JP3614575B2 - 光学的素子又は装置、これらの製造方法、及びその製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的素子又は装置、これらの製造方法、及びその製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、陰極線管(CRT)、液晶表示素子等の光学的素子又は装置の需要が著しく伸びてきている。
【0003】
これらの光学的素子又は装置において、光の透過率の向上、光の反射の防止、表示素子表面の保護等の目的で、プラスチック等の基体上に酸化ケイ素及び酸化スズ等からなる光学膜を設け、この光学膜の付いたプラスチック等の基体を表示素子上に貼り付けることが行われている。
【0004】
この光学膜は、主に外光の反射防止を目的として、光学的素子又は装置の基体上に屈折率の異なる複数の層として設けられている。
【0005】
しかし、上記の光学的素子又は装置に使用する基体、特にプラスチック基板と光学膜との間には、接着性、耐久性等の問題があった。そこで、陰極線管(CRT)、液晶表示素子等の光学的素子又は装置において、無機物である光学膜と有機物であるプラスチック基板との間の密着性を向上させるために、一般的な方法として、チタンやクロム等の反応性の高い薄膜(いわゆる接着膜又は接着層)を両者の間に極く薄く設けることが行われている。
【0006】
図10は、従来の光学的素子又は装置における反射防止構造の一例を示すものである。例えばポリエチレンテレフタレート(この上にシリコン樹脂含有のハードコート層が設けられていてもよい。)等からなる基体3上に、チタン等の金属薄膜からなる厚さ5nm以下の層70と、二酸化スズ(SnO2 )等の酸化物系の透明電極層からなる厚さ15nmの層5aと、主としてSiO2 からなる厚さ23nmの層6aと、二酸化スズ(SnO2 )等の酸化物系の透明電極層からなる厚さ100nmの層5bと、主としてSiO2 からなる厚さ85nmの層6bとが反射防止膜(AR膜)4として設けられている。
【0007】
上記のような非常に薄くて反応性の高いチタンやクロム等の金属は、プラスチック等の基体と化学的に結合して無機質の薄膜70を形成し、この薄膜70に反応性の低い無機物である光学膜が密着するというものである。
【0008】
この金属薄膜60は非常に薄いので、光学膜の特性(例えば、光吸収性又は反射防止性等)に及ぼす影響は無視できるほど小さい。
【0009】
しかしながら、上記の金属薄膜70からなる接着層を形成するためには、光学膜の成膜用とは別の成膜システム及び成膜プロセスを追加、導入しなければならず、また、この追加の装置の設置をはじめ、接着層用の材料、電力の供給及び維持管理等にコストがかかるため、経済的に優れた方法とは言い難い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、反射防止用の光学膜の光学特性を保持しながら、上記の金属薄膜の如き特別の接着層を追加することなしに、光学膜の接着性を向上させ、かつ経済的にも優れた光学的素子又は装置、これらの製造方法、及びその製造装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、陰極線管等の光学的素子又は装置の基体上に光学膜が積層されている構造において、基体に接する層(第1層)に特定の材質からなる層を用いることによって、接着性、光学特性及び経済性に優れた光学的素子又は装置が得られることを見い出し、本発明に到達した。
【0012】
即ち、本発明は、
有機物を含むハードコート層が基体上に設けられ、
SiOX(但し、Xは2未満の正数)からなる第1層と、この第1層より低屈折率の 第2層(例えば主としてSiO2からなる第2層)と、酸化物系の透明導電層からなる 、前記第2層より高屈折率の第3層(例えばSnO 2 からなる第3層)とがこの順に前 記ハードコート層上に積層され、
かつ前記第3層が接地されている
光学的素子又は装置(以下、本発明による光学的素子又は装置と称する。)に係るものである。
【0013】
ここで、上記の「光学的素子又は装置」とは、光ビームの透過、出射及び入射が可能であり、光ビームによる情報を伝達、出力及び入力できる素子又は装置を意味し、例えば、陰極線管(CRT:ブラウン管等)、光学レンズ、光学プリズムを始めとする種々の素子又は装置を包含するものである。
【0014】
本発明による光学的素子又は装置において、SiOX 中のXは、2未満の正数(即ち、0<X<2)でなければならない。
【0015】
これは、SiOX (但し、Xは2未満の正数)中の酸素原子の割合が安定組成(SiO2 )に比べて少ないために、酸素原子の欠乏したSiOX が活性化して反応性が高くなり、プラスチック等の基体に対する接着性が著しく向上するものと考えられる。即ち、SiOX 中の酸素原子の割合が少ないほど接着性は向上する。しかしながら、X=0であると、SiOX はケイ素の単体(Si)になり、接着性には優れるが、光学吸収が大きすぎ、光学特性が劣化する。このXは0.2〜1.8とするのが望ましく、0.5〜1.0とするのが更に望ましい。
【0016】
