JP3614757B2 - コンクリート補強用繊維及び繊維補強コンクリート組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート補強用繊維及び繊維補強コンクリート組成物に関し、さらに詳しくは、使用済みポリエチレンテレフタレート(PET)ボトルなどの熱可塑性ポリエステル成形物を再生利用して形成した短繊維からなるコンクリート補強用繊維、及び該補強用繊維を含有するコンクリート組成物に関する。本発明において、コンクリートには、セメントモルタルも包含される。
【0002】
【従来の技術】
コンクリートは、建築物や土木構造物等を形成する基本的な構造材料である。コンクリートは、一般に、セメント、水、及び骨材(細骨材、粗骨材)からなる基本材料をミキサーで練り混ぜてフレッシュコンクリートを製造し、これを打ち込み場所まで運搬して、型枠中に打ち込み、養生してセメントの水和反応による硬化を起こさせて、硬化コンクリートを得るという過程で完成する。硬化コンクリートには、強度、弾性的性質、クリープ等の力学的性質、変形性能、容積変化(乾燥収縮)が小さく、ひび割れが生じにくいこと、耐久性、水密性、耐熱性、耐火性など様々な性能が要求される。
【0003】
これらの性能は、基本材料だけでは充分に満足できない場合がある。そこで、従来、要求性能に応じて、基本材料であるセメント、水、及び骨材に加えて、種々の材料がコンクリート混和剤または混和材として用いられている。このようなコンクリート混和材のひとつとして、鋼繊維、耐アルカリガラス繊維、有機合成繊維などの補強用繊維が知られている。コンクリート補強用繊維は、硬化コンクリートのひび割れ防止、圧縮強度や曲げ強度などの強度特性の向上等を目的として用いられている。
【0004】
しかし、従来のコンクリート補強用繊維のなかで、鋼繊維は、発錆による強度低下や硬化コンクリートとの接着力の低下などによる補強性の低下、錆びによる外観損傷などの問題がある。また、鋼繊維は、高比重であるため、充分な補強効果を得るために、配合割合を大きくする必要がある。耐アルカリガラス繊維は、アルカリ耐久性がいまだ充分ではなく、耐久性のある構造部材として利用することが困難である。しかも、耐アルカリガラス繊維は、混練中の折損により繊維長が短くなりすぎて、補強効果が低下する。
【0005】
有機合成繊維としては、ポリビニルアルコール(PVA)短繊維をセメントモルタルまたはコンクリート補強用繊維として使用することが提案されている(特公平1−23428号公報、特公平1−40786号公報、特開昭63−303837号公報)。PVAは、側鎖に水酸基を有する親水性の高い高分子である。したがって、PVA繊維は、親水性であり、セメント、水、及び骨材を含むコンクリート組成物との親和性が良好で、均一に混ざりやすく、硬化セメントとの接着性も良好である。しかし、コンクリート補強用に適したPVA繊維は、高強度が要求されることもあって、製造コストが比較的高い。
【0006】
PVA繊維以外のポリオレフィン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維などの有機合成繊維は、一般に疎水性であるため、水を含むコンクリート組成物との親和性に劣り、しかも硬化コンクリート(セメントマトリックス)との接着性が悪く、破断時に繊維がセメントマトリックスから引き抜けるために補強効果は少ない。特にポリエステル系繊維は、耐アルカリ性が弱く、コンクリート及びモルタルの耐久部材に使用することができない(特公平1−23428号公報)。
【0007】
一方、PETボトルに代表される熱可塑ポリエステル樹脂成形物は、使用後の廃棄物処理が大きな問題となっており、その回収・リサイクルが世界各国で解決すべき重要課題となっている。わが国においても、容器包装リサイクル法の施行により、PETボトルの回収・リサイクルの促進が図られている。この回収・リサイクルには、大きく分けて2つの流れがある。
【0008】
そのひとつは、使用済みPETボトルを破砕してフレークやチップなどの破砕物とし、これを洗浄等により精製するメカニカルリサイクルである。メカニカルリサイクルにより、再生ポリマー量が増大している。しかし、PETボトル廃棄物からの再生ポリマー(破砕物)を樹脂原料として、ブロー成形、押出成形、射出成形等の溶融成形法により容器等の成形品に成形しても、バージンポリマーを用いた場合に比べて、機械的強度や色調等の品質の低下が避けられない。
【0009】
