JP3610164B2 - 光ディスク装置の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク上の情報トラックにレーザ光を照射して情報の記録や再生を行う光ディスク装置に係り、特にレーザ光の照射位置の制御を行う制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光ディスク装置は、集光されたレーザ光を光ディスクの表面(記録面)に照射して、情報の記録や再生を行っており、レーザ光の照射位置を光ディスク上に正しく位置決めすることが重要になる。この正しい位置決めは、対物レンズで集光したレーザ光がディスク表面に正しく焦点を結ぶよう制御するフォーカスサーボと、レーザ光が光ディスク上の情報トラックに追従するよう制御するトラッキングサーボとにより行われている。
【0003】
例えば、フォーカスサーボは、焦点のずれ量をフォーカスエラー信号として検出し、検出された焦点ずれがなくなるようにフォーカスアクチュエータを駆動することにより行う。この動作は、通常、フィードバック制御と称されている。トラッキングサーボにおいても、トラッキングのずれ量をトラッキングエラー信号として検出し、誤差がなくなるようにトラッキングアクチュエータを駆動することにより制御が行われる。
【0004】
これらのサーボ動作で使われるエラー信号の検出は、フォーカス若しくはトラッキング状態の変化により反射光の強度分布に変化が生じるように光学系を構成し、反射光を受光面を複数に分割したフォトディテクタで受光して、各分割面ごとの光電流の加減算を行い求めるのが一般的である。これらエラー信号の検出法や、制御系の構成や動作については、例えば「光ディスク技術」(尾上守夫監修、ラジオ技術社)の第1章で詳しく説明されており、ここでの説明は省略する。
【0005】
また光ディスク装置では、情報の読出し(リード),消去(イレース),書き込み(ライト)の動作モード毎に光パワーが異なっているため、フォトディテクタで検出される光電流もこれらの動作モード毎に変化している。
【0006】
さらに、使用する光ディスクによっても反射率にばらつきがあり、これが原因となって光電流が変わるため、光電流を基準とせずに、エラー信号の振幅(感度)を一定にそろえる、AGC(Auto Gain Control)回路が用いられる。これは、フォトディテクタの光電流の差信号(エラー信号に相当するもの)を、和信号で割り算することにより行うのが一般的である。このAGC回路は、例えば特開平6−36303号公報等で詳しく開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、データのリード時には、レーザのノイズ低減を行うために高周波重畳(レーザの駆動電流に高周波信号を重畳し、レーザの発光状態をマルチモードにする)が行われるが、データのライト/イレースの際には、この動作を停止する。このため、高周波重畳のスイッチング動作の遅れにより、リードとライト/イレースの遷移の際にリードパワーであるにもかかわらず、高周波重畳が行われない期間が発生し、このときにレーザが消灯してしまう問題がある。つまり、高周波重畳を行うと駆動電流の動作点が下がるため、リード発光状態から高周波重畳を中止するとレーザは消灯してしまうのである。
【0008】
従って、トラッキング動作中であっても、データリード状態からライト/イレース状態へ、あるいはその逆に移行する際に、一時的にレーザの消灯期間が発生し、このときAGC回路がゲインを上げてエラー信号にオフセットが発生する場合があり、このオフセットの発生によってトラッキングサーボが乱れる場合もある。
【0009】
このようにAGC回路を使用して、エラー信号を検出し制御を行う場合には光量が少ない状態で発生するエラー信号のオフセットにより、サーボ系が誤動作する可能性があり、フォーカス引き込みの失敗、あるいは、リードとライト/イレースの遷移時のトラッキングの乱れ、といった問題が発生する可能性がある。
【0010】
特に、広い光電流範囲に対応し小電流でも動作できるよう設計されたAGC回路や、装置動作の高速化のためにエラー信号の帯域を高くしたAGC回路など、高性能なAGC回路ほど、このような問題が発生しやすい。
