JP3614726B2

JP3614726B2 - 消音構造を備えた多管式貫流ボイラ

Info

Publication number: JP3614726B2
Application number: JP23208199A
Authority: JP
Inventors: 雅之古山; 尹戸田; 文敏正井; 訓央林; 国彦石原; 誠青木
Original assignee: Kawasaki Thermal Engineering Co Ltd; Kawasaki Jukogyo KK
Current assignee: Kawasaki Thermal Engineering Co Ltd; Kawasaki Motors Ltd
Priority date: 1999-08-19
Filing date: 1999-08-19
Publication date: 2005-01-26
Anticipated expiration: 2019-08-19
Also published as: JP2001056103A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、管群の後流部にできる渦の発生を弱めることで、共鳴による異音（空力自励音）の発生を防止することができる消音構造（機構）を備えた多管式貫流ボイラに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来から、多管式貫流ボイラとして、内列及び外列に環状の内列管（内列水管）及び外列管（外列水管）が形成されるように、鉛直方向の多数の管を配列し隣接する各管を板状フィンで気密に環状に連結し、内列管の内側を燃焼室とし、内列管と外列管との間を高温の燃焼ガスが通過する環状ガス通路とした構造のものが知られている（例えば、実開平３−８７００４号公報、実開平３−１２８２０１号公報参照）。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来構造の多管式貫流ボイラにおいては、ボイラ対流伝熱管群が存在するガス通路で、管群の後流部にできる渦が気柱共鳴し、異音（空力自励音）を発生させる。
この問題を解決するために、従来は、図７に示すように、内列管１０と外列管１２との間のガス通路１４の管群出口に邪魔板（バッフルプレート）１６を設けて消音していたが、通風抵抗が増大するという欠点があった。また、消音の確実性の点でも欠点があった。１８は板状フィン、１９は渦である。
【０００４】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、本発明の目的は、内列管の隣接する管と管とを連結する板状フィンに、燃焼ガスが環状ガス通路内に吹き出すための吹出し孔をあけ、吹き出した燃焼ガスで渦の発生を弱めることで、通風抵抗を増大させることなく異音（空力自励音）を消音することができる消音構造を備えた多管式貫流ボイラを提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の消音構造（機構）を備えた多管式貫流ボイラは、内列及び外列に環状の内列管（内列水管）及び外列管（外列水管）が形成されるように、鉛直方向の多数の管を配列して板状フィン（ひれ）で環状に連結し、内列管で燃焼室を構成し、内列管と外列管との間を環状ガス通路とした多管式貫流ボイラにおいて、内列管の隣接する管と管との間の板状フィンに、燃焼ガスが環状ガス通路に吹き出すための吹出し孔を設けて構成されている（図１〜図６参照）。
【０００６】
この多管式貫流ボイラにおいて、吹出し孔が、伝熱上の影響の少ない内列管の上流側の板状フィンに設けられた構成とすることが望ましい（図１参照）。また、吹出し孔の位置が、環状ガス通路の気柱共鳴モードにおける粒子速度（空気粒子速度あるいは気体粒子速度）の腹近傍となるような構成とすることが望ましい（図６参照）。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は下記の実施の形態に何ら限定されるものではなく、適宜変更して実施することができるものである。図１は本発明の実施の第１形態による消音構造を備えた多管式貫流ボイラの平断面を示し、図２は図１におけるＡ−Ａ線断面（立断面）を示し、図３は図１における燃焼ガス出口部まわりを示し、図４は図１における火炉（燃焼室）出口部（環状ガス通路の入口部）まわりを示し、図５は図１において鎖線円で囲まれた部分を示し、図６は図１、図２及び図５における板状フィンの立面を示している。
【０００８】
図２における２０は環状の上部管寄（上部ヘッダー）、２２は環状の下部管寄（下部ヘッダー）で、これらの管寄２０、２２の間を鉛直方向の多数の水管で連結している。これらの水管群は内列及び外列の２列に同心円状に配列され、隣接する水管同士を板状フィン１８で環状に気密に連結して内列管１０及び外列管１２を形成している。
そして、内列管１０の内側を燃焼室２４とし、内列管１０と外列管１２との間を環状ガス通路１４としている。内列管１０には水管の全長にわたって、又は水管の下部に開口部（燃焼室出口部）２６が設けられ、この開口部２６がガス通路１４に連通して、燃焼ガスを環状ガス通路１４に導くように構成されている。２８は燃焼ガス出口部、３０は燃焼装置、３２は耐火断熱材、３４はフィンである。
【０００９】
内列管１０の相隣る管と管とを一定の間隔をあけて連結する板状フィン（間隔板）１８に、図１、図５、図６に示すように、垂直方向に複数の吹出し孔３６が穿設されている。
吹出し孔３６は、図１に示すように、伝熱上の影響の少ない内列管１０の上流側、すなわち、開口部２６に近い位置の内列管１０の板状フィン１８に設けることが望ましい。
また、吹出し孔３６の位置は、図６に示すように、気柱共鳴モードにおける粒子速度の腹（loop ）、すなわち、定常振動で粒子速度振動が極大となる部分近傍に設けることが望ましい。なお、図６の管配列は、実際は円弧状であるが、説明を容易にするために直線状に描いている。
【００１０】
上記のように構成された多管式貫流ボイラにおいて、環状ガス通路１４内における管群の後流部に渦が発生し始めても、燃焼ガスを板状フィン１８の吹出し孔３６から環状ガス通路１４内に吹き込むことにより、渦の発生を弱め、異音（空力自励音）の発生を防止することができる。また、通風抵抗を増大させることもない。
本実施形態では、環状ガス通路の後流部にフィンチューブを用いる場合について説明したが、内列管、外列管のいずれかにフィンが設けられた構造、環状ガス通路全域にわたってフィンチューブが設けられた構造、フィンが設けられない構造、内列管と外列管との間に、環状の中間水管を設置する構造等の多管式貫流ボイラにも適用することができる。
【００１１】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成されているので、つぎのような効果を奏する。
（１）内列管の隣接する管同士を連結する板状フィンに、燃焼ガスが環状ガス通路に吹き出すための吹出し孔を設けているので、管群の後流部に発生する渦を弱めることができ、又は渦の発生を防止することができ、渦による共鳴が原因となる異音（空力自励音）の発生を確実に防止することができる。
（２）従来のように、環状ガス通路の管群出口に邪魔板を設ける必要がないので、通風抵抗を増大させることなく、消音することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の第１形態による消音構造を備えた多管式貫流ボイラの平断面説明図である。
【図２】図１におけるＡ−Ａ線断面図で、多管式貫流ボイラの立断面説明図である。
【図３】図１における燃焼ガス出口部まわりの拡大図である。
【図４】図１における火炉（燃焼室）出口部（環状ガス通路の入口部）まわりの拡大図である。
【図５】図１において鎖線円で囲まれた部分の拡大図である。
【図６】吹出し孔の適正な位置を示す平面説明図である（実際は円弧状であるが、説明を容易にするために直線状に描いている）。
【図７】従来の多管式貫流ボイラにおける管群の平断面図である。
【符号の説明】
１０内列管
１２外列管
１４環状ガス通路
１６邪魔板
１８板状フィン
１９渦
２０上部管寄
２２下部管寄
２４燃焼室
２６開口部（燃焼室出口部）
２８燃焼ガス出口部
３０燃焼装置
３２耐火断熱材
３４フィン
３６吹出し孔