他のひとつは、PETボトル等の廃棄物をモノマー成分にまで解重合するケミカルリサイクルである。前記再生ポリマーも、このケミカルリサイクルの原料として用いられている。しかし、ケミカルリサイクルによれば、高純度のモノマーを得ることができるものの、回収システムが複雑なため、コスト的には苦しい状況に置かれている。
【0010】
メカニカルリサイクルにより得られる再生ポリマーを有効利用することができるならば、コストの問題を低減することができ、廃棄物処理問題の改善に寄与することができる。しかし、再生ポリマーの有効利用には、前記のような問題があり、適用分野に制限があった。
【0011】
従来、コンクリートの技術分野において、使用済みPETボトル等の熱可塑性プラスチック廃材を小片化し、これを処理して、セメント製品に混入する方法が提案されている(特開平10−245251号公報)。具体的には、PETボトル等のプラスチック廃材を小片化し、この小片に加熱したフライアッシュ等のコンクリート混和材を接触させて、小片の周面にコンクリート混和材を固定した骨材を製造し、そして、この骨材をセメントミルク形成材料に混練するという方法である。この方法によれば、PETボトル等のプラスチック廃材の小片と硬化コンクリートをコンクリート混和材を介して馴染ませることができる。また、この方法によれば、骨材として砂や粉石を用いた場合に比べて、軽量化したセメント製品を得ることができる。しかし、この方法は、セメント製品をプラスチック廃材の小片により補強するものではなく、単なる増量法にすぎない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、安価な使用済みPETボトル等の熱可塑性ポリエステル樹脂成形物の破砕物を原料として使用し、コンクリート組成物との親和性が良好で、しかも機械的特性に優れ、かつ、耐ひび割れ性が良好な硬化コンクリートを与えることができるコンクリート補強用繊維を提供することにある。本発明の他の目的は、このような補強用繊維を含有するコンクリート組成物を提供することにある。
【0013】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究した結果、使用済みPETボトル等の熱可塑性ポリエステル樹脂成形物の破砕物を使用して延伸繊維を形成し、これを切断して短繊維としたものが、意外にも親水性が良好であり、セメント、水、及び骨材からなる基本材料と迅速かつ均一に混練できることを見いだした。この短繊維を配合したコンクリート組成物を用いて硬化コンクリートを作成したところ、圧縮強度、引張強度、曲げ強度、曲げタフネスなどの機械的特性が改善され、耐ひび割れ性にも優れた硬化コンクリートの得られることをが判明した。さらに、この短繊維を補強用繊維として使用することにより、コンクリート組成物の使用水分量を通常の設計基準よりも大幅に低減することができる。
【0014】
従来の知見によれば、このようなポリエステル系繊維は、疎水性であって、かつ、硬化コンクリート(セメントマトリックス)との接着性が悪く、補強効果や耐久性を期待することができないことが技術常識であった。この点で、熱可塑性ポリエステル樹脂成形物の破砕物を用いて得られる延伸繊維は、コンクリート補強用繊維として、予期できない顕著な作用効果を示すものである。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、熱可塑性ポリエステル樹脂成形物の破砕物から成形された延伸繊維の切断短繊維からなるコンクリート補強用繊維が提供される。また、本発明によれば、少なくともセメント、水、骨材、及び補強用繊維を含有する繊維補強コンクリート組成物において、該補強用繊維が、熱可塑性ポリエステル樹脂成形物の破砕物から成形された延伸繊維の切断短繊維であることを特徴とする繊維補強コンクリート組成物が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
(1)熱可塑性ポリエステル樹脂成形物の破砕物
本発明が対象とする熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成形物の分別収集が広く行われており、洗浄・乾燥した細片状の回収樹脂の入手が容易なPET樹脂が好ましい。
【0017】
熱可塑性ポリエステル樹脂成形物としては、特に限定されないが、使用済みのPETボトル、PETトレー、産業廃棄物としての各種PET樹脂廃棄物等が挙げられる。成形物として、成形時に発生する成形屑も利用できる。本発明において、熱可塑性ポリエステル樹脂成形物とは、該樹脂を少なくとも1回は溶融成形加工したものであることを意味する。破砕物としては、フレーク状またはチップ状などの細片状に破砕したものが挙げられる。破砕後、常法に従って異物を除去し、洗浄・乾燥した破砕物を用いる。ただし、破砕物は、高度に精製されたものであることを要しない。後述するように、破砕物には、ある程度の量の分解生成物が含有されていることが好ましい。
