JP3614603B2 - 紙幣入出金機及びその紙幣処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金融機関等で使用される紙幣入出金機及びその紙幣処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、金融機関で使用される現金自動入出金機等においては、紙幣入出金機が使用され、該紙幣入出金機において、入金動作、補充動作、出金動作、回収動作、精査動作等の各動作が行われるようになっている。
そして、入金動作においては、接客部に投入された紙幣が紙幣判別部に送られ、補充動作においては、補充回収部にセットされた紙幣が紙幣判別部に送られ、出金動作においては、紙幣スタッカに格納された紙幣が指定された額だけ紙幣判別部に送られ、回収動作においては、紙幣スタッカに格納された紙幣が紙幣判別部に送られ、それぞれ該紙幣判別部によって紙幣の走行状態、金種、真偽等の判別が行われる。なお、紙幣の走行異常が発生したり、紙幣が偽券であると判断されたりすると、各紙幣はリジェクトされてリジェクト部に送られ、前記紙幣の額がリジェクト部内の紙幣のリジェクト額MRに加算される。
【0003】
そして、精査動作においては、制御部は、まず、前回精査時又は新規使用時から現在までの入金動作、補充動作、出金動作及び回収動作によって変動した額を計算し、紙幣入出金機内の紙幣の残高M1を求める。次に、回収動作と同様の動作によって紙幣スタッカ内の紙幣を補回部に搬送し、残高M2を求める。
この場合、前記紙幣の各残高M1、M2は、リジェクト部に格納された紙幣があるときは一致しない。そこで、リジェクト部内の紙幣のリジェクト額MRを調べ、
M1=M2+MR
であることを確認するようにしている。
【0004】
ところで、紙幣の走行異常には、接近、スキュー過大及び重走がある。前記接近は、標準の紙幣間隔より短い間隔で紙幣が搬送されたときに発生する走行異常であり、接近が発生すると、前の紙幣についての金種、真偽等の判別が終了しないうちに次の紙幣が到来してしまうことになり、正確な判別を行うことができなくなる。そこで、紙幣判別部は、トリガセンサを通過した各紙幣の間隔を調べることによって接近が発生したと判断すると、紙幣をリジェクトしてリジェクト部に送るとともに、真偽の判別を行わず、金種の判別だけを行うようにしている。
【0005】
また、前記スキュー過大は、あらかじめ設定されたスキュー値より傾いて紙幣が搬送されたときに発生する走行異常であり、スキュー過大が発生すると、紙幣を正常に搬送することができなくなってしまうだけでなく、紙幣判別部において、金種、真偽等の判別を正確に行うことができなくなる。そこで、紙幣判別部は、トリガセンサ、光センサ等によって紙幣の到来が検出された時間のずれに基づいてスキュー過大が発生したと判断すると、紙幣をリジェクトしてリジェクト部に送るとともに、真偽の判別を行わず、金種の判別だけを行うようにしている。
【0006】
なお、この場合、紙幣のパターンデータを、スキュー角度によって補正演算することにより、紙幣の傾きに対応するデータに変換して金種の判別を行うようにしている。
さらに、前記重走は、紙幣が複数枚重なって搬送されたときに発生する走行異常であり、重走が発生すると、紙幣の重なり具合によって、金種、真偽等の判別を正確に行うことができなくなってしまう。そこで、紙幣判別部は、厚さ検出センサによって紙幣の厚さを検出することにより、重走が発生したと判断すると、紙幣をリジェクトしてリジェクト部に送るとともに、真偽の判別を行わず、金種の判別だけを行うようにしている。
【0007】
なお、この場合、金種の判別を紙幣の表裏について独立して行い、表裏の金種の判別結果に基づいて、重走した2枚の紙幣の金種の判別を行うようになっている。これにより、重走によってリジェクトされた2枚の紙幣について金種の判別が行われる。
このように、紙幣の走行異常が発生した場合、制御部は、リジェクト部に送られた紙幣の金種及び枚数を認識することができ、新たにリジェクト部に送られた紙幣の額が前記リジェクト額MRに加算される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の紙幣入出金機においては、接近、スキュー過大及び重走については検出することができるが、2枚の紙幣がずれて重なった状態で搬送された場合、すなわち、紙幣の連鎖が発生した場合には、金種の判別を行うことができない。
【0009】
したがって、制御部は、連鎖によってリジェクト部に送られた紙幣の金種及び枚数を認識することができないので、新たにリジェクト部に送られた紙幣の額を求めることができず、前記リジェクト額MRを調べることができない。
