JP3610258B2 - 負圧発生部材の製造方法、該製造方法を用いる負圧発生部材、およびインクタンク - Google Patents

負圧発生部材の製造方法、該製造方法を用いる負圧発生部材、およびインクタンク Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、負圧を発生させてインクなどの液体を保持すること及び移動させることを目的とした負圧発生部材の製造方法及び該製造方法により製造される負圧発生部材とインクタンクに関し、具体的にはインクジェット記録分野に好適に利用可能な熱可塑性合成繊維からなる負圧発生部材の製造方法及び該製造方法により製造される負圧発生部材とインクタンクに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット記録分野では、インクを安定して保持し、記録手段に設けられたノズル等の吐出部からのインク漏れを防ぐために、負圧を発生する機構を有するインクタンクが知られている。
【0003】
負圧を発生させるための最も容易な方法の一つとしては、多孔質体などの毛管力を利用する方法が挙げられる。この方法におけるインクタンクは、インクタンク内部全体にインク貯蔵を目的として収納、好ましくは圧縮収納されたスポンジ等の多孔質体と、印字中のインク供給を円滑にするためインク収容部に空気を取り入れ可能な大気連通口とを含む構成となる。
【0004】
このような構成では、例えば特開平6−79882号公報などに開示されるように、多孔質体のかわりに繊維からなるインク吸収体を用いたものが知られている。また、インクタンクが吐出部と着脱可能な構成の場合は、インクタンクの吐出部へのインク供給口に、例えば特開平7−81083号に開示されるような繊維束からなるインク供給部材を設けることが知られている。
【0005】
このようなインク供給部材やインク吸収体などの繊維からなる負圧発生部材の製造方法としては、単純に繊維を筐体内部に挿入する方法や、積層したフェルトを打ち抜く方法が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した製造方法のうち、単純に繊維を筐体内部に挿入する方法ではインクの充填によって繊維が束状に収束してしまいインクを保持しきれなくなったり、積層したフェルトを打ち抜く方法では積層されたフェルト間でインク切れが起こるなど、安定したインク供給を阻害する恐れがあった。
【0007】
これに対し、本出願人は、特開平9−183236号公報において、所望の型内に繊維塊を挿入後、圧縮熱成形する方法を提案しており、この方法はインク吸収体が複雑な形状を有する場合特に効果的である。
【0008】
しかしながら、型内に繊維塊を挿入して、一つずつ製造するために、短時間で大量に製造することが難しく、特にインク供給部材などの単純な形状(例えば円柱形)では、負圧発生部材として安定したインク供給を阻害することなく、かつ、より一層生産効率の優れた製造方法が求められていた。
【0009】
繊維束によりインク供給部材などの負圧発生部材を形成する方法として、図14に示すように、ほぼ一方向に向いた長繊維を束ねて、樹脂性の結合剤(バインダー)により繊維束の外周部から硬化させる方法(特開平7−81080号公報に開示)がある。また、図15に示すように、シート状の繊維束(ウェブ)を複数枚積層した上でニードルパンチ法等により物理的に繊維同士を絡めて積層フェルトシートを作成し、これを打ち抜く方法がある。
【0010】
結合剤を用いる方法の場合、結合剤の含浸領域は繊維間に結合剤が含浸しているため、毛細管力が極端に高いか、まったくインクを通さない為、インクの供給が不能である。このように、結合剤が含浸している部分はインクを吸収しないので、インク収容効率が悪化する。したがって、インク供給部材として必要なインク流れを確保するためには、表層部の非吸収部分(結合剤の含浸領域部分)301を考慮して、インク流れ方向Aと垂直な面の断面積を大きくする必要がある。そして、これに伴ってインク供給部材の大型化を招く。なお、インクタンクに内蔵される吸収体として用いる場合にも、十分なインク吸収量を得るためには表層部の非吸収部分(結合剤の含浸領域部分)301を考慮して体積を大きくする必要があるため、やはりインク吸収体の大型化を招く。ひいては、インクタンクおよびインクジェット記録装置全体の大型化を招くおそれがある。
【0011】
結合剤の含浸していない中央領域302は、繊維同士が互いに固着されてはいない。すなわち、繊維同士の圧接力のみによって形状が維持されている。そのため、インク供給部材として使用する場合、図14に示すようにインクジェットヘッド(不図示)へインクを供給させるためのインク供給管303に押圧されると、結合剤で固定されていない中央領域302の繊維同士が滑りを起こし、図14に示すように変形を引き起こすおそれがある。さらに、大型の部材を形成すると、結合剤により固定されていない部分302が大きくなり、繊維同士の圧接力のみでは形状維持し得ず一部の繊維が脱落してしまうおそれがある。そのため、この方法でのインク吸収体形成には、大きさの制限がある。前記の通り、非吸収部分(結合剤の含浸領域部分)301が存在し、かつ大型化に限界があるため、多量のインク吸収が困難である。また、インク保持力を小さくしたい場合には、繊維密度を小さくする必要があるが、繊維密度が小さいと前記繊維同士の圧接力が小さくなるため、形状維持が困難になる。このように、インク保持力の調整が困難である。
【0012】
また、繊維同士が固着されていない部分302が存在するため、インク供給部材として利用する場合、ヘッド側供給管303に対する十分な反発力が得られない。これにより、ヘッド側供給管303との密着不良が生じ、インクがインクジェットヘッドに供給できず印字不良を引き起こす可能性がある。この対策として、インク供給部材300の上部にあるインク吸収体(図示せず)の反発力を利用しヘッド側供給管303とインク供給部材300との密着性を確保している。そのためには、ヘッド側供給管303を十分にインクタンク内へ挿入する必要があった。すなわち、図14に示すヘッド側供給管303を十分に挿入するのに必要なスペースが必要である。このような構成では、一般的に2〜4mm程度の長さの挿入スペースが必要である。その結果、ヘッド側供給管303が長くなるため、インクタンク交換時等にインクタンクからインクジェットヘッドへインクを供給するために行なわれる回復動作時のインク吸引量が増大し、さらに、インクジェット記録装置内に設けられている廃インク吸収体の大型化を招き、ひいてはインクジェット記録装置の大型化につながる。