【0018】
(2)延伸繊維
熱可塑性ポリエステル樹脂は、結晶化速度が遅いため、強い延伸がかけられると分子が一方向に揃って、機械的に優れた延伸繊維が形成される。補強効果に優れたコンクリート補強用繊維を得るには、熱可塑性ポリエステル樹脂の延伸繊維から補強用の短繊維を得ることが必要である。
【0019】
熱可塑性ポリエステル樹脂成形物の破砕物を原料として延伸繊維を製造するには、先ず破砕物を熱可塑性ポリエステル樹脂の融点以上の温度(PET樹脂の場合、通常、260〜275℃)で溶融紡糸して、未延伸糸を製造する。未延伸糸を冷却した後、熱可塑性ポリエステル樹脂の融点未満の温度で延伸する。延伸温度の下限は、熱可塑性ポリエステル樹脂のガラス転移温度前後の温度である。延伸温度は、PET樹脂の場合、通常、150〜250℃である。未延伸糸を半溶融状態で延伸することにより、分子が延伸方向に配列し、機械的特性に優れた延伸繊維を得ることができる。延伸は、1段延伸でも、2段以上の多段延伸でもよい。延伸倍率は、通常1.5〜10倍、好ましくは2〜8倍程度である。このような溶融紡糸及び延伸は、熱可塑性ポリエステル樹脂の延伸繊維を製造する際に採用されている常法に従って行うことができる。
【0020】
延伸繊維の延伸の程度は、延伸倍率だけではなく、ヤング率(引張弾性率)によって評価することができる。本発明で使用する延伸繊維のヤング率は、好ましくは0.2〜11GPa、より好ましくは0.5〜10GPa、特に好ましくは0.7〜9GPaの範囲である。延伸繊維のヤング率が大きいことにより、コンクリートに対する補強効果が大きくなる。
【0021】
延伸繊維の断面形状は、特に限定されず、円形、楕円形、多角形(三角形、正方形、長方形等)もしくは異形(前記以外の任意の形状)のいずれでもよい。延伸工程で、歯車等を用いて、繊維の長さ方向に突起、節もしくは凹凸(繊維周面に沿った溝と山、または刻み目)などを設けたり、あるいは、長さ方向に捩じりを加えることができる。このような変形を加えることにより、アンカー効果によって、短繊維がセメントの硬化時にセメントマトリックスと強固に結合することができる。
【0022】
延伸繊維の径は、好ましくは0.01〜3mm、より好ましくは0.05〜2mm、特に好ましくは0.1〜1.5mmである。多くの場合、0.5〜1.2mm程度の径で、良好な結果を得ることができる。この径が細すぎると、それから得られる短繊維と、セメント、水、及び骨材を含有するコンクリート組成物との馴染みが悪くなり、太すぎると、硬化後のコンクリートモルタルやコンクリートの機械的物性が低下しやすくなる。延伸繊維の径は、断面が円形の場合には、その直径であるが、それ以外の場合には、断面の最長部分の長さを意味する。
【0023】
延伸繊維は、通常、モノフィラメントであるが、所望によりマルチフィラメントの束であってもよい。延伸繊維は、複数のフィラメントを束ねたものであってもよく、その場合には、延伸繊維の径は、束ねたマルチフィラメントの径を意味する。また、延伸繊維は、径が大きい場合には、ロッド状となっていることがある。
【0024】
(3)コンクリート補強用繊維
本発明のコンクリート補強用繊維は、上記延伸繊維を所望の長さに切断することにより得られた短繊維である。短繊維の形状は、径が細い場合には、短いフィラメント状であるが、径が太い場合には、ロッド状を呈している。この短繊維をチップまたは短繊維状チップと呼ぶことがある。
【0025】
延伸繊維を切断して得られる短繊維の径は、前述の延伸繊維の径と実質的に同じである。ただし、両端にこぶを形成するなど、短繊維に後加工を施した場合には、端部の径が元の延伸繊維の径よりも太くなっていることがある。短繊維の長さは、通常5〜100mm、好ましくは10〜60mm、より好ましくは15〜50mm、特に好ましくは20〜30mmである。短繊維の長さが短すぎると、充分な補強効果を得ることができない。短繊維の長さが長すぎると、コンクリート基本材料中への均一な混合が困難になり、また、コンクリート組成物を吹き付け加工する場合に、ノズル等が詰まりやすくなる。
【0026】
短繊維は、延伸繊維を長さ方向に機械的に切断することにより得ることができる。短繊維の形状は、延伸繊維を単に切断したものに対応するが、所望により、両端部にこぶを設けてもよい。こぶを設けるには、例えば、両端部を溶融して径を太くする方法等が挙げられる。
【0027】