本発明は、前記従来の紙幣入出金機の問題点を解決して、すべての走行異常によってリジェクトされた紙幣の額をすべて正確に求めることができる紙幣入出金機及びその紙幣処理方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の紙幣入出金機においては、搬送方向における紙幣の長さを検出する長さ検出手段と、前記紙幣の厚さを検出する厚さ検出手段と、前記長さ検出手段によって検出された紙幣の長さが設定値より大きいかどうかを判断する長さ判断手段と、前記厚さ検出手段によって検出された紙幣の厚さのパターンが、紙幣の連鎖が発生したときの条件を満たすかどうかを判断する条件判断手段と、前記長さ検出手段によって検出された紙幣の長さが設定値より大きく、かつ、前記厚さ検出手段によって検出された紙幣の厚さのパターンが、紙幣の連鎖が発生したときの条件を満たす場合に、紙幣の連鎖が発生していると判断する連鎖判断手段と、前記紙幣を搬送するための紙幣搬送路を挟んで配設され、紙幣の印刷パターンを読み取る第1、第2の印刷パターン読取手段と、連鎖が発生している紙幣について、前記第1、第2の印刷パターン読取手段によって読み取られた各印刷パターンに基づいて金種の判別を行う金種判別手段とを有する。
【0011】
本発明の紙幣入出金機の紙幣処理方法においては、搬送方向における紙幣の長さをセンサ出力に基づいて検出し、前記紙幣の厚さをセンサ出力に基づいて検出し、検出された紙幣の長さが設定値より大きいかどうかを判断し、検出された紙幣の厚さのパターンが、紙幣の連鎖が発生したときの条件を満たすかどうかを判断する。
また、検出された紙幣の長さが設定値より大きく、かつ、検出された紙幣の厚さのパターンが、紙幣の連鎖が発生したときの条件を満たす場合に、紙幣の連鎖が発生していると判断する。
そして、紙幣の印刷パターンを読み取り、連鎖が発生している紙幣について、読み取られた各印刷パターンに基づいて金種の判別を行う。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は本発明の第1の実施の形態における紙幣入出金機のブロック図である。図において、11は紙幣入出金機であり、該紙幣入出金機11は、入金動作時及び出金動作時に図示しない紙幣が顧客によって出納される接客部12、搬送される紙幣の走行状態、金種、真偽等の判別を行う紙幣判別部13、補充動作時、回収動作時等において金融機関の係員によって紙幣が出納される補充回収部14、出金される紙幣を格納しておくための紙幣スタッカ15、出金動作、回収動作及び精査動作時に、前記紙幣判別部13によってリジェクトされた紙幣が格納されるリジェクト部16、及び補充リジェクト部17を有する。また、18は紙幣搬送路であり、該紙幣搬送路18には前記紙幣を搬送するために複数の図示しない搬送ローラが配設され、各搬送ローラは図示しない駆動モータによって回転させられる。
【0013】
図1は本発明の第1の実施の形態における紙幣判別部の機能ブロック図、図3は本発明の第1の実施の形態における紙幣判別部の概略図である。
図において、13は紙幣判別部であり、該紙幣判別部13は、紙幣25の到来を検出するとともに、搬送方向における該紙幣25の長さを検出するトリガセンサ21、前記紙幣25の厚さを検出する厚さ検出手段としての厚さ検出センサ22、前記紙幣25の印刷パターンを読み取る磁気センサ24、並びに前記紙幣25の外形及び印刷パターンを読み取る第1、第2の印刷パターン読取手段としての反射型の光センサ26、27をそれぞれ紙幣搬送路18上に有する。なお、前記トリガセンサ21は、紙幣25の長さを検出する場合、長さ検出手段を構成する。
【0014】
また、前記トリガセンサ21は、紙幣25の搬送方向に対して直角の方向(図3の奥行方向)に少なくとも2個以上配設され、それぞれ上下のセンサ21U、21Lから成る。そして、該センサ21U、21L間を紙幣25が通過することによってセンサ出力が変化する。また、前記光センサ26、27は、紙幣搬送路18を挟んで上下にそれぞれ1個ずつ配設され、紙幣25の搬送方向に対して直角の方向に走査する。
【0015】
前記構成の紙幣入出金機において、CPU20は、トリガセンサ21によって検出された2枚の紙幣25の到来のタイミングに基づいて、2枚の紙幣25の間隔を計算し、計算された間隔と標準の紙幣間隔とを比較し、計算された間隔が標準の紙幣間隔より短い場合に、接近が発生したと判断する。そのために、紙幣25が正常に走行しているときに、金種及び真偽の判別を行うのに十分な処理時間を得るための標準の紙幣間隔があらかじめ設定される。
【0016】