【0013】
結合剤を用いずに繊維同士を固着するために、熱接着繊維を用いることも考えられるが、上述の一方向繊維においては繊維間に熱接着繊維の溶け出した樹脂が繊維間に入り込むとインク吸収性(毛細管力)を失うので、中心部の繊維はやはり熱接着による固着ではなく繊維同士の圧接力のみによって互いに保持される。従って、前記した結合剤を用いる場合と実質的に同様の構成となり、同様な課題が存在する。
【0014】
一方、図15に示すように積層フェルトシートを打ち抜く方法によると、繊維同士を絡めることにより形状を維持しているため、局所的な力を受けると物理的に絡まっている繊維の網目が開いてしまい所望のインク保持力が得られないおそれがある。これを回避するためにはインク供給部材にある程度の厚みを持たせる必要があった。これにより、インクタンク内にデッドスペースが生じ、このデッドスペースにインクが染み出してインク漏れを誘発したり、インクタンクの大型化を招くおそれがある。
【0015】
また、このような方法で製造する場合、一般的にはシートの積層枚数に限界があるため、あまり厚いシートの形成は困難である。従って、インクタンク内の吸収体として使用する場合、打ち抜き加工により形成した積層フェルトシート(インク吸収体)を複数枚重ねることにより、インクタンクの大きさに応じた所望の高さの吸収体を得ている。しかしこうすると、部品点数の増加に伴い作業工程が増加して製造コストが上昇したり、積層フェルトシート間のインク流通の信頼性が乏しくなるなどの問題がある。
【0016】
また、この負圧発生部材を、インクタンクとヘッドとをつなぐインク供給部材として使用すると、繊維方向Bがインク流れ方向Aと実質的に直交するため、インク供給時の流抵抗が大きくなる。十分なインク供給量を確保するためには、インク供給部材305を大面積にする必要があり、インク供給部材305の大型化に伴い、インクタンクの大型化を招く。このインク供給部材305の大型化に伴って、インク供給部材に当接されるヘッド側供給管303の断面積も大きくなるので、前記の例と同様に、インクタンク交換時等にインクタンクからインクジェットヘッドへインクを供給するために行なわれる回復動作時のインク吸引量が増大し、インクジェット記録装置内に設けられている廃インク吸収体が大型化し、ひいてはインクジェット記録装置の大型化につながる。
【0017】
また、図15に示すような丸い形状のインク供給部材305などをこの方法で形成すると、シートから打ち抜く際に切り捨てられる部分が多く、材料効率が悪く、製造コストの上昇にもつながる。
【0018】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、製造工程が簡易で生産性に優れるとともに、安定したインク供給を実現できる負圧発生部材を製造するための製造方法及び該製造方法により製造される負圧発生部材とインクタンクを提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明は、互いに融点の異なる2種類の熱可塑性合成繊維を有する負圧発生部材の製造方法において、合成繊維のスライバーを製造するスライバー製造工程と、スライバーを、高温雰囲気中を定速で通過させて、合成繊維のうちの最も低い融点以上かつ最も高い融点以下の温度に加熱する予備加熱工程と、予備加熱工程後のスライバーに対し熱風を吹きかけて、合成繊維のうちの最も低い融点以上かつ最も高い融点以下の温度に加熱するとともに、所望の絞り径を有するノズル内を定速度で通過させ、さらにノズル内を通過した繊維束を冷却した後、再度繊維束を加熱し、常温程度に保持されたノズル内を定速度で通過させることを複数回繰り返して繊維束を形成する繊維束形成工程とを含むことを特徴とする。
【0020】
さらに、スライバー製造工程と予備加熱工程との間に、スライバーをパイプ状部材に挿通して、スライバーの外形を整える予備整形工程を含む。
【0021】
これらの製造方法によれば、スライバーを用いて繊維束を連続的に形成できるため、特にインクジェット記録分野に最適な負圧を発生可能な負圧発生部材を容易に製造することができる。
【0022】
そして、予備加熱工程においてスライバーの繊維間の交点を融着することができるので、繊維束形成工程においてスライバーが引っ張り方向への変形を受けることが防止される。そして、加熱後に、常温程度に保持された、すなわち加熱温度に対して十分低い温度に保持されたノズルを通過することで、所望の断面形状となった繊維束の繊維間の交点のうち、表面に近い領域にある交点から確実に融着することができる。このため、所望の形状を確実に維持し、均一で、安定した負圧を発生することが可能な負圧発生部材を得ることができる。
【0023】
また、形成された繊維束を所望の長さに切断することで、筒状や角柱状の負圧発生部材を容易かつ連続的に形成することが可能であり、製造工程が簡易で生産性に優れており、インク吸収体やインク供給部材などの負圧発生部材を安価に提供することができる。
【0024】
パイプ状部材が、所望の絞り径よりも大径である導入口と、導入口と同程度の径を有する導出口と、導入口と導出口とを連通する貫通孔とを有することが好ましい。この場合、スライバーが、パイプ状部材の少なくとも導入口と導出口の2個所に外周部が当接しながら摺動するため、1回の挿通によって2回スライバーの表層部の繊維が方向づけされる。スライバーの内部にはあまり影響を及ぼさないので、スライバー表層部と内部との繊維方向の均一性に差が生じる。また、縮径されるのに応じて、スライバーの表層部の繊維密度が内部の繊維密度よりも密になる。
【0025】
予備加熱工程は、高温雰囲気中をスライバーを定速で通過させる工程であり、繊維束形成工程におけるスライバーの加熱、スライバーに対し熱風を吹きかけることによって行われる。予備加熱工程において熱風を吹きかける構成とすると、パイプ状部材に挿通された時点ではまだ繊維束があまりまとまっていないので、風によって繊維が乱れ、スライバー内に繊維分布の偏りが生じるおそれがある。一方、繊維束形成工程において、高温雰囲気中をスライバーを低速で通過させるようにすると、表層部の繊維が溶けてしまう、あるいはスライバー中心部まで加熱させるために装置が大型化するおそれがある。そこで、予備加熱工程においては、熱風を吹きかけるのではなく高温雰囲気中にさらすことによりスライバーを加熱し、繊維束形成工程においては、熱風を利用して短時間で十分にスライバーを加熱することにより、前記の問題を解決することができる。