【0011】
そこで本発明は、小電流、高帯域に対応して設計されたAGC回路を使用しても安定したフォーカス引き込み動作及びトラッキング動作を行うことが可能な光ディスク装置の制御装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、光ディスクに対し照射したレーザ光の、前記光ディスク上の情報トラックに対する位置を変化させるトラッキングアクチュエータと、前記レーザ光の照射位置と前記情報トラックとの位置ずれを、複数のフォトディテクタで前記レーザ光の反射光を受光した光電流の差として検出し、この差を光電流の和で割り算するAGC処理を行ってトラッキングエラー信号として出力するトラッキングエラー信号検出手段と、前記トラッキングエラー信号の代替信号を生成する代替信号発生手段と、前記トラッキングエラー信号、または前記代替信号のどちらか一方を選択し出力する選択手段と、前記レーザ光の光源となる半導体レーザの駆動電流に高周波を重畳する高周波重畳手段と、を有し、前記選択手段の出力に基づいた信号を前記トラッキングアクチュエータに帰還して前記レーザ光の照射位置が前記情報トラックに追従するよう制御を行う光ディスク装置の制御装置において、少なくとも前記高周波重畳手段の動作/非動作の遷移時、前記選択手段が前記代替信号を選択する光ディスク装置の制御装置を提供する。
【0013】
以上のような構成の光ディスク装置の制御装置は、高周波重畳のスイッチング動作遅れでレーザが消灯し、トラッキングエラー信号が乱れる期間は、代替信号により補間を行った後、トラッキングサーボを行うため、レーザ消灯期間に発生するトラッキングエラー信号のオフセットによりトラッキング動作が乱れることはなくなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の説明に先駆けて開発された参考例について説明する。
図1は、前記参考例としての制御装置を含む、光ディスク装置の構成を示す図である。ここで図1は、制御装置に係る特徴部分のみを示すものとする。
【0015】
この光ディスク装置は、情報を記録する光ディスク1と、この光ディスク1を定回転させるためのスピンドルモータ2と、レーザ光4を集光するための対物レンズ3と、対物レンズ3や反射ミラー等を搭載し移動可能なキャリッジ5と、前記対物レンズ3の位置をフォーカス方向(X方向)に移動させるためのフォーカスアクチュエータ6と、光源となる半導体レーザやフォトディテクタを含む光学系7と、フォーカスエラー信号(FES)を検出するためのFES検出回路(AGC回路)8と、フォーカスサーボのための位相補償回路9と、フォーカスサーボをオン/オフするためのループスイッチ10と、前記フォーカスアクチュエータ6を電流駆動するためのフォーカスドライバ11と、これらの構成部位の全体の動作を制御するコントローラ12とで構成される。
【0016】
前記コントローラ12は、内蔵するA/DコンバータによりFES検出回路8が出力するフォーカスエラー信号FESをモニタすることが可能であり、また、D/Aコンバータからはフォーカスサーチ信号FOSRCHをループスイッチ10に出力し、またこのループスイッチ10は、ポートからの制御信号FOCUS_ONにより切換制御が行なわれている。
【0017】
図2を参照して、参考例の制御装置の動作について説明する。
前記コントローラ12は、電源が投入されるか、光ディスク1がセットされると、その光ディスク1を所定回転数で回転させて、光学系7に含まれる半導体レーザを所定の出力で発光させてから、フォーカス引き込みの動作を開始する。このフォーカス引き込みの動作は、フォーカスエラー信号FESの振幅をチェックするキャリブレーション期間と、実際にフォーカスサーボをオンするタイミングを探してサーボをオンするフォーカス引き込み期間との大きく2つの期間に分かれる。
【0018】
