JP3613143B2 - パネルの製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の押出形材を互いに接着してパネルを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、バス停留所や建物同士間の通路上に設けられる雨除け用のシェルタ、或いはトラックのアオリは、これらを能率良く製造するため、アルミニウム合金からなる複数の押出形材を、互い接着して連結したパネルによって、構成することが検討されている。
これまで、上記アオリのようなパネルは、次のようにして製造されていた。先ず、図5(A)に示すように、断面矩形の本体71の両側端に凸条73と凹溝74とを、図示で奥行き(押出)方向の全長に沿って有するアルミニウム合金からなる押出形材70a,70bを用意する。押出形材70aの凹溝74の底部に接着剤sを塗布した状態で、上記凹溝74内に押出形材70bの凸条73を嵌合する。
次に、図5(B)に示すように、上記形材70bの凹溝74に接着剤sを塗布した状態で、上記凹溝74内に押出形材70cの凸条73を嵌合する。
【0003】
更に、図5(C)に示すように、上記形材70cの凹溝74に接着剤sを塗布して、この凹溝74内に押出形材70dの凸条73を嵌合する。そして、図5(D)に示すように、接着剤sを介在させた押出形材70a〜70dを定盤76上に載置し、図示で左右の両端からブロック77,78をボルト79の回転により互いに近接させるように押圧して、押出形材70a〜70dを所要時間拘束する。この結果、互いに嵌合する凸条73と凹溝74との間にて硬化した接着剤sにより、互いに接着された押出形材70a〜70dからなるパネルpが得られる。
【0004】
しかしながら、以上の製造方法では、図5(A)〜(C)に示したように、所望数の押出形材70a〜70dを接着剤sにより個別に仮接着した後でないと、図5(D)に示すようなブロック77,78の押圧による拘束が行えない。このため、押出形材70a〜70dの接着工程に多くの時間を要すると共に、形材70a〜70d間の接着剤sが一部硬化し始めたり、各接着剤sの厚みがバラツキ易いため、得られるパネルpの接着強度や寸法がバラツクことがある。また、図5(D)の拘束状態を保つために、広いスペースが必要となる、という問題もあった。
尚、図5(A)〜(C)において、押出形材70a,70bの組と、押出形材70c,70dの組とをそれぞれ個別に接着した後、両方の組を形材70b,70c間で更に接着する2段階の接着をした後、形材70a〜70dを拘束する方法もある。しかし、この方法を用いても、前述した問題点は相変わらず残っている。
【0005】
【発明が解決すべき課題】
本発明は、以上に説明した従来の技術における問題点を解決し、複数の押出形材を短時間に精度良く接着することにより、これらの形材から形成されるパネルを効率良く製造できるパネルの製造方法を提供する、ことを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、互いに隣接する複数の押出形材間に接着剤を塗布して密着させた後、係る接着剤が硬化するまで上記押出形材同士の接着部分を個別に拘束する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明のパネルの製造方法( 請求項1 )は、複数の押出形材の側端同士を接着して形成するパネルの製造方法であって、上記複数の押出形材の側端に互いに嵌合可能な凸条および凹溝にて形成した接合部を隣接して互いに接着される押出形材同士における少なくとも一方の形材の側端の接合部に接着剤を塗布する工程と、隣接する上記形材同士を密着させる工程と、上記接着剤が塗布され且つ密着された一対の押出形材において、その押出方向における両端の木口面にて上記接合部同士を拘束治具により挟持して上記形材を拘束する工程と、を含む、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、互いに隣接する複数の押出形材を、それらの互いに嵌合可能な凸条および凹溝を形成した接合部に接着剤を塗布して密着した後、直ちに上記形材を拘束治具によって拘束することができる。このため、任意数の押出形材を短時間に精度良く接着できるので、少ない時間で接着強度および寸法精度に優れたパネルを、確実に製造することが可能となる。また、任意数の形材を確実に接着できるので、従来のような拘束用の広いスペースを用意する必要もなくなる。
【0008】
また、前記前記押出形材には、中空部が形成されている、パネルの製造方法( 請求項2 )も含まれる。
これにれば、接着剤を介在させた隣接する押出形材の接合部同士を、係る形材の中空部に挿入する前記拘束治具の爪片と押え片との間の挟み部によって、強力に挟持して拘束することができる。
更に、前記押出形材は、その押出方向と直交する断面においてカーブした断面形状を有すると共に、係る複数の押出形材同士を前記各工程において密着および拘束する際に、上記複数の押出形材を上端に上記カーブに倣った湾曲部を有する支持治具により支持する、パネルの製造方法( 請求項3 )も含まれる。
これによれば、断面が全体として半円形または円弧形を呈するパネルを、平坦なパネルと同様にして短時間に精度良く密着および拘束でき、接着強度および寸法精度に優れた蒲鉾形のシェルタようなデザインのパネルを、確実に製造することが可能となる。
【0009】
加えて、前記拘束治具は、爪片を有する長片、係る長片の中間にピンを介して連結される円弧片、係る円弧片の先端にピンを介して揺動自在に支持される押え片、一端にピンを介して上記円弧片の中間に枢支されるレバー、および、連結片を備え、上記連結片は、一端を上記レバーの中間にピンを介して連結され且つ他端を上記長片にてスライドされるナットに固定され、前記押出形材の木口面において、隣接する接合部同士を挟持状態に拘束するものである、パネルの製造方法( 請求項4 )も含まれる。