【0026】
また、本発明のインクタンクは、中空のタンク本体部と、繊維束からなり繊維束の主たる繊維方向が鉛直方向に実質的に垂直になるようにタンク本体部に内蔵されている負圧発生部材とを有し、負圧発生部材が、表層部と、表層部に囲まれる内部とで、繊維方向の均一性および繊維密度の少なくとも一方が異なっているものであり、繊維同士が互いに融着している接合点が負圧発生部材の全域に亘って存在することにより、主たる繊維方向に実質的に直角な方向に加わる外力に対する負圧発生部材の強度が高められている、または、長手方向が主たる繊維方向に対して交差する方向に位置する繊維を含むことにより、繊維同士が互いに融着している接合点が負圧発生部材の全域に亘って存在するものである。
【0029】
繊維束が、捲縮された短繊維からなるものであると、繊維同士が互いに融着している接合点が全域に亘って存在する構成とすることが容易にできる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明を説明する。
【0031】
(第1実施例)
図1〜8は、本発明の負圧発生部材を製造する製造方法の一例を説明するための説明図である。
【0032】
図1に示すように、互いに異なる融点の2種類(2種類以上でもよい)の熱可塑性合成繊維のトウを切断した後、切断したトウを風送して梳綿機41を通す。すると、複雑に絡み合った繊維がほぐされ、繊維方向がほぼそろい、目付けの安定したシート状のウエブ1043に加工される。これをローラ42で束ねることで短繊維集合体であるスライバー43が製造される(S101)。本実施例では、ウェブ1043をローラ42で束ねているが、これはローラに限るものではなく、例えばリング状の部材中をウェブを通過させることでも容易にスライバー43を得ることができる。本実施例では、断面が図3(a)に示すような融点約132℃のポリエチレン繊維を鞘材1a、融点約180℃のポリプロピレン繊維を芯材1bとした芯鞘繊維のトウを用意し、スライバー43を製造した。
本実施例では、梳綿機41を経たスライバー43を直径70cm程度のケンスにコイル状に巻き取り所望の数のスライバーを束ねる。ここで、束ねるスライバーの数は、製造する繊維部材の種類によって異なり、インク吸収体を製造する場合では8本、インク供給部材では3本程度である。図2に示すように、束ねられたスライバーは、内径約90mm、長さ約25mmのリング70内を挿通される(S102)。リング70は、繊維の供給方向に交差する方向に、ストローク約20〜40mm、周波数2Hz程度で往復移動し、束ねられたスライバー1044の太さを安定させる。
【0033】
なお、芯鞘繊維としては、図3(a)で示すような同心円形状だけでなく、図3(b)に示すように芯材1bが鞘材1a内で偏倚していてもよい。また、図3に示すような芯鞘繊維のかわりに、ポリエチレン繊維とポリプロピレン繊維を混ぜ合わせた混紡繊維でもよい。合成繊維の材料としては上述のポリエチレン,ポリプロピレンに限ることなく他の材料でもよく、また使用する材料は融点の異なる2種類の熱可塑性合成繊維を用いていれば、他の材料が混じっていてもよい。このようにして製造されたスライバー43を、長さ約300mmのパイプ状部材71に、切断することなく連続して挿通する。図5に示すように、このパイプ状部材71は、両端部に内径が約60mmの導入口71aおよび導出口71bを有し、両者を連通する貫通孔71cの内径が約90mmである。このパイプ状部材71を通過する際に、繊維の表層部は直径約60mmと狭められた領域(導入口71aおよび導出口71b)を2回通過することになり、束ねられたスライバー1044の表層の繊維の方向が通過前に比べて束ねられたスライバー1044の移動方向により揃うようになる。束ねられたスライバー1044は、梳綿機41を通過して形成されているので繊維方向が一方向にある程度揃っているが、パイプ状部材71を通過する際に、移動方向と繊維の主方向が一致しているので、さらに繊維方向が揃えられる。特に、束ねられたスライバー1044の表層部は内部に比べてより揃ったものとなる。また、このパイプ状部材71を通過させることで、束ねられたスライバー1044の太さを安定させ、後述する下流側の予備加熱工程へ供給する繊維の量を安定させる働きがある。
【0034】
なお、本実施例ではこのパイプ状部材71は冷却水管72により水冷されており、後述する予備加熱工程時の熱が束ねられたスライバー1044を介して伝わったとしても、冷却水管72により冷やされるため、パイプ状部材71の端部等で束ねられたスライバー1044が溶融されることはない。また、このように冷却水管72を設けることで、後述する予備加熱工程のためのクリーンオーブン44に近接していても、所望の性能を発揮できるという利点がある。
【0035】
次に、このようにパイプ状部材71を通過した束ねられたスライバー1044を、加熱装置であるクリーンオーブン44を通すことで予備加熱工程を行なう(S104)。ここで、本実施例のクリーンオーブン44は、束ねられたスライバー1044の供給を受ける部分(上流側開口)及び後述する再加熱工程(繊維束形成工程)へ繊維を導出する部分(下流側開口)を除き閉空間となっており、クリーンオーブン44内の温度は上述のスライバー43を構成する熱可塑性合成繊維のうち、最も融点が低い材料の融点より高く、最も融点が高い材料の融点より低い温度となっている。本実施例ではクリーンオーブン44内を150〜155℃に保ち、下流側開口側に設けられた搬送ベルト47で束ねられたスライバー1044を所定の速度で移動させることでクリーンオーブン44内での加熱を行なっている。本実施例の場合、インクタンク用の吸収体の場合には10mm/sec.程度、インク供給部材の場合には15mm/sec.程度の移動スピードであり、クリーンオーブン44内の束ねられたスライバー1044の移動方向の長さは約700mmなので、およそ60秒程度加熱されることになる。本実施例では上流側開口部で直径約60mmだったスライバーが、下流側出口で直径約50mmとなった。
【0036】
この予備加熱工程では、高温の閉空間内を束ねられたスライバー1044が移動するため、束ねられたスライバー1044の表面はクリーンオーブン44の加熱温度と同程度となるが、中心部までその熱は十分には伝わらない。そのため、束ねられたスライバー1044表面の毛羽立ちが抑えられ、表層部の繊維相互間の接触点が熱融着する一方、内部の繊維は溶融せず繊維同士の接触点は接合せず自由に接離可能な状態を維持している。本実施例ではポリエチレン繊維が溶融し接着剤としての役割を果たし、束ねられたスライバー1044表層部の繊維では、芯材のポリプロピレン繊維の交点(接触点)が概略固定される。この結果、繊維束形成工程において束ねられたスライバー1044が引っ張り方向への変形を受けることが防止される。