また、CPU20は、1枚の紙幣25が到来したときに複数のトリガセンサ21が紙幣25を検出する時間のずれに基づいて、紙幣25のスキュー角度を計算し、スキュー過大が発生しているかどうかを判断する。
そして、CPU20は、前記厚さ検出センサ22によって検出された紙幣25の厚さに基づいて、重走が発生しているかどうかを判断する。すなわち、前記厚さ検出センサ22のセンサ出力に基づいて、紙幣25が通過していないこと、紙幣25が1枚通過していること、紙幣25が2枚重なった状態で通過していること、及び紙幣25が3枚以上重なった状態で通過していることを区別することができる。
【0017】
さらに、CPU20は、トリガセンサ21によって検出された紙幣25の長さ、及び厚さ検出センサ22によって検出された紙幣25の厚さ、及び光センサ26、27によって読み取られた紙幣25の外形に基づいて、紙幣25の連鎖が発生しているかどうかを判断する。そのために、CPU20は長さ判断手段33、条件判断手段34及び連鎖判断手段35を有する。なお、連続して搬送される2枚の紙幣25のデータを格納するためにメモリ31が配設される。
【0018】
そして、CPU20は、紙幣25の接近、スキュー過大、重走、連鎖等の走行異常が発生したと判断すると、図示しない金種判別手段によって紙幣25の真偽の判別を行うことなく金種の判別を行い、判別結果を紙幣入出金機11(図2)の図示しない制御部に送る。該制御部は、前記紙幣25をリジェクト部16に送り、リジェクト部16に送られた紙幣25の金種及び枚数を認識し、新たにリジェクト部16に送られた紙幣25の額を前記リジェクト額MRに加算する。
【0019】
次に、前記構成の紙幣入出金機11において紙幣25の連鎖が発生した場合の紙幣判別動作について説明する。
図4は本発明の第1の実施の形態における紙幣入出金機の動作を示すフローチャート、図5は本発明の第1の実施の形態における紙幣の例を示す図、図6は本発明の第1の実施の形態における紙幣の連鎖の状態を示す第1の図、図7は本発明の第1の実施の形態における厚さ検出センサのセンサ出力波形を示す第1の図、図8は本発明の第1の実施の形態における厚さ検出センサのセンサ出力波形を示す第2の図、図9は本発明の第1の実施の形態における厚さ検出センサのセンサ出力波形を示す第3の図、図10は本発明の第1の実施の形態における紙幣の連鎖の状態を示す第2の図である。なお、図7〜9において、横軸に長さLを、縦軸にセンサ出力tを採ってある。また、図10の(a)は第1の連鎖の状態を示す図、(b)は第2の連鎖の状態を示す図である。
【0020】
まず、紙幣判別部13(図3)に紙幣25が送られると、CPU20(図1)は、トリガセンサ21によって紙幣25の到来を検出するとともに、厚さ検出センサ22、磁気センサ24及び光センサ26、27の各位置及び紙幣25の搬送速度に基づいて、紙幣25が厚さ検出センサ22、磁気センサ24及び光センサ26、27を通過するタイミングを設定し、各タイミングで各センサ出力を読み込む。
【0021】
前記CPU20の長さ判断手段33は、トリガセンサ21のセンサ出力に基づいて、図5に示すような搬送方向における紙幣25の長さ、すなわち、短手方向の長さL1を検出し、検出された長さL1が設定値Lr より大きいかどうかを判断する。そして、長さL1が設定値Lr 以下であるとき、CPU20は、接近、スキュー過大、重走等の連鎖以外の走行異常の判別及び金種の判別を行い、各判別結果が正常である場合は、金種の判別結果を紙幣入出金機11(図2)の図示しない制御部に送る。また、各判別結果が正常でない場合は、CPU20は紙幣25をリジェクトし、リジェクト部16に送る。なお、前記設定値Lr は、1枚分の紙幣25の短手方向の実測長さに対応させて設定される。
【0022】
一方、長さL1が設定値Lr より大きいとき、CPU20は、図6に示すような連鎖が発生しているかどうかを判断するために、厚さ検出センサ22のセンサ出力tを読み込み、該センサ出力tが連鎖の条件を満たしているかどうかを調べる。そのために、1〜3枚分の紙幣25の厚さに対応させて、センサ出力tのスライスレベルt1 〜t3 があらかじめ設定される。
【0023】
例えば、前記長さL1の紙幣25が正常に搬送されている場合、図7に示すように、センサ出力tは、長さL1分だけ
t1 <t<t2
になり、紙幣25の重走が発生している場合、図8に示すように、センサ出力tは、長さL1分だけ
t2 <t<t3
になる。
【0024】
ところで、紙幣25に連鎖が発生している場合、図10の(a)のように、1枚目の紙幣25の後端が2枚目の紙幣25の前端の上になる第1の連鎖の状態と、1枚目の紙幣25の後端が2枚目の紙幣25の前端の下になる第2の連鎖の状態とが考えられる。