これによれば、接着剤を介在させて隣接する押出形材の接合部同士を、上記拘束治具の爪片と押え片との間の挟み部によって、強力に挟持して拘束することができる。
【0010】
尚、前記支持治具の湾曲部における半径が、可変式とされている、パネルの製造方法とすることも可能である。これによる場合、半円形または円弧形の断面を有するパネルの半径を任意に設定できるので、係るカーブした断面形状を有するパネルを、所望の半円形やカーブした形状にして、精度良く確実に製造することが可能となる。上記治具には、後述するように、例えば多数の平行なピンを個別に位置固定する長孔とこれを貫通する固定用ボルトとの組合せが用いられる。
尚、本発明により得られるパネルを形成する押出形材は、アルミニウム合金からなる押出形材が主に対象となるが、同様の機能を果たし且つ互いに接着が可能であれば、例えば形鋼や薄板を箱形状の折り曲げた加工物も適用可能である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下において本発明の実施に好適な形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明のパネルの製造方法における一形態を示す。
図1(A)の平面図と図1(a)の木口を示す端面図に示すように、アルミニウム合金(JIS:A6063−T5等)からなる押出形材1a,1bを先ず用意する。係る形材1a,1bは、互いに同じ断面を有している。係る断面形状の詳細と、形材1a,1b間における塗布、密着および拘束工程を図2により説明する。
図2(A)に示すように、押出形材1a,1bは、断面ほぼ長方形の中空部3,3を有する箱形状の本体2と、図示で右側端に位置する接合部4と、左側端に位置する接合部18とから構成されている。本体2は、図2(A)で左側端における幅(板厚)が、右側端よりも僅かに幅広(大きめの板厚)とされている。
【0012】
図2(A)に示すように、押出形材1aの右側端に位置する接合部4は、上端から外縦片5、段部6、内縦片7、上下一対の傾斜片8、上下一対の段部9、およびこの段部9間に位置する断面台形状の凸条10と、を図示で奥行き(押出)方向の全長に沿って有している。凸条10の先端面11における厚さ方向の中央には、底部が断面半円形形状の小溝12が形成されている。
また、図2(A)に示すように、押出形材1bの左側端に位置する接合部18は、本体2の上下から連続して延びる突出片20,20と、これらの間に位置する上下一対の縦片22と、この縦片22,22間に設けられ且つ上記凸条10と嵌合する凹溝24と、この凹溝24の底面25における厚さ方向の中央に設けられ且つ上記小溝12と嵌合する小突起26と、を図示で奥行き(押出)方向の全長に沿って有する。
【0013】
図2(A)において、下側の突出片20の先端寄りの内面には縦片21が立設し、これの右側に対向する縦片22との間に樋部23を形成している。更に、断面台形状の凹溝24は、各縦片22寄りに一対の傾斜片28と、一対の段部27とを有する。上記小突起26は、その先端寄りを断面半円形状としている。
また、図2(A)で下側の傾斜片8の基端からは、水平片13、縦片15、および、段部16が本体2との間に設けられ、且つ傾斜片8と水平片13との接続部からは、短い水切り片14が垂下している。段部16には、上記接合部18の下側の突出片20の先端部が入り込み、縦片15には上記縦片21が隣接する。
【0014】
図2(A)に示すように、同じ断面形状を有する押出形材1a,1bの接合部4,18を隣接させる。押出形材1bの接合部18における凹溝24内には、小突起26を挟んだ両側の底面25上に接着剤Sが予め塗布されている(塗布工程)。
図2(A)に示す状態で、矢印のように上記形材1aの接合部4と形材1bの接合部18とを接近させて密着させる(密着工程)。この結果、図2(B)に示すように、押出形材1aの接合部4の凸条10と押出形材1bの接合部18の凹溝24とが嵌合し、且つ小突起26と小溝12とが嵌合する。同時に、上記形材1bの上側の突出片20は、形材1aの本体2の上表面に接触し、形材1bにおける下側の突出片20の先端部は、形材1aの段部16に入り込むと共に、縦片15,21は互いに面接触し、且つ水切り片14は、下側の縦片22に面接触する。
【0015】
この際、前記接着剤Sは、小突起26と小溝12との嵌合部を中心にして、図2(B)に示すように、凸条10と凹溝24との間、縦片9,27間および傾斜片8,28間等の隙間を、押出形材1a,1b間の両表面の目地に向けて流れる。
係る状態で、押出形材1a,1bを所定時間にわたり拘束する。この拘束には、図2(C),(D)に示すクランプからなる拘束治具Gが用いられる。係る拘束治具Gは、長片30、押え片38、円弧片40、およびレバー42等を備える。長片30は、その先(上)端に上記押え片38と対向する爪片32を有し、基端側の握り部34内には、基端の外(下)側に突出した頭35を有するボルト34がネジ込まれ、且つこのボルト34にネジ結合してスライドするナット37が内蔵されている。
【0016】
また、図2(C),(D)に示すように、長片30の中間にはピン33を介して円弧片40の基端側が枢支され、且つ円弧片40の先端にはピン39を介して上記押え片38が揺動可能に支持されている。更に、円弧片40の中間にはピン41を介してレバー42の一端が枢支され、且つレバー42の中間にはピン44を介して連結片46の一端が連結される。この連結片46は一側辺に止め片48を有し、且つその他端側を図示しないピンを介し前記ナット37と連結されている。
前記頭35を摘んでボルト34を回転させると、ナット37がスライドし且つこれに連結する連結片46の他端側も移動する。これにより、図2(D)に示す爪片32と押え片38間に位置する挟み部Hの幅寸法を、調整することができる。
