JP3613125B2 - インクシートカートリッジ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタやファクシミリ装置等の画像形成装置に使用するための、交換可能な幅広のインクシートを備えたインクシートカートリッジの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
サーマルプリンタを用いて普通紙などの記録紙に印刷する場合、交換の容易性及び取扱の簡便さから通常はインクリボンカートリッジが用いられる。そして、サーマルプリンタがラインプリンタである場合、幅広のインクシートを用いている。従来のこの種のインクシートカートリッジは、例えば、実開平6−81749号公報や特開平10−193732号公報等に示すように、カートリッジ本体に対してインクシートを交換するため、インクシートの供給側スプールと、巻き取り側スプールとを、それぞれ回転可能に支持でき、且つ着脱自在に構成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ユーザーがカートリッジ本体に対する前記供給側スプール及び巻き取り側スプールの取付け箇所や,各スプールの左右の配置を間違えると、新たなインクシートの表裏面がカートリッジ本体に対して正規のセット状態とならず、印刷作業が不能となるという問題があった。
【0004】
また、一般には、前記供給側スプール及び巻き取り側スプールの一側には、画像形成装置の本体側から動力を伝達して各スプールを回動するための歯車部を備えていた。この場合、前記歯車部の取付け側を誤ると、インクシートの供給が不能になるので、カートリッジ本体の正しい側面側に歯車部を配置し、正しい向きで装置の本体にセットする必要があった。
【0005】
従って、通常のユーザーが前記の正しい位置及び向きに前記供給側スプール及び巻き取り側スプールを取付けする作業に戸惑ったり、手間取るという問題があった。
【0006】
さらに、前記スプールに対して他社のインクシートを巻回した芯管が嵌まり得ると、誤って、他社のインクシートを使用してしまうことになり、正規のインクシートを使用すれば発揮できる正常な印字性能を発揮できなくなる等、画像形成装置が正常に作動しなくなるという問題があった。
【0007】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みて提案されたものであって、インクシートの交換作業性を向上させると共に、誤ったインクシートを装着できないようにしたインクシートカートリッジを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1に記載した発明のインクシートカートリッジは、インクシートを巻回した供給側芯管と、巻き取り側芯管とを有するインクシートセットを、各々の芯管の左右両端に着脱自在に装着するスプールを介してカートリッジ本体の左右両側板に回動自在に装着してなるインクシートカートリッジにおいて、前記巻き取り側のスプールは、フランジ付き軸部と伝動歯車付き第1回転部材とを、前記カートリッジ本体の側板に穿設された軸孔を介して内外から抜け不能に係合させるように構成し、前記第1回転部材から突出する1つの弾性体の先端に係止爪が形成されている一方、前記巻き取り側のスプールと前記インクシートセットにおける巻き取り側芯管の一端との間に介挿される筒状の中間連結体には、その回転軸線と直交する断面形状が同一のカム面を有するカム部が、円周方向に一定間隔の隙間を隔てて複数形成され、前記係止爪は、前記カム部の内径側から臨ませるとともに、前記巻き取り側のスプールの巻取り方向への回転に対して、前記係止爪が前記隣接するカム部の間の隙間に係合し、前記巻き取り側のスプールの巻取り方向と反対方向への回転に対して、前記係止爪が前記隣接するカム部の間の隙間からの係合が解除され、且つ次の隣接するカム部の間の隙間に案内されて再度係合するように、前記隣接するカム部の間の隙間に嵌合可能であって、前記係止爪が、前記カム部に嵌合することにより、前記伝動歯車の回転力が前記巻き取り側芯管に伝達されるように構成されているものである。
【0009】