図1(A)は、本発明による光学的素子又は装置における反射防止構造を例示するものであり、例えばポリエチレンテレフタレート(この上にシリコン樹脂含有のハードコート層が設けられていてもよい。)等からなる基体3上に、本発明のSiOX (但し、Xは2未満の正数)からなる厚さ15nmの第1の層1と、主としてSiO2 からなる厚さ23nmの第2の層2とが順次積層して設けられており、この上に、二酸化スズ(SnO2 )等の酸化物系の透明電極層からなる厚さ100nmの第3の層5と、主としてSiO2 からなる厚さ85nmの第4の層6とが設けられ、反射防止膜(AR膜)4を構成している。
【0017】
図1(A)に例示した構造において、層1は基体3と層2との接着性を向上させる接着層の機能を持つ他、層1と層2との積層構造は層5及び6と共に反射防止構造を形成している。即ち、層1−2−5−6の順に屈折率が大−小−大−小の配列になっているため、外光の反射は効果的に屈折若しくは吸収され、反射防止効果が得られる。
【0018】
また、図1(B)は、本発明の光学的素子又は装置における反射防止構造を例示するものであり、図1(A)の反射防止膜4上に、例えばチタンやケイ素からなる厚さ10nm以下の接着層7を介して、例えばフルオロカーボンからなるトップコート層8が厚さ10nm以下に設けられている。二酸化スズ(SnO2)等の酸化物系の透明導電(電極)層からなる層5は帯電防止又は静電シールドのため、接地されている。
【0019】
上記した第1の層1は、2〜50nm、更には、5〜25nmの厚みに成膜されていることが好ましい。これが厚すぎると、光学特性に劣化が生じ、また薄すぎると接着性に劣化が生じる。約15nm程度が好ましい。上記した第2の層2は、5〜50nm、更には10〜30nmの厚みに成膜されていることが好ましい。
【0020】
ここで、図1において、基体3上にはハードコート層(ここでは図示省略)が設けられており、基体3上に接着剤層を介してプラスチックフィルム層が設けられ、この上にハードコート層を介して、図1の反射防止構造が積層されていてよい。
【0021】
例えば、図2は、本発明による光学的素子又は装置の例の概略断面図であるが、陰極線管等の基体3上に接着層9を介してポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルム層10が設けられ、この上にシリコーン樹脂又はシリコン樹脂等の有機物を含有するハードコート層11を介して、第1の層1、第2の層2、第3の層5及び第4の層6からなる反射防止膜4が積層し、更に接着層7を介してトップコート層8が積層されている構造である。
【0022】
図1に例示した光学的素子又は装置の反射防止構造は、図10に示した従来の反射防止構造と比べて、基体3との接着に金属薄膜70を用いず、SiOX (但し、Xは2未満の正数)を用いているため、チタン等の金属薄膜を追加するのではなく、従って、現在使用されている製造装置に新たな成膜システムを追加する必要はない。
【0023】
また、本発明は、本発明による光学的素子又は装置を製造する方法であって、
酸素を含む雰囲気中で物理的成膜法により前記第1層(SiOX)を成膜し、続いて 前記第2層を成膜する際、前記雰囲気中の酸素量をフィードバック手段で制御するため に、成膜されたSiO X の光の吸収を測定する光学モニターを前記第1層の成膜室と前 記第2層の成膜室との間に配置する、
光学的素子又は装置の製造方法(以下、本発明による製造方法と称する。)を提供するものである。
【0024】
上記の物理的成膜法とは、いわゆるPVD法であって、主として物理的な現象や変化を利用して薄膜を形成する薄膜形成技術であり、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等が挙げられる。
【0025】
また、酸素を含む雰囲気中で第1層の物理的成膜を行うが、上述したように、第1層のSiOX 中のXは2未満の正数となるように酸素ガスの量を調整しなければならない。
【0026】
本発明による製造方法においては、酸素ガスを含む雰囲気中で例えばケイ素ターゲットを酸素と反応させた後、物理的に飛翔させ、SiOX を成膜しており、特に、酸素ガスの量の調節は非常に重要である。但し、SiOX の状態は厳密には酸素ガスの導入量のみで決定されるわけではない。
【0027】
更に、本発明は、本発明による光学的素子又は装置を製造するのに用いられ、
酸素を含む雰囲気中で物理的成膜法により前記第1層を成膜する成膜室と、前記第2 層を成膜する成膜室と、前記第3層を成膜する成膜室とを有し、
前記雰囲気中の酸素量をフィードバック手段で制御するために、成膜されたSiO X の光の吸収を測定する光学モニターが前記第1層の成膜室と前記第2層の成膜室との間 に配置されている、
光学的素子又は装置の製造装置(以下、本発明による製造装置と称する。)も提供するものである。
【0028】
本発明による製造装置は、この装置内で物理的成膜を行うことができるが、物理的成膜法とは、上述したように、いわゆるPVD法であって、主として物理的な現象や変化を利用して薄膜を形成する薄膜形成技術であり、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等が挙げられ、本発明による製造装置では前記いずれの方法も使用できる。
【0029】
また、酸素を含む雰囲気中で第1層の物理的成膜を行うが、本発明による製造装置の第1層の成膜室には、第1層のSiOX 中のXが2未満の正数となるように、酸素量を適宜調整できるシステムが配置される。
【0030】