【0017】
図2(C)に示す状態で、治具Gの押え片38と爪片32とを、図2(B)に示す形材1a,1bの押出方向の両端における木口面に位置する接合部4,18の凸条10と凹溝24との両側における中空部3,3内に挿入する。次に、図2(D)に示すように、長片30とレバー42の各握り部34,43を片手で握って接近させる。このため、円弧片40が図2(C)で時計回り方向に回転し、図2(D)に示すように、円弧片40の先端に位置する押え片38が爪片32に接近する。更に、図2(D),(E)および図1(B),(b)に示す状態で、拘束治具Gは安定した姿勢を保つ。このため、接着剤Sを介在させた上記凸条10と凹溝24は、拘束治具Gの押え片38と爪片32との間の挟み部Hによって、強力に挟持される。係る状態で、押出形材1a,1bを所要時間拘束する(拘束工程)。
【0018】
この結果、接着剤Sが接合部4,18における小溝12と小突起26との嵌合部や、凹溝24と凸条10との間等の隙間でほぼ均一な厚みで硬化し、図2(B)および図1(B),(b)に示すように、押出形材1a,1bを接着により一体化することができる。
尚、図2(B)において、突出片20の樋部23上にあって、縦片15、水平片13、水切り片14、および、縦片22に囲まれた空間は、形材1a,1bから形成されるパネル(P)が追ってシェルタとして用いられた際、経年変化により接着剤Sの一部が劣化して破れた場合に、接合部4,18間を浸透した雨水を排水する通水路として機能する。また、接合部4,18の段部9,27間に形成される隙間29は、接着剤Sの溜まり部であり、余剰の接着剤Sが縦片7,22間から外側に流動しにくくし、その劣化を抑制している。
【0019】
次いで、図1(B),(b)に示すように、互いに接着されつつある押出形材1a,1bに隣接して、同じ断面を有する押出形材1cを用意し、その図示しない接合部18の凹溝24内に前記同様に接着剤Sを塗布して、図2(B)に示したと同様に形材1b,1cを密着する。更に、図2(E)および図1(C),(c)に示すように、形材1b,1cの押出方向の両端における木口面にて接合部4,18を、一対の拘束治具Gにより個別に挟持して、形材1b,1cを拘束する。
また、図1(C),(c)に示すように、押出形材1cに隣接して、前記同様に接着剤Sを塗布した押出形材1dを用意し、図1(D),(d)に示すように、上記と同様に形材1c,1dを密着し且つ両者を拘束治具G,Gにより拘束する。
【0020】
同様にして、図1(D),(d)に示すように、上記形材1dに隣接して押出形材1e,1fの順で接着剤Sを塗布して密着し且つ治具G,Gにより拘束する。この結果、図1(D),(d)に示すように、押出形材1a〜1fを接着した平坦なパネルPを得ることができる。尚、図1(D),(d)中で形材1a,1b,1cを拘束していた治具Gは、これらの間の接着剤Sが硬化した後で、除去されている。
図1,2にて示した以上のパネルPの製造方法によれば、押出形材1a,1bを接着剤Sを塗布して密着した後、直ちに拘束治具Gによって隣接する形材同士を個別に拘束できる。このため、任意数の押出形材1a〜1fを短時間に精度良く接着できるので、少ない時間で接着強度および寸法精度に優れたパネルPを、確実に製造することが可能となる。また、任意数の形材1a等を確実に接着できるので、従来のような拘束のための広いスペースを用意する必要もなくなる。
【0021】
尚、図1において、押出形材1a,1bと形材1c,1dと形材1e,1fの3組を、予め前記各工程により接着した後、これら3組を同時に接着して拘束する順序としても良い。或いは、押出形材1a〜1cと形材1d〜1fの2組を予め接着した後、これら2組を接着し且つ拘束しても良い。即ち、本発明の製造方法によれば、パネルPを形成する押出形材1a〜1mを任意数毎に、塗布および密着して直ちに拘束し、更にこれに新たな押出形材1n〜1xを、順次塗布および密着しつつ拘束したり、或いは別途予め接着しておいた形材1n〜1xの組を更に塗布および密着して拘束することもできる。このため、パネルPのサイズや押出形材1a〜1xの数に応じて、少ない時間で自在に塗布および密着し且つ拘束することにより、パネルPを精度および効率良く製造することができる。
【0022】
図3は、カーブした断面形状を有するパネルP1の製造方法に関する。
図3(A),(B)に示すように、奥行き(押出)方向と直交する断面が緩くカーブした押出形材50a〜50cは、前記同様に接着剤を塗布して密着されると共に、上記形材50a〜50cの両端面における隣接する接合部同士を、拘束治具Gで挟持して拘束されている。また、上記形材50a〜50cは、これらの下側の表面が形成するカーブに倣った湾曲部54を上端に有すると共に、図3(B)で奥行き方向に沿い離して配置される一対の支持治具52により支持されている。
図3(C),(D)に示すように、互いに密着されて拘束されている形材50a〜50cの両側端に、同じ断面形状を有する押出形材50d,50eと、形材50f,50gとを、前記同様に接着剤を塗布して密着する。
【0023】
その直後に、押出形材50d,50e,50bと、形材50c,50f,50gの押出方向の両端における木口面にて隣接する接合部同士を、拘束治具Gで挟持して拘束する。図3(D)に示すように、左右方向の接着された押出形材50d〜50gの下側の各表面に跨ったカーブと、支持治具52の湾曲部54とは、互いに倣った曲線を形成している。この結果、図3(C),(D)に示すように、押出形材50a〜50gを接着した断面全体が下向きにカーブしたパネルP1を得ることができる。このパネルP1は、図3(D)において下側の表面を上面として用いることにより、上向きに凸形の屋根として、例えば建物同士間の通路上に配置されるシェルタとして活用することができる。
【0024】