そして、請求項に記載の発明は、請求項1に記載のインクシートカートリッジにおいて、前記中間連結体の最外径部を前記巻き取り側の芯管の外径部と同じ直径に形成し、該中間連結体には、前記巻き取り側の芯管の一端部に形成された止め溝に係脱する弾性爪及び又は止め突起を備え、前記巻き取り側の芯管の一端部に前記中間連結体を装着した状態で、当該中間連結体の最外径部の表面までインクシートを巻回するように構成したものである。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項に記載のインクシートカートリッジにおいて、前記カム部は、巻き取り側芯管の回転中心から放射状に複数に分割され、且つ芯管の巻き取り方向に前記第1回転部材を回転駆動するときのみ前記係止爪とカム部とが動力伝達可能に係合するように形成されているものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0012】
図1はインクシートカートリッジ20を装着したファクシミリ装置1の側断面図、図2はインクシートカートリッジ20のセット部の要部拡大側断面図、図3はインクシートカートリッジ20の平面図、図4はインクシートカートリッジ20の斜視図、図8はインクシートカートリッジの部品の分解斜視図、図9は巻き取り側のスプール連結部の斜視図である。
【0013】
先ず、本発明の画像形成装置としてのファクシミリ装置1の構造について概略説明する。なお、本実施形態のファクシミリ装置1は、原稿8から画像等を読取り、その画像データをファクシミリデータとして電話回線等の通信回線を介して他のファクシミリ装置に送信すると共に電話回線等の通信回線を介して他のファクシミリ装置から送信されたファクシミリデータを受信して記録紙4にその画像を形成する、通常のファクシミリ装置としての機能の他、パーソナルコンピュータやワードプロセッサ等からプリンタケーブルまたは赤外線等の無線を介して伝送されてきたプリントデータを受けてそのデータに応じて画像を形成するプリンタとしての機能を有する。
【0014】
ファクシミリ装置1の本体ケース2の一側には、図示しない受話器が配置されている。上面開放状の本体ケース2の上面を覆う上カバー体6は、その後端の回動支点6aを中心にして本体ケース2の上部後端に上下回動可能に枢着されている。上カバー体6の上面前部側には、キースイッチ3aや液晶表示装置3bなどを有する操作パネル3が設けられている。この操作パネル3も、原稿8の送り不良等に際して、原稿8除去するために前側を上向きに開き回動できるように構成されている。また、本体ケース2の上面後部には記録紙4を斜め下向き状の立てた状態で積層して載置するための給紙台5が、上カバー体6の後部に対して回動可能に設けられ、本体ケース2の上面前後中途部には原稿台7が着脱可能に装着されている。
【0015】
本体ケース2内には、前記操作パネル3の下方位置に、前記原稿台7からの原稿8を搬送するためのフィードローラ対9と、密着型イメージスキャナ部(CIS)10とその読取り部の上側に配置した原稿押え体11と、排紙ローラ対12とが配置されている。
【0016】
前記給紙台5の下方の本体ケース2内には、給紙台5からの記録紙4を一枚ずつ搬送するための給紙ローラ15とその上周面にばねにて付勢された分離パッド16等からなる給紙部14が備えられている。
【0017】
この給紙部14の下方には、印字部としてのローラ状のプラテン17と、該プラテン17の下面に向かってばね18により付勢された印字台19上のサーマルヘッド22と、該印字台19に対して前後方向に跨がるように配置するインクシートカートリッジ20のための収納部13とが配置されている(図1参照)。
【0018】
前記収納部13内のインクシートカートリッジ20は、インクシート21の供給側シートスプール25が本体ケース2の後部側に配置され、巻取り側シートスプール26が本体ケース2の前側となり、且つ供給側シートスプール25側が高い位置で、巻取り側シートスプール26側が低い位置となるように、前傾状(ヒップアップ状)に配置されている。従って、前記収納部13の下方は、本体ケース2における下面後部側に位置することになり、インクシートカートリッジ20の前傾配置の構成と相俟って、本体ケース2の下面後部に大きい空間が形成される。しかして、この空間、即ち、前記収納部13の下方には、ファクシミリ装置1の操作等を実行するための制御用基板29を配置するのである。
【0019】
