JP3610518B2 - レシーバタンク一体型コンデンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、冷房サイクルの一部を構成するコンデンサとレシーバタンクとを一体にしたレシーバタンク一体型コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の熱交換器においては、装置の取付スペースの削減等の観点及び装置の取付の簡略化等の便宜を図るために、従来よりコンデンサの近傍、特にコンデンサの冷媒の出口部となるヘッダパイプ近傍にレシーバタンクを一体に設ける技術が種々提案されている(例えば、特開平2─267478号公報,実開平3─31266号公報。)
【0003】
この第一及び第二の先行技術(特開平2─267478号公報,実開平3─31266号公報)は、ヘッダパイプにレシーバタンクの機能を持たせようとする主旨から、該ヘッダパイプに直接にレシーバタンクを付加していた。
【0004】
しかしながら、上記第一及び第二の先行技術では、ヘッダパイプとレシーバタンクとが近接化のみならず一体化が図られることから、一応のスペースの削減の目的は達成したが、ヘッダパイプとレシーバタンクとが断面図を見れば明らかなように、二つの円形部材が連なり、コンデンサの横方向寸法を拡大する構成となる欠点を持っており、スペースの削減は充分でなかった。
【0005】
また、実開平2−103667号公報に示す発明も提案されている。この発明は、出口側ヘッダパイプ13の内部を弦部15,15を介して第1及び第2のパイプ室16,17に分割すると共に、該弦部15,15には貫通パイプ18が形成されて前記第1のパイプ室6と第2のパイプ室17と連通させ、また前記第1のパイプ室16は複数の冷媒通路に連通され、前記第2のパイプ室17は液吐出パイプ19が接続されて構成の受液器内蔵型凝縮器であり、省スペース要請にも一応満足するものであった。
【0006】
しかし、ヘッダパイプを横断面が略半円形のパイプが2個一体化したものだけが示されているにすぎず、断面積の減少からヘッダパイプ内の圧力損失が大きかった。さらに、コンデンサに余剰冷媒を溜めておくモジュレータを接続した構成を持つ特開平4−227436号の発明も提案されたが、レシーバタンクとモジュレータとは並設された構造が示されているだけで、スペースの削減としては不充分であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そもそも、レシーバタンクは、その長さがヘッダパイプの長さより短いのが一般的であり、またヘッダパイプは、その断面積は大きいほど、冷媒の圧力損失は小さくなり有利であるが、断面積を大きくすることはヘッダパイプの小型化という要請に対しては不利に働くことになる。かかるレシーバタンクとヘッダパイプの関係を認識しつつ、この発明が創作されたものである。
【0008】
即ち、この発明はヘッダパイプを凹ませることで一層の省スペース化のみならず、圧力損失を必要最小限に抑えたレシーバタンク一体型コンデンサを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るレシーバタンク一体型コンデンサは、対峙して配される一対のヘッダパイプと、この一対のヘッダパイプを連通する複数のチューブと、この各チューブ間に介在されたフィンとから成り、ヘッダパイプの上部から冷媒を流入し、流入された冷媒を一方のヘッダパイプの下部へ最終的に導くコンデンサと、内部に乾燥剤を配設したレシーバタンクとを具備し、前記一方のヘッダパイプには冷媒出口流路室及び該冷媒出口流路室より冷媒を送出する冷媒送出通路を有し、前記レシーバタンクは、前記コンデンサより送り出された冷媒の全部が流入する冷媒流入部と、レシーバタンク内で気体冷媒と分離された液冷媒をレシーバタンク外へ送り出す液冷媒送出部を有しており、前記一方のヘッダパイプの長手方向側面の一部を窪ませて凹部を形成し、該凹部に前記レシーバタンクの本体の少なくとも一部が入り込んで接続されていることにある(請求項1)。
【0010】
【作用】
したがって、この発明では、ヘッダパイプの一部に凹部と、これにヘッダパイプの長手方向でそのままの断面積を維持する部分を持っていることから、前記凹部にレシーバタンク本体の少なくとも一部が入り込み装置の小型化に寄与できると共に、ヘッダパイプの凹部が形成されていない所での断面積は大きく、流体の圧力損失を必要最小限に抑えることができる。
【0011】
【実施例】
以下、この発明の実施例を図面により説明する。
【0012】
図1乃至図3に、この発明に係るレシーバタンク一体型コンデンサの一例が示されており、該レシーバタンク一体型コンデンサ1は、コンデンサ2とレシーバタンク3とを一体に連結して組み付けられている。
【0013】
コンデンサ2は、薄型の略矩形状に形成されており、互いに対峙して配される一対のヘッダパイプ4,5と、この一対のヘッダパイプ4,5を連通する複数の熱交換用のチューブ6と、この各チューブ6間に介在されたフィン7とを有して基本的に構成されている。
【0014】