短繊維は、(1) 円形、楕円形、多角形もしくは異形の断面を持つ短繊維、(2) 長さ方向に突起、節もしくは凹凸を設けた短繊維、(3) 長さ方向に捩じりを加えた短繊維、(4) 両端にこぶを設けた短繊維、(5) 複数のフィラメントを束ねたストランド繊維、または(6) これらの2種以上を組み合わせた形状の短繊維などである。
【0028】
短繊維は、延伸繊維から形成されているため、温度変化により伸縮することがある。寒暖の差が激しい場所では、短繊維の伸縮が繰り返され、補強用繊維として含有させた短繊維と硬化コンクリートとの接着性が損なわれる恐れがある。また、短繊維は、コンクリート組成物の混練や硬化過程などで熱履歴を受けて伸縮し、硬化コンクリートとの接着性が低下する恐れもある。そこで、延伸繊維を延伸工程後に熱処理するか、あるいは、切断後の短繊維を熱処理して、形態を安定化させておくことが好ましい。熱処理効果の観点から、切断後の短繊維を熱処理して、部分的な延伸緩和を行うことにより、長さ方向に収縮させておくことが好ましい。
【0029】
具体的には、短繊維を非緊張下に80〜190℃で熱処理することにより、その長さ方向に収縮を生じさせる。熱処理による繊維の長さ方向の収縮率は、通常1〜15%、好ましくは3〜12%程度である。延伸工程により、延伸繊維には長さ方向に沿って分子配向が生じている。熱処理により延伸緩和が起こって、長さ方向に収縮が生じるが、延伸により配向された分子が長さ方向に揃ったままで収縮するので、分子配向の状態がそれほど損なわれることがない。したがって、熱処理を行っても、短繊維の機械的強度を維持することができる。
【0030】
熱処理温度は、100〜150℃程度が好ましい。熱処理時間は、熱処理温度にもよるが、通常、1秒間〜10分間程度である。一旦、熱処理により収縮させた短繊維は、寸法などの形態が安定しているため、温度変化に起因する更なる伸縮が殆ど起こらなくなる。その結果、この短繊維で補強した硬化コンクリートの機械的物性が更に改善される。
【0031】
熱可塑性ポリエステル樹脂成形物の破砕物から成形された延伸繊維の切断短繊維は、その表面(表面近傍を含む)に熱可塑性ポリエステル樹脂の分解生成物が存在している。分解生成物には、熱可塑性ポリエステル樹脂が部分的に加水分解されて生成したエチレングリコールなどのジオール成分やテレフタル酸などの酸成分が多く含まれている。このような分解生成物は、低分子量で低融点であるため、溶融成形時に成形物の表面に分布しやすい。熱可塑性ポリエステル樹脂と分解生成物との間の溶融温度の違いや結晶化速度の違いなどにより、溶融成形加工時にジオール成分などの分解生成物は、成形物の表面に存在しやすく、特に該樹脂を溶融紡糸し、延伸加工を行った場合には、延伸繊維の表面に多く存在することになる。
【0032】
しかも、原料として用いた熱可塑性ポリエステル樹脂成形物の破砕物は、1回以上の溶融成形加工を受けており、さらには、破砕などの物理的な処理を受けている。そのため、破砕物には、バージンポリマーに比べて、比較的多量の分解生成物が含有されている。この破砕物を原料とする延伸繊維の切断短繊維の表面には、比較的多量の分解生成物が存在している。
【0033】
このような分解生成物(特にジオール成分)は、親水性である。熱可塑性ポリエステル樹脂から成形してなる延伸繊維は、本来であれば疎水性であるが、熱可塑性ポリエステル樹脂成形物の破砕物から成形された延伸繊維の切断短繊維は、その表面に親水性の分解生成物が多く存在することにより、親水性を示すようになる。この短繊維は、セメント、水、及び骨材を含有するコンクリート組成物との親和性が良好であり、繊維状であるにもかかわらず、混練時に迅速かつ均一に分散する。
【0034】
短繊維の親水性の度合いは、その表面に存在する加水分解生成物などの分解生成物の量に関連している。短繊維表面の分解生成物の存在量は、短繊維の表面劣化度(後記)を測定することにより定量的に評価することができる。本発明の短繊維の表面劣化度は、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは1.2〜5重量%、特に好ましくは1.3〜3重量%である。短繊維の表面劣化度が小さすぎると、親水性が低下して、コンクリート組成物と均一に混合することが困難になり、また、補強性能も低下する。短繊維の表面劣化度が大きすぎると、短繊維自体の強度が低下し、補強効果が不充分となる恐れがある。
【0035】