供給側シートスプール25から前方の巻取り側シートスプール26に巻回したインクシート21は、サーマルヘッド22及びバネ板製のテンション体23の頂面を通過し、巻取り側シートスプール26の下周面側に至る。このとき、インクシート21のインク面は上面にある。インクシート21の上面(インク面)に重なる記録紙4は、プラテン17とサーマルヘッド22とが重合する印字部にて印刷されたのち、インクシートカートリッジ20における巻取り側シートスプール26側の上部に形成された搬送シュートの機能を有する仕切り板24の上面を通過し、排紙ローラ対28を介して、本体ケース2の前方に排紙される。なお、前記上カバー体6の下面には下向きに突出した複数枚のリブ状の搬送シュートの上シュート部27がプラテン17を挟んで搬送上流側から下流側まで延びるように配置され、前記インクシートカートリッジ20における仕切り板24との間で記録紙4が通過できるように構成されている。
【0020】
他方、インクシート21は前記テンション体23の頂面にて下向きに屈曲され、仕切り板24の下面側を通過し、巻取り側シートスプール26の下周側で巻き取られるように構成されている。
【0021】
次に、本発明に係るインクシートカートリッジ20の構成について、図3〜図11を参照しながら詳述する。
【0022】
このインクシートカートリッジ20は、カートリッジ本体30と、インクシート21と、供給側シートスプール25としての左右一対の供給側スプール36,37と、巻取り側シートスプール26としての左右一対の巻取り側スプール38,39とにより構成されている。
【0023】
前記各スプール36,37,39は、インクシート21を巻回するための芯管40、41の両端に各々着脱可能に嵌挿するフランジつき軸部であり、例えば合成樹脂材の射出成形等にて一体的に形成され、一つのスプール38のみ複数の部品を組み合わせて構成されている。
【0024】
次に、カートリッジ本体としてのカートリッジ本体30の構成について、図3〜図8を参照して説明する。カートリッジ本体30は、インクシート21の左右両側外側を囲むようにしてシート供給側から巻き取り側にのびる左右一対の側板31a,31bと、該一対の側板31a,31bにインクシート21の供給側の巻回部の上側を覆うように連結する左右両側長手の上カバー片32と、同じく一対の側板31a,31bにインクシート21の巻き取り側の上部間を覆う仕切り板24とから構成されており、合成樹脂材にて射出成形により一体的に制作されたものである。従って、左右長手の供給側上カバー片32と巻取り側の仕切り板24と左右両側板連結片31a,31bとで囲まれた部位は、インクシート21が露出する窓孔部となり、該窓孔部の上側からローラ状のプラテン17が臨み、窓孔部の下方からは印字台19とサーマルヘッド22及びテンション体23が臨むことになる(図1及び図2参照)。また、前記仕切り板24の左右両側端部もしくは左右一対の側板31a,31bから鰭状などの摘み部35、35が上向きに突設されている。
【0025】
そして、前記各側板31a,31bには、前記巻き取り側左スプール38の箇所を除き、供給側右スプール37及び巻取り側右スプール39の各外軸44や供給側左スプール36における支持軸部がそれぞれ遊嵌する一端開放型の軸支持溝部33が形成されている(図6及び図8参照)。なお、軸支持溝部33に連設し、かつ半径外向きに延びるように各側板31a,31bに切欠き形成された開放溝34により、各外軸44(支持軸部)をその軸線が前記軸支持溝部33に対して略交叉する状態で上向きに押し込むとき、各軸支持溝部33の下部開放溝縁間の幅寸法が弾性的に拡張するが、自由状態では各外軸44(支持軸部)が各軸支持溝部33に対して脱落しないように構成されている。
【0026】
インクシート21は、広幅の樹脂フィルムの片面全体にインク層を形成したものであり、図8に示すように、1対の紙製等の円筒状の芯管40,41に巻回されている。インクシート21のインク層に記録紙4を対面させるようにして、プラテン17とラインプリンタであるサーマルヘッド22の記録面とにより挟み込んで、画像データに応じてサーマルヘッド22の発熱抵抗体に通電することにより、1ラインずつ記録紙4に画像が形成される。
【0027】
供給側の芯管40及び巻取り側の芯管41の各右端(記録紙4の排出側から見て右側)に嵌合する供給側右スプール37と巻取り側右スプール39とは図8に示すように同一形状であって、前記芯管40(41)の右端部内径に嵌まる内筒部42と、大径のフランジ部43と、後述するカートリッジ本体30に対して回転自在に配置される支持軸部としての小径の円筒状の外軸44とにより構成されている。
【0028】
供給側の芯管40の左端に嵌合する供給側左スプール36は、前記芯管40の左端部内径に嵌まり、切欠き溝に係合する係合爪42a付きの内筒部42と、大径のフランジ部43と、該フランジ部43の外側に設けて後述するカートリッジ本体30に対して回転自在に配置される支持軸部(図示せず)とその外側に設けられた歯車部45と、により構成されている(図8参照)。