ヘッダパイプ4,5は、略円筒状のもので、チューブ6の端部を挿入する多数の挿入孔8が形成されたチューブ挿入用プレート10a,11aと、断面円弧状のタンクプレート10b,11bとを内部に仕切板12,13を挟んで最中状に重ね合わせて接合し、上下端をキャップ15,1
6で塞いで構成されている。そしてこのヘッダパイプ4,5の内部には、流路室20〜23が画成される。
【0015】
そしてこの一方のヘッダパイプ4は、その上方の流路室20が冷媒の入口部を構成し、該流路室20の側方に冷媒入口管36が設けられ、該冷媒入口管36から流路室20に冷媒が供給されるようになっている。
【0016】
また、他方のヘッダパイプ5は、その下方の冷媒出口流路室23が冷媒の出口部を構成し、該ヘッダパイプ5を構成するタンクプレート11bの上端から冷媒の出口部となる冷媒出口流路室23に亘って該タンクプレート11bが内部に向けて湾曲されており、この湾曲された部位にレシーバタンク3を保持するための凹部24が設けられている。そして、この凹部24は長手方向の一部を窪ませて形成され、その下端には、下記するコンデンサ側継手26を固定するための冷媒送出通路25が開口形成され、該冷媒送出通路25にコンデンサ側継手26が挿入固定されている。
【0017】
コンデンサ側継手26は、レシーバタンク3を着脱自在に連結するためのブロック状のもので、略楕円形状に形成されており、その両端部には螺子孔27,27が設けられた螺子止め部28,28が突出形成されていると共に、内部略中央に後述するレシーバタンク側継手32の連結突起42を挿入するための連通路29が穿設されている。このコンデンサ側継手26は、例えばヘッダパイプ5の冷媒送出通路25に所謂トウチろう付け等によって固定される。
【0018】
レシーバタンク3は、上記コンデンサ2の他方のヘッダパイプ5の凹部24に適合するように略楕円形をなす円筒状に形成されており、略円筒状の胴部(レシーバタンク本体)30の上端に下記する出口キャップ31を、胴部30の下端開口の冷媒流入部46にレシーバタンク側継手32を嵌合して塞ぎ、内部に乾燥剤33とパイプ34,35とを配設している。そして、この出口キャップ31およびレシーバタンク側継手32は、その外周に図示しないOリングが外嵌され、胴部30の外方から例えば所謂電磁加締によって電磁力で加締結合されるようになっている。
【0019】
出口キャップ31は、レシーバタンク3内の冷媒量を視認するためのサイトグラス37が設けられていると共に、冷媒の出口管38がパイプ35に連通して突出形成されている。
【0020】
レシーバタンク側継手32は、前記コンデンサ2のコンデンサ側継手26に適合するブロック状に形成されたもので、略楕円形状に形成されており、その両端部には螺子孔40,40が設けられた螺子止め部41,41が突出形成されていると共に、下部略中央に前記コンデンサ側継手26の突起挿入孔29内に挿入される連通路43を持つ連結突起42が突出形成されている。そしてこのレシーバタンク側継手32は、連結突起42がコンデンサ側継手26の連通路29内に挿入され、コンデンサ側継手26と螺子止め固定される。また、連結突起42の中央に形成の連通孔43は前記一方のパイプ34の下端を挿入するためのパイプ嵌合孔44が形成されている。
【0021】
そしてこのようにコンデンサ側継手26とレシーバタンク側継手32とが連結されると、このコンデンサ側継手26の連通路29とレシーバタンク側継手32の連通路43とが連通され、その結果、コンデンサ側継手26とレシーバタンク側継手32とはコンデンサ2とレシーバタンク3とを接続する冷媒通路45を構成することになる。
【0022】
上記構成において、レシーバタンク3をコンデンサ2に組み付けるには、レシーバタンク3の胴部30をコンデンサ2のヘッダパイプ5の凹部24に沿わせ、レシーバタンク側継手32の連結突起42をコンデンサ側継手26の連通路29内に挿入してレシーバタンク3をコンデンサ側継手26上に載置し、該コンデンサ側継手26とレシーバタンク側継手32とを螺子止め固定すればよい。
【0023】
以上のように構成されるレシーバタンク一体型コンデンサ1は、冷媒入口管36から一方のヘッダパイプ4の流路室20に流入された高圧冷媒ガスが、該流路室20に連通するチューブ6内を平行に流れて他方のヘッダパイプ5の流路室21に至り、そこから仕切板13より上方で連通するチューブ6内を逆に流れてヘッダパイプ4の流路室22に至り、該流路室22に連通するチューブ6内をヘッダパイプ5に向けて流れ、冷媒の出口部となる冷媒出口流路室23に液化して集合する。そしてこの液冷媒は、冷媒出口流路室23からコンデンサ側継手26とレシーバタンク側継手32とに構成された冷媒通路45を介してレシーバタンク3内に吸い込まれ、パイプ34,乾燥剤33,パイプ35を介して出口管38から吸い上げられる。
【0024】