【0037】
その後、少なくとも表層部の繊維相互間の交点が融着された束ねられたスライバー1044を、熱風炉74を通すことで再加熱を行なう(S105)。本実施例の熱風炉74は、前述のクリーンオーブン44の下流側開口に連続して設けられている。この熱風炉74は、束ねられたスライバー1044の移動方向の長さ約600mm、内径が約80mmの筒形状をなし、その筒の側壁に多数設けられた熱風穴から、繊維の移動方向と交差する方向に熱風を吹き付けるものである。この再加熱工程における加熱温度も、繊維間の交点を融着させる観点から、束ねられたスライバー1044を構成する熱可塑性合成繊維のうち、最も融点が低い材料の融点より高く、最も融点が高い材料の融点より低い温度であることが望ましい。本実施例では約140〜145℃程度の熱風を吹き付けている。この結果、熱風炉74の下流側端部での繊維束の太さは、およそ直径40mm程度となる。
【0038】
この再加熱工程では、スライバー表層部の繊維相互間の交点は既に融着されているので、熱風を吹き付けたとしても繊維が偏って融着することはない。加えて、スライバー表層部は繊維間の交点は融着されているものの、封止されているわけではなく、空気やインクを通過させることができるため、熱風を吹き付けることで内部への伝熱が効果的に行われる。その結果、スライバー内部の繊維間の交点についても融着可能な状態となっている。
この後、スライバー1044は、下流側に設けられた搬送ベルト47によりノズル46を通過させることで、繊維束48となる(S106)。ここで、本実施例では、ノズル46は熱風炉74に対して約10mm程度離れた領域に設けられているので、その温度はおよそ90〜100℃程度と、加熱温度に対して低くなっている。このように熱風炉74に隣接して設けられたノズル46を通過することで、所望の断面形状となるとともに、その状態で繊維束の繊維間の交点が確実に融着される。ここで、熱風炉74を通過してきたスライバー1044よりノズル46の内径は小さい(例えば内径30mm)ため、ノズル46を通過する際にはノズル46内にスライバー1044の表層部がこすられるので、その表層部の繊維は、その繊維の方向が通過前に比べて繊維束の移動方向により揃うようになる。このように、本実施例では、予備加熱工程前にパイプ状部材71により予め表層部の繊維方向をそろえた後、最終的な形状を形成するノズル46を通過させる際にも表層部の繊維方向をそろえており、いずれの工程とも、繊維束の内部に比べて表層部において繊維方向をより揃える効果がある。
【0039】
ノズル46を通過して形成された繊維束48は、その後大気中に放置されてその中心部まで完全に冷却されてから、カッター49で所望の長さに切断される(S107)ことにより、型くずれなどおこすことがない。このようにして、所望の負圧発生部材(インク供給部材やインク吸収体等)50を製造することができる。
【0040】
なお、ノズル46通過後の繊維束の断面形状はノズル46断面形状よりも若干大きいものとなるが、スライバー1044のノズル46の通過速度が速いと、遅い場合に比べノズル46断面形状よりも繊維束48の断面積がより大きくなる傾向がある。また、同一速度で同一ノズルを通過させた場合であっても、通過する回数が増えるほど、繊維束48の断面形状がノズル46断面形状に近くなってくる。そこで、必要に応じて、冷却後再加熱してノズルを通過させる工程を複数回繰り返してもよい。特にスライバーの径が、所望の繊維束の径に比べて大きい場合には、図6に示すように、複数のノズルを通過させる際に、ノズル80a、80b、80cの断面形状を80a、80b、80cの順に順次小さくすることが望ましい。なお、図6において、再加熱のための加熱装置等は省略して描いている。
以上、本実施例の要部について説明したが、上述の製造方法によれば、形成された繊維束48を所望の長さに切断することで、円柱状や、図7に示すような角柱状の負圧発生部材50を容易に形成することが可能であり、製造が簡単で生産性に優れている。従って、インク吸収体やインク供給部材などの負圧発生部材50を安価に提供することができる。なお、製造装置(特に加熱装置)によってはスライバーをすべて連続状態で処理いるのではなく、数メートル単位で切断した後、予備加熱工程以下の工程を行なってもよい。このようにすることで、各工程を分離して行うことが可能となる。
【0041】
(第2の実施例)
図8は、本発明の負圧発生部材を製造する製造方法の一例を説明するための説明図である。また、図9は本発明の負圧発生部材の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【0042】
図8において、互いに異なる融点の2種類(2種類以上でもよい)の熱可塑性合成繊維のトウを切断した後、切断したトウを風送して梳綿機41を通す。すると、複雑に絡み合った繊維がほぐされ、繊維方向がほぼそろい、目付けの安定したシート状のウエブに加工される。これをローラ42で束ねることで短繊維集合体であるスライバー43が製造される(S201)。
【0043】
本実施例では、第1の実施例と同様に、断面が図3(a)に示すような融点約132℃のポリエチレン繊維を鞘材1a、融点約180℃のポリプロピレン繊維を芯材1bとした芯鞘繊維のトウを用意し、スライバーを製造した。トウのかわりに短繊維塊を使用し、開繊工程を経た後梳綿機へ原料を供給してもよい。また、必要な量のスライバーを得るために、複数の梳綿機から得られるスライバーを必要な量だけ束ねてもよい。
【0044】
なお、芯鞘繊維としては、図3(a)で示すような同心円形状だけでなく、図3(b)に示すように芯材1bが鞘材1a内で偏倚していてもよい。また、図3に示すような芯鞘繊維のかわりに、ポリエチレン繊維とポリプロピレン繊維を混ぜ合わせた混紡繊維でもよい。合成繊維の材料としては上述のポリエチレン,ポリプロピレンに限ることなく他の材料でもよく、また使用する材料は融点の異なる2種類の熱可塑性合成繊維を用いていれば、他の材料が混じっていてもよい。このようにして製造されたスライバー43を、加熱装置44を通過させることにより予備加熱を行なう(S202)。加熱装置の予備加熱温度は、スライバーを構成する熱可塑性合成繊維のうち、最も融点が低い材料の融点より高く、最も融点が高い材料の融点より低い温度であることが望ましい。このように予備加熱処理を行った後、スライバーを大気中に放置して冷却する(S203)。これにより、スライバー表面の毛羽立ちを抑えるとともに、スライバーの表層部の繊維同士の交点(接触点)を熱融着させることができる。本実施例ではポリエチレン繊維が溶融し接着剤としての役割を果たし、芯材のポリプロピレン繊維の交点が概略固定される。この結果、繊維束形成工程においてスライバーが引っ張り方向への変形を受けることが防止される。尚、冷却工程は必須のものではなく、予備加熱時の加熱温度によっては後述する再加熱工程を連続的に行ってもよい。