【0029】
他方、巻取り側の芯管41の左端に嵌合する巻取り側左スプール38は、カートリッジ本体30の一側板31aの軸孔50に抜け不能に装着されるものであって、前記一側板31aの外側に配置される伝動歯車47付きの第1回転部材46と、該第1回転部材46に前記一側板31aの内側から連結されるフランジ48a付きの軸部48とにより構成されている。そして、前記フランジ付き軸部48に中間連結体56を着脱可能に被嵌する一方、この中間連結体56を前記巻取り側の芯管41の左端の内径部に嵌合させるものであり、それぞれ合成樹脂材の射出成形にて形成されている。
【0030】
図10(a)、図10(b)、図10(c)及び図10(d)は、第1回転部材46を示し、伝動歯車47の内径部には、内筒部46aを軸線に沿って長く形成し、この内筒部46aの一側切欠き部46cには、前記軸線方向に沿って延びる棒状の弾性体51を一体的に形成する。この弾性体51の自由端側には係止爪51aが半径外向きに一体的に形成されている。前記内筒部46aの半径外側には、円周に沿って3つ割りの扇状の基部46bが設けられている。さらに、前記3つ割りの基部46bの間には、フランジ48a付きの軸部48における3つの係合体52の先端爪部52aがそれぞれ嵌まる略矩形状の嵌合孔53が穿設されており、各嵌合孔53の外周側に係合部としての段部53aが形成されている。なお、前記3つ割りの基部46bには、前記軸部48と対向する側面に突設し、半径方向に延びる位置決め突起54が一体的に形成されている。
【0031】
図11(a)、図11(b)及び図11(c)は、フランジ48a付きの軸部48の構成を示し、筒状の基部48bから円盤状のフランジ48aが半径外方向に突出し、前記基部48bの一端には、半径がやや小さい断面円弧状の案内部48cが軸線方向に延びており、前記弾性体51及びその先端が前記基部48a及び案内部48cの内径部を軸線方向に貫通し得る。前記フランジ48aの半径中途部からは、前記基部48bと逆方向に、3つの係合体52が突出している。また、前記基部48bとフランジ48aとの付け根部には、前記第1回転部材46における各位置決め突起54が嵌まる位置決め孔55が穿設されている。
【0032】
上記の構成により、カートリッジ本体30における巻き取り側であって、実施形態では図4に示す左側板31aの外側から、図9に示すごとく、軸孔50に対して第1回転部材46の弾性体51を挿入し、前記側板31aの内側から、軸部48のフランジ48aを接近させ、前記軸孔50に3つの係合体52を挿入する。そして、各係合体52の各先端爪部52aを前記第1回転部材46における伝動歯車47の内径側の各嵌合孔53に嵌め入れる。これにより、各嵌合孔53の外周側の段部53aに各先端爪部52aが係合し、巻取り側左スプール38として一体となり、前記軸孔50、ひいてはカートリッジ本体30から抜け不能となるのである。その場合、前記棒状の弾性体51が軸部48における切欠きの案内部48cの案内溝48dに位相的に合致させるため、前記第1回転部材46における各位置決め突起54と軸部4における位置決め孔55との形状を位相毎に異ならせておく。また、巻取り側左スプール38として一体となった状態では、軸部48の基部48bと第1回転部材46における3つ割りの基部46bとの合わせ部での外周が円筒状となり、軸孔50に対する、伝動歯車47及び巻き取り側スプール38の回転中心軸線の位置決め部となる(図14(a)及び図14(b)参照)。
【0033】
さらに、本実施形態では、巻き取り側の芯管41の端部と前記軸部48との間に介挿させる筒状の中間連結体56を備える。図12(a)、図12(b)及び図12(c)と、図13(a)及び図13(b)は中間連結体56を示し、筒状の基部57の基端側の内径部57aは、前記軸部48における基部48bがきっちりと且つ回動可能に嵌まるように同じ直径寸法D1に形成され、基部57の先端側は円周方向に3つ割り状のカム部58が一体的に形成されており、且つ、この3つのカム部58で囲まれた内径側には、前記軸部48における案内部48cが回動可能に嵌まるように構成されている。
【0034】
そして、前記軸部48の基部48bに対して中間連結体56を相対的に回動させるとき、前記弾性体51の弾力に抗して先端がカム部58の偏平な内径部で押圧されて一方向(巻き取りと逆方向(図13(b)にて中間連結体56を時計方向に回動するとき)のみ回