ところで、図4(A),(B)に示すように、断面におけるカーブが相違する押出形材50a〜50gを接着して、断面のカーブが異なるパネルP1,P2を製造するには、各カーブにそれぞれに倣ったアール形状の湾曲部54,58を、上端に有している支持治具52,56を用意する必要がある。上記カーブの半径が異なるパネルPn毎に、支持治具を用意し且つ管理することは、製造上において煩雑になり好ましくない。
このため、図4(C)に示すような支持治具60を一対用意することが推奨される。この治具60は、垂直方向に細長い多数のピン62a〜62nを互いに隣接させ且つ平行にして配置し、各ピン62a〜62nの下部に設けた長孔64内に、図示しない水平な部材に支持されるボルト66を個別に貫通させている。
【0025】
図4(C)に示すように、ピン62a〜62nの上端が全体として所望のカーブを形成するような位置で、各ボルト66を図示しないナットと締結してピン62a〜62nを、図示で前後方向から締め付ける。また、ピン62a〜62nの上端に跨って、可撓性の帯状シート(湾曲部)68を掛け渡し、この上に所望数の押出形材を載置する。これにより、帯状シート68の半径を可変式とし、断面に任意のカーブを有するパネルPxを、複数の押出形材を容易に接着および拘束して製造することができる。尚、上記ピン62a〜62nの締め付ける位置を選択することにより、カーブ状の凹部と凸部とが連続する断面形状や、連続する波形の断面形状を、ピン62a〜62nの各上端に沿って形成することもできる。
【0026】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、本発明に用いる押出形材1a等は、前記中空部3を必須とするものではなく、前記本体2と同等の形態を有し、少なくとも何れかの側端に接合部を有するものであれば、いわゆるオープン形材を用いることもできる。
また、押出形材における本体の断面形状がへ字形やL字形の形状を有するものを用いることにより、断面全体が緩い傾斜の三角波形を連続して有するパネルや、断面が鋸歯形のパネルを製造することも可能である。
尚、本発明により得られるパネルは、前述したシェルタやアオリの他に、バントラックの側壁、ウィング車両のウィング、コンテナ等の容器の側壁、または、建築用の足場板や各種のデッキ等にも活用することができる。
【0027】
【発明の効果】
以上において説明した本発明のパネルの製造方法によれば、複数の押出形材の凸条および凹溝を形成した接合部に接着剤を塗布して密着した後、直ちにこれらの形材を拘束治具により拘束することができるため、任意数の押出形材を短時間に精度良く接着できる。従って、少ない時間で接着強度および寸法精度に優れたパネルを、確実に製造することが可能となる。しかも、所望数の形材を確実に接着できるので、従来のような拘束用の広いスペースを用意する必要もなくなる、という利点も有する。
【0028】
また、請求項2の製造方法によれば、押出形材の接合部同士の両側に位置する中空部に、拘束治具の爪片および押え片を容易に挿入でき、且つ強固に拘束することができる。
更に、請求項3の製造方法によれば、断面が全体として半円形または円弧形を呈するパネルであっても、短時間に精度良く接着でき、接着強度および寸法精度に優れた蒲鉾形のシェルタようなデザインのパネルを確実に製造できる。
加えて、請求項4の製造方法によれば、接着剤を介在させた隣接する押出形材の接合部同士を、拘束治具の爪片と押え片との間の挟み部によって、強力に挟持して拘束すること ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(D),(a)〜(d)は本発明の製造方法の一形態における各工程の概略を示す平面図または端面(木口)図。
【図2】(A),(B)は図1に示した押出形材の接合部、および接着剤を塗布する工程と上記形材同士を密着する工程とを示す断面図、(C),(D)は拘束治具を示す概略図、(E)はこの治具を用いた(B)中におけるE−E線に沿った部分断面図。
【図3】(A)〜(D)は異なる押出形材を接合および拘束する工程とこれにより得られたパネルを示す部分平面図または側面(端面)図。
【図4】(A),(B)は異なるカーブを有する押出形材とこれを支持する支持治具を示す概略図、(C)は異なる形態の支持治具を示す概略図。
【図5】(A)〜(D)は従来における複数の押出形材を接着する各工程を示す概略図。
【符号の説明】
1a〜1f,50a〜50g…押出形材
4,18…………………………接合部
10………………………………凸条
24………………………………凹溝
32………………………………爪片
38………………………………押え片
52,56,60………………支持治具
54,58………………………湾曲部
68………………………………帯状シート(湾曲部)
P,P1,P2…………………パネル
S…………………………………接着剤
G…………………………………拘束治具
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の押出形材を互いに接着してパネルを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、バス停留所や建物同士間の通路上に設けられる雨除け用のシェルタ、或いはトラックのアオリは、これらを能率良く製造するため、アルミニウム合金からなる複数の押出形材を、互い接着して連結したパネルによって、構成することが検討されている。
これまで、上記アオリのようなパネルは、次のようにして製造されていた。先ず、図5(A)に示すように、断面矩形の本体71の両側端に凸条73と凹溝74とを、図示で奥行き(押出)方向の全長に沿って有するアルミニウム合金からなる押出形材70a,70bを用意する。押出形材70aの凹溝74の底部に接着剤sを塗布した状態で、上記凹溝74内に押出形材70bの凸条73を嵌合する。