以下に、本発明による製造方法及び製造装置について詳細に例示する。
【0031】
図3は、本発明による光学的素子又は装置の製造に使用できる製造装置の一例の概略断面図である。この装置の真空槽20内においては、仕切り板21で仕切られた各成膜室(チャンバー)61、62、63、64があり、各成膜室62、63、64には、図示しない排気口、真空ポンプ、及びアルゴンガス、酸素ガス等のガス導入口、冷却水導入口、高周波電源、AC電源又は直流電源等がある。
【0032】
図3においては、時計方向に定速回転する巻出しロール41と、図中の反時計方向に定速回転する巻取りロール42とが設けられ、巻出しロール41から巻取りロール42に未成膜のプラスチックフィルム50a、成膜後のプラスチックフィルム50bが順次矢印D方向に走行するようになされている。このプラスチックフィルム50aは図1の基体3又は図2のハードコート層11付きのフィルム層10に相当するものであり、またプラスチックフィルム50bはその上に図1の層1、2、5、6等が順次成膜されたものであってよい。なお、トップコート層8については、フィルムを巻き取った後に形成するか、或いは、巻き取る前に図3の真空槽20内で形成してもよい。
【0033】
巻出しロール41から巻取りロール42側にプラスチックフィルム50a、50bが順次走行する中途部には、冷却キャン44が設けられている。この冷却キャン44は、プラスチックフィルム50a、50bを図中の下方に引き出してから反時計方向に回転する構成とされる。
【0034】
なお、巻出しロール41、巻取りロール42、及び冷却キャン44はそれぞれ、プラスチックフィルム50a、50bの幅に対応する長さの円筒形をなすものであり、また、冷却キャン44の内部には図示しない冷却装置が設けられ、プラスチックフィルム50a、50bのスパッタリング時の温度上昇による変形等を抑制し得るようになされている。
【0035】
従って、プラスチックフィルム50a、50bは、巻出しロール41から順次送り出され、更に冷却キャン44の周面上を通過し、巻取りロール42に巻き取られていく。なお、巻出しロール41から冷却キャン44を経て、巻取りロール42へプラスチックフィルムを所定のテンション下で搬送するためにガイドロール43がそれぞれ配設されている。そして、各成膜室内には、各ターゲットが冷却キャンと対向するように、電極板上に設置されている。
【0036】
図3は、図1に示す積層構造物を製造する装置に好適であり、成膜室61内にはSiOX 層1用のSiターゲット51、成膜室62内には例えば二酸化ケイ素2用のSiターゲット52、成膜室63内には二酸化スズ5用のSnターゲット53、成膜室64内には二酸化ケイ素6用のSiターゲット54が配されている。そして、各成膜室において、酸素ガスをそれぞれ供給しながらターゲット51、52、53、54を順次スパッタすることにより、図1に示した如き各層1、2、5、6を積層することができる。
【0037】
なお、図3に示すような装置においては、積層する層の数又は厚さにより、成膜室を適宜の個数設けることができる。但し、第3層のSnO2 層と第4層のSiO2 層は厚いので、実際にはターゲット数を増やし、ラインスピードを一定として効率良く成膜するのがよい。
【0038】
この装置においては特に、酸素ガス供給量を調節するフィードバック手段が設けられている。即ち、成膜室61と成膜室62との間の検出室65には、成膜室61で成膜されたSiOX 層1の状態を検出するための光学モニター30が配置されており、ここで検出された情報が真空槽20の外部に配置されているコントローラ32aに送られ、このコントローラ32aの制御信号により酸素ガス調節バルブ33で成膜室61への酸素ガスの供給量を調節する。この酸素ガス34は、成膜室61に酸素ガス導入管35を通して送られる。なお、光学モニター30は成膜室61の内部に配置されていてもよい。
【0039】
また、上記4層又は各層の成膜後の位置でも、第1層成膜後であって第1層以外の膜が透明であれば、上記の光学モニターを配して酸素ガス導入量を制御することができる。なお、上記のような酸素ガス導入量の制御は、第1層以外の層についても行ってよい。
【0040】
このフィードバック手段は、フィルム50a上に成膜されたSiOX の光の吸収を測定する光学モニター30を含み、SiOX の状態(酸化度)を光学的に検出し、これを電流又は電圧値に変換してコントローラ32aで基準値と比較し、常に一定量の酸素が供給されるように、コントローラ32aから制御信号を出力するものである。
【0041】
例えば、この光学モニター30は、図4に示すように、発光素子71から出射した光ビームをSiOX 層1に照射し、その反射光ビームを受光素子72に入射させることによってSiOX の光の吸収度を測定し、これをフィードバックする。
【0042】
詳しくは後述するが、光ビームの吸収の割合とSiOX 中の酸素原子の割合との間には相関関係があり、SiOX の状態は酸素ガスの流量によって制御可能である。
【0043】
また、SiOX の屈折率(n)及び消衰係数(k)を検出する方法として、測定機器としては、光偏向の測定機器にEllipsometer(Rudolph Research社製の「AutoEL NIR−3」)等、膜厚の測定機器にSurface Profilometer(Tencor社製の「P−10」)等を使用し、これらの測定値から屈折率(n)及び消衰係数(k)を求めることができる。