短繊維の表面に多く存在する分解生成物は、短繊維に親水性を付与して、コンクリート組成物への分散性を向上させるだけではなく、硬化コンクリートの機械的物性を向上させる作用をも担っている。その作用機構は、現段階では必ずしも明瞭でないものの、ジオールなど分解生成物がセメントの結晶の肥大化を抑制しているためであると推定される。養生期間の長いコンクリート組成物では、硬化中にセメントの結晶が肥大化して、機械的強度が低下しやすい。これに対して、親水性の分解生成物が存在すると、セメントの結晶の肥大化が抑制されると推定される。
【0036】
また、補強用の短繊維と硬化コンクリート(セメントマトリックス)との間の接着性が良好であるため、該短繊維による補強効果が大きい。さらに、短繊維とコンクリート組成物との混合状態が均一であるため、硬化コンクリートの表面強度を弱くするレイタンス層の発生が抑制され、表面ひび割れが効果的に防止される。これらの作用が複合的に働いて、圧縮強度、引張強度、曲げ強度、曲げタフネスなどの機械的特性が改善され、耐ひび割れ性にも優れた硬化コンクリートを得ることができる。さらに加えて、本発明の短繊維は、耐アルカリ性が良好であり、耐久性に劣るとの従来より指摘されていた問題点が解決されている。
【0037】
本発明の短繊維の密度(比重)は、熱可塑性ポリエステル樹脂とほぼ同じであり、PET樹脂短繊維の場合には、通常1.3〜1.4g/cm3 (g/cc)程度である。これに対して、セメント、水、及び骨材を含有するセメント組成物(フレッシュコンクリート)の比重は、骨材の種類と配合割合などにもよるが、1.2〜1.3g/cc程度である。短繊維の比重がセメント基本材料からなるコンクリート組成物の比重と近いことも、該短繊維が混練時の均一分散性に優れる理由である。
【0038】
(4)繊維補強コンクリート組成物
本発明の繊維補強コンクリート組成物は、少なくともセメント、水、骨材、及び補強用繊維を含有するコンクリート組成物(フレッシュコンクリート)であって、補強用繊維として、前記短繊維を用いたものである。
【0039】
本発明で用いられるセメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメントなどの水硬性セメントが挙げられる。その他のセメントとしては、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント、膨張セメント、超早強セメントなども例示される。
【0040】
骨材としては、砂や粉石粉などの細骨材;砂利、粉石などの粗骨材;などが挙げられる。その他の成分としては、AE剤、減水剤、AE減水剤、流動化剤、分離低減剤、起泡剤、発泡剤、凝結・硬化調節剤、急結剤、防錆剤、防水剤、収縮低減剤、防凍剤・耐寒剤、水和熱低減剤、増粘剤、撥水剤、保水剤などのコンクリート混和剤;膨張材、超微粉末(シリカヒューム、高炉スラグ、フライアッシュなど)、結合材、ポリマー混和材、その他の補強用繊維などのコンクリート混和材;などが挙げられる。
【0041】
セメント、水、骨材、補強用繊維、その他の添加剤の配合割合は、コンクリート部材やセメントモルタル、セメント製品などの用途や適用分野に応じて、適宜選択することができる。本発明の補強用繊維(前記の短繊維)の配合割合は、コンクリート組成物を基準として、通常、1〜100kg/m3 、好ましくは2〜40kg/m3 、より好ましくは4〜25kg/m3 である。補強用繊維の配合割合が過小であると補強効果が小さく、過大であると補強効果が飽和し、しかも混練が困難になる。
【0042】
本発明の繊維補強コンクリート組成物は、高い強度が要求されるコンクリート製品に好適に適用することができる。本発明の繊維補強コンクリート組成物は、吹付け加工、舗装、法面、土間、壁等に使用している工法を適用することができる。適用後、養生期間を経て、機械的強度に優れた硬化コンクリートとなる。
【0043】
熱可塑性ポリエステル樹脂成形物の破砕物から成形された延伸繊維の切断短繊維からなるコンクリート補強用繊維は、セメント、水、骨材などを含有するコンクリート組成物中に含有させると、水分を排除する性質があり、通常の施工基準より低い水濃度のコンクリート組成物を作ることができる。また、この短繊維をコンクリート補強用繊維として用いると、それ自体による補強効果に加えて、硬化後のセメント結晶粒子が通常よりも細かくなり、モルタルまたはコンクリートの強度向上に寄与することができる。
【0044】
(5)作用
本発明でコンクリート補強用繊維として使用する短繊維は、表面に親水性の分解生成物が多く存在しているため、それ自体が親水性を示し、セメント、水、及び骨材などの基本材料との混練性が良好である。しかも、この短繊維は、その比重がコンクリート組成物と近似しているため、コンクリート組成物との混練性が更に良好である。この短繊維は、アルカリ性のセメントに対する耐性があり、もちろん錆を発生することがない。この短繊維は、軽量であるため、セメント製品の軽量化に資することができる。