Claims

内列及び外列に環状の内列管及び外列管が形成されるように、鉛直方向の多数の管を配列して板状フィンで環状に連結し、内列管で燃焼室を構成し、内列管と外列管との間を環状ガス通路とし、内列管に開口部が設けられ、この開口部が環状ガス通路に連通するようにした多管式貫流ボイラにおいて、内列管の隣接する管と管との間の板状フィンに、燃焼ガスが環状ガス通路に吹き出すための吹出し孔を設け、この吹出し孔の位置が、環状ガス通路の気柱共鳴モードにおける粒子速度の腹近傍であることを特徴とする消音構造を備えた多管式貫流ボイラ。
内列及び外列に環状の内列管及び外列管が形成されるように、鉛直方向の多数の管を配列して板状フィンで環状に連結し、内列管で燃焼室を構成し、内列管と外列管との間を環状ガス通路とし、内列管に開口部が設けられ、この開口部が環状ガス通路に連通するようにした多管式貫流ボイラにおいて、内列管の隣接する管と管との間の板状フィンに、燃焼ガスが環状ガス通路に吹き出すための吹出し孔を設け、この吹出し孔が、伝熱上の影響の少ない内列管の上流側である開口部に近い位置であって、環状ガス通路の気柱共鳴モードにおける粒子速度の腹近傍の板状フィンに設けられたことを特徴とする消音構造を備えた多管式貫流ボイラ。