい、耐ノイズ特性が悪くなり、かえって検出精度を低下させる要因となる。
【0006】
本発明は上述した従来の問題点を解決するためになされたもので、分解能が高く、しかも耐ノイズ特性も良好であり、キャビティ内の複数箇所の正確な温度検出ができる温度検出機能を備えた加熱調理器を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項の発明の加熱調理器は、食品を加熱するキャビティと、食品にマイクロ波を供給する加熱手段と、非接触で前記キャビティ内の複数箇所の温度を検出する赤外線検出手段と、前記赤外線検出手段の検出信号に基づいて前記複数箇所それぞれの温度値を得る温度演算手段と、前記温度演算手段の演算結果に基づいて前記加熱手段による加熱方法を制御する加熱方法制御手段と、前記食品を回転させるターンテーブルとを備え、前記赤外線検出手段は、直線上に並ぶ複数の測定視野を持ち、前記測定視野は、前記ターンテーブルの回転中心を通り、当該ターンテーブルの直径分の温度検知が可能な配列で、かつ、前記直径の片方の半径部分に対する測定視野配列ともう片方の半径部分に対する測定視野配列とを、180度回転した状態での測定検出視野と回転前の測定検出視野との間で所定割合ずつずれて重なり合う配列にしたものである。
【0013】
請求項の発明の加熱調理器では、赤外線検出手段によってターンテーブルの回転と協働してキャビティ内の複数箇所の温度検出を行い、ターンテーブルが180度回転した状態での温度検出信号と重ね合わせることにより、各測定視野からそれが隣接する測定視野と互いに所定割合ずつ重なり合った状態での温度検出信号を得ることができ、これらの各測定視野の温度検知信号に対して所定の演算処理を施すことによって、隣接する測定視野同士の温度検知信号から各測定視野よりも狭い範囲の温度演算値を得ることができ、食品部分の温度を正確に検出することができる。
【0014】
請求項の発明は、請求項1の加熱調理器において、前記測定視野の隣接する測定視野同士を、レンズによって一定割合ずつ重なり合うようにしたものである。
【0015】
請求項の発明は、請求項1の加熱調理器において、前記測定視野の隣接する測定視野同士を、反射ミラーによって一定割合ずつ重なり合うようにしたものである。
【0016】
請求項2及び3の発明の加熱調理器では、赤外線検出手段側の温度感知素子それぞれは固定したまま、レンズ又は反射ミラーの向きや位置を調整することによって測定視野それぞれをふさわしい割合で重なり合うように調整することができる。
【0017】
請求項の発明は、請求項1の加熱調理器において、前記隣接する測定視野同士の重なり合う割合を、前記測定視野の半径分にしたものであり、各測定視野ごとの温度検知信号から食品部分の温度算出する演算式が単純になり、温度測定機能の高速化が図れる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1は本発明の第1の実施の形態の加熱調理器1の外観を示し、図2はその機能構成を示している。また図3及び図4は赤外線センサを示している。
【0019】
加熱調理器1において、2は調理対象物を入れるキャビティ、3はキャビティ2の扉、4は調理方法、調理温度、調理時間等の設定操作を行うための操作パネルで、数字表示窓5と操作ボタン6を備えている。7は食品を乗せて回転するターンテーブルである。そして8は赤外線センサであり、キャビティ2内のターンテーブル7上に載置された食品9の温度を検出できる位置に設置されている。ここで食品9は、食品トレー10上に載せられた状態でキャビティ2内に入れられている。
【0020】
図2に詳しいように、加熱制御部は赤外線センサ8、温度演算部11、測定対象判別部12、加熱方法制御部13、そしてマグネトロン(電子レンジだけの場合)又はマグネトロンとヒータ(オーブンレンジの場合)から成る加熱装置14を備えている。なお、温度演算部11、測定対象判別部12、加熱方法制御部13は1つ又は複数のマイコンチップにそれぞれの働きをするプログラムとして組み込まれるものである。そして必要なデータのためのメモリも備えられている。
【0021】
図3及び図4は、本実施の形態に使用されるリニア8素子構成の赤外線センサ8(ハイマン社製)の形状と回路構成を示している。図3に示したように赤外線センサ8は、レンズ81と電子部品であるセンサ回路部82から構成されている。レンズ81は赤外線を透過するためにシリコンで作られた凸レンズである。
【0022】