次に、図5(B)に示すように、上記形材70bの凹溝74に接着剤sを塗布した状態で、上記凹溝74内に押出形材70cの凸条73を嵌合する。
【0003】
更に、図5(C)に示すように、上記形材70cの凹溝74に接着剤sを塗布して、この凹溝74内に押出形材70dの凸条73を嵌合する。そして、図5(D)に示すように、接着剤sを介在させた押出形材70a〜70dを定盤76上に載置し、図示で左右の両端からブロック77,78をボルト79の回転により互いに近接させるように押圧して、押出形材70a〜70dを所要時間拘束する。この結果、互いに嵌合する凸条73と凹溝74との間にて硬化した接着剤sにより、互いに接着された押出形材70a〜70dからなるパネルpが得られる。
【0004】
しかしながら、以上の製造方法では、図5(A)〜(C)に示したように、所望数の押出形材70a〜70dを接着剤sにより個別に仮接着した後でないと、図5(D)に示すようなブロック77,78の押圧による拘束が行えない。このため、押出形材70a〜70dの接着工程に多くの時間を要すると共に、形材70a〜70d間の接着剤sが一部硬化し始めたり、各接着剤sの厚みがバラツキ易いため、得られるパネルpの接着強度や寸法がバラツクことがある。また、図5(D)の拘束状態を保つために、広いスペースが必要となる、という問題もあった。
尚、図5(A)〜(C)において、押出形材70a,70bの組と、押出形材70c,70dの組とをそれぞれ個別に接着した後、両方の組を形材70b,70c間で更に接着する2段階の接着をした後、形材70a〜70dを拘束する方法もある。しかし、この方法を用いても、前述した問題点は相変わらず残っている。
【0005】
【発明が解決すべき課題】
本発明は、以上に説明した従来の技術における問題点を解決し、複数の押出形材を短時間に精度良く接着することにより、これらの形材から形成されるパネルを効率良く製造できるパネルの製造方法を提供する、ことを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、互いに隣接する複数の押出形材間に接着剤を塗布して密着させた後、係る接着剤が硬化するまで上記押出形材同士の接着部分を個別に拘束する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明のパネルの製造方法( 請求項1 )は、複数の押出形材の側端同士を接着して形成するパネルの製造方法であって、上記複数の押出形材の側端に互いに嵌合可能な凸条および凹溝にて形成した接合部を隣接して互いに接着される押出形材同士における少なくとも一方の形材の側端の接合部に接着剤を塗布する工程と、隣接する上記形材同士を密着させる工程と、上記接着剤が塗布され且つ密着された一対の押出形材において、その押出方向における両端の木口面にて上記接合部同士を拘束治具により挟持して上記形材を拘束する工程と、を含む、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、互いに隣接する複数の押出形材を、それらの互いに嵌合可能な凸条および凹溝を形成した接合部に接着剤を塗布して密着した後、直ちに上記形材を拘束治具によって拘束することができる。このため、任意数の押出形材を短時間に精度良く接着できるので、少ない時間で接着強度および寸法精度に優れたパネルを、確実に製造することが可能となる。また、任意数の形材を確実に接着できるので、従来のような拘束用の広いスペースを用意する必要もなくなる。
【0008】
また、前記前記押出形材には、中空部が形成されている、パネルの製造方法( 請求項2 )も含まれる。
これにれば、接着剤を介在させた隣接する押出形材の接合部同士を、係る形材の中空部に挿入する前記拘束治具の爪片と押え片との間の挟み部によって、強力に挟持して拘束することができる。
更に、前記押出形材は、その押出方向と直交する断面においてカーブした断面形状を有すると共に、係る複数の押出形材同士を前記各工程において密着および拘束する際に、上記複数の押出形材を上端に上記カーブに倣った湾曲部を有する支持治具により支持する、パネルの製造方法( 請求項3 )も含まれる。
これによれば、断面が全体として半円形または円弧形を呈するパネルを、平坦なパネルと同様にして短時間に精度良く密着および拘束でき、接着強度および寸法精度に優れた蒲鉾形のシェルタようなデザインのパネルを、確実に製造することが可能となる。
【0009】
加えて、前記拘束治具は、爪片を有する長片、係る長片の中間にピンを介して連結される円弧片、係る円弧片の先端にピンを介して揺動自在に支持される押え片、一端にピンを介して上記円弧片の中間に枢支されるレバー、および、連結片を備え、上記連結片は、一端を上記レバーの中間にピンを介して連結され且つ他端を上記長片にてスライドされるナットに固定され、前記押出形材の木口面において、隣接する接合部同士を挟持状態に拘束するものである、パネルの製造方法( 請求項4 )も含まれる。
これによれば、接着剤を介在させて隣接する押出形材の接合部同士を、上記拘束治具の爪片と押え片との間の挟み部によって、強力に挟持して拘束することができる。
【0010】
尚、前記支持治具の湾曲部における半径が、可変式とされている、パネルの製造方法とすることも可能である。これによる場合、半円形または円弧形の断面を有するパネルの半径を任意に設定できるので、係るカーブした断面形状を有するパネルを、所望の半円形やカーブした形状にして、精度良く確実に製造することが可能となる。上記治具には、後述するように、例えば多数の平行なピンを個別に位置固定する長孔とこれを貫通する固定用ボルトとの組合せが用いられる。