【0045】
なお、この予備加熱工程では、スライバーに対して熱風を吹き付けると風の強さによってはスライバーが偏って融着し繊維密度が均一な負圧発生部材を得られなくなる恐れがあるため、本実施例では、加熱装置内を155℃に保ち、その中を搬送ベルト47でスライバーを所定の速度で移動させることで加熱を行なった。
【0046】
その後、少なくとも表層部の繊維相互間の交点が融着されたスライバーを、前述の加熱装置とは異なる加熱装置45を通過させ、再加熱する(S204)。この再加熱工程における加熱温度も、繊維間の交点を融着させる観点から、上述のスライバーを構成する熱可塑性合成繊維のうち、最も融点が低い材料の融点より高く、最も融点が高い材料の融点より低い温度であることが望ましい。この再加熱工程では、後述するノズルを通過させる際にスライバー内部の繊維間の交点についても融着させるために、予備加熱装置のように所定の温度に保たれた空間内を一定速度でスライバーを移動させることで加熱を行なう場合には、スライバーが加熱空間を通過する時間を長くとることが望ましい。なお、再加熱の状態ではスライバー表層の繊維相互間の交点は融着されているので、加熱時間を長くするかわりに、熱風を吹き付けることで短時間でスライバー内部まで加熱することができる。本実施例では、140℃程度の熱風を吹き付けることで再加熱を行なっている。
【0047】
再加熱されたスライバーは、搬送ベルト47により常温(25℃)程度の温度に保持されたノズル46を通過させることで、繊維束48となる(S205)。ここで、ノズルの温度を加熱装置44、45の加熱温度(約150℃程度)に対して十分低く維持することで、ノズルを通過して所望の断面形状となった繊維束の繊維間の交点のうち、表面に近い領域にある交点から確実に融着することができる。その結果、所望の形状を確実に維持し、均一で、安定した負圧を発生することが可能な負圧発生部材を得ることができる。
【0048】
ここで、ノズルを温度調節しているのは、加熱されたスライバーと常時接触しているノズルの温度が上昇し、成形性が悪化する恐れがあるためである。本実施例では水冷によりノズルの温度をほぼ常温程度(25℃±10℃)に保っている。この調節温度は、使用する繊維材料の最も低い融点よりも十分低ければよい。ノズルを通過して形成された繊維束48は、その後大気中に放置することでその中心部まで完全に冷却され、カッター49で所望の長さに切断される(S206)ことで、型くずれなどおこすことなく、インク供給部材50等の負圧発生部材を製造することができる。なお、ノズル通過後の繊維束の断面形状はノズル断面形状よりも大きいものとなるが、繊維束のノズルの通過速度が速いと、遅い場合に比べノズル断面形状よりも繊維束の断面積がより大きくなる傾向がある。また、同一速度で同一ノズルを通過させた場合であっても、通過する回数が増えるほど、繊維束の断面形状がノズル断面形状に近くなってくる。そこで、必要に応じて、冷却後再加熱してノズルを通過させる工程を複数回繰り返してもよい。特にスライバーの径が得ようとする繊維束の径に比べて大きい場合には、図3に示すように、複数のノズルを通過させる際に、ノズル80a、80b、80cの断面形状を順次小さくすることが望ましい。なお、図3において、再加熱のための加熱装置は省略して描いている。
【0049】
以上、本発明の要部について説明したが、上述の製造方法によれば、形成された繊維束を所望の長さに切断することで、筒状や角柱状の負圧発生部材を容易に形成することが可能であり、製造工程が簡易で生産性に優れている。従って、インク吸収体やインク供給部材などの負圧発生部材を安価に提供することができる。なお、製造装置(特に加熱装置)によってはS201で製造されたスライバーを数メートル単位で切断した後、S202で示される予備加熱以下の工程を行なってもよい。このようにすることで、各ステップを分離することが可能となるので、例えば予備加熱工程と再加熱工程とで使用する加熱装置を共通にすることができる。
【0050】
また、上述の実施例ではトウではなくスライバーを用いているため、上述のノズルを通過させて繊維束を形成する工程において、インクジェット記録装置に最適な負圧を発生可能な負圧発生部材となる繊維束を容易に製造することができる。本発明者らの検討によれば、繊維径が10μm〜50μmのスライバーを用意するとともに、維束形成工程において、繊維密度を0.05g/cm〜0.40g/cmとすることで、製造された負圧発生部材を用いたインク吸収体を備えるインクタンクが、数10mmAq.レベルの負圧を発生させることができることを確認できた。
【0051】
図10(a)、(b)に、上述の製造方法により製造されたインク供給部材50及びインク吸収体60の一例を示す。本実施例では、インク吸収体60及びインク供給部材50の繊維材料としてオレフィン系の材料を使用していることで、対薬品性にすぐれ、使用するインクにより保存中に溶出物などが発生する恐れが少なく、インクを長期にわたり安定した状態で保持することが可能である。また、インク吸収体60及びインク供給部材50のいずれも、その表層部50a,60aは、中心部に比べて毛管力がやや高いものの、繊維方向に関しては繊維密度が局所的に高い領域が見られなかった。
【0052】
図10(a)、(b)に示すインク供給部材及びインク吸収体を備えたインクタンクの断面図を図10(c)に示す。図10(c)において、筐体10には筐体内部を大気に連通するための大気連通口11と筐体内部に収容される液体(インク)を外部に供給するためのインク供給口12とが設けられており、インク吸収体60が収納されている。そして、インク供給口とインク吸収体との間に、インク吸収体60よりも毛管力の高いインク供給部材50が設けられている。
【0053】