図4に示すように、センサ回路部82には、8素子をリニアに配列したサーモパイル83と、このサーモパイル83の出力を増幅する増幅回路84から構成されている。そして増幅回路84には、サーモパイル83の各素子の出力を順次に取り出すマルチプレクサ85、このマルチプレクサ85の出力の増幅器86、基準温度を検出する自己温度センサ87、この自己温度センサ87の出力の増幅器88、基準電圧設定器89、もう一つのマルチプレクサ810、出力回路811、発振器812及びコントロールユニット813が備えられている。
【0023】
センサ回路部82では、サーモパイル83の8素子の電圧出力Vは、
【数1】
Figure 0003615093
ここで、Vは出力電圧、νは適合係数、Tbbは被測定物(食品)の絶対温度、Tamはセンサの絶対温度である。
【0024】
さらに適合係数νは、温度を校正する際の黒体の温度Tcと出力電圧Vcとから、
【数2】
Figure 0003615093
で表わされる。そして最終的に、被測定物の温度Tbbは、
【数3】
Figure 0003615093
で表わされる。
【0025】
図5に詳しいように、赤外線センサ8のリニア8素子それぞれの受け持つ測定視野i1〜i8は、その全体でキャビティ2内のターンテーブル7の中心部分から外周部分まで、1つの半径分をカバーし、しかも隣接する測定視野同士で視野半径分ずつ重なり合うようにレンズ81によって設定してある。そこでターンテーブル7が1回転すると、このリニア8素子の赤外線センサ8によってターンテーブル7の全領域の温度検出ができる。例えば、回転角度θ=360°/mごとに1回検出することにより、ターンテーブル7の全面を検出するものとして、素子i1〜i8による視野は、回転角θ1,θ2,…,θmそれぞれに対してi1θ1〜i8θ1,…,i1θm〜i8θmとして区別する。
【0026】
温度演算部11は、この赤外線センサ8の8素子の測定視野i1θ1〜i8θ1,…,i1θm〜i8θmそれぞれの温度検出信号に対して各視野ごとの温度算定を行ってメモリに記憶し、またそれを更新する。測定対象判別部12は、温度演算部11の算出する各視野の温度算出値に基づき、直接可視視野の温度、境界視野の温度、背景視野の温度を判別し、それぞれの視野の種類とその温度算出値を加熱方法制御部13に出力する。
【0027】
加熱方法制御部13は、操作パネル4から入力される、例えば「温め」、「解凍」、「解凍・温め」といった調理方法に対して、食品の設定温度や加熱時間を設定し、測定対象判別部12から出力される各視野ごとの温度算出値を基にして加熱装置14の加熱方法を決定し、またその加熱制御を行う。
【0028】
次に、上記の構成の加熱調理器の動作について説明する。温度演算部11は赤外線センサ8の8素子それぞれが検出する温度検出信号に対して所定の演算処理によって温度算出値を求め、これを測定対象判別部12に出力する。
【0029】
測定対象判別部12の動作は、次の通りである。図5及び図6を参照して、赤外線センサ8の8素子それぞれの測定視野i1θ1〜i8θ1,…,i1θm〜i8θmのうちには、食品9のターンテーブル7上の位置によって組み合わせが異なるが、次の3種類の視野のいずれかに属する。
【0030】
(1)背景視野…視野i5〜i8のように食品9に全くかからず、背景だけの温度を検出する視野。
【0031】
(2)直接可視視野…視野i1〜i3のように食品9に全視野がかかる視野。
【0032】
(3)境界視野…視野i4のように食品9と背景との両方にかかる視野。
【0033】
このうち、加熱制御に必要な温度情報は、食品9の部分の温度である。そして従来でも、直接可視視野と背景視野とを判別し、直接可視視野の温度算出値を用いて加熱制御するようにしていた。しかし、従来の加熱調理器では、境界視野の判別まで考慮しておらず、境界視野の食品の温度が正確に検出できず、背景温度と食品の温度とが平均化された温度値をもって加熱を制御してしまっていたため、調理仕上がりの精度が得られなかった。特に解凍温め調理において冷凍されていた食品に局所的な煮えが発生するのはこのような食品の端部分、つまり境界視野に含まれる部分であるが、従来ではそのような局所的な煮えが発生しやすい境界視野内の食品部分だけの温度を正確に検出することができなかったのである。
【0034】
これに対して、本発明ではこれらの3種類の測定視野のどの視野の検出温度であるかを測定対象判別部12によって判別し、さらに食品の温度算出値を求め、その結果を加熱方法制御部13に渡すことができるようにしたのである。
【0035】
加熱方法制御部13は測定対象判別部12が求めた食品の温度算出値に基づいて加熱装置14を制御し、食品を調理方法に応じた設定温度まで加熱する。
