JP3612549B2 - リボン状若しくはワッシャー状フラックス入りはんだ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、層間の剥離を防止したリボン状若しくはワッシャー状フラックス入りはんだに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
リボン状若しくはワッシャー状はんだは、従来以下のようにして製造されていた。
（１）はんだ合金を板状に形成してリボン状に切断するか、線状に形成してリボン状にプレスする。
【０００３】
（２）粉体はんだとフラックス（ヤニ）とを混合し、これをリボン状に成形する。
【０００４】
（３）フラックス（ヤニ）入りはんだを、圧延してリボン状に形成する。
尚、ワッシャー状はんだは、上記（１）〜（３）のようにして形成したリボン状はんだを、ワッシャーの形状に打ち抜くことにより形成していた。
【０００５】
上記（１）の方法は、フラックスが介在していないため、使用時にフラックスを塗布する必要がある。
【０００６】
上記（２）の方法は、フラックスとはんだ合金粉とを混合プレスするため、小径のワッシャー状はんだを作る場合、プレス抜け不良や形状不良（フラックスが含まれないか、偏在する）が発生し易い。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
上記（３）の方法は、別途フラックスを塗布する必要がない利点はあるが、はんだ板とフラックスとが層状となるため、リボン幅若しくはワッシャー径によっては、剥離が頻発する問題があった。そればかりか、フラックスは１カ所に偏在しているので、作業時フラックス切れやフラックスの飛散をもたらす問題があった。
【０００８】
この発明は、このような点に着目してなされたものであり、層間剥離を防止すると共にフラックスが偏在しないリボン状若しくはワッシャー状フラックス入りはんだを提供することを目的とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
上記目的に沿う本発明の構成は、フラックスを曲線状に内蔵させた糸はんだを圧延することを特徴とする。
【００１０】
フラックスを曲線状に内蔵させるには、通常のフラックス入り糸はんだに撚りを加えればよい。
【００１１】
従来、フラックス入りはんだは、フラックスを１芯内蔵させたものに限られていたが、本発明に於いては、複数芯内蔵させるのがよい。複数芯内蔵させることによって、より層間剥離がし難くなる。
【００１２】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
フラックス入りはんだに撚りを加えるには、図１に示すように、押出しダイス１により線状に押し出してリール２に巻き取る際、リール２を図１に於いて前後方向に回転させればよい。糸はんだが切断しない程度に、撚り回数を多くすることによって、剥離防止効果がより向上する。
【００１３】
このように撚り加工した糸はんだ３は、図２に示すように、圧延ロール４，４′を通過させて、リボン状３′に成形する。これを常法により打ち抜いて、ワッシャー状３′′に成形する。
【００１４】
上記実施例に於いては、糸はんだ３には、フラックス５（ヤニ又は他の活性剤）が３芯内蔵されている。このように複数芯内蔵させることによって、中心にフラックスが偏在しないので、圧延時の割れ又はワッシャー打ち抜き時の剥離不良率が大幅に減少する。また、フラックスの分散性が向上するため、作業性は３０％以上向上する。
【００１５】
本発明に使用するはんだ合金及びフラックスとしては、この種目的に使用されているものはいずれも使用することができ、特に限定されない。
【００１６】
【実施例】
Ｐｂ−Ｓｂ系はんだ合金を使用し、ロジン系フラックスを３芯内蔵させ、上記のようにして、撚り糸はんだ３′からリボン状はんだ３′′を製造した。
【００１７】
撚り糸はんだ３′の顕微鏡写真を図３及び図４に、リボン状はんだ３′′の顕微鏡写真を図５及び図６に示す。
【００１８】
図３及び図４並びに図５及び図６に示すように、フラックスは、縦方向にも横方向にも直線状に連続していないので、換言すれば、はんだ合金が、縦方向にも横方向にも連続している部分があるから、圧延時の割れが効果的に防止されると共に、はんだ製品の層間剥離が効果的に防止されるものと考えられる。
【００１９】
本発明によれば、フラックスを曲線状に内蔵させて圧延するので、フラックスが偏在しないで内蔵されることになるから、剥離し難くなるだけでなく、使用時のフラックス切れが極端に少なくなると共に、フラックスの飛散が少なく、ソフトな溶接作業が可能となる。そのため、作業能率が著しく向上する。
【００２０】
本発明のはんだは、小形にしても剥離し難いので、ＩＣの狭ピッチ足のはんだ付けに使用する引きはんだに使用するのに、特に好適である。
【００２１】
【発明の効果】
本発明によれば、剥離し難くなるだけでなく、フラックスが中央に偏在しないので、使用時のフラックス切れが極端に少なくなり、フラックスの飛散が少なく、ソフトな溶接作業が可能となるから、作業能率が大幅に向上する。
【００２２】
また、フラックスを内蔵させた糸はんだに撚りを加えることによって、フラックスを容易に曲線状に内蔵させることができる。
【００２３】
更に、複数芯内蔵させることによって、内蔵するフラックスの均一性及び多方向性が高まり、本発明の効果が一段と高まる。
【００２４】
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の糸はんだに撚りを加える例を示す概略図である。
【図２】本発明のはんだの製造を示す概略図である。
【図３】実施例で製造した糸はんだの横断面の顕微鏡写真である。
【図４】実施例で製造した糸はんだの縦断面の顕微鏡写真である。
【図５】実施例で製造したリボン状はんだの横断面の顕微鏡写真である。
【図６】実施例で製造したリボン状はんだの縦断面の顕微鏡写真である。
【符号の説明】
３・・・・・・・撚り加工した糸はんだ
３′・・・・・・本発明のリボン状はんだ
３′′・・・・・本発明のワッシャー状はんだ
４，４′・・・・圧延ロール

Claims (3)

1. フラックスを曲線状に内蔵させた糸はんだを圧延して、層間の剥離を防止したことを特徴とするリボン状若しくはワッシャー状はんだ。
2. フラックスを内蔵させた糸はんだを、撚り加工してフラックスを曲線状に内蔵させてなる請求項１に記載のはんだ。
3. 前記フラックスを、複数芯内蔵させてなる請求項１又は２に記載のはんだ。

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