前記キャリブレーション期間では、コントローラ12は、FOCUS_ON信号をLレベルとし、ループスイッチ10をフォーカスサーチ信号FOSRCHの側に切換え、図2に示すようなFOSRCH信号をFODRV信号として、フォーカスドライバ11に入力させる。このフォーカスドライバ11は、FOSRCH信号に基づき、フォーカスアクチュエータ6をX方向に上下駆動する。このとき駆動する幅は、機械的な公差や光ディスクの面ぶれの幅よりも十分大きな値であるため、この動作中に必ず合焦点を通過し、そのときにFES信号が出力される。また、前述したように、合焦点以外でも、光量が少ない場合にはFES信号が値を持つ場合があり、図2に示すように合焦点以外の位置でもFES信号が現れる。
【0019】
前記コントローラ12は、このキャリブレーション期間に、FES信号の振幅を求める。これは、たとえAGC回路8を使用しても、使用する光ディスクが変わるとFES信号の振幅が多少変化するためである。キャリブレーション期間には、FES信号の振幅をA/Dコンバータでモニタすることにより求め、その振幅に対して、2つのレベルの閾値thlvl1とthlvl2を決定する。本実施形態においては、閾値thlvl1をピーク値の50%、閾値thlvl2をピークの25%とした場合を例とする。
【0020】
次にフォーカス引き込み期間には、コントローラ12は、やはりFOSRCH信号をスイープしながら、キャリブレーション期間に決定した閾値に基づいて、フォーカスサーボをオンする(サーボループを閉じる)タイミングを探す。このコントローラ12は、FES信号をA/D変換しながらモニタし、閾値と比較しながら、内部に持つタイマを用いて、FES信号の値が一旦、閾値thlvl1を越えてから減少し、閾値thlvl2を下回るまでの時間を測定する。
【0021】
そして、この時間が予め設定された時間の範囲内に入っていた場合には、FOCUS_ON信号をHレベルに変化させ、フォーカスサーボループを閉じる。尚、FOCUS_ON信号がHレベルとなるタイミングは、必ずFES信号が閾値thlvl2のレベルを下回った時になる。ここで、タイマで測定された時間に対する判定の範囲を、例えば、100μs以上で、2ms以下などと設定しておけば、合焦点以外で発生したフォーカスエラー信号は、その変化が比較的緩やかでタイマで測定される時間が10msを越えることが多いため、誤ってサーボループを閉じてしまうことはなくなる。なお、判定の範囲に下限を設けるのは、ノイズなどでFES信号が乱れた場合に誤って、ループを閉じることがないようにするためである。
【0022】
前記FOCUS_ON信号がHレベルとなると、ループスイッチ10が位相補償回路9の出力を選択するように切り換わり、フォーカスエラー信号がフォーカスアクチュエータ6に帰還され、フォーカスサーボ動作が開始される。
【0023】
以上のように、この参考例では、フォーカスエラー信号に対して、2つの閾値(基準レベル)を設け、第1のレベルを超えてから第2のレベルを下回るまでの時間を測定し、その時間幅によりサーボループを閉じるか否かの判定を行う。この判定を行うことにより、合焦点以外で光量が不足したときに出力される偽フォーカスエラー信号を合焦点と誤って判断し、サーボを閉じてしまうことが無くなり、フォーカス引き込みの成功率を高め、安定した動作を実現することが可能となる。
【0024】
この参考例では、フォーカスエラー信号に対する判定については、コントローラがFES信号をA/D変換して行うように構成したが、他に、アナログ回路(コンパレータとタイマ回路)を用いて構成しても良い。また、モニタする信号は、FES信号そのものではなくとも、他に、高周波のノイズや低周波のうねりを減衰させるために設けた適当な高域遮断フィルタや低域遮断フィルタを通過した信号を利用しても良い。また、判定を行うための閾値は、第1のレベルthlvl1が第2のレベルthlvl2を下回らない範囲であれば、自由に設定できる。但し、ノイズによる誤動作の危険性を考慮すれば、レベル間がある程度離れた値に設定することが望ましい。
【0025】
この参考例では、第1のレベルを上回ってから第2のレベルを下回るまでの時間を測定したが、他に、第1のレベルを下回ってから第2のレベルを下回るまでの時間を測定する等、種々の変形も可能である。さらに、本実施形態のコントローラ12の機能と位相補償回路9及び、ループスイッチ10が行う機能のすべてまたは一部を、DSPにより行なわさせても良い。
【0026】