転可能であり、巻き取り方向(図13(b)にて中間連結体56を反時計方向に回動するとき)には、前記前記弾性体51の弾力にて半径外方向に付勢された先端が、前記隣接する2つのカム部58、58の半径方向の隙間に嵌合して、一体的に回動し得るように構成されている。なお、中間連結体56の基部57の最外径部57bは、芯管41の外径と同じ直径であり、最外径部57bから軸線方向に突設した2条状の止め突起61が、芯管41の端部に切欠き形成された止め溝62に嵌合する(図12(b)参照)。これにより、画像形成装置の本体側から伝動歯車47への伝達トルクを確実に巻き取り側スプール26に伝達できるのである。
【0035】
さらに、前記中間連結体56には、前記最外径部57bから、一対の弾性爪59、59が軸線に沿って延びるように突設されている。しかして、中間連結体56の基部57を巻き取り側の芯管41の端部から差し込むと、各弾性爪59が芯管41の端部に切欠き形成された一対の回り止め用の平面視L字状の止め溝60(図12(b)で一方のみ示す)に係止する。これにより、芯管41に止め溝60の存在しない他社製の巻き取り側スプールは本発明のインクシートカートリッジ20に装着できず、本出願人が製造したファクシミリ装置等の画像形成装置に誤って、品質の異なる他社のインクシート21が装着されるという誤使用がなくなり、正規のインクシート21を使用しないことによる印字品質の悪化、印字不良等のトラブルを防止することができる。本発明の第1回転部材46、フランジ48a付き軸部48及び中間連結体56をそれぞれ合成樹脂材にて形成することが好ましい。
【0036】
上述の構成により、予め、前記第1回転部材46とフランジ48a付きの軸部48とをカートリッジ本体30の所定の軸孔50の箇所に抜け不能に装着して巻取り側左スプール38を構成しておき(図14(a)参照)、他方、巻き取り側の芯管41の端部(左端)には前記中間連結体56を抜け不能に装着しておく。
【0037】
前記カートリッジ本体30に取替え用インクシートセットを装着する形態について説明する。取替え用インクシートセットは、前記供給側芯管40に新しいインクシート21を巻回したものと、巻き取り側芯管41とのセットであり、所望により、この芯管41の所定の一端に予め前記中間連結体56を取付けておいても良い。これらの場合、インクシート21の幅寸法は、芯管41の一端に連結された中間連結体56の最外径部57bの外側端部から芯管41の他端までの寸法とすることが好ましい。また、新しいインクシート21の端部を前記芯管41の外周に接着テープ等にて取付けしておく。そして、前記芯管41の右端に巻き取り側右スプール39を差し込み装着する。供給側の芯管40の両端に図8に示すように、供給側左スプール36及び供給側右スプール37をそれぞれ差し込んで装着する。次いで、前記中間連結体56の内径部57aに前記軸部48の基部48bを差し込み、中間連結体56を相対的に回動させると、前記弾性体51の弾力に抗して先端がカム部58の偏平な内径部で押圧されて一方向(巻き取りと逆方向図13(b)にて中間連結体56を時計方向に回動するとき)のみ回転可能となる(図15参照)。上述のように、4箇所のスプール36、37、38、39のうち1箇所のスプール(巻取り側左スプール38)がカートリッジ本体30に対して抜け不能に装着されているから、例えば前記の実施形態では伝動歯車47の配置側がカートリッジ本体30の左右いずれかであることが明瞭となり、ユーザーが新しいインクシート21に交換する場合に芯管40、41の両端を各スプールに取付けするときの方向等の誤りが少なくなり、迅速且つ容易にインクシート21の交換ができるのである。
【0038】
上記の状態で、前記巻き取り側右スプール39、供給側左スプール36及び供給側右スプール37をそれぞれカートリッジ本体30における軸支持溝部33、33、33に嵌め入れ、インクシート21を弛まないように巻き取り側の芯管41を回動させる。
【0039】
上記の構成のインクシートカートリッジ20をファクシミリ装置1の収納部13にセットすると、カートリッジ本体としてのカートリッジ本体30の左右両側板31a,31b等の箇所が所定姿勢で支持され、このとき、巻取り側右スプール39及び供給側右スプール37における外筒44,44の内径部が図示しない前記本体フレーム側に突設された軸部(図示せず)に被嵌する一方、供給側左スプール36と巻取り側左スプール38における歯車部45及び伝動歯車47はそれぞれ動力伝動用のギヤ(図示せず)に噛み合うと共に、供給側左スプール36と巻取り側左スプール38における外軸の内径部は、前記本体フレーム側から軸線方向に弾力的に突設された軸部(図示せず)に被嵌する。この結果、供給側シートスプール25及び巻取り側シートスプール26は円滑に回転し得ることになる。