そこで、1枚目の紙幣25の前端から2枚目の紙幣25の前端までの長さLをL1 とし、1枚目の紙幣25の前端から1枚目の紙幣25の後端までの長さLをL2 とし、1枚目の紙幣25の前端から2枚目の紙幣25の後端までの長さLをL3 としたとき、紙幣25に連鎖が発生すると、
Lr <L3
になる。
【0025】
そして、センサ出力tは、
0<L<L1
の範囲において、
t1 <t<t2 …(1)
になり、
L1 <L<L2
の範囲において、
t2 <t<t3 …(2)
になり、
L2 <L<L3
の範囲において、
t1 <t<t2 …(3)
になる。また、
L2 =(L3 −L1 )
=Lr …(4)
の関係が成立する。
【0026】
そこで、前記各式(1)〜(4)が連鎖の条件とされ、CPU20の条件判断手段34は、前記センサ出力波形、すなわち、紙幣25の厚さのパターンが前記各条件を満たすかどうかを判断する。そして、CPU20の連鎖判断手段35は、長さL1が設定値Lr より大きく、かつ、紙幣25の厚さのパターンが前記各条件を満たす場合、紙幣25の連鎖が発生していると判断する。なお、紙幣25の厚さのパターンが前記各条件を満たさない場合、CPU20は紙幣25をリジェクトし、リジェクト部16に送る。
【0027】
次に、CPU20の図示しない金種判別手段は、光センサ26、27のセンサ出力を読み込むことによって、紙幣25の外形を推定し、連鎖の状態を想定して紙幣25の金種の判別を行う。そして、判別結果が正常である場合、CPU20は金種の判別結果を制御部に送る。また、判別結果が正常でない場合、CPU20は紙幣25をリジェクトし、リジェクト部16に送る。前記制御部は金種の判別結果に基づいて、紙幣判別部13を通過した紙幣25の額を紙幣スタッカ15の残高から差し引き、リジェクト額MRに加算する。
【0028】
このように、紙幣25の連鎖が発生した場合に金種の判別を行うことができるので、制御部は、連鎖によってリジェクト部16に送られた紙幣25の金種及び枚数を認識することができる。したがって、新たにリジェクト部16に送られた紙幣25の額を求めることができ、前記リジェクト額MRを調べることができる。
【0029】
なお、紙幣25が有る場合及び無い場合の光センサ26、27のセンサ出力に基づいて、紙幣25の外形を推定するためのスライスレベルがあらかじめ決定され、メモリ31に格納される。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 CPU20の長さ判断手段33は紙幣25の短手方向の長さL1と設定値Lr とを比較する。
ステップS2 長さL1が設定値Lr より大きいかどうかを判断する。長さL1が設定値Lr より大きい場合はステップS6に、長さL1が設定値Lr 以下である場合はステップS3に進む。
ステップS3 連鎖以外の走行異常の判別及び金種の判別を行う。
ステップS4 連鎖以外の走行異常の判別及び金種の判別結果が正常かどうかを判断する。連鎖以外の走行異常の判別及び金種の判別結果が正常である場合はステップS5に進み、正常でない場合はリジェクト終了する。
ステップS5 金種の判別結果を制御部に送り、正常終了する。
ステップS6 厚さ検出センサ22のセンサ出力tを読み込む。
ステップS7 センサ出力tが連鎖の条件を満たしているかどうかを判断する。
連鎖の条件を満たしている場合はステップS8に、満たしていない場合はリジェクト終了する。
ステップS8 紙幣25の外形を推定する。
ステップS9 図10の(a)、(b)に示す連鎖の状態を想定して金種の判別を行う。
ステップS10 金種の判別結果が正常かどうかを判断する。金種の判別結果が正常である場合はステップS11に進み、正常でない場合はリジェクト終了する。
ステップS11 金種の判別結果を制御部に送り、リジェクト終了する。
【0030】
次に、金種の判別方法について説明する。
図11は本発明の第1の実施の形態における金種の判別動作を示すフローチャート、図12は本発明の第1の実施の形態における千円券の走査状態を示す図、図13は本発明の第1の実施の形態における五千円券の走査状態を示す図、図14は本発明の第1の実施の形態における万円券の走査状態を示す図、図15は本発明の第1の実施の形態における千円券を走査したときのセンサ出力レベルを示す図、図16は本発明の第1の実施の形態における五千円券を走査したときのセンサ出力レベルを示す図、図17は本発明の第1の実施の形態における万円券を走査したときのセンサ出力レベルを示す図である。なお、図15〜17において、横軸に走査方向を、縦軸にセンサ出力を採ってある。
【0031】