【0044】
また、本発明による製造方法及びその装置において、SiOX の成膜中の状態を検出して得られる情報をフィードバック手段に入力し、成膜されたSiOX の光の吸収を測定する光学モニターの出力によって、前記フィードバック手段のセットポイントを調整することができる。
【0045】
これは、光学モニターにより成膜されたSiOX の状態を検出し、この検出値をフィードバック手段のセットポイント(基準値)として、成膜中のSiOX の状態の検出情報と比較し、この情報をもとにコントローラにより、酸素ガス調節バルブで酸素ガスの量を調節する。
【0046】
この成膜中のSiOX の状態の検出には、図5に示すように、プラズマ強度センサー38を用いることがよい。或いは、図6に示すように、ターゲット51の電圧を酸素量の検出情報として用いることもできるが、ターゲット電圧はターゲット上に堆積したSiOX により変動するからである。この場合は、電源39がコントローラを兼ねるため、回路構成がより簡略となり得る。
【0047】
即ち、このようなSiOX の成膜中の状態をプラズマ強度又はターゲット電圧を検出して得られる情報をコントローラ32b又は電源39に入力すると共に、成膜されたSiOX の光の吸収を測定する光学モニター30の出力をコントローラ32c又は32dを介して入力し、これによってコントローラ32b又は電源39のセットポイントを調整する。
【0048】
こうした調整方法は、図3に例示した光学モニター30からのみの情報をもとにフィードバック手段で酸素ガスの量を調整する方法よりも、成膜中のSiOX の状態を検出できるため、成膜に実際に必要な酸素ガスの量を正確にコントロールできるので、より精度の高い成膜が可能である。
【0049】
また、図7に示したように、スパッタの場合、酸素ガスの供給量によるプラズマのインピーダンスは、酸化ケイ素及びケイ素単体の場合のプラズマのインピーダンス間でヒステリシスを生じることが判明している。
【0050】
即ち、このヒステリシスを利用し、第1層を成膜するためには、酸素量が目的値V1 よりも少ない安定状態(Si)から矢印a1 のように成膜を開始し、酸素量を増加させて前記目的値V1 に固定してSiOX を成膜する方法と、酸素量が目的値V2 よりも多い安定状態(SiO2 )から矢印a2 のように成膜を開始し、酸素量を前記目的値V2 に固定してSiOX を成膜する方法とがあり、いずれの方法も、成膜の開始状態により酸素量を目的値に正確に固定できることになる。即ち、目的とする酸化度に対応するインピーダンスを示すSiOX を成膜することができるのである。
【0051】
本発明による製造方法及び製造装置における物理的成膜法とは、いわゆるPVD法のことを示すが、本発明においては、DC(直流)スパッタリング法、RF(高周波)プラズマスパッタリング法、ACスパッタリング法等のスパッタリング法が好ましく、真空蒸着法も使用できる。
【0052】
本発明において、第1層であるSiOX 層は光学的に吸収をもつ層である。つまり、この第1層は基板に対する接着機能のみを有する層ではなく、第1層と第2層とが、その他の反射防止用の層と共に反射防止構造を形成する。即ち、第1層は、接着機能及び光学的機能を有する層である。
【0053】
ここで、その他の反射防止用の層は光学膜として、屈折率の大きな層(例えば、酸化物系の透明電極層)と小さな層(例えば、主としてSiO2 からなる層)をこの順に積層したものであり、外光又は内光の光ビームの反射率を減少させる機能を有する層(膜)である。第1層は、第2層に比べて屈折率が大きく、上記のその他の反射防止用の層と共に第1層と第2層とが反射防止構造を形成し、光学膜として反射防止の機能を有している。
【0054】
図8は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、図1(A)に示した反射防止構造(4層)を施した例と、ポリエチレンテレフタレート(PET)単層の例とにおいて、入射波長による反射率の変化を示すグラフである。
【0055】
PET単層の例に比べて、PET上に反射防止構造を施した例は、波長480〜600nmの範囲で優れた反射防止能を有していることが分かる。この波長480〜600nmは可視光の波長範囲であり、特にこの範囲における反射率の向上が著しい。
【0056】
また、図9は、本発明による光学的素子又は装置として、陰極線管12のフェースプレート13上に上記の反射防止膜を設けた例である。即ち、図8に示すように、可視光の波長範囲では反射率が小さいために、入射光に対して反射光の光量は非常に減少する。また、SnO2 層を接地しているために、陰極線管内から外部に出射する電磁波の量は少なくなり、他の機器類や人体に及ぼす電磁波の影響は極めて少ない。また、ほこり付着を防ぐ帯電防止効果も良好である。
【0057】
本発明においては、詳しくは後述するが、光ビームの吸収の割合とSiOX 中の酸素原子の割合とに相関関係があるので、SiOX の好ましい成分をその消衰係数(k)及び屈折率(n)に対応させて決定することができる。即ち、波長550nmにおいてSiOX の消衰係数(k)が0.01から0.05であること、また波長550nmにおいてSiOX の屈折率(n)が1.8から2.3であることがそれぞれ好ましい。なお、通常、過度の光吸収を避けるには、いずれの波長でも屈折率(n)は1.7〜2.3であり、また波長450〜650nmでは消衰係数(k)が平均で0.05以下であることが必要とされている。