【0045】
さらに意外なことに、この短繊維を混練して得た硬化コンクリートは、圧縮強度、引張強度、曲げ強度、曲げタフネスなどの機械的特性が改善され、耐ひび割れ性にも優れている。その理由は、短繊維自体による補強効果に加えて、その表面の存在する樹脂の分解生成物によるセメント結晶の微細化によるものと推定される。
【0046】
【実施例】
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げてより具体的に説明する。各物性等の測定法は次の通りである。
(1)回収率及び表面劣化度
熱可塑性ポリエステル樹脂試料及び短繊維試料の表面劣化度は、次の手順により測定した値である。試料約20gを精秤し、水酸化カリウムの0.1%メタノール溶液100ml中に25℃で24時間浸漬する。次いで、濾過、水洗、乾燥して、試料を回収する。浸漬前の試料の重量をa、回収した試料の重量をbとすると、回収率は、次式により算出される。なお、浸漬処理を24時間を越えて行っても、回収率にそれほどの変化は認められない。
回収率(重量%)=〔(a−b)/a〕×100
前記浸漬処理により、主として試料表面の分解生成物(ジオール成分と酸成分を含有する低分子量物)が溶解除去されるため、試料の表面劣化度は、次式から求められる。
表面劣化度(重量%)=100−回収率
【0047】
(2)コンクリート組成物の物性測定法
▲1▼スランプ:JIS A−1101に準拠して測定した。
▲2▼空気量:JIS A−1128に準拠して測定した。
(3)硬化コンクリートの物性測定法
▲1▼圧縮強度:JIS A−1108に準拠して測定した。
▲2▼引張強度:JIS A−1113に準拠して測定した。
▲3▼曲げ強度:JSCE−G552に準拠して測定した。
▲4▼曲げタフネス:JSCE−G552に準拠して測定した。
(4)素材の物性値測定法
JIS K−7113に準拠してヤング率を測定した。
【0048】
[実施例1]補強用繊維A
使用済みPETボトルから常法に従って破砕、選別、洗浄、乾燥して得られたPET樹脂廃棄物回収フレーク〔9mmスクリーン通過;表面劣化度=1.3重量%、IV値=0.70dl/g〕を用いて、シリンダー内径50mmの押出機(L/D=4)にて、押出温度260℃、ノズル孔径1.2mmのノズルから繊維状に溶融押出し、90℃の温水で冷却した。得られた未延伸糸を、150℃の雰囲気下で約4倍に延伸した。その結果、断面形状が円形で、径0.7mmφの延伸繊維が得られた。この延伸繊維を25mmの長さに切断して、短繊維(補強用繊維A)を得た。この短繊維の表面劣化度は、1.5重量%であった。
【0049】
[実施例2]補強用繊維B
実施例1と同様にして得られた未延伸糸を、150℃の雰囲気下、2つの歯車の間に導き、これらの歯車の回転により延伸して、その表面に、長さ方向とは垂直方向(周面)に溝と山を交互にに形成し、長さ方向に多数の凹凸が形成された延伸繊維を製造した。凹凸の各溝の深さは約2μm、幅は約50μm、山の高さは約2μm、山の幅は約50μmであった。その結果、断面形状が略円形で、径が0.8mmで、表面に凹凸が形成された延伸繊維が得られた。この延伸繊維を25mmの長さに切断して、短繊維(補強用繊維B)を得た。短繊維の表面劣化度は、1.5重量%であった。
【0050】
[実施例3]補強用繊維C
実施例1で得られた短繊維を150℃で3分間熱処理して延伸緩和した。その結果、長さ22.5mmの短繊維(補強用繊維C)が得られた。
【0051】
[参考例1]
素材の強度は、コンクリートの物性値に関係がある。そこで、各種素材と一般に用いられているコンクリート補強用繊維のヤング率(引張弾性率)を示す。
(1) PET素材:2×103 MPa(JIS K−7113)
(2) PET延伸繊維(実施例1):9×103 MPa(=9GPa)
(3) PET延伸繊維(実施例2):7×102 MPa(=0.7GPa)
(4) PET延伸繊維(実施例3):3×103 MPa(=3GPa)
(5) 鋼鉄繊維:2×105 MPa (SUT BULLETIN, 1, 2000, P.40)
(6) ガラス繊維:7×104 MPa (SUT BULLETIN, 1, 2000, P.40)
(7) ナイロン66繊維:30MPa (SUT BULLETIN, 1, 2000, P.40)
(8) 低密度ポリエチレン繊維:1MPa (SUT BULLETIN, 1, 2000, P.40)
(9) 高密度ポリエチレン繊維:10MPa (SUT BULLETIN, 1, 2000, P.40)