尚、本発明により得られるパネルを形成する押出形材は、アルミニウム合金からなる押出形材が主に対象となるが、同様の機能を果たし且つ互いに接着が可能であれば、例えば形鋼や薄板を箱形状の折り曲げた加工物も適用可能である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下において本発明の実施に好適な形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明のパネルの製造方法における一形態を示す。
図1(A)の平面図と図1(a)の木口を示す端面図に示すように、アルミニウム合金(JIS:A6063−T5等)からなる押出形材1a,1bを先ず用意する。係る形材1a,1bは、互いに同じ断面を有している。係る断面形状の詳細と、形材1a,1b間における塗布、密着および拘束工程を図2により説明する。
図2(A)に示すように、押出形材1a,1bは、断面ほぼ長方形の中空部3,3を有する箱形状の本体2と、図示で右側端に位置する接合部4と、左側端に位置する接合部18とから構成されている。本体2は、図2(A)で左側端における幅(板厚)が、右側端よりも僅かに幅広(大きめの板厚)とされている。
【0012】
図2(A)に示すように、押出形材1aの右側端に位置する接合部4は、上端から外縦片5、段部6、内縦片7、上下一対の傾斜片8、上下一対の段部9、およびこの段部9間に位置する断面台形状の凸条10と、を図示で奥行き(押出)方向の全長に沿って有している。凸条10の先端面11における厚さ方向の中央には、底部が断面半円形形状の小溝12が形成されている。
また、図2(A)に示すように、押出形材1bの左側端に位置する接合部18は、本体2の上下から連続して延びる突出片20,20と、これらの間に位置する上下一対の縦片22と、この縦片22,22間に設けられ且つ上記凸条10と嵌合する凹溝24と、この凹溝24の底面25における厚さ方向の中央に設けられ且つ上記小溝12と嵌合する小突起26と、を図示で奥行き(押出)方向の全長に沿って有する。
【0013】
図2(A)において、下側の突出片20の先端寄りの内面には縦片21が立設し、これの右側に対向する縦片22との間に樋部23を形成している。更に、断面台形状の凹溝24は、各縦片22寄りに一対の傾斜片28と、一対の段部27とを有する。上記小突起26は、その先端寄りを断面半円形状としている。
また、図2(A)で下側の傾斜片8の基端からは、水平片13、縦片15、および、段部16が本体2との間に設けられ、且つ傾斜片8と水平片13との接続部からは、短い水切り片14が垂下している。段部16には、上記接合部18の下側の突出片20の先端部が入り込み、縦片15には上記縦片21が隣接する。
【0014】
図2(A)に示すように、同じ断面形状を有する押出形材1a,1bの接合部4,18を隣接させる。押出形材1bの接合部18における凹溝24内には、小突起26を挟んだ両側の底面25上に接着剤Sが予め塗布されている(塗布工程)。
図2(A)に示す状態で、矢印のように上記形材1aの接合部4と形材1bの接合部18とを接近させて密着させる(密着工程)。この結果、図2(B)に示すように、押出形材1aの接合部4の凸条10と押出形材1bの接合部18の凹溝24とが嵌合し、且つ小突起26と小溝12とが嵌合する。同時に、上記形材1bの上側の突出片20は、形材1aの本体2の上表面に接触し、形材1bにおける下側の突出片20の先端部は、形材1aの段部16に入り込むと共に、縦片15,21は互いに面接触し、且つ水切り片14は、下側の縦片22に面接触する。
【0015】
この際、前記接着剤Sは、小突起26と小溝12との嵌合部を中心にして、図2(B)に示すように、凸条10と凹溝24との間、縦片9,27間および傾斜片8,28間等の隙間を、押出形材1a,1b間の両表面の目地に向けて流れる。
係る状態で、押出形材1a,1bを所定時間にわたり拘束する。この拘束には、図2(C),(D)に示すクランプからなる拘束治具Gが用いられる。係る拘束治具Gは、長片30、押え片38、円弧片40、およびレバー42等を備える。長片30は、その先(上)端に上記押え片38と対向する爪片32を有し、基端側の握り部34内には、基端の外(下)側に突出した頭35を有するボルト34がネジ込まれ、且つこのボルト34にネジ結合してスライドするナット37が内蔵されている。
【0016】
また、図2(C),(D)に示すように、長片30の中間にはピン33を介して円弧片40の基端側が枢支され、且つ円弧片40の先端にはピン39を介して上記押え片38が揺動可能に支持されている。更に、円弧片40の中間にはピン41を介してレバー42の一端が枢支され、且つレバー42の中間にはピン44を介して連結片46の一端が連結される。この連結片46は一側辺に止め片48を有し、且つその他端側を図示しないピンを介し前記ナット37と連結されている。
前記頭35を摘んでボルト34を回転させると、ナット37がスライドし且つこれに連結する連結片46の他端側も移動する。これにより、図2(D)に示す爪片32と押え片38間に位置する挟み部Hの幅寸法を、調整することができる。
【0017】
図2(C)に示す状態で、治具Gの押え片38と爪片32とを、図2(B)に示す形材1a,1bの押出方向の両端における木口面に位置する接合部4,18の凸条10と凹溝24との両側における中空部3,3内に挿入する。次に、図2(D)に示すように、長片30とレバー42の各握り部34,43を片手で握って接近させる。このため、円弧片40が図2(C)で時計回り方向に回転し、図2(D)に示すように、円弧片40の先端に位置する押え片38が爪片32に接近する。更に、図2(D),(E)および図1(B),(b)に示す状態で、拘束治具Gは安定した姿勢を保つ。このため、接着剤Sを介在させた上記凸条10と凹溝24は、拘束治具Gの押え片38と爪片32との間の挟み部Hによって、強力に挟持される。係る状態で、押出形材1a,1bを所要時間拘束する(拘束工程)。
【0018】