【0058】
本発明による光学的素子又は装置において、基体はガラス、シリコン等の無機物でもよいが、PET等の有機物からなることが好ましい。基体が有機物であると、第1層のSiOX が極めて優れた接着性を示す。ここで「基体」とは、光学的素子又は装置において、光学的素子又は装置の本体を含むものである。
【0059】
また、上記の有機物は、樹脂であることが更に好ましい。樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂が特に好ましく、従来公知の樹脂であればいかなるものでも使用できる。
【0060】
既に図2で示したが、基体上には有機物からなるハードコート層が設けられ、このハードコート層上に第1層のSiOX が設けられている構造であることが好ましい。ハードコート層を設けることによって、光学的素子又は装置の機械的強度が向上し、耐久性にも優れたものとなる。このハードコート層の材料もプラスチックを始め、ハードコート層として使用される従来公知の材料が使用できる。
【0061】
このハードコート層は、シリコーン樹脂を含む層であっても、本発明の第1層との接着性は良好である。
【0062】
また、第2層はSiOX 及びSnO2 よりも小さい屈折率を示し、かつSnO2 を変質させない材質からなるのがよく、SiO2 が好適である。
【0063】
この第2層上に設けられる反射防止膜は、SnO2 、ITO(indium tin oxide)等の酸化物系の透明電極層からなる第3層と、主としてSiO2 からなる第4層とによって形成されていることが好ましい。即ち、第3層は屈折率が大きく、第4層は屈折率が小さいので、第1層、第2層、第3層及び第4層によって反射防止膜を形成できる。
【0064】
また、この反射防止膜上に、チタンやケイ素等からなる接着層を介して表面保護のためにトップコート層が形成されていることが好ましく、これらはいずれもスパッタ法等で成膜可能である。
【0065】
トップコート層としては、フルオロカーボンを用いることが好ましく、耐刷性等に優れた従来公知のフルオロカーボンを使用できるが、特に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロポリエーテル(PFPE)又はこれらの混合物を使用することが好ましい。トップコート層下の接着層としてシリコン(ケイ素)を用いると、接着力が向上する。
【0066】
【実施例】
以下、本発明を具体的な実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0067】
1.単層コーティングしたサンプルの剥離テスト
(1)単層コーティングしたサンプルの作製
基体として、膜厚6μmのハードコート層(タフトップ:東レ社製)の設けられている膜厚0.188mmのポリエチレンテレフタレート(東レ社製)を5cm四方に切断し、エタノールで洗浄、乾燥した。
【0068】
その後、スパッタリング装置(MRC社製のR&D)において、30分間減圧(脱気)を行い、圧力2mTorrに調整した成膜室内で下記の表1に示す材質の層(上述の第1層に相当)を成膜した。
【0069】
但し、成膜の前に1分間、ターゲットをシャッタで覆って、プレスパッタリングを行い、そしてMRC社製のスパッタ装置「R&D」(以下、同様)によるDC(直流)スパッタリング法を用いて、1分間成膜を行った。このときの膜厚は100〜200nmとした。また、SiOX を成膜する際の導入ガス(Ar+O2 )の総量は60sccmであった。成膜時のアルゴンガス、酸素ガス、窒素ガス、DC(直流)スパッタリング時の電力を下記の表2に記載する。
【0070】
また、下記の表1の材質において、( )内には、ガスの総量60sccmのうちの酸素ガスの量(単位sccm)を示したものである(以下、同様)。また、TiNX (W)は、Wをドープした第1層の材質である。
【0071】
(2)サンプルの剥離テスト
以下の剥離テストをテスト1、テスト2、テスト3、テスト4の順に行った(これらの各テストは以下の他の例でも同様に行った)。
【0072】
「テスト1」では、半径約30mmの球状の重錘に4層に重ねた布を被し、これにエタノールを含浸し、2kg重の力で40回(20往復)、サンプルの層の表面をラビングする。このテストにおいては、サンプルの表面が外観的に変化しないものを「○」とし、多少の膜の剥離がすじ状に生じたものを「△」、膜が剥離したものを「×」とした。
【0073】
「テスト2」では、テスト1において、半径約30mmの球状の重錘に1層の布を被せたものを使用した。この場合も、テスト1と同様に、サンプルの表面が外観的に変化しないものを「○」とし、多少の膜の剥離がすじ状に生じたものを「△」、膜が剥離したものを「×」とした。
【0074】
「テスト3」では、沸騰した水中に10分間サンプルを浸し、その後、テスト1と同様に膜の剥離テスト及びその評価を行った。
【0075】
「テスト4」では、沸騰した水中に10分間サンプルを浸し、その後、テスト2と同様に膜の剥離テスト及びその評価を行った。
【0076】
但し、通常、4層に重ねた布よりも、1層の布の場合の方が膜の剥離が生じ易く、より厳しいテストである。また、沸騰した水中に10分間サンプルを浸すことによって、サンプルの耐熱性及び耐湿性の評価ができる。
【0077】