【0040】
操作パネル3における印字指令もしくは図示しない外部のコンピュータからの印字指令コマンドの出力、又は他のファクシミリ装置からのファクシミリデータの受信により、前記制御用基板29が作動し、印字(記録)作業が開始されると、まず、給紙ローラ15が回転し、給紙開始する。記録紙4の先端が図示しない紙センサを検知してから所定距離搬送され、プラテン17に接近すると、プラテン17及びインクシートカートリッジ20における歯車部45及び伝動歯車47に動力が伝達され、第1回転部材46の弾性体51の先端の係止爪51aが中間連結体56の相隣接する2つのカム部58の間に嵌合しているから、所定のインクシート21の巻き取り方向への伝動歯車47の回転力を芯管41に伝達することができる(図15参照)。その結果、インクシート21の搬送と記録紙4の送りとが開始され、印字部であるサーマルヘッド22での印字が行われる。
【0041】
インクシート21と記録紙4とがプラテン17とサーマルヘッド22とで挟まれた状態で印字された直後は、サーマルヘッド22の発熱抵抗体による発熱にてインクシート21におけるインクが印字のデータ(キャラクタ)に応じて溶けて、記録紙4に写り、次いでインクが冷却されることでインクシート21が記録紙4の表面に付着した状態が続く。テンション体23の頂面23aの箇所で、インクシート21は、図2に示すように、巻き取り側シートスプール26の外周下辺側に巻き込まれるべく、下向きに大きく屈曲することで、記録紙4へのインクによる膠着が解除される。他方、下面が印字面となる記録紙4は、前記仕切り板24の上面に載って搬送されることで、当該記録紙4とインクシート21との搬送経路が確実に分離できるのである。なお、仕切り板24の先端(テンション体23の頂面23aに近い側)で、下向きに屈曲させることにより、フリー状態の記録紙4の先端(搬送下流側)を掬いあげて、記録紙4が下向きに移動するのを防止できる。
【0042】
なお、図3〜図5に示すように、仕切り板24の上面に多数本の突条24aを搬送方向に沿って長手状に形成しておけば、印字面を下向きにした状態の記録紙4が通過するとき、印字面を広く擦ることがなく、インクの付着による記録紙4の汚れを少なくできる。
【0043】
そして、前記仕切り板24は、記録紙4の搬送経路のガイド部となるシュート部の下シュートとなり、前記プラテン17を挟んで延びるリブ状の上シュート部27と前記仕切り板24の上面との間に記録紙4を確実に導くことができる。また、紙詰まり(紙ジャム)が発生したときには、上カバー体6を上向きに開くだけで本体ケース2側に配置したインクシートカートリッジ20における仕切り板24と、前記上シュート部27との間隔が大きく開くことができるから、記録紙4の紙ジャムを除去することが至極簡単にできるのである。
【0044】
上記実施形態では、本発明をファクシミリ装置に適用したが、もちろんこれに限るものではなく、プリンタ、複写機、あるいはそれらの複数の機能を備えた機器などの各種画像形成装置に用いることができる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載した発明のインクシートカートリッジは、インクシートを巻回した供給側芯管と、巻き取り側芯管とを有するインクシートセットを、各々の芯管の左右両端に着脱自在に装着するスプールを介してカートリッジ本体の左右両側板に回動自在に装着してなるインクシートカートリッジにおいて、前記巻き取り側のスプールは、フランジ付き軸部と伝動歯車付き第1回転部材とを、前記カートリッジ本体の側板に穿設された軸孔を介して内外から抜け不能に係合させるように構成し、前記第1回転部材から突出する1つの弾性体の先端に係止爪が形成されている一方、前記巻き取り側のスプールと前記インクシートセットにおける巻き取り側芯管の一端との間に介挿される筒状の中間連結体には、その回転軸線と直交する断面形状が同一のカム面を有するカム部が、円周方向に一定間隔の隙間を隔てて複数形成され、前記係止爪は、前記カム部の内径側から臨ませるとともに、前記巻き取り側のスプールの巻取り方向への回転に対して、前記係止爪が前記隣接するカム部の間の隙間に係合し、前記巻き取り側のスプールの巻取り方向と反対方向への回転に対して、前記係止爪が前記隣接するカム部の間の隙間からの係合が解除され、且つ次の隣接するカム部の間の隙間に案内されて再度係合するように、前記隣接するカム部の間の隙間に嵌合可能であって、前記係止爪が、前記カム部に嵌合することにより、前記伝動歯車の回転力が前記巻き取り側芯管に伝達されるように構成されているものである。