この結果、接着剤Sが接合部4,18における小溝12と小突起26との嵌合部や、凹溝24と凸条10との間等の隙間でほぼ均一な厚みで硬化し、図2(B)および図1(B),(b)に示すように、押出形材1a,1bを接着により一体化することができる。
尚、図2(B)において、突出片20の樋部23上にあって、縦片15、水平片13、水切り片14、および、縦片22に囲まれた空間は、形材1a,1bから形成されるパネル(P)が追ってシェルタとして用いられた際、経年変化により接着剤Sの一部が劣化して破れた場合に、接合部4,18間を浸透した雨水を排水する通水路として機能する。また、接合部4,18の段部9,27間に形成される隙間29は、接着剤Sの溜まり部であり、余剰の接着剤Sが縦片7,22間から外側に流動しにくくし、その劣化を抑制している。
【0019】
次いで、図1(B),(b)に示すように、互いに接着されつつある押出形材1a,1bに隣接して、同じ断面を有する押出形材1cを用意し、その図示しない接合部18の凹溝24内に前記同様に接着剤Sを塗布して、図2(B)に示したと同様に形材1b,1cを密着する。更に、図2(E)および図1(C),(c)に示すように、形材1b,1cの押出方向の両端における木口面にて接合部4,18を、一対の拘束治具Gにより個別に挟持して、形材1b,1cを拘束する。
また、図1(C),(c)に示すように、押出形材1cに隣接して、前記同様に接着剤Sを塗布した押出形材1dを用意し、図1(D),(d)に示すように、上記と同様に形材1c,1dを密着し且つ両者を拘束治具G,Gにより拘束する。
【0020】
同様にして、図1(D),(d)に示すように、上記形材1dに隣接して押出形材1e,1fの順で接着剤Sを塗布して密着し且つ治具G,Gにより拘束する。この結果、図1(D),(d)に示すように、押出形材1a〜1fを接着した平坦なパネルPを得ることができる。尚、図1(D),(d)中で形材1a,1b,1cを拘束していた治具Gは、これらの間の接着剤Sが硬化した後で、除去されている。
図1,2にて示した以上のパネルPの製造方法によれば、押出形材1a,1bを接着剤Sを塗布して密着した後、直ちに拘束治具Gによって隣接する形材同士を個別に拘束できる。このため、任意数の押出形材1a〜1fを短時間に精度良く接着できるので、少ない時間で接着強度および寸法精度に優れたパネルPを、確実に製造することが可能となる。また、任意数の形材1a等を確実に接着できるので、従来のような拘束のための広いスペースを用意する必要もなくなる。
【0021】
尚、図1において、押出形材1a,1bと形材1c,1dと形材1e,1fの3組を、予め前記各工程により接着した後、これら3組を同時に接着して拘束する順序としても良い。或いは、押出形材1a〜1cと形材1d〜1fの2組を予め接着した後、これら2組を接着し且つ拘束しても良い。即ち、本発明の製造方法によれば、パネルPを形成する押出形材1a〜1mを任意数毎に、塗布および密着して直ちに拘束し、更にこれに新たな押出形材1n〜1xを、順次塗布および密着しつつ拘束したり、或いは別途予め接着しておいた形材1n〜1xの組を更に塗布および密着して拘束することもできる。このため、パネルPのサイズや押出形材1a〜1xの数に応じて、少ない時間で自在に塗布および密着し且つ拘束することにより、パネルPを精度および効率良く製造することができる。
【0022】
図3は、カーブした断面形状を有するパネルP1の製造方法に関する。
図3(A),(B)に示すように、奥行き(押出)方向と直交する断面が緩くカーブした押出形材50a〜50cは、前記同様に接着剤を塗布して密着されると共に、上記形材50a〜50cの両端面における隣接する接合部同士を、拘束治具Gで挟持して拘束されている。また、上記形材50a〜50cは、これらの下側の表面が形成するカーブに倣った湾曲部54を上端に有すると共に、図3(B)で奥行き方向に沿い離して配置される一対の支持治具52により支持されている。
図3(C),(D)に示すように、互いに密着されて拘束されている形材50a〜50cの両側端に、同じ断面形状を有する押出形材50d,50eと、形材50f,50gとを、前記同様に接着剤を塗布して密着する。
【0023】
その直後に、押出形材50d,50e,50bと、形材50c,50f,50gの押出方向の両端における木口面にて隣接する接合部同士を、拘束治具Gで挟持して拘束する。図3(D)に示すように、左右方向の接着された押出形材50d〜50gの下側の各表面に跨ったカーブと、支持治具52の湾曲部54とは、互いに倣った曲線を形成している。この結果、図3(C),(D)に示すように、押出形材50a〜50gを接着した断面全体が下向きにカーブしたパネルP1を得ることができる。このパネルP1は、図3(D)において下側の表面を上面として用いることにより、上向きに凸形の屋根として、例えば建物同士間の通路上に配置されるシェルタとして活用することができる。
【0024】
ところで、図4(A),(B)に示すように、断面におけるカーブが相違する押出形材50a〜50gを接着して、断面のカーブが異なるパネルP1,P2を製造するには、各カーブにそれぞれに倣ったアール形状の湾曲部54,58を、上端に有している支持治具52,56を用意する必要がある。上記カーブの半径が異なるパネルPn毎に、支持治具を用意し且つ管理することは、製造上において煩雑になり好ましくない。
このため、図4(C)に示すような支持治具60を一対用意することが推奨される。この治具60は、垂直方向に細長い多数のピン62a〜62nを互いに隣接させ且つ平行にして配置し、各ピン62a〜62nの下部に設けた長孔64内に、図示しない水平な部材に支持されるボルト66を個別に貫通させている。
【0025】