次に図3は、本発明の実施形態による制御装置を含む光ディスク装置の構成を示す図である。ここで、図3に示す構成部位で、図1に示した構成部位と同じものには、同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態では、前述した参考例と同じ手法により、フォーカス引き込みを行った後、トラッキング動作中のトラッキングエラー信号の乱れを補正する制御装置について説明する。
【0027】
この光ディスク装置は、エラー信号検出用の光学部品とフォトディテクタを含む光学系7aと、レーザ光源となる半導体レーザ(LD)31と、半導体レーザ31の駆動電流にノイズ低減のために高周波を重畳する高周波重畳モジュール(HFM)32と、半導体レーザ31に発光パワーに応じた電流を供給し、また書き込むデータに従って駆動電流を変調するためのLDドライバ33と、データの記録・再生等の動作を制御するコントローラ34と、トラッキングエラー信号TESを検出するためのTES検出回路(AGC回路)35と、トラッキングの制御をするためのDSP(Digital Signal Processor)36と、トラッキングアクチュエータ30に電流を供給するためのTrドライバ37とで構成される。なお、トラッキングアクチュエータ30は、キャリッジ5と一体に設けられた図示していないトラッキングコイルに給電することにより、キャリッジ5ごと対物レンズ3の位置をトラッキング方向(Y方向)に移動させる。
【0028】
前記コントローラ34は、LDドライバ33に対して、駆動電流値の設定値や変調信号を出力し、また、高周波重畳モジュール32での高周波重畳動作のオン/オフの制御信号HFM_ONを出力する。
【0029】
図4は、図3に示したDSP36の内部構成を示し、トラッキングサーボに関する部分を示したものである。
このDSP36は、トラッキングエラー信号TESを所定の周期でA/D変換するA/Dコンバータ41と、前回のTES信号のA/D変換結果を記憶し、TES信号の代替信号として出力するためのメモリ42と、最新のTES信号のA/D変換結果、若しくはメモリ42から出力されるTES信号の代替信号とのいずれか一方を選択するセレクタ43と、トラッキングサーボの動作を安定化させるための位相補償フィルタ44と、D/Aコンバータ45と、高周波重畳モジュールの制御信号HFM_ONの変化点をA/Dコンバータ41でのA/D変換に同期して検出するためのエッジ検出回路46とで構成される。但し、これらはすべてDSP内で、ソフトウェア的に実現するものとする。
【0030】
図5は、本実施形態の動作について説明するための動作波形を示す図である。ここでは、データ部の後半、ID部及び、次のセクタのデータ部の前半までの範囲について示している。また図5は、イレース動作時の波形を示しているが、ライト中でもLD電流波形が異なるものの、ほぼ同様の動作となるので、ここではイレース動作時についてのみ説明する。
【0031】
このイレース動作は、ID(トラック番号、セクタ番号等)を確認しながら行うため、連続イレース動作中であっても、ID部では必ずリードパワー発光により、IDのリードを行う。
【0032】
通常、LD31のイレースパワーは、リードパワーの数倍必要になるため、LD電流は、図5に示したような波形となる。そして、高周波重畳モジュール32は、HFM_ON信号で示したように、リードパワー発光時にのみオンされる。イレース時に高周波重畳を行わないのは、リード動作ではないためLDノイズがあっても問題にならないことと、イレースパワーにさらに高周波を重畳すると、ピーク時に半導体レーザの最大定格パワーを越えてしまう可能性があるためである。 また通常、リードパワー発光時に高周波重畳を行うと、高周波重畳を行わない状態と比較して、同じ光出力を得るための駆動電流が10mA程度低下する。このため、高周波重畳を行ってリードパワー発光している状態から駆動電流をそのままにして高周波重畳を中止すると、レーザの出射パワーは低下し、ほとんど発光していない状態となる。
【0033】