【0078】
【0079】
(3)結果
表1から、各例のサンプルは、その耐剥離性から3つのランクに分けることができる。例1〜6は剥離し易く、実用には耐えがたいサンプル、例7〜13は剥離しにくいが、厳しい環境下では剥離し易いサンプル、例14〜19のサンプルは剥離しにくく、機械的耐久性に優れているサンプルである(但し、例19のSiは光吸収が多すぎる欠点がある)。
【0080】
更に、図9に示したような陰極線管(CRT)の使用には、光学特性も要求され、これを満たすものは、例14(材質:SiOX (17))、例15(材質:SiOX (16))、例16(材質:SiOX (15))である。
【0081】
但し、上記の光学特性は、サンプルの屈折率(n)及び消衰係数(k)の特性であり、測定に際しては、シリコン基板上に上記した層を成膜し、光偏向をEllipsometer(Rudolph Research社製の「AutoEL NIR−3」)により、膜厚をSurface Profilometer(Tencor社製の「P−10」)によりそれぞれ測定し、これらから屈折率(n)と消衰係数(k)を求めた(以下、同様)。
【0082】
2.多層コーティングしたサンプルの剥離テスト
(1)多層コーティングしたサンプルの作製
単層コーティングしたサンプルの作製と同様の基体上に、上記の「R&D」で多層コーティングした陰極線管(CRT)用のサンプルを作製した。作製したサンプルの材質は、下記の表3に示す。
【0083】
(2)サンプルの剥離テスト
単層コーティングしたサンプルの剥離テストと同様に、各サンプルの最表層上から剥離テストを行い、このテストの結果を下記の表3に示す。図9に示した陰極線管(CRT)用の構造(CRT仕様)にした際の最良の第1層:SiOX (15)、SiOX (16)、SiOX (17)の成膜速度及び波長405.0nm、546.1nm、632.8nmにおける屈折率(n)及び消衰係数(k)を下記の表4に示す。
【0084】
【0085】
【0086】
(3)結果
表3より、基体上に4層を積層した場合でも、第1層にSiOX を使用したサンプルは剥離しにくく、機械的耐久性に優れている。
【0087】
また、表4より、例24(材質:SiOX (15))、例25(材質:SiOX (16))、例26(材質:SiOX (17))のサンプルはいずれも波長546.1nmでnが1.8〜2.3、kが0.01〜0.05の範囲にあり、光学特性に優れていることが分かる。
【0088】
3.CRT仕様の反射防止膜の透過率
(1)サンプルの作製
上述の方法によって作製された例24(材質:SiOX (15))、例25(材質:SiOX (16))、例26(材質:SiOX (17))のサンプルに加えて、第1層にSnOX を使用した例27のサンプルを作製した。
【0089】
(2)サンプルの透過率測定
上述の4つのサンプルの光の透過率を測定した。但し、使用した測定機器はパーキンエルマー社製のラムダ19分光光度計である。下記の表5にその結果を示す。測定値はCRT仕様の反射防止膜における光の透過率を、最小透過率及び平均透過率について測定した(但し、数値は波長450〜650nmの範囲のものである)。
【0090】
【0091】
(3)結果
第1層にSiOX を使用したサンプルは、SnOX を第1層に使用したサンプルに比べて透過率がやや落ちているが、この透過率の減少は、例えばCRTの性能を劣化させる程のものではない。そして、SiOX を用いたサンプルの透過率は大きく、十分であることが分かる。
【0092】
4.評価
本実施例では、DCスパッタリング法を用い、プラズマによる基体のクリーニングはスパッタ前に予め行われておらず、成膜室の脱気も十分とは言えない等の劣悪条件下で上述の各例のサンプルを作製したが、このような条件下でも、例24、例25、例26のようなサンプルは極めて優れた接着性と光学特性とを兼ね備えている。従って、これらのサンプルは、他の条件で成膜すると、劣悪条件よりも良い条件で成膜されるため、得られる性能は一層向上することは明らかである。
【0093】
・接着性について
上記した表1から分かるように、SiOX において、酸素ガスの量が少ないほど、即ち、SiOX 中の酸素原子の量が少ないほど接着性がよい。これは、酸素原子の欠乏が接着性を向上させているものと考えられる。酸素供給量としては、17sccm以下がよい。
【0094】
・光学効果について
上記した表4より、SiOX において、酸素ガスの量が多いほど、即ち、SiOX 中の酸素原子の量が多いほど屈折率が小さくなる。CRT仕様の第1層においては、屈折率が大きいほうが光学特性に優れるため、酸素ガスの量は少ない方がよいが、酸素ガスの量が少なすぎると、kが大きくなり、光の吸収が大きくなりすぎるため、反射防止膜の機能に問題がある。逆に、酸素ガスの量が多いと、kが小となり、光吸収が少なく、反射が生じ易くなる。例24、25、26のサンプルは、いずれも優れた光学特性を示す。
【0095】
以上、本発明を実施例について説明したが、上述した実施例は本発明の技術的思想に基づいて更に変形が可能である。
【0096】
例えば、上述した光学的素子又は装置の層構成や材質、形状等は種々変更でき、特に陰極線管以外にも、光学レンズ、光学プリズム、半導体、液晶素子等、様々な光学系、光源装置、光情報処理装置に対して本発明を適用できる。
【0097】