【0036】
そして第1の実施の形態では、測定対照判別部12は境界視野を特定すると共に、その境界視野における食品部分の温度を次のようにして算定する。
【0037】
まず、背景視野の温度Tbkを決定する。背景温度については、ここでは赤外線センサ8が内蔵している自己温度センサ87の検出温度を用いて背景温度として利用する。加熱調理前の加熱調理器1では、製品内の各部の温度が室温になっていると予想できる。そこで、赤外線センサ8内に温度校正用に設置されている自己温度センサ87の検出温度を用いて背景温度とするのである。なお、オーブンレンジである場合、キャビティ温度を検出するためにオーブンサーミスタが本来備えられているが、その場合には、オーブンサーミスタの測定温度を背景温度Tbkとして利用することもできる。
【0038】
また、解凍加熱する場合、初期の食品温度は通常、冷凍状態であるので0℃以下であり、室温(背景温度)とは大きく異なっている。したがって、初期の食品温度Tfは赤外線センサ8による温度分布から最低値をサーチし、それを初期の食品温度Tfとする。
【0039】
さらに、図6に示したように、赤外線センサ8のいずれかの視野は背景と食品とに共にかかる場合があり、このような場合、赤外線センサ8の検出する温度はその視野の積分値であるので、食品温度と背景温度との中間値を示す。そこで、解凍調理の場合、上述の方法で決定した背景温度Tbk、初期食品温度Tfとを用いて、これらの中間的な温度を示す視野は境界視野であると予測する。そして、各境界視野においては、次の方法によって食品温度を算定する。
【0040】
境界視野における食品温度の算出原理を説明する。図6において食品9の境界部分に3つの測定視野in−1,in,in+1があるとする。それぞれの測定視野は、半径分ずつ重なり合っているとする。図6は、食品9の境界部が内側視野in−1と中間視野inとの両方にかかっている状態を示している。いま、
内側視野in−1内の食品部分の割合をa(0≦a≦1)、
中間視野in内の食品部分の割合をb(0≦b≦1)、
外側視野in+1内の食品部分の割合をc(0≦c≦1)
とする。
【0041】
また、各視野の半径r=1であり、中間視野inの中心をx軸の原点(x=0)にとり、食品の右端と背景との境界をx座標にとっている。また説明の単純化のため、食品9の右端境界はx軸に垂直であるとする。
【0042】
このような条件で、食品9の境界線をx軸方向に変化させた場合の、各視野内の食品の占める割合をグラフにしたのが図7である。ここで、注目すべきことは、食品9の境界をx軸上で動かしても、a−b=約0.55(定数)、b−c=約0.55(定数)となることである。この条件は、視野範囲内に背景を含む場合に成り立つ。そこで、この関係を利用することによって、視野の大きさよりも小さい範囲の温度を正確に算出することができるようになる。
【0043】
計算の一例を挙げてみる。
【0044】
a−b=M(ここでは、0.55とする)、
内側視野in−1の温度検知値をp、中間視野inの温度検知値をqとし、各視野にかかっている食品部分の温度による単位面積当たりの検知エネルギ値をX、背景からの単位面積当たりの検知エネルギ値をYとする。
【0045】
最終的に求めたいのは、食品部分の温度によって決まる値Xである。以下に、このXを求める手順を示す。赤外線センサ8の視野内の検知エネルギは、視野内の検知エネルギの積分値(平均値)となるため、
【数4】
p=a・X+(1−a)・Y
q=b・X+(1−b)・Y
となる。よって、
【数5】
p−q=(a−b)・X−(a−b)・Y
p−q=M・X−M・Y
となる。
【0046】
上述したように、背景温度は既知であるので、Yの値も既知(Y=Tbk)である。よって、数5式を変形することにより、p−q(隣り合う視野の温度検知値の差)から、食品部分の温度による単位面積当たりの検知エネルギXを求めることができる。
【0047】
【数6】
X=((p−q)+M・Y)/M
この食品部分の温度は、視野の大きさよりも小さい。
【0048】
上記は一例であるが、所定の重なり割合を設定することにより定数Mが変わるものの、隣り合う視野の相関関係は所定の式によって関係付けられるため、いずれの場合にも視野を重ならせることで、分解能を良くすることができる。
【0049】
また、食品9の各部の温度についても、視野の範囲よりも小さい範囲の温度を算定することができる。いま、初期温度Tfに対して一定の範囲内(例えば、±20%以内)にある温度値を示す視野は全体が食品9にかかっているものとみなす。その場合、図8に示すように、次の方法によって視野2における斜線部分の温度値を算定する。