この場合、光センサ26(図3)、27の検出結果に基づいて、各金種ごとの紙幣25の印刷パターンの濃淡によって特徴付けられる複数の特徴点A、B、…があらかじめ設定されるとともに、各特徴点A、B、…におけるセンサ出力をスライスするためのスライスレベルa、b、…がそれぞれ設定される。
そして、例えば、図12及び14の各特徴点Aはそれぞれ千円券及び万円券のすかし部に設定されるので、図15及び17に示すように、各特徴点Aのセンサ出力はスライスレベルaより大きくなる。一方、図13の特徴点Aは五千円券の文字部にあるので、図16に示すように、特徴点Aのセンサ出力はスライスレベルaより小さくなる。したがって、特徴点Aのセンサ出力とスライスレベルaとを比較し、センサ出力がスライスレベルa以下である場合は、紙幣25は五千円券であると判断され、センサ出力がスライスレベルa以上である場合は、別の特徴点Bのセンサ出力とスライスレベルbとを比較することによって、紙幣25が千円券であるか万円券であるかが判別される。
【0032】
このようにして、金種の判別が行われると、紙幣25が正常であるかどうかを判断するために、金種ごとにあらかじめメモリ31に格納された正常な紙幣25のデータと、光センサ26、27によって読み取られた紙幣25の印刷パターンのデータとを紙幣25の全面について照合し、両者が一致するかどうかを調べる。本実施の形態においては、図10の(a)に示すような第1の連鎖の状態にある場合、及び図10の(b)に示すような第2の連鎖の状態にある場合が想定される。
【0033】
例えば、紙幣25が第1の連鎖の状態にある場合、紙幣搬送路18の上方に配設された光センサ26によって紙幣25の印刷パターンを読み取ると、1枚目の紙幣25は正常になるが、2枚目の紙幣25は異常になる。一方、下方に配設された光センサ27によって紙幣25の印刷パターンを読み取ると、1枚目の紙幣25は異常になるが、2枚目の紙幣25は正常になる。
【0034】
また、紙幣25が第2の連鎖の状態にある場合、前記光センサ26によって紙幣25の印刷パターンを読み取ると、1枚目の紙幣25は異常になるが、2枚目の紙幣25は正常になる。一方、前記光センサ27によって紙幣25の印刷パターンを読み取ると、1枚目の紙幣25は正常になるが、2枚目の紙幣25は異常になる。
【0035】
したがって、本実施の形態においては、光センサ26、27のうちの少なくとも一方によって読み取られた紙幣25の印刷パターンに基づいて、紙幣25が正常であると判断されると、各紙幣25の金種の判別結果が制御部に送られる。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS21 特徴点Aのセンサ出力とスライスレベルaとを比較し、センサ出力がスライスレベルaより大きいかどうかを判断する。センサ出力がスライスレベルaより大きい場合はステップS23に、センサ出力がスライスレベルa以下である場合はステップS22に進む。
ステップS22 紙幣25は五千円券であると判断する。
ステップS23 特徴点Bのセンサ出力とスライスレベルbとを比較し、センサ出力がスライスレベルbより大きいかどうかを判断する。センサ出力がスライスレベルbより大きい場合はステップS25に、センサ出力がスライスレベルb以下である場合はステップS24に進む。
ステップS24 紙幣25は万円券であると判断する。
ステップS25 紙幣25は千円券であると判断する。
【0036】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図18は本発明の第2の実施の形態におけるトリガセンサ及び厚さ検出センサの配設状態を示す図、図19は本発明の第2の実施の形態における紙幣の連鎖の状態を示す図、図20は本発明の第2の実施の形態における厚さ検出センサのセンサ出力波形を示す第1の図、図21は本発明の第2の実施の形態における厚さ検出センサのセンサ出力波形を示す第2の図、図22は本発明の第2の実施の形態における紙幣の第1の連鎖の状態を示す図、図23は本発明の第2の実施の形態における紙幣の第2の連鎖の状態を示す図である。なお、図20及び21において、横軸に長さLを、縦軸にセンサ出力tを採ってある。また、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。
【0037】
この場合、紙幣25の搬送方向に対して直角の方向に、複数、例えば、2個の長さ検出手段としての第1、第2のトリガセンサ21a、21bが配設されるとともに、紙幣25の搬送方向における各第1、第2のトリガセンサ21a、21bより下流側に、厚さ検出手段としての第1、第2の厚さ検出センサ22a、22bがそれぞれ配設され、第1のトリガセンサ21a及び第1の厚さ検出センサ22aによって、第1の走査ラインAが、第2のトリガセンサ21b及び第2の厚さ検出センサ22bによって、第2の走査ラインBがそれぞれ設定される。