前記高周波重畳モジュール32は、制御信号を切り換えてから実際に動作するまでに、数μsec 程度の遅れが存在する。このため、イレース発光やライト発光(高周波重畳オフ)からリード発光(高周波重畳オン)に移行する際には、駆動電流がリードパワー相当に設定され、高周波重畳モジュール32はオンされているにもかかわらず高周波重畳動作が立ち上がっていない期間が存在し、レーザの出射パワーが一時的に低下する(図5のA)。
【0034】
また、これとは逆にリード発光からイレース・ライト発光に移行する際には、高周波重畳モジュール32が動作を停止してから出射パワーを上げなければならないので、この高周波重畳モジュール32の動作速度のばらつきを見込むと、HFM_ON信号をLレベルとしてから、実際にイレース発光に相当する駆動電流を出力するまでの時間を長めに設定さぜるを得ず、この時にも、リード発光電流であるのに高周波重畳がオフとなる期間が発生し、レーザのパワーが一時低下する(図5のB)。このようなとき、トラッキングエラー信号検出回路35は、AGC回路の機能により回路ゲインを急激に上げてしまい、微小な回路オフセットや光電流のわずかな差を増幅するため、TES信号に大きな乱れが生じる。
【0035】
前記DSP36は、このトラッキングエラー信号をA/Dコンバータ41で周期的にA/D変換して取り込み位相補償を行って、ドライバ37へと出力することによりトラッキングサーボを行うが、図5のように乱れたトラッキングエラー信号が得られている場合、A/Dコンバータ41のサンプリングのタイミングとエラー信号の乱れのタイミングが一致すると、等価的に次のA/D変換タイミングまでそのエラー信号が出力され続けていることになるため(図5のC)、トラッキングサーボが大きく振られ、トラックずれが発生してしまう。
【0036】
しかし、このトラッキングエラー信号の乱れが発生するのは、高周波重畳動作をスイッチング(オン/オフ)したときだけであるので、エッジ検出回路46によりHFM_ON信号のエッジ(変化点)を検出し、A/D変換のタイミングで前回と比べて、HFM_ON信号レベルが変化していた場合には、そのときのトラッキングエラー信号のA/D変換結果を使用するのを中止し、メモリ42に記憶されている前回のA/D変換結果をトラッキングエラー信号の代替信号として使用する。
【0037】
これにより、本来であれば、図5のCに示すようなA/D変換結果が得られたのが、同図のDに示すように前回値で補間を行った値が位相補償フィルタ44へ入力されるようになり、トラッキングが大きく乱れることはなくなる。
【0038】
以上のように本実施形態によれば、高周波重畳モジュールをオン/オフする制御信号の変化点でトラッキングエラー信号を代替信号(前回サンプル値)で置き換える補間を行ったため、高周波重畳モジュールのスイッチングで一時的にレーザが消灯しAGC回路の働きでエラー信号が乱れても、その影響を受けずに安定したトラッキング動作を行うことが可能となる。
【0039】
なお、本実施形態ではDSPにより種々の機能を実現したが、これは回路により行っても良い。また、高周波重畳モジュールのオン/オフ制御信号でなくても、リード発光からイレース/ライト発光へ、あるいはその逆の移行のタイミングを検出できる信号があれば、その信号を元にトラッキングエラー信号と代替信号のどちらを選択するかを決定して良い。また、代替信号として実施形態では前回のA/D変換値を使用したが、これは他の信号でもよく、例えば、トラッキングエラー信号を高域遮断フィルタに入力し、その出力を代替信号として用いても良い。また、この補間を行う対象は、トラッキングエラー信号に限らず、フォーカスエラー信号であっても良い。
【0040】
以上の実施形態について説明したが、本明細書には以下のような発明も含まれている。
(1)前記第1の基準レベルを、前記第2の基準レベルよりも大きく設定した ことを特徴とする、前記(1)項に記載の光ディスク装置の制御装置。
これにより、偽フォーカスエラー信号のレベルが第1の基準レベルをぎりぎりで上回った場合でも、それよりも低い第2の基準レベルを下回るのには時間がかかるため、真のフォーカスエラー信号と誤判定してサーボをオンしてしまうことが無くなる。
【0041】
(2)光ディスクに対し照射したレーザ光の、前記光ディスク上の情報トラックに対する位置を変化させるトラッキングアクチュエータと、