【0050】
視野1〜視野3のいずれもが食品9上にある場合、視野1の温度検知値をp、視野3の温度検知値をq、その中間の視野2の温度検知値をrとしたとき、視野1内の温度による単位面積当たりの検知エネルギをP、視野3内の温度による単位面積当たりの検知エネルギをQ、視野2内の視野1と視野3がかかっていない部分の温度による単位面積当たりの検知エネルギをXとする。ここで、視野の重なる割合をa(定数)とする。
【0051】
求めたいのは、視野の大きさよりも小さい範囲の温度から来るXの値である。以下にそのXを求める一例を示す。
【0052】
【数7】
p=1・P
q=1・Q
r=a・P+a・Q+(1−2a)・X
である。これより、
【数8】
r=a・(p+q)+(1−2a)・X
である。この数8式において、p,q,rは測定値として得られており、またaは定数として与えられているので、この式から、Xの値は、
【数9】
X=(r−a・(p+q))/(1−2a)
によって簡単に求められる。
【0053】
いずれにしても、赤外線センサ8の各温度感知素子の視野を一定の割合で重なり合わせることにより、上述した方法によって視野よりも小さい範囲の食品温度を算定することができ、分解能を高めることができるのである。
【0054】
なお、測定対象判別部12が上述した食品の初期温度に基づいて、背景視野、境界視野及び直接可視視野を決定した後は、いつでも上記の数6式、数9式を用いて境界視野における食品の温度、また視野よりも小さい範囲の食品温度を求めることができる。したがって、加熱調理スタート後、周期的に赤外線センサ8による温度測定を繰返すことにより、食品9の各部の温度を高い分解能で正確に把握することができ、煮えが発生する恐れのある温度に到達する前に加熱を強制的に中止するようにすれば、煮えの発生を確実に防止することができる。
【0055】
なお、赤外線センサ8の複数の温度感知素子により、隣接する視野同士が一定の割合で重なり合う設定にするには、図9(a)に示したように赤外線センサ8の前方に適切な倍率の凸レンズ8Aを設置する方法を採用することができる。また同図(b)に示したように、赤外線センサ8に対して凹面鏡8Bを設置する方法を採用することもできる。
【0056】
以下、この第1の実施の形態の加熱調理器による加熱制御について、図10及び図11に示したフローチャートを用いて説明する。以下、調理方法に「解凍」が指定され、加熱スタートボタンが押された場合について説明する。
【0057】
加熱スタートボタンが押されると指定された加熱方法(ここでは、加熱装置14のうちのマグネトロンによる高周波加熱)で、タイマに設定した所定時間の加熱を開始し(ステップS00)、これと並行して、赤外線センサ8は初期温度分布を測定して温度演算部11に入力する。また自己温度検出信号も温度演算部11に入力する(ステップS05)。温度演算部11では素子i1〜i8それぞれの温度検出信号に対して温度算出演算を行い、測定視野i1θ1〜i8θ1,…,i1θm〜i8θmごとの温度算出値を求める。また赤外線センサ8の自己温度検出信号に基づき、自己温度(基準温度)も算出する(ステップS10)。
【0058】
測定対象判別部12は、この温度算出値を受けて上述した方法で直接可視視野、背景視野、境界視野を判別する(ステップS15〜ステップS25)。つまり、赤外線センサ8の自己温度検出信号に基づく温度算出値からキャビティ2内の温度(初期背景温度)を定める(ステップS15)。また温度算出値のうちの最低温度値により、食品9の初期温度を定める(ステップS20)。そして、この初期温度に近い温度値を示す視野を直接可視視野、また初期背景温度と食品初期温度との中間的な温度を示す視野を境界視野と判別し、i1θ1〜i8θ1,…,i1θm〜i8θmの温度算出値をそれぞれの視野と対応させ、その判別結果を加熱方法制御部13に渡す(ステップS25)。
【0059】
加熱方法制御部13では、指定された加熱方法での加熱制御を続行する(ステップS30)。そして解凍加熱中、赤外線センサ8によりキャビティ2内の温度測定を周期的に行い続け(ステップS35)、加熱方法制御部13は直接可視視野それぞれにおける食品9の温度を監視すると共に、上述した方法で境界視野における食品の温度も推算し、温度監視を続ける(ステップS45)。
【0060】
そして上記のいずれかの直接可視視野の食品温度又は境界視野における食品部分の推定温度が煮え防止温度、例えば28℃(この設定温度は特に限定されないが、局所的に煮えが発生する恐れのある温度が30℃程度なので、それを考慮した温度に設定する)に到達すれば加熱を停止する(ステップS50,S65)。