【0038】
したがって、紙幣25に図19に示すような連鎖が発生すると、第1の走査ラインAにおいて図20に示すようなセンサ出力波形が、第2の走査ラインBにおいて図21に示すようなセンサ出力波形がそれぞれ形成される。
そこで、第2の走査ラインB上における1枚目の紙幣25の前端を基準位置としたとき、前記基準位置から第1の走査ラインA上における1枚目の紙幣25の前端までの長さLをL4 とし、前記基準位置から第1の走査ラインA上における2枚目の紙幣25の前端までの長さLをL5 とし、前記基準位置から第1の走査ラインA上における1枚目の紙幣25の後端までの長さLをL6 とし、前記基準位置から第1の走査ラインA上における2枚目の紙幣25の後端までの長さLをL7 とし、前記基準位置から第2の走査ラインB上における1枚目の紙幣25の後端までの長さLをL8 とし、前記基準位置から第2の走査ラインB上における2枚目の紙幣25の前端までの長さLをL9 とし、前記基準位置から第2の走査ラインB上における2枚目の紙幣25の後端までの長さLをL10とし、設定値をLr としたとき、紙幣25の連鎖が発生すると、
Lr <L10
になる。
【0039】
そして、センサ出力tは、
L4 <L<L5
の範囲において、
t1 <t<t2 …(5)
になり、
L5 <L<L6
の範囲において、
t2 <t<t3 …(6)
になり、
L6 <L<L7
の範囲において、
t1 <t<t2 …(7)
になる。また、
の関係が成立する。
【0040】
したがって、第1、第2の厚さ検出センサ22a、22bのうち、少なくとも一方において、前記各式(5)〜(8)が連鎖の条件にされ、各条件が満たされると、CPU20は、紙幣25の連鎖が発生したと判断する。なお、各条件が満たされない場合、CPU20は紙幣25をリジェクトし、リジェクト部16(図2)に送る。
【0041】
そして、金種の判別が行われた後、紙幣25が正常であるかどうかを判断するために、金種ごとにあらかじめメモリ31(図1)に格納された正常な紙幣25のデータと、第1、第2の印刷パターン読取手段としての光センサ26、27によって読み取られた紙幣25の印刷パターンのデータとを紙幣25の全面について照合し、両者が一致するかどうかを調べる。本実施の形態においては、図22に示すような第1の連鎖の状態にある場合、及び図23に示すような第2の連鎖の状態にある場合が想定される。
【0042】
例えば、紙幣25が第1の連鎖の状態にある場合、紙幣搬送路18の上方に配設された光センサ26によって紙幣25の印刷パターンを読み取ると、1枚目の紙幣25は正常になるが、2枚目の紙幣25は異常になる。一方、下方に配設された光センサ27によって紙幣25の印刷パターンを読み取ると、1枚目の紙幣25は異常になるが、2枚目の紙幣25は正常になる。
【0043】
また、紙幣25が第2の連鎖の状態にある場合、前記光センサ26によって紙幣25の印刷パターンを読み取ると、1枚目の紙幣25は異常になるが、2枚目の紙幣25は正常になる。一方、前記光センサ27によって紙幣25の印刷パターンを読み取ると、1枚目の紙幣25は正常になるが、2枚目の紙幣25は異常になる。
【0044】
したがって、本実施の形態においては、光センサ26、27のうちの少なくとも一方によって読み取られた印刷パターンに基づいて、紙幣25が正常であると判断されると、各紙幣25の金種の判別結果が制御部に送られる。
前記各実施の形態において、金種の判別を行うに当たり、表裏及び上下が統一された状態の紙幣25が図示されているが、表裏及び上下が統一されていない場合でも、特徴点A、B、…を適宜設定することによって、金種の判別を正確に行うことができる。
【0045】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0046】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、紙幣入出金機においては、搬送方向における紙幣の長さを検出する長さ検出手段と、前記紙幣の厚さを検出する厚さ検出手段と、前記長さ検出手段によって検出された紙幣の長さが設定値より大きいかどうかを判断する長さ判断手段と、前記厚さ検出手段によって検出された紙幣の厚さのパターンが、紙幣の連鎖が発生したときの条件を満たすかどうかを判断する条件判断手段と、前記長さ検出手段によって検出された紙幣の長さが設定値より大きく、かつ、前記厚さ検出手段によって検出された紙幣の厚さのパターンが、紙幣の連鎖が発生したときの条件を満たす場合に、紙幣の連鎖が発生していると判断する連鎖判断手段と、前記紙幣を搬送するための紙幣搬送路を挟んで配設され、紙幣の印刷パターンを読み取る第1、第2の印刷パターン読取手段と、連鎖が発生している紙幣について、前記第1、第2の印刷パターン読取手段によって読み取られた各印刷パターンに基づいて金種の判別を行う金種判別手段とを有する。