図4(C)に示すように、ピン62a〜62nの上端が全体として所望のカーブを形成するような位置で、各ボルト66を図示しないナットと締結してピン62a〜62nを、図示で前後方向から締め付ける。また、ピン62a〜62nの上端に跨って、可撓性の帯状シート(湾曲部)68を掛け渡し、この上に所望数の押出形材を載置する。これにより、帯状シート68の半径を可変式とし、断面に任意のカーブを有するパネルPxを、複数の押出形材を容易に接着および拘束して製造することができる。尚、上記ピン62a〜62nの締め付ける位置を選択することにより、カーブ状の凹部と凸部とが連続する断面形状や、連続する波形の断面形状を、ピン62a〜62nの各上端に沿って形成することもできる。
【0026】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、本発明に用いる押出形材1a等は、前記中空部3を必須とするものではなく、前記本体2と同等の形態を有し、少なくとも何れかの側端に接合部を有するものであれば、いわゆるオープン形材を用いることもできる。
また、押出形材における本体の断面形状がへ字形やL字形の形状を有するものを用いることにより、断面全体が緩い傾斜の三角波形を連続して有するパネルや、断面が鋸歯形のパネルを製造することも可能である。
尚、本発明により得られるパネルは、前述したシェルタやアオリの他に、バントラックの側壁、ウィング車両のウィング、コンテナ等の容器の側壁、または、建築用の足場板や各種のデッキ等にも活用することができる。
【0027】
【発明の効果】
以上において説明した本発明のパネルの製造方法によれば、複数の押出形材の凸条および凹溝を形成した接合部に接着剤を塗布して密着した後、直ちにこれらの形材を拘束治具により拘束することができるため、任意数の押出形材を短時間に精度良く接着できる。従って、少ない時間で接着強度および寸法精度に優れたパネルを、確実に製造することが可能となる。しかも、所望数の形材を確実に接着できるので、従来のような拘束用の広いスペースを用意する必要もなくなる、という利点も有する。
【0028】
また、請求項2の製造方法によれば、押出形材の接合部同士の両側に位置する中空部に、拘束治具の爪片および押え片を容易に挿入でき、且つ強固に拘束することができる。
更に、請求項3の製造方法によれば、断面が全体として半円形または円弧形を呈するパネルであっても、短時間に精度良く接着でき、接着強度および寸法精度に優れた蒲鉾形のシェルタようなデザインのパネルを確実に製造できる。
加えて、請求項4の製造方法によれば、接着剤を介在させた隣接する押出形材の接合部同士を、拘束治具の爪片と押え片との間の挟み部によって、強力に挟持して拘束すること ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(D),(a)〜(d)は本発明の製造方法の一形態における各工程の概略を示す平面図または端面(木口)図。
【図2】(A),(B)は図1に示した押出形材の接合部、および接着剤を塗布する工程と上記形材同士を密着する工程とを示す断面図、(C),(D)は拘束治具を示す概略図、(E)はこの治具を用いた(B)中におけるE−E線に沿った部分断面図。
【図3】(A)〜(D)は異なる押出形材を接合および拘束する工程とこれにより得られたパネルを示す部分平面図または側面(端面)図。
【図4】(A),(B)は異なるカーブを有する押出形材とこれを支持する支持治具を示す概略図、(C)は異なる形態の支持治具を示す概略図。
【図5】(A)〜(D)は従来における複数の押出形材を接着する各工程を示す概略図。
【符号の説明】
1a〜1f,50a〜50g…押出形材
4,18…………………………接合部
10………………………………凸条
24………………………………凹溝
32………………………………爪片
38………………………………押え片
52,56,60………………支持治具
54,58………………………湾曲部
68………………………………帯状シート(湾曲部)
P,P1,P2…………………パネル
S…………………………………接着剤
G…………………………………拘束治具
Claims (4)
- 複数の押出形材の側端同士を接着して形成するパネルの製造方法であって、
上記複数の押出形材の側端に互いに嵌合可能な凸条および凹溝にて形成した接合部を隣接して互いに接着される押出形材同士における少なくとも一方の形材の側端の接合部に接着剤を塗布する工程と、
隣接する上記形材同士を密着させる工程と、
上記接着剤が塗布され且つ密着された一対の押出形材において、その押出方向における両端の木口面にて上記接合部同士を拘束治具により挟持して上記形材を拘束する工程と、を含む、ことを特徴とするパネルの製造方法。 - 前記押出形材には、中空部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のパネルの製造方法。 - 前記押出形材は、その押出方向と直交する断面においてカーブした断面形状を有すると共に、係る複数の押出形材同士を前記各工程において密着および拘束する際に、上記複数の押出形材を上端に上記カーブに倣った湾曲部を有する支持治具により支持する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のパネルの製造方法。 - 前記拘束治具は、爪片を有する長片、係る長片の中間にピンを介して連結される円弧片、係る円弧片の先端にピンを介して揺動自在に支持される押え片、一端にピンを介して上記円弧片の中間に枢支されるレバー、および、連結片を備え、
上記連結片は、一端を上記レバーの中間にピンを介して連結され且つ他端を上記長片にてスライドされるナットに固定され、前記押出形材の木口面において、隣接する接合部同士を挟持状態に拘束するものである、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のパネルの製造方法。
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