各層の成膜方法については、その種類ごとに適切な方法を採用でき、スパッタリング法、真空蒸着法、コーティング法等を適切に組み合わせることができる。
【0098】
更に、各層の製造方法及び製造装置において、上述したフィードバック手段以外にも、検出された情報をもとに、成膜時の温度、圧力、電圧、酸素ガス、アルゴンガス等、種々のパラメーターを適切に設定し、最適な状態にするフィードバック手段を採用することができる。フィードバック手段は自動であってもよいし、手動であってもよい。
【0099】
【発明の作用効果】
本発明によれば、SiOX(但し、Xは2未満の正数)からなる第1層と、この第1層より低屈折率の第2層と、酸化物系の透明導電層からなる、前記第2層よりも高屈折率の第3層とがこの順にハードコート層上に積層されているので、特別の接着層を追加することなしに接着性、光学特性及び経済性にも優れる光学的素子又は装置を提供できる。
そして、前記第1層の屈折率よりも前記第2層の屈折率が小さく、前記第2層の屈折率よりも前記第3層の屈折率が大きいため、外光の反射は効果的に屈折若しくは吸収され、反射防止効果が得られる。
また、基体上には有機物を含むハードコート層が設けられ、このハードコート層上に前記第1層のSiO X が設けられているので、前記ハードコート層によって光学的素子又は装置の機械的強度が向上し、耐久性にも優れたものとなる。
しかも、酸化物系の透明導電層からなる前記第3層が接地されているので、帯電防止又は静電シールドを実現することができる。
【0100】
また、本発明の製造方法及びその装置によれば、酸素を含む雰囲気中で物理的成膜法により前記第1層を成膜し、続いて前記第2層を成膜する際、前記雰囲気中の酸素量をフィードバック手段で制御するために、成膜されたSiO X の光の吸収を測定する光学モニターを前記第1層の成膜室と前記第2層の成膜室との間に配置しているので、前記基体上に成膜されたSiO X の光の吸収を測定してSiO X の状態(酸化度)を光学的に検出し、これを電流又は電圧値に変換してコントローラで基準値と比較し、常に一定量の酸素が供給されるように、コントローラから制御信号を出力することができる。従って、本発明の上記の優れた光学的素子又は装置を効率良くかつ経済的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の反射防止膜の構造例Iの概略断面図であり、(B)は本発明の光学的素子の構造例Iの概略断面図である。
【図2】本発明の光学的素子の構造例IIの概略断面図である。
【図3】同、製造方法及び製造装置の一例の概略断面図である。
【図4】同、製造方法及び製造装置に使用できる光学センサーの概略断面図である。
【図5】同、製造方法及び製造装置に使用できるフィードバック手段を含む概略図である。
【図6】同、製造方法及び製造装置に使用できるフィードバック手段を含む概略図である。
【図7】同、製造方法及び製造装置におけるスパッタ時の酸素量によるプラズマのインピーダンスの変化を示すヒステリシス曲線図である。
【図8】ポリエチレンテレフタレートと、ポリエチレンテレフタレート上に反射防止膜を施した時の波長による反射率の変化を示したグラフである。
【図9】本発明の光学的装置の構造例における外光の反射防止と内側の電磁波シールドを示した概略断面図である。
【図10】従来の反射防止膜の構造例の概略断面図である。
【符号の説明】
1…SiOX 層、2、6、6a、6b…SiO2 層、3…基体、
4…反射防止膜、5、5a、5b…SnO2 層、7、9…接着層、
8…トップコート層、10…プラスチック層、11…ハードコート層、
12…陰極線管(CRT)、20…真空槽、21…仕切り板、
30…光学センサー、32a、32b、32c、32d…コントローラ、
33…酸素ガスの調節バルブ、34…酸素ガス供給源、
35…酸素ガス導入管、38…プラズマ強度センサー、39…電源(電圧)、
41…巻出しロール、42…巻取りロール、44…冷却キャン
50a、50b…プラスチックフィルム、
51、52、54…シリコンターゲット、53…Snターゲット、
61…SiOX 層成膜室、62、64…SiO2 層成膜室、
63…SnO2 層成膜室、65…検出室、71…発光素子、72…受光素子
Claims (44)
- 有機物を含むハードコート層が基体上に設けられ、
SiOX(但し、Xは2未満の正数)からなる第1層と、この第1層より低屈折率の 第2層と、酸化物系の透明導電層からなる、前記第2層より高屈折率の第3層とがこの 順に前記ハードコート層上に積層され、
かつ前記第3層が接地されている
光学的素子又は装置。 - 第1層が光学的に吸収をもつ、請求項1に記載した光学的素子又は装置。
- 第1層と第2層とが、第3層と共に反射防止構造を形成している、請求項1に記載した光学的素子又は装置。
- 波長550nmにおいて、SiOXの消衰係数(k)が0.01から0.05である、請求項1に記載した光学的素子又は装置。
- 波長550nmにおいて、SiOXの屈折率(n)が1.8から2.3である、請求項1に記載した光学的素子又は装置。
- 基体が有機物からなる、請求項1に記載した光学的素子又は装置。
- 有機物が樹脂からなる、請求項6に記載した光学的素子又は装置。
- ハードコート層がシリコーン樹脂を含む、請求項1に記載した光学的素子又は装置。
- 第3層上に、主としてSiO2からなる第4層が形成されている、請求項1に記載した光学的素子又は装置。