【0047】
この場合、長さ検出手段によって検出された紙幣の長さが設定値より大きく、かつ、前記厚さ検出手段によって検出された紙幣の厚さのパターンが、紙幣の連鎖が発生したときの条件を満たす場合に、紙幣の連鎖が発生していると判断される。そして、金種の判別が行われ、判別結果が制御部に送られる。
したがって、新たにリジェクト部に送られた紙幣の額を求めることができ、リジェクト額を調べることができる。
【0048】
本発明の紙幣入出金機の紙幣処理方法においては、搬送方向における紙幣の長さをセンサ出力に基づいて検出し、前記紙幣の厚さをセンサ出力に基づいて検出し、検出された紙幣の長さが設定値より大きいかどうかを判断し、検出された紙幣の厚さのパターンが、紙幣の連鎖が発生したときの条件を満たすかどうかを判断する。
また、検出された紙幣の長さが設定値より大きく、かつ、検出された紙幣の厚さのパターンが、紙幣の連鎖が発生したときの条件を満たす場合に、紙幣の連鎖が発生していると判断する。
そして、紙幣の印刷パターンを読み取り、連鎖が発生している紙幣について、読み取られた各印刷パターンに基づいて金種の判別を行う。
【0049】
この場合、センサ出力に基づいて検出された紙幣の長さが設定値より大きく、かつ、センサ出力に基づいて検出された紙幣の厚さのパターンが、紙幣の連鎖が発生したときの条件を満たす場合に、紙幣の連鎖が発生していると判断される。そして、金種の判別が行われ、判別結果が制御部に送られる。
したがって、新たにリジェクト部に送られた紙幣の額を求めることができ、リジェクト額を調べることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における紙幣判別部の機能ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における紙幣入出金機のブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における紙幣判別部の概略図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における紙幣入出金機の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態における紙幣の例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における紙幣の連鎖の状態を示す第1の図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における厚さ検出センサのセンサ出力波形を示す第1の図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における厚さ検出センサのセンサ出力波形を示す第2の図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における厚さ検出センサのセンサ出力波形を示す第3の図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態における紙幣の連鎖の状態を示す第2の図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態における金種の判別動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第1の実施の形態における千円券の走査状態を示す図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態における五千円券の走査状態を示す図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態における万円券の走査状態を示す図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態における千円券を走査したときのセンサ出力レベルを示す図である。
【図16】本発明の第1の実施の形態における五千円券を走査したときのセンサ出力レベルを示す図である。