しかるに、このレシーバタンク一体型コンデンサ1においては、上述したように、レシーバタンク3をコンデンサ2のヘッダパイプ5に設けたコンデンサ側継手26に着脱自在に連結したので、その取り外しが可能であり、メンテナンス性の向上が図られるようになっている。そして、レシーバタンク3がコンデンサ2のコンデンサ側継手26上に載置連結される構成であるから、該レシーバタンク3が容易に組付けられると共に、ヘッダパイプ5に設けた凹部24に沿ってレシーバタンク3が保持されるから、装置全体が小型化できるものである。また、このコンデンサ側継手26とレシーバタンク側継手32とによってコンデンサ2の冷媒出口流路室とレシーバタンク3の入口側とを接続する冷媒通路45を構成したから、従来問題であった外部配管を排除することが可能である。
【0025】
次に、図4及び図5を参照しつつ、他の発明に係るレシーバタンク一体型コンデンサの一例を説明する。ただし、上記実施例のものと基本的に同一構成のものについては同一符号を付してその説明を省略し、以下、異なる点についてのみ説明する。
【0026】
この実施例が上記と相違する点は、双方のヘッダパイプ4,5のタンクプレート15を円筒状に形成し、この側壁にブロック状のコンデンサ側継手26Aを設けると共に、このコンデンサ側継手26Aに対応するレシーバタンク3の上部に該コンデンサ側継手26Aに適合するレシーバタンク側継手32Aを設けているところにある。
【0027】
このコンデンサ側継手26A及びレシーバタンク側継手32Aは、各々コンデンサ2のヘッダパイプ5の冷媒の出口部となる冷媒出口流路室23に対応する側壁の一部とレシーバタンク3の上部側壁にトウチろう付け等によって固定され、その内部に各々ヘッダパイプ5の側壁に設けた連通孔(冷媒送出通路)51を介して冷媒出口流路室23に連通する連通路52と、レシーバタンク3に設けた連通路53とが穿設されている。そしてこのコンデンサ側継手26A及びレシーバタンク側継手32Aは、ボルト55を介して螺子止めされ、もってレシーバタンク3がコンデンサ2に連結されるようになっている。
【0028】
この連結において、コンデンサ2のヘッダパイプ5の連通孔51,コンデンサ側継手26Aの連通路52及びレシーバタンク3の連通孔53とが連通され、これらによってコンデンサ2とレシーバタンク3とを接続する冷媒通路56が構成されるようになっている。
【0029】
しかるに、このレシーバタンク一体型コンデンサ1においては、上記第一の発明に係るものと同様に、レシーバタンク3をコンデンサ2の出口部となるヘッダパイプ5に設けたコンデンサ側継手26Aに着脱自在に連結したので、その取り外しが可能であり、メンテナンス性の向上が図られるようになっている。そしてこのレシーバタンク3がコンデンサ2のコンデンサ側継手26の側方側から取り付けられる構成であるから、該レシーバタンク3の組み付けを容易に行うことができる。また、このコンデンサ側継手26Aとレシーバタンク側継手32Aとの間にコンデンサ2の出口側とレシーバタンク3の入口側とを接続する冷媒通路56を構成したから、従来問題であった外部配管を排除することが可能である。
【0030】
なお、上記ヘッダパイプ5は、2枚のタンクプレートを接合する二分割構造のものであってもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、レシーバタンクのコンデンサへ一体化によって装置の車体への組み付けが容易に行えるものであ。また、ヘッダパイプの長手方向側面に形成された凹部にレシーバタンク本体の少なくとも一部が入り込んで接続されていることから、該レシーバタンクのコンデンサからの突出量を少なくして、装置を小型化できるものであると共に、流体の圧力損失を必要最小限に抑えることが可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の発明に係るレシーバタンク一体型コンデンサの斜視図である。
【図2】同上の要部の断面図である。
【図3】同上の要部の分解斜視図である。
【図4】第二の発明に係るレシーバタンク一体型コンデンサの要部の斜視図である。
【図5】同上の要部の断面図である。
【符号の簡単な説明】
1 レシーバタンク一体型コンデンサ
2 コンデンサ
3 レシーバタンク
4,5 ヘッダパイプ
6 チューブ
7 フィン
24 凹部
25 継手連結部
26,26A コンデンサ側継手
32,32A レシーバタンク側継手
33 乾燥剤
45,56 冷媒通路

Claims (1)

  1. 対峙して配される一対のヘッダパイプと、この一対のヘッダパイプを連通する複数のチューブと、この各チューブ間に介在されたフィンとから成り、ヘッダパイプの上部から冷媒を流入し、流入された冷媒を一方のヘッダパイプの下部へ最終的に導くコンデンサと、内部に乾燥剤を配設したレシーバタンクとを具備し、前記一方のヘッダパイプには冷媒出口流路室及び該冷媒出口流路室より冷媒を送出する冷媒送出通路を有し、前記レシーバタンクは、前記コンデンサより送り出された冷媒の全部が流入する冷媒流入部と、レシーバタンク内で気体冷媒と分離された液冷媒をレシーバタンク外へ送り出す液冷媒送出部を有しており、前記一方のヘッダパイプの長手方向側面の一部を窪ませて凹部を形成し、該凹部に前記レシーバタンク本体の少なくとも一部が入り込んで接続されていることを特徴とするレシーバタンク一体型コンデンサ。
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