インクタンクに挿入される負圧発生部材の繊維方向とインク供給方向は、本実施形態に限られることはなく、繊維方向とインク供給方向とが一致しなくともよいが、本実施例のインクタンクでは、インク吸収体及びインク供給部材の繊維方向をインクタンクのインク供給方向とそろえているため、安定したインク供給を阻害するような不要な繊維密度の偏りといった、製品によるばらつきが生じることがより少なくなっている。
【0054】
なお、上述のインクタンクにおいて、筐体10と、インク吸収体60及びインク供給部材50をいずれもオレフィン系の材料で形成することで、インクタンクの使用後に回収して、原料として再利用することがより容易になる。
【0055】
(第3実施例)
図11には、インクタンクに、前記したような繊維束からなる本発明の負圧発生部材を収容した他の実施例が示されている。
【0056】
インクタンクは、液体を吐出口から吐出して記録を行なう記録ヘッド部等の外部へインク(処理液などの液体を含む)を供給するインク供給口82を有するタンク本体部81と、タンク本体部81内に収納されるポリプロピレンとポリエチレン等の混紡繊維により構成される負圧発生部材(インク吸収体)83とを備えている。タンク本体部81は、内部に収納した負圧発生部材83と外気とを連通させるための大気連通口85を備えている。インク供給口82にはインク供給部材86が取り付けられている。
【0057】
本実施例のインク吸収体83について、さらに詳細に説明する。本実施例の負圧発生部材83は、ポリプロピレンとポリエチレンの混紡繊維により構成されており、本実施例のインク吸収体83を構成する繊維1本1本の長さは60mm程度である。この繊維の断面形状は図3に示すように、略同心円形状で、相対的に融点の低いポリエチレンを鞘材1aとして、相対的に融点の高いポリプロピレンを芯材1bとして形成されたものである。本実施例のインク吸収体83は、このような短繊維からなる繊維塊を梳綿機で繊維方向をそろえた後に、加熱し(加熱温度は、相対的に融点の低いポリエチレンの融点より高く、相対的に融点の高いポリプロピレンの融点より低い温度が望ましい)、所望の長さに切断することによって製造されている。
【0058】
図11(c)に示すように、それぞれの繊維は主として梳綿機で整えられた長手方向(F1)に連続的に配列されるとともに、それと直交する方向(F2)については、加熱により各繊維同士の接触点(交点)の一部が融着することでつながりを有する構造となっている。このため、インク吸収体83は図中F1方向に引っ張りを加えても壊れにくいが、図中F2方向に引っ張ると繊維間の結合部が破壊されることでF1方向の場合に比べると分離し易い。
【0059】
図11(c)に示すような捲縮された短繊維が、ある程度繊維方向が揃った状態で加熱されることにより、図11(d)に示すような状態となる。ここで、図11(c)で繊維方向に複数の短繊維が重なっていた領域αは、図11(d)に示すように交点が融着され、結果として図11(b)に示すF1方向に対して切れにくくなる。また、捲縮された短繊維を用いることで短繊維の端部領域(図11(c)に示すβ,γ)は、図11(d)に示すように3次元的に他の短繊維と融着したり(β)、そのまま端部として残ったり(γ)する。加えて、すべての繊維が全く同一の方向に揃っているわけではないので、はじめから他の短繊維に対して交差するように傾いて接触している短繊維(図11(c)に示すε)は、加熱後はそのまま融着される(図11(d)に示すε)。このようにして、F2方向に対しても従来の一方向繊維束と比べて強度の強い繊維が形成される。
【0060】
一方向繊維束からなる負圧発生部材では、繊維間の隙間により毛管力を発生させるが、本実施例のインク吸収体83では、このように主となる繊維方向(F1)が存在するので、主となる繊維方向(F1)と、それに直交する繊維方向(F2)とでは、インクの流動性及び静止状態での保持の仕方が異なってくる。
【0061】
本実施例では、このようなインク吸収体83を、主たる繊維方向(F1)が、鉛直方向に対して実質的に垂直になるように配置している。そのため、負圧発生部材内の気液界面は主たる繊維方向F1の方向と実質的に平行になり、環境変化による変動が起こった場合も、その気液界面は略水平方向(鉛直方向に実質的に直角な方向)を維持するため、環境の変動が収まればその気液界面は元の位置に戻る。従来のように環境変化のサイクル数に応じて気液界面Lの鉛直方向に対するばらつきが増大することはない。
【0062】
インク吸収体83の主たる繊維方向をこのように定めることにより、気液界面の重力方向に対するばらつきを抑えることができる。
【0063】
なお、ここで、繊維の配列方向は、鉛直方向から僅かでも傾いていれば、理論上はわずかでも上述の効果を奏するが、実用上は水平面に対しておよそ±30度の範囲にある場合、明確な効果が確認できた。従って、「鉛直方向に対して実質的に垂直」または「略水平」という表現は、本明細書中では上述の傾きをも含むものとする。
【0064】
また、インクを消費する際、インクと気体との界面が略水平方向に安定して減少していくので、複数の同種のタンクを搭載する場合、供給口の位置を底面内で各タンク共通である必要はなく、自由に配置することができる。例えば、一つは図11(e)に示すように底面の中央部に、残りは図11(f)に示すように底面のコーナー部に配置したとしても、各タンクによるインク供給のばらつきの発生は抑制される。
【0065】
本発明によると、積層フェルトシートを用いる場合に比べて、比較的厚い負圧発生部材を形成できるので、インクタンク用のインク吸収体を一部材で構成することができる。従って、部品点数および工程数の増加を防ぎ、製造コストを低く保ち、インク流通の信頼性を確保することができる。
【0066】
(第4実施例)
図12には、インクタンクと記録ヘッド部とを連結する、本発明のインク供給部材が示されている。
【0067】
本実施例は、第3の実施例と同様なインクタンク、すなわちインク供給口を有するタンク本体部と、タンク本体部内に収納される負圧発生部材と、タンク本体部に設けられた大気連通口とを備えているインクタンクの、インク供給口に取り付けられるインク供給部材90に関する。
【0068】
本実施例では、このインク供給部材90が、前記各実施例と同様な繊維束からなり、その主たる繊維方向Bが、インク供給時の流れ方向A(図12上下方向)と一致するように配置される。繊維束は、第3の実施例のインクタンク内の吸収体(負圧発生部材)と同様に、ポリプロピレンとポリエチレンの混紡繊維である約60mm程度の捲縮された短繊維からなる。そしてこの短繊維の繊維方向をそろえた後に、加熱し(加熱温度は、相対的に融点の低いポリエチレンの融点より高く、相対的に融点の高いポリプロピレンの融点より低い温度が望ましい)、所望の長さに切断することによって製造されている。