【図17】本発明の第1の実施の形態における万円券を走査したときのセンサ出力レベルを示す図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態におけるトリガセンサ及び厚さ検出センサの配設状態を示す図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態における紙幣の連鎖の状態を示す図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態における厚さ検出センサのセンサ出力波形を示す第1の図である。
【図21】本発明の第2の実施の形態における厚さ検出センサのセンサ出力波形を示す第2の図である。
【図22】本発明の第2の実施の形態における紙幣の第1の連鎖の状態を示す図である。
【図23】本発明の第2の実施の形態における紙幣の第2の連鎖の状態を示す図である。
【符号の説明】
11 紙幣入出金機
18 紙幣搬送路
20 CPU
21、21a、21b トリガセンサ
22、22a、22b 厚さ検出センサ
25 紙幣
26、27 光センサ
33 長さ判断手段
34 条件判断手段
35 連鎖判断手段
L、L1、L1 〜L10 長さ
Lr 設定値
Claims (6)
- (a)搬送方向における紙幣の長さを検出する長さ検出手段と、
(b)前記紙幣の厚さを検出する厚さ検出手段と、
(c)前記長さ検出手段によって検出された紙幣の長さが設定値より大きいかどうかを判断する長さ判断手段と、
(d)前記厚さ検出手段によって検出された紙幣の厚さのパターンが、紙幣の連鎖が発生したときの条件を満たすかどうかを判断する条件判断手段と、
(e)前記長さ検出手段によって検出された紙幣の長さが設定値より大きく、かつ、前記厚さ検出手段によって検出された紙幣の厚さのパターンが、紙幣の連鎖が発生したときの条件を満たす場合に、紙幣の連鎖が発生していると判断する連鎖判断手段と、
(f)前記紙幣を搬送するための紙幣搬送路を挟んで配設され、紙幣の印刷パターンを読み取る第1、第2の印刷パターン読取手段と、
(g)連鎖が発生している紙幣について、前記第1、第2の印刷パターン読取手段によって読み取られた各印刷パターンに基づいて金種の判別を行う金種判別手段とを有することを特徴とする紙幣入出金機。 - 前記連鎖判断手段によって連鎖が発生していると判断された場合、前記紙幣はリジェクト部に送られ、リジェクト部に送られた紙幣の額がリジェクト額に加算される請求項1に記載の紙幣入出金機。
- (a)前記厚さ検出手段は、紙幣の搬送方向に対して直角の方向に複数個配設され、
(b)前記条件判断手段は、前記各厚さ検出手段によって検出された紙幣の厚さのパターンが、紙幣の連鎖が発生したときの条件を満たすかどうかを判断するとともに、
(c)前記連鎖判断手段は、前記長さ検出手段によって検出された紙幣の長さが設定値より大きく、かつ、前記各厚さ検出手段によって検出された各紙幣の厚さのパターンのうちの少なくとも一つが、紙幣の連鎖が発生したときの条件を満たす場合に、紙幣の連鎖が発生していると判断する請求項1に記載の紙幣入出金機。 - (a)搬送方向における紙幣の長さをセンサ出力に基づいて検出し、
(b)前記紙幣の厚さをセンサ出力に基づいて検出し、
(c)検出された紙幣の長さが設定値より大きいかどうかを判断し、
(d)検出された紙幣の厚さのパターンが、紙幣の連鎖が発生したときの条件を満たすかどうかを判断するとともに、
(e)検出された紙幣の長さが設定値より大きく、かつ、検出された紙幣の厚さのパターンが、紙幣の連鎖が発生したときの条件を満たす場合に、紙幣の連鎖が発生していると判断し、
(f)紙幣の印刷パターンを読み取り、
(g)連鎖が発生している紙幣について、読み取られた各印刷パターンに基づいて金種の判別を行うことを特徴とする紙幣入出金機の紙幣処理方法。 - (a)紙幣の両面の印刷パターンを読み取り、
(b)読み取られた各印刷パターンに基づいて金種の判別を行う請求項4に記載の紙幣入出金機の紙幣処理方法。 - (a)紙幣の搬送方向に対して直角の方向における少なくとも二つの走査ライン上において、紙幣の厚さをセンサ出力に基づいて検出し、
(b)検出された各紙幣の厚さのパターンが、紙幣の連鎖が発生したときの条件を満たすかどうかを判断するとともに、
(c)センサ出力に基づいて検出された各紙幣の長さが設定値より大きく、かつ、前記各紙幣の厚さのパターンのうちの少なくとも一つが、紙幣の連鎖が発生したときの条件を満たす場合に、紙幣の連鎖が発生していると判断する請求項4に記載の紙幣入出金機の紙幣処理方法。
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