前記レーザ光の照射位置と前記情報トラックとの位置ずれを、複数のフォトディテクタで前記レーザ光の反射光を受光した光電流の差として検出し、この差を光電流の和で割り算するAGC処理を行ってトラッキングエラー信号として出力するトラッキングエラー信号検出手段と、
前記トラッキングエラー信号の代替信号を生成する代替信号発生手段と、
前記トラッキングエラー信号、または前記代替信号のどちらか一方を選択し出力する選択手段と、
前記レーザ光の光源となる半導体レーザの駆動電流に高周波を重畳する高周波重畳手段と、を有し、
前記選択手段の出力に基づいた信号を前記トラッキングアクチュエータに帰還して前記レーザ光の照射位置が前記情報トラックに追従するよう制御を行う 光ディスク装置の制御装置において、
少なくとも前記高周波重畳手段の動作/非動作の遷移時、前記選択手段が前記代替信号を選択することを特徴とする、光ディスク装置の制御装置。
これにより、高周波重畳手段をスイッチングする際に生じるトラッキングエラー信号の乱れに対して代替信号による補間を行うことにより、安定したトラッキング動作を行うことが可能となる。
【0042】
(3)前記トラッキングエラー信号をサンプリングするサンプリング手段を有し、前記代替信号は、前記トラッキングエラー信号の前回のサンプリング値である ことを特徴とする、光ディスク装置の制御装置。
これにより、特にDSP等によりディジタルフィルタで位相補償を行う場合、DSP内部で処理することが可能になるため、回路規模を増大することなく、トラッキング動作を安定化することができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、高周波重畳モジュールのオン/オフ制御信号の変化点でトラッキングエラー信号を代替信号で置き換える補間を行うようにしたため、高周波重畳モジュールのスイッチングで光量が少なくなる期間にトラッキングエラー信号が乱れても、その影響を受けずに安定したトラッキング動作を継続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に先駆けて開発された参考例となる制御装置を含む、光ディスク装置の構成を示す図である。
【図2】参考例の制御装置の動作について説明するための動作波形によるタイミングチャートである。
【図3】本発明の一実施形態として、本発明による制御装置を含む光ディスク装置の構成を示す図である。
【図4】図3に示したDSPの内部構成で、トラッキングサーボに関する部分の一例を示す図である。
【図5】本実施形態の動作について説明するための動作波形によるタイミングチャートである。
【符号の説明】
1…光ディスク、2…スピンドルモータ、3…対物レンズ、4…レーザ光、5…キャリッジ、6…フォーカスアクチュエータ、7…光学系、8…FES検出回路(AGC回路)、9…位相補償回路、10…ループスイッチ、11…フォーカスドライバ、12…コントローラ。

Claims (1)

  1. 光ディスクに対し照射したレーザ光の、前記光ディスク上の情報トラックに対する位置を変化させるトラッキングアクチュエータと、
    前記レーザ光の照射位置と前記情報トラックとの位置ずれを、複数のフォトディテクタで前記レーザ光の反射光を受光した光電流の差として検出し、この差を光電流の和で割り算するAGC処理を行ってトラッキングエラー信号として出力するトラッキングエラー信号検出手段と、
    前記トラッキングエラー信号の代替信号を生成する代替信号発生手段と、
    前記トラッキングエラー信号、または前記代替信号のどちらか一方を選択し出力する選択手段と、
    前記レーザ光の光源となる半導体レーザの駆動電流に高周波を重畳する高周波重畳手段と、を有し、
    前記選択手段の出力に基づいた信号を前記トラッキングアクチュエータに帰還して前記レーザ光の照射位置が前記情報トラックに追従するよう制御を行う光ディスク装置の制御装置において、
    少なくとも前記高周波重畳手段の動作/非動作の遷移時、前記選択手段が前記代替信号を選択することを特徴とする光ディスク装置の制御装置。
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