【0069】
本実施例のインク供給部材90は、捲縮され、かつある程度の方向性を持った短繊維からなり、それぞれの繊維は主として梳綿機で整えられた長手方向に連続的に配列されるとともに、それと直交する方向については、加熱により繊維間の交点の一部が融着することでつながりを有する構造となっている。すなわち、加熱により繊維同士がそれぞれの接触点(交点)で確実に融着しており、実質的に同一の断面形状を連続的に有する柱状の部材が形成できる。
【0070】
このように、本発明のインク供給部材90は、捲縮されかつある程度の方向性を持った短繊維を用いているので、繊維同士が3次元的に絡み合い、加熱時には各繊維の接触点(交点)のみが接着されるので、すべての領域においてインク保持層が均一に形成でき、インク供給部材90全体がインク供給路として利用できる。
【0071】
また、繊維方向が一方向にある程度揃えられているので、主たる繊維方向Bをインク流れ方向Aに一致させることにより、低い流抵抗のインク供給部材90が得られる。本発明によると、流抵抗が小さくインク供給効率がよいため、流れ方向の断面積が小さい小型のインク供給部材90でも十分なインク供給量が確保できる。そのため、インク供給部材90に圧接されるヘッド側供給管91の細径化が可能となる。また、繊維同士が各接触点(交点)で確実に固着されているので、従来のようにヘッド側供給管91の挿入によるインク供給部材90の変形量が小さく、インク流れ方向Aの繊維の固着強度が、垂直方向に比べて高いので、ヘッド側供給管91の当接量を小さくしても十分な反発力を確保できる。本実施例においては、0.5〜1.5mm程度の挿入代で確実なインク供給性能を得ることができた。従って、ヘッド側供給管91の長さを短くすることができる。このように、ヘッド側供給管91の細径化および短縮が可能なので、インクタンク交換時等にインクタンクから記録ヘッド部へインクを供給するために行なわれる回復動作時のインク吸引量が少なくでき、インクジェット記録装置内に設けられる廃インク吸収体の小型化が可能になり、インクジェット記録装置の小型化が達成できる。
【0072】
また、本実施例では、各繊維同士が接触点(交点)で確実に固着されているので、局所的な力を受けても、形成されている繊維骨格が崩れにくく、従来例のようにインク供給部材90を厚くしなくても、所望のインク保持力を確保することができる。これにより、インクタンク内のデッドスペースも小さくできるので、インクタンクの小型化や、インク漏れに対する信頼性向上が達成できる。
【0073】
このように、本発明によると、インクタンクおよびインクジェット記録装置の小型化が図れる。
【0074】
また、ノズル形状に応じて任意の断面形状を連続的に有する柱状の部材が形成できるので、材料歩留まりが100%近くまで向上でき、製造コストの低減につながる。
【0075】
(第5実施例)
本実施形態においては、インク供給部材の配置と主たる繊維方向との関係に関して、第4実施例と相違している。そこで、この相違点についてのみ説明し、第4実施例と同様の構成については説明を省略する。
【0076】
図13に示すように、本実施例では、インク供給部材95が、前記各実施例と同様な繊維束からなり、その主たる繊維方向Bが、インク供給時の流れ方向Aと実質的に直交するように配置される。繊維方向が一方向にある程度揃えられており、主たる繊維方向Bをインク流れ方向Aに実質的に直交させることにより、図示しないヘッド側供給管に圧接される際に、インク供給部材95の強度が強いので、第4実施例の形態に比べて変形しにくい。また、図示しないインクタンクのインク吸収体内のインクが消費されてインク吸収部材内に気液界面が位置する場合に、この気液界面が主たる繊維方向Bに沿って略水平となる。この気液界面は、環境変動等に影響されず鉛直方向に対してばらつきを生じず、安定して移動するので、インク残りを少なく抑えてインクを十分に使いきるために効果的である。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、スライバーを用いて繊維束を形成しているため、特にインクジェット記録分野に最適な負圧を発生可能な負圧発生部材を容易に製造することができる。
【0078】
そして、予備加熱工程においてスライバーの繊維間の交点を融着することができるので、繊維束形成工程においてスライバーが引っ張り方向への変形を受けることが防止される。そして、加熱後に、常温程度に保持された、すなわち加熱温度に対して十分低い温度に保持されたノズルを通過することで、所望の断面形状となった繊維束の繊維間の交点のうち、表面に近い領域にある交点から確実に融着することができる。このため、所望の形状を確実に維持し、繊維方向に関して均一で、安定した負圧を発生することが可能な負圧発生部材を得ることができる。
【0079】
また、形成された繊維束を所望の長さに切断することで、筒状や角柱状の負圧発生部材を容易に形成することが可能であり、製造工程が簡易で生産性に優れており、インク吸収体やインク供給部材などの負圧発生部材を安価に提供することができる。
【0080】
予備加熱工程前に、スライバーがパイプ状部材を通過し、このパイプ状部材が、所望の絞り径よりも大径である導入口と、導入口と同程度の径を有する導出口と、導入口と導出口とを連通する貫通孔とを有する場合、スライバーが、パイプ状部材の少なくとも導入口と導出口の2個所に外周部が当接しながら摺動するため、1回の挿通によって2回スライバーの表層部の繊維が方向づけされる。スライバーの内部にはあまり影響を及ぼさないので、スライバー表層部と内部との繊維方向の均一性に差が生じる。また、縮径されるのに応じて、スライバーの表層部の繊維密度が内部の繊維密度よりも密になる。
【0081】
また、予備加熱工程が、高温雰囲気中をスライバーを低速で通過させる工程であり、繊維束形成工程におけるスライバーの加熱が、スライバーに対し熱風を吹きかけることによって行われることが好ましい。予備加熱工程において熱風を吹きかける構成とすると、パイプ状部材に挿通された時点ではまだ繊維束があまりまとまっていないので、風によって繊維が乱れ、スライバー内に繊維分布の偏りが生じるおそれがある。一方、繊維束形成工程において、高温雰囲気中をスライバーを低速で通過させるようにすると、表層部の繊維が溶けてしまうおそれがある。そこで、予備加熱工程においては、熱風を吹きかけるのではなく高温雰囲気中にさらすことによりスライバーを加熱し、繊維束形成工程においては、熱風を利用して短時間で十分にスライバーを加熱することにより、前記の問題を解決することができる。