(10)ポリプロピレン繊維:100MPa (SUT BULLETIN, 1, 2000, P.40)
(11)天然ゴム繊維:2MPa (SUT BULLETIN, 1, 2000, P.40)
(12)ビニロン繊維:290MPa (SUT BULLETIN, 1, 2000, P.40)
回収PET延伸繊維は、強度的にガラス繊維につぐ機械物性を備えており、強度的に優れていることが分かる。
【0052】
[実施例4]
実施例1で得られた補強用繊維A(0.7mmφ×25mm長)を用いて、次の処方により繊維補強コンクリート組成物を調製した。
配合処方(単位量:kg/m3 )
セメント(早強ポルトランドセメント、比重=3.15)・・・・・・ 340
細骨材(いわき市産の山砂、表乾比重=2.61)・・・・・・・・・・・・ 880
粗骨材(福島県双葉郡楢葉町産の砕石、表乾比重=2.66)・・ 880
水 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 170
補強用繊維・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4.0
配合方法
セメント、細骨材、及び粗骨材を計量し、これに水を加えて1分間混練し、次いで、補強用繊維を加えて2分間混練して、合計40リットル(1バッチ)の繊維補強コンクリート組成物を調製した。
硬化コンクリート
上記で調製した繊維補強コンクリート組成物を150mm×530mm×150mmの型枠に打ち込んで、一夜成型後、脱型し、その後、15日間養生した。風や温度などによる急激な乾燥を避けるため、コンクリート表面に養生マットを敷き、散水を打設後5日間以上継続した。結果を表1に示す。
【0053】
[比較例1]
PET樹脂(バージンポリマーのペレット、表面劣化度=0.3重量%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、延伸繊維を作成し、次いで、これを切断して短繊維(0.7mmφ×25mm)を得た。この短繊維(補強用繊維)の表面劣化度は、0.8重量%であった。この短繊維を補強用繊維として用いたこと以外は、実施例4と同様にして繊維補強コンクリート組成物を調製し、硬化コンクリートを作成した。結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
(注)補強用繊維のコンクリート組成物中への分散性は、以下の基準により評価した。
◎:攪拌すると、補強用繊維がコンクリート組成物中に均一に分散する。
○:良く攪拌すると、補強用繊維がコンクリート組成物中に均一に分散する。
△:良く攪拌しても、部分的に未分散の補強用繊維がある。
×:良く攪拌しても、補強用繊維がブロックになり分散しない。
【0056】
表1の結果から明らかなように、PETボトル廃棄物を用いて製造した短繊維は、セメント、水、及び骨材を含有するコンクリート組成物中への分散性に優れており、硬化コンクリートの物性値も向上していることが分かる。
【0057】
[実施例5]
実施例1で原料として用いたPET樹脂廃棄物回収フレーク、該フレークを用いて作成したペレット、実施例1で作成した補強用繊維A、及び実施例3で調製した補強用繊維Cを用いて、耐アルカリ性試験を行った。すなわち、表2に示すアルカリ性の浸漬媒体を用いて、浸漬試験を行い、回収率を測定した。結果を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
表2の結果から明らかなように、再生PET樹脂及びそれから成形した短繊維は、耐アルカリ性があり、表面に付着した分解生成物が一部溶解するものの、濃度10%以上の水酸化ナトリウム溶液程度の強いアルカリに対して充分な耐性を示している。
【0060】
[比較例2]
補強用繊維を用いなかったこと以外は、実施例4と同様にしてコンクリート組成物を調製し、硬化コンクリートを作成した。結果を表3〜4に示す。
【0061】
[実施例6〜9]
実施例2で作成した補強用繊維B(径0.8mm、25mm、凹凸あり)を表3に示す単位量で用いたこと以外は、実施例4と同様にして繊維補強コンクリート組成物を調製し、硬化コンクリートを作成した。結果を表3〜4に示す。
【0062】
[実施例10]
実施例1で調製した補強用繊維Aを表3に示す単位量で用いたこと以外は、実施例4と同様にして繊維補強コンクリート組成物を調製し、硬化コンクリートを作成した。結果を表3〜4に示す。
【0063】
[実施例11]