- 第4層上に、接着層を介してトップコート層が形成されている、請求項9に記載した光学的素子又は装置。
- 有機物を含むハードコート層が基体上に設けられ、
SiOX(但し、Xは2未満の正数)からなる第1層と、この第1層より低屈折率の 第2層と、酸化物系の透明導電層からなる、前記第2層より高屈折率の第3層とがこの 順に前記ハードコート層上に積層され、
かつ前記第3層が接地されている
光学的素子又は装置を製造する方法であって、
酸素を含む雰囲気中で物理的成膜法により前記第1層を成膜し、続いて前記第2層を 成膜する際、前記雰囲気中の酸素量をフィードバック手段で制御するために、成膜され たSiO X の光の吸収を測定する光学モニターを前記第1層の成膜室と前記第2層の成 膜室との間に配置する、
光学的素子又は装置の製造方法。 - SiOXの成膜中の状態を検出して得られる情報をフィードバック手段に入力し、成膜されたSiOXの光の吸収を測定する光学モニターの出力によって、前記フィードバック手段のセットポイントを調整する、請求項11に記載した製造方法。
- 成膜中のプラズマの状態をプラズマ強度センサーによって検出する、請求項12に記載した製造方法。
- 成膜中のSiOX用のターゲット電圧を検出する、請求項12に記載した製造方法。
- 酸素量が目的値よりも少ない安定状態から成膜を開始して、前記酸素量を前記目的値に固定してSiOXを成膜する、請求項11に記載した製造方法。
- 酸素量が目的値よりも多い安定状態から成膜を開始して、前記酸素量を前記目的値に固定してSiOXを成膜する、請求項11に記載した製造方法。
- 物理的成膜法としてスパッタリング法を用いる、請求項11に記載した製造方法。
- 物理的成膜法として真空蒸着法を用いる、請求項11に記載した製造方法。
- 光学的に吸収をもつ第1層を形成する、請求項11に記載した製造方法。
- 第1層と第2層とが、第3層と共に反射防止構造を形成する、請求項11に記載した製造方法。
- 波長550nmにおける消衰係数(k)が0.01から0.05であるSiOXを成膜する、請求項11に記載した製造方法。
- 波長550nmにおける屈折率(n)が1.8から2.3であるSiOXを成膜する、請求項11に記載した製造方法。
- 基体を有機物で形成する、請求項11に記載した製造方法。
- 有機物として樹脂を用いる、請求項23に記載した製造方法。
- シリコーン樹脂を含むハードコート層を形成する、請求項11に記載した製造方法。
- 第3層上に、主としてSiO2からなる第4層を形成する、請求項11に記載した製造方法。
- 第4層上に、接着層を介してトップコート層を形成する、請求項26に記載した製造方法。
- 有機物を含むハードコート層が基体上に設けられ、
SiOX(但し、Xは2未満の正数)からなる第1層と、この第1層より低屈折率の 第2層と、酸化物系の透明導電層からなる、前記第2層より高屈折率の第3層とがこの 順に前記ハードコート層上に積層され、
かつ前記第3層が接地されている
光学的素子又は装置を製造するのに用いられ、
酸素を含む雰囲気中で物理的成膜法により前記第1層を成膜する成膜室と、前記第2 層を成膜する成膜室と、前記第3層を成膜する成膜室とを有し、
前記雰囲気中の酸素量をフィードバック手段で制御するために、成膜されたSiO X の光の吸収を測定する光学モニターが前記第1層の成膜室と前記第2層の成膜室との間 に配置されている、
光学的素子又は装置の製造装置。 - SiOXの成膜中の状態を検出して得られる情報がフィードバック手段に入力され、成膜されたSiOXの光の吸収を測定する光学モニターの出力によって、前記フィードバック手段のセットポイントが調整される、請求項28に記載した製造装置。
- 成膜中のプラズマの状態がプラズマ強度センサーによって検出される、請求項29に記載した製造装置。
- 成膜中のSiOX用のターゲット電圧が検出される、請求項29に記載した製造装置。
- 酸素量が目的値よりも少ない安定状態から成膜を開始して、前記酸素量を前記目的値に固定してSiOXが成膜される、請求項28に記載した製造装置。
- 酸素量が目的値よりも多い安定状態から成膜を開始して、前記酸素量を前記目的値に固定してSiOXが成膜される、請求項28に記載した製造装置。
- 物理的成膜法がスパッタリング法である、請求項28に記載した製造装置。
- 物理的成膜法が真空蒸着法である、請求項28に記載した製造装置。
- 第1層が光学的に吸収をもつ、請求項28に記載した製造装置。
- 第1層と第2層とが、第3層と共に反射防止構造を形成している、請求項28に記載した製造装置。
- 波長550nmにおいて、SiOXの消衰係数(k)が0.01から0.05である、請求項28に記載した製造装置。
- 波長550nmにおいて、SiOXの屈折率(n)が1.8から2.3である、請求項28に記載した製造装置。
- 基体が有機物からなる、請求項28に記載した製造装置。
- 有機物が樹脂からなる、請求項40に記載した製造装置。
- ハードコート層がシリコーン樹脂を含む、請求項28に記載した製造装置。
- 第3層上に、主としてSiO2からなる第4層が形成される、請求項28に記載した製造装置。
- 第4層上に、接着層を介してトップコート層が形成される、請求項43に記載した製造装置。
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