JP3840567B2 - 管群における騒音防止構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は管群における騒音防止構造に関する。さらに詳しくは、円筒形多管式貫流ボイラの管群における気柱の共鳴による騒音を防止する騒音防止構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
円筒形多管式貫流ボイラでは、パージ中や燃焼中に異音、いわゆる缶鳴りを生ずることがある。これは、管の後流側に形成される乱流渦の発生・消滅の繰返し周波数が、ガス流路方向の気柱の固有振動数と一致し、気柱が共鳴することにより生ずるものである。この異音を防止するため、従来より、内列管および外列管により形成されるガス流路のガス出口の後方所定位置に、図4および図5に示すように、上から下に達する邪魔板aを設けることがなされている。
【0003】
しかしながら、かかる従来の騒音防止構造にあっては、ガス流路がほとんど全閉となる程度に邪魔板aを設けないと効果が発揮されず、そのため炉内圧力の上昇、流動抵抗の増大を招来するという問題がある。そして、この流動抵抗の増大に対処するために、送風機の所要動力の増大や大型化を招来しているという問題もある。また、流動抵抗が増大するため、燃焼が悪化するという問題もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑みなされたものであって、炉内圧力の上昇や流動抵抗の増大を最小限に押さえながら管群における気柱の共鳴による騒音を防止できる騒音防止構造を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、円筒形多管式貫流ボイラに用いる騒音防止構造であって、内列管および外列管により形成されるガス流路のガス出口の上部および/または下部に、前記出口に位置する内管および外管を跨いで気柱の共鳴による騒音を防止する、上下方向の長さが幅の8倍を超えない長さの騒音防止用平板を配設してなることを特徴とする騒音防止構造に関する。
【0006】
【作用】
本発明においては、騒音防止部材をガス流路のガス出口の上部および/または下部に部分的に設けているので、ガス流路を流れるガス流れが下方や上方、あるいは上下両方に変化し、管の下流側における渦の生成が抑制される。そのため、炉内圧力の上昇や流動抵抗の増大を最小限に押さえながら管群における気柱の共鳴による騒音が防止される。その結果、パージ中や燃焼中に異音が発生することはない。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施の形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実施の形態のみに限定されるものではない。
【0008】
実施の形態1
本発明の実施の形態1の管群における騒音防止構造(以下、単に防止構造という)の要部を図1に示し、この防止構造1は、円筒形貫流ボイラのガス流路Pを形成している内列管2および外列管3のガス出口に位置する管2A,3Aのガス出口側上部に騒音防止用の平板(騒音防止部材)4を溶接にて取付けてなるものである。
【0009】
このように、この実施の形態1においては、ガス流路Pを形成している内列管2および外列管3のガス出口に位置する管2A,3Aの上部に騒音防止部材4を溶接により取付けているので、ガス流路Pを流れるガスの流れ方向が下方に変化し、ガス流路Pにおいて流れの乱れが生じ、管2,3の下流側における渦の生成が抑制される。そのため、共鳴による騒音の発生が防止される。
【0010】
実施の形態2
本発明の実施の形態2の防止構造の要部を図2に示し、この防止構造1Aは、実施の形態1とは騒音防止部材の取付け方法を変更してなるものである。より具体的には、実施の形態1では騒音防止部材4が伝熱管2A,3Aに溶接で取付けられていたが、図2に示すようにこの実施の形態2では、騒音防止部材4を保持部材5を介してケーシング6内面に適宜手段、例えばボルト・ナット留め7により保持させた状態で、円筒形貫流ボイラのガス流路Pを形成している内列管2および外列管3のガス出口に位置する管2A,3Aのガス出口側上部に当接させてなるものである。
【0011】
この実施の形態2では、騒音防止部材が伝熱管に溶接されていないので、内列管と外列管とに熱膨張の差が生じたとしても、騒音防止部材が伝熱管2A,3Aを拘束せず、そのため伝熱管と騒音防止部材との接合に亀裂が生ずるおそれはないという実施の形態1では得られない効果も得られる。
【0012】
【実施例】
以下、より具体的な実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。
【0013】
実施例および比較例
下記要目の円筒形貫流ボイラのガス流路を形成している内列管および外列管のガス出口に位置する管の上部に、騒音防止用の平板(サイズ:50mmWx400mmL)を適宜手段により取付け、発生する音の周波数とその音圧レベルを測定した。その結果を図3に実線で示す(実施例)。また、そのときの炉内圧力は197mmAqであった。
【0014】
比較のために同ボイラにおいて騒音防止用の平板を取り外した状態で、発生する音の周波数とその音圧レベルを測定した。その結果を図3に点線で示す(比較例)。また、そのときの炉内圧力は180mmAqであった。
【0015】
なお、参考のために同ボイラに図4に示す従来構造の騒音防止用の邪魔板を設けて炉内圧力を測定したところ250mmAqであった。
【0016】
このように、実施例においては、炉内圧力の上昇が従来のものよりも著しく抑制されているにもかかわらず、気柱の共鳴による騒音の発生が防止されるのがわかる。
【0017】
以上、本発明を実施の形態および実施例に基づいて説明してきたが、本発明はかかる実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々改変が可能である。例えば騒音防止部材は、出口の下方に取付けてもよく、あるいは上下両方に取付けもよい。
【0018】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、ガス流路を形成している内列管および外列管のガス出口に位置する管の上部あるいは下部、またはその両方に振動防止部材を配設しているので、炉内圧力の上昇を著しく抑制しながら、管群における気柱の共鳴による騒音が防止できるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかわる騒音防止構造の要部概略図である。
【図2】本発明の実施の形態2にかかわる騒音防止構造の要部概略図である。
【図3】発生する音の周波数と音圧レベルの関係を示すグラフである。
【図4】従来の騒音防止構造の概略断面図である。
【図5】同概略正面図である。
【符号の説明】
1 防止構造
2 内列管
3 外列管
4 騒音防止用の平板(騒音防止部材)
5 保持部材
6 ケーシング
P ガス流路

Claims (2)

  1. 円筒形多管式貫流ボイラに用いる騒音防止構造であって、
    内列管および外列管により形成されるガス流路のガス出口の上部および/または下部に、前記出口に位置する内管および外管を跨いで気柱の共鳴による騒音を防止する、上下方向の長さが幅の8倍を超えない長さの騒音防止用平板を配設してなることを特徴とする騒音防止構造。
  2. 請求項1記載の騒音防止構造を備えてなることを特徴とする円筒形多管式貫流ボイラ。
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