【0046】
このように、芯管の一端に予め筒状の中間連結体を取付け、この中間連結体に対してスプールを差し込むと、該スプールに形成された係止爪が中間連結体に係合するので、中間連結体を備えない他社のインクシートの芯管を、本発明のインクシートカートリッジに装着できず、品質の異なる他社のインクシートが装着されるという誤使用がなくなり、正規のインクシートを使用しないことによる印字品質の悪化、印字不良等のトラブルを防止することができるという効果を奏する。
【0047】
そして、前記巻取り側のスプールは、フランジ付き軸部と伝動歯車付き第1回転部材とを、前記カートリッジ本体の側板に穿設された軸孔を介して内外から抜け不能に係合させるように構成し、前記第1回転部材から突出する1つの弾性体の先端部に係止爪を設け、該係止爪を前記中間連結体におけるカム部の内径側から臨ませたものである。
【0048】
従って、弾性体の先端の係止爪を中間連結体の内径部に挿入するだけで、そのカム部に係合できるから着脱作業が至極容易となる。また、通常のユーザーが正しい位置及び向きに前記供給側スプール及び巻き取り側スプールを取付けする作業に戸惑ったり、手間取ることなく、容易にインクシートの交換が可能となると共に、各スプールを回動するための伝動歯車を備えた側のインクシートカートリッジに対する取付け側を誤ることがなくなり、画像形成装置の本体側からの動力伝達が正常に行えるという効果を奏する。
【0049】
さらに、前記スプールの係止爪が、前記カム部に嵌合することにより、前記伝動歯車の回転力が前記巻き取り側芯管に伝達されるものであるから、カム部を備える正規のインクシートの芯管が装着された場合に、画像形成装置の本体側からの動力伝達が正常に行えるという効果を奏する。
【0050】
しかも、前記巻き取り側のスプールの巻取り方向への回転に対して、前記係止爪が前記隣接するカム部の間の隙間に係合し、前記巻き取り側のスプールの巻取り方向と反対方向への回転に対して、前記係止爪が前記隣接するカム部の間の隙間からの係合が解除され、且つ次の隣接するカム部の間の隙間に案内されて再度係合するように構成されているものであるから、巻き取り側芯管の巻き取り方向に前記第1回転部材を回転駆動するときのみ前記係止爪とカム部とが動力伝達可能に係合し、逆に前記第1回転部材を巻き取り方向と反対側に回動させることにより、装着したインクシートの弛みを至極簡単に取ることができるという効果を奏する。
【0051】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載のインクシートカートリッジにおいて、前記中間連結体の最外径部を前記巻き取り側の芯管の外径部と同じ直径に形成し、該中間連結体には、前記巻き取り側の芯管の一端部に形成された止め溝に係脱する弾性爪及び又は止め突起を備え、前記巻き取り側の芯管の一端部に前記中間連結体を装着した状態で、当該中間連結体の最外径部の表面までインクシートを巻回するように構成したものである。
【0052】
この構成により、中間連結体を芯管に予め装着しておくことができ、且つこの中間連結体は芯管の所定の一端にのみ装着されるので、巻き取り側スプールの装着誤りがなく、さらに、前記中間連結体を介して巻き取り側スプールに装着するのであるから、この中間連結体を備えない他社の芯管が装着できなくなり、正規でないインクシートを誤着装するおそれがなくなるという効果を奏する。
【0053】
さらに、請求項に記載の発明は、請求項に記載のインクシートカートリッジにおいて、前記カム部は、巻き取り側芯管の回転中心から放射状に複数に分割され、且つ芯管の巻き取り方向に前記第1回転部材を回転駆動するときのみ前記係止爪とカム部とが動力伝達可能に係合するように形成されているものであるから、逆に前記第1回転部材を巻き取り方向と反対側に回転することにより、装着したインクシートの弛みを至極簡単に取ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ファクシミリ装置の側断面図である。