【0061】
ステップS50で直接可視視野の食品温度又は境界視野における食品部分の推定温度のいずれも煮え防止温度に到達していなくても、直接可視視野の食品温度のいずれか又は境界視野における食品部分の推定温度のすべてがあらかじめ設定した温度に到達していれば加熱を終了する(ステップS55,S65)。また、設定温度に到達していない場合でも、タイマが終了すれば加熱を終了する(ステップSS60,S65)。
【0062】
このようにして、第1の実施の形態の加熱調理器では、冷凍食品を解凍加熱する場合、赤外線センサによって食品各部の温度が局所的に煮え温度まで上昇しないように監視しながら解凍加熱することができる。
【0063】
なお、上記の実施の形態では、図12に示したように、赤外線センサ8の温度感知素子が形成する視野を、ターンテーブル7の直径ほぼ全体をカバーする設定にすることもできる。この場合には、上記の実施の形態のほぼ半分の測定回数でターンテーブル7の全体の温度分布が得られる。
【0064】
次に、本発明の第2の実施の形態の加熱調理器について、図13に基づいて説明する。第2の実施の形態の特徴は、赤外線センサ8として温度感知素子が二次元的に配列されたエリアセンサ仕様のものを採用したことを特徴とする。したがって、赤外線センサ8の測定視野ijkはターンテーブル7のほぼ全体をカバーし、一度の温度測定でターンテーブル7の全体の温度分布データが得られる。
【0065】
この第2の実施の形態において、赤外線センサ8以外の構成は、図1〜図12に示した第1の実施の形態と同様である。ただし、第2の実施の形態の場合には、測定視野ijkは前後左右に隣接する他の測定視野と互いに一定割合で重なり合う設定である。そして、温度演算部11が用いる演算式は、数6式、数9式を二次元配列に対応するように変形したものとなる。
【0066】
この第2の実施の形態によれば、温度感知素子の数は増大するが、反面、一度の温度測定でターンテーブル7の全体の温度分布データが得られるので、温度測定処理が速くなる。
【0067】
なお、図14は赤外線センサ8の温度感知素子個々の測定視野を広げたものであり、このようにすれば、素子数を少なくすることができる。
【0068】
次に、本発明の第3の実施の形態の加熱調理器について、図15に基づいて説明する。第3の実施の形態の特徴は、赤外線センサ8を直線上に並ぶ複数の測定視野i1〜i7を持ち、かつ各測定視野i1〜i7がターンテーブル7の回転中心を通り、ターンテーブル7の直径分の温度検知が可能な配列で、しかも、直径の片方の半径部分r1に対する測定視野i1〜i4の配列ともう片方の半径部分r2に対する測定視野i5〜i7の配列とが180度回転した状態で所定割合ずつずれて重なり合う配列にした点にある。なお、その他の構成は、図1〜図12に示した第1の実施の形態と同様である。
【0069】
これにより、図15において実線で示す測定視野i1〜i7それぞれに対して、ターンテーブル7が180度回転した状態での破線で示す測定視野i7′〜i1′それぞれとが一定割合で互いに重なり合うことになる。したがって、第1の実施の形態で用いた数6式において、例えば、p=i5の温度データ、q=i3′の温度データ、M=i5とi3′との重なり割合というように当てはめれば、同様にして高い分解能で境界視野における食品温度を算定することができる。
【0070】
また、第1の実施の形態で用いた数9式において、p=i4の温度データ、q=i5の温度データ、r=i4′の温度データ、a=i4とi4′の間、またi4′とi5との間の重なり割合というように当てはめれば、同様にして高い分解能で食品温度を算定することができる。
【0074】
【発明の効果】
請求項の発明によれば、赤外線検出手段が直線上に並ぶ複数の測定視野を持ち、測定視野それぞれはターンテーブルの回転中心を通り、かつターンテーブルの直径分の温度検知が可能な配列で、しかも、ターンテーブルの直径の片方の半径部分に対する測定視野配列ともう片方の半径部分に対する測定視野配列とを、180度回転した状態での測定検出視野と回転前の測定検出視野との間で所定割合ずつずれて重なり合う配列にしたので、赤外線検出手段によってターンテーブルの回転と協働してキャビティ内の複数箇所の温度検出を行い、ターンテーブルが180度回転した状態での温度検出信号と重ね合わせることにより、各測定視野を隣接する測定視野と互いに所定割合ずつ重なり合った状態での温度検出信号を得ることができ、これらの各測定視野の温度検知信号に対して所定の演算処理を施すことによって隣接する測定視野同士の温度検知信号から各測定視野よりも狭い範囲の温度演算値を得ることができ、食品部分の温度を正確に検出することができる。