実施例3で調製した補強用繊維C(熱処理品)を表3に示す単位量で用いたこと以外は、実施例4と同様にして繊維補強コンクリート組成物を調製し、硬化コンクリートを作成した。結果を表3〜4に示す。
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
表3〜4の結果から明らかなように、本発明の繊維補強コンクリート組成物から高強度の硬化コンクリートが生成する。実施例6〜9によれば、比較例2に比べて、圧縮強度で6%、引張強度で60%、曲げ強度で40%程度向上し、曲げタフネスも強化されている。しかも、ひび割れも検出されず、全体的に軽量化も図られている。実施例10〜11では、機械的強度が更に向上している。その理由としては、補強用繊維と硬化コンクリート(セメントマトリックス)がより強固に結合しているためと考えることができる。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、安価な使用済みPETボトル等の熱可塑性ポリエステル樹脂成形物の破砕物を原料として使用し、コンクリート組成物との親和性が良好で、しかも機械的特性に優れ、かつ、耐ひび割れ性が良好な硬化コンクリートを与えることができるコンクリート補強用繊維が提供される。また、本発明によれば、このような補強用繊維を含有するコンクリート組成物が提供される。高強度の硬化コンクリートは、圧縮強度、引張強度、曲げ強度、曲げタフネス、耐ひび割れ性に優れた性質を発揮できるので、土木分野ではトンネル吹き付け工事、舗装工事、法面被覆などに適用することができる。建築分野では、土間、壁等各種用途に用いることができる。したがって、本発明の補強用繊維は、従来、鋼鉄やガラス繊維などが用いられていた分野に適用することができ、それによって、軽量化を図ることもできる。本発明は、PETボトルなどの廃棄物処理に寄与することができる。
Claims (13)
- 熱可塑性ポリエステル樹脂成形物の破砕物から成形された延伸繊維の切断短繊維からなるコンクリート補強用繊維。
- 短繊維の径が0.01〜3mmで、長さが5〜100mmである請求項1記載のコンクリート補強用繊維。
- 短繊維の表面劣化度が1〜10重量%である請求項1または2に記載のコンクリート補強用繊維。
- 延伸繊維のヤング率が0.2〜11GPaである請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコンクリート補強用繊維。
- 熱収縮処理により形態が安定化された短繊維である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコンクリート補強用繊維。
- 短繊維が、
(1) 円形、楕円形、多角形もしくは異形の断面を持つ短繊維、
(2) 長さ方向に突起、節もしくは凹凸を設けた短繊維、
(3) 長さ方向に捩じりを加えた短繊維、
(4) 両端にこぶを設けた短繊維、
(5) 複数のフィラメントを束ねたストランド繊維、または
(6) これらの2種以上を組み合わせた形状の短繊維
である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のコンクリート補強用繊維。 - 少なくともセメント、水、骨材、及び補強用繊維を含有する繊維補強コンクリート組成物において、該補強用繊維が、熱可塑性ポリエステル樹脂成形物の破砕物から成形された延伸繊維の切断短繊維であることを特徴とする繊維補強コンクリート組成物。
- 短繊維の径が0.01〜3mmで、長さが5〜100mmである請求項7記載の繊維補強コンクリート組成物。
- 短繊維の表面劣化度が1〜10重量%である請求項7または8に記載の繊維補強コンクリート組成物。
- 延伸繊維のヤング率が0.2〜11GPaである請求項7乃至9のいずれか1項に記載の繊維補強コンクリート組成物。
- 短繊維が、熱収縮処理により形態が安定化されたものである請求項7乃至10のいずれか1項に記載の繊維補強コンクリート組成物。
- 短繊維が、
(1) 円形、楕円形、多角形もしくは異形の断面を持つ短繊維、
(2) 長さ方向に突起、節もしくは凹凸を設けた短繊維、
(3) 長さ方向に捩じりを加えた短繊維、
(4) 両端にこぶを設けた短繊維、
(5) 複数のフィラメントを束ねたストランド繊維、または
(6) これらの2種以上を組み合わせた形状の短繊維
である請求項7乃至11のいずれか1項に記載の繊維補強コンクリート組成物。 - 短繊維の含有量が1〜100kg/m3 である請求項7乃至12のいずれか1項に記載の繊維補強コンクリート組成物。
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