【図2】印字部近傍における記録紙及びインクシートの経路示す側面図である。
【図3】インクシートカートリッジの平面図である。
【図4】インクシートカートリッジの前方左側から見た斜視図である。
【図5】インクシートカートリッジの前方右側から見た斜視図である。
【図6】インクシートカートリッジの右側面図である。
【図7】インクシートカートリッジの左側面図である。
【図8】インクシートカートリッジの部品の裏返しした状態での分解斜視図である。
【図9】第1回転部材46とフランジ付き軸部48と、中間連結体等の分解斜視図である。
【図10】(a)は第1回転部材46の正面図、(b)は図10(a)のXb−Xb線矢視断面図、(c)は図10(a)の左側面図、(d)は図10(a)の右側面図である。
【図11】(a)はフランジ付き軸部48の正面図、(b)は図11(a)のXIb −XIb 線矢視断
面図、(c)は図11(a)の右側面図である。
【図12】(a)は中間連結体56の断面図、(b)は中間連結体56及び芯管41の端部の正面図、(C)は中間連結体56の下面図である。
【図13】(a)は中間連結体56の斜視図、(b)は図13(a)のXIIIb −XIIIb 線矢視断面図である。
【図14】(a)は第1回転部材46とフランジ付き軸部48との連結状態を示す拡大断面図、(b)は中間連結体56との連結状態を示す拡大断面図である。
【図15】図14(b)のXV−XV線矢視断面図である。
【符号の説明】
20 インクシートカートリッジ
21 インクシート
24 仕切り板
25 供給側シートスプール
26 巻き取り側シートスプール
30 カートリッジ本体
31a,31b 側板
32 上カバー片
36〜39 スプール
40、41 芯管
42 内筒部
43、48a フランジ部
45 歯車部
46 第1回転部材
47 伝動歯車
48 軸部
48b 基部
50 軸孔
51 弾性体
51a 係止爪
52 係合体
52a 先端爪部
53 嵌合孔
53a 段部
54 位置決め突起
55 位置決め孔
56 中間連結体
58 カム部
59 弾性爪
60、62 止め溝
61 止め突起

Claims (3)

  1. インクシートを巻回した供給側芯管と、巻き取り側芯管とを有するインクシートセットを、各々の芯管の左右両端に着脱自在に装着するスプールを介してカートリッジ本体の左右両側板に回動自在に装着してなるインクシートカートリッジにおいて、
    前記巻き取り側のスプールは、フランジ付き軸部と伝動歯車付き第1回転部材とを、前記カートリッジ本体の側板に穿設された軸孔を介して内外から抜け不能に係合させるように構成し、
    前記第1回転部材から突出する1つの弾性体の先端に係止爪が形成されている一方、
    前記巻き取り側のスプールと前記インクシートセットにおける巻き取り側芯管の一端との間に介挿される筒状の中間連結体には、その回転軸線と直交する断面形状が同一のカム面を有するカム部が、円周方向に一定間隔の隙間を隔てて複数形成され、
    前記係止爪は、前記カム部の内径側から臨ませるとともに、前記巻き取り側のスプールの巻取り方向への回転に対して、前記係止爪が前記隣接するカム部の間の隙間に係合し、前記巻き取り側のスプールの巻取り方向と反対方向への回転に対して、前記係止爪が前記隣接するカム部の間の隙間からの係合が解除され、且つ次の隣接するカム部の間の隙間に案内されて再度係合するように、前記隣接するカム部の間の隙間に嵌合可能であって、
    前記係止爪が、前記カム部に嵌合することにより、前記伝動歯車の回転力が前記巻き取り側芯管に伝達されるように構成されていることを特徴とするインクシートカートリッジ。
  2. 前記中間連結体の最外径部を前記巻き取り側の芯管の外径部と同じ直径に形成し、該中間連結体には、前記巻き取り側の芯管の一端部に形成された止め溝に係脱する弾性爪及び又は止め突起を備え、
    前記巻き取り側の芯管の一端部に前記中間連結体を装着した状態で、当該中間連結体の最外径部の表面までインクシートを巻回するように構成したことを特徴とする請求項に記載のインクシートカートリッジ。
  3. 前記カム部は、巻き取り側芯管の回転中心から放射状に複数に分割され
    、且つ芯管の巻き取り方向に前記第1回転部材を回転駆動するときのみ前記係止爪とカム部とが動力伝達可能に係合するように形成されていることを特徴とする請求項に記載のインクシートカートリッジ。
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