【0082】
繊維束が、捲縮された短繊維からなるものであると、繊維同士が互いに融着している接合点が全域に亘って存在する構成とすることが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の負圧発生部材を製造する製造方法の一例のスライバー製造工程を説明するための説明図である。
【図2】本発明の負圧発生部材を製造する製造方法の一例のリング通過工程以降の工程を説明するための説明図である。
【図3】(a),(b)はそれぞれ本発明に用いられる繊維の構成の一例を示す断面図である。
【図4】図1,2に示す負圧発生部材の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】図2のパイプ状部材の断面図である。
【図6】本発明の負圧発生部材を製造する製造方法の変形例を説明するための説明図である。
【図7】本発明の負圧発生部材を製造する製造方法の他の変形例を説明するための説明図である。
【図8】本発明の負圧発生部材を製造する製造方法の他の例を説明するための説明図である。
【図9】図8に示す負圧発生部材の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図10】(a),(b)はそれぞれ本発明の負圧発生部材の製造方法により製造されたインク供給部材及びインク吸収体の一例を示す概略斜視図であり、(c)は本発明の負圧発生部材の製造方法により製造されたインク供給部材とインク吸収体とを備えたインクタンクの断面図である。
【図11】(a)は本発明のインクタンクの一例を示す断面図であり、(b)はその繊維の拡大図、(c)は加熱前の繊維のさらなる拡大図、(d)は加熱後の繊維のさらなる拡大図、(e)はインクタンクの一例の底面図、(f)はインクタンクの他の例の底面図である。
【図12】(a)は本発明のインク供給部材の一例を示す概略斜視図、(b)はその断面図、(c)はそのインク供給管が押圧された状態を示す断面図、(d)はインク供給管が押圧された後、インク供給管が離脱された状態を示す断面図である。
【図13】本発明のインク供給部材の他の例を示す概略斜視図である。
【図14】(a)は従来のインク供給部材の一例の概略斜視図、(b)はその断面図、(c)はそのインク供給管が押圧された状態を示す断面図、(d)はインク供給管が押圧された後、インク供給管が離脱された状態を示す断面図である。
【図15】(a)は従来のインク供給部材の他の例の概略斜視図、(b)はその断面図、(c)はそのインク供給管が押圧された状態を示す断面図、(d)はインク供給管が押圧された後、インク供給管が離脱された状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1a,1b 繊維
10 筐体
11 大気連通口
12 インク供給口
20 インクタンク
41 梳綿機
43 スライバー
44 加熱装置(クリーンオーブン)
45 加熱装置
46 ノズル
48 繊維束
49 カッター
50 インク供給部材(負圧発生部材)
60 インク吸収体(負圧発生部材)
50a,60a 表層部
70 リング
71 パイプ状部材
71a 導入口
71b 導出口
71c 貫通孔
72 冷却水管
74 熱風炉
80a,80b,80c,80d,80e ノズル
81 タンク本体部
82 インク供給口
83 インク吸収体(負圧発生部材)
85 大気連通孔
86 インク供給部材
90 インク供給部材(負圧発生部材)
91 ヘッド側供給管
95 インク供給部材(負圧発生部材)
A インク流れ方向
B 主たる繊維方向

Claims (7)

  1. 互いに融点の異なる2種類の熱可塑性合成繊維を有する負圧発生部材の製造方法において、
    前記合成繊維のスライバーを製造するスライバー製造工程と、
    該スライバーを、高温雰囲気中を定速で通過させて、前記合成繊維のうちの最も低い融点以上かつ最も高い融点以下の温度に加熱する予備加熱工程と、
    該予備加熱工程後のスライバーに対し熱風を吹きかけて、前記合成繊維のうちの最も低い融点以上かつ最も高い融点以下の温度に加熱するとともに、所望の絞り径を有するノズル内を定速度で通過させ、さらに前記ノズル内を通過した繊維束を冷却した後、再度繊維束を加熱し、常温程度に保持されたノズル内を定速度で通過させることを複数回繰り返して繊維束を形成する繊維束形成工程と、
    を含むことを特徴とする負圧発生部材の製造方法。
  2. 前記スライバー製造工程と前記予備加熱工程との間に、前記スライバーをパイプ状部材に挿通して、前記スライバーの外形を整える予備整形工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の負圧発生部材の製造方法。
  3. 前記パイプ状部材が、前記所望の絞り径よりも大径である導入口と、該導入口と同程度の径を有する導出口と、該導入口と該導出口とを連通する貫通孔とを有することを特徴とする請求項2に記載の負圧発生部材の製造方法。
  4. 前記繊維束形成工程において、通過させるノズルの内径が順次小さくなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の負圧発生部材の製造方法。
  5. 前記スライバー製造工程において、繊維径が10μm〜50μmのスライバーを用意するとともに、前記繊維束形成工程において、繊維密度を0.05g/cm3〜0.40g/cm3とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の負圧発生部材の製造方法。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の負圧発生部材の製造方法により製造される負圧発生部材であって、
    前記合成繊維としてオレフィン系の樹脂を用いることを特徴とする負圧発生部材。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の負圧発生部材の製造方法により製造される負圧発生部材が、繊維束の主たる繊維方向が略水平になるように、中空のタンク本体部に内蔵されていることを特徴とするインクタンク。
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