【0075】
請求項2及び3の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、隣接する測定視野同士をレンズ又は反射ミラーによって一定割合ずつ重なり合うようにしたので、赤外線検出手段側の温度感知素子それぞれは固定したまま、レンズ又は反射ミラーの向きや位置を調整することによって測定視野それぞれをふさわしい割合で重なり合うように調整することができる。
【0076】
請求項の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、隣接する測定視野同士の重なり合う割合を測定視野の半径分にしたので、各測定視野ごとの温度検知信号から食品部分の温度算出する演算式が単純になり、温度測定機能の高速化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の加熱調理器の斜視図。
【図2】上記の実施の形態の回路構成を示すブロック図。
【図3】上記の実施の形態で使用する赤外線センサの正面図及び底面図。
【図4】上記の実施の形態で使用する赤外線センサの回路ブロック図。
【図5】上記の実施の形態で使用する赤外線センサの測定視野とターンテーブルとの関係を示す平面図。
【図6】上記の実施の形態の加熱調理器において採用した境界視野での食品温度の測定原理を説明するための測定視野と食品との関係を示す平面図。
【図7】上記の食品温度の測定原理において使用する食品の境界位置と視野の重なり割合との関係を示すグラフ。
【図8】上記の実施の形態の加熱調理器において採用した直接可視視野での食品温度の測定原理を説明するための測定視野と食品との関係を示す平面図。
【図9】上記の実施の形態において、赤外線センサの視野設定に用いるレンズ及び反射鏡と赤外線センサとを示す説明図。
【図10】上記の実施の形態による食品加熱制御の前半のフローチャート。
【図11】上記の実施の形態による食品加熱制御の後半のフローチャート。
【図12】上記の実施の形態において使用する赤外線センサの別の例を示す説明図。
【図13】本発明の第2の実施の形態で使用する赤外線センサの測定視野とターンテーブルとの関係を示す説明図。
【図14】上記の第2の実施の形態で使用する別の赤外線センサの測定視野とターンテーブルとの関係を示す説明図。
【図15】本発明の第3の実施の形態で使用する赤外線センサの測定視野とターンテーブルとの関係を示す説明図。
【符号の説明】
1 加熱調理器
2 キャビティ
3 扉
4 操作パネル
7 ターンテーブル
8 赤外線センサ
9 食品
11 温度演算部
12 測定対象判別部
13 加熱方法制御部
14 加熱装置

Claims (4)

  1. 食品を加熱するキャビティと、食品にマイクロ波を供給する加熱手段と、非接触で前記キャビティ内の複数箇所の温度を検出する赤外線検出手段と、前記赤外線検出手段の検出信号に基づいて前記複数箇所それぞれの温度値を得る温度演算手段と、前記温度演算手段の演算結果に基づいて前記加熱手段による加熱方法を制御する加熱方法制御手段と、前記食品を回転させるターンテーブルとを備え、
    前記赤外線検出手段は、直線上に並ぶ複数の測定視野を持ち、
    前記測定視野は、前記ターンテーブルの回転中心を通り、当該ターンテーブルの直径分の温度検知が可能な配列で、かつ、前記直径の片方の半径部分に対する測定視野配列ともう片方の半径部分に対する測定視野配列とを、180度回転した状態での測定検出視野と回転前の測定検出視野との間で所定割合ずつずれて重なり合う配列にしたことを特徴とする加熱調理器。
  2. 前記測定視野の隣接する測定視野同士を、レンズによって一定割合ずつ重なり合うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
  3. 前記測定視野の隣接する測定視野同士を、反射ミラーによって一定割合ずつ重なり合うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
  4. 前記隣接する測定視野同士の重なり合う割合を、前記測定視野の半径分にしたことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
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